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絆-Kizuna-

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  • 1:

    頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m

    2005-06-26 01:28:00
  • 250:

    「ほんじゃー行くね。いってきます」
    そう言って晃太は出て行った。
    私はウキウキだった。何だか特別な気がして嬉しかった。渡された合鍵を見ていると自然と顔がにやけてくる。馬鹿みたいな顔だ。
    早く用意しなきゃ。そしてシャワーを浴び、私も用意を始めた。
    何着てこっかなぁ。暑いだろうし・・・結局白のタンクとジーンズで行くことにした。まだ時間もあったので髪を軽く巻いて、鏡の前で晃太に貰った帽子をかぶってみた。
    よし!オッケー。こんな感じでいいや。
    少しテレビを見た後、私もマンションを出た。

    2005-07-20 03:23:00
  • 251:

    タクシーを拾い
    「***までお願いします」
    と言うと、それから私はボーっと外を眺めていた。暑いなぁ今日も。
    タクシーで球場に近付くにつれユニホームを着た人達が何人か見えてきた。そしてタクシーをおり私は言われていた窓口を探した。
    あ、ここだ。
    「矢口さんから相川でチケットが〜」
    晃太に言われとおりに窓口の人に言うと、そのままチケットを渡された。すごいなぁこんな簡単に出せるもんなんだぁ。
    入口ゲートを探し、球場に入った私はチケットに記範されていた席を探した。
    探していくうちにどんどん下のほうに行った。

    2005-07-20 03:33:00
  • 252:

    やっと見つけた!と思ったら、もうそこはビックリするぐらいよく見える席だった。
    ベンチのちょうど上あたり。私は席を確認した後、飲み物を買いに行った。戻ると練習風景が見える。
    晃太どこなんだろ?いるのかな?まだ練習中な球場内はファンの人達が前に群がって練習を見ている。
    その時誰かに呼ばれた気がした。あれ?気のせい?
    「由里ーこっち」
    あれ?また聞こえた。
    キョロキョロ周りを見ているとそこには晃太がいた。中から手を振ってる。それに気付いた周りのお客さん達も私を見た。
    ちょ、ちょっと・・・何なのこの空気。

    2005-07-20 03:41:00
  • 253:

    晃太は呼ぶだけ呼んでおいてすぐ練習に戻った。
    ジロジロ見られてる。どうしよう・・・私は目線をそらし下を向いた。その中でも特にYAGUCHIと書かれたユニホームを着た女の子はずっと私を見続けていた。
    それからしばらくして女の子達は私の横を通って行く。すれ違いざまに笑っていた。
    「ハハッ全然可愛くないじゃん。似合ってないし。調子乗って見に来てんじゃねーっつーの。ハハハッ」
    笑い声が耳ざわりだった。可愛くない・・・か。別にどうでもよかった。誰に何言われても晃太に言われた言葉で全部忘れられるから。

    2005-07-20 03:49:00
  • 254:

    あの娘達もきっと晃太のこと好きなんだしね・・・晃太のファンなんだもん。
    しばらく練習を見ていると、須藤さんと晃太が楽しそうに笑っていた。やっぱりかっこいいなぁこうして見てると。
    私は晃太の全てに引かれていく気がした。
    観客もどんどん増え、試合が始まり熱気に包まれていく場内。テレビとは全然違う。
    晃太は今日もヒットを打ち、須藤さんも他の人も打ちまくり試合も盛り上がっていく。結局試合はそのまま勝った。

    2005-07-20 03:56:00
  • 255:

    晃太達はベンチに入っていった。鳴りやまない歓声の中、しばらく座っていると携帯が鳴った。
    「もしもし」
    「由里?近くで待っててほしいんだけど。一緒に帰ろう」
    球場近くの場所を説明され、そこのお店で待つように言われた。電話を切り球場を出ると人の多さで目が回りそうになる。
    ただてさえ暑いのによけいに暑くなる。言われたとおりにしばらく歩くとカフェがあった。
    多分ここのことなんだろうなぁ。そう思い中に入って待つことにした。
    まだかなぁ?すぐ出てくると思ってたのに・・・長いよ。

    2005-07-20 04:03:00
  • 256:

    その時晃太から電話が鳴り、前に着いたみたいだから会計を済まし外に出た。
    晃太のベンツが止まっていたので急いで乗り込んだ。
    「遅いよぉー」
    ちょっとふくれた私をみて平謝りする晃太。
    「ごめんごめん!なんか旨いもんでも食いに行こ。機嫌なおしてよ」
    「分かったぁ」
    そうは言ったけど機嫌なんて悪くないよ。怒ったふりしただけ。今日は本当に楽しかったもん。
    「しゃぶしゃぶでも行こっか」
    晃太が行きたいとこならどこでもいい。一緒にいれるなら。

    2005-07-20 04:10:00
  • 257:

    お店に着きメニューを見ていた晃太は、とりあえずお酒を飲みたそうだった。
    「いーよ飲んでも。帰り由里運転するから」
    「マジで?いいの?」
    嬉しそうな晃太。喜んで注文していた。
    その時、晃太の携帯が鳴った。笑っていた顔つきが変わっていく。困ったような顔に。
    誰?・・・聞かなくても分かる。だから聞かない。聞きたくない。

    2005-07-20 04:14:00
  • 258:

    「由里ちょっとごめん。アミだわ。やましくもないし由里に心配させたくないからここで出ていい?」
    出ていい?って聞かれても・・・。私はとりあえず頷いた。
    「もしもし」
    「なんだよだから」
    「今彼女と飯食ってんだって。いい加減にしろよ。もうかけてくんな」
    そんな言葉がずっと繰り返される。アミって人、晃太に未練あるんだろうな・・・てゆうかモデルなんだよね。超キレーだったし。
    「しつこいんだよ」
    最後に晃太は怒った声で電話を切った。
    シーンとする空気。

    2005-07-20 04:21:00
  • 259:

    「ごめんな何か」
    晃太が謝ってきた。
    「うん大丈夫。でも元カノ晃太のことまだ好きなんだね」
    「知らねー。意味わかんねーし。彼女できたって言ってんのに私は雑誌の専属決まったからとかワケわかんねーこと言ってきてさ」
    「へ、へぇー」
    雑誌の専属か・・・そういや美香にも聞いてたなぁ。すごい人なのかも。いや、すごい人になってくのかも。
    もしトップモデルにでもなってめちゃくちゃ有名になったら晃太どう思うんだろ?

    2005-07-20 04:27:00
  • 260:

    晃太が選んでくれたのが私でも私はまだ自分の一部しか見せてない。隠してるわけじゃないけど言えない自分がいる。
    でもいつかはばれるんだよね。言わなきゃいけないんだよね。そう思うと不安になる。
    だけど・・・晃太なら、晃太なら大丈夫だよね?
    「由里?」
    考えこんでいた私を見て晃太が言った。
    「ごめんね嫌な思いさせちゃって」
    「え!?あ、大丈夫だって。気にしてないから。でも専属モデルかぁ。すごいね」

    2005-07-20 04:38:00
  • 261:

    「すごいのかな?由里だってすげーじゃん。ずっとナンバー1なんでしょ?昨日お店の子が言ってたよ」
    「すごくなんかないよ・・・そんなの」
    私の声は小さくなった。
    比べられるものじゃない。ホステスとモデルなんて比べるものじゃないよ。
    あんなにプライドを懸けて守り続けていたナンバー1だったけど、さすがにモデルと比べられると・・・胸張って勝つ自信なんてない。誰もがモデルを選ぶはずだから。

    2005-07-20 04:44:00
  • 262:

    色々考えてるうちに食事が済み、もう帰ることになった私達は、会計をしてお店を出ようとした。
    その時晃太は店員さんにサインを頼まれ色紙にあっという間にサインをした。やっぱり晃太は有名人。そして私はただのパンピー。そう思うと寂しくなった。
    今日球場で笑ってた女の子達も、相手が前の彼女だったらあんなこと言わなかったのかもしれないな・・・。
    晃太と家に二人でいる時はあんなに幸せなのに。何も不安になんてならないのに。

    2005-07-20 04:51:00
  • 263:

    ベンツに乗った私は初めて運転する晃太の車に改めてビックリさせられた。
    すごい設備だなぁ本当に。それに晃太を乗せて走るなんて・・・何故か少し緊張した。
    家まで帰っている間、晃太の携帯がまた鳴っていた。でも晃太はもう出なかった。きっとまた元カノだ。
    「いいよー出ても」
    晃太に言った。でも
    「いいよもう。本当あいつしつこいし」
    そう言って携帯の電源ごど切ってしまった。
    それから私達はマンションに着き地下の駐車場に入ろうとした。

    2005-07-20 04:58:00
  • 264:

    その時誰かが車の前に飛び出し立っていた。
    「あいつ・・・マジだりーな」
    そう言って晃太は車をおりていく。あいつって?もしかして前の彼女?
    何か言い合いになった後、その人が私の方に向かって歩いてきた。
    コンコンッ
    とその人は窓を叩く。
    えっ!?私?慌てながらも私は窓を開けた。
    「あんたが彼女?」
    その人は少し怒った声で私に聞いてきた。
    「あ、ハイ・・・」
    小さな声で答えた。
    「聞いていい?何やってる子?学生?タレント?モデル?」
    次々に言葉がでてくる。

    2005-07-20 05:04:00
  • 265:

    「俺だって普段は普通の男なんだよ。普通の女が彼女で何が悪いんだよ?お前は俺を、いちスポーツ選手だと思ってるからそんなにがっついてんだろ?違うか?」
    晃太がそう言うとその人は泣き出してしまった。晃太はそれでも関係なしに車に乗り、私に駐車場に入るように言った。
    行っていいものなのかどうなのか分からず進めないでいると晃太は怒って車をおり、マンションに一人で入って行ってしまった。

    2005-07-20 05:16:00
  • 266:

    するとその女の人は、泣きながら私を怖い顔でにらみつけた。
    「自分が晃太に釣り合ってると思ってるわけ?晃太が誰なのか分かってんの?矢口晃太なんだよ?」
    痛い言葉だった。
    そんなの私が一番よく分かってる。いちいち言われたくなかった。
    返事もせず車を進ませ駐車場に入った。
    昨日は英二で今日は元カノ。本当に波乱ばっかり。晃太と付き合ったばかりなのにこんなんじゃ先が思いやられるよ・・・。

    2005-07-20 05:23:00
  • 267:

    名無しさん

    ?

    2005-07-20 10:36:00
  • 268:

    ?めめ?

    しぉり☆

    2005-07-20 16:07:00
  • 269:

    めっちゃぉもしろぃ(◎^□^◎)続き気になるぅ(>∩<)ヽ

    2005-07-20 17:34:00
  • 270:

    まぁ

    すっごくおもしろくて毎日読んでいるんですが、略が多くてちょっと読みずらいです?できたら略をなくしてもらえますか?

    2005-07-20 21:39:00
  • 271:

    名無しさん

    2005-07-21 07:07:00
  • 272:

    読んでもらってありがとうです?略がない方が私としても読みやすいと思っているのですが、何文字以下なら大丈夫なんですかね?
    いつも長くなってしまうので書き込みの文字数減らしてみます??

    2005-07-21 23:49:00
  • 273:

    車をとめた私は、エレベーターに乗り晃太の部屋に入った。
    晃太はイライラした顔で私を見る。何なの?
    怒りたいのは私の方だよ・・・。
    「何怒ってるの?」
    私が聞いても晃太は黙ったまま答えない。
    「ねー?聞いてる?」
    そう言うと晃太は突然大きな声で怒った。

    2005-07-21 23:58:00
  • 274:

    「さっき何で何も言い返さなかった?悔しくなんなかったの?自分が彼女だから!って迷惑なんだって何で言わないんだよ!あんな風に言われて腹立たなかったの?」
    私は何故か泣いてしまった。悔しいって晃太に言われなくても自分が一番思ってるんだから。晃太が思ってるよりもずっと私は傷付いた。
    「ご、ごめん」

    2005-07-22 00:12:00
  • 275:

    晃太は困った顔で謝ってきた。
    「俺、好きだから由里のこと。だからあいつが由里のこと何も知らないのに普通だとか見下したこと言ってきてむかついたんだ。イライラして・・・由里に当たるとこじゃないのに。ごめんな」
    晃太は大切に思ってくれてる。私もそれを信じてるはずなのに。

    2005-07-22 00:17:00
  • 276:

    目の前に障害物ばっかり現れて、それを乗り越えてもまた新しい障害物が出てきて。
    こんなんで大丈夫なのかな?安心してもすぐまた不安になって・・・何の心配もなく笑ってたいよ。
    晃太のそばにいることが初めは信じられなかったのに、今は一緒にいればいるだけどんどん欲張りになってく。
    晃太と一緒にいることだけで幸せだって思ってたのに。

    2005-07-22 00:29:00
  • 277:

    人って欲張りでないものねだり。
    英二といた時は、たまには家じゃなくて外でデートしたいって思ってたな。
    でも今は晃太と家にいる時が落ち着くし、外で周りを気にするのも疲れるから嫌で。

    2005-07-22 00:47:00
  • 278:

    結局は目の前にある幸せに慣れちゃって、こーじゃないあーじゃないって思って。
    離れたり失うまで当たり前の幸せを気付かない人だっている。でも気付いた時にはもう遅いんだよね。どれだけ相手を思っていて後から気付いたとしても。
    だからそばにある幸せを大事にしたい。見失わないように。

    2005-07-22 02:06:00
  • 279:

    晃太は私の隣に座り肩を抱き寄せて頭を静かに撫でてくれた。
    「よく頑張ったな」
    そう言ってずっと頭を撫でてくれた。
    「嫌にならないの?」
    私が聞くと晃太は優しく笑ってうなずいた。
    「中卒でもホステスでも?晃太に釣り合ってないよ?」
    もう一度聞いてみた。
    「由里はそういうの気になる?学歴とか職業とか。そういうので人好きにならないでしょ?俺は由里が好きなんだよ。そのままの由里が」

    2005-07-22 02:23:00
  • 280:

    そう・・・だよね。私も晃太だからきっと今こうしてるんだもん。
    胸の中にあったモヤモヤがなくなっていく。楽になっていく。言ってよかったな、そう思った。
    「由里は兄弟何人?」
    「え?下に弟と妹が二人。四人だよ」
    「そうなんだー。俺は三人兄弟の一番下。一番上は美容師で真ん中は消防士」
    す、すごいなぁ。で、一番下の晃太はプロ野球選手でしょ。すごい三兄弟だ。
    「弟いくつ?」

    2005-07-22 02:34:00
  • 281:

    「21だよ」
    私は答えながら由輝ももうそんな歳になったのかと少し寂しく思った。由輝は渋谷に住んでるからたまに食事したりよく会うけど、私からすればいつまでも弟だから可愛い。
    21になっても変わらないんだよね。でも最近は一緒にいるとカップルに間違えられたりすることもある。由輝も大人になったってことかな?
    「今度会わせてよ。俺末っ子だから弟ってほしかったんだよね。また一緒に野球も見においでよ」
    晃太はそう言ってニコッと笑った。だめだ・・・この顔。こんな可愛い顔されたら目が離せなくなる。

    2005-07-22 02:47:00
  • 282:

