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君の存在

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  • 1:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしにとって、あんたは何?
    あんたにとって、あたしは何?
    時は流れても、消える事のない、君の存在……

    2006-01-25 02:45:00
  • 2:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『…もう別れる』拓『何でやねん!』奈湖『何でって…普通に無理やん。許されへん』拓『俺が悪いのは分かってる!でも、もうせえへんから!』奈湖『ごめん。無理……』

    2006-01-25 02:49:00
  • 3:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    ハァーッ…拓が重い溜息をつく。あたしは唇を噛み締めて、拓の部屋を後にした。

    中学3年生、15歳。あたしと拓は別れた。

    2006-01-25 02:55:00
  • 4:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓は一言で言うと、ヤンキーだった。金髪の髪に、変形させた制服。授業の時間に、教室にいる事なんて、滅多になかった。
    一方あたしは、見た目も真面目、どこにでもいるような、田舎の中学生だった。そんなあたしが拓と付き合うなんて、学校中の誰もが、信じられなかったと思う。

    2006-01-25 03:04:00
  • 5:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    学級委員をしていたあたしは、担任に頼まれ、良く拓や同じクラスのヤンキー達に、伝言を伝えていた。奈湖『また授業さぼったやろ?先生が後で、職員室来いやって』ヤンキー達『うっさいぼけ!』『お前関係ないやんけ!』

    2006-01-25 03:12:00
  • 6:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (あたしだって、あんたらなんかに、話しかけたくないわ…)毎回毎回、ヤンキー達に文句を言われ、時には『ぶすは黙っとけ!』とまで言われた。奈湖『あたしも面倒臭いし、嫌やし!言われたなかったら、言われんようにしたら!』

    2006-01-25 03:16:00
  • 7:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしは真面目だったが、気はとても強かった。だから文句を言われたら言い返していたし、そんなあたしを、『かわいげのない女』と、影で言っていたのも知っていた。(ほんま面倒臭い、係わり合いたくない…)
    4月のクラス替えから、3ヶ月が経とうとしていた頃だった…

    2006-01-25 03:24:00
  • 8:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    部活を終えて、教室に忘れ物を取りに行った時だった。拓『飯江![奈湖の名字]』奈湖『えっ?』静まり返った誰もいない教室に、いきなり拓が入って来た。奈湖『びっくりした…どうしたん?』拓『なぁ、俺と付き合ってくれへん?』

    2006-01-25 03:30:00
  • 9:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あまりに突然過ぎる拓の言葉に、あたしは言葉を失った。呆然と立ち尽くすあたしに、拓『まぁ、考えといてや!』そう言って、拓は去って行った…

    2006-01-25 03:34:00
  • 10:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓があたしを好き…?からかわれてるだけ…?最初はとてもじゃないけど、拓の気持ちを、信じる事が出来なかった。でも告白された次の日から、明らかに拓を意識している、あたしがいた。

    2006-01-25 03:39:00
  • 11:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓の周りのヤンキー達も、拓から言った事を聞いたんだろう。『あれが拓の好きな女やで!』『え?もう付き合ってんの?』『拓ってあーゆうのが好みなん!』聞こえてくる声を聞きながら、少しずつ拓が真剣に言ってくれたんだと信じる事が出来た。

    2006-01-25 03:46:00
  • 12:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (返事してないなぁ…)そう思いながらも、あたしと拓が付き合うなんて、自分でも想像がつかなかったし、意識はしていたものの、好きと言えるのかどうかさえ、良くわからなかった。

    2006-01-25 03:49:00
  • 13:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    突然の告白から、一週間が過ぎようとしていた。夜、家でテレビを見ていたあたしに、『奈湖〜!澤君て子から電話〜!』と、大きな声で呼ぶ、母の声が聞こえた。(澤…って、拓やん!)

