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絆-Kizuna-
-
1:
◎
頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m
2005-06-26 01:28:00 -
351:
◎
それから私が、かぶっていた別の客席に戻っていた間に黒木さんはヘルプの女の子に由里に時間できたらまた電話してこいと伝えてくれと言って帰っていた。
それから何席も着いた後、やっとお店も終わり疲れた私はしばらくフロアのソファーに横たわったままだった。
昼間調子に乗って動きすぎたかな?そう思いながら目をつむると晃太の顔が浮かんだ。あっ電話しなきゃ。そして私は晃太に電話をかけた。
「ハイ」
少し眠そうな声で晃太が出た。
「ごめんね。今終わったの。寝てたよね?」2005-07-23 04:14:00 -
352:
◎
「大丈夫!心配してたんだずっと。何かあったのかなって。健に聞いたら昨日遅くまで飲んでたって言ってたし。でもプール行ってたとは(笑)元気じゃん」
晃太の笑い声が電話の向こうから聞こえる。目を閉じればそばにいるようなそんな気持ちになる。
「明日休みだろ?何してるの?」
ドキッとした。英二と会うことを思い出したからだ。そんなこと晃太に言えるはずがない。やましい気持ちなんて全くないけど、きっと知ったら晃太はいい気分はしないだろうから。
「お店の、あの、店の女の子と買い物」2005-07-23 04:20:00 -
353:
◎
嘘をついた。小さな嘘?大きな嘘?そんなことは関係ない。私は自分が一番嫌いな嘘を晃太についてしまった。自己嫌悪・・・
「そっか、じゃあ明日も忙しそうだなぁ。ま、夜には試合終わったら連絡するよ。疲れた声してるしちゃんと今日は真っすぐ帰って寝ろよ!」
「うん。おやすみ」
電話は切れた。疲れた声かぁ。何だか晃太に悪いことしてるよね私。お酒のせいで思考もおかしくなりそうだった。
「ゆーりっ♪途中まで一緒に帰ろー」2005-07-23 04:27:00 -
354:
◎
可愛いやつだなぁ。真っすぐで素直で嘘や偽りのない綺麗な目。レイを捨てた両親は馬鹿だな。うん馬鹿だ。
私は疲れていたせいか色々考えてるうちにそのまま眠ってしまった。
(♪〜♪〜♪)
携帯の着信音で目が覚めた。aikoの花火。英二専用に設定していた電話の音だった。
「おい起きたかー?ていうかめちゃくちゃ雨なんだけどマジおちるよー。せっかくディズニーランドでも行こうと思ってたのに」2005-07-23 04:41:00 -
355:
◎
朝から英二の声はハツラツとしていた。時計を見るとまだ10時半だ。
「っていうか早くない?今起きたんだけど。それよりディズニーランドって何なの」
私は寝ぼけたまま英二に言った。
「ん?思い出作りっつーか。初めてデートしたのディズニーランドだったじゃん。一年目も二年目も記念で行ってただろ?」
記念?あ、そうだった。ドキドキしながら初めてデートした。記念日には行ってたよね。三年目・・・は記念日さえ一緒にいなかったっけ。その後すぐに別れちゃったし。2005-07-23 04:49:00 -
356:
◎
二年目は由輝やお母さんも一緒に行ったりして。懐かしいなぁほんと。
「じゃーとりあえず一時に待ち合わせしよっか。どこがいい?」
待ち合わせ?か。何年ぶりだろ。待ち合わせなんてすることなくなってたよね。一年たった頃からは家でまったりしてばっかりだったし。
「んーっとじゃあ2時に渋谷は?ベタにハチ公前とか」
「オッケー!って2時かよ。分かったじゃ後で。遅刻すんなよ!」2005-07-23 04:57:00 -
357:
◎
変な感覚。英二と待ち合わせとかするなんて。私は晃太への罪悪感にかられながらも英二との最後の一日を迎えた。
晃太には頑張ってねってメールを入れておいた。ごめんね、そう思っていても私は英二と会うことを選んだのだから。
用意して家を出ると本当にすごい雨だった。梅雨なんだからしかたないんだけど。これじゃ外には出れそうもないね。
最後の日を雨にしたのは神様のいたずらなのだろうか。私達の今を表しているのかもしれない。この雨がやむ頃には・・・英二はもう大阪にいるのかな?2005-07-23 05:06:00 -
358:
◎
渋谷に着いたのはちょうど2時ピッタリだった。雨の日の東京は色とりどりの傘をさした人でいっぱいで、きっと上から見れば綺麗な花のように見える。
ぼーっとそんな光景を想像していると後ろから英二が現れた。
「時間ピッタリじゃん。行こっか」
そう言うと英二は歩きだした。
日曜日の渋谷の街は若い子達で溢れ返っている。私も昔はこんな感じだった。自分の将来に何の不安も感じず、ただ一日一日が楽しければそれで良かった。そんな風に思えていたあの頃はもう過去になってしまった。2005-07-23 05:14:00 -
359:
◎
英二がタクシーを止め、私達は乗り込んだ。
「お台場まで」
英二は運転手さんにそう告げた。私は何も聞かず黙って窓の外を見ていた。何でお台場なの?一瞬私は考えた。でも答えはすぐに見つかった。英二が小さな声でつぶやいたから。
「観覧車・・・」
「えっ?」
「いや、お前さ前にお台場の観覧車乗りたいってずっと言ってたじゃん。でも俺また今度今度って行けないままだったから」
観覧車か。そういや私行きたいって言ってたなぁ。でもずっと英二は仕事ばかりだったし。もういい!って喧嘩したりもしたっけ。2005-07-23 05:23:00 -
360:
◎
