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彼女の名は花子

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  • 1:

    花子


    旧校舎の二階。
    一番奥の古いトイレ。

    そこに彼女はいた。

    2008-10-25 21:31:00
  • 21:

    花子

    誰かの声がした瞬間、ドアを叩く音と嫌な空気が一瞬でなくなった。
    春佳と目が合う。
    春佳は、何が起こったのか分からないって顔をしていた。
    【糞餓鬼が…。】
    また声がして、後ろを振り向くと彼女はいた。

    2008-10-28 03:40:00
  • 22:

    花子

    腰近くまで伸びた真っ黒な髪。
    意志の強そうな、綺麗な瞳。
    人形みたいな白い肌。
    そして、紺色のセーラー服
    あたしは二、三回、瞬きをした。

    2008-10-28 03:46:00
  • 23:

    花子

    春佳を見ると、彼女も驚いていた。
    どうやら彼女にも見えているらしい。
    あたし達が、驚いているとセーラー服の彼女が口を開いた。
    【中途半端な力持って、こんな所に来るなッ】
    彼女は不機嫌まるだしの声であたし達に言った。

    2008-10-28 03:50:00
  • 24:

    花子

    「ごめんなさい…」
    彼女の怒りが本気だったから、あたし達は謝るしかなかった。
    【で、何しに来た?】
    「この旧校舎に…花子さんがいるって聞いて…」
    彼女の質問に、春佳が返した。

    2008-10-28 04:00:00
  • 25:

    花子

    【あたしが花子だけど。】
    と、彼女。

    「えーーーーっ!!」
    あたしと春佳は、同じタイミングで声をあげた。

    2008-10-28 04:08:00
  • 26:

    花子

    あたしの中の花子さんのイメージは、ちび○子の服におかっぱの小さな女の子だったから、目の前にいる美少女に驚きを隠せなかった。
    それはどぅやら春佳も一緒だったらしく、春佳は「ちび○子じゃない…」と呟いていた。
    「本当に…花子さんですか?」
    あたしはつい聞いてしまった。

    2008-10-28 04:14:00
  • 27:

    花子

    【まぁ、本名かどうかは分からないが花子には変わりない。お前達、人間がそう呼ぶからな。】
    花子さんは、しかめっつらであたし達に言った。
    「本当にいたんだ…。」
    と、春佳は嬉しそうに言う。

    2008-10-28 04:20:00
  • 28:

    花子

    あたしも花子さんの存在を信用していなかったから、会えた事は素直に嬉しかった。
    それを感じとったのか、花子さんは呆れたよぅな笑顔をあたし達にむけた。
    【お前達は変な人間だな。あたしはもぅ何十年とこの場所にいるが、あたしを見て喜んだのはお前達が初めてだぞ。】
    その笑った顔は、あまりに可愛すぎて一瞬だけ、花子さんが幽霊だと忘れてしまう程だった。
    【さぁもぅ帰れ。ここはお前達が居ていい場所じゃない。あたしの存在も忘れろ。】

    2008-10-28 04:33:00
  • 29:

    花子

    花子さんが指をスッとあげると、あたし達はその場で意識を失ってしまった。

    そして、次に目を開けた時、あたし達は保健室のベッドの上だった。
    先生曰わく、グランドであたし達は倒れていたらしい。

    2008-10-28 04:35:00
  • 30:

    花子

    春佳は何故グランドで倒れていたのか記憶にないと言った。
    だけどあたしは、全て覚えていた。

    あたしは花子さんに会った時点……いや、旧校舎に足を踏み入れた時点で、何かが変わってしまっていた。

    2008-10-28 04:40:00
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