    2006-01-25 03:53:00
  • 14:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    深呼吸をして、保留ボタンを解除する。奈湖『もしもし…』拓『あ、俺。分かる?』奈湖『分かるで』拓『いきなり電話してごめんな。この前の返事…』(ついに来た…)どうしようと悩むあたしは、言葉に詰まった。拓『やっぱ俺みたいなん無理かぁ…』黙っているあたしに、拓は悲しそうに呟いた。

    2006-01-25 03:58:00
  • 15:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『あんな…てか、何であたしなん?』精一杯考えて、出た言葉がこれだった。拓は小さく『えっ?』と聞き返しながらも、次の言葉が出ないあたしに、ゆっくりと話し出した。

    2006-01-25 04:02:00
  • 16:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『まぁぶっちゃけ、顔がタイプってのが最初に思ってて。でも何か、毎回面倒臭いのに、俺らに伝言伝えに来てくれたりしてて、ええ奴やなって思って、でもそうかと思えば、俺らにも平気で文句言うし!でもそれって、俺らがヤンキーでも、普通に接してくれてるって事やん?』

    2006-01-25 04:07:00
  • 17:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『んで気になってって…てか!んな事言うん照れるやんけ!』受話器の向こうで、照れている拓が、目に浮かんだ。奈湖『プッ』拓『笑うな!』しばらく二人で笑った後、拓が急に真剣に言った。

    2006-01-25 04:11:00
  • 18:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『俺さぁ、はっきり言ってあほやけど、だからこそ、お前みたいな、しっかりした女がいいねん。お前とおったら、俺変われる気するし。だから…真剣に付き合って下さい!』
    その言葉で、あたしの迷いは吹き飛んだ。奈湖『うん…』拓『まじで?やった〜!』

    2006-01-25 04:18:00
  • 19:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    こうしてあたしと拓は、付き合う事になった。7月に入ったばかりの頃だった。

    2006-01-25 04:20:00
  • 20:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    実際付き合ったと言っても、あたしは夏で引退する部活に励んでいたし、拓は拓で、今までのように、友達とつるんでいる事の方が多かったので、これと言って、変わりない毎日を送っていた。この当時、携帯はなくて、たまに夜に、拓の方から、家に電話があって話す以外は、今までとそう変わりはなかった。

    2006-01-25 04:29:00
  • 21:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そして一学期を終え、部活も引退になり、夏休みを迎えた…

    2006-01-25 04:32:00
  • 22:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    受験生のあたしは、週に3回は、塾に通っていた。でも部活がなくなった今、あたしの時間は有り余っていて、この頃から、拓と過ごす時間が、とても多くなっていった。

    2006-01-25 04:36:00
  • 23:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしは拓のお母さんには、とても好かれていた。『奈湖ちゃんのおかげで、この子も少しは、真面目になってくれて…』実際あたしは、拓と付き合ってから、『悪い事は止めてな』と言ってきてたから、学校での生活も、少しはましになっていた。

    2006-01-25 04:42:00
  • 24:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    付き合う時に言ってくれた言葉通り、拓はあたしと付き合って、以前よりは真面目になってくれた。その拓の努力と気持ちが、あたしはとても嬉しかったし、夏休みに入ってから、拓と過ごす時間が増えた事によって、あたしは拓を、どんどん好きになってるのが、自分でも分かった。

    2006-01-25 04:46:00
  • 25:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    それに拓の周りには、同じ中学、別の中学のヤンキー仲間がいっぱいいて、その中には女の子もいっぱいいた。あたしよりも、大人っぽくて、かわいい女の子ばかり…(ほんまにあたしでいいんかなぁ…)

    2006-01-26 01:30:00
  • 26:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『あたしにも…拓しかおらん!』

    今まで好きになった人なんかと、比べものになんかならない。これが、人を愛するって事なんだ。

    2006-01-26 01:37:00
  • 27:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そしてその頃から、勉強ばかりじゃ息が詰まるから、って事で、よく二人で出かけた。映画を見たり、買い物をしたり、花火に行ったり。狭い田舎で、あたしと拓がデートしていた事は、色んな人達に目撃されて、あっという間に広まった。

