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たった一つの宝物

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  • 1:

    亜矢

    小林晴斗
      優花

    私達は2000年5月21日に夫婦になった。
    いわゆるできちゃった婚。でも私達にとっては優斗を授かったことはとても幸せなことだった。

    2005-12-11 03:29:00
  • 2:

    亜矢→優花

    生理がこない…そう思って検査薬を試した。
    まっすぐ浮き出た陽性ライン。私は嬉しくてすぐに晴斗に話した。
    「優花、結婚しよう」
    そう言われた時、私達にとって優斗がこの世でたった一つの二人の宝物になった。

    2005-12-11 03:34:00
  • 3:

    優花

    辛いつわりも体のだるさもへっちゃら。生まれてくる前から毎日毎日おなかに向けて話したりして親バカになりつつあった。
    晴斗は結婚することをきっかけに仕事を変えた。前職ホストだった晴斗。そこそこ売れっ子で人気もあったけど、私とおなかの子のためにあっさりと水商売から足をあらってくれた。

    2005-12-11 03:38:00
  • 4:

    名無しさん

    めでたしめでたし

    2005-12-11 03:42:00
  • 5:

    優花

    変わった仕事はありきたりだけど運送業や引越し業を主な仕事にしている不動産会社の下請の仕事。
    多少リッチだった生活から質素な生活に変わったけど晴斗が少しずつ父親としての自覚をもってくれてると感じることができて、安心した。

    2005-12-11 03:42:00
  • 6:

    優花

    2000年12月3日。
    優斗が無事産まれた。痛みはありえないくらいの痛さで、途中もういや!って叫んだくらいだったけど、産まれてきた第一声の泣き声を聞いた時、そんな痛みも忘れるくらい幸せを感じた。

    2005-12-11 03:46:00
  • 7:

    名無しさん

    中出し婚 つまり ズッコンバッ婚 (〃▽〃)キャー♪

    2005-12-11 03:48:00
  • 8:

    優花

    この子は私と晴斗の宝物。晴斗と一緒に優斗を幸せにしてあげよう、そう心に誓った。
    名前はお互いの名前を一文字ずつ取って優斗と名付けた。男の子のくせに女の子と間違えられるほど可愛い顔をした赤ちゃんだった。

    2005-12-11 03:49:00
  • 9:

    優花

    子育てに追われる毎日だったけど、幸せだった。
    日々成長していく優斗のいろんな顔を見るのが楽しみで。
    晴斗も仕事を頑張ってくれてたし、私達三人は確かな幸せの渦中にいた。

    それなのに・・・

    2005-12-11 03:52:00
  • 10:

    優花

    子育ては初めてのことだらけで分からないことがいっぱいあった。
    だからそんな時は私や晴斗のお母さんに聞いたりしてた。知らないことは恥ずかしいことじゃないんだから何でも聞いてきなさい。
    いつもそう言ってくれた私達のお母さん。

    2005-12-11 03:55:00
  • 11:

    優花

    慣れないことで大変だったけど、よく聞いていた育児ノイローゼなんてものは私には全くなかった。
    子供は泣くのが仕事なんだから、子供は何もできないのが当たり前なんだから、って思ってたから。

    優斗が笑うと私も笑顔になれた。優斗が何かを話すと私は料理の途中でも料理ほったらかしで優斗の話すことを聞いたりしてた。

    2005-12-11 03:59:00
  • 12:

    優花

    初めて話した言葉は
    「ばーば」。私のお母さんが来ていた時に初めて聞いた言葉だった。
    お母さんは喜んで「ばーばでちゅよー」って赤ちゃん言葉になりながら抱き上げてた。
    優斗はみんなを幸せにしてくれた。みんなを・・・笑顔にしてくれた。

    2005-12-11 04:02:00
  • 13:

    優花

    初めての誕生日や初めてのハイハイ。思い出しただけでもたくさんの出来事が脳裏によみがえる。
    天使のように可愛い顔をした優斗。私の大切な世界でたった一つの宝物。

    確かな幸せがあった。壊れるはずのない揺るぎない幸せが。

    2005-12-11 04:06:00
  • 14:

    優花

    二歳、三歳の誕生日も過ぎ、初めての七五三もあった。初めて着る着物にぎこちない動きをしながら不思議そうにしてた。
    お参りに行った時は嬉しかったのかはしゃいでこけてしまい結局大泣きしてた。せっかくの一張羅が涙と鼻水と土でヒドイことになってた。

    2005-12-11 04:11:00
  • 15:

    優花

    晴斗は優斗に甘いから、そんな優斗を優しく抱き抱えていつも肩車してた。
    そうすると優斗は何故か泣き止むからだった。小さな優斗にとって、晴斗の肩車はとても大きくなれたように感じてたのかな・・

    優斗を肩車してる晴斗の背中を見ながらいつも思ってた。『ずっと幸せでいようね』って。

    2005-12-11 04:15:00
  • 16:

    優花

    優斗の三歳の七五三の日は三人で写真屋に行って記念撮影をしたりとにかく家族なんだなぁと改めて実感した一日になった。

    でもこれから先に、あんなことが起こるなんてその時の私達には想像もしていなかった。
    今でも思う。夢であってほしい。悪夢なら早く覚めてほしいと。

    2005-12-11 04:20:00
  • 17:

    優花

    2004年4月5日、優斗は幼稚園に入園した。
    入園式の日、晴斗は有休を使ってまでわざわざ仕事を休み、一緒に入園式に来た。
    親バカな私達はビデオをまわしながら写真を撮ったりとにかく優斗から目が離せなくて・・・
    周りのお父さんやお母さん達も同じような感じだったし、やっぱりみんな親バカなんだなぁと思った。

    2005-12-11 04:25:00
  • 18:

    優花

    「やっぱり俺と優花の子供だよなぁ。優斗が1番かっこいい。優花もそう思うだろ?」「当たり前でしょ」

    こんな会話は毎日のようにしてた。優斗を遊びに連れて行くと当然のように声をかけられる。「可愛いお子さんですね」と。
    自慢の息子だった。人懐っこい愛想のよさに優しい性格。

    2005-12-11 04:30:00
  • 19:

    優花

    私と晴斗の子供なのか疑ってしまうこともあった。
    こんなに可愛い子が私の子供なんだろうかって。いつもの親バカな悩みだっただけだけど。

    優斗が入園してから初めての母の日には優斗からプレゼントをもらった。私の似顔絵と晴斗に買ってもらったカーネーション。

    2005-12-11 04:33:00
  • 20:

    優花

    父の日も優斗は幼稚園で似顔絵を書いて晴斗にプレゼントしていた。
    父の日の前日は私と買い物に行った時、「これパパの好きなビール」って指さしながら言ってた。銘柄を覚えていただけでもびっくりしたけど、その日は晴斗の好きなビールも一緒に買って帰った。

    2005-12-11 04:43:00
  • 21:

    優花

    「パパいれてあげる」
    優斗はそれから晴斗が仕事が終わって帰ってくると晩酌するようになった。

    晴斗も嬉しそうだった。疲れも吹っ飛ぶねって幸せそうに笑ってた。優斗は私達をいつも幸せな気持ちにしてくれた。

    2005-12-11 04:46:00
  • 22:

    優花

    結婚して四年ちょっとたち、優斗も元気に育ってくれてたし家族みんなが幸せでいられることにいつも感謝してた。
    もしもあの頃に戻ることができるのなら、私は優斗に何をしてあげるんだろう。好きなおもちゃを買ってあげるべきだったのか。

    2005-12-11 04:50:00
  • 23:

    優花

    大好きだったマジレンジャーの洋服をたくさん買ってきて着せてあげようか。
    いつも二つも食べてたシュークリームを三つ食べさせてあげようか。
    でもそんなことを考えても戻れない現実が私を闇へと突き落とす。

    2005-12-11 04:53:00
  • 24:

    優花

    2004年12月3日。
    優斗の四歳の誕生日だった。大きなケーキに四本のロウソクを立て、三人でハッピーバースデーを歌った。一生懸命火を消そうとする優斗を私はカメラのレンズ越しに見ていた。

    大きくなったね。ケガや病気もしないでこんなに元気に育ってくれた。優斗・・大好きだよ。

    2005-12-11 04:57:00
  • 25:

    優花

    年末年始は晴斗の実家や私の実家で過ごした。優斗のおじいちゃんとおばあちゃん、私達の両親は優斗が初孫だったしすごく可愛がってくれてた。
    四人の祖父と祖母は優斗にとっても優しくて大好きな存在だった。遊びに行くたびに絵を書いて持っていったりしてた。

    2005-12-11 05:01:00
  • 26:

    優花

    絵に書いたような幸せ。ほんとにその通りだった。
    大きくなるにつれ、やんちゃになっていったけど、かけっこも早いし字を覚えるのも早い優斗は、天才だと思った。
    いつもの親バカ。晴斗といつも言い合ってた。
    「優斗は俺に似たね」
    「私似だよ」どっちでもいいのにムキになって最後は笑ってた。