    「今度俺も浦安遊びに行ってもいい?」
    突然の言葉に驚いた。
    「えっ!?どこに?」
    「由里の実家。軽く挨拶しておこうかと思って」
    私はビックリして言葉が出なかった。
    「駄目?かな・・・」
    晃太の声が少し小さくなった。
    「ううん駄目じゃない!大丈夫。ちょっとビックリしただけ」

    2005-07-22 03:10:00
  • 283:

    「よかったぁ。俺さ、ちゃんとけじめっつーかいい付き合いしたいなって思って。会ってすぐに由里は俺の最後の女な気がしたのね。だから結婚を前提にって言ったら重いだろうけど真剣に付き合いたいなって思ったんだ」
    結婚・・・真剣・・・か。って!?えぇぇぇー!?本当なの!?
    真っすぐ私を見る晃太の目は初めて見る真面目な目だった。

    2005-07-22 03:16:00
  • 284:

    「う、うん」
    そう戸惑いながら答えた私だったけど本当は飛び上がりたくなるくらい嬉しかった。
    付き合って間もないのにそんな風に晃太が思ってくれてたって分かって。でもきっとビックリするよねみんな・・・。
    お母さんも由輝達も。
    英二とも仲よかったし、特に由輝は。お母さんなんて晃太のチームのファンだし。付き合ってるなんて言って紹介したらビックリして倒れたりしないだろうか。
    私はそんなことをずっと考えていた。

    2005-07-22 03:24:00
  • 285:

    そして気付けば夜中になっていたので、明日からの遠征の用意をしてから寝ることにした。
    そうだ、もう金曜日だ。ってことは月曜日まで会えないんだよね・・・。少し寂しい気もした。
    それから私達はベッドに入り気付けば二人して疲れていたせいか深く眠った。
    そして私は朝、妙なくすぐったさで目が覚めた。くすぐったさの犯人は晃太だった。晃太は背中にずっとキスをする。
    「三日我慢できるかなぁ由里と会えなくて」
    そう言われ、私は晃太にそのまま抱かれた。

    2005-07-22 03:35:00
  • 286:

    起きた私はそれから移動中に食べれるようにと軽いお弁当を作っていた。
    用意が済み、リビングに現れた晃太を見るとスーツに身を包み超カッコイイ。
    「遠征移動はスーツだからダルイよ」
    晃太はそう言ったけどこんなにカッコイイならずっと見ていたくなる。新たな一面を発見した私は朝からゴキゲンだった。
    「じゃ行ってくるね」
    晃太は急ぎながら玄関に行き靴をはいた。寂しいなぁやっぱり。
    と、その時晃太が目を閉じた。

    2005-07-22 03:45:00
  • 287:

    なに!?
    「どうしたの晃太」
    私が聞くと黙って口をとがらせる。あ、いってきますのチューってこと?晃太がこんなことするなんて想像もしてなかったから意外だった。
    それから私はキスしようと頑張って背伸びをしたけど全然届かない。それに気付いた晃太が少しかがんでくれてキスをした。

    2005-07-22 03:52:00
  • 288:

    「今日タクシーでそのまま東京駅行くけど来れたら帰りは俺の車で迎えに来て。月曜の朝には向こう出るつもりだし。デートしよ」
    「うん分かった♪」
    そして晃太は出かけて行った。
    さて、私も用意して帰ろっかな。今日と明日は仕事もあるし。それにしても晃太のいない部屋は静かだなぁ。
    帰る用意をしながらこの六日間を振り返った。晃太と出会ったのは日曜日だったなぁ。
    まだ一週間もたたないうちに色んなことがあったしありすぎた。こんなことになるなんて一週間前は想像もつかなかったし。

    2005-07-22 05:20:00
  • 289:

    それから帰る用意ができた私はマンションを出てエレベーターに乗ると13階で人が乗ってきた。
    ペコッと私に軽い会釈をするその人は、あの歌手さんだった。
    「どーも。矢口君は一緒じゃないの?」
    突然聞かれた。
    「あ、ハイ。移動があるのでもう出ました」
    「君はどこ行くの?」
    「あ、帰ります家に」
    「なら送ってくよ」
    一階に着くまでそんな会話が続いた。
    「本当大丈夫です」
    私は何度も断った。

    2005-07-22 05:29:00
  • 290:

    「俺あやしい?大丈夫だよ矢口君とも知り合いだし。前に俺が仕事の時に偶然地下の駐車場で会ってね、彼女送ってくれるよう頼んだことがあったから。そのお礼みたいな」
    「あ・・・ハイ」
    困るなぁ・・・何話していいかも分かんないし。そう思っているとその歌手さんも困り顔になる。
    「心配なら矢口君に電話する?」
    「えっ?そんな心配とかじゃないんですけど。わざわざ悪いなっていうか緊張しちゃうっていうか」

    2005-07-22 05:37:00
  • 291:

    すると歌手の人は
    「大丈夫だって。ね、じゃあ送りますから」
    そう言うと地下に向かって歩いて行く。後を追うように私もついて行くと、BMWのオープンカーに颯爽と乗り込んだ。
    絵になるなぁ、プロモーションビデオとかも超よかったし。そんなことを思い出しているとその歌手さんは中からドアを開けてくれた。
    車は勢いよく走りだし、天気のいい空の下で六本木までのつかの間のドライブを楽しんだ。
    「彼女は何してるの?こっちの業界だよね?」
    悪気はないのだろうが私は素性を聞かれる質問が嫌だった。

    2005-07-22 05:46:00
  • 292:

    「あ、いえ違います」
    「そうなんだー。あっそうだ、今度ライブやるんだけどよかったら矢口君と見に来ない?」
    ラ、ライブー!?
    「あ、ハイ。是非」
    「また矢口君にも言っておくよ」
    そんな会話が続く。
    でも信号待ちになるたびに隣の車や歩いている人達がビックリしている。それもそのはずこの歌手さんは某グループバンドの人気ボーカルなのだ。
    それなのに案外普通っぽくて気さくで。

    2005-07-22 05:54:00
  • 293:

    私は思った。この人や晃太なんかもそうだけど、やっぱり勝手にイメージが作りあげられてるだけなんだなって。
    クールっぽいとかカッコつけとかイキがってるとか。勝手にイメージしてたんだなって。
    実際は全然普通だし優しいし。私はテレビの中に映る“見た目”に捕われて勘違いをしていたのだ。
    人は関わらないと分からないことがたくさんあるな、この時そう感じた。

    2005-07-22 05:59:00
  • 294:

    帰り道を説明しながら車は進み、私のマンションに着いた。
    「ここです。ありがとうございました」
    私はお礼を言っておりると、その歌手さんはププッと車のクラクションを鳴らし軽く片手をあげ手を振った後走りだして行った。
    カッコイイ・・・私はいちファンとしてますます好きになった。彼女を大事にしている話もしていたし、イメージが良くなった。
    マンションに着いた私は、おとといこの場所で英二と話したことを思い出した。

    2005-07-22 06:05:00
  • 295:

    悪いことをしたとは思ってない。でも長く付き合っていたせいかいわゆる『情』というものが心のどこかに消えずにあった。
    マンションに入り部屋へ帰った私はとりあえず洗濯をしたりお風呂に入って半身浴をした。
    いつもの日課の営業メール、淡々とメールを打ち続ける。来店予約は三組ゲットしたが同伴はない。
    私の仕事に対する気持ちもだんだん変わっていってる気がした。同伴数も動員数も指名も売り上げも、全てのジャンルで1番でありたかったのに。

    2005-07-22 06:12:00
  • 296:

    今週は晃太が店に二回も来たこともあったし休んだりもしたし・・・晃手が来た日は早上がりしてたし一緒にいる時は営業メールも手抜いてた。
    私が私じゃなくなっていく。仕事命・・・だった私が。
    しばらくぼーっとしていると、時間がたつのは早くもう6時半になっていた。タクシーで美容院に向かいセットをしていると私と同じお店の女の子『レイ』が隣に座った。
    「ゆかりオハヨー♪」
    レイはいつもハイテンションだ。お酒が入っていても入ってなくても変わらずいつも元気な子。

    2005-07-22 06:19:00
  • 297:

    レイは私と同じ23歳。見た目も可愛くナンバー2だ。
    「最近よく休んでるじゃん体調悪いの?」
    レイが心配そうに聞く。これは私の偏見かもしれないがナンバー1と2は大概が仲が悪い、というよりお互いライバル意識が強く張り合っている。
    今まで働いてきた歌舞伎町やここ六本木の何件かのお店でもずっとそうだった。レイの前のナンバー2は潰しを入れてきたり客を取ろうとあらゆる手を使ってきた。

    2005-07-22 06:30:00
  • 298:

    ありもしない噂をたて、大ゲンカしたこともあった。でもこのレイは今まで見てきたナンバー2とは違っていた。
    愛されるキャラに筋の通った熱い性格、みんなに好かれるいい女だ。お店の女の子が私に気を使ったりする中、レイは私によく話してくる。
    仕事以外では冷めてる風に見える私にくっついてくるなんて変わった子だなぁと始めは面白く見ていた。
    ロッカールームでもそうだった。

    2005-07-22 06:35:00
  • 299:

    「今日どうするー?」
    「ご飯いこー」
    「飲みに行こうよ♪」
    仕事が終わるとそんな会話がロッカールームでたくさん交わされている。
    そんな中私はお店が終わればアフターか直帰か。少し前まで英二と付き合っていたこともあったし人付き合いなんてどうでもよかった。
    ナンバー1だから天狗になってるとか、話す機会がないとか、仕事以外では笑わないとか性格きついだとか。みんな好き勝手言ってくれたものだ。
    あんた達に何が分かるのって言う気にもならなかった。人にどう思われようがどうでもよかった。

    2005-07-22 06:42:00
  • 300:

    洋子が死んだあの時から、そう、あの時からなのかな?上辺だけの付き合いやその場限りの友達ごっこ。
    そうゆうのって馬鹿馬鹿しくて。洋子の葬儀に出席したのは前のお店にいた私達四人だけだった。そこは在籍が100人近くいた大箱のお店でみんなも洋子と仲良かったのに。
    友達って何なんだろうってあの時すごく思い知らされた。幸い私にはあゆみという親友って呼べる友達がいる。お店は違うけど洋子の頃にずっと一緒にいたホステス仲間も三人。人生相談できる夏美さんも。
    だからそれで充分だ。

    2005-07-22 06:51:00
  • 301:

    新しい子が入れば出ていく子もいて、入れ代わりの激しい夜の世界で“友達”を作る方が難しいことなんじゃないのか。
    友達ごっこなら誰でもできる。でも目ざとい付き合いなら初めっからしないほうがマシ。
    レイはそんな私の考えをことごとく打ち砕く。仕事が終わると食事や飲みに誘ってくるし断っても懲りずにまた次の日もその次の日も誘ってきた。

    2005-07-22 06:55:00
  • 302:

    痺れをきらした私は仕方なく食事に行ったことがある。それが一ヶ月ほど前のことだった。
    「ゆかりって何で仕事以外では誰とも話さないの?嫌いなの?人間」
    変な質問してくるやつだなぁってその時は不思議に思った。
    「人間が嫌いなんじゃなくて中身のない人間が嫌いなの」
    私がそう言うとレイはフーンと頷いた。
    「アタシのことも嫌いなの?」
    ストレートに聞くレイに私は思わず笑ってしまった。

    2005-07-22 07:01:00
  • 303:

    「ハハッ。あんた変わってるねやっぱり。ずっと思ってたんだけど不思議な子だよホント。別に嫌いじゃないよ」
    笑った私を見てレイも笑った。
    「アタシずっとゆかりって何考えてるか分かんなくて逆に友達になりたいってゆうかさ、ナンバー1の仕事以外の姿っていうの見てみたかったんだ」
    レイはそう言ってビールをぐいっと飲んだ。
    「お酒好きなの?」
    私はレイに聞いた。
    「うーん普通かな?でも飲む相手によって味違わない?楽しい時ってお酒も美味しいじゃん」

    2005-07-22 07:06:00
  • 304:

    「それはそうだね。店とかで飲んでる時も思うもん。同じお酒なのに飲む相手が違うだけでまずくだるく感じたりさ」
    「そうそう!」
    私とレイは初めて二人で話したのにやけに話が合った気がした。あゆみとは仕事の話はあまりしない。家族のことや彼氏のことはよく話すけど。化粧品販売の美容部員をしているあゆみとは、時間帯も真逆で日曜日ぐらいしかゆっくり会う機会がないし。
    それでも連絡はよく取ってるし会おうと思えばいつでも会える。そんな子がいるだけでいい。

    2005-07-22 07:13:00
  • 305:

    レイと初めてご飯を食べた日は気付けば朝の8時まで話していた。
    あゆみ以外の女の子とこんなに長く話したのって久しぶりだなぁって思った。
    「あのさアタシって多分悪いやつではないだろうし(笑)仲良くしてね」
    帰り際にレイは私にそう言った。
    「仕方ないなぁ」
    そう答えた私だったけど結構嬉しかったりもした。

    2005-07-22 07:17:00
  • 306:

    それから週に二〜三回、レイとご飯に行ったりしている。英二と別れてすぐだったこともあり時間もたくさんあった。
    「ゆかり?本当大丈夫?体調不良?」
    レイが聞く。
    「全然!ちょっとさぼり気味なだけだよ」
    「なんだサボリかー」
    そんな会話が続いた。
    「矢口は?ゆかり指名で来てたじゃん。何のルートで知り合ったの?」
    やっぱりその質問がきたかぁ・・・。
    「うーん、早い話がコンパかな。友達がセッティングしてくれたら相手が野球選手だったみたいな」
    「えースゴイじゃん。しかも同伴まで」
    「う、うん・・・」

    2005-07-22 07:25:00
  • 307:

    「口説かれた?」
    レイが聞いてきた。口説かれたってゆうか・・・何て言おうか迷っているとレイはイタズラっぽく聞いてくる。
    「やっちゃった?」
    「えっ?もう何なのー。いいじゃんもうそんな話」
    私は慌ててしまった。
    それからセットが終わった私達は美容院を出てお店に向かった。
    「ねぇもしかしてゆかり矢口と付き合ってる?」
    えっ!?
    「うーん分かんない。そんな感じなのかな」

    2005-07-22 07:31:00
  • 308:

    「ウッソー?マジ?」
    驚くレイ。
    「内緒にしててね。お店にも」
    「オッケー」
    そうこうしているうちにお店についた。着替えが終わるとすぐに指名客が来た。
    「ゆかりさんお願いします」
    マネージャーに呼ばれてフロアに行こうとした時
    「早速ご指名じゃん♪やっぱナンバー1だねー。てゆーか今日終わったら飲みに行こうよ。ねっ!」
    レイがそう言った。
    「いいよーじゃあそういうことで」
    私はそう答えると客席に向かった。

    2005-07-22 07:36:00
  • 309:

    何時間も続く接客。途切れることのない指名。それが楽しかったのに。今日は何本とったとか売り上げいくらだったとか、そういうの聞いて喜んだりしてたなぁ。
    私は心のバランスが取りにくくなっていた。晃太のこと考えると仕事に気持ちが入らなくて。
    実際七月はまだ二週目なのに成績によく表れている。レイとの本指名の差はたった12本。すぐに追い付かれてしまう数字だ。
    でも私は半分どうでも良かった。それにレイにならナンバー1取られてもいいかなって。抜かれても仕方ないかなって。

    2005-07-22 07:43:00
  • 310:

    きっと来週月曜日に晃太が帰ってきたらその日も休んでしまうことになる。他の曜日も未定なまま。
    休みがちになればそれは成績の急降下が目に見えて分かることになる。
    でもそれでも今の私には晃太との時間のほうが大切だと思った。
    人を好きになると周りが見えなくなったり、何かを犠牲にすることだってあるんだよね。お金もいらない、私はナンバー1のプライドもなくなってしまうくらいになっていた。

    2005-07-22 07:49:00
  • 311:

    営業時間も終わり、ロッカーで待っていたレイと着替えながら化粧を軽く直した。
    「どこ行くー?」
    そんな会話が始まる。
    いつもレイとはこんな感じ。お互い行く場所が決められないたちで、結局ブラブラ歩き疲れたところで目に入ったお店に入る。
    だからいつもバラバラだ。時間はまだ2時。
    「そうだ!超いいお店あるよ!ムーンってゆうんだけど」
    私は健にいのお店の話をした。
    「じゃーそこ行こ♪」
    行き先も決まり表通りに出た私達はタクシーを拾いムーンに向かった。

    2005-07-22 08:07:00
  • 312:

    携帯を見てみると着信が六件もあった。
    五件は晃太で一件は英二だった。メールを確認すると晃太から【仕事が終わったら?してくること?】と入っていた。
    「レイちょっと電話ごめんね」私はそう言って晃太に電話をかけた。
    「ハイハーイ。由里?終わったの?」
    電話の向こうは騒がしい雰囲気だった。
    「うん、終わって今から友達とムーン行くところ」
    と私が言うと
    「そっか。ムーンなら安心だしな。あってゆうか由里○○さんに送ってもらったでしょ」

    2005-07-22 08:12:00
  • 313:

    「あっごめん言い忘れてたぁ・・・」
    「電話あったからさ。彼女礼儀正しいしいい子だって言ってたよ。なんか俺も嬉しかった」
    「本当にぃ?由里超キンチョーして噛み噛みだったのにぃ。それより晃太今どこ?何してるの?」
    騒がしい雑音に私は思わず聞いてしまった。
    「あ、今先輩に連れられて・・・ごめんキャバなんだ」

    2005-07-22 08:17:00
  • 314:

    「そ、そっか。じゃー切るね」
    私は平然と電話を切った。でもすぐに晃太はかけ直してきた。
    「ごめんってば」
    「えっ?全然大丈夫だよ由里は。気にしないでゆっくり飲んでね」
    晃太は謝りながら電話を切った。怒ってるわけじゃなかった。ただ少し心配になっただけ。でも晃太の負担にはなりたくない。
    先輩との付き合いも仕事のうちだもん。そういう交流が、チームワークを深めることにもなるかもしれないし。
    理解ある女でいよう、子供みたいにすねてちゃだめだ。そう誓った。

    2005-07-22 08:22:00
  • 315:

    「ゆかりどしたー?元気なくなったじゃん」
    レイが私の顔をのぞきこんだ。
    「べっつにー。全然元気!超ゲンキー!」
    「何かあるんなら話してね。アタシじゃ役不足かもしんないけど。聞くことならできるし。ストレス溜めると肌に悪いしね」
    レイは本当に思いやりのある子だ。久しぶりにこんな女の子と出会った。友達・・・になれるかもしれないなぁ。
    携帯を見るとまだ?マークが消えてない。確認した私は一瞬頭の中がめちゃくちゃになった。

    2005-07-22 08:28:00
  • 316:

    それは英二からのメールだった。

    電話してごめん。俺、今日でホスト上がるんだ。俺には先が見えないって由里言ったじゃん?ずっとそのままだって。だから考えたんだよね色んなこと。で、辞めることにした。将来性のある男になろうって思ってる。矢口みたいに有名人にはかなわないと思ってるけどさ。お前がいつか俺の所戻ってきてくれた時、恥ずかしくない男でいたいから。日曜日から大阪行くし由里と会えなくなるのはキツイけど頑張ってくるよ。お前が全てだって分かったから。

    2005-07-22 08:37:00
  • 317:

    英・・・二?
    大阪って何?ホスト上がるってどういうこと?歌舞伎町の・・・歌舞伎町のナンバー1ホストなのに。
    大阪行くからって何なの?急すぎない?
    私は頭の中で一生懸命整理した。でもムーンに着いても上の空だった。
    レイを健にいに紹介すると二人は共通の趣味のサーフィンの話で盛り上がっている。私はというと自分でも分からないくらい動揺している気持ちを整理できないでいた。

    2005-07-22 08:41:00
  • 318:

    「ちょっと・・電話してくるね。ごめん」
    二人を残し席を離れた私はお店の外に出て英二に電話をかけた。
    2コールですぐに電話に出た英二は酔ってる様子もなく普通だった。
    「なにあのメール」
    私が静かに聞いた。
    「なにってあのままだよ。」
    「大阪ってどういうこと?っていうか由里が辞めさせたみたいじゃん。すごかったのに英二。ずっとナンバー1だったじゃん」
    「いとこが大阪で不動産関係の会社やっててさ。頼んだら営業なら雇ってくれるって言ってくれて。それが結構大きい会社なんだよね」

    2005-07-22 08:51:00
  • 319:

    「え営業?英二が?」
    「なんだよ俺だってリーマンくらい余裕だって。トークセンスもあるしな。でさ、もう俺やり直してくれとは言わないから。」
    英二の声がちいさくなった。
    「でもお前が俺を必要とした時っつーか戻ってきたいと思った時はいつでも帰ってこいな・・・俺三年ぐらいなら待ってるから」
    そう言って英二は無理して笑った。

    2005-07-22 08:56:00
  • 320:

    「大丈夫なの?本当」
    私は英二が心配だった。本当に大阪なんか行ってちゃんと就職なんてできるのかって。
    「最後に会いたかったんだけどさ。日曜日少しだけ時間ない?」
    日曜・・・日?
    「俺の門出なんだしさ、飯でも付き合ってよ。夜9時の新幹線だし」
    門出か。英二の新しい出発。新しい人生だ。
    「分かった」
    じゃーあさって。ということで電話は切れた。日曜は晃太がいない。私は自分が嫌な女だなと思った。

    2005-07-22 09:02:00
  • 321:

    ムーンに戻ると健にいとレイが話し込んでいた。
    「ごめんねーほんと」
    私はレイに謝った。
    「レイちゃんってマジで可愛いんだけど」
    健にいがニコニコ顔で私に言ってくる。少し照れ笑いしたレイも可愛く見えた。レイってこんな顔するんだぁ。もしかしてこの二人いい感じかな?
    私は黙って二人を見ていた。こういうのっていいなぁって。ドキドキドキドキするんだよね。

    2005-07-22 09:05:00
  • 322:

    レイの言葉に私達は一瞬ふと考えこんだ。
    運命・・・か。
    出会いや繋がり?本当にそうだ。晃太と出会ったあの日もそう。美香が誘ってくれなかったら会うことなんてなかったし。
    英二と別れてなかったらコンパなんて行くこともなかった。それにあの日座った位置やちょっとした会話、公園での出来事、あんなことがなかったら晃太という人に引かれることもなかっただろう。

    2005-07-22 10:21:00
  • 323:

    偶然か必然か。そんなのどっちだっていい。運命かなんてことも神様にしか分からないんだから。
    ただ、晃太と出会ったのも英二との三年間も、あゆみとの長い付き合いも大切な家族もみんな神様が与えてくれた贈り物なんだ。
    幸せになれるように、大事にするようにって。レイとの出会いも健にいとの出会いも夏美さんもみんなみんな。
    洋子との別れは忘れられないものだしきっと忘れてはいけないことだからいつも心のどこかにある。
    お父さんのことも、あの日から会ってないけど忘れることなんてない。元気にしてるかな?そう思える私になれて良かった

    2005-07-22 10:28:00
  • 324:

    優しい気持ちを持つだけで、人ってきっと幸せになれる。少しの思いやりが暖かい気持ちにさせてくれるから。
    信じる強さと信じられない弱さ。恋愛にはつきものだけど傷付いてもいいんじゃないか。自分の精一杯の気持ちを信じればいい、後悔する人は同じ失敗を繰り返すだけだと何かで読んだことがある。
    昔からよく聞いた。失敗は成功のもとだと。くっさい言葉だって馬鹿にしてた。でも今は結構好きな言葉だったりする。

    2005-07-22 10:36:00
  • 325:

    失敗を糧にすれば、何かがきっとプラスになるんだし。よくするも悪くするも自分次第。
    失敗したらまた頑張ればいい。立ち止まって振り返ってもいい。前だけ見て歩いていけるわけないんだから。
    でも振り返った時に笑えるように、あの時はあーだったなって。そうなれた時にまた一つ大人の階段を登れるんじゃないかな。
    後悔するのって寂しいじゃん。自分の生き方否定してるみたいで。

    2005-07-22 10:41:00
  • 326:

    その時晃太から電話がなった。
    「もしもし?」
    「あー俺オレ!今ホテル戻ってるとこー♪浮気してないかー?」
    珍しく酔っ払い口調の晃太。
    「ん?まだムーンだよ。酔っ払い?」
    「飲まされちゃってさ。もうダメー」
    その時晃太の電話から女の子の声がした。
    「矢口さん帰るん?」
    そんな風に聞こえた。関西弁?そっか遠征中だし・・・
    「晃太今どこ?」
    「んーと今はねぇタクシーん中だよー」
    タクシーの中?ってことは女の子も一緒に乗ってるの?

    2005-07-22 10:49:00
  • 327:

    「今キャバの子送ってるとこ。田村さんも一緒だから大丈夫だよー。ホテル帰ったらまた電話するからね!じゃーねチュッ」
    意味分かんない。
    酔っ払っちゃって馬鹿みたい。明日も試合だっていうのにこんなに朝まで飲んで。
    でも何してるか分からないよね。実際スポーツ選手は遊んでるってよく聞くし、野球なんて半分は遠征で地方に行ってるし。
    考えると不安になる。近くにいないと嫌だなぁ。
    「晃太何だって?」
    健にいが膨れっ面の私を見て聞いてくる。

    2005-07-22 10:55:00
  • 328:

    ?めめ?

    しぉり?
    略ゎ改行5回でなるんゃと思ぅょ?

    2005-07-22 10:58:00
  • 329:

    「知らない。女の子の声聞こえたし酔っ払ってるし。何してるか分かんない」
    そうは言ったものの日曜日の英二との約束のことを思いだし、自分も晃太のことを責められる立場じゃないなぁと思った。
    やっぱり会わない方がいいかもしれないな。でも・・・不思議な重圧感にかられていた。

    2005-07-22 10:59:00
  • 330:

    「帰ろっかそろそろ」
    レイに言うと眠そうにあくびをした。それを見ていた私と健にいは顔を見合わせて笑ってしまった。
    会計を済ましお店を出るといつものようにタクシーを止めてくれた。私達はゴチソウサマーと手を振りながら家路についた。
    帰り道の途中、レイは楽しそうに話していた。私の電話中に健にいと番号交換をしていた話や、趣味が同じこと、レイは延々と話し続ける。

    2005-07-22 11:05:00
  • 331:

    「ねーあんたホンットよく喋るよね(笑)疲れないの?めちゃくちゃタフじゃん。」
    私は笑いがこぼれた。レイは楽しい子だなって。でも謎も多い。お店にいる時のレイしか知らない。あまり昔の話も聞いたりしない。不思議なところがあるけどレイはレイだし今のレイが私は好きだった。
    「うち泊まってく?」
    ずっと話し続けるレイに私は聞いた。
    「えっ!?いいの?」
    目を丸くしてビックリするレイ。

    2005-07-22 11:11:00
  • 332:

    「いいよー。どうせ暇だしさ」
    私がそう言うとレイは喜んでいた。
    マンションに着いた私は、パジャマをレイに貸した。着替えてからもずっとレイは話し続ける。よほど今日が楽しかったんだろう。
    私は気になっていたことを聞いてみた。レイって地元がどこかとか昔からそんなにチャキチャキキャラだったの?って。
    そうしたら一気にレイの顔が落ちたんだよね。なんでそんなこと聞くの?ってゆう目をしてた。

    2005-07-22 11:16:00
  • 333:

    「ご、ごめん変なこと聞いて」
    私は焦った。人には聞かれたくないことだってあるんだ、私もあったし。
    「アタシね・・・」
    焦った私を見てレイが静かに話し始めた。
    「アタシ地元ってゆうか生まれは水戸で育ちは浦和。ちなみに親いないの。施設育ちなんだーアタシ。しかも両親の顔も知らないんだよね。ダサダサでしょ」
    いつものおちゃらけたレイからは想像できないくらい寂しい目をしていた。
    聞かれたくない、言いたくないこと聞いちゃったんだ私・・・

    2005-07-22 11:23:00
  • 334:

    名無しさん

    略なくして

    2005-07-22 11:35:00
  • 335:

    なちゅ?

    いろんな小説読んでるけど、カキコお初です?女の気持ちがすごいうまく表現されてて、めちゃ入りこんでしまいます?これからも楽しみにしてまぁす?

    2005-07-22 21:19:00
  • 336:

    私がそう言うとレイは首をかしげて溜め息をついた。私は自分が苦労してきた、大変だったって思ってたけど・・・私にはお母さんや兄弟、あゆみがいつも周りにいた。辛いことあっても誰かがそばにいてくれた。でもレイはそうじゃない、ずっと一人で頑張ってきたんだなぁ。
    レイは私と初めてご飯を食べた日、人間嫌いなの?って変なことを聞いてきてた。今はその言葉の裏にあったレイの心の声が聞こえた気がする。
    近くにいる人みんながレイにとっては大切に思えるんだって。人と距離を置いていた私を見て、レイは不思議に思ったんだろう。

    2005-07-22 22:42:00
  • 337:

    「由里もね、色々あったんだぁ。レイに比べたら小さいもんなんだけどね」
    私は初めてあゆみ以外の女の子に自分の過去を話した。たくさんあった出来事を。レイも昔、イジメにあったことがある話や、グレてヤンキーになったこと、施設での辛かった日々、そんなことを話してくれた。
    「アタシね、ゆかりって何でもできて何でも持ってる子だって思ってたの。だから最初は嫉妬してたんだー。でも中心にいていいはずのゆかりがいつも輪から離れてたじゃん。でも今日話聞いて分かった気がする。アタシも本当の友達ほしくなったなぁ」

    2005-07-22 22:51:00
  • 338:

    「もう友達じゃん。由里久しぶりだよこんなの。洋子って子が死んでから人って信じれなくなってたけど・・・あんたのこと信じるよ」
    するとレイは目に大粒の涙を浮かべうつむいた。ただ黙って泣いてた。私もそんなレイを見て少し目の前の景色がにじんだ。
    その時携帯のバイブが鳴り、見て見ると晃太からだった。でも私はそっとサイレントに切り替え、電話には出なかった。今はレイのこと考えてあげたかった。
    「さっ寝るよー。明日も仕事だし。起きたら軽く遊びに行こっか」
    泣いているレイに気付かないフリをして私はベッドに入った。

    2005-07-22 22:59:00
  • 339:

    「ねー由里ぃ」
    レイは初めて私を由里と呼んだ。でも私はそれをごく自然に受け入れられた。今までは“ゆかり”っていう仮面でしか夜の世界の人とは接してこなかったし由里って呼んだ人もいなかったけど。
    レイと間にあった壁はもうない。「大崎玲子」彼女との出会いがまた私を一つ大きくさせた。