    2006-01-26 01:46:00
  • 28:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そんな時だった。塾の帰り道、もう日も沈みかけた頃に、駅前を歩いていたあたしに、『なぁ、ちょっと!』と、見知らぬ女の声で、呼び止められた。振り返ると、そこには2ケツで原チャにまたがった、知らないヤンキーの女の子がいた。

    2006-01-26 01:50:00
  • 29:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    女の子?『自分さぁ、拓の女?』(何なん、急に…)黙っているあたしに、その子は言った。女の子?『別に普通やん!えみのがかわいいし!』(えみって誰やねん…)女の子?『まぁ間違いなく、あたしのがかわいい♪』(こいつがえみ…?)女の子?『まぁ何し、早拓と別れて!』女の子?『拓はえみのもんやし!』

    2006-01-26 01:55:00
  • 30:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そう言いたい事だけ言って、その子達は去って行った。(何やねん…)ただ分かったのは、きっとえみは、拓の別の中学のヤンキー仲間で、えみは拓が好きって事だった。

    2006-01-26 01:59:00
  • 31:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    イライラしながらも、拓にはその事は話さずに、また幸せな日々を送っていた。

    ある日、拓の部屋で、過ごしている時の事だった。拓がやたらと、くっついてくる気がして、(これはキスする予感かも…)なんて、のんきにあたしは、ドキドキしていた。

    2006-01-26 02:06:00
  • 32:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    今となればびっくりする話だが、付き合って1ヶ月半、外でデートする時に手を繋ぐ以外は、拓は一切あたしに、手を出してこなかった。

    2006-01-26 02:09:00
  • 33:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしが宿題の手を休めて、ふいに拓を見た。拓もあたしを見る。無言で見つめ合う。そして拓が、あたしを抱き寄せた。(ついにキスするんや…)心臓の音が、聞こえるんじゃないかってくらい、あたしはドキドキしていた。

    2006-01-26 02:14:00
  • 34:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そして、拓はゆっくりと、あたしの唇に、自分の唇を重ねた…
    10秒くらいの、長いキス。ただ唇を重ねるだけの、軽いやつだけど…
    (拓、愛してる。ほんまに幸せや…)

    2006-01-26 02:19:00
  • 35:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    唇が離れた。でも拓は、これで終わりじゃなかった。幸せに浸ろうとするあたしのスカートを、拓はチラッとめくった。奈湖『ちょっ…何すんの!?』拓はあたしの言葉を無視して、座っていたソファに、あたしを押し倒した。

    2006-01-26 02:23:00
  • 36:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『嫌やって!』あたしは拓を突き飛ばした。拓は(何で…?)って顔で、キョトンとしている。(エッチなんか、まだ早い…)それがその当時の、あたしの気持ちだった。あたしだけじゃなくって、同い年の間でも、キスの話では盛り上がれても、エッチの話なんか、出てもこなくて、まだまだ先の事やって思ってた。

    2006-01-26 02:29:00
  • 37:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『奈湖!ごめん!もうしんから!泣くなや!』知らないうちに、あたしの頬を、ポロポロと涙が伝っていた…自分でも気付かずに、拓の声にハッとする。(びっくりした…恐かった…)今となれば良く分からないけれど、きっとそんな気持ちだったと思う。

    2006-01-26 02:34:00
  • 38:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしの頬の涙を拭こうとする拓の手に、ビクッとする。拓『ほんまごめん…もうせんから…怖がらんとって…』優しい拓の声に、あたしは落ち着きを取り戻した。

    2006-01-27 02:05:00
  • 39:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    二人の間に、気まずい空気が流れる…(拓、あたしの事、嫌になったかな…)あたしの中では、エッチなんてまだ早かったけど、きっと拓の周りのヤンキー達は、そういう事も、付き合ってれば普通なんだと思う。

    2006-01-27 02:09:00
  • 40:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓の顔を、申し訳なさそうに、チラッと見る。拓『ん?』拓の優しい声を聞いて、あたしはまた、涙が出てきた。拓『どうしてん?奈湖?もうせんから!安心して大丈夫やで!』(きっと拓には、あたしがそれほど、嫌やったって風に、伝わってるんや…)

