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Lose Memory…
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1:
杏奈
前回、水商売の変貌を書いて杏奈です。
また小説書こうと思うのでよかったら呼んで下さい。2006-01-03 03:52:00 -
2:
杏奈
Lose memory…
お父さん、お母さん。私を産んでくれてありがとう。ひろ兄、小さい時からいつも助けてくれてたやんな。おにいは私のヒーローやった。
彩、よく喧嘩もしたけど彩のことが可愛かった。自慢の妹やったよ。
ひろ兄、彩…お父さんとお母さんを大事にしてね。2006-01-03 04:01:00 -
3:
杏奈
それから…拓也。
ごめんね。いっぱい約束したのに全部守られへんかった…。ずっと一緒におりたかったよ。
一緒にあんたと生きていきたかった。
亜希、何もしてあげられへんかったね。2006-01-03 04:09:00 -
4:
杏奈
山口亜希。私は平凡な普通の22歳の女の子やった。
私の記憶はなくなってしまう。少しずつ…確実に。忘れたくない思い出も大切なみんなの名前も顔も。
時間が私を壊していく。だから眠るのが怖かった。2006-01-03 04:14:00 -
5:
杏奈
小さい頃から病気ひとつしたことがなかった私。風邪をひくことはあっても病院とは無縁やった。
両親も仲がよくて、三つ上のお兄ちゃんひろ兄はかっこいいし強くて優しい。
私に何かあったらすぐに助けてくれてたし守ってくれた。2006-01-03 04:20:00 -
6:
杏奈
二つ年下の彩は、生意気やけどいつも私にべったりやった。
喧嘩はしょっちゅうやったけど、ほんまに仲がよくて私は彩が可愛くて仕方なかった。
そんな毎日が楽しくて私は幸せやった。2006-01-03 04:24:00 -
7:
杏奈
「亜希ちゃーん!今日って残業大丈夫?」
「大丈夫ですよ!」
今日も残業かぁ…とは思いながらも仕事が楽しかった。広告代理店で働いてた私は、フリーペーパーに掲載するお店の撮影や記事を作ったりして。
出来上がったものを見た時の達成感はめっちゃ嬉しいもんやったから。2006-01-03 04:30:00 -
8:
杏奈
「お疲れ様!もう終わったやろ?帰っていいよ!あ、明日のアポは明日ホワイトボードに書いとくから確認しといてな」
佐々木リーダーに言われた。この人はすごい。私達の課は四つのグループに別れてるけど、リーダーのグループはいつも成績がトップ。2006-01-03 04:36:00 -
9:
杏奈
なぜならば…仕事人間で妥協を許さんし面白いものを作ることに命を懸けてる人やから。
そんな熱さが初めはうっとーしくて私はダルかったけど、最悪なことに私は佐々木リーダーの担当するグループに配属された。
それが今から二年前。懐かしい…2006-01-03 04:40:00 -
10:
杏奈
でもそんなリーダーが、今はすごい尊敬する人になった。
口うるさいし文句ゆわれるし熱血さが嫌やったけど、いいものを作った時はほんまに褒めてくれた。
リーダーに褒めてもらった記事が掲載されたフリーペーパーは反響もよくて、掲載したお店も喜んでくれる。2006-01-03 04:44:00 -
11:
杏奈
仕事をするにつれて私は少しずつ変わっていった。仕事が楽しくなったし、嫌やったリーダーが好きになった。(上司として)
いいものを作って認められたいって思うようになってた。私は一に遊び、二に仕事って感じやったけど、いつからか逆転してて。2006-01-03 04:48:00 -
12:
杏奈
「今日飲みに行こーやー」「コンパあるけどこーへん?」
こんな誘いがあればほとんど行ってたのに、気付いたら断るようになってた。
残業があるから、明日仕事やから…って。でも嫌々じゃなかった。
自分の意思でそう思った。仕事が大事やって。2006-01-03 04:52:00 -
13:
杏奈
「じゃお先に失礼します。お疲れ様でした」
いつものように仕事が終わった。時計を見たら9時過ぎやった。
9時かぁ…めっちゃ中途半端やしなぁ…しゃあない。コンビニ寄って帰ろっかな。2006-01-03 04:55:00 -
14:
杏奈
そう思いながら駅に向かった。私の一人暮しするマンションは、そこから五駅のところにあった。
そしていつものように定期を入れて改札口を通った時、経験したことのない痛みが耳の上に走った。
(キーン)…痛っ!2006-01-03 04:58:00 -
15:
杏奈
痛い…なによこれ…。その場から動かれへんかった。しまいには立ちすくんでしまって座りこむぐらいになって。
「何してんねん邪魔やろ。ほんま」
その時後ろから横を通り過ぎる男がゆった。冷たい声やった。普通人がうずくまってんのにそんなんゆうか?2006-01-03 05:02:00 -
16:
杏奈
見上げて横顔を見たら、冷たい目をした男が私を横目で見てた。
黒いスーツにあごにはヒゲが生えてた。怖そうやん…私は何も言えんかった。
そうこうしてるうちに耳の痛みはなくなってた。なーんやただの頭痛かよ。最近ちょっと忙しかったからなぁ…2006-01-03 05:05:00 -
17:
杏奈
はよ帰って早く寝よう。明日も忙しいやろうし。私は地下鉄のホームへと急いで電車に乗った。
「はぁ…」
やっとおりる駅について、溜息がでた。疲れた…。なんとなくやけど、体が重く感じた。
改札を出てからはコンビニに寄ったけど、買うものを忘れてしまってた。2006-01-03 05:10:00 -
18:
杏奈
あれ?なに買うんやったっけ?シャンプーちゃうし…あっ!食器洗剤や。
なんとなくやけどこのごろ物忘れがよくある。そのせいで最近も仕事でミスをやらかしてた。
でも私は疲れのせいやと…思ってた。2006-01-03 05:12:00 -
19:
杏奈
「728円です」
レジで店員さんに言われて一万円札を渡した。
「272円のお返しになります。ありがとうございました」
