-
夜遊び夜遊び
-
お水お水
-
ホストホスト
-
風俗風俗
-
ビューティビューティ
-
ファッションファッション
-
悩み相談悩み相談
-
モデルモデル
-
芸能芸能
-
雑談雑談
-
食べ物・グルメグルメ
-
生活生活
-
恋恋
-
インターネット・ゲームネット・ゲーム
-
ギャンブルギャンブル
-
過去ログ倉庫過去ログ倉庫
-
運営運営
Lose Memory…
-
1:
杏奈
前回、水商売の変貌を書いて杏奈です。
また小説書こうと思うのでよかったら呼んで下さい。2006-01-03 03:52:00 -
61:
杏奈
「見てみろ。店舗紹介の記事やのに誤字脱字はある、値段も桁違いが二カ所。おまけに写真はブレまくりやんけ」
渡されたものを見て私自身が目を疑った。なにこれ…ほんまにめちゃくちゃやん。
「すいませんでした。すぐやり直します」
「もういい。川崎に頼んだから。今日はアポ取りの電話だけやっててくれ」2006-01-03 16:54:00 -
62:
杏奈
アポ取り…?私が?
「分かりました」
そう言うしかなかった。佐々木さんはミスはとことん怒るの分かってたし、そうゆうのが1番嫌いなん分かってたから。
とはゆってもアポ取りなんて私にとってはみじめなもんやった。2006-01-03 16:56:00 -
63:
杏奈
アルバイトの子達に混じってひたすら電話をかけまくるだけ。
いつも外回りで忙しかった私には、辛いもんやった。時間がたつのもものすごい遅くて…。
「お疲れ様です…」
定時の6時に帰るのは久しぶりのことやった。2006-01-03 16:59:00 -
64:
杏奈
最悪や…もう最悪。なんなんほんまに。最近ついてないことが多い。
真奈ともあんなんなってしまったし仕事でもミスして。
帰り道の足取りが重かった。はぁーあっ…マンションまでの道も遠く感じた。2006-01-03 17:04:00 -
65:
杏奈
あれ…?あっ赤井拓也や。帰り道にある公園の中にあの人を見つけた。
一人でベンチに座ってた。何してんねやろ?
「赤井拓也さーん」私が呼ぶと気付いてくれた。
「何やねんまた自分か。だからフルネームで呼ぶなって」2006-01-03 17:11:00 -
66:
杏奈
「自分じゃないし。山口亜希です!」
「別に聞いてへんしな。帰れば?」
相変わらず愛想が悪い。でも私はめげへんかった。ってゆうより赤井拓也に興味があった。
一回だけ見た笑い顔が頭に残ってたから…もう一回あの顔が見たい。2006-01-03 17:18:00 -
67:
名無しさん
きょうはもうおわりですか!?
2006-01-03 18:01:00 -
69:
名無しさん
2006-01-04 04:34:00 -
70:
名無しさん
2006-01-04 13:55:00 -
71:
杏奈
「こんなとこで何してるん?暇なん?」
「…」
また無視された。ほんまにとことん相手にしてくれやんなぁ…。めっちゃ謎な人やわ。助けてくれたり無愛想やったり。
一体この人ってどんな人なんやろう?2006-01-04 23:26:00 -
72:
杏奈
ベンチに座ってる赤井拓也はずっと黙ったままやった。私は話し掛けてもムダやなぁと思って一人でブランコに乗りに行った。
「はぁーあっ…」
ため息しかでーへん。
「しけた顔すんなあほ。こっちまで暗なるやんけ」2006-01-04 23:31:00 -
73:
杏奈
「えっ?」
私がブランコに乗ってたら赤井拓也が隣のブランコに乗りにきた。
「別に暗いわけちゃうもん。しけてないし」
「あっそ」赤井拓也は、ただそう言ってきただけやった。でもなんか嬉しかった。隣におるだけで…。2006-01-04 23:34:00 -
74:
杏奈
「変わってますよね」
「何が?」
「いや…赤井拓也さんが。なんか不思議な感じやしちょっと変わってそうやなぁと思って」
拓也と会話ってゆう会話をしたのはこの時が初めてやった。2006-01-04 23:48:00 -
75:
杏奈
「ちゅーか自分さぁ、フルネームで呼ぶなってゆうたやろ。変わってるん自分のほうやん」
そう言った赤井拓也の顔は少し笑ってた。
「じゃあ何て呼んだらいいの?」
「何でもええやん。とにかくフルネームはやめて」2006-01-04 23:56:00 -
76:
杏奈
「じゃあ亜希のことも自分ってゆうのやめてや」
「は?なんでやねん」
私達はずっとあーいえばこーゆう的なやりとりで話してた。
「じゃあ亜希って呼んでいいで。亜希も拓也って呼ぶから」2006-01-05 00:00:00 -
77:
杏奈
「なんで上から目線でものゆうてんねん」
「拓也ってほんまに口悪いなぁ」
「自分も変わらんやんけ。ってゆうかどさくさに紛れて名前呼ぶなって」
この時は楽しかった。拓也と普通に話せてた。何も考えんでも言葉はすぐに出てきてた…。2006-01-05 00:03:00 -
79:
杏奈
「ほんで何かあったんか?」「何が?」
「え…なんとなくやけどいつもより元気なさそうやったから」
拓也はブランコに乗りながらそう言った。元気なさそう?いつもより…?