    2005-12-11 05:05:00
  • 27:

    優花

    季節は春を迎え、優斗の服や靴のサイズがまた一つ大きくなっていた。
    子供って大きくなるの早いなぁ・・・いつもそう感じた。
    晴斗は仕事が順調で、出世もした。給料も四万円上がり生活にも少し余裕ができたりした。
    晴斗の元気の源も優斗だったから。いつしか働くお父さんのたくましい男に変わってた。

    2005-12-11 05:13:00
  • 28:

    優花

    でも、そんな私達の幸せな日々を突然悪魔が暗い闇へと突き落とした。

    2005年4月24日。
    日曜日の昼下がり、優斗は幼稚園の友達と遊びに行くと言って近くの公園に遊びに行った。
    いつもは私も一緒について行ってた。だけどこの日は洗濯中だったこともあって「後から行くから気をつけて遊んでてね」と言って優斗を一人で行かせてしまった。

    2005-12-11 05:20:00
  • 29:

    優花

    何度後悔しただろうか。あの時ちょっとでも優斗を待たせて一緒に出掛けていれば、あんなことにはならなかったのに。
    最後に聞いた「いってきます」の言葉が今も耳に残る。
    いつもと変わらない声で楽しそうに出掛けて行った。でも「ただいま」の声は、もう聞くことができないんだね。

    2005-12-11 05:24:00
  • 30:

    名無しさん

    2005-12-11 05:24:00
  • 31:

    優花

    洗濯が終わり、優斗が出掛けた一時間後に私は優斗がいる公園に向かった。
    何して遊んでるのかな、なんて考えてるだけで幸せな気持ちになれる。
    歩いて約5分。家から近い場所にあるわりと小さな公園。着いた私は周りを見渡した。どこにいるんだろ?

    2005-12-11 05:27:00
  • 32:

    優花

    あれ?どこだ?
    見渡す限り優斗の姿が見えない。近所のお母さん達のところに行き聞いてみることにした。
    「優斗見ませんでした?」「今日は見てないですよ」返事を聞いて首をひねった。おかしいな・・・
    子供達のところに行って聞いてみた。「優君今日は来てないよー」「僕も見てない」返事はみんなそうだった。

    2005-12-11 05:31:00
  • 33:

    優花

    探していくうちに嫌な予感がする。何でいないんだろう・・・一時間以上も前に出掛けていったはずなのに。
    公園にいた近所の人に頼んで一緒に探してもらった。優斗の知ってる道は少ないはずだし、私と通る道しか歩いたりしないはずだったから、とにかく近くを探しまくった。

    2005-12-11 05:41:00
  • 34:

    優花

    いない・・・焦りがでてきた。家に帰ったかもしれない、そう思って二回も家に戻った。
    でも優斗はいなかった。どうしよう・・・動揺した私は晴斗に電話をかけた。
    「どうしたー?」
    「優斗がいないんだけど」「は?どうゆうこと!?」「あのね・・・」

    2005-12-11 05:45:00
  • 35:

    優花

    「落ち着け、大丈夫だから。とりあえず仕事終わらせてすぐ帰るから。探せるなら探しててくれよ」
    電話を切った私は携帯を握りしめていた。晴斗・・・お願い、早く帰ってきて。私一人じゃどうしていいか分かんないよ。

    2005-12-11 05:48:00
  • 36:

    優花

    時間がたつにつれ日が落ちていく。夕方になりカラスの泣き声が空に響いた。
    私は何度も同じ道を探して優斗の名前を呼んだ。
    あの子のことだから大丈夫。私と晴斗の子なんだから。何度も心の中でそうつぶやいた。
    やっと晴斗からも電話があり家で待つように言われた。

    2005-12-11 05:51:00
  • 37:

    優花

    しばらくして晴斗が帰ってくると、私は少しほっとした。一人じゃどうにもならなかったから。
    「出掛けた時間とか優斗の服とか特徴全部細かく覚えてる?とにかくこれに書いて」渡された紙とボールペン。
    時間は・・・1時半頃なはず。上は白いTシャツに赤いパーカー。下は確かジーンズ地のズボン。

    2005-12-11 05:57:00
  • 38:

    優花

    「よし、とりあえず行こ」「どこに?」「警察」
    えっ・・・。警察?
    「優花や近所の人達が探してくれたけど見つからないってことは思いたくないけど誘拐とかの可能性もあるだろ。とにかく行くぞ」

