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‐裏稼業‐

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  • 1:

    名無しさん

    『バイトせーへん?』   藍子からのメール。     そーいえば最近バイトしだしたとか言ってたような。 『どんなバイト?』    私もバイト探しをしている最中で仲の良い藍子となら楽しくできるんじゃないかと一瞬頭をよぎる。それも仕事内容によるけれど。              『何でも屋的なやつ♪』             すぐに返事は返ってきた。何でも屋?       そんな物が本当にあるんだろうか。        普通の求人雑誌では見た事も無いけれど、藍子はどこでそんな仕事を探してきたんだろう。                   『1週間体験でやってみーへん?皆優しいし』   藍子からもう一通のメールが届いた。        『怪しい仕事じゃない?』少し心配になって返事を返してみた。       『大丈夫やで!』    体験が出来るならそれで仕事内容がわかるはず。  詳しい事は行ってみないとわからない。                  『やってみよかな』   私は藍子にメールを返信した。これが私の人生を大きく揺るがす事になるなんて考えてもみなかった。

    2009-02-21 12:15:00
  • 31:

    名無しさん

    『これ位なら俺一人で手が回るが。どーする?』  咲惠さんは飛鳥さんの顔を見て微笑んだ。     『私もいます』     『そうか』       飛鳥さんは頷いて花苅さんの布団をかけなおした。             『千尋…』       『はいッ!』      茫然と座り込んでいた千尋さんは急な呼び掛けで、勢いよく立ち上がった。  『悪かった。』     飛鳥さんは千尋さんの顔を見る事無く謝る。    『いや…ッ』      『反省している』    どうやら悪い人では無いらしく、静かに謝った。               『俺が…あんなんやから』千尋さんの腕はカタカタと震えていた。      『もーいい』      飛鳥さんは立ち上がった。『上へあがりなさい』  『はい…』       千尋さんは俯いたまま飛鳥さんにお辞儀をして部屋から出て行ってしまった。

    2009-02-23 20:45:00
  • 32:

    名無しさん

    『咲惠灰皿を』     『はい』        咲惠さんと目があった。 私に向かって微笑むと台所の方から灰皿を持ってきた『ありがとう』     『ええ』        何だか静かな人で、礼儀正しそうな人だった。               『挨拶が遅れたな』   飛鳥さんは私の方へと向きを変えると煙草を消した。『紺之の主治医をやっている。佐野飛鳥だ』    軽くお辞儀をした。   『私は東條咲惠です』  咲惠さんも優しく微笑みながら頭を下げた。                『山吹七緒です!』   深々と頭を下げると咲惠さんが肩を支えてくれた。 『普通にして下さい?』 にこにことした顔に安心感をおぼえてしまう。どこからか良い匂いのする咲惠さんは本当に綺麗な人だった

    2009-02-23 20:56:00
  • 33:

    名無しさん

    『いやぁ悪いね。また君を呼んでしまったようで…』飛鳥さんの後ろから静かに声が聞こえた。     『目が覚めたか』    花苅さんは深くため息をつきながら重たい身体を持ち上げて座り込む。    『寝てないか』     飛鳥さんの言葉を無視して真っ直ぐ縁側の方を見ている。          『千尋君は悪くないからね。どうか優しく接してやってはくれないかなぁ?』 『…………』      重たい空気が流れる。              『俺もそーしたいが。何故だかあいつにはすぐ腹を立ててしまうんだよ。後々反省する事はわかってるんだが…。どうもな』    飛鳥さんは花苅さんの隣に座り込んでポケットから煙草を取り出して火をつけた

    2009-02-23 21:32:00
  • 34:

    名無しさん

    『未だに僕に懐いてはくれないけど大切な家族なもんでね。飛鳥君の言う事もわからなくは無いんだけど』『あぁ』        花苅さんにとって千尋さんはやっぱり大切な人のようだった。                    『嫉妬ですよ』     咲惠さんが花苅さんの背中にそっと毛布をかけた。 『え?』        花苅さんは毛布を受け取りながら咲惠さんを見る。 『飛鳥は花苅さんのお気に入りの千尋君に嫉妬してるだけですよ。ね?飛鳥』 『ほっとけ///』    飛鳥さんは耳を赤くして、何事も無かったかの様な平然とした顔をしている。             『あー…』       花苅さんは横目で飛鳥さんも見るとにやりと笑った。『飛鳥君は昔から僕が大好きだものねぇー』    『黙れ』        飛鳥さんは立ち上がり足で花苅さんを倒した。   『今から布団を敷く間黙って寝てろ。自意識過剰が』花苅さんと咲惠さんはクスクスと笑っている。               『素直じゃないねぇ』  飛鳥さんが投げた枕が見事に花苅さんにヒットした。『痛いよー』      『黙ってと言ったが?』 無表情で煙草をふかす。 『…はい』       花苅さんも飛鳥さんとは逆の方向を向いて静かに布団をかぶりなおした。