はぁ…?なんで一万円札渡してんのにお釣りが272円なん?間違ってるやん。しかも間違うはずないやろ普通は。2006-01-03 05:16:00 -
20:
杏奈
「ちょー待って、何で一万渡したのにお釣りこんだけなんよ?」
「はい?」
店員は、逆にハァ?って顔で私を見た。
「だから何でお釣りがこんだけなんって聞いてんねんけど」2006-01-03 05:18:00 -
21:
杏奈
「はい?もらったのは千円札ですけど」
何ゆってるんこいつ…
「おい、はよしろや」
後ろから声がする。並んでた人の声やった。振り返って軽く頭だけ下げようと思ったけど、振り返った時、ビックリして何もゆえんかった。2006-01-03 05:21:00 -
22:
杏奈
この人…さっき駅でどけ邪魔やってゆってきた怖そうなやつやん…。
「あのー、次の方が並んでるんでレジの前あけてもらっていいですか?」
店員さんが私にだるそうに言ってきた。はぁ?だってお釣り…でも他のお客もおったし恥ずかしかった私は急いでコンビニを出た。2006-01-03 05:24:00 -
23:
杏奈
うーわ最悪や…お釣りぱくられたんちゃん…
今月あと二万しか残ってなかったのに一週間大丈夫かな?お釣りなかったってことはあと一万円しかないやん…
私は財布を取り出して中身を見た。
はぁ?なんなん…そこには一万円札が二枚あった。2006-01-03 05:27:00 -
24:
杏奈
だって…さっき…
え?じゃあ私は最初から千円札を出したってこと?でも確かに一万円…
なんか意味の分からんことがおきた。その時またあの痛みが頭の中を走った。
痛っ…また気付いたら座り込んでた。2006-01-03 05:30:00 -
25:
杏奈
痛い…よ…
「おい、大丈夫か?」
なんとなくそんな声がした。その時急に目の前が真っ暗になって何も聞こえへんようになった。2006-01-03 05:32:00 -
27:
杏奈
「うーん…」
目を覚ました時、目に映った場所は誰かの部屋?やった。って?ここはどこよ!?
やたらと広いくせに物がほとんどない。テレビとベットと音響のものぐらい。
とりあえず服はちゃんと着てた。2006-01-03 05:36:00 -
28:
杏奈
でもやっぱり怖い。知らん場所で知らん部屋で。一体どこなん?
回りを見てもカバンがないし…そーっとドアを開けた。そしたらそこは事務所みたいなとこで、誰かがデスクに座ってた。
「おー、やっと起きたんか。カバンそこあるからさっさと帰ってくれよ」2006-01-03 05:39:00 -
29:
杏奈
さっさと帰れ?なに?
「あの…ここはどこなんですか?あと何で私ここにおるんですかね?」
不思議すぎて聞いた。
「おるんですかちゃうで。急に倒れるし意味分からんし。でも息してるから救急車いらんやろーと思ってな。でもほっとくわけにもいかんから連れて帰ってきて寝かしといただけや」2006-01-03 05:43:00 -
30:
杏奈
「変なこと聞くけど何もしてないよね?」
「はー?俺が?自分おもろいな(笑)」
その人は笑ってた。あれ?このヒゲ…どっか…あっ!思い出した。
ヒゲの人はあの邪魔やってゆってきた人やん。で、コンビニでも会って…2006-01-03 05:46:00 -
31:
杏奈
でも不思議やけどもう怖くなかった。笑ってる顔がめっちゃ優しい顔やったから。
「あの…本当にすいませんでした。ありがとうございました」
「お。ほんなーはよ帰り。もう倒れんように気つけな」
そう言われて私はそこを出た。ドアを閉めた時に表札を見ると、赤井拓也と書かれてあった。2006-01-03 05:51:00 -
32:
杏奈
赤井…拓也か。第一印象最低最悪やった人。
でも意外に…悪い人ではなさそうやったな…。私はそこのマンションを出ると、すぐそこの近所やったことに気付いた。
はよ家帰ろう。とんだ道草くってもうたわ。2006-01-03 05:54:00 -
33:
杏奈
家に着いた私はすぐにお風呂に入ってご飯を食べて寝転んだ。
あぁ疲れた。明日も早く起きなあかんなぁ。寝よ…気付いたらすぐに寝てた。
ジリリリリリ…
目覚ましの音が頭に響く。すぐに止めて顔を洗いに洗面所にいった。2006-01-03 05:58:00 -
34:
杏奈
いつもの朝と同じように、洗顔料を手のひらに出した。泡立てるために手を動かす。
あれ?なんか冷た…ん!?私は間違えて歯磨き粉を手のひらに出していた。そらひんやりするわ…。
この頃の私は全てが勘違い、物忘れ、偶然だと思ってた。2006-01-03 06:01:00 -
35:
杏奈
でももうすでに始まってた。全て忘れて記憶がなくなってしまうカウントダウンが…
気付きもせんかった。まさかそんなこと…だって私、普通の若い女の子やったのに。
「おはようございます!あ、佐々木リーダー、今日のアポ先にとりあえず原稿作成用紙だけ届けてきます」2006-01-03 06:07:00 -
37:
杏奈
いつもと同じ時間にいつもと同じ会話。私は朝からアポ先を回ってお昼過ぎに職場に戻ってくる。
それから食事休憩をして、また夕方までアポ先を回る。夕方からは原稿制作や写真の編集。
とにかく予定はぎっしりやった。2006-01-03 06:10:00 -
38:
杏奈
時間がたつのもあっという間で、一日がものすごい早かった。その日もそうやった…。
「お疲れさん!もう終わったやろ?帰ってええよ。明日のアポ先はまた明日ホワイトボード見て確認しといて」
いつものように佐々木リーダーに言われた。2006-01-03 12:29:00 -
39:
杏奈
「お疲れ様でしたー」
私はいつものように仕事を終えた。今日はいつもより仕事が終わるのが早かった。
まだ7時か…どうしよう?真奈にでも電話しよっかな。真奈は小学生の頃から仲のいい友達の一人やった。2006-01-03 12:32:00 -
40:
杏奈
「もっしー♪」「真奈?何してんの?」
「何もしてないでぇ。どっちかゆうたら暇」
「ご飯でも行こっか」
そんな会話をしてた。うん、確かにしたはずやった。待ち合わせ場所や時間も…真奈と決めたはずやった。2006-01-03 12:34:00 -
41:
杏奈