    誘拐・・ってそんな・・。私は怖かった。

    2005-12-11 06:01:00
  • 39:

    優花

    「お子さんのお名前と年齢は?」
    「小林優斗、四歳です。これ一応今日の服装の特徴なんですけど」

    時間は6時過ぎになっていた。
    「写真とかありますか?できれば何枚かあれば拝借したいんですが」

    2005-12-11 06:04:00
  • 40:

    優花

    慌ただしく動く警察官。話しを真剣にこと細かに聞いてくる聴取員。
    まるで自分がテレビの中にいるようだった。
    「何か事件や事故に巻き込まれた可能性もありますので今から捜査員を集めますので」
    私と晴斗はお互いの手を握ってた。お願いします・・

    2005-12-11 06:08:00
  • 41:

    優花

    お互いの実家にも連絡をいれておいた。心配そうにしていた両親も気が気じゃない様子だった。
    私達は警察暑で三時間近くいた後、一度自宅に帰宅して下さいと言われ、帰ることになった。
    帰りの車の中は何も話せなかった。晴斗にとっても大切な宝物の優斗。何かあったら・・そう思うと何度も目の前がにじんだ。

    2005-12-11 06:13:00
  • 42:

    優花

    家に着くと10時前だった。いつもなら優斗が寝るのをぐずっている時間。
    晴斗にビールをついでニコニコしていた。でも今日はやけに静かだった。
    優斗がいないだけでこんなにも静かだなんて・・・。あの子の存在の大きさを感じた瞬間だった。

    2005-12-11 06:16:00
  • 43:

    優花

    私達はテレビも付けずに静かな部屋で黙って座ってた。
    家の電話が鳴るたびにドキッとして急いで電話にでる。でも相手はお母さんや警察署員。近所の人も心配して何人か訪ねてきてくれた。
    「晴斗ごめん。私がちゃんと見てなかったから」
    「優花のせいじゃないよ」

    2005-12-11 06:20:00
  • 44:

    優花

    「でも・・・」
    「うるさいよ!・・ごめん少し黙っててくれないか。俺も正直言って頭ん中めちゃくちゃなんだ」
    晴斗の気持ちが痛いほど分かった。怒鳴りたくなる気持ちも仕方なかった。
    優斗・・・今どこにいるの?お願いだから帰ってきて。

    2005-12-11 06:23:00
  • 45:

    優花

    結局朝になっても優斗は見つからなかった。
    朝からまた警察に行った。「ちゃんと探してくれてるんですか!?」わけもわからず警官に八つ当たりしてしまう。
    どうにもできない気持ちが行くあてもなくさ迷っていた。

    2005-12-11 06:26:00
  • 46:

    優花

    「誘拐の可能性は低いと思われます。事故も今のところ該当するものがないです。事件に巻き込まれた可能性があるかもしれないです。会議を開きましたが行方不明とゆうことで捜査を続行していきます」

    そしてその日の昼過ぎ、ニュース速報で優斗のことが初めて流れた。

    2005-12-11 06:30:00
  • 47:

    優花

    写真を公開して小さな目撃情報でも入手したかったからだ。
    その時すでに優斗がいなくなってから24時間がたっていた。食事ものどを通らない。体に力も入らない。
    頭に浮かぶのは優斗の笑顔だった。私達の両親も家に来てくれそばにいてくれた。

    2005-12-11 06:33:00
  • 48:

    優花

    「優花がしっかりしないでどうするんだ」「晴斗君もしっかりしなさい」
    お父さんが珍しくたくさん喋っていた。
    時計の針の音が部屋に響いていた。きっとみんなが同じことを願いながら優斗の顔を思い出していたと思う。

    2005-12-11 06:37:00
  • 49:

    名無しさん

    2005-12-11 06:37:00
  • 50:

    名無しさん

     

    2005-12-11 06:37:00
  • 51:

    優花

    よくテレビで見ていた悲惨なニュース。まさか自分の身にふりかかるなんて誰もが思っていないだろう。
    やっぱりどこか他人事な感じで。怖いね、危ないねって言いながらでも自分のことじゃないからと私自身も思っていた。
    子供が犠牲になるたくさんの事件が増えてきている近年。安心できる場所なんてもうどこにもないのだ。

    2005-12-11 06:40:00
  • 52:

    優花

    優斗がいなくなってから三日後の夕方4時前に家に一本の電話が入った。
    「優斗君が見つかりました」私はほっとした。隣にいた晴斗を見て涙がでた。でも・・・
    「残念ながら見つかった段階でお亡くなりになっていました。死亡推定時刻は4月25日の午後だということです。まだ不明な点が多いのですが殺人事件とゆうことは確かです」