    2006-01-27 02:17:00
  • 41:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『違う…違うねん…』拓『ん?』奈湖『あたし…びっくりしたけど…拓の事は、ほんまに好きやし…』拓は優しく笑って、あたしの頭をポンポンってしながら、拓『分かってるって』と言った。そしてあたしをギュッとしながら、言ってくれたんだ。

    2006-01-27 02:21:00
  • 42:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『俺が焦って、奈湖を怖がらしたんが、悪かった。確かに俺は、お前の事好きやし、ぶっちゃけやりたいと思う。そんな俺の事、嫌になる?』あたしは無言で、首を大きく横に振った。(もう少し時間が経って、心の準備が出来たら…あたしも拓が好きやし…)

    2006-01-27 02:42:00
  • 43:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『じゃあ俺は、お前がいいってなるまで、ちゃんと我慢する!お前の事がほんまに大事やから、泣かれるんは嫌やし!ただ分かって?俺はやりたいだけじゃなくって、お前を愛してるから、抱きたいって思ったんやで!』

    2006-01-27 02:45:00
  • 44:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓の言葉が、スゥーッと胸に染み渡る…(頑張って早く、拓を受け入れられる、自分になろう…あたしも拓を愛してるから、結ばれるのは、当たり前の事なんや…)そう思ったのに…拓の言葉を信じたのに…何で拓は、あたしを裏切ったん?

    2006-01-27 02:49:00
  • 45:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    それから残りの夏休みは、平穏に過ぎていった。拓の部屋にいる時は、拓は、『心の準備は出来たかぁ?』とか、『早くやらせろやぁ!』とか言ってたけど、そんな冗談も、笑って過ごせるようになってたし、あたし自身が、そろそろ拓に抱かれてもいいかなって、思えるようになっていた。

    2006-01-27 02:54:00
  • 46:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    でも『もう準備出来たよ』とか言うのも変だし、自分からそんな雰囲気も出せないし…
    そうこうしてる間に、あたしは塾の最後の追い込みを迎えて、夏休みの最後1週間ほどは、全く拓と会えなかった。

    2006-01-27 02:59:00
  • 47:

    名無しさん

    2006-01-27 09:08:00
  • 48:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    明日から2学期が始まる、そんな時に、事件は起きた。夏休み最後の塾に通い、今日は模試を終えて、家までの道を急ぐところだった。
    『ちょっと!』聞き覚えのある、やたら偉そうな声で、呼び止められる。奈湖『?』

    2006-01-28 23:33:00
  • 49:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    振り返ると、またもや原チャにまたがった、以前にも声をかけてきた、2人組の女がいた。(何の用やねん…)そう言わんばかりの目で、相手を見る。えみ『多分知らんやろうから、教えといたるわ!』奈湖『?』えみ『えみ、拓とやったから!』奈湖『はっ!?』えみ『拓初めてで、めっちゃかわいかったで!』

    2006-01-28 23:39:00
  • 50:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    頭を鈍器で殴られるような衝撃…とは、こういう事を言うんだろうか。言葉を失うあたしを見て、2人はニヤニヤしている。えみ『やっぱ知らんかったん〜?』(嘘やんな…?)あたしの心を見透かすように、えみ『嘘ちゃうし、何なら拓に聞いてみれば?』その言葉を聞いて、あたしはその場を、走って逃げだした。

    2006-01-28 23:43:00
  • 51:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (早く1人になりたい…)そんな思いで、無我夢中で家までの道のりを急いだ。

    バタンッ…自分の部屋のドアの閉まる音を聞いて、少しホッとする。

    2006-01-28 23:50:00
  • 52:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (ほんまに拓は、あの子とエッチしたん…?)胸騒ぎがする…でも、拓を信じたい…モヤモヤしながらも、いくら考えても、答えは出てこない…

    その日の夜、拓からの電話に、初めて居留守を使った…あたしが眠りにつくまでに、計3回ほどかかってきた。(居留守使てんの、バレてるやろうな…)あたしがそんな時間に、家にいない事はないから。