    2005-07-22 23:17:00
  • 340:

    「プール行こっか。水着買いに行ってさー。超暑いじゃん」
    レイがプールに行こうと言ってきた。正直二日酔いにはキツかったけど、たまには昼間っから体動かすのもいいかななんて思った。
    私達は軽く用意して新宿に水着を買いに向かった。たくさんある水着、色とりどりの柄、見ているだけで楽しかった。
    「コレ可愛くない?」
    私達はそんな会話をしながら次々に合わせて見る。私は結局黒一色の大人っぽい水着を選んだ。
    レイは白一色の可愛い水着。色白の私と小麦色のレイ。肌の色も水着の色もオセロみたいだった。

    2005-07-22 23:38:00
  • 341:

    試着を済まし、レジも終わった私達はオープンしたばかりの新しいプールに向かった。
    寝起きはあんなに疲れてたのに今は何だか気分が良すぎるくらいだ。プールに着くと私達はすぐに飛び込み、買ったばかりの浮輪につかまり流れるプールに身をまかせた。
    気持ちいいな・・・っていうか楽しい!久しぶりに気分が晴れ晴れした。

    2005-07-22 23:42:00
  • 342:

    時間がたつのも忘れるぐらい、楽しくて大笑いした。気付いたら夕方の六時前。仕事の時間が刻々と迫っていた。プールから上がった私達はシャワーを浴びて更衣室で化粧を直す。
    「おなか空かない?仕事前に軽く食べようよ。時間もギリギリだし」
    レイが言った。
    「美容院どうするの?ご飯食べてる時間なくない?」
    「あーそっかぁ。ってもういいじゃん♪たまにはストレートで出勤もありじゃない?」

    2005-07-22 23:48:00
  • 343:

    多分私もレイもセットせず出勤するのは初めてだった。少し考えたけどたまにはいいかなって思い、レイとそのまま六本木に向かいイタリアンレストランに入った。
    私もレイもこうしているとどこにでもいる普通の女の子だ。髪とドレスを着るだけで変貌を遂げる夜の街にはこんな私達みたいな女の子がたくさんいる。
    大人びたフリをして男を操る。そんな私達を操る夜の街。本当は誰が一番の操縦者なんだろう。

    2005-07-22 23:53:00
  • 344:

    食事も済みお店に出勤すると周りのみんなが私とレイに気付かない。
    しばらくするとロッカールームにいた女の子が挨拶してきた。それにつられて周りの子達も次々に挨拶をした。
    「誰だか気付かなかったです。二人ともイメージ全然違ったから」
    私とレイは顔を見合わせて笑った。見た目だけでそんなに違うものなんだろうか。タイムカードを押し、指名客が来店していたのですぐに客席につかされた。
    今日もまた同じ時間が始まっていく。でもレイがいたから楽しかった。同じ席に着くと大笑いできた。

    2005-07-22 23:59:00
  • 345:

    送りだしをした後、携帯を確認するとメールが二件届いていた。晃太からだった。
    【昨日ホテル着いてから?したのに何で起きたらかけ直して来ないんだよ】あ・・・やばいなぁ。二件目は【?返ってきてないね。何やってんの?仕事中だよね?何時でもいいから連絡してきて。もうホテルだし今日はずっとホテルにいるから】

    2005-07-23 00:07:00
  • 346:

    晃太のこと忘れてたわけじゃなかったんだけど。久しぶりの楽しい時間に私はいつの間にか連絡することも忘れてたいた。
    とりあえず晃太にメールを返しておこう。
    【ごめんね?昼から友達とプール行ってたの?仕事だから終わったら?する】
    そんな感じで私は客席に戻った。戻ってすぐに、また指名がかかったので行ってみるとそこには黒木さんが座っていた。

    2005-07-23 03:39:00
  • 347:

    どうしよう。この前晃太と手繋いでるとこ見られたし・・・怒るかな?不安な気持ちのまま黒木さんの席に着いた。
    「どうだ最近は」
    黒木さんは普通に私に聞いてきた。
    「普通に、まぁまぁかな?今日はどうしたの?急に来るからビックリした」
    「昨日な、英二が急にラストで上がったんだ。由里、お前本当に英二と別れたのか?」

    2005-07-23 03:43:00
  • 348:

    私が初めて夜の世界に入ってから、黒木さんはずっとよくしてくれていた。英二のことも可愛がってくれてたし、この世界のどんなトラブルでも解決してもらってきた。
    「うん。別れた」
    私がそう答えると黒木さんはジッと私を見た。
    「英二のやつ大阪行くとか言ってたぞ?この間の、あの矢口か?あいつともしかして付き合ったのか?」
    私は言うべきなのか迷った。でもきっと黒木さんは気付いてる。隠したってムダなんだ。それにここまでやってこれたのは父親のような存在の黒木さんがいたからだ。ちゃんと言わなきゃ。

    2005-07-23 03:50:00
  • 349:

    「矢口さんのことがあって英二と別れたんじゃないよ。英二とは一ヶ月ちょっと前?に別れてた。矢口さんともまだ付き合ったって言ってもついこの間だし」
    「そうか。まぁお前達二人はずっと見てきてたからな、少し残念な気はするけど。そればっかりは俺にも何もできないからなぁ」
    黒木さんは遠い目をしていた。この人に守られてきたなぁ私も英二も。六年前に会ったあの頃より老けてしまった黒木さんを見て、改めて心の中でそう思った。

    2005-07-23 03:57:00
  • 350:

    悠?

    由里たんがんばって??

    2005-07-23 04:07:00
  • 351:

    それから私が、かぶっていた別の客席に戻っていた間に黒木さんはヘルプの女の子に由里に時間できたらまた電話してこいと伝えてくれと言って帰っていた。
    それから何席も着いた後、やっとお店も終わり疲れた私はしばらくフロアのソファーに横たわったままだった。
    昼間調子に乗って動きすぎたかな?そう思いながら目をつむると晃太の顔が浮かんだ。あっ電話しなきゃ。そして私は晃太に電話をかけた。
    「ハイ」
    少し眠そうな声で晃太が出た。
    「ごめんね。今終わったの。寝てたよね?」

    2005-07-23 04:14:00
  • 352:

    「大丈夫!心配してたんだずっと。何かあったのかなって。健に聞いたら昨日遅くまで飲んでたって言ってたし。でもプール行ってたとは(笑)元気じゃん」
    晃太の笑い声が電話の向こうから聞こえる。目を閉じればそばにいるようなそんな気持ちになる。
    「明日休みだろ?何してるの?」
    ドキッとした。英二と会うことを思い出したからだ。そんなこと晃太に言えるはずがない。やましい気持ちなんて全くないけど、きっと知ったら晃太はいい気分はしないだろうから。
    「お店の、あの、店の女の子と買い物」

    2005-07-23 04:20:00
  • 353:

    嘘をついた。小さな嘘?大きな嘘?そんなことは関係ない。私は自分が一番嫌いな嘘を晃太についてしまった。自己嫌悪・・・
    「そっか、じゃあ明日も忙しそうだなぁ。ま、夜には試合終わったら連絡するよ。疲れた声してるしちゃんと今日は真っすぐ帰って寝ろよ!」
    「うん。おやすみ」
    電話は切れた。疲れた声かぁ。何だか晃太に悪いことしてるよね私。お酒のせいで思考もおかしくなりそうだった。
    「ゆーりっ♪途中まで一緒に帰ろー」

    2005-07-23 04:27:00
  • 354:

    可愛いやつだなぁ。真っすぐで素直で嘘や偽りのない綺麗な目。レイを捨てた両親は馬鹿だな。うん馬鹿だ。
    私は疲れていたせいか色々考えてるうちにそのまま眠ってしまった。
    (♪〜♪〜♪)
    携帯の着信音で目が覚めた。aikoの花火。英二専用に設定していた電話の音だった。
    「おい起きたかー?ていうかめちゃくちゃ雨なんだけどマジおちるよー。せっかくディズニーランドでも行こうと思ってたのに」

    2005-07-23 04:41:00
  • 355:

    朝から英二の声はハツラツとしていた。時計を見るとまだ10時半だ。
    「っていうか早くない?今起きたんだけど。それよりディズニーランドって何なの」
    私は寝ぼけたまま英二に言った。
    「ん?思い出作りっつーか。初めてデートしたのディズニーランドだったじゃん。一年目も二年目も記念で行ってただろ?」
    記念?あ、そうだった。ドキドキしながら初めてデートした。記念日には行ってたよね。三年目・・・は記念日さえ一緒にいなかったっけ。その後すぐに別れちゃったし。

    2005-07-23 04:49:00
  • 356:

    二年目は由輝やお母さんも一緒に行ったりして。懐かしいなぁほんと。
    「じゃーとりあえず一時に待ち合わせしよっか。どこがいい?」
    待ち合わせ?か。何年ぶりだろ。待ち合わせなんてすることなくなってたよね。一年たった頃からは家でまったりしてばっかりだったし。
    「んーっとじゃあ2時に渋谷は?ベタにハチ公前とか」
    「オッケー!って2時かよ。分かったじゃ後で。遅刻すんなよ!」

    2005-07-23 04:57:00
  • 357:

    変な感覚。英二と待ち合わせとかするなんて。私は晃太への罪悪感にかられながらも英二との最後の一日を迎えた。
    晃太には頑張ってねってメールを入れておいた。ごめんね、そう思っていても私は英二と会うことを選んだのだから。
    用意して家を出ると本当にすごい雨だった。梅雨なんだからしかたないんだけど。これじゃ外には出れそうもないね。
    最後の日を雨にしたのは神様のいたずらなのだろうか。私達の今を表しているのかもしれない。この雨がやむ頃には・・・英二はもう大阪にいるのかな?

    2005-07-23 05:06:00
  • 358:

    渋谷に着いたのはちょうど2時ピッタリだった。雨の日の東京は色とりどりの傘をさした人でいっぱいで、きっと上から見れば綺麗な花のように見える。
    ぼーっとそんな光景を想像していると後ろから英二が現れた。
    「時間ピッタリじゃん。行こっか」
    そう言うと英二は歩きだした。
    日曜日の渋谷の街は若い子達で溢れ返っている。私も昔はこんな感じだった。自分の将来に何の不安も感じず、ただ一日一日が楽しければそれで良かった。そんな風に思えていたあの頃はもう過去になってしまった。

    2005-07-23 05:14:00
  • 359:

    英二がタクシーを止め、私達は乗り込んだ。
    「お台場まで」
    英二は運転手さんにそう告げた。私は何も聞かず黙って窓の外を見ていた。何でお台場なの?一瞬私は考えた。でも答えはすぐに見つかった。英二が小さな声でつぶやいたから。
    「観覧車・・・」
    「えっ?」
    「いや、お前さ前にお台場の観覧車乗りたいってずっと言ってたじゃん。でも俺また今度今度って行けないままだったから」
    観覧車か。そういや私行きたいって言ってたなぁ。でもずっと英二は仕事ばかりだったし。もういい!って喧嘩したりもしたっけ。

    2005-07-23 05:23:00
  • 360:

    私達二人はお台場に着くまでタクシーの中で静かに座ったままだった。雨の音がただ静かに響いていた。
    そしてお台場に着くと雨はさっきより少しマシになっていた。タクシーをおりて歩いていると私はつまづきそうになり、隣にいた英二が慌ててつかんでくれた。大笑いする英二。
    「ハハッお前さー昔っからよくこけそうになるよな。危なっかしいからヒール履くなっつーの」
    「うるさいなーもう」
    こうやってよくからかわれたなぁ。何度も転びそうになってそのたびに二人で大笑いして。あんな時もあったのに、何で私達こうなっちゃったんだろうね・・・

    2005-07-23 05:32:00
  • 361:

    私も英二も分かってる。今日が最後になること、もうこれから先、会うことがないかもしれないこと、あの頃にはもう戻れないこと。でも黒木さんは言ってた。笑って送ってやれって。
    そうだ、私が暗いと英二が辛くなるよね。
    私には帰る場所がある。晃太っていう新しく見つけた私の居場所が。
    見失っちゃいけない。そばにある幸せを。
    私達はすぐに観覧車に乗った。雨の日に乗るのは初めてで、景色もいいとは言えなかった。でもこのことはきっと私の人生の大切な1ページになる。多分、最初で最後の雨の観覧車。

    2005-07-23 05:41:00
  • 362:

    「由里。今幸せ?」
    向かい側に座った英二が頂上に着いた時、私に聞いた。真っすぐ私を見て精一杯の笑顔で。
    「幸せだよ」
    私もちゃんと答えた。
    「なんだよつまんねーな。やっぱり英二がいい!とか言うかと思ってたのに」
    そう言って英二は無理して笑ってみせた。
    「今日9時ぐらいまで時間ある?っていうか付き合えよ!最後なんだし」
    最後最後って言わないでよ・・・。

    2005-07-23 05:48:00
  • 363:

     

    2005-07-23 08:32:00
  • 364:

    名無しさん

    あげ?

    2005-07-25 06:13:00
  • 365:

    名無しさん

    略なくして?ここの主サンゎ読者のカキコゎシカトなん?

    2005-07-25 07:26:00
  • 366:

    スイマセン?ならないように書いてるつもりなんですが?改行五つでなるんだよね?
    略なし慣れれるように頑張ってみます

    2005-07-26 02:52:00
  • 367:

    あとわずかに残った英二との時間。少しの寂しさが心のどこかで胸を締め付ける。
    私達が出会った意味は?私は自分に問い掛けた。笑い合って何の迷いもなくお互いを必要としていたあの頃は私達に何を残してくれたのか。
    私も英二も観覧車が下に着くまでの間、言葉が見つからないのかただ外の雨をじっと見ているしかなかった。

    2005-07-26 02:59:00
  • 368:

    降り口に着き、係員が扉を開けると英二が私の手をとって降ろしてくれた。何気ない優しさだった。
    初めて英二と会った頃はこんな何気ない優しさや不器用な愛情表現に私は惹かれたんだっけ。
    「超腹へったー飯行こう何食う?」
    前を歩いていた英二が振り返って言った。
    「何でもいいよー。英二が食べたいもの食べよ」

    2005-07-26 03:05:00
  • 369:

    「まだ夕方だしなぁ。せっかくお台場来たのに雨じゃ景色も悪いし。うーん何にしよっか?」
    結局私達は歩きながら見つけたわりとお洒落な鉄板焼きのお店に入った。中は全て個室になっていて、私達は案内されるまま奥の個室へと入った。
    ガラス張りになった窓の向こうには海が見える。英二とこんな店で食事するなんて多分三度目ぐらいだ。付き合っていた間は近くの居酒屋がもっぱらだったし。

    2005-07-26 03:13:00
  • 370:

    ビールで軽く乾杯した私達は、運ばれてきた焼き物を食べながら昔話をした。英二も私も大笑いした。
    でも時間がない、そう思っていたせいか過ぎていく時間がいつもよりすごく早く感じた。
    「ほんとに行くの?」
    私はやっぱり信じられなかった。あんなに歌舞伎町で有名ナンバー1ホストになって全てを懸けて頑張ってたのにって。
    「うん、行く。もう決めたから。あ、でもお前が俺とやり直すとかそういうことだったら行くのやめるけど。こっちでも働き口探せるわけじゃん」

    2005-07-26 03:23:00
  • 371:

    「って嘘!もうやり直してとか言わないって約束したもんなぁ俺。ごめんな、っつーか女々しいよな。ダッセー」
    そう言った英二の横顔が夕焼けで照らされた。日が暮れて行く景色。オレンジ色の空。いつの間にか雨は上がってた。
    「英二見てよ。外、雨やんだみたいだよ」
    英二は私が指差した先を見ると目尻が下がり白い歯がこぼれた。嬉しそうに笑って馬鹿みたいに子供な顔して喜んだ。

    2005-07-26 03:32:00
  • 372:

    気付けば7時前になっていた。時間がたつのが早過ぎる。今日話したいことはたくさんあったはずなのに、それをうまく言葉にできない。大事なことは何も言えないまま・・・
    「なぁ由里、時間もそんなにないけど海。少しう、海とか見て話さない?」
    噛み噛みな英二。きっとガラにもないこと言うのが恥ずかしかったんだろうな。私も思わず何言ってんの?って意外な言葉に笑っちゃったから。
    「いいよ。じゃあこれ飲んだら行こ!」
    私がそう言うと英二は残っていたお酒をゴクゴクと飲み干した。

    2005-07-26 03:52:00
  • 373:

    かな

    最近かいてくれてなかったからもぉかかへんのかと勝手に思ってたぁ!めっちゃ楽しみにみさせてもらってます!長々とすいません。頑張って完結してくださぁい★

    2005-07-26 06:40:00
  • 374:

    はい?最近忙しかったので少しずつになってますが完結まで気長に見てもらえたら嬉しいです?頑張ります?