私達二人はお台場に着くまでタクシーの中で静かに座ったままだった。雨の音がただ静かに響いていた。
そしてお台場に着くと雨はさっきより少しマシになっていた。タクシーをおりて歩いていると私はつまづきそうになり、隣にいた英二が慌ててつかんでくれた。大笑いする英二。
「ハハッお前さー昔っからよくこけそうになるよな。危なっかしいからヒール履くなっつーの」
「うるさいなーもう」
こうやってよくからかわれたなぁ。何度も転びそうになってそのたびに二人で大笑いして。あんな時もあったのに、何で私達こうなっちゃったんだろうね・・・2005-07-23 05:32:00 -
361:
◎
私も英二も分かってる。今日が最後になること、もうこれから先、会うことがないかもしれないこと、あの頃にはもう戻れないこと。でも黒木さんは言ってた。笑って送ってやれって。
そうだ、私が暗いと英二が辛くなるよね。
私には帰る場所がある。晃太っていう新しく見つけた私の居場所が。
見失っちゃいけない。そばにある幸せを。
私達はすぐに観覧車に乗った。雨の日に乗るのは初めてで、景色もいいとは言えなかった。でもこのことはきっと私の人生の大切な1ページになる。多分、最初で最後の雨の観覧車。2005-07-23 05:41:00 -
362:
◎
「由里。今幸せ?」
向かい側に座った英二が頂上に着いた時、私に聞いた。真っすぐ私を見て精一杯の笑顔で。
「幸せだよ」
私もちゃんと答えた。
「なんだよつまんねーな。やっぱり英二がいい!とか言うかと思ってたのに」
そう言って英二は無理して笑ってみせた。
「今日9時ぐらいまで時間ある?っていうか付き合えよ!最後なんだし」
最後最後って言わないでよ・・・。2005-07-23 05:48:00 -
363:
◎
2005-07-23 08:32:00 -
364:
名無しさん
あげ?
2005-07-25 06:13:00 -
365:
名無しさん
略なくして?ここの主サンゎ読者のカキコゎシカトなん?
2005-07-25 07:26:00 -
366:
◎
スイマセン?ならないように書いてるつもりなんですが?改行五つでなるんだよね?
略なし慣れれるように頑張ってみます2005-07-26 02:52:00 -
367:
◎
あとわずかに残った英二との時間。少しの寂しさが心のどこかで胸を締め付ける。
私達が出会った意味は?私は自分に問い掛けた。笑い合って何の迷いもなくお互いを必要としていたあの頃は私達に何を残してくれたのか。
私も英二も観覧車が下に着くまでの間、言葉が見つからないのかただ外の雨をじっと見ているしかなかった。2005-07-26 02:59:00 -
368:
◎
降り口に着き、係員が扉を開けると英二が私の手をとって降ろしてくれた。何気ない優しさだった。
初めて英二と会った頃はこんな何気ない優しさや不器用な愛情表現に私は惹かれたんだっけ。
「超腹へったー飯行こう何食う?」
前を歩いていた英二が振り返って言った。
「何でもいいよー。英二が食べたいもの食べよ」2005-07-26 03:05:00 -
369:
◎
「まだ夕方だしなぁ。せっかくお台場来たのに雨じゃ景色も悪いし。うーん何にしよっか?」
結局私達は歩きながら見つけたわりとお洒落な鉄板焼きのお店に入った。中は全て個室になっていて、私達は案内されるまま奥の個室へと入った。
ガラス張りになった窓の向こうには海が見える。英二とこんな店で食事するなんて多分三度目ぐらいだ。付き合っていた間は近くの居酒屋がもっぱらだったし。2005-07-26 03:13:00 -
370:
◎
ビールで軽く乾杯した私達は、運ばれてきた焼き物を食べながら昔話をした。英二も私も大笑いした。
でも時間がない、そう思っていたせいか過ぎていく時間がいつもよりすごく早く感じた。
「ほんとに行くの?」
私はやっぱり信じられなかった。あんなに歌舞伎町で有名ナンバー1ホストになって全てを懸けて頑張ってたのにって。
「うん、行く。もう決めたから。あ、でもお前が俺とやり直すとかそういうことだったら行くのやめるけど。こっちでも働き口探せるわけじゃん」2005-07-26 03:23:00 -
371:
◎
「って嘘!もうやり直してとか言わないって約束したもんなぁ俺。ごめんな、っつーか女々しいよな。ダッセー」
そう言った英二の横顔が夕焼けで照らされた。日が暮れて行く景色。オレンジ色の空。いつの間にか雨は上がってた。
「英二見てよ。外、雨やんだみたいだよ」
英二は私が指差した先を見ると目尻が下がり白い歯がこぼれた。嬉しそうに笑って馬鹿みたいに子供な顔して喜んだ。2005-07-26 03:32:00 -
372:
◎
気付けば7時前になっていた。時間がたつのが早過ぎる。今日話したいことはたくさんあったはずなのに、それをうまく言葉にできない。大事なことは何も言えないまま・・・
「なぁ由里、時間もそんなにないけど海。少しう、海とか見て話さない?」
噛み噛みな英二。きっとガラにもないこと言うのが恥ずかしかったんだろうな。私も思わず何言ってんの?って意外な言葉に笑っちゃったから。
「いいよ。じゃあこれ飲んだら行こ!」
私がそう言うと英二は残っていたお酒をゴクゴクと飲み干した。2005-07-26 03:52:00 -
373:
かな
最近かいてくれてなかったからもぉかかへんのかと勝手に思ってたぁ!めっちゃ楽しみにみさせてもらってます!長々とすいません。頑張って完結してくださぁい★
2005-07-26 06:40:00 -
374:
◎
はい?最近忙しかったので少しずつになってますが完結まで気長に見てもらえたら嬉しいです?頑張ります?