    2006-01-28 23:56:00
  • 53:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そして2学期。あたしはなるべく、拓と目を合わさないようにして、話しかけられても、軽く返事だけをして、そそくさとその場を去るようにして、拓を避けた。(拓もあたしの異変に気付いてる…)そう思いながらも、拓の目を見る事が出来なかった。

    2006-01-29 00:00:00
  • 54:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしはその日の授業が終わると、急いで荷物をまとめて、学校を飛び出す。親友の美和が、『ちょ、奈湖待って〜や!何そんなに急いでるん!』そう言って追い掛けて来る。学校の門を出ようとした時だった。

    『奈湖!!!!』

    2006-01-29 00:04:00
  • 55:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    振り返らなくても分かる…拓の声だ…美和『何かあった?今日1日、奈湖変やったし…』心配そうな美和の問い掛けに、答える間もなく、拓がこちらへやって来た。

    拓『ちょっと待てや!』奈湖『…』拓『何か怒ってんのか!?』その一言で、あたしは今日初めて、拓の目を見た。

    2006-01-29 00:09:00
  • 56:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓の目を見た瞬間…あたしの目から、ポロポロと涙がこぼれ落ちるのが、自分でも分かった。昨日から今日にかけての、不安、苦しみ、嫉妬…拓『お前、今からちょっと、俺ん家来い!』ただならぬあたしの様子を見て、拓は言った。

    2006-01-29 00:12:00
  • 57:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    黙っているあたしに、美和が言った。美和『何かあったんなら、ちゃんと話し?あたしの事は、気にせんでいいから!』拓は美和に、拓『ごめんやけど、ちょっと話したいし、1人で帰ってくれる?』と言うなり、あたしの手を引っ張り歩き出す。あたしは無言のまま、拓に手を引かれるがまま、拓の自転車が止めてある場所まで歩いた。

    2006-01-29 00:17:00
  • 58:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『とりあえず、家で話そ。乗って!』あたしは言われるがまま、拓の後ろに、立った状態で乗った。拓が自転車をこぎだす。家までの数十分、お互い無言のままだった…
    そして拓の家に到着し、拓の部屋に入った。
    バタンッ…ドアが閉まる。

    2006-01-29 00:29:00
  • 59:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『奈湖…どうしてん?何かあったんか?』(ナニカアッタ…?)拓の不思議そうな声に、あたしはやっと、口を開いた。奈湖『昨日…えみって子と会った…』嘘やって欲しい気持ち半分、諦め半分って感じで、拓を見つめた。

    2006-01-29 00:33:00
  • 60:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    えみの名前が出た瞬間、拓の顔つきが変わるのを、あたしは見逃さなかった。(やったんや…)えみに言われた時よりも、もっともっと強い、衝撃だった。拓『ごめ…』奈湖『何でなん!?何でそうなったか、分かるように説明して!!』

    2006-01-29 00:37:00
  • 61:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    きっとすごい顔で、拓を睨みつけていたと思う。拓は少し黙って、重い口を開く。拓『あんな…』奈湖『嘘とかいらんしな!どういう状況で、何でそうなったかだけ、さっさと言うて!』そして拓は、ポツリポツリと話し出した。

    2006-01-29 00:43:00
  • 62:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしが塾で忙しい間に、久しぶりに、友達大勢で遊んだ事。たまたまえみの家で、みんなで飲んでいた事。そしてえみの気持ちを知っているみんなが、拓とえみを、2人きりにした事。そしてえみが、『エッチしよ』と、誘ってきた事。

    2006-01-29 00:46:00
  • 63:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『正直そん時、お前の顔が、思い浮かんだ。でも、えみが脱ぎ出して、俺のん触ってきて…』奈湖『…もういい…分かった…』

    2006-01-29 00:50:00
  • 64:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そして冒頭でも書いたように、あたしは拓の部屋を出て行った…