「そんなことないよ。ただちょっと最近疲れてたみたいでさ。仕事でミスしたり友達との約束すっぽかしてしまったりで」2006-01-05 00:08:00 -
80:
杏奈
「そうかー。まぁ人生いろいろや。いい時もあれば悪い時もある。そのうちいいことあるやろ」
「そうやね…」
え?もしかして慰めてくれたとか?考えてみたら無愛想な拓也が、普通に話してくれてたことにビックリした。2006-01-05 00:11:00 -
81:
杏奈
「拓也いくつなん?」
「自分は?」「二十歳」「ほんなら三つ違いやな」
「23歳かぁ…あんま変わらんやん。じゃあ仕事は?」「自分は?」
「広告代理店で原稿とか作る仕事」2006-01-05 00:26:00 -
82:
杏奈
「ふーん…。俺はWEBコンテンツの制作とか運営の仕事。まぁサーバー管理者みたいな感じ」
「なんか難しそう」
「そんなことないで。サーバー構築やし。結構アイデアとかも自由にサーバー組み立てできるしな」
初めて聞いた言葉が多くてびっくりした。2006-01-05 00:46:00 -
83:
杏奈
「俺な、前から自分のこと知っててんで」
「え?なんで?あ(笑)ストーカーやろ」
「ちゃうわ!前に電車ん中で痴漢かなんかされたんか知らんけど親父に向かって舌巻いて喋ってたの見てんやん」
…?あ…心当たりがあるわ。2006-01-05 00:50:00 -
84:
杏奈
「あったあった」
「そん時からたまに見かけた時はあの巻き舌女やーと思っててん」
「なにそれ(笑)」
ちょっと嬉しかった。私が拓也を知る前から拓也は私のこと知っててくれたんや。2006-01-05 00:53:00 -
85:
杏奈
「大丈夫なん?」「ん?」「いや、こないだ倒れてたやろ」
「あー全然大丈夫☆」
「ほんならええけど」
私思った。拓也のこと好きかもって直感した。多分好きかもってゆうか好きになるやろうなって勘。2006-01-05 00:59:00 -
86:
杏奈
「彼女おんの?」
「おらんで」「亜希もおらん」「聞いてないし」
なんかよく分からんけど笑ってしまった。拓也のそっけない返事が逆に楽しかった。
「彼女にしてくれたらいいことあるかもよ!」2006-01-05 01:02:00 -
87:
杏奈
「意味分からんし」
「あっそ!じゃいい」
「自分俺のこと好きなん?」「そうなるかもね」
変な会話やった。好きになるかもってどないやねーんって。2006-01-05 01:06:00 -
88:
杏奈
「ほんならコーヒー買ってこい」「は?」
拓也の言葉にビックリした。なんのために?
