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JOKERTRAP
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1:
A
届かない愛
けれど逃げ切れない。2009-05-14 17:32:00 -
11:
A
『そっか・・今日土曜日だっけ』
電車に揺られながらぼんやり考えていた。
相変わらずシンゴに合鍵は預けてあるし、家に帰ればいつものように居座ってTVでも見ているのだろう。
形は別れてしまっているけれど、週末となればやっている事はこれまでとまったく変わらない。2009-05-14 21:46:00 -
12:
A
帰り道スーパーで食材を買い込む。時々同い年くらいの夫婦が仲よさげに買い物カートを押しているのを見るとなんだかやり切れない気持ちになる。
『あんなことが無ければ、私達も今頃あぁしていたのかな』なんて思ったりもする。
けれど過ぎてしまったこと、何度も話し合って出した結果だから今更ヨリなんて戻せるわけがない。
今は特定の相手もお互いにいないからダラダラとしてしまっているけれど気持ち自体はとっくに離れてしまっているのだから。2009-05-14 21:53:00 -
13:
A
「ただいま。」玄関を入るとやっぱりシンゴはいた。
「ゆーちゃんおかえりぃ〜おなかすいたぁ〜」シンゴは甘い声を出しながら私の元へ寄ってくる。
シンゴは本当に寂しがり屋で、甘え上手だ。始めは年上だしクールにしていたけれど、そんな化けの皮はすぐにはがれた。
今となってはどちらが年上なのか分からない。2009-05-14 21:56:00 -
14:
A
「わかったからご飯作るから。それよりアンタ今日仕事なかったの?」シンゴの手を払い除けてキッチンに荷物を下ろした。
シンゴはすぐ私に触れたがる。いや、私でなくても女なら誰でも触れたいタチの人間だ。
触れることによって『自分は一人じゃないんだ』と思えるらしい。まるで子供だ。
「最近暇やねんもーん。休みやから早めに来たのにゆーちゃん家おらんしぃ。」甘えた声を出しながら私の背中に張り付いてくる。2009-05-14 21:59:00 -
15:
A
「あっそ。邪魔やからTVでも見とき。」くっついてくるシンゴを押し退けて食事の支度を始める。
「相変わらず冷たいな。まぁいいや。」少し拗ねたような言い方をしてシンゴは部屋に入って行った。
私だって嫌いで別れたわけじゃない。シンゴは『もう家族同然やん』なんて言うけれど、私は家族としてではなく、ずっと1人の男として見てきたから、そう簡単に気持ちの全ては冷めない。2009-05-14 22:11:00 -
16:
A
悔しいけれどシンゴにとって今の私は都合のいい女だ。心は許しているものの、恋愛感情なんてアイツはとっくになくなっている。
けれど私は触れらるたりすると気持ちが揺らいでしまう。
だから何のためらいもなく触れてくるシンゴに時折無性に腹が立つ。2009-05-14 22:18:00 -
17:
A
私も本質的には寂しがり屋で恋愛体質だから、いざシンゴと接点がなくなれば、それはそれで寂しくなることは自覚していた。
だから家にあげる。
ある意味お互い様とも言える。
2009-05-14 22:23:00 -
18:
A
「シンゴーもうすぐ出来るから、テーブル片付けて用意して。」
私達の昔からのルールのひとつ。食事の支度と後片付けは手伝う。
シンゴは家事を手伝うことを嫌がらない。むしろ自ら進んでやってくれる。
ウンウンと頷いて部屋から出てきてはささっと食事の支度を始めた。2009-05-14 22:29:00 -
19:
A
「んー。ゆーちゃんのご飯はやっぱりうまいー。」
満足気な顔をしながら出された物をパクパク平らげていく。
やっぱり自分の作った物を美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。
シンゴとの生活におけるスタイルは本当に絶妙に合っている。2009-05-14 22:38:00 -
20:
A
シンゴは食事を終えると、てきぱきと食器を片付け始めた。いつもの見慣れた光景。
「なぁシンゴ。アンタ彼女とかそれっぽい子おらんの?」
買って来たファッション誌に目を通しながら何気なしに聞いた。
「彼女〜?100人ぐらいおるわぁ。」2009-05-15 01:31:00