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‐裏稼業‐

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  • 1:

    名無しさん

    『バイトせーへん?』   藍子からのメール。     そーいえば最近バイトしだしたとか言ってたような。 『どんなバイト?』    私もバイト探しをしている最中で仲の良い藍子となら楽しくできるんじゃないかと一瞬頭をよぎる。それも仕事内容によるけれど。              『何でも屋的なやつ♪』             すぐに返事は返ってきた。何でも屋?       そんな物が本当にあるんだろうか。        普通の求人雑誌では見た事も無いけれど、藍子はどこでそんな仕事を探してきたんだろう。                   『1週間体験でやってみーへん?皆優しいし』   藍子からもう一通のメールが届いた。        『怪しい仕事じゃない?』少し心配になって返事を返してみた。       『大丈夫やで!』    体験が出来るならそれで仕事内容がわかるはず。  詳しい事は行ってみないとわからない。                  『やってみよかな』   私は藍子にメールを返信した。これが私の人生を大きく揺るがす事になるなんて考えてもみなかった。

    2009-02-21 12:15:00
  • 35:

    名無しさん

    『そういえば藍子ちゃんはどーしたのかな?』   ポツリと声を出した。  『藍子は隣の部屋です!』今まで話に入れる雰囲気じゃなかった私もやっと声を出す事ができた。                『寝てるの?』     『はい!』       花苅さんは頭をかいている『悪く事しちゃったね。千尋君に頼んで上へ運んでもらうとしようか』    『俺が運ぼう』     布団を敷き終わった飛鳥さんが煙草を消して、腕まくりをしている。                 『えー大丈夫?そんな細い身体じゃ壊れるよ?笑』 花苅さんが鼻で笑う。  『お前がでかいだけじゃないのか?それに俺はお前より健康的だからな』               ここで初めて咲惠さんがため息をついた。     『いいから早くして?』 『ん?あぁ』      飛鳥さんの方が身分的に上なのかと思ったけれど、そんな事も無いらしい。

    2009-02-23 22:04:00
  • 36:

    名無しさん

    おもしろいです?
    更新頑張ってください!

    2009-02-23 22:12:00
  • 37:

    名無しさん


    37さん
    ありがとうございます?

    2009-02-24 00:56:00
  • 38:

    名無しさん

    『……ッ』       飛鳥さんは藍子を持ち上げると立ち上がった。   『こいつの部屋は?』  『私が行きます!』   『頼む』        私は昼間藍子に案内された通りに藍子の部屋へと飛鳥さんを誘導した。                『頑張るねぇ飛鳥君』  『紺之の前だからね』  『怒ってるでしょ?』  『別に?』       『素直じゃないねぇ』  『………』       下ではそんな会話が繰り返されていた。

    2009-02-24 01:03:00
  • 39:

    名無しさん

    『入って下さい』    『あぁ』        部屋へと入り藍子の布団をめくる。飛鳥さんがゆっくりと藍子を下ろした。  『はぁ…』       飛鳥さんは立ち上がって腰に拳を当てている。   『ありがとうございます』『あぁ』        飛鳥さんは藍子に布団をかぶせると先に部屋から出て行ってしまった。                下へ降りると咲惠さんと花苅さんの間に微妙な空気が流れていた。      『何を言ったんだ?』  飛鳥さんが微妙な空気に気付いて花苅さんを睨み付ける。          『素直じゃないよねって話をしてただけだよ』   咲惠さんはさっきの優しそうな顔から無表情に変わっていた。                    『咲惠を怒らせるなよ』 飛鳥さんはため息をついて煙草をとりだした。   『3本目だよ?』    『ん?』        『煙草』        花苅さんが煙草を指さす。『俺は健康だからな』  『言い訳だね』     飛鳥さんは立ち上がって花苅さんを足蹴にする。  『暴力はんたーぃ!』  『黙れッ』                   『アハハ』        私はつい笑ってしまった。一人暮らしで、最近はバイトもやめたばかりで人と接する機会が減っていて尚更楽しく感じた。     『すいません///』   私が下を向くと花苅さんは笑いだした。      『気にしないでよ』   『兄弟みたいに仲が良いでしょ?本当うるさくて…』咲惠さんも微笑んでいる。            本当に仲が良いらしい。

    2009-02-24 01:20:00
  • 40:

    名無しさん

    『ったく…』      飛鳥さんが煙草を床に放り投げて座り込む。    『咲惠茶をくれ』    『はい』        咲惠さんが台所へと向かって行った。       『君はどーするんだ?』 飛鳥さんが肩膝を立てながら私の顔を見る。     (何だか違和感が…)   『私ですか?』     一瞬何か頭を過ったけれどすぐに消えてしまった。 『私はもう帰ります』  時計を見ると深夜一時を回ってしまっていた。               『だめだよ』      花苅さんが横になって私に声をかけてきた。    『?』         『危ないじゃない』   目を丸くしてこちらを見ている。         『大丈夫ですよ?』   少し笑うと花苅さんが真剣な顔をして布団から身体を起こした。                   『今まで変な人に襲われた事は?』        私を見る事は無く首を下へ向けて目を瞑っている。 飛鳥さんはさっきと同じ体制で煙草を吸っている。 『あります…けど』   一瞬花苅さんの指が動く。『ストーカーには?』  『無いことも無いです…』確かに私は一人暮らしのせいで、何度か怖い思いをした事がある。      危ない事もわかってはいるし若干心細いけれど、迷惑はかけられない。

    2009-02-24 18:45:00
  • 41:

    名無しさん

    『やっぱだめだよ』   体調が戻ってきたのか、顔には血の気が巡っている。『え?』        『危なすぎ。ね飛鳥君』 『………』       飛鳥さんは黙って頷く。 『今晩は泊まっていきな』花苅さんが優しく微笑む。『でも…ッ』      『僕達が迷惑をかけてしまったんだからこれくらいはしないとじゃない?』  頭を押さえてゆっくりと立ち上がる。                   『痛いか?』      飛鳥さんが座った状態で花苅さんを見上げる。   『ほんの少しね』    目を瞑って息をととのえると、トイレに行くと行って部屋が出て行った。               部屋の中には飛鳥さんと私の二人だけ。      物静かな飛鳥さんとは会話になるはずもなく静かな時間が流れる。      ほんの数分のはずなのに長く感じるのは何故だろう。奥の部屋からは咲惠さんがお茶を入れているのか、陶器がぶつかる音がする。

    2009-02-24 18:54:00
  • 42:

    名無しさん

    『あぁ…』       飛鳥さんは煙草を消すと掌で目を押さえた。    『……!?』      急に声を出されたものでこちらも驚いた。     『大丈夫?』      ゆっくりと現れたのはお茶を入れに行っていた咲惠さんだった。私の心も落ち着きを取り戻していく。              『痛いな…』      『外しなよ』      飛鳥さんがつぶやくと、襖の柱に身体を寄せている花苅さんが声をかけた。  『見えなくなる』    『夜だから良いじゃない』どうやら飛鳥さんは目が悪いらしく、コンタクトをつけているらしい。       『見えないのは中々辛いもんなんだがな…』    ため息を一つ洩らすと飛鳥さんはテーブルの前へと移動して、持ってきた鞄の中からコンタクト用の入れ物を取り出した。

    2009-02-24 19:01:00
  • 43:

    名無しさん

    咲惠さんがゆっくりと飛鳥さんの前に湯呑みを置く。『悪いな』       『無茶は身体に毒です』 静かに飛鳥さんの背中をさすると、お盆を持って花苅さんの前へ移動した。  『悪いね』       花苅さんは湯気の出る湯呑みを受け取ると、そーっとお茶を飲んだ。     『あなたも…』     咲惠さんは微笑んで私の前へと座り込んだ。    『あ…ッ!すいません!』私が頭を下げると肩を撫でてくれた。       『春とは言えど夜は冷えますからね。薄着の様だし藍ちゃんから服を借りてきましょうか』       咲惠さんの微笑みには女の私もさすがにやられる。 『すいません///』   きっと私の顔は真っ赤な筈だ。顔が燃えるように熱い。            『さっちゃんにそんな事されたらドキドキするよねー』花苅さんがゆっくりとテーブルに湯呑みを置いて布団の上へと座り込む。   『あ…はい///』    下を俯くと咲惠さんはクスリと笑って部屋からでて行ってしまった。                 憧れてしまう程の品の良さに私は心地よさを覚えてしまったらしい。

    2009-02-24 19:11:00
  • 44:

    名無しさん

    『いって…ッ』     飛鳥さんが小声で呟いた。『大丈夫かい?』    花苅さんが飛鳥さんの肩に手を乗せる。      『今日はとくに痛む』  歯を軽く食い縛りながらゆっくりとコンタクトを外す。  『また資料と睨めっこしてたんだろ?仕事熱心だからねぇ。でもあまり勉強しすぎりとそれなりに負担も大きくなっちゃうよ?』  飛鳥さんは片方のレンズをコンタクトケースに直すと蓋を閉めた            『目が見えなくなるまでに全部記憶してやるさ』  静かに鞄から目薬を取り出して目にさす。     『可愛くないねぇ…』  花苅さんがポンポンと二回肩を叩いた。      飛鳥さんはコンタクトケースを鞄に直そうとしている。    (ん?)         『あの…』       私は自然と声を出していた

    2009-02-24 21:47:00
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