    2005-07-26 09:06:00
  • 375:

    私達がお店を出る時には外はもうさっきの綺麗なオレンジの夕焼け空から少し薄暗くなっていた。使わなくなった傘を持ち、ブラブラさせながら前を歩く英二の後を私は黙ってついて行った。
    日曜の夜のお台場はたくさんの男と女でいっぱいだ。寄り添う二人、手を繋ぐ二人、肩を抱き合う二人、幸せそうな恋人達がどこを見ても目に入る。
    その端ではスケボーを楽しむ男の子達、ダンスを踊る男女の笑い声が響いてくる。
    少し歩いた後、段差のある階段に英二がふと腰掛けた。そして私も英二の横に座った。

    2005-07-26 09:16:00
  • 376:

    「雨やんで良かったね。なんか少し蒸し暑い気はするけど。今は風もあるから気持ちいいし」
    「おーそうだなぁ。こんなに雰囲気あったり夜綺麗なんだったらもっと前に来てれば良かったよ」
    そう言って英二は海をぼーっと見ていた。キラキラ光るビルの光が遠くに見える。
    「俺さ、大阪行くの不安がないって言ったら嘘になるけど頑張って将来性ってやつ?磨いてくるよ。歌舞伎町であんだけ頑張れたんだから俺はどこでだって何でもやれるってそんな気しない?」

    2005-07-26 09:29:00
  • 377:

    「なにそれ超自信満々じゃん。でも・・・英二なら大丈夫だよきっと」
    こんなことぐらいしか言えなかった。もう時間がないって分かってるのに。何を言いたかったのか、考えれば考えるほど分からなくて。でもうまく伝えなくてもいい、言いたいことをそのまま言えばいいよね?
    「由里ね、好きとか嫌いとかそんなことじゃなくてね、一人の人間として英二を大切に思うよ。会えて良かったなって。一緒にいれて良かったって。三年半前だっけ?あの時から今日まで、これからだって英二は由里にとってずっと大事な人だから」

    2005-07-26 09:40:00
  • 378:

    「俺だってずっと大事に思ってるよ。まぁ俺の場合気付くのが遅かったけどな。幸せになれよって言いたいところだけど俺まだそんなにいい男な言葉言えねーや。あいつに泣かされたらすぐ言ってこいよ!取り返しに行くから。お前のこと」
    空を見上げた英二はそう言いながら目を閉じていた。何かを思い出しているかのように・・・
    「よし、そろそろ行こっかな俺。お前家まで送ってくよ」
    「えっ?いいよ由里東京駅まで見送りしてあげるから」

    2005-07-26 09:49:00
  • 379:

    「いいって!お前に見送りなんかされたら行けなくなりそうだし。寂しいじゃんそういうのって。お別れーみたいでさ」
    そうだけど・・・。
    英二は静かに歩き、タクシー乗り場を見つけると黙って乗り込んだ。送ってもらえば、私が家に着けばもう会えなくなる。
    だけど無情にもタクシーの中では野球のラジオ中継が流れていた。晃太のチームの実況が。
    晃太のことが頭によぎった。でもできることなら何も聞こえないタクシーに乗れたら良かったと思う。最後くらいはって。

    2005-07-26 09:59:00
  • 380:

    「由里これ」
    そう言って英二に手渡された小さな紙袋。
    「な、に?」
    「何ってなんだよ。んー何ていうか今までありがとうって意味の感謝みたいなもん」
    感・・・謝?

    2005-07-26 10:04:00
  • 381:

    ずっとバッグの中にしまってたのか少し型崩れしてゆがんだ紙袋が英二らしいなって思った。私は何が入っているのか開けてみようとした。
    「だめだって!後で開けろよ」
    英二が慌てて言った。
    「何で?いいじゃん」
    「だめって言ったらだめなの!もうすぐ着くんだしもう少しだから待てよ」

    2005-07-26 10:08:00
  • 382:

    「はいはい分かった」
    私はそう言ったものの早く見たくてしょうがなかった。家へと近付いてく道、寂しさが募っていく。
    そして気付けば私のマンションに着いてしまった。
    「やっぱり見送りする」
    私は思わずそう口走っていた。

    2005-07-26 10:13:00
  • 383:

    「だめだって早く降りろよ。辛い感じになっちゃうだろ?ほら」
    開いたままになったドア。降りてしまえばもう・・・タクシーの運転手さんも何かを察したのか何も言わずにいてくれた。
    「由里?俺もう大丈夫だから。お前は自分のことだけ考えろ、な?」
    英二の言葉に後押しされるように私はタクシーを降りた。
    泣かない、そう決めてた。黒木さんにも笑って送ってやれってそう言われてたし悲しい別れになると全てが壊れてしまう気がした。
    今にも出てきそうな涙を必死で我慢した。

    2005-07-26 10:22:00
  • 384:

    「じゃ、頑張れよ。またな!運転手さん閉めて下さい」
    そしてドアはバタンと閉まった。走り出すタクシー、振り返って手を降る英二。我慢していた涙が一気に溢れ出た。その場から動くことが出来ず、タクシーが見えなくなっても私はずっと立ち止まったままだった。
    さよならが言えなかった。さよならを言いたくなかった。終わったはずの恋だったのに。

    2005-07-26 10:28:00
  • 385:

    私の手に残った小さな紙袋。雑誌で見たことのあるブランドの袋だった。中に入った箱を開けてみると変わった形のネックレスが入っていた。ピンク色のストーンのようなものが周りのピンクゴールドのトップに包まれていた。
    そして箱とは別に紙袋に入っていたカードを見つけた。
    何だろ?手をのばして取った私はその場でカードを開いた。

    2005-07-26 10:39:00
  • 386:

    少し大きめなカードにはこう綴られていた。

    由里へ
    今日は無理言って付き合わせてごめんな。まだ終わったことを実感できずにいてお前を苦しめることになってるのは分かってたんだけど。どうしても最後に会いたかったから。
    このネックレス、天使の涙なんだって。天使の涙は嫌なこと洗い流して心を浄化する力と、身につけた人の幸せを願ってくれる力があるって。よくわかんねーけど由里が幸せでいれるといいなと思ってさ。今までありがとう。 英二

    2005-07-26 10:48:00
  • 387:

    今までこんなカード、手紙さえもらったことなんてなかった。不器用な英二が初めて書いた最初で最後のメッセージ。
    《ありがとう》
    私も心の中でそう思った。いい男と付き合えて良かった。英二で良かった。
    そう思えば思うほどもう戻らない時間を悔やんだ。私は英二に何をしてあげれたのか。自分のことばかり考えてたなぁ私。私ばっかり我慢してるとかこんなはずじゃないのにとか。英二を思いやる気持ちがあればきっと何かが変わっていたんだろう。でも悔やんだってしかたない。泣いたって何も変わらない。そして私と英二の恋は終わった。

    2005-07-26 11:02:00
  • 388:

    名無しさん

    主さんスゲー!!ここの小説読んで初めて泣いたよ。これからもがんばってね。楽しみにしてるから!

    2005-07-26 13:26:00
  • 389:

    ありがとうございます?まだまだ?下手っぴですが頑張ります?

    2005-07-26 14:22:00
  • 390:

    家に帰って自分の顔を見ると目が真っ赤に腫れてた。一人で部屋にいるとまた涙が出そうになる。だから私はあゆみに電話をかけた。
    「もしもしー♪」
    元気なあゆみの声で少し安心した。私は英二とのことや晃太のこと、元カノの話、最近たくさんありすぎた出来事を話した。
    あゆみはうんうんって何も言わずに聞いてくれた。昔からそうだった。何かあればいつも愚痴聞いてくれたり一緒に考えて悩んでくれたり。でもその時電話の向こうで男の人の声がした。彼氏と一緒にいたのだ。
    「ごめんあゆみ。分かんなかった・・・せっかくの休みなのにごめんね」

    2005-07-26 14:30:00
  • 391:

    「いいって!大丈夫だから」
    そうは言われたものの私は気になるしまた電話すると言って電話を切った。電話を切ってすぐにメールが届いてあゆみはホントごめんねと入れてきていた。
    邪魔しちゃったのは私の方なのに・・・静かな部屋でゴロンと横になると私はテレビをつけた。ちょうどテレビでは野球中継がやっていて私はテレビに映る晃太を見つけた。
    晃太だ・・・。いつもならテレビに入り込んで見てしまうのに。私は晃太をちゃんと見れなかった。本当に私大丈夫なんだろうか。
    距離ばかり感じてしまう。

    2005-07-26 14:39:00
  • 392:

    「ムーン?あ、分かったぁ。レイ健にいでしょ?いい感じだったもんね」
    「ちがうもん!暇だったからのぞいただけ」
    ムキになるレイが可愛かった。やめておくって断ったもののいつものレイの押しに負けて私はムーンに行くことになった。
    多分朝まで飲むだろうなぁ・・・ついでに明日迎えに行かなきゃなんないし今日は晃太んとこ帰ろう。色々用意してから私はムーンに向かった。

    2005-07-26 14:50:00
  • 393:

    ムーンに着くといつもより人が多くてカウンターもいっぱいだった。レイはホロ酔いで私も飲みたい気分だっからキツメのカクテルを出してもらい、二人で語り出した。
    健にいも忙しそうだったし、私はレイに今日あった出来事と英二とのこれまでの話を小さな声で話した。レイは酔いながらも私の話をマジメな顔して聞いてくれた。
    その時晃太から電話がかかってきた。
    「今日は負けちゃったよ。マジ疲れた」
    「そうなんだ。お疲れ様だね」

    2005-07-26 14:59:00
  • 394:

    名無しさん

    2005-07-26 15:09:00
  • 395:

    「明日大丈夫?時間はねぇ・・・・」
    晃太は明日の予定時間や場所を説明してくれた。
    「そーだ!由里明日デートしよって言ったじゃん?ディズニーランドとかどう?」
    無邪気に聞く晃太。ディズニーランド・・・か。晃太は知らない。私には昔からたくさんの思い出があること。小さい頃によく家族みんなで行ったことや英二と付き合う前に初めて行った場所。でも新しい思い出を晃太と作ればいい。
    後ろを振り返ってばかりじゃ前には進めないから。

    2005-07-26 15:15:00
  • 396:

    「いいよー。じゃあ決まりね。明日とりあえず迎えに行くから」
    そう言って電話を切った。レイは私の背中をトントンっと叩き、私の気持ちを察してくれたようだった。
    ムーンも時間がたつにつれいつものマッタリした感じに戻り、健にいとレイとゆっくりお酒を飲んで話していた。
    その時新しいお客さんが入ってきたので入口に目を向けると私は一瞬目が合ってドキッとした。入ってきたのは晃太の前の彼女だった。
    ここを知っていても不思議じゃない。一緒に来たこともあったのだろう。私の顔色にレイが気付き、小声で「誰?」と聞いてきた。

    2005-07-26 15:24:00
  • 397:

    「健ちゃん私ね、専属決まったんだ♪」
    その人は健にいに向かって話し始めた。レイは少し黙って嫌な顔をしていた。
    「ねーねー健ちゃんお隣りの彼女さん達は何してる人なの?」
    突然元カノ『アミ』は健にいに聞いた。健にいもあたふたして困ったように見える。その時酔っ払ったレイが少し怒った声で言った。

    2005-07-26 15:38:00
  • 398:

    悠?

    割り込んでごめんなさぃ?応援してます???ゆりちゃんファンです?頑張ってね?〃

    2005-07-26 15:42:00
  • 399:

    ありがとう?頑張ります?

    2005-07-26 16:09:00
  • 400:

    名無しさん

    2005-07-26 16:10:00
  • 401:

    名無しさん

    2005-07-26 16:43:00
  • 402:

    名無しさん

    2005-07-27 22:13:00
  • 403:

    名無しさん

    書いてぇ???

    2005-07-28 03:50:00
  • 404:

    また頑張って書いていきます?

