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彼女の名は花子

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  • 1:

    花子


    旧校舎の二階。
    一番奥の古いトイレ。

    そこに彼女はいた。

    2008-10-25 21:31:00
  • 2:

    花子

    「何年前のホラーよ。」
    呆れながらあたしがそう言うと、彼女は膨れっ面をする。
    「本当にいるんだって!岬も行けば分かるから!」
    と、彼女(春佳)は、あたしの手を掴む。
    「つーか、旧校舎って今は鍵かかってて入れないんじゃないの?」

    2008-10-25 21:36:00
  • 3:

    花子

    あたしの質問に、春佳はニヤリと笑って言った。
    「大丈夫。あたし鍵持ってるから。」
    春佳はあたしに見せるように、錆びた鍵を取り出した。
    「どしたのこれ?」
    「職員室からちょっとね。」

    2008-10-25 21:38:00
  • 4:

    花子

    呆れて物が言えないあたしを引っ張りながら、春佳は旧校舎へと歩く。
    校舎を抜け、広いグランドの奥に建つ古びた木造校舎がある。
    これが旧校舎。
    その旧校舎の正面入口の前に、あたし達は今立っている。

    2008-10-25 21:44:00
  • 5:

    花子

    ギィとドアが軋む。
    中に一歩入ると、ひんやりした空気。
    木で出来た下駄箱には、もぅ何十年も掃除されていないせいで、埃が積もり蜘蛛の巣が張ってある。
    廊下を進と、あたし達の左手側に二階へと上がる階段がある。
    階段の手すりも、先程の下駄箱同様、埃だらけだ。

    2008-10-25 22:09:00
  • 6:

    花子

    階段をあがるごとに、ギィと軋む。
    「ねぇ、この階段いきなり抜けたりしないよね?」
    あたしが聞くと、春佳は「大丈夫じゃない?」と適当に答える。
    あたしは春佳に分からないよぅにため息をつき、上を見上げた。
    ―――その時。

    2008-10-25 22:11:00
  • 7:

    花子

    ―――ゾクッ。
    とした悪寒が走る。
    霊感なんて0なあたしでも分かる。
    二階に何かいる。
    あたしは春佳の方を見ると、彼女も何か感じたのか、二階を真面目な顔で見上げていた。

    2008-10-25 22:14:00
  • 8:

    花子

    その瞬間。
    ――バタバタ!!
    先程まで何も聞こえなかった一階から誰かが走り回る音がした。
    その足音は廊下を、いったりきたりしている。
    ――ギィ……ギィ……。

    2008-10-25 22:16:00
  • 9:

    花子

    何かが階段をあがる音がした。あたしは、とっさに春佳の手を掴み階段を駆け上がる。
    一階に行くのも、二階に行くのもヤバいのは変わらない。
    二階に上がった時、悪寒は鳥肌へと変わり、背後から無数の視線を感じた。
    なるべく後ろを振り向かないよぅに、あたし達は走った。
    すると目の前に、女子トイレが見えた。

    2008-10-25 22:21:00
  • 10:

    花子

    来た道を戻る勇気もないあたし達は、とりあえずトイレに入ってみた。
    「視線…感じなくなったね。」春佳が息を整えながら言う。
    「うん。てかここ?花子さんがいるってトイレ。つーか旧校舎ヤバすぎじゃんか!春佳よく来れたね!?」
    あたしは恐怖と興奮で一気にまくしたてる。
    「ごめん…」

    2008-10-25 22:26:00
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