家帰ろ用意しなあかんし。いつもの駅に向かって電車に乗った。
おりる駅に着いて改札を抜けた時、急に地震が起きた。立ってるのが怖かったからしゃがみこんだ。
でも変やった。周りを歩いてる人達は、みんな平気そうで怖がってる様子なんてなかった。2006-01-03 12:39:00 -
42:
杏奈
「また自分かぁ」
「えっ?」見上げたら人が立ってた。あれ…この人あのヒゲの人や。なんやったっけ?名前…あっ!赤井拓也や。
「自分ほんま邪魔やからあかんで。こんなとこ座ってたら」
相変わらずちょっと怖い。私にそれだけ言って歩いて行った。2006-01-03 12:43:00 -
43:
杏奈
私は不思議と離れてそいつの後ろを歩いてた。近所やったしついて行ったわけじゃないけど。
「おい、お前ついてきてんのか?」「違うし。家こっちやねんもん」
でもなんか分からんけど、私は楽しかった。怖いけど昨日は倒れた私を助けてくれた人やし。2006-01-03 12:48:00 -
44:
杏奈
「なぁ赤井拓也さーん。さっきの地震めっちゃ怖かったやんな」
私は後ろのほうからそいつに向かって話しかけた。赤井は黙ったままやった。ひたすら無視して歩かれてた。
なんなんこの人…やっぱり感じ悪い。でもなんとなく惹かれてる自分がおった。2006-01-03 12:51:00 -
45:
杏奈
「なぁー、赤井さんって何歳なん?」「…」
「なぁってばぁ」
「あー!うっさいなぁほんまさっきから。ほんで何で自分俺の名前知ってんねん?ストーカーか」
赤井拓也は私をストーカー呼ばわりした。2006-01-03 12:54:00 -
46:
杏奈
「ちゃうしな。昨日帰る時に表札見ただけやもん。ストーカー呼ばわりせんといてよー」
「あっそ…」
赤井拓也はとにかく無愛想やった。
そうこうしてるうちに赤井は右に曲がった。私の家は左に曲がらなあかんかった。2006-01-03 13:01:00 -
47:
杏奈
あーあっ…つまらんわ。まぁ帰ろ。そう思って左に曲がった時、前から歩いて来た男にいきなり胸を触られた。
「やめてよ!」私が叫んだ瞬間、そいつは走って逃げようとした。
そしたら、右に曲がったはずの赤井がそいつを捕まえて殴りかかってた。2006-01-03 13:04:00 -
48:
杏奈
「何しとんねん!変態が!あ?殺されたいんか?」
赤井は殴り続けてた。そいつの顔は見る見るうちに血まみれになった。私はちょっと怖かった。
「もう…もういいやん。この人死んでしまうで…」やっとの思いで止めた。2006-01-03 13:08:00 -
49:
杏奈
「くそったれが。お前もそんな恰好してるから襲われんねんぞあほ」
赤井拓也はそう言って歩いて行った。
あれ?この人…また助けてくれたんや。無愛想でちょっと怖くて意味の分からん人やけど…やっぱり優しい人なんかもしれん。2006-01-03 13:15:00 -
50:
杏奈
「あの…赤井拓也さーん!ありがとう」
「いちいちフルネーム呼ぶな!はよ帰れ」
赤井さんはいつもの無愛想な声でそう言うと、帰って行った。
襲ってきたやつは道路に倒れたままやったから怖かったし私も急いで家に走った。2006-01-03 13:18:00 -
51:
杏奈
はぁーあっ…疲れた。
お風呂入ろっかな。私は帰ってすぐにお風呂に入った。
♪〜♪お風呂をあがった時、私の携帯が鳴ってた。2006-01-03 13:35:00 -
52:
名無しさん
水商売の変貌からよんでました。
この作品も楽しみにしてますね。2006-01-03 13:37:00 -
54:
杏奈
あっ…真奈や
「はい」「今どこ?」
「家やで♪」
「えっ!?まだ家なん?真奈ずっと待ってんねんけどまだ!?」
えっ?なんで?私真奈と約束なんかしてたっけ?2006-01-03 16:33:00 -
55:
杏奈
「え?約束とかしてたっけ?」私は聞いた。
「なんなん?亜希からご飯行こうって連絡してきたやん」「えっ…」
私が?よく考えてみた。でも思い出せなかった。真奈は少し機嫌が悪くなってまた連絡するってゆって電話を切られた。2006-01-03 16:35:00 -
56:
杏奈
ちょっ…えっ?なんなん…このころから私の症状は少しずつ頻繁にでるようになってた。
でもそんなん気付くはずもなかった。だって…私まだ20歳やったのに。
家で寝る前にふと真奈の顔が浮かんだ。「どっちかゆうたら暇やでぇ♪」…真奈の言葉。2006-01-03 16:38:00 -
57:
杏奈
あっ…私やっぱり真奈と約束してた。八時半にミナミのOPA前に待ち合わせ…やったんや。
なんでそんな大事なこと忘れたんやろ。私やっぱり最近疲れてんのかな?
一人でぼーっと考えてた。私、なんとなく変やわ…。2006-01-03 16:41:00 -
58:
杏奈
早く寝よう。そう思って布団に入った。
うとうとしてた時にあの人の顔を思い出した。赤井拓也。あの人今何してんのかな?
今も無愛想な顔なんかな?私は赤井拓也が気になり始めてた。愛想も口も悪い人やのに。2006-01-03 16:44:00 -
59:
杏奈
「おはよーございまーす」いつもと同じように出勤した。でも何故かみんなの顔が違う。
「山口!ちょっと」
佐々木リーダーに呼ばれた。なに?なんとなく怒られる雰囲気を察した。でも私なんかしたっけ?2006-01-03 16:46:00 -
60:
杏奈
「昨日のあれ。ダイニングバー蘭の搭載用の記事はなんや?あの写真も。やる気あんのか?」
「えっ…私ちゃんとやったつもりなんですけど。どこか問題ありましたか?」
私が言うとリーダーは怒った顔で私を見つめた。久しぶりに見た佐々木リーダーの怒り顔やった。2006-01-03 16:51:00 -
61:
杏奈
「見てみろ。店舗紹介の記事やのに誤字脱字はある、値段も桁違いが二カ所。おまけに写真はブレまくりやんけ」
渡されたものを見て私自身が目を疑った。なにこれ…ほんまにめちゃくちゃやん。
「すいませんでした。すぐやり直します」
「もういい。川崎に頼んだから。今日はアポ取りの電話だけやっててくれ」2006-01-03 16:54:00 -
62:
杏奈
アポ取り…?私が?
