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好きと言いたかった
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1:
まり
今朝はインターホンの鳴る音で目を覚ました。インターホンを見ると50半ばのスーツを来た男が立っていた。
『朝っぱらからセールス?』私は居留守をすることにした。
2010-12-10 14:46:00 -
51:
まり
その言葉は口をついて出ていた。
『え?藤堂さん12時までやんな?12時から1時間やったらいけると思って…マリちゃん受終12時やろ?』
この日、店長は休みでアルバイトのスタッフが店を回していた。2010-12-11 20:51:00 -
52:
まり
『わかりました』よほど連れない返事をしたのだろう心配気に藤堂さんが
『何かあった?』と聞いてきた。
『ううん。何でもないです』どうしても、次に予約があることを藤堂さんには知られたくないと思った。2010-12-11 20:56:00 -
53:
まり
『今日はありがとう。また明日来るよ。ゆっくり休んでね』藤堂さんはそう言って部屋を出た。
その後ろ姿を私は複雑な思いで見送った。
『ごめんなさい…』思わず呟いた言葉に自分でも驚いた。2010-12-11 20:59:00 -
54:
まり
部屋で客を待つ間、心臓が潰れそうなくらいドキドキした。ここに初めて来て、初めて仕事をした時よりももっと。あの時のことは、あまり覚えていない。嫌とも思わず、ただ時間が過ぎることだけを考え、知らない男に触られて感じる自分が汚らわしくて、ただ空しかった。
2010-12-11 21:06:00 -
55:
まり
不思議な事に一人こなすとふっ切れたように、仕事が出来た。一人こなすごとに頭の中の電卓が一日の給与を弾き出す。
(こんにちは。諭吉さん)2010-12-11 21:09:00 -
56:
まり
(いつも、ありがとう諭吉さん)(この人は15000円)(はい。これで5万)(また来てね。私の収入源さん)なんて、可愛いげのないことをあえて思いながら、その時間を過ごした。
『1時間…こんにちは。諭吉さんでしょうが』
そう自分に言い聞かせた。2010-12-12 00:12:00 -
57:
まり
扉を開けて、藤堂さん以外の客を一週間以上ぶりに迎え入れた。40半ばの中肉中背の男。顔は至って普通。色が白くて髭も濃くない。普段なら第一関門では良い客になるであろう男。
何故か顔が引き攣るのが分かった。2010-12-12 00:16:00 -
58:
まり
お決まりの会話を経て、シャワーに向かった。男は一人でシャワーを済ませた。極端に乾燥肌の私は、普段なら更に良い客と感じる。この日は違った。それは、後から浴びたシャワーの時間の長さで思った。シャワーを終えて時計を見て、(しまった…長かった。機嫌損ねてないかな)とさえ思う程だった。
2010-12-12 00:20:00 -
59:
まり
それでも男は何も言わずベットに私を招き入れた。男が私を抱き寄せた瞬間、身体が硬直した。
『緊張してる?』
そうじゃなかった。何も答えない私の上に覆いかぶさり身体を愛撫仕出した男の背中に私は爪を立てた。2010-12-12 00:23:00 -
60:
まり
嫌悪感が全身を駆け巡った。(気持ち悪い!止めて!止めて!)
私は目を強くつむった。感じるなんて皆無だった。早く止めて欲しくてイッタふりをした。攻守を変えてからも口に溜まるツバを気持ち悪くて飲み込めず、ただ口から垂らしながら男に奉仕し続けた。
2010-12-12 00:27:00