2005-07-26 09:06:00 -
375:
◎
私達がお店を出る時には外はもうさっきの綺麗なオレンジの夕焼け空から少し薄暗くなっていた。使わなくなった傘を持ち、ブラブラさせながら前を歩く英二の後を私は黙ってついて行った。
日曜の夜のお台場はたくさんの男と女でいっぱいだ。寄り添う二人、手を繋ぐ二人、肩を抱き合う二人、幸せそうな恋人達がどこを見ても目に入る。
その端ではスケボーを楽しむ男の子達、ダンスを踊る男女の笑い声が響いてくる。
少し歩いた後、段差のある階段に英二がふと腰掛けた。そして私も英二の横に座った。2005-07-26 09:16:00 -
376:
◎
「雨やんで良かったね。なんか少し蒸し暑い気はするけど。今は風もあるから気持ちいいし」
「おーそうだなぁ。こんなに雰囲気あったり夜綺麗なんだったらもっと前に来てれば良かったよ」
そう言って英二は海をぼーっと見ていた。キラキラ光るビルの光が遠くに見える。
「俺さ、大阪行くの不安がないって言ったら嘘になるけど頑張って将来性ってやつ?磨いてくるよ。歌舞伎町であんだけ頑張れたんだから俺はどこでだって何でもやれるってそんな気しない?」2005-07-26 09:29:00 -
377:
◎
「なにそれ超自信満々じゃん。でも・・・英二なら大丈夫だよきっと」
こんなことぐらいしか言えなかった。もう時間がないって分かってるのに。何を言いたかったのか、考えれば考えるほど分からなくて。でもうまく伝えなくてもいい、言いたいことをそのまま言えばいいよね?
「由里ね、好きとか嫌いとかそんなことじゃなくてね、一人の人間として英二を大切に思うよ。会えて良かったなって。一緒にいれて良かったって。三年半前だっけ?あの時から今日まで、これからだって英二は由里にとってずっと大事な人だから」2005-07-26 09:40:00 -
378:
◎
「俺だってずっと大事に思ってるよ。まぁ俺の場合気付くのが遅かったけどな。幸せになれよって言いたいところだけど俺まだそんなにいい男な言葉言えねーや。あいつに泣かされたらすぐ言ってこいよ!取り返しに行くから。お前のこと」
空を見上げた英二はそう言いながら目を閉じていた。何かを思い出しているかのように・・・
「よし、そろそろ行こっかな俺。お前家まで送ってくよ」
「えっ?いいよ由里東京駅まで見送りしてあげるから」2005-07-26 09:49:00 -
379:
◎
「いいって!お前に見送りなんかされたら行けなくなりそうだし。寂しいじゃんそういうのって。お別れーみたいでさ」
そうだけど・・・。
英二は静かに歩き、タクシー乗り場を見つけると黙って乗り込んだ。送ってもらえば、私が家に着けばもう会えなくなる。
だけど無情にもタクシーの中では野球のラジオ中継が流れていた。晃太のチームの実況が。
晃太のことが頭によぎった。でもできることなら何も聞こえないタクシーに乗れたら良かったと思う。最後くらいはって。2005-07-26 09:59:00 -
380:
◎
「由里これ」
そう言って英二に手渡された小さな紙袋。
「な、に?」
「何ってなんだよ。んー何ていうか今までありがとうって意味の感謝みたいなもん」
感・・・謝?2005-07-26 10:04:00 -
381:
◎
ずっとバッグの中にしまってたのか少し型崩れしてゆがんだ紙袋が英二らしいなって思った。私は何が入っているのか開けてみようとした。
「だめだって!後で開けろよ」
英二が慌てて言った。
「何で?いいじゃん」
「だめって言ったらだめなの!もうすぐ着くんだしもう少しだから待てよ」2005-07-26 10:08:00 -
382:
◎
「はいはい分かった」
私はそう言ったものの早く見たくてしょうがなかった。家へと近付いてく道、寂しさが募っていく。
そして気付けば私のマンションに着いてしまった。
「やっぱり見送りする」
私は思わずそう口走っていた。2005-07-26 10:13:00 -
383:
◎
「だめだって早く降りろよ。辛い感じになっちゃうだろ?ほら」
開いたままになったドア。降りてしまえばもう・・・タクシーの運転手さんも何かを察したのか何も言わずにいてくれた。
「由里?俺もう大丈夫だから。お前は自分のことだけ考えろ、な?」
英二の言葉に後押しされるように私はタクシーを降りた。
泣かない、そう決めてた。黒木さんにも笑って送ってやれってそう言われてたし悲しい別れになると全てが壊れてしまう気がした。
今にも出てきそうな涙を必死で我慢した。2005-07-26 10:22:00 -
384:
◎
「じゃ、頑張れよ。またな!運転手さん閉めて下さい」
そしてドアはバタンと閉まった。走り出すタクシー、振り返って手を降る英二。我慢していた涙が一気に溢れ出た。その場から動くことが出来ず、タクシーが見えなくなっても私はずっと立ち止まったままだった。
さよならが言えなかった。さよならを言いたくなかった。終わったはずの恋だったのに。2005-07-26 10:28:00 -
385:
◎
私の手に残った小さな紙袋。雑誌で見たことのあるブランドの袋だった。中に入った箱を開けてみると変わった形のネックレスが入っていた。ピンク色のストーンのようなものが周りのピンクゴールドのトップに包まれていた。
そして箱とは別に紙袋に入っていたカードを見つけた。
何だろ?手をのばして取った私はその場でカードを開いた。2005-07-26 10:39:00 -
386:
◎
少し大きめなカードにはこう綴られていた。
由里へ
今日は無理言って付き合わせてごめんな。まだ終わったことを実感できずにいてお前を苦しめることになってるのは分かってたんだけど。どうしても最後に会いたかったから。
このネックレス、天使の涙なんだって。天使の涙は嫌なこと洗い流して心を浄化する力と、身につけた人の幸せを願ってくれる力があるって。よくわかんねーけど由里が幸せでいれるといいなと思ってさ。今までありがとう。 英二2005-07-26 10:48:00 -
387:
◎
今までこんなカード、手紙さえもらったことなんてなかった。不器用な英二が初めて書いた最初で最後のメッセージ。
《ありがとう》
私も心の中でそう思った。いい男と付き合えて良かった。英二で良かった。
そう思えば思うほどもう戻らない時間を悔やんだ。私は英二に何をしてあげれたのか。自分のことばかり考えてたなぁ私。私ばっかり我慢してるとかこんなはずじゃないのにとか。英二を思いやる気持ちがあればきっと何かが変わっていたんだろう。でも悔やんだってしかたない。泣いたって何も変わらない。そして私と英二の恋は終わった。2005-07-26 11:02:00 -
388:
名無しさん
主さんスゲー!!ここの小説読んで初めて泣いたよ。これからもがんばってね。楽しみにしてるから!
