小説掲示板『あの夏を もう一度』のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

『あの夏を もう一度』

スレッド内検索:
  • 1:

    ◆/fmXna4sZY

    耳をすませば 今も聞こえてくる
    あの日の 波の音
    指の隙間から 零れ落ちる砂のように…

    いつか、消えてしまうの?

    2006-05-22 04:35:00
  • 2:

    ◆/fmXna4sZY

    「ごめん、他に好きな人が出来た…」

    三年間付き合っていた彼氏に、あっさりとそう言われた一ヵ月前。あたしは、フラれてしまった。
    『好きな人… 誰?』
    「泉の…知らない人。」 『どんな人?』

    2006-05-22 04:50:00
  • 3:

    ◆/fmXna4sZY

    「弱くて…なんか…さ、守ってやりたくなるんだ」   
    遠回しに、自分とは違う、そう言われている気がした。
    『…そっか、分かった。圭吾が決めたんなら仕方ないよ。ちゃんと大事にしてあげなよ。』
    「泉…… ほんとごめん」『今度、彼女紹介してね。圭吾のある事ない事吹き込んどくから。』
    「えっ… ちょ、それだけは勘弁してっ!」

    2006-05-22 05:12:00
  • 4:

    ◆/fmXna4sZY

    『あはは、冗談に決まってるじゃん。まぁ、紹介くらいはしてよね。付き合いが長い《友達》として。』 「なんだ…冗談かよ。ってか、まだ付き合ってないけどさ。もし、うまくいったら一番に紹介するよ」  『うん、了解。じゃあ、あたしはそろそろ行くから。あ、今までありがとね!』

    「……ぇ…な」
    『え?何?』
    「やっぱ、泉は強ぇな…。俺こそ、ありがとな。お前なら幸せになれるよ。」

    2006-05-22 05:24:00
  • 5:

    ◆/fmXna4sZY

    『…ははっ、ありがと。圭吾も今度こそ幸せになりなよ。じゃあ、また連絡して。とりあえず元気でね。』   
    バタン――― 。
    車のドアを勢い良く閉めた。三年間の終止符は、こんなにも呆気なく打たれる。ププッー クラクションを鳴らして、軽快に走りだした車。その助手席は、昨日まであたしの指定席だったはずなのに…

    あたしは、どうして笑えてるんだろう?

    2006-05-22 05:38:00
  • 6:

    ◆/fmXna4sZY

    圭吾とは、友人を通じて学生の頃に知り合い、お互いに一目惚れをした。共通の音楽の趣味もあり、「なぁ…一緒にイベントに行かない?」彼のその一言で、あたし達は始まった――  三年間の月日は、思い返せばあっという間で、彼の前で一度も涙を見せなかったあたしは《強い女》
    そうレッテルを貼られ、こうして幕を閉ざれる‥     
    『…なぁーにが、幸せになれるよ。あたしの三年間を返せっつーの。はぁ…』

    もうすぐまた【夏】がやってくる。一枚一枚服が薄くなる度に、ムキだしになりそうで嫌なこの季節――…

    2006-05-22 12:13:00
  • 7:

    ◆/fmXna4sZY

    今日で、あれから一ヵ月が経つ。意外と早くに立ち直れたあたしは、やっぱり 《強い女》…なのかな。    
    カンカンカン―― マンションの階段をゆっくりと登る。 ‥と、駐車場に目についた一台の車。『…また、かぁ……』状況を察して、ノブを回す前に、廊下を引き戻しかけた。
    カチャ――「…いづみ?どうしたのよ?何処行くの?」『あ、ただいま…』
    開いたドアからは、やっぱりタバコの匂い。うちは、禁煙なのに――…   
    「入りなさいよ。あんたの好きな【ra・mand】のケーキ持ってきてくださってるのよぉ。」

    2006-05-22 12:26:00
  • 8:

    ◆/fmXna4sZY

    『……いいよ』
    「へんな子ね。なに遠慮してるの?あんたの家なのに。」
    『…あたしの家じゃないよ。ママと、お金出してくれてるあの人の家でしょ。』「…ちょ、いづみ!」     
    カンカンカン――― ママとパパが離婚してから、約3年が経つ。仲が良くて有名だったうちの家族は、パパが背負った借金が原因で‥ ぐちゃぐちゃになった。 
    3年前、全てが信じれなくなっていた頃、圭吾に出会ってあたしは救われたんだ

