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彼女までの距離
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1:
主◆LakuAXwmbU
芽衣と出会ったのは、残暑でまだ暑い九月の第一日曜日だった。
出会いの感想を聞かれたなら、最悪だったとしか言いようがない。
ホストを始めて八ヶ月が経ち、売り上げが安定して来た俺は寮生活から独り暮らしに変えたばかりだった。
そ2007-09-22 01:39:00 -
25:
主◆LakuAXwmbU
「何で?いやいや、その前に一号ってなんやねん」
「901号室の人だから一号くん」
そう言えば、俺と彼女はまだ名前を教え合っていない。
「圭太」
「え?」2007-09-22 07:08:00 -
26:
主◆LakuAXwmbU
名前を口にした時のしばらくの間の理由が分からなかった。
彼女は自分の名を名乗りたくないのだろうか、単純にそう思った。
「圭太、俺の本名やで」
「芽衣、あたしは芽衣」
そう言って彼女はうつむいた。2007-09-22 07:14:00 -
27:
主◆LakuAXwmbU
名前を教え合うのはいけなかったか?
唇を固く結んだ芽衣を見たら、ふりだしに戻ったような気がした。
「ね、何で頭を押さえて出勤せなあかんの?」
構わず話しかける事に賭けてみた。
「だって……」2007-09-22 07:28:00 -
28:
主◆LakuAXwmbU
うつむいたまま芽衣はぼそぼそと話しだした。
「いつも髪を立てているから、禿やすいんじゃないかなって」
俺はまだ二十三歳、禿とは無縁のはず。
「風に髪の毛を持っていかれるんじゃないかなって心配して言ったの」2007-09-22 07:33:00 -
29:
主◆LakuAXwmbU
いつになく芽衣は饒舌になり、どんどん喋りだした。
「ホストって神経をつかいそうだよね、十円禿が出来てそうだよね。あ、それでみんな髪を立てているの?」
「いえいえ、十円どころじゃないですよ。既に五百円禿が……」
芽衣のノリに合わせて、俺は会話に乗った。2007-09-22 07:41:00 -
30:
主◆LakuAXwmbU
「そっか、気の毒に。ハゲしく同情するけれどハゲましの言葉が浮かばない。でも禿の圭太くんも格好いいと思うよ」
「禿、禿、禿って、そんなに連呼されたら本当に禿げてきそうな気がするやんか!禿たら、そのこけしのような髪の毛をもらうからな」
芽衣はまだうつむいたまま、肩を震わせていた。2007-09-22 07:54:00 -
31:
主◆LakuAXwmbU
泣き出すのかと思った。
芽衣は顔を上げて、大笑いをした。
嬉しかった。
芽衣を笑わらわせた事が、そして笑顔を見れた事が。
大きく開いた唇からは綺麗に並んだ芽衣の歯がのぞいていた。2007-09-22 08:03:00 -
32:
主◆LakuAXwmbU
こいつの笑った顔、可愛いな。
「笑った顔の方が可愛い」
ずっと笑っていて欲しいと思ったから芽衣に、そう告げた。
けれど芽衣は急に笑うのを止めて、元の愛想のない表情に戻った。2007-09-22 08:12:00 -
33:
主◆LakuAXwmbU
「遅刻しちゃうから行ってきます」
芽衣は感情を表に出さない人間だった。
それは俺の前だけなのか、誰の前でもそうなのか分からない。
けれど、芽衣が俺との間に壁を作っていたのは気付いていた。2007-09-22 08:22:00 -
34:
主◆LakuAXwmbU
毎日、洗濯機を回していた芽衣なのに、翌日はテラスに出て来なかった。
台風が関西地方に直撃して外は大雨なのだから当たり前だ。
けれど、テラスで芽衣に話しかけるのを楽しみにしていた俺は、芽衣と話せない事に不安を覚えた。
昨日の会話で何か機嫌を損ねる事を口にしていたんじゃないか?2007-09-22 10:58:00