2005-07-26 13:26:00 -
389:
◎
ありがとうございます?まだまだ?下手っぴですが頑張ります?
2005-07-26 14:22:00 -
390:
◎
家に帰って自分の顔を見ると目が真っ赤に腫れてた。一人で部屋にいるとまた涙が出そうになる。だから私はあゆみに電話をかけた。
「もしもしー♪」
元気なあゆみの声で少し安心した。私は英二とのことや晃太のこと、元カノの話、最近たくさんありすぎた出来事を話した。
あゆみはうんうんって何も言わずに聞いてくれた。昔からそうだった。何かあればいつも愚痴聞いてくれたり一緒に考えて悩んでくれたり。でもその時電話の向こうで男の人の声がした。彼氏と一緒にいたのだ。
「ごめんあゆみ。分かんなかった・・・せっかくの休みなのにごめんね」2005-07-26 14:30:00 -
391:
◎
「いいって!大丈夫だから」
そうは言われたものの私は気になるしまた電話すると言って電話を切った。電話を切ってすぐにメールが届いてあゆみはホントごめんねと入れてきていた。
邪魔しちゃったのは私の方なのに・・・静かな部屋でゴロンと横になると私はテレビをつけた。ちょうどテレビでは野球中継がやっていて私はテレビに映る晃太を見つけた。
晃太だ・・・。いつもならテレビに入り込んで見てしまうのに。私は晃太をちゃんと見れなかった。本当に私大丈夫なんだろうか。
距離ばかり感じてしまう。2005-07-26 14:39:00 -
392:
◎
「ムーン?あ、分かったぁ。レイ健にいでしょ?いい感じだったもんね」
「ちがうもん!暇だったからのぞいただけ」
ムキになるレイが可愛かった。やめておくって断ったもののいつものレイの押しに負けて私はムーンに行くことになった。
多分朝まで飲むだろうなぁ・・・ついでに明日迎えに行かなきゃなんないし今日は晃太んとこ帰ろう。色々用意してから私はムーンに向かった。2005-07-26 14:50:00 -
393:
◎
ムーンに着くといつもより人が多くてカウンターもいっぱいだった。レイはホロ酔いで私も飲みたい気分だっからキツメのカクテルを出してもらい、二人で語り出した。
健にいも忙しそうだったし、私はレイに今日あった出来事と英二とのこれまでの話を小さな声で話した。レイは酔いながらも私の話をマジメな顔して聞いてくれた。
その時晃太から電話がかかってきた。
「今日は負けちゃったよ。マジ疲れた」
「そうなんだ。お疲れ様だね」2005-07-26 14:59:00 -
395:
◎
「明日大丈夫?時間はねぇ・・・・」
晃太は明日の予定時間や場所を説明してくれた。
「そーだ!由里明日デートしよって言ったじゃん?ディズニーランドとかどう?」
無邪気に聞く晃太。ディズニーランド・・・か。晃太は知らない。私には昔からたくさんの思い出があること。小さい頃によく家族みんなで行ったことや英二と付き合う前に初めて行った場所。でも新しい思い出を晃太と作ればいい。
後ろを振り返ってばかりじゃ前には進めないから。2005-07-26 15:15:00 -
396:
◎
「いいよー。じゃあ決まりね。明日とりあえず迎えに行くから」
そう言って電話を切った。レイは私の背中をトントンっと叩き、私の気持ちを察してくれたようだった。
ムーンも時間がたつにつれいつものマッタリした感じに戻り、健にいとレイとゆっくりお酒を飲んで話していた。
その時新しいお客さんが入ってきたので入口に目を向けると私は一瞬目が合ってドキッとした。入ってきたのは晃太の前の彼女だった。
ここを知っていても不思議じゃない。一緒に来たこともあったのだろう。私の顔色にレイが気付き、小声で「誰?」と聞いてきた。2005-07-26 15:24:00 -
397:
◎
「健ちゃん私ね、専属決まったんだ♪」
その人は健にいに向かって話し始めた。レイは少し黙って嫌な顔をしていた。
「ねーねー健ちゃんお隣りの彼女さん達は何してる人なの?」
突然元カノ『アミ』は健にいに聞いた。健にいもあたふたして困ったように見える。その時酔っ払ったレイが少し怒った声で言った。2005-07-26 15:38:00 -
398:
悠?
割り込んでごめんなさぃ?応援してます???ゆりちゃんファンです?頑張ってね?〃
2005-07-26 15:42:00 -
399:
◎
ありがとう?頑張ります?
2005-07-26 16:09:00 -
403:
名無しさん
書いてぇ???
