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  • 1:

    携帯が鳴った瞬間、


    あぁ、とうとうあいつはやってしまったと、思った。

    2010-09-05 02:10:00
  • 21:

    ななちゃんは最近、家に帰ったり帰らなかったりを繰り返していた。二年前、初めて付き合った彼氏と数ヶ月後に別れたということは、まだ一番に教えてくれていた。その数日後には、また別の彼氏が出来たと言っていたけど、詳しくは教えてくれなかった。その後は『そういえば』別れたよ、『そういえば』彼氏出来たよ、の繰り返しで、多分“一番”には教えてくれなくなった。それから、もう一年後には何も教えてくれなくなって、今。あんまり、話自体をしなくなっていた。

    2010-09-05 04:00:00
  • 22:

    『あんたが何かしたんじゃないの?!』ふと気付くとお母さんのそんな声が聞こえた。『知らんて!』そして、ななちゃんの声も聞こえた。『どうせあんたの悪い友達が何か言ったに決まってる!』『友達は関係ない!』『嘘をつきなさい!』『うるさいよクソババア!』『またそんなこと言って!いつからそんな子に…』始まりは、きっとあたしへの心配だったんだろう。終わりは、いつもと一緒だけど。ななちゃんとお母さんの言い合いを聞いていると、自然と涙は止まり、気持ちも落ち着いていた。

    2010-09-05 04:07:00
  • 23:

    可愛いから、色んな人が甘やかす。人気者だから、色んな人が集まってくる。頭が良いから、何が特かをわかってくる。迷い無く嘘をつくから、善悪の分別が狂う。

    お母さんのせいじゃない。ななちゃんの可愛さが、ななちゃんをあまり良くない方向に走らせた。ななちゃんはもう、お母さんの自慢だった『いい子』じゃなくて、ちょっと有名な『不良』になってしまっていた。

    2010-09-05 04:10:00
  • 24:

    『こんな家出て言ってやる!』いつもの一言で、ばたばたと足音が部屋に戻ってきて、あたしは思わずベッドの中に潜り込んだ。がちゃん!と勢い良くドアが開く。もう、聞いているこっちも慣れたもんで、これから起こることに察しがつく。だから、半狂乱になりながら金切り声をあげるお母さんの声を背に、ななちゃんは制服に鞄だけを持って逃げるように出ていく。それだけだ。

    2010-09-05 04:16:00
  • 25:

    だけど、その日は、鞄を持ち上げる気配の後に、いつもと違う会話があった。



    『…ねね、』

    2010-09-05 04:21:00
  • 26:

    …何かあったの?


    そう、ななちゃんは、ななちゃんは。あたしにだけは、昔と変わらず優しかった。何だかんだで彼女は、たった一人の妹を、自分よりもあきらかに劣ったあたしを、気にかけてくれていた。色んな思いが、頭を過ぎって、心に込み上げて、あたしは結局、それに返事を出来なかった。

    2010-09-05 04:25:00
  • 27:

    次の日。あたしは化粧をした。初めて自分から、あたしをななちゃんにする為に、あたしを変えることにした。それは、今後『お姉ちゃんの真似をして…!』と何度も、何度も何度も言われ始める、最初の行為だった。

    2010-09-05 04:28:00
  • 28:

    歳の差分の、二年間。幼稚園から小学校。小学校から中学校。場所が変わる度にある、姉妹の少し離れる時間。姉が中学に入ってからのあまり知らなかったその二年間を、あたしは徐々に知っていくことになった。それは、『ななちゃんの妹』として。良くも悪くも、あくまでも『妹』としてだった。

    2010-09-05 04:32:00
  • 29:

    ルーズソックスを履いていくと、一つ上の先輩に睨まれた。だけど二つ上の先輩には『妹』として可愛がられたから、あたしはそれを辞めなかった。
    初めて好きになった先輩は、ななちゃんが好きだったから諦めた。その後告白されて付き合った初めての彼氏は、ななちゃんにフラれたことがある先輩だった。

    ここでも、あたしはやっぱり『ななちゃんの妹』として、受け入れられていく。

    2010-09-05 04:36:00
  • 30:

    ななちゃんと同じ空間にいる一年間、あたしは我が物顔で一年生の廊下を歩いていた。ちょっとしたいざこざがあると、あたしはななちゃんの名前を出した。するとだいたい、みんなあたしに降参した。例え一つ上の先輩でも、それは同じだった。ななちゃんの影響力はすごい。ななちゃんの妹で良かった。ななちゃんはやっぱりあたしの自慢だった。だけどそれは、小さい時とは違う。その圧倒的なななちゃんの名前の権力が、あたしの自慢だったのだ。

    2010-09-05 04:42:00
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