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好きと言いたかった
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1:
まり
今朝はインターホンの鳴る音で目を覚ました。インターホンを見ると50半ばのスーツを来た男が立っていた。
『朝っぱらからセールス?』私は居留守をすることにした。
2010-12-10 14:46:00 -
69:
まり
何となく店長の顔は見れなくて、私はスッと部屋に入った。
そして、私の希望の塊のような期待は外れた。
『こんにちは。マリちゃん』この日は悔しいけど、カッコイイと素直に思った。
2010-12-12 01:31:00 -
70:
まり
それなのに私は
『こんにちは。諭吉さん』そう言って藤堂さんを出迎えた。
『ははは』笑った藤堂さんの顔が少し淋しそうに見えたのは私の自惚れだったのか、でも、あの時確かにそう見えた。2010-12-13 01:46:00 -
71:
まり
この日も、お菓子をつまみながら他愛のない話をして、時々入る藤堂さんの仕事の電話を聞かないふりをして、やけに時計が気になってしかたなかった。
(どうかどうか…ゆっくり時間が過ぎますように)2010-12-13 01:51:00 -
72:
まり
『どうしたの?マリちゃん?!』藤堂さんの慌てた声で自分の涙に気がついた。
『おーおーどうした?…何かあった?』そう言って藤堂さんは、この日初めて私に増えた。頭をポンポンと軽く二回叩いた後に、そっと親指で涙を拭った。2010-12-13 01:54:00 -
73:
まり
訂正:初めて私に増えた→初めて私に触れた
2010-12-13 10:28:00 -
74:
まり
藤堂さんが触れた場所から、温かさが伝わる気がして私は涙が止まらなくなった。この仕事をして初めて、心底自分が汚い人間に思えた。人から何て言われても、どう思われても良かったはずなのに。私に触れた藤堂さんまでもが、汚れるきがして、私は藤堂さんの手を払った。
2010-12-13 10:34:00 -
75:
まり
『ごめん』
そう言ったのは手を払われた藤堂さんの方だった。
(違う!そうじゃない)訳が解らなかった。触れられて安心して、自分が汚れ物だと実感して、触れててほしくなくて、離した手が愛おし過ぎて
『私は風俗嬢なんです。客をいかせる事が仕事なの。からかわないで!』2010-12-13 10:40:00 -
76:
まり
『抜く気がないなら帰ってよ』睨みつけた藤堂さんの顔はまた、悲しそうだった。
『そうだよね。仕事の邪魔だね』
全てが終わった気がした。2010-12-13 10:43:00 -
77:
まり
私はベットに腰をかける藤堂さんの前に立ち、服を脱ぎはじめた。下着姿になって彼のシャツに手をかけた。その時、彼は私を抱き寄せた。(これで普通の嬢と客!)
そう思った私の耳に意外な言葉が入って来た。
『僕とお付き合いしてもらえませんか?』2010-12-13 10:46:00 -
78:
まり
私は藤堂さんを押しどけ顔を見た。
『何言ってんの?』
『本気だよ。じゃなきゃ、そう毎日会いに来ないよ。これでも一応、出来るビジネスマンなんだけど』そう言って藤堂さんはハニカミながらベットに置いてあったバスタオルを私にかけた。2010-12-13 10:49:00