2005-07-28 03:50:00 -
405:
「関係ないと思いますけど」
一瞬私は健にいと目が合い、凍り付く空気が流れた。
「何熱くなってんの?普通に聞いただけなのに。若いっていいよねー何にでも熱くなれて」
元カノ《アミ》はクスッと鼻で笑った。
「モデルかなんだか知らないけど性格悪いから捨てられて当然だよねー。アタシが男だったら頭下げて付き合ってって言われても断るってかんじ」2005-07-29 14:48:00 -
406:
◎
レイは酔った勢いもあって、そう言い返した。晃太のいない場所でこんなことになるなんて・・・。
「ほらほら、もう!みんな楽しく飲もうって。せっかくのうまい酒がだいなしだろー」
健にいが間に入ってくれたおかげで、とりあえずその場は落ち着いた。でも楽しくも飲めないし早く帰ろうと思い、帰る前にトイレに行った。
私がトイレから戻るとまたレイと元カノが何か言い合っている。2005-07-29 15:19:00 -
407:
◎
「ちょ、ちょっとレイ!酔いすぎだって」
私が慌てて止めに入ると元カノは私を見てこう言った。
「あんたオミズなんだってね。どーりで馬鹿っぽいと思った。晃ちゃん知ってるの?知らないよねー?相手にされるわけないもんねー」
レイが言い合ってる最中にぽろっと口が滑り、煽られた勢いで言ってしまっていた。
誇らしげに勝ち誇った顔をして私達を見ている。でもどうでも良かった。だって晃太は私を選んでくれたんだから。何の取り柄もないこんな私を好きだって言ってくれた。2005-07-29 18:14:00 -
408:
◎
「何か言いなさいよ」
私が何も言わずにいると元カノは挑発的に言葉を発する。馬鹿馬鹿しくて答える気にもならない。と同時に私の中の嫌な部分が出てしまった。
「ハハッ超ウケルんだけど。熱くなってんのそっちじゃん。それに晃太は知ってるし心配してもらわなくても大丈夫だから」
元カノは悔しそうな顔をした。私はレイの手をとり健にいにお金を払うとすぐにムーンを出た。スッキリした・・・とまではいかなかったけど一言言えただけで気持ち良かった。2005-07-29 18:22:00 -
409:
◎
「由里飲み直すー?アタシまだまだ大丈夫なんだけど」
酔っ払い口調のレイが私に向かってニコニコ笑っている。
「飲み直すってもう飲めないじゃんこんなに飲んじゃって。大丈夫?家まで送ってくから」
タクシーを止め、レイを乗せると車は走り出し、レイは私に寄りかかったまま寝てしまったようだった。私も窓の向こうの夜のネオンで光る街をジッと見つめていた。
青、赤、白、黄色、緑やオレンジ。たくさんの色がキラキラしている。街を彩る宝石みたいに。2005-07-30 04:34:00 -
410:
◎
ボーッとしていたのか気付けばタクシーはレイのマンションに着いた。
「ほら起きて、レイー。着いたよ」
私に起こされて眠そうに目をこするレイの顔は子供みたいに可愛かった。少しぐずった後、やはり眠いのか私に手を振りながらマンションにゆっくり入って行った。
「成城の**まで」
晃太のマンションの場所を説明した私も少し眠くなってしまっていた。やれやれ・・・疲れたなぁ。せっかく楽しく飲んでたのに。2005-07-30 04:41:00 -
411:
◎
一週間前の今頃は晃太のせいでタクシーの中で泣いて帰ったんだっけ。帰ると英二が待っていて。
でももういないんだよね。首元にぶら下がった英二が幸せになれって渡してくれた天使の涙のネックレスを私は強く握りしめた。
幸せになるんだ。何があっても幸せになれる。英二から貰ったネックレスだったけど、晃太に悪い気にはならなかった。英二は晃太に私の幸せを託してくれたんだから。
そうこうしているうちにマンションに着くと、私は誰もいない晃太の部屋に帰った。2005-07-30 04:48:00 -
412:
◎
広い部屋・・・静かな空気。一人じゃ寂しく感じるなぁ。大きなベッドに横たわると、私は化粧も落とさないままいつの間にか寝てしまっていた。
(PPPPPP)
あったま痛ーい・・・目覚ましの音が二日酔いの頭に響く。まだ眠いよもう少し寝たい。そうは思ったものの迎えに行く用意もしなきゃいけないし私は眠いのを我慢して起きることにした。
シャワーを浴び、眠気覚ましにコーヒーを飲むと目もやっとパチッと開いた。今日が晃太との初めてのデート。そう思うと二日酔いだってすっかり直ってしまう。女の子って単純だよね。2005-07-30 04:59:00 -
413:
名無しさん
読んでます?
