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‐裏稼業‐
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1:
名無しさん
『バイトせーへん?』 藍子からのメール。 そーいえば最近バイトしだしたとか言ってたような。 『どんなバイト?』 私もバイト探しをしている最中で仲の良い藍子となら楽しくできるんじゃないかと一瞬頭をよぎる。それも仕事内容によるけれど。 『何でも屋的なやつ♪』 すぐに返事は返ってきた。何でも屋? そんな物が本当にあるんだろうか。 普通の求人雑誌では見た事も無いけれど、藍子はどこでそんな仕事を探してきたんだろう。 『1週間体験でやってみーへん?皆優しいし』 藍子からもう一通のメールが届いた。 『怪しい仕事じゃない?』少し心配になって返事を返してみた。 『大丈夫やで!』 体験が出来るならそれで仕事内容がわかるはず。 詳しい事は行ってみないとわからない。 『やってみよかな』 私は藍子にメールを返信した。これが私の人生を大きく揺るがす事になるなんて考えてもみなかった。
2009-02-21 12:15:00 -
11:
名無しさん
『そこ座ってもらえる?』居間の真ん中に、漫画で出てきそうな真ん丸の木のテーブルが置いてある。 『はい』 テーブルの周りに置いてある座布団に座る。 『失礼します…』 座り込むと花苅さんは笑いだした。 『そんなお堅い話じゃあないんだよ。ごく普通に接してくれたら良いからね』 花苅さんの声はやたらと落ち着けた。 『はい』 『んじゃ説明しようか』 花苅さんは私の顔をまっすぐと見た。 少しの間睨めっこ状態だったけれど我慢出来なくなって私が目をそらした。 『ははは!可愛いね!』 『店長さんやー』 隣の部屋から千尋さんの声が聞こえた。 『セクハラ大概にしな俺が無理矢理とめんで?』 『おっかないねぇ』 これが花苅さんの趣味らしい。
2009-02-21 17:21:00 -
12:
名無しさん
『ていうか千尋君いつまでそこにいるのかなぁ?』 『あんたがセクハラやらへん様になるまでやろな』 普通の親子の様な会話をしていて、何だか笑えてきた。 『アハハ!』 『………』 花苅さんと千尋さんの会話がピタリと止まった。 『あ!すいません!』 『いやぁ笑いたい時には笑うもんだよ。少しは緊張が解けたかな?』 花苅さんはまた縁側へと移動して座りこんだ。 『どうも緊張してしまうらしいね。このまま話をしても大丈夫かい?』 花苅さんは外を見た状態で、どうやら私に気を使ってくれているらしい。 『はい!大丈夫です』 『んじゃ本題にね』 今度こそ話を始めてくれた
2009-02-21 17:29:00 -
13:
名無しさん
『僕達は何でも屋の様なものなんだよ。名前の通り頼まれた仕事は出来る範囲で何でもやるんだけど…』 どうやら藍子の話していた事は本当の事らしい。 『依頼をうけて初めて仕事が出来るわけなんだよね。内容的には小さい物なら、家の掃除、ペットの捜索、ごみ拾いとか本当に些細な物から大きな依頼になると…』 『店長!』 千尋さんの声がまた隣の部屋から聞こえてきた。 『まだ話す事ちゃうやろ』『そうかもしれないけど、これを言わなきゃ彼女を騙している事になるでしょ』『…………』 千尋さんは黙った。 私は何が何だか良くわからないまんまだった。 『僕達は表向きは何でも屋なんだよ。一応近所でも有名だし、遠くからの依頼も結構あるんだけどね。でももう一つ仕事があるんだ。それが裏稼業。つまりは怖い事もするんだよ。危険な仕事もね。表向きは何でも屋。ひっくり返せば裏稼業。それが僕達なんだけど』 一瞬何を説明されているのかがわからなかった。 藍子は確かに危険な仕事じゃない。楽しいって言っていたはず。なのに…。 裏稼業と聞いたところで、私は何だか包丁でも突き付けられているような不思議な緊張感に襲われた。逃げれないような、怖い感覚。
『藍子は…』 『ん?』 『藍子は確かに危ない仕事じゃないと言いました。藍子は嘘をつく子じゃないのにそれを教えたのは貴方達なんですか?』 怖くて声になっていなかったかもしれないけれど、私は聞いてみた。2009-02-21 18:01:00 -
14:
名無しさん
『あの子には何も教えちゃいないからね。』 『え…?』 花苅さんは空を眺めたまま静かに口を開いた。 『あの子にはお母さんしかいないらしいじゃないの。病弱だって聞いてるし。 藍子ちゃんが良い子なのは一目見れば大体わかる。 あの子を裏へ引っ張れば元に戻す事はできない。 母さんのもとへ今の純粋な彼女のまま返してやれるなんて保証も無いんだよ』 花苅さんが危険な人だという事がわかった。だけど今の話を聞くかぎり絶対に悪い人じゃないはず。
2009-02-21 18:12:00 -
15:
名無しさん