「買ってきたら付き合ったるわ」
「何で上から目線でものゆうてんねん(笑)」私は拓也に言われた言葉を真似して言った。2006-01-05 01:08:00 -
89:
杏奈
「はよー買ってこい」
「じゃぁ一緒に買いに行こぉやぁ」
来るわけないとは思いながらも一応ゆってみたりした。
「しゃあないなぁ」
マジで?拓也はブランコからおりると私の手をつかんで歩いていく。2006-01-05 01:11:00 -
90:
杏奈
「なんや手つなぎたかったんや?」「ちゃうわ寒いからやんけ」
拓也はそう言いながらも手を何回もギュッて握ってきた。
考えてみれば会うのは数えるぐらいしかなかったのに、手繋いでるのってけっこう大胆やなぁと思った。2006-01-05 01:14:00 -
91:
杏奈
「俺んち来る?」
「なんかするやろ」「せーへんわ。見たいテレビもうすぐ始まるから」
「うーん…」
「来いや」
拓也の言葉に私は黙ってうなずいた。なんやろう?拓也の亭主関白系なとこが結構好きやったから。2006-01-05 01:21:00 -
92:
杏奈
「おじゃましまーす」
拓也の家に来るのは二回目やったけど、実際あんまり覚えてなかった。
「適当に座っといて」
拓也はそう言って着替え始めた。ほんまに男の家!って感じで殺風景。男の部屋ってどっちかやん?2006-01-05 01:24:00 -
93:
杏奈
めちゃくちゃ散らかってるか物が全然なくて殺風景か。あんまり中間ってないような感じがする。
拓也の部屋は物があんまりなかった。
「亜希ーチャンネル10に変えといて」2006-01-05 01:26:00 -
94:
杏奈
「あ、うん」
チャンネルを変えた。なんかドキドキしてた。初めて『亜希』って呼ばれたのが嬉しかった。
拓也は覚えてないかもしれんけど、この時から私は拓也を好きになってた。2006-01-05 01:29:00 -
95:
杏奈
「よっこいしょ」
「おっさんやん!」
「うっさいわ」
拓也は私より少し離れたところに座った。ちょっと拍子抜けした。あれ?って。隣に来るんかと思ったから。2006-01-05 01:33:00 -
96:
杏奈
それからもそのままで、ほんまにテレビ見たかったんか知らんけど、2時間近くずっとテレビ見て笑ってた。
「ほんまに見たいテレビやったんやぁ」
「だからゆうたやん」
「…」
「何を期待してたん?」2006-01-05 01:36:00 -
97:
杏奈
「きっ、期待なんかしてないし」「顔赤いで(笑)やらしいなぁ」
何なんめっちゃからかわれてるやん…。
「亜希ーこっちこいや」2006-01-05 01:38:00 -
98:
杏奈
「なんで」
「いーからこいって」
「拓也が来たらいいやん」私は何か分からんけど恥ずかしかった。
「分かった分かった」拓也はそう言いながらも私のそばまで来ると、後ろにまわって私の背中から囲うみたいに座ってた。2006-01-05 01:40:00 -
99:
杏奈
それから後ろから手を回して私の手を触りながら抱きしめてきて…。
頭にチュッてする音が聞こえたけど、それ以上は何もしてこなかった。
逆にそれがめっちゃドキドキしてた。じらされてるような感じがして。2006-01-05 01:44:00 -
100:
杏奈
「亜希…」
耳元で聞こえる声が優しく感じた。あんなに無愛想で怖かった拓也が、今はこんなになってる。
「俺な、ほんまのことゆうと前から亜希のこと気になっててん。さっきゆうたやろ?電車で見たことあったって」2006-01-05 01:48:00 -
101:
杏奈
「うん…」
「だから帰りに乗る駅もおりる駅も同じやしよく時間とか合わして乗ったりしてた。でも亜希いつも時間バラバラやろ?俺あほやけど待ったりしてたもん」
「ストーカーや(笑)」
「そうやな」2006-01-05 01:52:00 -
102:
杏奈
「亜希は拓也のこと最初怖かったで。愛想も悪いし口悪いし第一印象最悪やった。でも二回も助けてくれたし優しいとこあるなぁと思った」
「なんもでーへんぞ」
「でな、亜希も気になっててん。だから今日も公園で見た時ちょっと嬉しかったから声かけてんで」2006-01-05 01:58:00 -
103:
杏奈
「そっか…よかった」
「てゆうか地震めっちゃ怖くなかった?久しぶりにビックリしたってー」
「は?何ゆうてるん?あ、そういえば昨日そんなことゆうてたよなぁ…そんなビビる地震なんかなかったやん。」
拓也は冷静な声で答えた。2006-01-05 02:01:00 -
104:
杏奈
「えーっ?嘘やん?めっちゃ揺れてたのに」
「夢でも見てたんちゃうか?それか亜希の頭がおかしいかやな(笑)」
「もぉ!」
拓也は笑ってた。私も笑ってた。うん、笑ってられた。何も知らなかった頃は…笑ってられたのに…。2006-01-05 02:05:00 -
105:
杏奈
私の頭はおかしい時があった。勘違いの地震、仕事でのミス、真奈との約束破り、洗顔と歯磨き粉の間違い、お金の精算も…
物忘れや勘違いが…多かった。
私はまだ若い。この時の私には病気なんてこと想像もつかへんかった。2006-01-05 02:09:00 -
107:
名無しさん
Lose=失う
Memory=記憶、思い出2006-01-05 04:08:00 -
108:
名無しさん
2006-01-05 08:14:00 -
109:
名無しさん
?