    2005-07-29 14:41:00
  • 405:

    「関係ないと思いますけど」
    一瞬私は健にいと目が合い、凍り付く空気が流れた。
    「何熱くなってんの?普通に聞いただけなのに。若いっていいよねー何にでも熱くなれて」
    元カノ《アミ》はクスッと鼻で笑った。
    「モデルかなんだか知らないけど性格悪いから捨てられて当然だよねー。アタシが男だったら頭下げて付き合ってって言われても断るってかんじ」

    2005-07-29 14:48:00
  • 406:

    レイは酔った勢いもあって、そう言い返した。晃太のいない場所でこんなことになるなんて・・・。
    「ほらほら、もう!みんな楽しく飲もうって。せっかくのうまい酒がだいなしだろー」
    健にいが間に入ってくれたおかげで、とりあえずその場は落ち着いた。でも楽しくも飲めないし早く帰ろうと思い、帰る前にトイレに行った。
    私がトイレから戻るとまたレイと元カノが何か言い合っている。

    2005-07-29 15:19:00
  • 407:

    「ちょ、ちょっとレイ!酔いすぎだって」
    私が慌てて止めに入ると元カノは私を見てこう言った。
    「あんたオミズなんだってね。どーりで馬鹿っぽいと思った。晃ちゃん知ってるの?知らないよねー?相手にされるわけないもんねー」
    レイが言い合ってる最中にぽろっと口が滑り、煽られた勢いで言ってしまっていた。
    誇らしげに勝ち誇った顔をして私達を見ている。でもどうでも良かった。だって晃太は私を選んでくれたんだから。何の取り柄もないこんな私を好きだって言ってくれた。

    2005-07-29 18:14:00
  • 408:

    「何か言いなさいよ」
    私が何も言わずにいると元カノは挑発的に言葉を発する。馬鹿馬鹿しくて答える気にもならない。と同時に私の中の嫌な部分が出てしまった。
    「ハハッ超ウケルんだけど。熱くなってんのそっちじゃん。それに晃太は知ってるし心配してもらわなくても大丈夫だから」
    元カノは悔しそうな顔をした。私はレイの手をとり健にいにお金を払うとすぐにムーンを出た。スッキリした・・・とまではいかなかったけど一言言えただけで気持ち良かった。

    2005-07-29 18:22:00
  • 409:

    「由里飲み直すー?アタシまだまだ大丈夫なんだけど」
    酔っ払い口調のレイが私に向かってニコニコ笑っている。
    「飲み直すってもう飲めないじゃんこんなに飲んじゃって。大丈夫?家まで送ってくから」
    タクシーを止め、レイを乗せると車は走り出し、レイは私に寄りかかったまま寝てしまったようだった。私も窓の向こうの夜のネオンで光る街をジッと見つめていた。
    青、赤、白、黄色、緑やオレンジ。たくさんの色がキラキラしている。街を彩る宝石みたいに。

    2005-07-30 04:34:00
  • 410:

    ボーッとしていたのか気付けばタクシーはレイのマンションに着いた。
    「ほら起きて、レイー。着いたよ」
    私に起こされて眠そうに目をこするレイの顔は子供みたいに可愛かった。少しぐずった後、やはり眠いのか私に手を振りながらマンションにゆっくり入って行った。
    「成城の**まで」
    晃太のマンションの場所を説明した私も少し眠くなってしまっていた。やれやれ・・・疲れたなぁ。せっかく楽しく飲んでたのに。

    2005-07-30 04:41:00
  • 411:

    一週間前の今頃は晃太のせいでタクシーの中で泣いて帰ったんだっけ。帰ると英二が待っていて。
    でももういないんだよね。首元にぶら下がった英二が幸せになれって渡してくれた天使の涙のネックレスを私は強く握りしめた。
    幸せになるんだ。何があっても幸せになれる。英二から貰ったネックレスだったけど、晃太に悪い気にはならなかった。英二は晃太に私の幸せを託してくれたんだから。
    そうこうしているうちにマンションに着くと、私は誰もいない晃太の部屋に帰った。

    2005-07-30 04:48:00
  • 412:

    広い部屋・・・静かな空気。一人じゃ寂しく感じるなぁ。大きなベッドに横たわると、私は化粧も落とさないままいつの間にか寝てしまっていた。
    (PPPPPP)
    あったま痛ーい・・・目覚ましの音が二日酔いの頭に響く。まだ眠いよもう少し寝たい。そうは思ったものの迎えに行く用意もしなきゃいけないし私は眠いのを我慢して起きることにした。
    シャワーを浴び、眠気覚ましにコーヒーを飲むと目もやっとパチッと開いた。今日が晃太との初めてのデート。そう思うと二日酔いだってすっかり直ってしまう。女の子って単純だよね。

    2005-07-30 04:59:00
  • 413:

    名無しさん

    読んでます?

    2005-07-30 05:27:00
  • 414:

    大丈夫なのかな?そんなことを考えていると車を見つけた晃太が足早に歩いてきた。
    後部座席に荷物を入れ、助手席のドアが開いた。久しぶりってわけじゃない。たった三日だったのに晃太の顔を見ると嬉しくてしょうがなかった。
    照れ笑いする晃太を見ているだけで昨日あった嫌なことも全部忘れることができた。
    「ちゃんと待ってておりこうさんじゃん。エライエライ」
    そう言って晃太は私の頭を撫でてくれた。

    2005-07-30 09:06:00
  • 415:

    「飯食った?俺ちょっとだけ小腹減ってんだけど」
    「食べてないよーだって起きて急いで来たんだもん。由里も少しすいてるかなー」
    何気ない会話が心地いい。と、そんな気分でいると晃太が突然びっくりすることを口にした。
    「今日ディズニーランド行くじゃん。その前に飯食って、それから浦安着いたらとりあえず由里の家行こうよ。挨拶もしておきたいし」
    う、浦安!?家!?挨拶!?ってマジ急すぎじゃん!私はびっくりして頭が混乱してしまった。真剣に付き合おうと言ってくれてたけど展開が早過ぎて。それよりお母さん達みんな腰抜かすよ・・・

    2005-07-30 09:16:00
  • 416:

    「由里?駄目かな?」
    晃太が慌てた私を見て困った顔をした。
    「うん分かった。いいよ。でもお母さん達びっくりしちゃうよホントに。後で電話しなきゃね」
    オッケー・・・しちゃったよ。どうしよう。うちなんて普通のマンションだし広くもないしホントに普通なんだけど・・・。
    しばらく走った後、私達はとりあえず道路沿いにあったカフェに入った。注文も済み、座っているとやっぱり周りの視線が痛いほど分かった。晃太とどこかに行くといつもこうなるんだよね・・・隣にいる女誰なんだって。

    2005-07-30 09:23:00
  • 417:

    晃太が忘れた携帯を取りに車に戻った時、私は慌てて実家に電話をかけた。お母さんがすぐに出て私も焦りながら話した。
    「もしもし由里だけど。あのね、今日連れて行きたいっていうか会ってほしい人がいるの。っていうか英二と別れたから新しい人なんだけど」
    「え!?英二君と別れた?何でまた」
    「うーんそれはまたゆっくり話すから。でね、その新しい人が挨拶したいって言ってて。後で行くからびっくりしないでね」
    「急に言われても・・・うんまぁ分かった分かった。じゃあ気をつけて帰ってきなさいよ」

    2005-07-30 09:33:00
  • 418:

    電話を切るとちょうど晃太が戻ってきた。運ばれてきたランチを食べながら楽しそうに笑う晃太を見てるとこれから先、この人とずっと一緒にいられたらいいなってそう思った。
    昨日の試合で全然打てなかった話や、後輩とご飯を食べながら野球について話したこと、晃太はたくさん話してくれた。
    「由里ちゃんと聞いてる?聞いてないだろ」
    晃太の話してる姿をジッと見ているとすねた顔して晃太がふくれた。
    「聞いてるよー。今は晃太の顔見てたの。可愛かったから」

    2005-07-30 09:39:00
  • 419:

    「なんだよそれー可愛いキャラじゃねーっつーの」
    照れる晃太がもっと可愛く見えた。食事も終わりレジに向かう途中、晃太に財布を渡された。えっ?
    「車出して待ってるから払ってて」
    そう言って晃太は先にお店を出た。何気ないことなんだろうけど嬉しく思ったのは何でだろう。私はレジを済ましている間もずっとゴキゲンだった。そしてお店を出て車に乗り、晃太に財布を渡そうとした。
    「あー持ってて由里が。」

    2005-07-30 09:46:00
  • 420:

    持っててって私が?持ってていいんだ・・・。こんなこと思うのは私だけなのかもしれないけど、この人の彼女なんだなってそう思った。
    「住所入れて。ナビ」
    晃太に言われ、私は実家の住所を入力した。時代もホントに便利になったもんだなぁ。って年寄りじみてるなぁ私。その時私の携帯が鳴った。由輝だ。
    「はいはーい何ー?」
    私が出ると由輝が慌てて話しだした。

    2005-07-30 09:52:00
  • 421:

    「ねーちゃん英二君と別れたってどうゆうことだよ。っつーかもう新しい彼氏連れてくるとかマジありえねー」
    ???????
    「って何であんたが知ってんの?」
    「俺久しぶりに昨日からこっち帰ってきてたんだよね。さっき起こされ聞いてチョーびびった」
    やばい・・・由輝がいるなんて。由輝は英二とすごく仲が良かったし。それに晃太なんかに会ったらミーハー丸だしで大変なことになりそう。

    2005-07-30 09:58:00
  • 422:

     

    2005-07-30 09:58:00
  • 423:

    「まぁとりあえずどんなやつか楽しみにしてるよ。英二君のほうが良かったら俺は仲良くしねーからな」
    そう言って勝手に電話は切れた。あー気がめいる。どうなるんだろ。
    「あのね、弟、由輝っていうんだけど昨日から帰ってるみたいなんだー。だから家にいるんだけど」
    「マジ!?良かったー。会ってみたかったんだよね。21だっけ?」
    無邪気に話す晃太。心配してるのは私だけみたいだ。

    2005-07-30 10:05:00
  • 424:

    でも家に近付くにつれ、少し晃太の口数も減ってきた。緊張?してるのかな。それでもナビ通りに進んで行けば少しずつゴールが見えてきた。
    昔と比べて変わった風景。こんなに建物あったかな?そんな景色が目にうつる。もう家もすぐそこだったので近くにあったコインパーキングに車を止め、私達は車を降りた。
    遠征帰りだから晃太はスーツのまま。なんだかかしこまってるみたい。二人で並んで歩いていると昔から知っている近所のおばさんに会った。
    「由里ちゃーん。久しぶりね。元気なの?」

    2005-07-30 10:14:00
  • 425:

    私に話し掛けたおばさんだったが隣にいた晃太を見て驚いた顔をした。やばっ。
    「元気ですよー。おばさんも元気そうだね♪急いでるからごめんねまた今度」
    私はそう言って晃太のそでを引っ張って歩いた。
    「なんだよ由里、ゆっくり話せばいいのに久しぶりなんだろ?」
    「いいってば。晃太にびっくりしてたし。ねっ!早く行こう」

    2005-07-30 10:19:00
  • 426:

    マンションに着くと晃太は言った。
    「俺が昔住んでたマンションに似てる。よく分かんないけど懐かしくなった」
    似てる・・・んだ。少し安心した。やっぱり普通に育ってきたんだ。今じゃこんなにすごい人なんだけどね。
    玄関のインターホンを押すとお母さんがドアを開けにきた。
    「あっ、初めまして。突然ですいません。あ、矢口と言います」

    2005-07-30 10:24:00
  • 427:

    晃太が勢いよく挨拶をした。お母さんはすぐに気付き、目を丸くして驚いた。
    「あ、あ、由里の母です。すいませんこんなとこまで来ていただいて。あの、どうぞ上がって下さい」
    お辞儀しあう二人は緊張しているのか何度も頭を下げていた。お母さんに連れられ晃太とリビングに入ると由輝がテレビを見ながら座っていた。私達に気付き振り返ると由輝はびっくりした声で言った。
    「えっ?矢口?マジかよ矢口じゃん」
    それを聞いた晃太は大笑いした。

    2005-07-30 10:30:00
  • 428:

    「ハハハッそうそう、矢口だよ矢口。由輝くんだっけ?初めまして」
    「あ、あの僕びっくりして・・・矢口さんが来るって思ってなくて。あ、弟の由輝です」
    僕?由輝が僕なんて使ったの初めてだ。妹二人は学校がありその時家にはいなかった。
    「晃太座って」
    私がそう言うと晃太はまたペコッとお辞儀をしてソファーに座った。お母さんもソファーに座り、由輝はカーペットの上にそのまま座った。
    「由里、が会ってほしいって言ってたのは矢口さんだったの?」

    2005-07-30 10:37:00
  • 429:

    「う、ん。お母さんびっくりするだろうって思ったんだけどね。びっくりするなら早くても遅くても一緒だからさ」
    「あ、いえ。僕が今日由里さんに無理言って挨拶しておきたいって頼んだんです」
    「そうだったんですか。確かにびっくりしたけど礼儀正しいというかわざわざありがとうございます」
    お母さんもかしこまっている。
    「あの、初対面でこんなこと言うのは失礼かと思ったんですが。真剣に、あの結婚を見据えてのお付き合いをさせてもらえればと思いまして」

    2005-07-30 10:42:00
  • 430:

    名無しさん

     

    2005-07-31 23:40:00
  • 431:

    「じゃあ由里そろそろ行こうか」
    しばらくゆっくりした後、晃太が切り出した。
    「あ、うん・・・」
    頭がいっぱいいっぱいだ。立ち上がったのはいいけどめまいがしそうなくらい。ドキドキしてるのかどうなのか分からないけど言葉に表せない感情が心に引っ掛かっていた。
    お母さんと晃太が帰り際まで玄関先でずっと話し込んでいるのを見ていて、嬉しい気持ちもあったけど複雑な気も少しした。

    2005-08-01 22:03:00
  • 432:

    「また近いうちにゆっくり帰ってくるよ」
    私はそう言って実家をあとにした。本当は久しぶりだしもっとゆっくりしたかったけど・・・マンションを出て車まで歩いていると、すれ違った通行人が振り返ったりして晃太に気付いたりする。
    やっぱり晃太ってどこにいても目立つなぁ・・・なんでかな?オーラ?体格?有名だから?
    そんな有名人なのに車に乗り込むと急に着替え始めたり時々大胆というか訳分かんない行動する。
    「スーツって肩凝るんだよね」

    2005-08-01 22:20:00
  • 433:

    そう言って白のTシャツにジーンズのカジュアルな服に着替えた晃太は日差しがきついせいもあり、サングラスをかけて車を発進させた。
    何をしてても絵になる人っているんだよね。ホント晃太は何しててもかっこいい。
    「じゃーお姫様、ディズニーランドにお連れいたします」
    運転しながらイタズラっぽく私に言った。優しく笑う晃太が好き。大好きって言葉じゃ足りないや。
    今日だって休みで疲れ取りたかったはずなのに挨拶まで来てくれてデートもしてくれる。100点満点の彼氏だ。

    2005-08-01 22:29:00
  • 434:

    「あの、晃太・・・さっき夜に晃太の実家行くって言ってたじゃん?あれってホントに行くの?今日じゃなきゃだめかな?」
    不安に思う気持ちのせいで何故か行きたいと思えずにいた。
    「何で?嫌なの?」
    「ちが、違う。そうじゃないんだけど」
    「だったらいいじゃん。由里のお母さんにも挨拶できたし健全な付き合いできるわけなんだし。俺もちゃんと紹介しておきたいからさ」

    2005-08-01 22:33:00
  • 435:

    「うん・・・」
    晃太がこうやって色々考えてくれてるのが嬉しいんだけどね。初めて彼氏の親に会う時って誰でも緊張しちゃうじゃん。ホントにどうしようしか頭にないよ。
    私は一人でそんなことばかり考えていた。いつの間にかディズニーランドも見えてきていて気付けばもう着いていた。
    駐車場に車を止め晃太はサングラス、私は帽子を深く被っておりた。歩き始めてすぐに晃太が左手を出してきたから私は嬉しくてすぐにその手をつかんだ。
    初めてのデート。晃太と私の初デート。幸せ絶頂!ってくらい心はハッピーだった。

    2005-08-01 22:41:00
  • 436:

    月曜日の昼間ってこともあって週末みたいに混んでないし比較的乗り物もスムーズに乗れた。
    「由里さぁミニーの耳つけたら?可愛いし似合うんじゃね?」
    「いいよー由里は。恥ずかしいし。晃太がつければ?」
    「ハハッ無茶ゆうなよー俺がつけたら変態みたいじゃん」
    冗談で言ったのにマジ返しする晃太が可愛い。それに晃太がミッキーの耳なんてつけてたら目立つ上にさらに目立っちゃうよ・・・

    2005-08-01 22:48:00
  • 437:

    当たり前に周りは気付いたりしてる。気付いた人はいつものごとくヒソヒソ話や最近は便利になりすぎてるせいで携帯のカメラを勝手に向けたり。
    そのたびに晃太はうつむいたり顔隠したりしなきゃなんないしホントに大変だなぁって思う。でも晃太は嫌な顔したりしないんだよね。
    だるいとかそういうことも全く言わないし。

    2005-08-01 22:55:00
  • 438:

    そういうところにも惹かれるんだよね。自分の立場をしっかり保ってて。サイン頼まれたら断ることしないし、お人よしなだけかもしれないけど見ていてあったかい気持ちになる。
    「カメラ持ってる?」
    歩いていたら晃太が聞いてきた。カメラ・・・は確か持ってるはず。
    「うん持ってるよー」
    私はカバンからカメラを取り出すと晃太に手渡した。

    2005-08-01 23:58:00
  • 439:

    「写真撮ろっか。ちょっと待ってて」
    そう言うと晃太は近くにいた家族づれのお父さん?に声をかけに行った。晃太に気付いて握手したりしたあと晃太が戻ってきて私にピタッと寄り添った。
    「三枚くらい撮ってくださーい」
    晃太がそう言うと、そのお父さんらしき人は楽しそうにシャッターを切ってくれた。結局五枚も撮ってくれて、軽くお礼を言った私達は撮ってもらった画像をデジカメですぐに確認した。
    初めて撮った二人の写真。照れ臭いけど嬉しくて見ているだけで幸せになれた。

    2005-08-02 00:06:00
  • 440:

    名無しさん

    いつも読んでます?いっぱい書いてね?