「分かりました」
そう言うしかなかった。佐々木さんはミスはとことん怒るの分かってたし、そうゆうのが1番嫌いなん分かってたから。
とはゆってもアポ取りなんて私にとってはみじめなもんやった。2006-01-03 16:56:00 -
63:
杏奈
アルバイトの子達に混じってひたすら電話をかけまくるだけ。
いつも外回りで忙しかった私には、辛いもんやった。時間がたつのもものすごい遅くて…。
「お疲れ様です…」
定時の6時に帰るのは久しぶりのことやった。2006-01-03 16:59:00 -
64:
杏奈
最悪や…もう最悪。なんなんほんまに。最近ついてないことが多い。
真奈ともあんなんなってしまったし仕事でもミスして。
帰り道の足取りが重かった。はぁーあっ…マンションまでの道も遠く感じた。2006-01-03 17:04:00 -
65:
杏奈
あれ…?あっ赤井拓也や。帰り道にある公園の中にあの人を見つけた。
一人でベンチに座ってた。何してんねやろ?
「赤井拓也さーん」私が呼ぶと気付いてくれた。
「何やねんまた自分か。だからフルネームで呼ぶなって」2006-01-03 17:11:00 -
66:
杏奈
「自分じゃないし。山口亜希です!」
「別に聞いてへんしな。帰れば?」
相変わらず愛想が悪い。でも私はめげへんかった。ってゆうより赤井拓也に興味があった。
一回だけ見た笑い顔が頭に残ってたから…もう一回あの顔が見たい。2006-01-03 17:18:00 -
67:
名無しさん
きょうはもうおわりですか!?
2006-01-03 18:01:00 -
69:
名無しさん
2006-01-04 04:34:00 -
70:
名無しさん
2006-01-04 13:55:00 -
71:
杏奈
「こんなとこで何してるん?暇なん?」
「…」
また無視された。ほんまにとことん相手にしてくれやんなぁ…。めっちゃ謎な人やわ。助けてくれたり無愛想やったり。
一体この人ってどんな人なんやろう?2006-01-04 23:26:00 -
72:
杏奈
ベンチに座ってる赤井拓也はずっと黙ったままやった。私は話し掛けてもムダやなぁと思って一人でブランコに乗りに行った。
「はぁーあっ…」
ため息しかでーへん。
「しけた顔すんなあほ。こっちまで暗なるやんけ」2006-01-04 23:31:00 -
73:
杏奈
「えっ?」
私がブランコに乗ってたら赤井拓也が隣のブランコに乗りにきた。
「別に暗いわけちゃうもん。しけてないし」
「あっそ」赤井拓也は、ただそう言ってきただけやった。でもなんか嬉しかった。隣におるだけで…。2006-01-04 23:34:00 -
74:
杏奈
「変わってますよね」
「何が?」
「いや…赤井拓也さんが。なんか不思議な感じやしちょっと変わってそうやなぁと思って」
拓也と会話ってゆう会話をしたのはこの時が初めてやった。2006-01-04 23:48:00 -
75:
杏奈
「ちゅーか自分さぁ、フルネームで呼ぶなってゆうたやろ。変わってるん自分のほうやん」
そう言った赤井拓也の顔は少し笑ってた。
「じゃあ何て呼んだらいいの?」
「何でもええやん。とにかくフルネームはやめて」2006-01-04 23:56:00 -
76:
杏奈
「じゃあ亜希のことも自分ってゆうのやめてや」
「は?なんでやねん」
私達はずっとあーいえばこーゆう的なやりとりで話してた。
「じゃあ亜希って呼んでいいで。亜希も拓也って呼ぶから」2006-01-05 00:00:00 -
77:
杏奈
「なんで上から目線でものゆうてんねん」
「拓也ってほんまに口悪いなぁ」
「自分も変わらんやんけ。ってゆうかどさくさに紛れて名前呼ぶなって」
この時は楽しかった。拓也と普通に話せてた。何も考えんでも言葉はすぐに出てきてた…。2006-01-05 00:03:00 -
79:
杏奈
「ほんで何かあったんか?」「何が?」
「え…なんとなくやけどいつもより元気なさそうやったから」
拓也はブランコに乗りながらそう言った。元気なさそう?いつもより…?
「そんなことないよ。ただちょっと最近疲れてたみたいでさ。仕事でミスしたり友達との約束すっぽかしてしまったりで」2006-01-05 00:08:00 -
80:
杏奈
「そうかー。まぁ人生いろいろや。いい時もあれば悪い時もある。そのうちいいことあるやろ」
「そうやね…」
え?もしかして慰めてくれたとか?考えてみたら無愛想な拓也が、普通に話してくれてたことにビックリした。2006-01-05 00:11:00 -
81:
杏奈
「拓也いくつなん?」
「自分は?」「二十歳」「ほんなら三つ違いやな」
「23歳かぁ…あんま変わらんやん。じゃあ仕事は?」「自分は?」
「広告代理店で原稿とか作る仕事」2006-01-05 00:26:00 -
82:
杏奈
「ふーん…。俺はWEBコンテンツの制作とか運営の仕事。まぁサーバー管理者みたいな感じ」
「なんか難しそう」
「そんなことないで。サーバー構築やし。結構アイデアとかも自由にサーバー組み立てできるしな」
初めて聞いた言葉が多くてびっくりした。2006-01-05 00:46:00 -
83:
杏奈
「俺な、前から自分のこと知っててんで」
「え?なんで?あ(笑)ストーカーやろ」
「ちゃうわ!前に電車ん中で痴漢かなんかされたんか知らんけど親父に向かって舌巻いて喋ってたの見てんやん」
…?あ…心当たりがあるわ。2006-01-05 00:50:00 -
84:
杏奈
「あったあった」
「そん時からたまに見かけた時はあの巻き舌女やーと思っててん」
「なにそれ(笑)」
ちょっと嬉しかった。私が拓也を知る前から拓也は私のこと知っててくれたんや。2006-01-05 00:53:00 -
85:
杏奈
「大丈夫なん?」「ん?」「いや、こないだ倒れてたやろ」
「あー全然大丈夫☆」
「ほんならええけど」
私思った。拓也のこと好きかもって直感した。多分好きかもってゆうか好きになるやろうなって勘。2006-01-05 00:59:00 -
86:
杏奈
「彼女おんの?」
「おらんで」「亜希もおらん」「聞いてないし」
なんかよく分からんけど笑ってしまった。拓也のそっけない返事が逆に楽しかった。
「彼女にしてくれたらいいことあるかもよ!」2006-01-05 01:02:00 -
87:
杏奈
「意味分からんし」
「あっそ!じゃいい」
「自分俺のこと好きなん?」「そうなるかもね」
変な会話やった。好きになるかもってどないやねーんって。2006-01-05 01:06:00 -
88:
杏奈
「ほんならコーヒー買ってこい」「は?」
拓也の言葉にビックリした。なんのために?