2005-07-30 05:27:00 -
414:
◎
大丈夫なのかな?そんなことを考えていると車を見つけた晃太が足早に歩いてきた。
後部座席に荷物を入れ、助手席のドアが開いた。久しぶりってわけじゃない。たった三日だったのに晃太の顔を見ると嬉しくてしょうがなかった。
照れ笑いする晃太を見ているだけで昨日あった嫌なことも全部忘れることができた。
「ちゃんと待ってておりこうさんじゃん。エライエライ」
そう言って晃太は私の頭を撫でてくれた。2005-07-30 09:06:00 -
415:
◎
「飯食った?俺ちょっとだけ小腹減ってんだけど」
「食べてないよーだって起きて急いで来たんだもん。由里も少しすいてるかなー」
何気ない会話が心地いい。と、そんな気分でいると晃太が突然びっくりすることを口にした。
「今日ディズニーランド行くじゃん。その前に飯食って、それから浦安着いたらとりあえず由里の家行こうよ。挨拶もしておきたいし」
う、浦安!?家!?挨拶!?ってマジ急すぎじゃん!私はびっくりして頭が混乱してしまった。真剣に付き合おうと言ってくれてたけど展開が早過ぎて。それよりお母さん達みんな腰抜かすよ・・・2005-07-30 09:16:00 -
416:
◎
「由里?駄目かな?」
晃太が慌てた私を見て困った顔をした。
「うん分かった。いいよ。でもお母さん達びっくりしちゃうよホントに。後で電話しなきゃね」
オッケー・・・しちゃったよ。どうしよう。うちなんて普通のマンションだし広くもないしホントに普通なんだけど・・・。
しばらく走った後、私達はとりあえず道路沿いにあったカフェに入った。注文も済み、座っているとやっぱり周りの視線が痛いほど分かった。晃太とどこかに行くといつもこうなるんだよね・・・隣にいる女誰なんだって。2005-07-30 09:23:00 -
417:
◎
晃太が忘れた携帯を取りに車に戻った時、私は慌てて実家に電話をかけた。お母さんがすぐに出て私も焦りながら話した。
「もしもし由里だけど。あのね、今日連れて行きたいっていうか会ってほしい人がいるの。っていうか英二と別れたから新しい人なんだけど」
「え!?英二君と別れた?何でまた」
「うーんそれはまたゆっくり話すから。でね、その新しい人が挨拶したいって言ってて。後で行くからびっくりしないでね」
「急に言われても・・・うんまぁ分かった分かった。じゃあ気をつけて帰ってきなさいよ」2005-07-30 09:33:00 -
418:
◎
電話を切るとちょうど晃太が戻ってきた。運ばれてきたランチを食べながら楽しそうに笑う晃太を見てるとこれから先、この人とずっと一緒にいられたらいいなってそう思った。
昨日の試合で全然打てなかった話や、後輩とご飯を食べながら野球について話したこと、晃太はたくさん話してくれた。
「由里ちゃんと聞いてる?聞いてないだろ」
晃太の話してる姿をジッと見ているとすねた顔して晃太がふくれた。
「聞いてるよー。今は晃太の顔見てたの。可愛かったから」2005-07-30 09:39:00 -
419:
◎
「なんだよそれー可愛いキャラじゃねーっつーの」
照れる晃太がもっと可愛く見えた。食事も終わりレジに向かう途中、晃太に財布を渡された。えっ?
「車出して待ってるから払ってて」
そう言って晃太は先にお店を出た。何気ないことなんだろうけど嬉しく思ったのは何でだろう。私はレジを済ましている間もずっとゴキゲンだった。そしてお店を出て車に乗り、晃太に財布を渡そうとした。
「あー持ってて由里が。」2005-07-30 09:46:00 -
420:
◎
持っててって私が?持ってていいんだ・・・。こんなこと思うのは私だけなのかもしれないけど、この人の彼女なんだなってそう思った。
「住所入れて。ナビ」
晃太に言われ、私は実家の住所を入力した。時代もホントに便利になったもんだなぁ。って年寄りじみてるなぁ私。その時私の携帯が鳴った。由輝だ。
「はいはーい何ー?」
私が出ると由輝が慌てて話しだした。2005-07-30 09:52:00 -
421:
◎
「ねーちゃん英二君と別れたってどうゆうことだよ。っつーかもう新しい彼氏連れてくるとかマジありえねー」
???????
「って何であんたが知ってんの?」
「俺久しぶりに昨日からこっち帰ってきてたんだよね。さっき起こされ聞いてチョーびびった」
やばい・・・由輝がいるなんて。由輝は英二とすごく仲が良かったし。それに晃太なんかに会ったらミーハー丸だしで大変なことになりそう。2005-07-30 09:58:00 -
422:
◎
2005-07-30 09:58:00 -
423:
◎
「まぁとりあえずどんなやつか楽しみにしてるよ。英二君のほうが良かったら俺は仲良くしねーからな」
そう言って勝手に電話は切れた。あー気がめいる。どうなるんだろ。
「あのね、弟、由輝っていうんだけど昨日から帰ってるみたいなんだー。だから家にいるんだけど」
「マジ!?良かったー。会ってみたかったんだよね。21だっけ?」
無邪気に話す晃太。心配してるのは私だけみたいだ。2005-07-30 10:05:00 -
424:
◎
でも家に近付くにつれ、少し晃太の口数も減ってきた。緊張?してるのかな。それでもナビ通りに進んで行けば少しずつゴールが見えてきた。
昔と比べて変わった風景。こんなに建物あったかな?そんな景色が目にうつる。もう家もすぐそこだったので近くにあったコインパーキングに車を止め、私達は車を降りた。
遠征帰りだから晃太はスーツのまま。なんだかかしこまってるみたい。二人で並んで歩いていると昔から知っている近所のおばさんに会った。
「由里ちゃーん。久しぶりね。元気なの?」2005-07-30 10:14:00 -
425:
◎
私に話し掛けたおばさんだったが隣にいた晃太を見て驚いた顔をした。やばっ。
「元気ですよー。おばさんも元気そうだね♪急いでるからごめんねまた今度」
私はそう言って晃太のそでを引っ張って歩いた。
「なんだよ由里、ゆっくり話せばいいのに久しぶりなんだろ?」
「いいってば。晃太にびっくりしてたし。ねっ!早く行こう」2005-07-30 10:19:00 -
426:
◎
マンションに着くと晃太は言った。
「俺が昔住んでたマンションに似てる。よく分かんないけど懐かしくなった」
似てる・・・んだ。少し安心した。やっぱり普通に育ってきたんだ。今じゃこんなにすごい人なんだけどね。
玄関のインターホンを押すとお母さんがドアを開けにきた。
「あっ、初めまして。突然ですいません。あ、矢口と言います」2005-07-30 10:24:00 -