2006-01-07 21:56:00 -
110:
名無しさん
完結マデ頑張って下さいね☆☆
応援してるから???2006-01-09 11:33:00 -
111:
名無しさん
頑張ってぇ☆☆
2006-01-14 04:08:00 -
112:
名無しさん
2006-01-14 04:24:00 -
114:
名無しさん
かかへんの?
ずっと待ってんケド?2006-01-17 03:08:00 -
115:
名無しさん
忙しい思うケド
待ってるから書いて?????2006-01-23 22:09:00 -
118:
杏奈
「拓也は亜希の運命の人な気するねん」
「ハハッ。そんなんいつもゆうてんのか」
拓也は笑いながら私のおでこにデコピンした。確かにそう。私は運命とかにとらわれやすいしいつも付き合った人にはそう思ってきてた。
でも拓也には、ほんまに【何か】を感じた。運命的なものを。2006-01-26 15:47:00 -
119:
杏奈
「ずっと一緒にいれたらいいなぁ」
「ほんまやなぁ」
拓也は私に好きやってゆう言葉やはっきり付き合おうってことを言ってくれたことはなかった。
だけど私はそれでもよかった。拓也は絶対に私のことを大切にしてくれる…そんな気がしてたから。2006-01-26 15:51:00 -
120:
杏奈
「今日俺の家泊まっていくやろ?」
ふいに言われた言葉やったけど私には予想通りの言葉やった。拓也は見た感じワイルドなお兄系やけど、少し女慣れしてそうなとこがあったから。
この人やっぱり遊んでんのかな?私は少し心配やった。2006-01-26 15:54:00 -
121:
杏奈
でも思想と現実は別やった。初めて泊まった日、拓也は私に何もしてこなかった。
キスもなくて…。別に期待してたわけちゃうかったけど、なんかされるやろうなって思ってたから逆に拍子抜けした。
でもそんな拓也に私はドキドキしてたしどんどんはまっていった。2006-01-26 15:58:00 -
122:
杏奈
次の日も私は気付けば拓也のマンションの前に来てた。一回お泊りしたとは言っても私は拓也の携帯番号すら聞いてなかったからやった。
けっこう長いこと待った。一時間…半ぐらい。でもその時、またすごい地震が起きた。
目の前が揺れまくって私は倒れてしまってた。2006-01-26 16:04:00 -
123:
杏奈
「っ…」倒れた衝撃でヒジを打ったせいでヒジがしびれた。
「おい何やってんねん」座ったまま見上げると、拓也が立ってた。
「地震…」
「は!?」
「地震なったからびっくりして倒れてしまってん。そしたらヒジ打って今しびれてる…かなり痛いし」2006-01-26 16:08:00 -
124:
杏奈
「おい大丈夫か?」
「うん大丈夫」
「ちゃう、そうじゃなくて。地震なんかなかったで?」
俺は亜希と出会うまで、記憶に残る思い出なんて数えるぐらいしかなかった。でも亜希と一緒に過ごした日々は、生涯消えることなく俺の心で生き続けるやろう。2006-01-26 16:21:00 -
125:
杏奈
もっと早く分かってたなら、俺は亜希のやりたいことや願いをもっと叶えてあげれたかもしれんのに。
あの時亜希が言った運命って言葉が今もずっと俺の頭から離れへん。
俺は亜希に何もしてあげられへんかった。後悔ばかりが残った今、俺にはもう生きていく望みすらない。
亜希…ごめんな。2006-01-26 16:25:00 -
126:
杏奈
「え?地震あったやん!今めっちゃ揺れたやん」
私は必死で説明した。いくら拓也が鈍感やとしても、あの揺れは普通じゃない。おかしいやん。
「とにかく入ろう」拓也は私の手をとってマンションへと入っていく。2006-01-26 16:27:00 -
127:
杏奈
「てゆうか亜希なにしてたん?あ、俺のこと待ってたとか?」
「うん」
「マジで?ごめんごめん。あー電話してくれたらよかったのに」
拓也は携帯を取り出してた。そしたら拓也も気付いたみたいやった。2006-01-26 16:29:00 -
128:
杏奈
「そういえば番号交換してなかったな」
