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白い花、黒い太陽。
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1:
◆nlPKxJ.N7k
憎しみー――
あたしは復讐の為だけに 生きていく…
2009-01-26 01:42:00 -
52:
◆nlPKxJ.N7k
伊織はしばらく黙ったままそのアザを呆然と見ていた。――伊織に見られてしまった。
「…か、階段から落ちたんだよ!!これ!!痛そうでしょ?でも、見た目ほど痛くないんだ!カリン…馬鹿だから・・・・」
ギュッッ―――
「―…俺が守ってやる。」
2009-01-29 08:42:00 -
53:
◆nlPKxJ.N7k
「…気付いてやれなくてごめんな………」 伊織はあたしを抱き締めながら涙をこぼしていた。 「伊織・・・違う…よ…」
「…何も言わなくていい。もう、大丈夫………。 もう…、大丈夫だから…」「・・・」
あたしは、公園中に響き渡るくらいに大声で泣いた。これでもかってくらい大声で。…――何かの糸が切れたようだった。伊織の優しさ、あったかさが、あたしの凍った心を溶かしてくれる―。2009-01-29 08:55:00 -
54:
◆nlPKxJ.N7k
「お母さん昔はね・・・優しかったんだよ。お弁当も作ってくれたし、お買い物にも連れてってくれた。お父さんがね……いなくなってから変わっちゃったんだ。お母さん…カリンの事キライになったのかな…。」
伊織と手を繋ぎながら家まで帰る途中、あたしは初めて誰かに母の話をした。
「…キライになったわけじゃないと思うよ。お母さんも淋しかったのかもな。 でもな、花梨…それでも花梨に手をあげるのは正しくないよ。間違ってる。これからは、ちゃんと俺が花梨を守ってやるから。」
伊織は、握っているあたしの手を強く握り直した。 嬉しかった・・。伊織がいるからもう、大丈夫・・2009-01-29 09:05:00 -
55:
◆nlPKxJ.N7k
そう、伊織とあたしは幼なじみだった――。
あたしの2つ上の伊織は、家が向かいだったおかげかあたしがもっと小さい時から良く可愛がってくれた。あたしにとったら、伊織はお兄ちゃんみたいな存在…
探しに来てくれるのは、いつも伊織だった。助けにきてくれるのもいつも…―
あの事件の日だって―…。2009-01-29 09:46:00 -
56:
◆nlPKxJ.N7k
母は、父がいなくなってから変わってしまった。もともと父は、仕事が忙しい人だったようであまり家に帰って来なかったけど…週の半分くらいは帰って来ていたと思う。
あたしの事も可愛がってくれていた。だけど、ある日を境に父は急に全く家に帰って来なくなった――。
そう、母に初めて手を挙げられたのもその日だった…
そこからは毎日、母は荒れていた。仕事も行かず酒に溺れて、精神的にも病んでいたのが子供のあたしにでも感じ取れた。2009-01-29 12:54:00 -
57:
◆nlPKxJ.N7k
だからこそ・・・
あたしは、母の支えになりたかった。いい子でいなきゃ、我慢しなきゃ、母を困らせたらダメなんだ――…ってずっと思ってた。
あたしも母も、どこかで道を間違えてしまった。歪んだ愛情が時に【憎しみ】に【狂気】にまで変わる事を――、
あたしはまだ知らない…。2009-01-29 12:59:00 -
58:
◆nlPKxJ.N7k
2009-01-29 13:00:00 -
59:
◆nlPKxJ.N7k
「――熱、だいぶ下がったみたいだな。」2009-01-29 13:01:00 -
60:
◆nlPKxJ.N7k
おでこに冷たい手が触れる――。気持ちいい・・ 「……ごめんね、迷惑かけて。」
だいぶ体が楽になったあたしは、伊織がいる方向に寝返りを打ち彼を見る。
「何言ってんだよ。気にしてないよ…。花梨お前、まだ病院行ってるんだろ?」伊織は、ずれた布団をあたしの体に被せながら聞く。
「うん、検査だけね。十年も前の事だし…もう何ともないんだけどさっ。」
2009-01-29 13:08:00 -
61:
◆nlPKxJ.N7k
「…医者の言い付けなんだから、ちゃんと行けよ。あの人花梨の事、自分の息子より可愛がってんだから。」伊織はあたしを見て、いたずらっぽく笑った。
そう、あたしの係りつけの病院の院長は《伊織のお父さん》だ…。院長には、本当にお世話になっている。十年間ずっと、定期的にあたしの体の検査をしてくれている―。2009-01-29 13:17:00