427:
◎
晃太が勢いよく挨拶をした。お母さんはすぐに気付き、目を丸くして驚いた。
「あ、あ、由里の母です。すいませんこんなとこまで来ていただいて。あの、どうぞ上がって下さい」
お辞儀しあう二人は緊張しているのか何度も頭を下げていた。お母さんに連れられ晃太とリビングに入ると由輝がテレビを見ながら座っていた。私達に気付き振り返ると由輝はびっくりした声で言った。
「えっ?矢口?マジかよ矢口じゃん」
それを聞いた晃太は大笑いした。2005-07-30 10:30:00 -
428:
◎
「ハハハッそうそう、矢口だよ矢口。由輝くんだっけ?初めまして」
「あ、あの僕びっくりして・・・矢口さんが来るって思ってなくて。あ、弟の由輝です」
僕?由輝が僕なんて使ったの初めてだ。妹二人は学校がありその時家にはいなかった。
「晃太座って」
私がそう言うと晃太はまたペコッとお辞儀をしてソファーに座った。お母さんもソファーに座り、由輝はカーペットの上にそのまま座った。
「由里、が会ってほしいって言ってたのは矢口さんだったの?」2005-07-30 10:37:00 -
429:
◎
「う、ん。お母さんびっくりするだろうって思ったんだけどね。びっくりするなら早くても遅くても一緒だからさ」
「あ、いえ。僕が今日由里さんに無理言って挨拶しておきたいって頼んだんです」
「そうだったんですか。確かにびっくりしたけど礼儀正しいというかわざわざありがとうございます」
お母さんもかしこまっている。
「あの、初対面でこんなこと言うのは失礼かと思ったんですが。真剣に、あの結婚を見据えてのお付き合いをさせてもらえればと思いまして」2005-07-30 10:42:00 -
430:
名無しさん
2005-07-31 23:40:00 -
431:
◎
「じゃあ由里そろそろ行こうか」
しばらくゆっくりした後、晃太が切り出した。
「あ、うん・・・」
頭がいっぱいいっぱいだ。立ち上がったのはいいけどめまいがしそうなくらい。ドキドキしてるのかどうなのか分からないけど言葉に表せない感情が心に引っ掛かっていた。
お母さんと晃太が帰り際まで玄関先でずっと話し込んでいるのを見ていて、嬉しい気持ちもあったけど複雑な気も少しした。2005-08-01 22:03:00 -
432:
◎
「また近いうちにゆっくり帰ってくるよ」
私はそう言って実家をあとにした。本当は久しぶりだしもっとゆっくりしたかったけど・・・マンションを出て車まで歩いていると、すれ違った通行人が振り返ったりして晃太に気付いたりする。
やっぱり晃太ってどこにいても目立つなぁ・・・なんでかな?オーラ?体格?有名だから?
そんな有名人なのに車に乗り込むと急に着替え始めたり時々大胆というか訳分かんない行動する。
「スーツって肩凝るんだよね」2005-08-01 22:20:00 -
433:
◎
そう言って白のTシャツにジーンズのカジュアルな服に着替えた晃太は日差しがきついせいもあり、サングラスをかけて車を発進させた。
何をしてても絵になる人っているんだよね。ホント晃太は何しててもかっこいい。
「じゃーお姫様、ディズニーランドにお連れいたします」
運転しながらイタズラっぽく私に言った。優しく笑う晃太が好き。大好きって言葉じゃ足りないや。
今日だって休みで疲れ取りたかったはずなのに挨拶まで来てくれてデートもしてくれる。100点満点の彼氏だ。2005-08-01 22:29:00 -
434:
◎
「あの、晃太・・・さっき夜に晃太の実家行くって言ってたじゃん?あれってホントに行くの?今日じゃなきゃだめかな?」
不安に思う気持ちのせいで何故か行きたいと思えずにいた。
「何で?嫌なの?」
「ちが、違う。そうじゃないんだけど」
「だったらいいじゃん。由里のお母さんにも挨拶できたし健全な付き合いできるわけなんだし。俺もちゃんと紹介しておきたいからさ」2005-08-01 22:33:00 -
435:
◎
「うん・・・」
晃太がこうやって色々考えてくれてるのが嬉しいんだけどね。初めて彼氏の親に会う時って誰でも緊張しちゃうじゃん。ホントにどうしようしか頭にないよ。
私は一人でそんなことばかり考えていた。いつの間にかディズニーランドも見えてきていて気付けばもう着いていた。
駐車場に車を止め晃太はサングラス、私は帽子を深く被っておりた。歩き始めてすぐに晃太が左手を出してきたから私は嬉しくてすぐにその手をつかんだ。
初めてのデート。晃太と私の初デート。幸せ絶頂!ってくらい心はハッピーだった。2005-08-01 22:41:00 -
436:
◎
月曜日の昼間ってこともあって週末みたいに混んでないし比較的乗り物もスムーズに乗れた。
「由里さぁミニーの耳つけたら?可愛いし似合うんじゃね?」
「いいよー由里は。恥ずかしいし。晃太がつければ?」
「ハハッ無茶ゆうなよー俺がつけたら変態みたいじゃん」
冗談で言ったのにマジ返しする晃太が可愛い。それに晃太がミッキーの耳なんてつけてたら目立つ上にさらに目立っちゃうよ・・・2005-08-01 22:48:00 -
437:
◎
当たり前に周りは気付いたりしてる。気付いた人はいつものごとくヒソヒソ話や最近は便利になりすぎてるせいで携帯のカメラを勝手に向けたり。
そのたびに晃太はうつむいたり顔隠したりしなきゃなんないしホントに大変だなぁって思う。でも晃太は嫌な顔したりしないんだよね。
だるいとかそういうことも全く言わないし。2005-08-01 22:55:00 -
438:
◎
そういうところにも惹かれるんだよね。自分の立場をしっかり保ってて。サイン頼まれたら断ることしないし、お人よしなだけかもしれないけど見ていてあったかい気持ちになる。
「カメラ持ってる?」
歩いていたら晃太が聞いてきた。カメラ・・・は確か持ってるはず。
「うん持ってるよー」
私はカバンからカメラを取り出すと晃太に手渡した。2005-08-01 23:58:00 -
439:
◎
「写真撮ろっか。ちょっと待ってて」
そう言うと晃太は近くにいた家族づれのお父さん?に声をかけに行った。晃太に気付いて握手したりしたあと晃太が戻ってきて私にピタッと寄り添った。
「三枚くらい撮ってくださーい」
晃太がそう言うと、そのお父さんらしき人は楽しそうにシャッターを切ってくれた。結局五枚も撮ってくれて、軽くお礼を言った私達は撮ってもらった画像をデジカメですぐに確認した。
初めて撮った二人の写真。照れ臭いけど嬉しくて見ているだけで幸せになれた。2005-08-02 00:06:00 -
440:
名無しさん
いつも読んでます?いっぱい書いてね?