そう言って笑ってた。私も笑った。運命を感じた相手の番号を聞き忘れてたなんて。あほやん。
「ほんじゃあ教えて」
「携帯貸してみ」
拓也に言われて携帯を渡すと、拓也がピコピコといじったあと私に返してくれた。2006-01-26 16:32:00 -
129:
杏奈
「あー!なにこれ」
携帯画面を見ると赤井って名前で登録されてた。名字だけ?へんなの。
私は入れ直そうと思って文字を削除した。えっと…あれ?おかしかった。拓也の名前を登録するはずやったのに、何故か名前が出てこんかった。
「なぁ…名前…なんやったっけ?」
「はぁ?あんだけフルネームで呼んでたくせに何ゆうてんねん」2006-01-26 16:37:00 -
130:
杏奈
亜希の言葉や行動がおかしかったのは、始めは気にもとめてなかった。
ただ単に忘れっぽいやつなんかなとか思ってた。地震の話も、勘違いなんやろうと思ってたし。
「名前…教えて」
「は?ほんまに忘れたんか?ハァ…赤井やで。赤井拓也。思い出したか?」2006-01-26 16:40:00 -
131:
杏奈
「あ、そうや。ごめんな忘れてたみたい」
「別にええけど」
「なぁ拓也ぁ…今日さぁ仕事でなぁ」
いつもこんな感じで物忘れの激しい亜希を見てた。付き合い初めてからも何度か同じようなことがあった。でも何度かあるうちに慣れてくるもんで、こいつはこうゆうやつなんやと思うようになってた。2006-01-26 16:45:00 -
132:
杏奈
「なぁ拓也。付き合った日は九月三日やから今日でちょうど一ヵ月やんなぁ。なんかちょーだい記念に」
「なんでやねん」
「何でもいいからちょーだい。あ、じゃあ拓也のメールアドレスに9.3って入れて。それでいいから」
「なんでやねん」
でもなんだかんだ言いながらも拓也はメールアドレスを変えてくれた。2006-01-26 16:49:00 -
133:
杏奈
「亜希も9.3って入れたから☆一緒やで」
亜希は笑いながら俺に変わったばかりのアドレスでメールを送信してきた。
俺と似たようなアドレス。亜希は嬉しそうやった。なぁ亜希?俺のメルアド…ずっと変わってないねんで?お前に無理矢理変えられたあのアドレスのまま…。
ずっと変わってないねん。2006-01-26 16:53:00 -
134:
杏奈
この先変えることもないやろう。いや…変えられへんと思うわ。
「拓也。チューして」
「お前は子供か」
そう言いながらも拓也は私にキスしてくれた。びっくりすることに、付き合って一ヶ月たつとゆうのに拓也は私にキス以上のことは何もしてこなかった。2006-01-26 16:57:00 -
135:
杏奈
たたへんのかな?私はあほみたいなことを考えるようになってた。
見た目はいかつくて遊んでそうやのに。でも、一ヶ月記念のその日、拓也は初めて私のことを優しく抱いてくれた。
拓也は今時では珍しいくらい硬派な男やった。
「亜希じゃたたへんのかと思ってた…よかった☆」2006-01-26 17:01:00 -
136:
杏奈
「あほか」
なんやねんこいつ…。俺は心の中で亜希に少しずつはめられていくような気がしてた。
付き合って一ヶ月やらんかったのは、他の男とは違うってゆう誠意を見せたかったから。大事にしたいと思ってたからやった。
亜希は逆に心配やったみたいやけど。2006-01-26 17:04:00 -
137:
杏奈
「亜希のこと好き?」
「うん」「じゃあちゃんと好きってゆってよ」
「なんでやねん」
亜希はいつも俺に好きかって聞いてきてた。もちろん好きやった。でも口に出してゆうものでもないと思ってた。
心で繋がってるなら、それでいいやんって。2006-01-26 17:09:00 -
138:
杏奈
聞かな分からんようなもんでもないし、言わな分からんようなもんちゃうやろうと…思ってた。
でも亜希が聞きたかったなら、ちゃんと答えてあげるべきやった。好きやって言うとけばよかった…。
亜希が俺のこと、忘れてしまう前に…。
分かってたなら俺は何回でも何百回でもゆうてたやろな…「亜希、好きやで」って。2006-01-26 17:13:00 -
