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●私と彼女●
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1:
こず
なぁ。何でなんやろ。神様が、あんたを連れて行った理由。あたしら、必死にもがいたのに。生きる価値ならもう分かったから。だから、もうええやん。神様、あたしのあいつを返してや。
2008-07-27 16:35:00 -
18:
こず
あたしは何度も愛に電話をした。だけど電話は留守電になり、愛が出る事は無かった。あたしはどうしようも無く、彼氏に頼んで愛の実家連れて行ってもらった。だけど愛の家には誰もいなかった。愛の駐車場にはいつも愛ママの車があるのに今日はそれが無い。
2008-08-22 21:00:00 -
19:
こず
まさか…。あたしはヤな事を考えた。もしかしたら愛は本当に逝っちゃったんじゃないかって。その時再び携帯が鳴った。「もしもし…小川やけど…愛の自殺本間やったわ。今、焼き場におるみたいや…」電話は小川さんだった。ふざけんな。愛が死ぬ訳無い。何度も約束した。何かの間違い。きっと。そう、きっと。
2008-08-22 21:05:00 -
20:
こず
「まーくん、焼き場行ってくれへん?」あたしは運転している彼氏に頼んだ。「覚悟出来とん?本間に愛ちゃんおったら…」彼氏は心配してくれた。「おるわけ無いやん。誰がガセ流しとおか知らんけど。事実突き止めたるわ」あたしは強気だった。彼氏は焼き場へ向かってくれた。
2008-08-22 21:09:00 -
21:
こず
火葬場にはたくさんの人がいた。皆、真っ黒の服や制服を着て涙を流していた。あたし達は…普通の私服。「服ヤばいよなあ〜…」彼氏がそう言ったけど、あたしは大丈夫と言った。彼氏はずっと手を繋いでいてくれた。だけど次の瞬間、あたしは嫌なものを見た。駐車場に止まってある見覚えのある車…それは愛ママの車だった。
2008-08-22 21:14:00 -
22:
こず
「まーくん…愛ママの車ある…」彼氏はぎゅっとあたしの手を握った。「覚悟はええか…?」彼氏は優しくあたしに言った。あたしはうなずいた。周りを見渡すと、愛の身内の人は見当たらない。係員の人がいて、あたしは尋ねてみた。「すみません。吉岡さん…来てますか?」係員の人はあたし達の服装をジロジロ見て、「まもなくAゲートで参列されます。」と、静かに言った。
2008-08-22 21:21:00 -
23:
こず
あたしは彼氏とAゲートへ向かった。たくさんの人が涙を流しながら出てきたけど、やっぱり愛の身内はいなかった。30分程待って、どうしようか考えてた時、彼氏があたしの手を強く握った。「あれ愛ちゃんの写真や…」彼氏の方を見ると、成人式の時の着物を来た愛の写真が目に入った。「愛…」愛は、すごく綺麗だった。
2008-08-22 21:26:00 -
24:
こず
その写真を持っていたのは愛パパで、横は小さな箱を抱えた愛ママがいた。「ママ…?」あたしは震えていた。「こずえ…」愛ママはすごく痩せていた。「こんな服装でごめん…」あたしは言葉が見つからなかった。「こず…愛が…愛がこんなんなってもた…」愛ママは小さな箱を抱きしめながら、涙を流した。「ごめん…」あたしは謝った。だって。気づいてあげられなかった。元気いっぱいでいつもあたしを守ってくれた愛を、あたしは守れなかったんだ。
2008-08-22 21:34:00 -
25:
こず
「葬式呼べんでごめんな。ママパニックなってて。」いつも気の強い愛ママが、小さくなっているのを見て、あたしはまた泣いた。「線香はあげに行くから。絶対。」あたしは口を横結びにしてなんとか笑顔で言った。愛ママは「ありがとう」と優しく言った。彼氏は「お悔やみ申し上げます」と言った。
2008-08-22 21:40:00 -
26:
こず
あたしは彼氏の「帰ろうか。」で、やっと動けた。車に乗り、火葬場を一周して出口へ向かった。「今日晴れとってよかったな。」あたしは涙が止まらなかった。「何で…何で愛やねん。あかんわ…」彼氏は車を止めると「お前が泣いとったら愛ちゃん安心して成仏できんやろ。ほら、笑ってみ。愛ちゃんはこれで楽になれたんかもしれんねんから。愛ちゃんが必死に生きた証はお前の中に生きとるやろ?」
2008-08-22 21:47:00 -
27:
こず
そう言った。だけどあたしには分からなかった。あたしだって、何度も死ぬ事を考えた。手首をきったり、ODをした。だけどあたしを救ったのは、愛だった。あたしが手首を切ると、愛は泣きながら痛かったな、と言い、自分の手首を切った。愛はあたしを守ってくれたのに、あたしは愛を守れなかった。死ぬべきなのは、愛じゃなくあたし…
2008-08-22 22:02:00