「買ってきたら付き合ったるわ」
「何で上から目線でものゆうてんねん(笑)」私は拓也に言われた言葉を真似して言った。2006-01-05 01:08:00 -
89:
杏奈
「はよー買ってこい」
「じゃぁ一緒に買いに行こぉやぁ」
来るわけないとは思いながらも一応ゆってみたりした。
「しゃあないなぁ」
マジで?拓也はブランコからおりると私の手をつかんで歩いていく。2006-01-05 01:11:00 -
90:
杏奈
「なんや手つなぎたかったんや?」「ちゃうわ寒いからやんけ」
拓也はそう言いながらも手を何回もギュッて握ってきた。
考えてみれば会うのは数えるぐらいしかなかったのに、手繋いでるのってけっこう大胆やなぁと思った。2006-01-05 01:14:00 -
91:
杏奈
「俺んち来る?」
「なんかするやろ」「せーへんわ。見たいテレビもうすぐ始まるから」
「うーん…」
「来いや」
拓也の言葉に私は黙ってうなずいた。なんやろう?拓也の亭主関白系なとこが結構好きやったから。2006-01-05 01:21:00 -
92:
杏奈
「おじゃましまーす」
拓也の家に来るのは二回目やったけど、実際あんまり覚えてなかった。
「適当に座っといて」
拓也はそう言って着替え始めた。ほんまに男の家!って感じで殺風景。男の部屋ってどっちかやん?2006-01-05 01:24:00 -
93:
杏奈
めちゃくちゃ散らかってるか物が全然なくて殺風景か。あんまり中間ってないような感じがする。
拓也の部屋は物があんまりなかった。
「亜希ーチャンネル10に変えといて」2006-01-05 01:26:00 -
94:
杏奈
「あ、うん」
チャンネルを変えた。なんかドキドキしてた。初めて『亜希』って呼ばれたのが嬉しかった。
拓也は覚えてないかもしれんけど、この時から私は拓也を好きになってた。2006-01-05 01:29:00 -
95:
杏奈
「よっこいしょ」
「おっさんやん!」
「うっさいわ」
拓也は私より少し離れたところに座った。ちょっと拍子抜けした。あれ?って。隣に来るんかと思ったから。2006-01-05 01:33:00 -
96:
杏奈
それからもそのままで、ほんまにテレビ見たかったんか知らんけど、2時間近くずっとテレビ見て笑ってた。
「ほんまに見たいテレビやったんやぁ」
「だからゆうたやん」
「…」
「何を期待してたん?」2006-01-05 01:36:00 -
97:
杏奈
「きっ、期待なんかしてないし」「顔赤いで(笑)やらしいなぁ」
何なんめっちゃからかわれてるやん…。
「亜希ーこっちこいや」2006-01-05 01:38:00 -
98:
杏奈
「なんで」
「いーからこいって」
「拓也が来たらいいやん」私は何か分からんけど恥ずかしかった。
「分かった分かった」拓也はそう言いながらも私のそばまで来ると、後ろにまわって私の背中から囲うみたいに座ってた。2006-01-05 01:40:00 -
99:
杏奈
それから後ろから手を回して私の手を触りながら抱きしめてきて…。
頭にチュッてする音が聞こえたけど、それ以上は何もしてこなかった。
逆にそれがめっちゃドキドキしてた。じらされてるような感じがして。2006-01-05 01:44:00 -
100:
杏奈
「亜希…」
耳元で聞こえる声が優しく感じた。あんなに無愛想で怖かった拓也が、今はこんなになってる。
「俺な、ほんまのことゆうと前から亜希のこと気になっててん。さっきゆうたやろ?電車で見たことあったって」2006-01-05 01:48:00 -
101:
杏奈
「うん…」
「だから帰りに乗る駅もおりる駅も同じやしよく時間とか合わして乗ったりしてた。でも亜希いつも時間バラバラやろ?俺あほやけど待ったりしてたもん」
「ストーカーや(笑)」
「そうやな」2006-01-05 01:52:00 -
102:
杏奈
「亜希は拓也のこと最初怖かったで。愛想も悪いし口悪いし第一印象最悪やった。でも二回も助けてくれたし優しいとこあるなぁと思った」
「なんもでーへんぞ」
「でな、亜希も気になっててん。だから今日も公園で見た時ちょっと嬉しかったから声かけてんで」2006-01-05 01:58:00 -
103:
杏奈
「そっか…よかった」
「てゆうか地震めっちゃ怖くなかった?久しぶりにビックリしたってー」
「は?何ゆうてるん?あ、そういえば昨日そんなことゆうてたよなぁ…そんなビビる地震なんかなかったやん。」
拓也は冷静な声で答えた。2006-01-05 02:01:00 -
104:
杏奈
「えーっ?嘘やん?めっちゃ揺れてたのに」
「夢でも見てたんちゃうか?それか亜希の頭がおかしいかやな(笑)」
「もぉ!」
拓也は笑ってた。私も笑ってた。うん、笑ってられた。何も知らなかった頃は…笑ってられたのに…。2006-01-05 02:05:00 -
105:
杏奈
私の頭はおかしい時があった。勘違いの地震、仕事でのミス、真奈との約束破り、洗顔と歯磨き粉の間違い、お金の精算も…
物忘れや勘違いが…多かった。
私はまだ若い。この時の私には病気なんてこと想像もつかへんかった。2006-01-05 02:09:00 -
107:
名無しさん
Lose=失う
Memory=記憶、思い出2006-01-05 04:08:00 -
108:
名無しさん
2006-01-05 08:14:00 -
109:
名無しさん
?
