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月夜はここで

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  • 1:

    無い物ねだりを繰り返して、最後に私が欲したもの…。

    月が綺麗な夜、決まって思い出すのは、私が捨てたがったもの。

    2010-11-29 02:27:00
  • 22:

    『打ち合わせ場所は…』
    ホテルの部屋番号を言われた時に、私は何故か腹をくくってしまった。
    ホテルの部屋に着くと、暗黙の了解の如くコトが始まった。
    50半ばの、その社長に抱かれながら、ひたすら自分のイラストが表紙になった事を想像した。

    2010-11-29 10:12:00
  • 23:

    コトを済ますと
    『来月のここに使う絵を頼むわ』と、雑誌と構成図を渡された。
    『わかりました』
    それからひと月余りして私のイラストが雑誌を飾った。
    本屋でそれを手に取って私は泣いた。

    2010-11-29 10:16:00
  • 24:

    『久しぶりの力作!良い作品!良い…さく…ひん…何やってんの?私…』
    自然とこぼれ落ちる涙を止めれず、待望の復帰作品を元に戻すと私は逃げる様に本屋を出た。
    すれ違う人が不思議そうに私をみた。それも、そのはず。心斎橋のど真ん中を声こそ出さないまでも号泣しているのは一目瞭然だった。

    2010-11-29 10:21:00
  • 25:

    そんな私に声をかけてくるのは、ホストかスカウト。それも無視して道頓堀の方へ向かう私の耳に留まった声。
    それがユエの歌声だった。ギターを弾きながら歌う姿を私は少し離れた場所で、吸い込まれるように魅入った。

    2010-11-29 10:25:00
  • 26:

    名無しさん

    頑張って?

    2010-11-30 03:28:00
  • 27:

    ありがとうございます?

    2010-11-30 13:50:00
  • 28:

    〜背伸びした足が疲れたなら僕の所でお休みよ?無邪気な子供、強がる仕種が愛おしくて…〜
    なんてことない歌詞だった。私は瞬きを忘れる程、ユエの姿にくぎ付けになった。まるで肩肘を張っていた自分を見透かされている様な気分だった。

    2010-11-30 16:42:00
  • 29:

    ユエが唄い終えると拍手がなった。私は拍手するのも忘れて泣いていた。
    『明日も来て下さいね』
    少し離れた所で聞いていた私にユエがそう叫んだ。
    私は驚いて何も言わず、その場を去った。

    2010-11-30 16:45:00
  • 30:

    その日は何も知らない昔の同僚らから
    【復帰おめでとう!】【さすが!良かったね〜】なんて私の復帰作を祝うメールや電話が引っ切りなしにあった。
    『ありがとう』何にもめでたくなんてなかった。

    2010-11-30 16:48:00
  • 31:

    次の日は夕方まで寝て、部屋にいても落ち着かず自転車でミナミへ向かった。自然とユエの元に急いでいた自分がいた。
    近くに自転車を停めて、昨日の場所に行くとユエが何人かの見物人と話していた。

    2010-11-30 16:51:00
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