    2005-08-02 18:56:00
  • 441:

    名無しさん

     

    2005-08-04 13:52:00
  • 442:

    それからアトラクションにもだいたい乗ったし私達は近くにあったベンチに腰掛けた。
    空はきれいに晴れていて日差しがきついぐらいだけどこうして晃太といるだけで周りの景色も全く変わって見える。一緒にいるだけで幸せってこうゆうことを言うんだろうな・・・。

    2005-08-05 02:54:00
  • 443:

    今年の夏は、きっとずっと忘れられない夏になる。四季の中でも夏って一番短く感じるけど毎年何かを残してくれた。十代の頃は海で寝っ転がって真っ黒になってたっけ。
    でも何でだろう。夏が終わりかけた時っていつも寂しくなるんだよね。暑い暑いって嘆いてるくせに涼しくなって肌寒くなると、あー今年も夏は終わっちゃうんだ・・・って。
    あっという間に時間って過ぎてて、気付けばもうこんな歳で。秋が来ればもう冬がすぐに来る。こうやって時間を短く感じるようになったのも年をとったからなんだろうか。

    2005-08-05 03:02:00
  • 444:

    「そろそろ行こっか。もう日も暮れてきたし」
    あーぁもう終わりかー。たくさん遊んで歩き疲れてるのに帰るってなると帰るのが嫌になったりする。子供だよねホントに。
    駐車場まで晃太と手を繋いで歩いてる時、ふと後ろを振り返ると二つ並んで伸びる影を見て笑ってしまった。長い晃太の影と短い私の影。実際も差がありすぎるわけなんだけどこうして見ると変な感じだ。
    子供の手を引く大人って感じで。
    「どうした?一人で何笑ってんだよ」

    2005-08-05 03:10:00
  • 445:

    「なんでもないよー」
    そう答えると晃太を見上げて改めて思った。大きいなぁって。背中も手も全部大きい。だから守られてるなぁって感じになる。
    ホワホワした気分で駐車場に着くと私は肝心なことを思い出した。今から・・・そうだ、晃太の実家に行くんだった。私は一瞬で目が覚めた。凄い緊張感でいっぱいになった。車が進むと、晃太はハンズフリーで電話をかけだした。
    (PPPPP)
    呼び出し音だけでドキドキだ。

    2005-08-05 03:17:00
  • 446:

    (え?本当なの?でもお母さんもお父さんもさっきご飯食べちゃったわよ)
    「マジで?んー分かった。じゃあ食ってから行くよ。あと今日は泊まらないからね」
    (そう・・・じゃあお父さんにも話しておくから。気をつけて来なさいね)
    プーップーッ。電話は切れた。私の緊張に気付いたのか晃太はお笑い芸人のマネをしたり和やかな雰囲気にしようとしてくれる。
    「大丈夫だって!本当普通の親だからさ。っつーか何食う?横浜でもいい?」

    2005-08-05 03:31:00
  • 447:

    私はコクッとうなずいた。横浜かぁ・・・みなとみらいとか超キレーだしベイブリッジとか都内より夜景もむちゃくちゃいいんだよね。
    「すげーうまい海鮮料理の店があるんだけどさ、須藤に教えてもらってから一緒に通ったりしてんの」
    「そうなんだぁ。じゃあ有名人ご用達のお店なんだね」
    「有名人?えっ俺らのこと?」
    俺らのこと?って。ハハッ、他に誰がいるのよ。ホントに自分のこと分かってないなぁ・・・。

    2005-08-05 03:42:00
  • 448:

    「エビ好き?」
    運転しながら晃太が聞いてきた。
    「うん。けっこう好きだよー」
    「マジで?そこの伊勢海老チョーうまいよ。ホントにホントに。多分ね、エビにありがとうって思うくらい」
    晃太は時々変な例え方をする。でも意外に分かりやすかったりするんだよねー。エビにありがとう・・・か。一体どんな味なんだか。

    2005-08-05 03:47:00
  • 449:

    横浜に着くまでの間も晃太は伊勢海老の話とかアワビの話をずっとしていた。ホントにそのお店がよっぽど好きなのかなぁって思った。
    「もうすぐ着くよー」
    それから少し走ると晃太はとあるビルの前に路駐した。
    「着いたよ。ここの2階」
    私達は車を降りたけど、人がたくさんいたせいもあって少しずらして二人別々にビルに入った。

    2005-08-05 03:55:00
  • 450:

    晃太が先に入って、そのあと私もビルに入った。階段を上がり2階につくとお店の入口で晃太が待っていた。
    店員さんが気付いてドアを開けてくれると長いカウンターだけの料亭みたいな雰囲気で落ち着いた感じがする。
    一番端の席に座った私は壁際にある大きい水槽に目をやるとたくさんの魚が泳いでいた。お任せで頼んでもらってると、晃太はいつもの飲みたい顔をした。
    「いーよ!由里運転するから」
    「マジ?ごめんなーいつも」

    2005-08-06 16:28:00
  • 451:

    名無しさん

    絆って亀梨クン?

    2005-08-06 16:30:00
  • 452:

    そう言ってビールを頼み、おいしそうに飲む晃太を見ていると、可愛いなぁって思える。それから出された料理を食べ始めたんだけど本当に目で見てるだけで満たされるような創作料理で食べるのがもったいなくなった。
    晃太が熱弁してた伊勢海老料理は言ってた通りめちゃくちゃおいしくてこれなら納得っていうか私も虜になってしまった。
    お店も雰囲気が良くていつもみたいにジロジロ見てくる人もいないしカウンターだから気にしないで済むし居心地がいい。

    2005-08-06 16:36:00
  • 453:

    まぁどこだとしても大好きな人と一緒にいるだけで何でも楽しく美味しく感じるものなんだろうけど。
    「そろそろ行こっか。遅くなっちゃうし」
    食事も済んだし、お店を出た私はまだ外は人がいっぱいだったから晃太と距離を置いて歩こうとしたけど少しお酒の入ってる晃太はサッと手を繋いでくれて車まで一緒に歩いてくれた。
    車に乗り、運転席に座ると助手席の晃太が人目もはばからずにホッペにキスしてきた。
    「知らないよー誰かに見られても。こんなことして撮られたりしたらどーすんの」

    2005-08-06 16:44:00
  • 454:

    その時は軽い冗談で言ってたはずだった。後でとんでもないことになるとは知らずに・・・
    車を出したらナビどおりに晃太の実家に向かった。本当にすぐ近くであっという間に着いてしまった。家の前に車を停め、車から降りると妙な緊張感が走る。
    晃太は門を開け、家に入っていく。振り返って私に手招きしてきたから小走りですぐそばにいくと玄関のドアがあいた。
    そしてそこに立っていた小柄な女の人が私を見てお辞儀してくれた。晃太のお母さんだ。私も慌ててお辞儀し、「初めまして。夜遅くにすいません」と言った。

    2005-08-06 16:54:00
  • 455:

    「いいえ、どうぞ上がって下さい。ほら晃太、彼女緊張してるみたいなんだからあんたがちゃんとリラックスさせてあげないと」
    そう言って家に上げてくれた。優しそうな人だなぁって印象。お邪魔しますと言って晃太についていきリビングに入ると、晃太のお父さんが座っていた。

    2005-08-06 17:00:00
  • 456:

    「お、おじゃまします。夜分遅くにすいません初めまして」
    私は緊張気味に挨拶するとお父さんはニッコリ笑ってペコッと頭を下げてくれた。
    「どーぞ座って座って。彼女お名前は?」
    「あ、すいません相川由里といいます」
    「由里さんか。晃太の父です。よろしく。こいつが彼女連れてくるなんて初めてだったから何だかこっちまで緊張してたんだよ、なぁ母さん」

    2005-08-06 17:06:00
  • 457:

    「そうそう、お父さんなんてさっきまで表で待ってたぐらいなんだから」
    「マジかよ親父が?」
    晃太が女の子連れてきたの初めてだったんだ・・・緊張感も消えないけど何だかちょっぴり嬉しかった。
    「俺さ、真剣に将来見据えて付き合おうと思って。だから紹介しておきたくてさ。見た目は今時の子って感じだけど中身がめちゃくちゃ真っすぐで今まで周りにいた女と全然違うんだ」
    真面目な顔して私のことを話してくれてる晃太を見て、一瞬胸がキュンとなった。

    2005-08-06 17:13:00
  • 458:

    それからお父さんやお母さんに年齢や田舎を聞かれたりしたけど特に気にしていた学歴や仕事のことは全く聞かれなかった。
    「バカ息子で由里ちゃんホントに大変だろうけど頼みますね。何かあったら私に言ってきてくれたら何でも力になりますから」
    お母さんもそう言ってくれて、私も次第に緊張もほぐれていった。優しくていい両親でよかった・・・ホッとしているとお母さんが私の横にちょこんと座った。
    「由里ちゃんはメールとかするの?よかったら携帯のアドレス教えてくれない?」

    2005-08-06 17:20:00
  • 459:

    「はい、是非。今交換しましょうか」
    それから私と晃太のお母さんは携帯番号とアドレスを交換した。今の時代は本当にグローバルというか便利な機能ができたおかげで自分や晃太の親世代でも気軽にメールしたりするんだよね。
    私は少し仲良くなれた気がしてハッピーだった。それからお母さんやお父さんと色々話していると晃太も仲良くなれた私を見ながら嬉しそうな顔をしていた。
    「もう遅いし泊まっていきなさいよ。ねぇ由里ちゃんも」

    2005-08-06 17:27:00
  • 460:

    そう言ってくれて嬉しかったけど晃太が少し考えていた。しばらくして
    「やっぱり帰るよ。明日も昼から練習あるし。またゆっくり帰ってくるからさ、ごめん」
    残念そうな顔をする二人を見ていると今日の自分のお母さんと同じように見えた。やっぱり寂しいんだろうなって。たまにしか会えなくなると会えた時は超嬉しくて。でもバイバイする時は嬉しかった分、何倍も寂しくなるんだろうなって。楽しい時間ってホント、あっという間だから。

    2005-08-06 17:33:00
  • 461:

    名無しさん

    亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン亀梨クン

    2005-08-06 17:35:00
  • 462:

    「またゆっくり帰って来なさいね。由里ちゃんもたまにメールしてきてね」
    家の前まで見送ってくれたお母さんとお父さんはバックミラーで見えなくなるまでずっと手を振っていた。やっぱり寂しいもんだよねバイバイって。
    晃太もちょっぴりしんみりモードだった。と、その時バックミラーをふと見た私は気付いてしまった。後ろを走ってる車って・・・たしかさっきご飯食べた後車に戻った時前に止まってなかったっけ?気のせいだよね?
    でも・・・今日の朝東京駅迎えに行く時マンションを出た時も似たような色の車がマンション前に止まってた。

    2005-08-06 17:46:00
  • 463:

    多分車種はアリスト?変わった色のダークブルーで・・・気のせいだよね?でも不安に思った私は右へ左へとりあえずスピード早めに曲がり続けた。
    「由里?何してんの」
    晃太も変に思ったのか聞いてきた。でも私の予感は的中してた。曲がっても曲がってもずっとついてくる。たまらず晃太に話した。
    「ずっとね、もしかしたら後ろの車ついてきてるかも。気のせいかと思ってたんだけどずっとつけてるし」

    2005-08-06 17:51:00
  • 464:

    「マジで?週刊誌とかだったりして」
    晃太は一瞬焦った顔をしたけど、私は言われるがままに道を進んで、信号にひっかかりそうになった時に一気に渡り、アリストが信号につかまったうちに猛スピードで距離を開けてまいた。
    「これさぁ、晃太のマンション一緒に戻ったらまずいんじゃない?またいたらヤバイじゃん」
    「うーんどうだろ。でもなぁ、あ!由里んちでいいじゃん。明日起きたら一緒に帰ればよくない?」

    2005-08-06 17:59:00
  • 465:

    荒らされたので書くのやめますm(__)m

    2005-08-06 18:00:00
  • 466:

    「よくない?ってそんな単純でいーの?大丈夫なの?ばれたら怖いじゃん」
    私は何故か必死だった。もしばれたら晃太の立場が壊れてしまいそうで怖かった。
    「ばれたらばれた時だよ。なるようになる!大丈夫だって。別に悪いことしてるわけじゃないんだしさ」
    そう言われてみればそうなんだけど・・・。晴れない気分のまま私のマンションに着き、コインパーキングに車を停めると周りを確認して車をおりた。
    車も人の気配もない。大丈夫だ。

    2005-08-06 18:06:00
  • 467:

    ◎#1234

    私達はすぐにマンションに入り、部屋に戻ると一気に疲れがきたせいかシャワーを浴びると二人してベッドにバタンと横になった。
    朝から浦安の実家行って、ディズニーランド行って横浜いって晃太の実家行って・・・動き疲れたなぁ。楽しかったけど最後はあれ何だったんだろ?
    何でもないといいけど。そんなこと考えながら横にいる晃太を見ると口をあけて寝ていた。めちゃくちゃまぬけな顔だ。でも私だけの特権、寝顔なんて誰も見れないもんね。
    やっぱり超幸せだ♪

    2005-08-06 18:11:00
  • 468:

    うとうとしてるうちにいつの間にか私も寝てしまっていた。夢をみることないぐらい久々に深ーく寝ていた。
    (PPPPPP)
    目覚ましの音で目が覚めるとまだグッスリ寝た晃太が隣に寝ていた。まだ時間にも余裕があったから軽く朝ご飯を作り、久しぶりにリビングの窓とベランダのカーテンを全開にして、換気がてらに窓も全部あけておいた。
    夏の朝はセミの鳴き声が嫌になるぐらいうるさいけど、これも夏の風物詩だもんね。汗ばむぐらいの暑さと強い陽射し、虫の鳴き声にお祭りに花火。

    2005-08-06 18:21:00
  • 469:

    夏っていいよね・・・
    部屋に戻って寝室のカーテンも全部開けると明るい光に晃太はまぶしそうに目をこすった。窓も開けようかと思ったけどかわいそうだから窓は開けないでクーラーをつけたままにしておいてあげた。
    「由里ぃーあと30分寝かせて。30分したら起こしてね」
    子供みたいにむにゃむにゃ言いながらまぶしいのか布団を頭まで被り寝てしまった。

    2005-08-06 18:27:00
  • 470:

    それから私はリビングに戻って掃除をしていた。
    (♪〜♪〜♪)
    その時テーブルに置いていた晃太の携帯が鳴った。そっと画面を見てみると《千恵》という名前の人からだった。千恵?って誰だろ・・・友達?よく分からない不安がまた私を襲う。
    30分後、晃太を起こして朝ご飯を一緒に食べてる時、携帯が鳴ってたことを晃太に話した。晃太は携帯を手に取り、着信を確認した。
    それを見ていた私と目が合うと少しチラッと目をそらした。あやしい、絶っっ対あやしい。

    2005-08-06 18:36:00
  • 471:

    「誰からだったの?」
    私は思わず聞いてしまった。何もありませんように・・そう思いながら。
    「あぁ、健だよ健」
    えっ!?健にい?なわけないじゃん。千恵・・・って、千恵って名前だったじゃん。私は初めて晃太に嘘をつかれた。そして初めて晃太にキレた。
    「晃太ってうそつきだったんだぁ。最テー。見るつもりなかったけどこんな時間だし仕事の人からかもしれないから携帯鳴ってる時名前確認してたんだよね。じゃあ女の名前だしさ。しかも嘘つくとかホントに信じらんない」

    2005-08-06 18:43:00
  • 472:

    「ち、ちがうんだって。なぁ話すから聞いてくれって」
    「もういいって。それ食べたら帰ってね。車のキー玄関にあるから」
    「ちょっ由里!」
    晃太の話も耳に入らない。入らないんじゃなくて聞きたくないだけだった。私は寝室に入り、開けていたカーテンを閉めるとベッドにもぐりこんだ。すぐに晃太が部屋に入ってきてベッドに座った。
    「なぁ由里、ごめん。ホントごめん。嘘つくつもりなかったんだけど。心配させたくなかったから。大学ん時の友達でさ。なんか同窓会しようみたいな電話もらってて」

    2005-08-06 18:53:00
  • 473:

    「それだけじゃないよね?本当に何もなかったら晃太はちゃんと由里に話すじゃん。元カノのことだってちゃんとしてくれてたじゃん。何もやましくなかったら目そらしたり隠す必要ないでしょ。バカじゃないの?」
    「何だよバカって。確かに嘘ついた俺が悪いけどさ。正直に話すけどその子とは、その、大学の時に少しだけ付き合ってたけど・・・でも今はいい友達っつーかホントに何もないんだ。ホントに同窓会の件で連絡あったぐらいだから」
    「へぇーそうなんだ分かった分かった。もういいから。本当に今日は帰って」

    2005-08-06 19:03:00
  • 474:

    イライラした。ぶつけようがない気持ちにどうすることもできずにいた。めちゃくちゃ子供かもしれない、でも怒りはおさまらなかった。
    大人になりたい、いつでも冷静でいれる落ち着いた女に。こんなことがあっても怒ったり落ち込んだりしない強い女に。
    晃太は何度も布団の上からトントン叩きながら私に謝ってきたけど結局私は起き上がらなかった。球場に向かう時間が迫っていたから途中で晃太は部屋を出て帰って行った。玄関がガチャンと閉まる音が聞こえた私は玄関にいくと鍵をかけその場に座りこんだ。
    何やってんだろ私・・・。

    2005-08-06 19:11:00
  • 475:

    名無しさん

     

    2005-08-06 22:11:00
  • 476:

    亀梨ゃけど

    俺の歌パクらんとぃてや

    2005-08-06 22:54:00
  • 477:

    亀梨って?何かの人ですか?スレタイはこの話の最後に見合うと思ってつけました。
    ぱくったりしたつもりはないんで、気になるなら放置してて下さい。

    2005-08-06 23:27:00
  • 478:

    名無しさん

    この話が一番好きo(^-^)oめちゃファンです☆頑張って♪

    2005-08-06 23:44:00
  • 479:

    初めてのケンカ。後味悪いままただ時間だけが過ぎていった。夕方までリビングでテレビもつけないまま一人でずっとボーッとしたまま。晃太からは何度もメールがきていた。
    (今日試合終わったら家行くからちゃんと話そう)(メール返してきて)(まだ怒ってるの?)って。怒ってるのかなんて分からない。でもモヤモヤした気持ちは直らないままで。

    2005-08-07 00:42:00
  • 480:

    (♪〜♪〜♪)
    また携帯が鳴った。アレ?この曲は・・・レイだ。最近からレイの着信音は古いけど大黒摩季の(あぁ)だ。酔うとレイがよく歌う歌。だから定番になってしまってる。
    「はいー?どした?」
    (あっ由里何してたの?今日お店来る?)
    お店かぁ・・・気ものらない私は仕事のことなんてスッカリ忘れていた。

    2005-08-07 00:55:00
  • 481:

    ?

    リアルタイムやぁ?ε??ってかこの話めちゃめちゃ胸キュンするんですけど…◎さんがんばってくださいね???あっしも恋がしたいとです…………

    2005-08-07 01:02:00
  • 482:

    「うーんまだ分かんないや。行けるのは行けるんだけどね」
    (えー何それー。由里来なきゃアタシがナンバーワン抜いちゃうよー。なんてね♪最近由里よく休んでるからお店ヒマだし店長が焦ってるの)
    「え?そんなことないでしょー。まぁ分かった。じゃあ出るよ今日。山田さんと牧野さんで同伴つかまえよっか」
    (オッケー♪じゃあアタシ牧野さん連絡してみる♪)
    「分かった。じゃあとりあえず後で美容院でね」

    2005-08-07 01:03:00
  • 483:

    電話を切った私はフーッと大きなため息をついた。そういえば一つため息をつくと一つ幸せが逃げるってよく言うけどホントにそうかもしれないね。何だか気分もすぐれないままだった。
    お客さんに同伴連絡が済み、ダラダラと用意をしながら晃太にメールをした。
    (ごめん今日仕事行くから時間ない。また由里から連絡するよ??怒ってるんじゃないよ?少し頭整理したいから?)
    それから私は早めにマンションを出た。あーあっ、テンションも上がらないしダルイ。今日は飲んで騒いでパーッとやっちゃお。

    2005-08-07 01:11:00
  • 484:

    ?さんありがとうございます?頑張って書くのでまたのぞいて下さいね?

    2005-08-07 01:12:00
  • 485:

    美容院に着くと早めに出たはずなのにもうすでにレイが来ていた。
    「レイ超早いじゃーん。由里もかなり早く出たんだよー」
    「暇だったの。それに由里が早く来る気がしてさ♪以心伝心ってやつ。ちょっと話したかったし」
    私と同じくレイもいつもより元気がなかった。何かあったのかな?セットしてもらってる間も二人してため息ついたりして。
    分かりやすい性格だなぁ私達って。

    2005-08-07 01:18:00
  • 486:

    セットが終わり、美容院を出た私達は同伴約束の待ち合わせまで30分ぐらいあったから近くのファッキンに入った。
    「どーした?元気ないじゃん。何かあった?」
    私がレイに聞くとまたレイがため息をついた。
    「うん・・・あのね、アタシ健にいのこと好きになっちゃったかも。っていうかね、おととい由里に家まで送ってもらったじゃん。あの後健にいに電話したら来てくれたんだ・・・それでね、えっと」
    聞かなくても分かった。きっと健にいと何かあったんだって。やったかやってないかは分からないけど多分そんなとこだろう。

    2005-08-07 01:24:00
  • 487:

    「うんうん。で?レイは好きかもって?っていうか好きかもじゃなくてもう絶対好きでしょ。顔に書いてるよ♪」
    私がからかうとレイの顔がしょぼんとした。
    「でもね、彼女、いるっぽいんだよね。よく分かんないけどアタシが寝てる時に電話してたし」
    健にいに彼女がいるかどうかは私にも分からない。でも彼女がいるのにそんなことするような人には見えないし。
    「まだ分かんないじゃん。好きなら好きでいいと思うよ。人が恋するのは自由なんだし。健にいだって生半可な気持ちでさ、そんなことしないでしょ。いい大人なんだし」

    2005-08-07 01:30:00
  • 488:

    「で、由里は?何かあったんでしょ?」
    やっぱりレイも気付いていた。私は《千恵》という名前の女の話をした。
    「うーん大学の時の彼女で今は友達かぁ。でも矢口さんが友達って言うなら信じるしかなくない?ホントに同窓会のことで電話してきたかもしれないじゃん。まぁ嘘はね、よくないけど」
    「そうかなー?モデルの元カノは心配にはならなかったけど今回は何となく引っ掛かるんだよね。勘っていうかそんな感じ」

    2005-08-07 01:37:00
  • 489:

    「ってもうヤバイじゃん時間」
    私達は話し込みすぎて待ち合わせ時間ピッタリになっていた。慌ててファッキンを出てお客さんとの待ち合わせ場所に向かった。
    「ごめんねー遅れちゃって、美容院混んでて」
    そんな安易な言い訳をして食事場所に向かった。二対二の同伴は比較的ラクだ。仲良しなお客さん同士だしほっておいても余裕。指名がかぶっていても気にしないですむ。
    色々考えることがあった私達は同伴の食事中からお酒のピッチがいつもより早くなっていた。

    2005-08-07 01:43:00
  • 490:

    同伴でお店に入った私達は、いつものようにロッカールームで着替えていた。ドレスに着替え終わってレイとフロアに出た時、私だけマネージャーに呼ばれて事務所につれられた。
    「ゆかり、お前最近どうしたんだよ。先月の今頃もその前も毎月今頃は今の倍近く指名あったのに。何かあったのか?」
    「何かって何もないよ。別に深い意味もない」
    「お前が休みで帰ってくお客さんとかいるわけだろ?昨日も四組来てたんだぞ?店長も最近店の売り上げが下がったって嘆いてるんだ」

    2005-08-07 01:56:00
  • 491:

    「知らないよそんなの。売り上げが下がったのがゆかりのせいなわけ?他にも女何人もいるじゃん。今日だってレイと同伴で来たけど何あれ?待機席だけズラッと並んで座って。文句ゆうならあっちに言ってよ」
    私は晃太のことでむしゃくしゃしてたせいか普段はお店で怒ることなんてなかったのに珍しく怒ってしまった。
    「ご、ごめん。ただな、ゆかりとレイは今うちの二枚看板なんだよ。月に150本以上指名取れる女が他にいないんだ。だから育つように俺らも頑張るから。ごめんな怒らせて」

    2005-08-07 02:02:00
  • 492:

    「あ、うん。ごめんね。ちょっと色々あって八つ当たりしちゃった。とりあえず山田さんのとこ着いてくるよ。後で永井さんと広瀬さんも来るって。予定は二組ね」
    事務所を出てフロアに出るといい加減仕事してくれって言いたくなるような女の子達が待機席でガヤガヤうるさく喋っていた。マネージャーが頭悩ませるのもよく分かる。
    今は遊び感覚でやってる子が多いのかな?上目指す向上心のある子ってほとんどいない。時代がそうさせるのだろうか。ヘルプさえまともに出来ない、席に着くと即タバコ、お酒に飲まれて酔っ払い、足組みあくびは当たり前で。

    2005-08-07 02:11:00
  • 493:

    それじゃあお客さんが付くわけない。駆け引きの世界でそれさえもできない、それ以前に基本もままならないホステスでは腐ったミカンと同じなのに。
    席に戻った私はそんなことも忘れたかった。
    「久々にピンク飲もうよー」
    「いいねー♪レイも飲みたぁい。いいでしょ?」
    私達にせかされた二人は顔を見合わせると笑いながら指でオッケーサインをしてくれた。

    2005-08-07 02:17:00
  • 494:

    「ありがとー♪お願いしまーす。クリュグ下さーい」
    レイと私の声がお店に響いた。昔はお客さん同士の張り合いでシャンパン合戦なんてこともあったなぁ。今は景気のせいもあるのか誕生日以外は見ることもなくなったけど。
    クリュグが来て乾杯をしているとお客さんが来たからテーブルボーイにすぐに呼ばれた。こういうのも最近はぁ?って思うんだよね。シャンパン抜いて即効ホステス抜くとかさ。空気読めって突っ込みたくなる。
    出来の悪いボーイも考えものなのだ。

    2005-08-07 02:22:00
  • 495:

    私は一気にテンションが落ちた。でも次の瞬間またビックリさせられた。入ってきたのは晃太だったからだ。
    「ゆかりさんお願いします」
    ボーイに呼ばれ呆然とした。何でこんな時間に晃太が一人で来るの?そう思いながら晃太の席にゆっくり腰かけお客さんが引いた静かになった店内の中、シーンとした空気が流れた。
    「あ、のさ、まだ怒ってる?」
    「怒ってないよ全然」

    2005-08-07 02:41:00
  • 496:

    「うそ、顔が怒ってるもん」
    「何それ。怒ってないって言ったら嘘になるけど。由里が怒った理由何か分かってんの?女の子と連絡取ってるとかあやしいとかで怒ってるんじゃないよ?」
    「えっ?じゃあ何で怒ってるんだよ」
    「何でって・・・晃太全然分かってないじゃん。嘘ついたからだよ。つまんない嘘を」
    「あ・・・ごめん。ホントにごめん」

    2005-08-07 02:46:00
  • 497:

    「っていうかさ、千恵だっけ?その人のことまだ何か思ってるんじゃないの?大学時代だか何だか知らないけどさ。だから由里に隠したんでしょ?」
    私はお酒の力もあるせいか次から次へと言葉が出てくる。
    「つまんねーことゆうなよ。だったら由里をわざわざ実家連れてって親に紹介なんてしねーだろ?確かに千恵には振られた過去があるけど過去は過去なんだし。もう終わった話なんだから。日曜に同窓会あるけど俺もう行かないから。それでいいだろ?」

    2005-08-07 02:54:00
  • 498:

    「それでいいって何なの?行きたいなら行けばいいじゃん。振られたって過去引きずってんじゃないの?行ってくればいいじゃん勝手に。お願いしまーすチェックして」
    私は来て10分もたたないうちにチェックしてもらった。伝票がテーブルに来たけど私がサインしてボーイに返した。
    「何だよあのサイン」
    「いいから。お金由里付けにしてるしもう帰って」
    「何なんだよマジで。由里とちゃんと話したくて来たのに。由里は俺の彼女だろ?聞いてんの?・・・もう勝手にするよ!」

    2005-08-07 03:05:00
  • 499:

    晃太は怒った声でそう言うとテーブルに十万も置いて帰って行った。私は何故かしばらく動けなかった。
    お客さんが全部引いた後、レイが私のところに小走りできて横に座ると何も言わずに隣にいてくれた。悲しいのか悔しいのか分からないけど私は少しだけ涙が出た。
    「お疲れ様でしたー」女の子達の声が次々にお店に響く。お店の照明も上がり、店長達が売り上げの精算をしている。私とレイはそのまま珍しく最後まで残っていた。

    2005-08-07 03:15:00
  • 500:

    「ゆかりが同伴で本指名が12本、レイが同伴で本指名が8本と場内が2本だな。売り上げはすごいぞー二人合わせたらえーっと今日の三分の二はお前達の売り上げだ・・・ってすげーなお前らは。久しぶりに飯でも行くか焼肉でも何でもいいよ」
    「いい」「行かない」
    私達の答えはすぐだった。どれだけうまく誉められても今日はそんな気分にはならなかった。帰る用意をしてお店を出るとレイとすぐにタクシーに乗ろうとした。
    その時妙な視線を感じ、周りに目をやると昨日のあのダークブルーのアリストらしき車が近くに止まっていた。

    2005-08-07 03:22:00
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