2006-01-07 21:56:00 -
110:
名無しさん
完結マデ頑張って下さいね☆☆
応援してるから???2006-01-09 11:33:00 -
111:
名無しさん
頑張ってぇ☆☆
2006-01-14 04:08:00 -
112:
名無しさん
2006-01-14 04:24:00 -
114:
名無しさん
かかへんの?
ずっと待ってんケド?2006-01-17 03:08:00 -
115:
名無しさん
忙しい思うケド
待ってるから書いて?????2006-01-23 22:09:00 -
118:
杏奈
「拓也は亜希の運命の人な気するねん」
「ハハッ。そんなんいつもゆうてんのか」
拓也は笑いながら私のおでこにデコピンした。確かにそう。私は運命とかにとらわれやすいしいつも付き合った人にはそう思ってきてた。
でも拓也には、ほんまに【何か】を感じた。運命的なものを。2006-01-26 15:47:00 -
119:
杏奈
「ずっと一緒にいれたらいいなぁ」
「ほんまやなぁ」
拓也は私に好きやってゆう言葉やはっきり付き合おうってことを言ってくれたことはなかった。
だけど私はそれでもよかった。拓也は絶対に私のことを大切にしてくれる…そんな気がしてたから。2006-01-26 15:51:00 -
120:
杏奈
「今日俺の家泊まっていくやろ?」
ふいに言われた言葉やったけど私には予想通りの言葉やった。拓也は見た感じワイルドなお兄系やけど、少し女慣れしてそうなとこがあったから。
この人やっぱり遊んでんのかな?私は少し心配やった。2006-01-26 15:54:00 -
121:
杏奈
でも思想と現実は別やった。初めて泊まった日、拓也は私に何もしてこなかった。
キスもなくて…。別に期待してたわけちゃうかったけど、なんかされるやろうなって思ってたから逆に拍子抜けした。
でもそんな拓也に私はドキドキしてたしどんどんはまっていった。2006-01-26 15:58:00 -
122:
杏奈
次の日も私は気付けば拓也のマンションの前に来てた。一回お泊りしたとは言っても私は拓也の携帯番号すら聞いてなかったからやった。
けっこう長いこと待った。一時間…半ぐらい。でもその時、またすごい地震が起きた。
目の前が揺れまくって私は倒れてしまってた。2006-01-26 16:04:00 -
123:
杏奈
「っ…」倒れた衝撃でヒジを打ったせいでヒジがしびれた。
「おい何やってんねん」座ったまま見上げると、拓也が立ってた。
「地震…」
「は!?」
「地震なったからびっくりして倒れてしまってん。そしたらヒジ打って今しびれてる…かなり痛いし」2006-01-26 16:08:00 -
124:
杏奈
「おい大丈夫か?」
「うん大丈夫」
「ちゃう、そうじゃなくて。地震なんかなかったで?」
俺は亜希と出会うまで、記憶に残る思い出なんて数えるぐらいしかなかった。でも亜希と一緒に過ごした日々は、生涯消えることなく俺の心で生き続けるやろう。2006-01-26 16:21:00 -
125:
杏奈
もっと早く分かってたなら、俺は亜希のやりたいことや願いをもっと叶えてあげれたかもしれんのに。
あの時亜希が言った運命って言葉が今もずっと俺の頭から離れへん。
俺は亜希に何もしてあげられへんかった。後悔ばかりが残った今、俺にはもう生きていく望みすらない。
亜希…ごめんな。2006-01-26 16:25:00 -
126:
杏奈
「え?地震あったやん!今めっちゃ揺れたやん」
私は必死で説明した。いくら拓也が鈍感やとしても、あの揺れは普通じゃない。おかしいやん。
「とにかく入ろう」拓也は私の手をとってマンションへと入っていく。2006-01-26 16:27:00 -
127:
杏奈
「てゆうか亜希なにしてたん?あ、俺のこと待ってたとか?」
「うん」
「マジで?ごめんごめん。あー電話してくれたらよかったのに」
拓也は携帯を取り出してた。そしたら拓也も気付いたみたいやった。2006-01-26 16:29:00 -
128:
杏奈
「そういえば番号交換してなかったな」
そう言って笑ってた。私も笑った。運命を感じた相手の番号を聞き忘れてたなんて。あほやん。
「ほんじゃあ教えて」
「携帯貸してみ」
拓也に言われて携帯を渡すと、拓也がピコピコといじったあと私に返してくれた。2006-01-26 16:32:00 -
129:
杏奈
「あー!なにこれ」
携帯画面を見ると赤井って名前で登録されてた。名字だけ?へんなの。
私は入れ直そうと思って文字を削除した。えっと…あれ?おかしかった。拓也の名前を登録するはずやったのに、何故か名前が出てこんかった。
「なぁ…名前…なんやったっけ?」
「はぁ?あんだけフルネームで呼んでたくせに何ゆうてんねん」2006-01-26 16:37:00 -
130:
杏奈
亜希の言葉や行動がおかしかったのは、始めは気にもとめてなかった。
ただ単に忘れっぽいやつなんかなとか思ってた。地震の話も、勘違いなんやろうと思ってたし。
「名前…教えて」
「は?ほんまに忘れたんか?ハァ…赤井やで。赤井拓也。思い出したか?」2006-01-26 16:40:00 -
131:
杏奈
「あ、そうや。ごめんな忘れてたみたい」
「別にええけど」
「なぁ拓也ぁ…今日さぁ仕事でなぁ」
いつもこんな感じで物忘れの激しい亜希を見てた。付き合い初めてからも何度か同じようなことがあった。でも何度かあるうちに慣れてくるもんで、こいつはこうゆうやつなんやと思うようになってた。2006-01-26 16:45:00 -
132:
杏奈
「なぁ拓也。付き合った日は九月三日やから今日でちょうど一ヵ月やんなぁ。なんかちょーだい記念に」
「なんでやねん」
「何でもいいからちょーだい。あ、じゃあ拓也のメールアドレスに9.3って入れて。それでいいから」
「なんでやねん」
