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〜夢が覚めたら 2006〜
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1:
Mi◆UZrHzv44gM
「夢を見ていたい」そんな現実逃避をした欲求や憧れは、誰にでもあるものだ。
時は遡ること、2006年の11月。少しずつ肌寒くなり、男女が肩をすぼめ、寄り添い歩く姿がちらほらと見受けられる。2008-04-02 09:57:00 -
2:
Mi◆UZrHzv44gM
「もしもし、由美子?今から帰る。あぁ、飯は食ってきたから大丈夫だよ。うん、じゃあね。」
秀明、25歳。デザイン会社に勤めるごく普通の会社員。4年付き合っている由美子は、俺より年上なだけに"結婚"を常に焦っているようだ。
「ねぇ、結婚どうするの。私と一緒になるの嫌?何年待たせるつもりよ・・全く。」
由美子はしっかり者で、仕事もバリバリこなしているのに、家事も怠らずきちんとやってくれる。もちろん愛している。普通なら、そろそろ結婚に踏み切ってもいいはずだ。
でも、それには訳があった。2008-04-02 10:13:00 -
3:
Mi◆UZrHzv44gM
俺も毎日のそんなやりとりに、気が引けていた。そう、俗に言うマンネリというやつだ。
「秀明、ちょっとは私に夢見させてくれたっていいんじゃない?結婚の"け"の字も出さないじゃないのよ。こんなに尽くしてるのに・・何がいけない?ねぇ・・・。」
由美子はとうとう泣き出してしまった。普段、強気でめったに泣かない由美子のそんな姿に、困り果てた。2008-04-02 10:22:00 -
4:
Mi◆UZrHzv44gM
「ごめんごめん、由美子!泣かないでよ。俺もちゃんと考えてる、だけど俺はまだ収入も一人前ではないし・・。もう少し待ってくれ。」
俺は正直、どうしたらいいのかもわからず、話を都合良くまとめてしまった。
「わかった・・・・。絶対だからね?約束よ。」
「おう。今日はもう寝よう。お前も疲れただろう。」
そう言って、二人は就寝した。2008-04-02 10:30:00 -
5:
Mi◆UZrHzv44gM
――翌朝。
「おっと遅刻する!由美子ごめん、朝飯は会社で食べるわ。あ、暖房の電源切っといて。じゃ、お先〜」
猛ダッシュで車へ向かった。
「秀明、ちょっ・・!もう。せっかく作ったのに。はぁ。」
由美子はため息をついた。だが、最近はいつもこんな感じが続いていたので、慣れっこだった。2008-04-02 10:41:00 -
6:
Mi◆UZrHzv44gM
ドタドタッ ガチャ
「はぁ・・はぁっ、お、遅れてすいません!」
そこへ課長が来た。この人は、いつも俺だけに厳しい。
「小坂!お前、今日は大事な日だと言っただろう。仕事なめてんのか?ぁ?減給だからな!」
「え〜っ!そんな・・は、はい。すみませんでした。以後気を付けます。」
(クスクスッ)
女性社員には笑われてしまった。今日は本当についてない。2008-04-02 10:50:00 -
7:
Mi◆UZrHzv44gM
昼休み
「あ〜〜!ほんと嫌んなるわ。しかも女の子に笑われるなんて。学生時代はモテたのになぁ。現実逃避しそうだ・・。」
と、缶コーヒー片手に独り言をつぶやいた。
「ん?なんだこのサイト。」
携帯を開くと、そこにあったのは"出会い系サイト"だ。
「エ・ッ・チ・・し・ま・せ・ん・か。・・30歳、主婦。ぷっ・・(笑)」
馬鹿らしいと思いつつ、いろんな記事を眺めていた。2008-04-02 11:08:00 -
8:
Mi◆UZrHzv44gM
そこである記事が目に止まった。
『寂しいから相手してほしい。デートしよo(^-^)oホテル有りでもいいよ。一晩だけで!割り切りでっ?20歳 サチ』
なかなか自分好みの女性の画像が添付されていた。下心がなかったと言えば嘘になるが、軽い気持ちでメールを送ってみた。2008-04-02 11:19:00 -
9:
Mi◆UZrHzv44gM
さっそく返信が来た。
『メールありがと(^-^)会いたいな。』
とても唐突すぎる。
「なんだよこれ。こんないい話があるわけ・・・」
「お〜い小坂。昼休み終わるぞ。そろそろ戻れよ。」その声は先輩だった。
「あぁ、はーい。」
俺はメールを返信せず、放置したままデスクに戻った。2008-04-02 11:27:00 -
10:
Mi◆UZrHzv44gM
そんなこんなで仕事を一段落終え、由美子へいつものお決まりである"今終わった"の連絡を入れようと、携帯を開いた。
そこでメールが来ていた。さっきのサイトの子だ。
『何してるの〜?電話しようよ(^3^)/ 番号は090XXXXOOOOだから。』
番号を教えるということは、サクラでは無いのだろうか?そう頭によぎった。
「まぁ一晩だけだしいいよな・・。俺もいろいろ疲れてるんだ。」
そう言って自分の悪を正当化させた。2008-04-02 11:38:00