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おかみさん
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1:
真由子◆ifAqoPM8ck
ある相撲部屋のおかみさん真由子の話
2009-02-11 14:10:00 -
21:
真由子◆ifAqoPM8ck
なんだか今まで見た感じではない。リラックスしているようだった。
「すいません、引き止めてしまって」
「いえ、帰るだけだったんで大丈夫ですよ」
「真由子さんのお父様には自分が15のころから息子のようによくしてもらって、いつも真由子さんの話を聞いていたんです」
「はぁ。父がわたしの話なんてするの想像がつかないんですけど」
「写真も持ち歩いてましたよ!何回も見せていただいてました。」
「いつの写真ですか?」
「幼い写真もあったしつい最近の写真もありましたね」
顔が赤らんでしまった。恥ずかしい!2009-02-13 03:37:00 -
22:
真由子◆ifAqoPM8ck
「息子のように可愛がってもらってたのに、いつのまにか本当の娘さんが羨ましく思えてきたんですよ。自分は幼いころに両親を亡くしてまして、お父様は本当に暖かった。」
「優しいのは確かです(笑)」
「それで、いつかお嬢さんに逢わせてくださいとお願いしていたら、短大卒業するまで待ってくれと言われて」
「はい」
「今回こうして二人で話が出来て良かったです」
と瀬戸桜関は満面の笑みをうかべながら言った。2009-02-13 03:43:00 -
23:
真由子◆ifAqoPM8ck
瀬戸桜関は普段お喋りではない、どちらかと言うと無口なタイプだと思う。
そんな彼が今一生懸命喋っているのがわかった。
「お父様は真由子さんと一緒に遊びに行ったり出かけたり買い物に行ったりしたかったそうですよ。でも真由子さんは母親にベッタリで俺には入る隙がなかったとも言ってましたね」
「そんなことまで…」
「お父様はご自分の自慢話は一切なさらない方なんですが、唯一真由子さんの自慢話はいつも聞いてます」
「自慢になるようなことなんて何もないですよ」
本当に恥ずかしくなった。どれだけ顔が赤かっただろうか。2009-02-13 03:49:00 -
24:
真由子◆ifAqoPM8ck
あとはたわいもない話をした。故郷のことや趣味のことや好きな食べ物、よく行くお店など
わたしたちは話が尽きなかった。まるで本当の兄妹のように思えてきた。
本当のお兄ちゃんなら敬語で話すのは普通なら違和感があるが
今はその違和感すら感じなかった。
なんだろう、この懐かしい感じは…溶け込んで行く…包まれて行く…
そして、瀬戸桜関が時計を見た。2009-02-13 03:53:00 -
25:
真由子◆ifAqoPM8ck
「そろそろ戻らないと…筋トレがあるんですよ」
「わかりました。大変ですね」
「自分、次の場所で大関昇進がかかってるんです。絶対国技館観にきてください」と瀬戸桜関は少し真剣な表情で言った。
「もちろんです!応援なら任せてください!」と笑顔で返した。
瀬戸桜関は伝票を取るとレジへ向かった。わたしも慌てて席を立った。2009-02-13 04:09:00 -
26:
真由子◆ifAqoPM8ck
「ごちそうさまでした」
「いえいえ、楽しかったです」
「わたしもですよ。貴重なお時間をありがとうございました」
すると瀬戸桜関は一呼吸整えてから
「あの…また電話してもいいですか?」と言った。
ドキドキした!わたしより5つは年上の彼がモジモジしていたから
「あはは、もちろんですよ!電話くださいね」と答えて
その場は別れた。2009-02-13 04:13:00 -
27:
真由子◆ifAqoPM8ck
わたしはどうやって駅に向かったのか覚えていない。なんなんだ、この感情は…まだドキドキしている。
けど、あのモジモジした瀬戸桜関可愛かったな。あれは絶対土俵上では見れない姿だな
わたしはにやけながら電車に乗り家へと帰った。2009-02-13 04:19:00