2005-08-02 18:56:00 -
441:
名無しさん
2005-08-04 13:52:00 -
442:
◎
それからアトラクションにもだいたい乗ったし私達は近くにあったベンチに腰掛けた。
空はきれいに晴れていて日差しがきついぐらいだけどこうして晃太といるだけで周りの景色も全く変わって見える。一緒にいるだけで幸せってこうゆうことを言うんだろうな・・・。2005-08-05 02:54:00 -
443:
◎
今年の夏は、きっとずっと忘れられない夏になる。四季の中でも夏って一番短く感じるけど毎年何かを残してくれた。十代の頃は海で寝っ転がって真っ黒になってたっけ。
でも何でだろう。夏が終わりかけた時っていつも寂しくなるんだよね。暑い暑いって嘆いてるくせに涼しくなって肌寒くなると、あー今年も夏は終わっちゃうんだ・・・って。
あっという間に時間って過ぎてて、気付けばもうこんな歳で。秋が来ればもう冬がすぐに来る。こうやって時間を短く感じるようになったのも年をとったからなんだろうか。2005-08-05 03:02:00 -
444:
◎
「そろそろ行こっか。もう日も暮れてきたし」
あーぁもう終わりかー。たくさん遊んで歩き疲れてるのに帰るってなると帰るのが嫌になったりする。子供だよねホントに。
駐車場まで晃太と手を繋いで歩いてる時、ふと後ろを振り返ると二つ並んで伸びる影を見て笑ってしまった。長い晃太の影と短い私の影。実際も差がありすぎるわけなんだけどこうして見ると変な感じだ。
子供の手を引く大人って感じで。
「どうした?一人で何笑ってんだよ」2005-08-05 03:10:00 -
445:
◎
「なんでもないよー」
そう答えると晃太を見上げて改めて思った。大きいなぁって。背中も手も全部大きい。だから守られてるなぁって感じになる。
ホワホワした気分で駐車場に着くと私は肝心なことを思い出した。今から・・・そうだ、晃太の実家に行くんだった。私は一瞬で目が覚めた。凄い緊張感でいっぱいになった。車が進むと、晃太はハンズフリーで電話をかけだした。
(PPPPP)
呼び出し音だけでドキドキだ。2005-08-05 03:17:00 -
446:
◎
(え?本当なの?でもお母さんもお父さんもさっきご飯食べちゃったわよ)
「マジで?んー分かった。じゃあ食ってから行くよ。あと今日は泊まらないからね」
(そう・・・じゃあお父さんにも話しておくから。気をつけて来なさいね)
プーップーッ。電話は切れた。私の緊張に気付いたのか晃太はお笑い芸人のマネをしたり和やかな雰囲気にしようとしてくれる。
「大丈夫だって!本当普通の親だからさ。っつーか何食う?横浜でもいい?」2005-08-05 03:31:00 -
447:
◎
私はコクッとうなずいた。横浜かぁ・・・みなとみらいとか超キレーだしベイブリッジとか都内より夜景もむちゃくちゃいいんだよね。
「すげーうまい海鮮料理の店があるんだけどさ、須藤に教えてもらってから一緒に通ったりしてんの」
「そうなんだぁ。じゃあ有名人ご用達のお店なんだね」
「有名人?えっ俺らのこと?」
俺らのこと?って。ハハッ、他に誰がいるのよ。ホントに自分のこと分かってないなぁ・・・。2005-08-05 03:42:00 -
448:
◎
「エビ好き?」
運転しながら晃太が聞いてきた。
「うん。けっこう好きだよー」
「マジで?そこの伊勢海老チョーうまいよ。ホントにホントに。多分ね、エビにありがとうって思うくらい」
晃太は時々変な例え方をする。でも意外に分かりやすかったりするんだよねー。エビにありがとう・・・か。一体どんな味なんだか。2005-08-05 03:47:00 -
449:
◎
横浜に着くまでの間も晃太は伊勢海老の話とかアワビの話をずっとしていた。ホントにそのお店がよっぽど好きなのかなぁって思った。
「もうすぐ着くよー」
それから少し走ると晃太はとあるビルの前に路駐した。
「着いたよ。ここの2階」
私達は車を降りたけど、人がたくさんいたせいもあって少しずらして二人別々にビルに入った。2005-08-05 03:55:00 -
450:
◎
晃太が先に入って、そのあと私もビルに入った。階段を上がり2階につくとお店の入口で晃太が待っていた。
店員さんが気付いてドアを開けてくれると長いカウンターだけの料亭みたいな雰囲気で落ち着いた感じがする。
一番端の席に座った私は壁際にある大きい水槽に目をやるとたくさんの魚が泳いでいた。お任せで頼んでもらってると、晃太はいつもの飲みたい顔をした。
「いーよ!由里運転するから」
「マジ?ごめんなーいつも」2005-08-06 16:28:00