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DEAR…
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1:
名無しさん
今思えば
その時の一瞬が
すべてだった。2010-04-10 14:26:00 -
35:
名無しさん
「ずーっとサボって下手になってる??」
優しい笑顔を向けられたのはあの帰り道以来だった。
「そんなことないし!」
「じゃぁシュート決めてみて。俺、その間にアルバムに書いていい?後で俺のにも書いて。」
――ビックリするくらい普通に喋ってたな。何も思い詰める程の事ではなかったのかもしれない。ただ12歳の私の器量で受け止められなかっただけ。未知のことを過大視しすぎていただけ。2010-04-10 16:34:00 -
36:
名無しさん
やっぱり下手になってたシュートを打っていたが、背中のゆうとくんが気になって仕方ないので隣に行って私もゆうとくんのアルバムにメッセージを残す。
「明日卒業式終わったら読んで」
書き終わったゆうとくんが真っ直ぐに私を見てアルバムを渡す。
一日早い卒業証書授与式みたいだった。2010-04-10 16:38:00 -
37:
名無しさん
「わかった。じゃあ私が書いたのも卒業式が終わってから読んでね。」
そこへ、かずきが入ってきて三人で少し遊んで、誰が言い出すでもなく自然と体育館を後にした。2010-04-10 23:32:00 -
38:
名無しさん
「ただいま!お母さん、クッキー作る!」
リビングに駆け付けると母は既にエプロン姿で道具と材料を準備してくれていた。
「おかえり。手洗ってエプロンしてね。」2010-04-10 23:35:00 -
39:
名無しさん
母は何を聞くでもなくニコニコと笑顔で手伝ってくれた。
失敗することなく綺麗に焼けた数十枚のクッキーの中から、一番綺麗な何枚かを小さな箱に入れ、用意されたリボンをかける。
「…できた。」
「全部おいしそう。頑張ったね。お父さんにもおすそ分けしてあげないと。」2010-04-10 23:41:00 -
40:
名無しさん
その日の夕食後、母と父と三人でクッキーを食べながらナゼか私のアルバムを見ていた。
「お前は、本当に小さいときからやんちゃだったな。」
ほっぺに絆創膏を貼った3歳くらいの私の写真を見ながら父が微笑む。
「この頃はお父さんのことが大好きで本当にお父さん子だったのにね。」
母が笑いながら父を見ると父は、この頃はってなんだよ〜と肩を落としておどけてみせる。2010-04-10 23:46:00 -
41:
名無しさん
「中学生になるんだね。早いわね。お父さん、あなたの大事な娘もいつか素敵な恋人を連れてきたりするんですよ。」
「えっ?!ま、まだまだ先だろ?!なっ??」
焦って私を振り返る父を可愛く思ったなあ。2010-04-10 23:52:00 -
42:
名無しさん
恋人?付き合う?そんなのわかんないけど、離れる淋しさを初めて知った。
こんな私のことで涙を流してくれたかずきの応援に応えるためにも、後悔しないようにしよう。
明日はとうとう
ゆうとくんに逢える最後の日。2010-04-10 23:55:00 -
43:
名無しさん
六年間通い慣れた道をかずきと歩く。やっぱりかずきは何も言ってこないけど、いつもの私達だった。
「春休みって短いよね。」
「だなー。まぁ宿題とかないしいいじゃん。遊んでたらすぐ入学式だな。」
「かずきは中学でバスケ部入るの?」
「んー多分。でも剣道?も興味あるから見てみる」2010-04-11 00:02:00 -
44:
名無しさん
「そっか〜。
あ、これ!!とりあえず腐れ縁は続くけど!泣いてくれたお礼!」
ぶっきらぼうに小さな袋をかずきに押し付けダッシュで逃げた。物心付いたころには既に一緒だったかずきに今更可愛くなんて無理だけど、今回の件だけでなく心底感謝してるから、ゆうとくんに作ったクッキーをおすそ分け。2010-04-11 00:20:00