    中学3年、15歳、あたしと拓は別れた…2ヶ月ほどの付き合いだった。

    でもこれからの人生、拓と係わり合いながら生きて行く時間は、想像もしないほど長い…

    2006-01-29 00:57:00
  • 65:

    名無しさん

    2006-01-29 02:49:00
  • 66:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    別れたと言っても、毎日学校へ行けば、拓と顔を合わす。拓は何度か、あたしに普通に話しかけてきたが、あたしは適当な返事を返すだけで、拓を避けていた。『あの2人、別れたらしいで!』付き合った時以上に、別れた噂は、学校中に広まった。

    2006-01-30 12:45:00
  • 67:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    えみのように、あたしが拓と付き合った事を、良く思わない女の子は、沢山いただろうし、別れた事を知って、拓を狙う女の子も、少なくなかった。

    2006-01-30 12:53:00
  • 68:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (拓は誰かに告白されたら、付き合うのかなぁ…)
    自分が別れたいって言った。『ごめん、許して』と言う拓を、突き放した。でも、嫌いになったんじゃない。あたしは、拓が他の子とエッチしたという事実が、受け止められなかった。許せない…のは確かだけど、その事で、どれだけショックを受けたか、拓の事を愛していたかを、痛感した。今でも…

    2006-01-30 12:58:00
  • 69:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    それでもどうする事も出来ないまま、時間だけが過ぎていく…
    美和『拓君さぁ、誰に告白されても、まだ奈湖が好きやから、って、断ってるらしいで…』あたしは美和には、別れた理由も、今の気持ちも話していた。奈湖『そうなん…』美和『そうなん…って…まだお互い好きやねんし…』

    2006-01-30 13:10:00
  • 70:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そう言って美和は、それ以上言うのを止めた。あたしの複雑な思いも、知っているから…中学生のあたし達にとって、それほどエッチするというのは、大きくて重い事だった。美和『辛いなぁ…』2人で溜息をついた。

    2006-01-30 13:14:00
  • 71:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    その当時、あたし達の間では、ポケベルを持つのが流行っていた。(これを書くと、今の年が、バレちゃいそうですが…)あたしも親に頼み込んで、やっとの思いで、ポケベルを手に入れた。そして、ポケベル購入から、3日ほど経ったある日、夜部屋で過ごしているあたしの、ポケベルが鳴った。

    2006-01-30 13:20:00
  • 72:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs


    [タクヤケド。ナコヲキヅツケテ、ホンマニコウカイシテル。オマエトハナサレヘン、オマエガワラッテクレヘンマイニチガ、コンナニツライトオモワンカッタ。オレハイマデモ、コレカラサキモズット、オマエヲアイシテルカラ。]

    2006-01-30 13:25:00
  • 73:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    1度に入る文字数が少ない為、何度かに分けて、送られてきた。あたしは胸がキューッとなりながら、目には涙が浮かんできた。(拓…あたしも今でも、拓を愛してる…)この言葉が言えたら、どれだけ楽になれただろう…

    2006-01-30 13:28:00
  • 74:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    翌日美和から、『拓に奈湖のベル番聞かれたから、言ってもうた…』と、申し訳なさそうに言われた。美和に入って来た内容を見せて、また『辛いなぁ…』って、2人で溜息をついた。

    2006-01-30 13:32:00
  • 75:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓には返事をしないまま、そのメールを保護だけして、また時間は過ぎていった。拓の事は好きだけど、今はどうする事も出来ない…いつかあたしが、許せる時が来たら…そうしてあたしは、自分の気持ちを押さえて、今は受験勉強に専念する事にした。

    2006-01-30 13:43:00
  • 76:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    ある日の塾の帰り道。塾は駅前にあって、駅前には沢山の人達がいる。その中に、拓のヤンキーグループを見つけた。拓はいなかったが、拓がいつもつるんでる友達、えみもその中にいた。えみの顔を見た瞬間、少し落ち着いていたはずの気持ちが、またよみがえる…