    2006-05-22 12:40:00
  • 9:

    ◆/fmXna4sZY

    パパと離婚して、半年前、年下の彼氏が出来たママは、当時よりだいぶ若返った。パパと離婚した当時は、本当に、一気に老け込んでしまった気がしてたから‥

    ママの新しい恋人は、家に来る度にいつも、あたしのお気に入りの駅前のケーキ屋さんでケーキを買ってきてくれる。 

    でも、そんなもん 欲しくない。

    2006-05-22 12:49:00
  • 10:

    ◆/fmXna4sZY

    から… お金が欲しい。 お金があったら、家を出れるのに。あたしが、あの場所にいなくてすむのに。

    風俗でも、いこうかな…  
     
    「…あっ、泉ちゃぁ〜ん。こっちこっち!何してんの?こっちおいでよ〜!」 『あれ?伊織…』

    2006-05-22 12:57:00
  • 11:

    ◆/fmXna4sZY

    「あはっ、久々じゃん〜。こんなとこでなぁにしてんの!?」『いや…それは、こっちのセリフ。あんたこっち戻ってきてたの?』 「ん…一週間前にねっ。」  
    【伊織】は、学生の頃、同じサークルだった男友達。天真爛漫な性格で、男が苦手だったあたしでも、自然と仲良くなれた。だけど、大学を卒業する間際で、急に引っ越していった。居場所も分からない。連絡も取れないまま、約二年。
    こんなトコでまた再会するなんて…      

    『あんた…一体何処にいたの?急にいなくなってみんなすっごく心配してたよ』

    2006-05-22 13:08:00
  • 12:

    ◆/fmXna4sZY

    本当に、あたしも圭吾も、心配してたのに…   
    「あはっ、ごめんなぁ。ちょっと家の事情で一人フラリ旅ぃ〜みたぃな。」
    『は…?フラリ旅?』  「っつーのは、冗談でぇ。…笑 女のケツ追っ掛けてた。で、フラれてシッポまいて帰ってきたってわけ。俺ってカッコ悪りぃ〜。」  
    ・・・なんだそりゃ。女?そんな話、全く知らなかったし…。
    「そういや泉、お前、圭吾とはうまくいってんのっ?アイツ元気〜?」

    2006-05-22 13:24:00
  • 13:

    ◆/fmXna4sZY

    『…圭吾とは…別れたよ』「へっ? ……マジで?言ってんの?いつ?」
    『一ヵ月前。他に好きな子が出来たんだってさ。』 「マジか…よ、アイツ…」『ははっ、もう立ち直ってるから大丈夫!今も、普通に友達だしね。番号変わってないから圭吾に連絡してあげてよ。伊織の事、だいぶ心配してたから』
    「……おう。あ、泉の番号も教えてよ。俺、携帯変わってるから。」
    『アンタ…もうブッチとかしないでよね?それなら、いいよ。教えても。』
    「ははっ、大丈夫ぅ〜。もう、ずっとこっちにいるつもりだから。泉ちゃんっ、これからもよろしくね♪」

    2006-05-22 13:38:00
  • 14:

    ◆/fmXna4sZY

    『調子いいやつっ……』      

    圭吾、良かったね?伊織、戻って来てたよ。アンタが自分を責めてきた日々が、やっと報われるね――…  

    2006-05-22 13:44:00
  • 15:

    ◆/fmXna4sZY

    伊織と別れて、あたしは一人、海に来ていた。まだ、季節は5月… 夏が近づいてるといっても、海に人は少ない。
    ザザン… だけど、この時期の海を見るのが一番落ち着く。もうすぐやってくる季節を目前に、それを待つように波は優しく、行ったり来たりする。

    だけど今日は、潮の香りになんだか切なくなった…

    2006-05-22 13:54:00
  • 16:

    ◆/fmXna4sZY

    あたしの目に映る、一人の人影。太陽の光が反射して…… 良く、見えない。   
    「あれ…?何?サーフィン?ヤバイ!超カッコイイ」「ほんとだぁ… あ、立った!すごいっ!ひゃ〜ぁ…寒くないのかなぁ。」    

    キラキラ眩しい光の中、海の中で風をきる君に、目を奪われてしまった―― 

    2006-05-22 14:17:00
  • 17:

