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「 罪と罰 」
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1:
◆nc5vQ9UrVg
行かないで、
お願い…
側にいてよ…
2008-03-28 08:23:00 -
4:
◆nc5vQ9UrVg
2008-03-28 08:30:00 -
5:
◆nc5vQ9UrVg
「……もしもし?千穂…?聞いてる?」 『……ん、ごめん。んで、今回は誰が見たん?』 「理子と皐月やで…。なぁ千穂、友達やから言うてるねんで?あの人はもうやめときって…」 『……』
電話越しに聞こえる心配そうな、親友の声に、胸が痛む。何も言い返せないあたしに、親友マキはもう一度あたしに呼び掛ける。
「な、千穂…?あんたが好きなんは分かる。やけど、一体あんな人のどこがいいん?友達の好きな人悪くは言いたくないけど…」2008-03-28 08:41:00 -
6:
◆nc5vQ9UrVg
『うん…』
「……今回は理子と皐月がミナミで見たんやて。子供と三人で歩いてたって―…」
“子供と三人で――”
『そうなんや……でも、悠司の子供とは限らへんし…それに女の人やって、お姉ちゃんとか…ただの友達かもしれへんやん?』2008-03-28 08:49:00 -
7:
◆nc5vQ9UrVg
支離滅裂な事を言ってるのは、分かっていた。だけど、馬鹿な強がりでも、矛盾した言い訳でも、今は言っていないと… あたしは自分自身が壊れそうだった。
2008-03-28 08:53:00 -
8:
◆nc5vQ9UrVg
一年前、あたしは専門学校に行きながら地元のレンタルビデオ屋で働いていた。だけど、自分が考えていた夢と、現実とのギャップに行き詰まり…専門学校を中退、それからはビデオ屋とたまに入るコンパニオンの仕事を掛け持ちして毎日を過ごしていた。
ある時、派遣会社で知り合った由歌という女の子に 自分が働くスナックに来ないかと誘われ…あたしは、コンパニオンを辞めてスナックを掛け持ちする事になった。2008-03-28 09:05:00 -
9:
◆nc5vQ9UrVg
「千穂ちゃん、最近仕事も慣れてきてええ感じやな!今日も頑張ろなぁ!」 テーブルセットをしながら開店準備をしていると、ママが、カウンターから声をかけてくれた。 『はい!頑張ります!!』
水商売に関しては、右も左も分からなかった当時のあたしに、ママを筆頭に、由歌や、お店の女の子達はすごく良くしてくれた。 お店にもすぐに馴染めた。2008-03-28 09:09:00 -
10:
◆nc5vQ9UrVg
スナックでバイトをする事が楽しくなって、毎日すごく充実した日々を送っている、そんな時だった―…。
あなたに
出会ったのは――…。2008-03-28 09:15:00 -
11:
◆nc5vQ9UrVg
ママに指示されて、たまたま着いた新規のお客さん。BOX席に、六名ほどで来ていたスーツの団体さんだった。『…失礼します!』 まだ若干緊張が取れないあたしは、先陣をきって席に着いてくれた由歌を追い掛けるように、ゆっくりと席に着いた…。
話を聞いているとお客さんは、不動産屋関係の仕事の集まりらしい。みんなかなりお酒が入ってるようで、一時間もすれば、カラオケが始まったり、ゲームが始まったりで…テーブルは大騒ぎだった。2008-03-28 09:21:00 -
12:
◆jTutx5Ak0Y
水割りを作ったり、灰皿を変えたり、あたしはとにかくあたふたしながら席に着いていて…会話もおろそかになっていた時。たまたま隣に座っていた、若いお客さんに話し掛けられた。
「自分、めちゃくちゃ必死やん(笑)そんな必死にならんでもみんな酔ってるし適当でええでぇ。」 ストライプのスーツが、体格のいい彼のスタイルをひき立て、いたずらっぽい笑顔からは、幼さが残るような印象を受けた―…。
―悠司との出会いだった。2008-03-29 07:18:00 -
13:
◆nc5vQ9UrVg
『あはは…そうですね。でも、仕事だし!一応働かないと(笑)』 あたしは悠司のグラスに氷を足しながら、笑顔で答えた。
「なるほどな(笑)いい心がけやな!あ、自分名前なんてゆーん?」 『千穂です!ってゆうか、最初に名刺渡しましたよ…(笑)』
「あっ、ほんまやな!俺酔ってるな!ごめんごめん」
悠司は、またいたずらっぽく笑った。歳は何個か上だろうと思っていたけど、意外にも二つしか違わなかった。悠司は運転があるからと、途中からはウーロン茶しか飲まず…
酔い潰れる周りの中で一人だけまともな彼と最後まで話していた。2008-03-29 07:30:00