    2009-02-23 21:53:00
  • 35:

    名無しさん

    『そういえば藍子ちゃんはどーしたのかな?』   ポツリと声を出した。  『藍子は隣の部屋です!』今まで話に入れる雰囲気じゃなかった私もやっと声を出す事ができた。                『寝てるの?』     『はい!』       花苅さんは頭をかいている『悪く事しちゃったね。千尋君に頼んで上へ運んでもらうとしようか』    『俺が運ぼう』     布団を敷き終わった飛鳥さんが煙草を消して、腕まくりをしている。                 『えー大丈夫?そんな細い身体じゃ壊れるよ?笑』 花苅さんが鼻で笑う。  『お前がでかいだけじゃないのか?それに俺はお前より健康的だからな』               ここで初めて咲惠さんがため息をついた。     『いいから早くして?』 『ん?あぁ』      飛鳥さんの方が身分的に上なのかと思ったけれど、そんな事も無いらしい。

    2009-02-23 22:04:00
  • 36:

    名無しさん

    おもしろいです?
    更新頑張ってください!

    2009-02-23 22:12:00
  • 37:

    名無しさん


    37さん
    ありがとうございます?

    2009-02-24 00:56:00
  • 38:

    名無しさん

    『……ッ』       飛鳥さんは藍子を持ち上げると立ち上がった。   『こいつの部屋は?』  『私が行きます!』   『頼む』        私は昼間藍子に案内された通りに藍子の部屋へと飛鳥さんを誘導した。                『頑張るねぇ飛鳥君』  『紺之の前だからね』  『怒ってるでしょ?』  『別に?』       『素直じゃないねぇ』  『………』       下ではそんな会話が繰り返されていた。

    2009-02-24 01:03:00
  • 39:

    名無しさん

    『入って下さい』    『あぁ』        部屋へと入り藍子の布団をめくる。飛鳥さんがゆっくりと藍子を下ろした。  『はぁ…』       飛鳥さんは立ち上がって腰に拳を当てている。   『ありがとうございます』『あぁ』        飛鳥さんは藍子に布団をかぶせると先に部屋から出て行ってしまった。                下へ降りると咲惠さんと花苅さんの間に微妙な空気が流れていた。      『何を言ったんだ?』  飛鳥さんが微妙な空気に気付いて花苅さんを睨み付ける。          『素直じゃないよねって話をしてただけだよ』   咲惠さんはさっきの優しそうな顔から無表情に変わっていた。                    『咲惠を怒らせるなよ』 飛鳥さんはため息をついて煙草をとりだした。   『3本目だよ?』    『ん?』        『煙草』        花苅さんが煙草を指さす。『俺は健康だからな』  『言い訳だね』     飛鳥さんは立ち上がって花苅さんを足蹴にする。  『暴力はんたーぃ!』  『黙れッ』                   『アハハ』        私はつい笑ってしまった。一人暮らしで、最近はバイトもやめたばかりで人と接する機会が減っていて尚更楽しく感じた。     『すいません///』   私が下を向くと花苅さんは笑いだした。      『気にしないでよ』   『兄弟みたいに仲が良いでしょ?本当うるさくて…』咲惠さんも微笑んでいる。            本当に仲が良いらしい。

    2009-02-24 01:20:00
  • 40:

    名無しさん

    『ったく…』      飛鳥さんが煙草を床に放り投げて座り込む。    『咲惠茶をくれ』    『はい』        咲惠さんが台所へと向かって行った。       『君はどーするんだ?』 飛鳥さんが肩膝を立てながら私の顔を見る。     (何だか違和感が…)   『私ですか?』     一瞬何か頭を過ったけれどすぐに消えてしまった。 『私はもう帰ります』  時計を見ると深夜一時を回ってしまっていた。               『だめだよ』      花苅さんが横になって私に声をかけてきた。    『?』         『危ないじゃない』   目を丸くしてこちらを見ている。         『大丈夫ですよ?』   少し笑うと花苅さんが真剣な顔をして布団から身体を起こした。                   『今まで変な人に襲われた事は?』        私を見る事は無く首を下へ向けて目を瞑っている。 飛鳥さんはさっきと同じ体制で煙草を吸っている。 『あります…けど』   一瞬花苅さんの指が動く。『ストーカーには?』  『無いことも無いです…』確かに私は一人暮らしのせいで、何度か怖い思いをした事がある。      危ない事もわかってはいるし若干心細いけれど、迷惑はかけられない。

    2009-02-24 18:45:00
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