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どうか赦して。
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1:
リ
よかったら読んで下さい。
2007-11-13 00:08:00 -
51:
リ
君はどうして俺を覚えていてくれたんだろう。 寒い日に変な奴がいたな、くらいだったのかもな。 俺達が出会ったのが この世でいう『運命』ってやつなら 神様が俺に、あの子を救えと命を下したんだと思う。 赦して下さい。 彼女を救えなかった俺を。 どうか もう一度チャンスを。
2007-12-09 21:40:00 -
52:
リ
栗色の髪に白い肌。 にっこり笑う百合の笑顔はやはり哀しみが見えた。 『覚えてくれててんな』 くすっと笑い彼女は言う。『なんでかはわからないけど覚えてるよ。ホストさん』 あの時の自分を思い出して笑ってしまった。 『寒い日にこかしといて、何が店に来いやねんってかんじやった?』 『あははっ…そうね。』 『ごめんなー』 『いいよそんなの。皆必死だわ。』 百合はソファに腰を下ろした。
2007-12-09 21:48:00 -
53:
リ
『だけど…こんなところでまた会うとは思わなかった。偶然って怖いわー』 『偶然ちゃうで』 百合の隣に座った。 偶然じゃない。何故かわからないけど会いたかったんだ。 百合の方を向くと、不思議そうな顔をしていた。 『とりあえず、シャワー浴びる?』 キャミソールを脱ぎ、谷間や腰をむきだしにしながら百合は言った。
2007-12-09 21:54:00 -
54:
リ
『いや…』 立ち上がり、バスルームからローブを取ってきて百合に着せた。 『そーゆ事しに来たんと違うから。』 煙草に火をつけた。 そうやな。ここはそういうところだった。 毎日その身体を親父達が貪っていると思うとイライラした。 不意に横から煙草を取られ、その手はそれを灰皿に押し付けた。
2007-12-09 21:59:00 -
55:
リ
『なんや…』 振り向くと、ローブを脱ぎ、下着を脱いでいた。 ふっと首を反転させる。 百合の冷たい手が、俺の首筋に触れた。 『はよ服着ろ。ほんまにそんなんしにきたんと違うから。』 裸になった百合にイラついた。なんでそんなことすんだ。俺はそんなことしたいんじゃない。 首筋にキスをしてくる。豊かな胸が俺の腕にあたる。細くしなやかな手が俺の身体を探っていた。 『やめろ!』
2007-12-09 22:06:00 -
56:
リ
百合の身体が固まり、さっと身を引いた。 ローブを手に取り、窓際に歩いた。 『ごめんなさいね。』 ローブを羽織り、背を向けながら言った。 少し声が震えていた。 思わず走りより、腕を引っ張る。 『ごめんね。』 泣いているのかと思ったが、哀しそうに微笑んだ。 抱きしめていた。
2007-12-09 22:11:00 -
57:
リ
どちらが傷ついていたかなんて誰にもわからない。 彼女か君か、どちらがより辛かったかなんてわからないよ。 傷ついて欲しくなかったんだろう? これ以上彼女が壊れるのを見たくなかったんだろう? けれど君も壊れてしまう。君は何も悪くない。 自分自身をどうか赦してやってくれ。 誰が悪いかなんて わかりきった事なのに。
2007-12-09 22:20:00 -
58:
リ
強く強く抱きしめて、この子が壊れてしまえばいいと思った。 『ごめんなさい。離して?』 百合は淡々と言う。 腕の力を緩めると、百合は俺の腕からするりと抜け出した。 またにっこりと笑う。 彼女の笑い方はいつも一緒。いつも哀しそうだ。 『ありさチャンて妹おるやろ?』 『……………どうしてありさを知っているの?』 『俺は響と同じ店で働いてるから。』
2007-12-10 00:40:00 -
59:
リ
響の名前を聞いた途端、百合の顔が強張った。 『……そうなの。』 『響となんで知り合いなん?頼み事ってなに?』 『貴方には関係のないことよ?』 にっこり微笑んだ。 『何をそんなに背負ってんねん?』 たかだか一回会ったくらいで真実を語ってくれる訳もないけれど、知りたかった。荷物を分かちあいたかったんだ。 『何も背負っていないわ。あたしは身軽よ?』 百合は笑った。
2007-12-10 00:50:00 -
60:
リ
『嘘や。身軽な人間は、そんな顔して笑わへん。なんで風俗やってんねん。借金でもあるんか?』 不躾で失礼極まりない質問だとわかっていた。 『借金なんてないよ。好きでやってるのよ。』 『そんなわけない。』 そんな事あるはずがない。 『どうして?』 『お前心底楽しそうに笑ってへん。』 泣いてるみたいに笑うなよ 『あははっ面白い事ゆうのねー。楽しいから笑うのよ、人間って。』 にっこり笑っていた。
2007-12-10 00:57:00