    ◆/fmXna4sZY

    「あ……れ?ねぇねぇ横にいた女の人がいないよぉ」「あ、海……!!」

    体が、勝手に動いてた。気付けば、走って堤防を駆け降りあたしは靴を脱ぎ捨て海に入ってた。バシャッ―…   
    どんどん遠くに向かって、歩いていく。服が重たくなって、自然とペースが落ちる。だけど、何故だろう…足が止まらない――

    2006-05-22 14:30:00
  • 18:

    ◆/fmXna4sZY

    バシャバシャッ―… もう少し…もう少しで……バシャ… 
    「ひゃ・・・あの人、何やってんの?ぶつかるんじゃ…」「あっ…ヤバイ!!」   

    ザパーン――――ッ ………

    2006-05-22 14:39:00
  • 19:

    ◆/fmXna4sZY

    「…ッップハァ…!死にてーのか…ッバカヤローっ!!」

    え―――… 思わず、目を掠めてしまった。海水で濡れた髪の毛を掻き上げながら叫ぶ、君の顔を見た。 『あ…ごめん…なさい』 「………」

    足がすくんで、動けなかった。自分のした行動に、急に恐怖が湧いてくる…

    2006-05-22 14:52:00
  • 20:

    ◆/fmXna4sZY

    足がガクガクする… 震えが止まらない……    
    「…ケガは?」 
    『え…』
    「ケガはねぇの?」
    『あ、大丈夫… っ…』 「何?ケガしてんの?」 裸足で歩いてきたから、石で足を切ったみたい‥‥

    2006-05-22 14:58:00
  • 21:

    ◆/fmXna4sZY

    「……ほら、掴まれ。」 『え…あ、いーですっ。本当に』「…ったく。ほら」『えっ……!!』       
    信じられない・・・ 『ちょっ本当に、離して…!!大丈夫だから!』

    「また、死にてーの?」

    2006-05-22 15:11:00
  • 22:

    ◆/fmXna4sZY

    『……』
    足が痛くて… 恐怖で、動けない… 
    黙り込むあたしを背負ってそのまま歩き始めた。あたし、何してんだろ…   「ボード引っ張るから、落ちないよーにちゃんと掴まってて」『うん…』       
     
    初めて触れた体からは、海の香りがしたんだ――…

    2006-05-22 15:20:00
  • 23:

    ◆/fmXna4sZY

    「で、なんであんなトコにいたの?…俺がいるの見えなかった?」
    『見えてた…』
    浜辺について、サーフボードに座り込む彼に、濡れた服を絞りながら答える。 「じゃ…なんで?」   溜め息混じりに、また質問を繰り返される。
    『体が勝手に…動いてた』    
    だって、本当の事だから。

    2006-05-22 15:26:00
  • 24:

    ◆/fmXna4sZY

    「…名前は?」『え…?』「アンタの名前。俺は、 瀬名 柊二。」
    『あ… あたしは… 泉』 「泉は、海が好きなん?」『好き…海は、落ち着くから。いつも全てを、忘れさせてくれる』
    気付けば、太陽は夕日に変わり、夕日は、地平線の向こうで広い海に沈みかけていた。深い紅が、深い青に溶け込んでいく…

    なんて情緒溢れるんだろう

    2006-05-22 15:40:00
  • 25:

    ◆/fmXna4sZY

    「あんま、危ねー事すんなよ。命は粗末にするもんじゃないからな。」
    『…そうだね。』
    「あ、夕日…沈んだ。日暮れると冷えてくるから、気付けて帰れよ。こっから家近いの?」
    『ん…近いよ。じゃあ、今日は本当にごめんなさい。じゃあ、また』
    あたしは立ち上がり、堤防に向かって歩き始めた。

    2006-05-22 15:49:00
  • 26:

    ◆/fmXna4sZY

    「いづみ!夏が終わるまでは俺、毎日ここにいんだ。忘れたい事あんなら、顔出しに来いよ」
    後ろを振り返ると、柊二が笑顔でそう言った。
    『ありがと…また来るね』   

    柊二、聞こえる?この日の【言葉】の重みが、あたし今になって分かるんだ…

    2006-05-22 15:58:00
  • 27:

    名無しさん

    2006-05-22 15:59:00
  • 28:

    名無しさん

    2006-05-22 16:00:00
  • 29:

    名無しさん

    2006-05-22 21:29:00
  • 30:

    美雨

    おもしろくなりそぉ??続き期待してます?

    2006-05-22 22:56:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
『あの夏を もう一度』を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。