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八重歯のきみ
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1:
マリ
夜中にこっそり食べてたチョコレートみたいにきみの声をこっそり聞いた。
聞き上手なきみ。あいにく相づちの言葉しか入ってなくて。
でもそんな短い言葉が暖かくて懐かしくて涙がでたよ。2009-11-30 20:59:00 -
24:
まり
たかひろに興味を持ったのもひろこさんがずっと好きだった相手だからってゆうくだらない理由だったのかもしれない。
2009-12-03 21:19:00 -
25:
まり
その日の夜、ようことゆかりと3人で久しぶりに駅に出た。当時流行ってたお揃いのパレオで派手なメイクしてナンパ待ちなんかしてませんよって顔しながら行き交う男の子達を観察してた。
『今日不作やなぁ〜。』ゆかりがパレオの結び目を直しながらぼやく。『ほんまやなぁ。知ってる奴ばっかやしな(笑)』ようこは鳴りっぱなしの電話を見ながら化粧直しをしていた。「カラオケでも行きますか?」あたしの提案に2人とも『金なーい(笑)誰か捕まえよか(笑)』そう言いながら人目につきやすいコンビニへ向かった。
2009-12-03 21:27:00 -
26:
まり
すぐに相手は見つかった。『自分らめっさかわいいやん!!何してんのよ?こんな時間に??』『飲み物買いに来ただけ〜。』ゆかりが答える。『えぇー??何か冷たくない??ちょーどっかいこや。』『ちょっと考えるから待ってて。』そう伝え3人でコンビニに入った。飲み物の前で女3人で内緒話。『別にあれでええやん。』ようこが言う。「あたしもカラオケだけやしええけどなぁ…。」カラオケに行きたくてしょーがない私は誰でもよかった。『ぢゃあ決まりな☆』仲良く3人で外で待つヤンキーだかギャル男だかわからん男達の元へ向かった。
2009-12-03 21:59:00 -
27:
まり
『みつひこお前やるやんけ♪こんなかわいい子3人もひっかけて☆』あたし達に声をかけてきた男を小突きながら男二人はあたし達をジロジロ見てきた。『こいつみつひこ、俺りょー、んでこのでっかいのかこういちー。そっちは?』『あたしがゆかりでこっちがようこ、んでこの子がまり。どこ連れていってくれるん?』『飲みに行く?』「きゃっかー。」『花火は?』「するー♪」海と花火が大好きなあたしはカラオケの事なんか忘れて夏の夜を楽しんだ。
2009-12-04 19:01:00 -
28:
まり
「もしもし?」『ゆう?たかひろやけどわかる?』「朝電話したやん(笑)わかるよ。どうしたん?」『いやぁ〜俺今ツレ待ってるんやけどなかなかでてこんくて暇やねん。』「そうなんやぁ。」『んでゆうのこと色々知りたい思ってかけてみた。』「へぇ〜。」『俺○○住みで年は21歳やねん。ゆうもしゃべり方からして近くやろなぁ思ってな。』「○○なんやぁ。友達がいてるわー。あたしは△△の18歳やで。」『まじで??めっちゃ近いやん!!遊んだりできるやん♪俺車あるし迎えに行くで〜。』「まじ(笑)?てか車何乗ってるん?」『ボルボー♪』「ボルボかぁ。かっこいいやん☆」
2009-12-06 01:09:00 -
29:
まり
みんなすでにはしゃぎすぎて疲れていた。ようことみつひこは肩をよせあい寝ており、ゆかりとやすは番号を交換していた。こういちはと言うと車に戻り爆睡していた。あたしが戻ってきたのを見て『おかえり〜。ぼちぼち解散しよかぁ☆』ゆかりがみんなに声をかけた。
2009-12-06 01:21:00 -
30:
まり
『ようこっっ!!起きて!!みつひこも!!』2人とも目を擦りながら腰をあげた。『こーいちは?』りょうがまわりを見回す。「あぁ〜車で寝てたよ。」『そうなん?明日あいつ仕事早いからなぁ。車もどろか?』そう言いながら5人で車の元へ戻った。こーいちを起こしみんな家まで送ってもらった。「ありがとう。またみんなで遊ぼうね。」そういって男の子達を見送った。家に戻ると母親が起きていた。あたしの顔を見るなり『はぁぁ〜。そんな格好で外にでんといて。恥ずかしくてお母さん市役所で働かれへん。』「…。」無言で部屋に行こうとすると『お父さん。お父さぁーん!まりが帰ってきたから言うてやって!!』「もうええって!!寝るわ。」『お父さんお父さーん!!!!』ドスドスドス廊下から足音が聞こえた。眠たそうで不機嫌な父。『うるさいんじゃっ。お前が母親なんやからまりの教育ぐらいしろやっっ。』そばにあったペン立てを母親に投げつけた。「いたっ!!あたしだって仕事してるんやで!!あなたも子供にちゃんと言ってよ!!あなたの子供やで!!」「仕事仕事ゆうんやったらやめろや!!$%&@§※£。」「$£※§@&!!!!!!」ガシャーンパリーン
あたしは耳をふさいで部屋に戻った。2009-12-06 01:38:00 -
31:
まり
いつからやったっけ。
「お父さん」「お母さん」って呼ばなくなったん。
二人が私を見なくなったのもいつからやったっけ。
あたしが二人の理想の「あたし」をやめた時からかな。
下から聞こえる悲鳴と破壊音を聞かないように布団をすっぽりかぶって眠りについた。2009-12-07 07:48:00 -
32:
まり
朝目覚めると家には誰もいなかった。台所へ行き遠慮がちにコーヒーをたてた。穴の空いた壁にガラスの割れたドア。小さいときから見慣れた光景過ぎて涙もでとこなかった。
コーヒーを飲みながら身支度をし学校へ向かった。
2009-12-07 07:50:00 -
33:
まり
学校に着くが校門には誰もいない。当たり前か。今は午前11時。教室の窓から一際目立つ色の髪のなみが手を降っていた。靴をはきかえていると風紀指導の山本があたしをにらんでいた。『お前今何時や思ってるんや?』「…。」『聞いてるんか?』「…。」『何か言えや!!不良が!!』パシッ分厚い平手があたしの頬にとんだ。「っつっ。…で、何?」山本をにらみつけると『お前口あるんやったら喋れや!!』そう言ってあたしの髪を掴んだ。「やめろや!!先公やったら何してもえんかいや!!」山本は気がすむまであたしに制裁を与え、『授業行け。』そう言って職員室に戻っていった。気に入らなかったらすぐ手をあげる、あたし達を全否定する、あたし達を見下してる、そんな大人ばっかりで悔しくてトイレで涙が出た。簡単に化粧を直して教室に入った。
2009-12-07 08:03:00