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姉妹
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1:
妹
携帯が鳴った瞬間、
あぁ、とうとうあいつはやってしまったと、思った。2010-09-05 02:10:00 -
11:
妹
その時も、あたしはななちゃんのそれを見ながら、きっと自分も髪が伸びたら、お母さんは同じことをしてくれるのだろうと思っていた。だけどあたしは何故かいつまで経っても髪が長くなることはなく、むしろ男の子と間違われる程に、短いショートカットだった。美容室には姉妹揃って行っていた。だけど、注文をつけるのはお母さんで、気付けばそうなっていたんだった。
2010-09-05 03:02:00 -
12:
妹
母を擁護して言うと、別にわざとそういうことをしていたわけじゃない。あたしが小学校に上がる前に、祖父は亡くなってしまったし、あたしの髪は量が多くて太くて直毛だったから、伸ばすのに適した髪質じゃなかった。
それにあたしは、『それちょうだい』とか『こんなの嫌だ』と、ななちゃんのようには言えなかった。2010-09-05 03:09:00 -
13:
妹
そもそも、あたしはあまり口が達者な子供でなかった。というのも、ななちゃんが誰とでも、―大人でも子供でも―仲良くなってくれたから。あたしはななちゃんの妹として、自然とその輪の中に入れたし、周りも『ななちゃんの妹』として受け入れてくれた。『自分から』ということが必要ない。そういう環境だったのだ。
2010-09-05 03:12:00 -
14:
妹
あたしはいつでも、『ななちゃんの妹』だった。
そしてあたしも、それで満足していた。少なくとも、中学生になるまでは。2010-09-05 03:14:00 -
15:
妹
『ななちゃんは年々お母さんに似てくるね。』と大人たちが皆言い始めた。私にはよくわからないけど、少なくとも昔の写真でみるお母さんは子供ながらに、とても綺麗だと思った。
『ねね、これ見て!』中学生になって、セーラー服を着たななちゃんを見た時も、確かに同じことを思ったのをよく覚えている。くるっと回って、にこっと笑った。そう、よく覚えている。2010-09-05 03:20:00 -
16:
妹
多分あたしは、前にも言ったように、あまり頭が良いほうではなかった。というよりも、常にいつかは『あたしもななちゃんのようになる』ものだと思って、自分で何もしなかった。
二年後に二年前のななちゃんに追いつかなくても、いつかはななちゃんになるんだと、そういうもんなんだと思って疑わなかった。あまり頭が良い方ではなかったから。2010-09-05 03:30:00 -
17:
妹
『ねね、見て!』ななちゃんは、色んなものを、いつも妹の私に一番に見せてくれた。その時は、大量のラブレターだった。入学式の次の日に、下駄箱に入っていたそうだ。数日後には、初めての彼氏ができたと、一番にわたしに教えてくれた。確か、三年生の先輩だった。
2010-09-05 03:33:00 -
18:
妹
二年後。あたしも中学生になった。そして大人達は少し苦笑いしながら『ねねちゃんはお父さんに似てきたね』と言い始めた。
入学式の次の日には、先輩達が『ななの妹』を見学しに、教室まで来た。そして、『なんだ、全然似てねーじゃん』と舌打ちをして、帰っていった。下駄箱にラブレターは、一通も入っていなかった。2010-09-05 03:36:00 -
19:
妹
あたしは泣いた。泣いて泣いて泣きまくった。何で泣いてるのかと心配する、もはやななちゃんに“似ている”お母さんは無視した。
『なんであたしはななちゃんじゃなかったの』2010-09-05 03:48:00 -
20:
妹
どれくらい経ったのか、ベッドのシーツはぐちゃぐちゃに濡れていた。泣き疲れて瞼が重い。明日学校に行きたくなくて、というよりももう誰にも会いたくなくて、だけどそういうわけにいかないのはわかっている。ぼんやりとそんな考えを繰り返しながら、とりあえず寝返りをうった時、子供部屋の入口にななちゃんの鞄が置いてあるのが見えた。
『あぁ、今日は帰ってきたのか…』2010-09-05 03:53:00