『あの子は特別純粋な子でね、一度信頼した人や自分の傍にいてくれる人のためならきっと何でもしちゃうような子なんだよ。 僕が仕事を彼女に頼めば、
いけない事だとわかっていても彼女は仕事を引き受けるはずだよ。 でもそれは僕のやり方じゃないからやらないんだ。 ひどい事はしたくない。 だから僕は彼女にここを辞めてもらう事にした。 あ!行き場が無くなるわけじゃないんだよ? 僕がきちんとした会社を用意してあるからね。だから彼女は自分の変わりになる君を選んできたんだと思うんだけれど』2009-02-21 18:19:00 -
16:
名無しさん
『失礼な話、君は天涯孤独というやつらしいね。』 花苅さんの言う通り。 私が5歳の頃、両親は自殺して亡くなっている。 お祖母さん達がいたけれど母さんや父さんの事をみっともないと言い私を受け入れてはくれなかった。 それから私は施設で生活していたのだ。 『大丈夫だよ。そんな不安そうな顔はしないでちょーだいな。僕も千尋君も同じ様な物だからね。 千尋君は親からの虐待で施設に預けられていたんだ。ひょんな事から僕らは友達になってね。 僕が預かりたいと思って施設にかけあってみたんだ。千尋君も両親とは完璧に縁が切れているからね。今は僕の大切な家族なんだよ』
2009-02-21 18:26:00 -
17:
名無しさん
『花苅さんは…?』 私はつい聞いてはいけない事を聞いてしまったような気がした。 『僕かい?』 花苅さんは少しの沈黙の後口を開いた。 『僕はこういう家の長男として産まれたんだよ。下にはもう1人弟がいるんだけど。そいつは利口でね。 昔から僕はこんな適当な性格をしてたもんで弟から嫌われてしまってね。 弟はきっと自分の方が勉強も出来るし、利口なのに長男や次男っていう関係だけで家を継ぐものが決まるのが本当に嫌だったんだろうね。 僕は長男だったから両親や周りの人間から可愛がられた。大事にされたんだよ。 だけどその反面弟はいつも1人ぼっちでね。とてつもなく寂しかったはずだよ。僕はそんな弟をみていて決めたんだ。 僕が家をでれば弟が家を継ぐことになるのは確かだったから家を出て行った。 両親からも周りの人間からも止められたけどね、僕は父さんだけじゃなく母さんまで殴ってしまってね…』
2009-02-21 18:42:00 -
18:
名無しさん
花苅さんは一度喋るのを辞めて猫を撫でていた。 『そこで両親が僕に言ったんだよ。出ていけ。縁は切っておくからなって。悲しくなんかなかったんだけど、最後の最後まで弟は僕を睨み付けていたんだ。 一度も好かれる事は無かったって事だね』 花苅さんは俯いてしまった 『ひどいです』 私は思った事はすぐ口に出るタイプで、簡単に何でも言ってしまう。 『ひどくなんかないさぁ。ひどいのは僕だからね。 両親を傷つけて、弟も傷つけて。兄としても息子としても本当に最低なのはこの僕の方なんだから』 花苅さんは立ち上がると私の前に座りこんだ。
2009-02-21 18:49:00 -
19:
名無しさん
『重たい話を聞いてくれてありがとうね。 本当申し訳ないよ』 花苅さんが頭を下げた。 『頭あげて下さい!』 私の一声で花苅さんはもう一度深く頭を下げて頭をあげた。 『君は今いく場所はあるのかい?』 花苅さんが私の顔を見る。『行く場所…』 『お付き合いしている方がいるとか、やるべき事があるとか、そういうのは?』 私はしっかりと花苅さんを見た。 『どちらも無いです』 花苅さんは考えこんで私の前へと小さな紙を差し出した。 『どうだろうか?僕等の下で一緒に働かないかい?不安ならば藍子ちゃんから聞いただろうが一週間だけでもいいんだよ。 君を1人のままにさせておくのもどうも不安でね』 花苅さんは立ち上がった。『僕に出来る事はこれだけなんだよ。後は千尋君にお任せしようかな…』 そういって部屋から出て行ってしまった。
2009-02-21 18:57:00 -
20:
名無しさん
襖をあけると千尋さんが膝をついて座っていた。 『任せて大丈夫?』 『あぁ』 『宜しくね…』 花苅さんは少しふらつきながら違う部屋へと移動していった。 『あのおっさんいらん事まで喋りよってからに…』 ぶちぶちと文句を言いながら私の前に座る。 『大体の話わかったやろ?どないする?すぐに決めれるもんとちゃうかもしれんけど…』 思ったよりも優しい声で喋りかけてくれた。 『……』 『今日で決めれんかったら明日明後日でもいけるで』今の私にはほんの少し時間が足りなかった。 『また来てもいいですか』小さい声できくと千尋さんは勢いよく立ち上がり 『当たり前やろ!』とにっこり笑った。 『藍子は?』 『あのアホは寝てるわ』 頭をかきながら猫を見ている。 『藍子はどこで知り合ったんですか?』 『俺はよー知らん。店長が急に連れてきよったから』『そーなんですか…』 私が下をむくと千尋さんはあたあたとしながら 『また聞けばええやろ!』と大きな声をだした。 そのまま私は一度家へ帰される事になった。
2009-02-21 19:06:00