140:
杏奈
「もぉ!拓也なんか嫌い!亜希のこと好きちゃうんやろ」
「ちゃうやろ?何で分からんねん。一緒におったら分かるやろうが」
拓也にはいつもそうやって丸めこまれてた。でも私はそれもけっこう楽しかった。拓也に愛されてる気はしてたし、私の拓也への想いも一点の曇りもなくまっすぐやった。2006-01-26 17:17:00 -
141:
杏奈
拓也と付き合ってからの私は毎日が楽しくて幸せやった。拓也の仕事場に遊びに行ったこともあったし、拓也も私の作ったフリーペーパーを見てくれてた。
お互いの仕事を尊敬しあえるのっていいなぁって思った。
でもそんな幸せも、長く続くものではなかった。2006-01-26 17:19:00 -
142:
杏奈
「山口…ちょっと会議室来てくれ」
仕事場で嫌な雰囲気を察した。佐々木リーダーの一声で周りは一瞬静かになった。
私…また何かやった?佐々木さんの後ろからついて行くと誰もいない会議室へと入っていった。
「そこ座れ」
「はい…失礼します」2006-01-26 17:29:00 -
143:
杏奈
「お前…やる気あんの?」やっぱり佐々木さんは怒ってた。
「あります」
「しんどかったらしんどいでいいねん。タウン情報誌から外れてもらってもいいねんで。別のグループの仕事もあるわけやねんから」2006-01-26 17:31:00 -
144:
杏奈
別の仕事?なにそれ…
「嫌です。私ずっと佐々木さんの下で仕事してきたしこの仕事が好きです」
「ほんなら何でここ二ヵ月近くお前の担当した掲載店だけ反響が悪いねん。フリーペーパーは無料やろ?どこから利益が発生するか分かってるやろ。契約先がおってなんぼやねん」2006-01-26 17:36:00 -
145:
杏奈
自分の仕事が全否定された瞬間やった。
うまくいってたはずの仕事が…一気に崩れ落ちた。悔しかった。今まで通りちゃんとやってんのに…。
「俺前にゆうたよな?誤字脱字、写真のブレ、とにかくミスが増えたって」
「はい…」
「逆にひどくなってるやんけ。確認したらすぐ分かるようなもんやのにそのまま提出してきて」2006-01-26 17:41:00 -
146:
杏奈
「あの…確認…しましたよ。ミスはなかったと思うんですけど」
「もう分かった。お前はそんな気持ちで仕事してんねんな。明日から牧野主任の部でやってくれ。デスクの整理は周りのみんなの手前もあるし、終わった後にしてくれ」
「あのっ…ちょっと待って下さい」
佐々木さんは私の言葉に耳を貸すことなく出て行った。2006-01-26 17:44:00 -
147:
杏奈
「なんで…よ」
自分でも理解できひんかった。ちゃんと真面目に誰よりもいいものを作りたい、そう思ってやってた。それやのに…
牧野主任の部って?あそこただの雑用ばっかりやん。くだらん懸賞品考えたりするだけ…
私あんなことしなあかんの?2006-01-26 17:47:00 -
148:
杏奈
「締切明日やから!」
「確認とれたんで今から行ってきます!」
忙しそうなみんなの声が飛び交う社内。会議室から戻った私のことなんて誰も気付いてなかった。
デスクの上に広がる資料や私が二年前初めて一人で担当したお店の店長さんとの写真が目に映る。
私はそれを一人で黙って片付けた。2006-01-26 17:52:00 -
149:
杏奈
私は悔しいのと訳が分からないのとで涙が出そうやった。拓也…どうしたらいいん…
ただ時間だけが過ぎていった。気付けば社内に残ってたのは佐々木さんだけになってた。
でももう何も話すことはなかった。佐々木さんは仕事人間やし、多分ミスの連続やった私に呆れてたやろうから。2006-01-26 17:56:00 -
150:
杏奈
片付けが終わって、明日からの部に荷物を運ぼうと私がドアを開けた時、佐々木さんから言われた。
「ちょっと反省して帰ってこい。お前は俺の部下や…期待してるからこそ厳しいこともゆうねんぞ。様子見てまた戻すから。頑張って戻ってこいな」
「はい!絶対戻ってきます。お疲れ様でした」2006-01-26 18:00:00