でもなんだかんだ言いながらも拓也はメールアドレスを変えてくれた。2006-01-26 16:49:00 -
133:
杏奈
「亜希も9.3って入れたから☆一緒やで」
亜希は笑いながら俺に変わったばかりのアドレスでメールを送信してきた。
俺と似たようなアドレス。亜希は嬉しそうやった。なぁ亜希?俺のメルアド…ずっと変わってないねんで?お前に無理矢理変えられたあのアドレスのまま…。
ずっと変わってないねん。2006-01-26 16:53:00 -
134:
杏奈
この先変えることもないやろう。いや…変えられへんと思うわ。
「拓也。チューして」
「お前は子供か」
そう言いながらも拓也は私にキスしてくれた。びっくりすることに、付き合って一ヶ月たつとゆうのに拓也は私にキス以上のことは何もしてこなかった。2006-01-26 16:57:00 -
135:
杏奈
たたへんのかな?私はあほみたいなことを考えるようになってた。
見た目はいかつくて遊んでそうやのに。でも、一ヶ月記念のその日、拓也は初めて私のことを優しく抱いてくれた。
拓也は今時では珍しいくらい硬派な男やった。
「亜希じゃたたへんのかと思ってた…よかった☆」2006-01-26 17:01:00 -
136:
杏奈
「あほか」
なんやねんこいつ…。俺は心の中で亜希に少しずつはめられていくような気がしてた。
付き合って一ヶ月やらんかったのは、他の男とは違うってゆう誠意を見せたかったから。大事にしたいと思ってたからやった。
亜希は逆に心配やったみたいやけど。2006-01-26 17:04:00 -
137:
杏奈
「亜希のこと好き?」
「うん」「じゃあちゃんと好きってゆってよ」
「なんでやねん」
亜希はいつも俺に好きかって聞いてきてた。もちろん好きやった。でも口に出してゆうものでもないと思ってた。
心で繋がってるなら、それでいいやんって。2006-01-26 17:09:00 -
138:
杏奈
聞かな分からんようなもんでもないし、言わな分からんようなもんちゃうやろうと…思ってた。
でも亜希が聞きたかったなら、ちゃんと答えてあげるべきやった。好きやって言うとけばよかった…。
亜希が俺のこと、忘れてしまう前に…。
分かってたなら俺は何回でも何百回でもゆうてたやろな…「亜希、好きやで」って。2006-01-26 17:13:00 -
140:
杏奈
「もぉ!拓也なんか嫌い!亜希のこと好きちゃうんやろ」
「ちゃうやろ?何で分からんねん。一緒におったら分かるやろうが」
拓也にはいつもそうやって丸めこまれてた。でも私はそれもけっこう楽しかった。拓也に愛されてる気はしてたし、私の拓也への想いも一点の曇りもなくまっすぐやった。2006-01-26 17:17:00 -
141:
杏奈
拓也と付き合ってからの私は毎日が楽しくて幸せやった。拓也の仕事場に遊びに行ったこともあったし、拓也も私の作ったフリーペーパーを見てくれてた。
お互いの仕事を尊敬しあえるのっていいなぁって思った。
でもそんな幸せも、長く続くものではなかった。2006-01-26 17:19:00 -
142:
杏奈
「山口…ちょっと会議室来てくれ」
仕事場で嫌な雰囲気を察した。佐々木リーダーの一声で周りは一瞬静かになった。
私…また何かやった?佐々木さんの後ろからついて行くと誰もいない会議室へと入っていった。
「そこ座れ」
「はい…失礼します」2006-01-26 17:29:00 -
143:
杏奈
「お前…やる気あんの?」やっぱり佐々木さんは怒ってた。
「あります」
「しんどかったらしんどいでいいねん。タウン情報誌から外れてもらってもいいねんで。別のグループの仕事もあるわけやねんから」2006-01-26 17:31:00 -
144:
杏奈
別の仕事?なにそれ…
「嫌です。私ずっと佐々木さんの下で仕事してきたしこの仕事が好きです」
「ほんなら何でここ二ヵ月近くお前の担当した掲載店だけ反響が悪いねん。フリーペーパーは無料やろ?どこから利益が発生するか分かってるやろ。契約先がおってなんぼやねん」2006-01-26 17:36:00 -
145:
杏奈
自分の仕事が全否定された瞬間やった。
うまくいってたはずの仕事が…一気に崩れ落ちた。悔しかった。今まで通りちゃんとやってんのに…。
「俺前にゆうたよな?誤字脱字、写真のブレ、とにかくミスが増えたって」
「はい…」
「逆にひどくなってるやんけ。確認したらすぐ分かるようなもんやのにそのまま提出してきて」2006-01-26 17:41:00 -
146:
杏奈
「あの…確認…しましたよ。ミスはなかったと思うんですけど」
「もう分かった。お前はそんな気持ちで仕事してんねんな。明日から牧野主任の部でやってくれ。デスクの整理は周りのみんなの手前もあるし、終わった後にしてくれ」
「あのっ…ちょっと待って下さい」
佐々木さんは私の言葉に耳を貸すことなく出て行った。2006-01-26 17:44:00 -
147:
杏奈
「なんで…よ」
自分でも理解できひんかった。ちゃんと真面目に誰よりもいいものを作りたい、そう思ってやってた。それやのに…
牧野主任の部って?あそこただの雑用ばっかりやん。くだらん懸賞品考えたりするだけ…
私あんなことしなあかんの?2006-01-26 17:47:00 -
148:
杏奈
「締切明日やから!」
「確認とれたんで今から行ってきます!」
忙しそうなみんなの声が飛び交う社内。会議室から戻った私のことなんて誰も気付いてなかった。
デスクの上に広がる資料や私が二年前初めて一人で担当したお店の店長さんとの写真が目に映る。
私はそれを一人で黙って片付けた。2006-01-26 17:52:00 -
149:
杏奈
私は悔しいのと訳が分からないのとで涙が出そうやった。拓也…どうしたらいいん…
ただ時間だけが過ぎていった。気付けば社内に残ってたのは佐々木さんだけになってた。
