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◆黄昏の赤◆

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  • 1:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    この街の月は赤く濁っていて気味が悪い。
    赤い光が街を益々汚れたように見せる。
    あたし達みたいな人間には美しい檸檬のような月明かりを望む事すら贅沢な事なのかもしれない。

    2007-05-28 23:54:00
  • 71:

    名無しさん

    文才ありますね!
    楽しみにしてます( ´∀`)

    2007-06-26 03:38:00
  • 72:

    名無しさん

    また 書いてくれてるんや!
    頑張って下さいね

    2007-06-26 13:13:00
  • 73:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    >>74さん ヘタの横好きて奴です(; ̄▽ ̄)この先も読んで貰えたら嬉しいです
    >>75さん 創作はやってみたものの難しくて色々考えていて止まってしまっていました。ゆっくりですがよろしくです?

    2007-06-26 21:49:00
  • 74:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    >>73 続き
    本をめくる乾いた音。この音が好きだ。文字を読みながら頭の中に文章の羅列が流れていく感じ。その合間にパラ…という音がリズムを作っていく。              
    「読者なんてするんだ?」       
    いつの間にか部屋にアメの侵入を許していたようだ。            
    「ドクターが本ぐらい読めってうるさいから」

    2007-06-27 01:25:00
  • 75:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    そう答えたものの本を読むのは好きだ。行った事のない世界を、感じた事のない感情をそれはあたしに教えてくれる。           
    「『沈黙の春』俺も読んだよ」                     
    アメは毎日のように訪ねてくるようになっていた。一緒に珈琲を飲んだり食事をとったりした。アメは自然にあたしのそばにいてそれはなんだか居心地がいい。

    「アンジュ、ちょっと出掛けよう?」

    2007-06-27 01:59:00
  • 76:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    そこは街の中心部を少し離れた所にあるBARだった。この街にこんな店があったのかと思うほど静かな店。薄暗い穴蔵のような雰囲気のなかにピカピカに磨き込まれたカウンターがある。           
    「イケる口だろ?」          
    口の端を少しあげてアメが笑う。どうやら部屋の隅に置いていた晩酌用のボトルをチェックされていたようだ。          
    「あたしまだ16だよ?」          
    アメはあたしの顔を見つめるとさっきよりもっと唇の端をあげて首をかしげた。

    2007-06-27 02:09:00
  • 77:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「…20くらいかと思ってた」             
    「16に見えない?」            
    「言われたら見えるけど、アンジュ落ち着いてるから」          
    年齢は?お仕事は?お国はどちら?
    そんな一個の様式美である問答を一切していないから、お互いの事を実はなんにも知らないのだ。なんだかおかしくて笑えた。アメも少し笑った。

    2007-06-27 02:17:00
  • 78:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「アメは?」              
    せっかくだからもう少し問答を続けてみようと今更な事を続けて聞いてみる。             
    「26からは忘れた。」
    「見た目よりジジイ」                   
    忘れたとかないでしょとアメを小突くとアメは困った顔をした。

    2007-06-27 02:25:00
  • 79:

    緋恋◆lZf.ArgVp2


    本当にに困った顔をしてアメはポツリと言った。                     
    「…忘れたんだ。」                      
    あたしから目をそらしたアメの視線は彼の瞳の色と同じ、琥珀色のアルコールに向けられていた。上等なスコッチはグラスの中で彼の瞳と同調するように揺らぐ。
    黙って下を向いた。こういう時どうすればいいのかわからない。

    2007-06-27 02:33:00
  • 80:

    緋恋◆lZf.ArgVp2

    「よお!景気はどない―――」          
    聞き覚えのある声に振り返る。この陽気な声質に馬鹿っぽい喋り。              
    「アンじゃんか―、何してんの?」                    
    スミトモだ。いつもならウザいの一言で撃退しようとするところだかなんだか助かった気がした。
    スミトモはアメに気付いた様でアメを上から下まで一瞬の素早さで観察した。

    2007-06-27 02:43:00
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