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大地震の末に
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1:
名無しさん
20× ×年。関西地方を大地震が襲った。○○リーノと言う胡散臭い占い師の預言が当たったのだ。
死者数十万人。行方不明者数万人に登った。
人々は逃げ惑い、悲鳴の声しか聞こえない。正に地獄絵図のごとく大阪の街は崩壊した。2008-09-05 15:34:00 -
4:
名無しさん
夜も明け切らないミナミの外れを一人の若者がフラフラ歩いている。
酔っ払っているのだろうか?いや、そうでは無いようだ。
シャツは破れ、タバコの灰を被ったのか服も髪も白く汚れている。
唇が切れ頬には血の擦れた跡が、唇には乾いて固まった血がカサブタになりかけている。2008-09-05 15:39:00 -
5:
名無しさん
首には人の手形がクッキリ浮かび上がっいた。
よく見ると目の焦点は合っておらず、ガタガタ震えているようだ。
なんとも見すぼらしい姿である。
数年前の大地震の直後はこんな姿、常に目にしたが今ではそうお目見えできない。すれ違う人々は彼をもの珍しそうに横目で流し見ている。2008-09-05 15:40:00 -
6:
名無しさん
薄暗く小便臭い裏路地を、下を見つめたままフラフラ歩くその男とは対象的に
すぐ横の本通りでは朝方だと言うのに綺麗に着飾り、楽しそうにハシャグ若者達で溢れ返っている。2008-09-05 15:43:00 -
7:
名無しさん
――少し前のお話――
2008-09-05 15:47:00 -
8:
名無しさん
震災で両親を失った少年【佐藤ヤス】は大学へ通えなくなり、時給の良いホストのバイトに明け暮れていた。
良い年になり彼女との結婚も考えるようになった。
しかし資格も学歴もなく職歴もないヤスに、そう簡単に働き口が見つかる訳もなく…社員になる為、職探しの日々を送っていた。2008-09-05 15:49:00 -
9:
名無しさん
数ヶ月後、やっとの思いでヤスは働き口を見つけた。
小洒落た居酒屋厨房の社員だ。初任給で手取り30万。なんという大盤振る舞いの居酒屋なんだ。
この数ヶ月、仕事が決まらず彼女に迷惑をかけてきた。やっと安心させて上げられる。そう思うとヤスの声に力が入る。
『佐藤ヤス23歳です。厨房の仕事は初めてですが料理は大の得意分野です。一生懸命頑張ります!宜しくお願いします!』2008-09-05 16:12:00 -
10:
名無しさん
「私は三浦サチ。厨房のチーフよ。ミッチリしごいて上げるから覚悟してね。」
そうハキハキと答えた女性はヤスより5歳ばかり年上だろうか。黒い髪を後ろで一つに束ね少し乱暴な物腰の彼女は、見るからに姉御肌の女性である。実に頼もしい。
「面接時に説明があったと思うけど、ウチ従業員は女の子しかいないの。男の子が入ってきてくれて、頼もしいわ。でも社内恋愛は禁止だからそれは必ず守るのよ。」2008-09-05 16:22:00 -
11:
名無しさん
『はい。それは分かってます。身よりも無く、職歴も無い俺を雇ってくれたママに感謝してます。裏切るような事はしません。それに…俺彼女いるんで///』
「ふーん。それなら良いけど…ところでヤス君血液型は何型?」
『はっ?O型ですが…それが何か…?』2008-09-05 16:24:00 -
12:
名無しさん
「え。う…ううん。何でもないの…気をつけてね…。」
………なんとも意味深な言葉である。
『?………はい。気を付けます』
(何に気を付けるんだろ。…………あぁ火傷とか包丁捌きの事なか…)ヤスは不思議に思いながらも、勝手に納得し。返事を返したであった。2008-09-05 16:26:00