でももう何も話すことはなかった。佐々木さんは仕事人間やし、多分ミスの連続やった私に呆れてたやろうから。2006-01-26 17:56:00 -
150:
杏奈
片付けが終わって、明日からの部に荷物を運ぼうと私がドアを開けた時、佐々木さんから言われた。
「ちょっと反省して帰ってこい。お前は俺の部下や…期待してるからこそ厳しいこともゆうねんぞ。様子見てまた戻すから。頑張って戻ってこいな」
「はい!絶対戻ってきます。お疲れ様でした」2006-01-26 18:00:00 -
151:
杏奈
ドアを閉めたとたん涙が出た。見捨てられてなかったことにも感謝したし、なにより佐々木リーダーの言葉が胸に焼き付いた。
「頑張ろ」
独り言やけどつぶやいてた。また出直しやな…2006-01-26 18:02:00 -
152:
杏奈
会社を出た私は、すぐに拓也に電話をかけた。でも拓也は電話に出なかった。
あーあ…ご飯でも食べに行こうかと思ってたのに。
拓也の会社の事務所は、私の会社からも近かったからたまに二人でご飯を食べたりしてたから…。2006-01-26 18:05:00 -
153:
杏奈
「はぁ…」ため息ばかりが出る。帰りに拓也のとこ寄ろう…。
そう思いながら駅に向かって歩いてた。そしたら偶然拓也を見つけた。
あ♪拓也や♪えっ…
拓也は知らない女の人と二人で歩いてた。誰よあの女…。綺麗な人やった。歳は拓也と同じ?か少し上?ぐらい。2006-01-26 18:08:00 -
154:
杏奈
とにかく綺麗なお姉さんって感じで私はなぜか不安でドキドキしてた。
拓也の隣におるのがめっちゃ自然で似合ってるように見えた。私は…拓也にいつも子供やって言われんのに…。
遠くから見てることしかできひんかった。声かけれるはずないやん…2006-01-26 18:11:00 -
155:
杏奈
駅に入って行く二人を見ながら、私は立ち止まったままやった。
「あ…地震…」
目の前の景色がゆがむ。頭が…痛い…
目を覚ますとそこは病院やった。お母さんとお父さんとひろ兄と彩がおった。なんでみんな揃ってんの?2006-01-26 18:14:00 -
156:
杏奈
「おかん!亜希目さましたで!」
「亜希ねえ分かる?」
ひろ兄と彩がうるさくはしゃいでるように見えた。みんなどうしたん?
「俺先生呼んでくる」
ひろ兄が慌ただしく病室を出て行った。私…あ…駅前で地震があって…2006-01-26 18:17:00 -
157:
杏奈
「なぁお母さん?亜希なんで病院おるん?」
「お母さんも家に電話があったからびっくりしてかけつけてんで。会社帰りに倒れたみたいやけど。貧血やろうとは言ってたけど明日念のため検査しとこうって先生がゆうてはったわ」
「えぇ?そんな暇ないって仕事あんのに」2006-01-26 18:20:00 -
158:
杏奈
「なにゆうてるんや。明日は一日休みとりなさい」
お父さんに怒られた。お父さんはひろ兄には甘いけど私と彩には厳しい。
一人暮しする時なんて半年近く反対され続けたし…。でもやっぱ男親やから娘が可愛いんやろうなぁって思うとしょうがなく折れてた。2006-01-26 18:24:00 -
159:
杏奈
「山口さん大丈夫?」
ひろ兄が先生を連れて戻ってきた。優しそうな先生やった。
「大丈夫ですよ」
「よくこうゆうことあるのかな?体質的に貧血気味とかある?」「ないです」
「じゃあ最近変わったことはあった?」2006-01-26 18:29:00 -
160:
杏奈
「いえ…特には」
「そおですか。でも念のため明日軽い検査だけ受けてもらうからね」「はい」
「じゃあ御家族の皆さんももう今日は遅いですし、明日の面会時間にまた来てもらえますか。」
先生はそう言って出て行った。2006-01-26 18:32:00 -
161:
杏奈
「ほんまに大丈夫?」
「大丈夫やってとりあえず明日は休みとるわ。だから心配せんでもいいよ。もう遅いしお父さん明日も仕事やろ?早く帰って早く寝ないと」
「あぁ。大丈夫か?明日また来るからな」
お父さんとお母さんがそう言うと、ひろ兄と彩も手を振りながら帰って行った。2006-01-26 18:34:00 -
162:
杏奈
一人になった途端ちょっと寂しくなった。あ…携帯…どこにあるんやろ…起き上がって周りを見渡すと、横の棚の所にカバンがかけてあった。
起き上がって取りに行き、とりあえず着信を確認した。メールが一件届いてた。2006-01-26 18:38:00 -
164:
杏奈
拓也からやった。
今日は来おへんのか?
たった一行の短いメールが拓也らしかった。そういえば…拓也あの女の人誰なんやろう?
私は気になってたし、病院のこともあったからとりあえず拓也に電話することにした。2006-01-26 23:56:00 -
165:
杏奈
「もしもし」
「拓也ごめんな連絡遅くなって。ちょっと病院におんねんやん」
「何で?」
「なんかよく分からんけど会社帰りに駅前で倒れたみたい。貧血みたいな感じと思う」
「大丈夫なんか?どこの病院やねん?」2006-01-26 23:59:00 -
166:
杏奈
「えっと…JR難波のすぐ近くの病院やで」
「あぁ○○病院?」
「そうそう」
「そうなんや。ほんなら今日は会われへんねんなぁ。せっかく亜希と鍋しよと思って帰りにスーパー寄ったのに。俺一人で食うたら太るやんけー」
鍋…かぁ。いいなぁ…。2006-01-27 00:03:00 -
167:
杏奈
「明日な、念のため検査とかゆわれてんやん。だから明日仕事休むねん。もし明日も帰られへんかったら拓也仕事帰りに病院来てな。お見舞いに!」
「なんでやねんすぐ帰れるやろ」
「なんなんそれ」
拓也はいつもそっけない返事ばっかり。私はこの時思った。拓也はほんまに私のこと好きなんかな?って。2006-01-27 00:06:00