    2006-01-30 13:44:00
  • 77:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (関わりたくない…)小走りに駆け抜けようとするが、運悪く、拓の友達の、智喜に見つかった。それでもあたしは、えみの姿が見えなくなる場所まで、駆け足で通り過ぎた。『飯江!』ちょうどあたしが、足を緩めた時だった。振り返ると、ハァハァと息を切らしながら、駆け寄って来る、智喜の姿が目に入った。

    2006-01-30 13:50:00
  • 78:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『どうしたん…?』智喜『あのさ…』智喜はよほど全速力で走って来たのか、少し呼吸を落ち着けてから、真剣な顔で聞いてきた。智喜『もうさ、拓の事、好きじゃないの?』

    2006-01-30 13:54:00
  • 79:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    あたしは智喜とは、一緒のクラスになった事はない。むしろ、話した事も、数えるくらいしかない。奈湖『何なん?急に…』智喜『俺がこんなん言うんも、あれやけど…拓の事さぁ、許せへんの?』奈湖『…』

    2006-02-01 02:31:00
  • 80:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    智喜『ほんまにあいつさ、お前の事好きやったで!』(じゃあ何で、あたし以外の女と、エッチする訳…?)智喜はあたしの心を見抜くように、続けて言った。智喜『正直俺らが、煽ったんが悪かった。でもな、えみはパンコやし、拓はあいつの事なんか、何も思ってへんし!』

    2006-02-01 02:36:00
  • 81:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    (何とも思ってない女と、何で出来るん…?しかもパンコの女とやって、もしあたしが知らんままやったら、その後で、あたしを抱いてたって事やん…?)智喜の言ってる事が、理解出来ない。拓に対して、ショックよりも、苛立ちの方が、大きくなってきた。

    2006-02-01 02:40:00
  • 82:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『無理やわ…』あたしはそう一言言って、智喜に背を向けて、歩き出した。智喜はそれ以上、何も言って来なかった。

    いつかあたしも、エッチをするだろう…でもそれは、好きな人とやんな?

    2006-02-01 02:47:00
  • 83:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    次の日、あたしは拓に、呼び止められた。拓『奈湖!』駆け寄って来る拓を、どうにも無視出来なかったので、奈湖『何?』と、無愛想に答えた。拓『昨日さ、智喜の奴が、いらん事言ったやろ?ほんまごめんな…』

    2006-02-01 02:51:00
  • 84:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『別に、拓が謝る事ちゃうやん…』拓『いや、でも、気悪さしたかな…思て…』(拓のこういう優しいとこ、好きやったなぁ…)しみじみ思った。奈湖『ええよ。気にしてない。』拓『ほんまに?良かった…』そう言って、拓はホッとしたように笑った。つられてあたしも笑った。

    2006-02-01 02:55:00
  • 85:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    何故かこれがきっかけで、卒業までの半年ほど、拓とは普通に話せる関係まで戻れた。あくまで学校で、友達として、話すだけだけど…でも気まずかった頃よりも、話せる関係に戻れて、良かったと思う。

    2006-02-01 02:58:00
  • 86:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    卒業までの半年は、あたしは受験勉強に追われて、恋愛の事なんか考える余裕もないくらい、必死に勉強に励んだ。あっという間に時間は流れて、明日は卒業式だ。

    2006-02-01 03:01:00
  • 87:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    その日の夜、拓から電話があった。付き合っていた頃は、良く電話していたけど…半年ぶりくらいの電話に、少し緊張しながら出た。奈湖『もしもし…』拓『急にごめんな!明日もう、卒業式やん!』最初は普通に、今まで勉強が大変だったとか、世間話やらをしていた。

    2006-02-01 03:05:00
  • 88:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『あのさ、明日卒業式終わってから、俺、明日の為に特注したやつあんねん!』あたし達の学校では、卒業式が終わって、1度教室に戻ってから、担任の話を聞いて、それから学校の門の所まで、在校生達の拍手の中を、歩いて学校を後にするという風に、毎年決まっていた。

