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僕はただ君に恋をした

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  • 1:

    大阪花子

    アユ…元気にやってますか?新しい一歩を踏み出すと決めたから、振り返らずに頑張って進みます。ただ時々恋しくなります。勝手気ままで嘘つき…僕の嫌いなモノを寄せ集めたような君の、無邪気な笑顔に癒されていたのだと今更になって実感しました。今日も笑顔で過ごしているなら…それで僕は救われます。

    2010-10-29 17:08:00
  • 19:

    大阪花子

    『アユが今度はアキちゃんの面倒みたるからね』アユはサラっとそんな事を言った。『病院潰れても無職ちゃうわ!』本当はかなり凹んでもいた。ただアユといると、凹んでる自分があほらしくなれた。アユの胸に抱き着く僕のおでこに冷たい感覚が走る。見上げるとアユは泣いていた。『なんで泣くねん?』『アキちゃんが泣きたいから』『あほか』アユは泣けない僕の代わりに泣いていた。

    2010-11-01 11:08:00
  • 20:

    大阪花子

    ―――あの時、君が泣いてくれたから僕は君に格好悪い姿を見せずに済んだ。本当はさ、怒りと悔しさと哀しさでおかしくなりそうだったんだ。―――その次の日から倒産の手続きやら病院の後始末に僕は手を取られた。そして、アユの店にも顔を出さなくなった。『ただいま〜』それから僕とアユの奇妙な二人暮らしは始まった。

    2010-11-01 11:13:00
  • 21:

    大阪花子

    僕には嫁がいた。子供も二人いた。だからアユと付き合い出して、しばらくした頃に僕は部屋を借りた。自分の秘密基地を。アユはなんとなく住み着き、僕は週の半分をそこで暮らした。嫁に不満なんてない。彼女は本当にいい奥さんだった。子供は大好きだった。だから家に帰りたくなかった。子供が僕の顔を見て泣いた。『ママ!パパ怖い!』仕事のストレスとハード過ぎる業務の中で僕の眉間には縦にシワが出来ていた。『あなた、そんな顔で帰ってきたら困るわよ』冗談だったんだろう。その日から僕は決まってクラブで時間を潰す様になった。会社から自宅に帰る間に無駄な時間が欲しかった。

    2010-11-01 11:22:00
  • 22:

    大阪花子

    何故クラブだったかというと、意外と医者連中は飲むことが好きで接待として使えるからという理由と、値段に見合うかどうか理解出来ない空間にいる事で、普段の有り難さを実感出来た。そんな話を『なんか面倒だね』と言い放ったのがアユだった。『なんか結婚しても心を和ませてからしか帰れない家とか最悪やわ〜自分の居場所が自分の家じゃないとかしんどいね』その通りだった。僕は変な同調をしないアユの言葉に笑った。

    2010-11-01 11:28:00
  • 23:

    大阪花子

    『君、面白いね。僕と付き合ってみない?』僕のその言葉にママは目を丸くして『神崎さんがそんなん言うとか明日は台風やわ』と言ったのを今でも覚えている。そして、アユの返事に更に絶句したことも。『いいよ。その代わり、離婚騒動には巻き込まんでね』綺麗な顔が子供の様な表情に変わる。アユの笑顔に子供を重ねた事は少なくない。

    2010-11-01 11:33:00
  • 24:

    大阪花子

    出会った頃のアユは昼間仕事をしていると言っていたが、その夜『あっそうだ!アキさんに言わないとね?アユね、昼間は仕事してないから』そんなことは何となく想像がついていたが『そうなんだ』と僕は返事を返した。『あと、聞きたいことあったら言って?答えるから』そう聞かれて特に聞きたい事があったわけじゃない僕は彼女になったアユに『何型?』と聞いた。

    2010-11-01 14:28:00
  • 25:

    大阪花子

    アユは大きな目をキョロリと僕に向け『撫で肩』と言った。この時は気づかないでいたがアユは時々、寒いダジャレを言っては、そんな自分に御満悦になることがあった。『そうなんだ』僕が反応に困っていると『私、A型よ』とアユは答えた。『あっ!そうなんだ』不覚にも驚いたことを今でも覚えている。血液型で人を判断することはないが判断の数ある材料の一つに用いたことはあった。立場上、たいがいの人の血液型、家族構成を当てるのは得意な方だった。僕はアユをB型だと思っていた。

    2010-11-01 14:35:00
  • 26:

    大阪花子

    天真爛漫なアユはつき合い出すと頻繁に僕の部屋にくるようになった。

    2010-11-01 17:06:00
  • 27:

    名無しさん

    『ただいま〜アキちゃん帰ったよ』合い鍵を渡すと仕事帰りは必ず酔っ払って部屋に来た。『アユちゃん、化粧とらないと!そのままだとダメなんじゃないの?』『取って〜』足の裏は決まって黒かった。『また、裸足になったの?』『だってシャンパンとか飲むもん』アユはシャンパンを飲むとご機嫌になり、送りの車の中で決まって裸足になっていた。アユの足の裏を拭くのは、いつしか僕の日課になっていた。

    2010-11-02 17:37:00
  • 28:

    名無しさん

    平日は昼前に仕事に出ていた僕はアユを起こさない様に部屋を出て仕事に行った。夕方には決まってアユから【おはよう】のメールがあり、ない日は寝坊をしているアユを電話で起こした。時間が会えば同伴もした。帰りは決まって僕が先で、アユの帰りを仕事をしながら待った。自宅に戻る日はアユからは一切連絡をしてこなかった。

    2010-11-02 17:41:00
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