    2006-02-01 03:11:00
  • 89:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そしてヤンキー達は、卒業式はまともな制服で出席して、それが終わると、ここぞとばかりに、刺繍やら変形させた制服に着替えて、最後にひと暴れする。毎年の事だ。

    2006-02-01 03:14:00
  • 90:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    奈湖『特注したん?あほやなぁ…』拓『まぁ見といて!俺めっちゃかっこええし!』奈湖『それ言う為にかけてきたん?』拓『うん!』奈湖『そんなん明日言えよ…』そんなあほな話をして、電話を切った。

    2006-02-01 03:18:00
  • 91:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    そして卒業式当日。卒業式と担任の話も無事に終えた。あたしは何やかんやで、3年間の思い出を胸に、号泣やった。担任『それじゃ、最後門の所まで、みんなで歩くぞ!』それぞれが教室を出て、下駄箱で靴を履きかえる。『…続いて、3年5組〜』スピーカーからアナウンスが聞こえる。

    2006-02-01 03:25:00
  • 92:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    『キャー』黄色い歓声が上がり、ヤンキー軍団が、この日の為に特注した制服を身に纏い、登場する。(アイドルかよ…)そう思いながらも、あたしもボーッと見ていた。同級生も在校生も、ヤンキー軍団に群がる。今日は卒業式。みんな第2ボタンが欲しいんだろう。何メートルか先の光景を、ぼんやり見ていたあたしに、美和が言った。『ちょ!奈湖!あれ見て!』

    2006-02-01 03:35:00
  • 93:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    美和の指す方に目をやる。奈湖『え?どうしたん?』美和『拓の見て!背中んとこ!』

    [一生一度のこの命、奈湖の為なら、散っても悔なし我が人生]

    2006-02-01 03:40:00
  • 94:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    胸が久しぶりに、キューッとなったんが分かった。(拓…)あれからも、拓が色んな女の子に、告白されたんを、あたしは知ってる。でも、それを全部、断ってきたんも知ってる。拓は今でも、あたしの事が、好きなんやろうか…

    2006-02-01 03:44:00
  • 95:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    美和に『な?見た?』と言われて、奈湖『何あれ…ださい…』と言ってしまう。最後まで、あたしは素直じゃない。
    『奈湖!!!』そんなあたしを、呼ぶ声がした。

    2006-02-01 03:47:00
  • 96:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓が駆け寄って来る。拓『これやるわ!』そう言って、1つを残して、制服のボタンは全て無くなっている中で、残っている最後のボタン…上から2こ目のボタンを、あたしに差し出した。奈湖『ありがとう…』ちょっとだけ素直に言えた。ほんまに嬉しかったから。

    2006-02-01 03:53:00
  • 97:

    少女A

    失礼します!頑張って下さい!>>1-200

    2006-02-01 03:54:00
  • 98:

    まぃ

    ??

    2006-02-01 04:36:00
  • 99:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    少女Aさん、まぃさん、読んで下さって、ありがとうございますm(__)m誰も読んでくれてる人いないんかな…って、凹んでました★

    2006-02-01 11:10:00
  • 100:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓『…』何か言いたそうな顔の拓。(あたしも、拓に話したい事があるよ…)『拓!早来いや!』仲間の呼ぶ声がする。拓『ほなな!俺行くわ!』(ちょっとだけ、あたしと話をして…)その言葉が出てこない。拓は悲しそうな顔をして、仲間のもとへ去って行った。結局何も話せないまま、あたしは学校を、後にした。

    2006-02-01 11:18:00
  • 101:

    奈湖 ◆VE2vvcSGSs

    拓が好きやった。裏切られても、その気持ちは消しきれんかった。別れてからの方が、拓の気持ちや、誠実さが、良く分かった。あの時拓が言ってくれたなら、あたしは迷わなかったよ?

    2006-02-01 11:22:00
  • 102:

    名無しさん

    書かないの?

    2006-02-05 00:56:00
  • 103:

    名無しさん

    ????????????

    2006-02-05 01:29:00
  • 104:

    名無しさん

    2006-02-06 14:35:00
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