    2005-12-11 06:46:00
  • 53:

    優花

    私は受話器を落とした。嘘だ。優斗が死んだなんて嘘に決まってる。
    きっとこれば夢。長い夢なだけ。そう思いながらも溢れでてくる涙を止めることができなかった。
    晴斗が変わりに電話を変わって話を聞いていた。晴斗は冷静だった。でも電話を切った後、トイレに行って一人で泣いている泣き声が廊下から聞こえてきていた。

    2005-12-11 06:50:00
  • 54:

    優花

    晴斗の泣き声を聞いたのは二度目だった。一回目は優斗が産まれた時。
    優斗を抱いた時、感極まって泣いてた。嬉しい涙。幸せな泣き声だった。
    でもこの時の涙は悲しい涙。切ない苦しい泣き声だった。
    ごめん晴斗・・優斗ごめんね・・。自分が情けなくて最低に思えた。

    2005-12-11 06:53:00
  • 55:

    優花

    殺人事件。そんなのありえるわけないって思った。
    優斗は帰ってくるんだから、生きてるって何度もそう思った。でもテレビで流れるニュースが目に写る。
    【神奈川四歳児殺人事件】【小林優斗ちゃん殺害】
    【悲惨な幼児殺人】
    チャンネルを回しても写っている優斗の顔。ねぇこれは夢じゃないの?

    2005-12-11 06:58:00
  • 56:

    優花

    晴斗は倒れてしまった。三日三晩も寝ないで何も食べてなかったからだ。
    心労からきたものだった。精神的にもギリギリのところにいた私達。さらに追い討ちをかけるかのように集まるマスコミ。
    報道とゆうものにも不信感をおぼえた。傷ついているとゆうのを分かっておきながら家の前に集まる無神経さが信じられなかった。

    2005-12-11 07:03:00
  • 57:

    名無しさん

    2005-12-11 07:08:00
  • 58:

    優花

    優斗の遺体に会った。安置所の中で見た優斗の体には無数のナイフの刺し跡とアイスピックで刺したような小さな穴の傷跡が何十箇所にもあった。
    見るに無惨な優斗の体を私は見ていられなかった。
    顔にも血の気がない。体内に残っていた血液がほとんどなかった。出血の量がハンパではなかったのだ。

    2005-12-11 07:12:00
  • 59:

    優花

    誰がこんなこと・・・人に怨まれるようなことは絶対にない。人懐っこい優斗。笑顔が可愛い優斗。私達に幸せを教えてくれた優斗。

    「優斗・・・起きて」
    私は呼び掛けた。でも何も答えてくれない。黙ったまま眠ってる。

    2005-12-11 07:15:00
  • 60:

    優花

    「もうすぐママにまた似顔絵書いてくれるって言ったよね?優斗の好きなシュークリーム買ってあげるから。起きてよ・・起き・・」

    「優花、もういいから。分かったから。優斗はもう起きねーんだよ」
    晴斗はその場で私を後ろからぎゅっと抱きしめた。
    晴斗だって辛いのに。悔しいのに。

    2005-12-11 07:20:00
  • 61:

    優花

    優斗が見つかったのは私達の住む神奈川県川崎市から少し離れた山梨県の甲府とゆうところだった。
    ゴミ袋にいれられた状態でゴミ捨て場に放置されてあった。見つけたのはゴミ収拾のおじさん達。やたらと重いことと持ち上げた時にしたたり落ちた血を見て、袋を開けたと聞いた。

    2005-12-11 07:38:00
  • 62:

    優花

    まさかと思って開けるとテレビに写っていた男の子だと気付いて110番したらしい。
    テレビを見ているとたくさんの花やお菓子を供えに来てくれている人達がいた。全く顔も知らない会ったこともない人が優斗のために手を合わせてくれていた。

    2005-12-11 07:42:00
  • 63:

    優花

    不思議な感じがした。
    優斗を想ってくれている人がこんなにいるんだと知って涙が出た。
    通夜も終わり、葬儀の日を迎えたけど犯人は見つからないまま。何もかもが歪んで見える。
    こうしているときにも犯人は悠々と過ごしているんだろうか。

    2005-12-11 07:45:00
  • 64:

    優花

    葬儀の喪主の挨拶は晴斗がした。大勢来てくれた参列者の数々の人達。
    一部は報道人にも撮影された。
    お別れの言葉と称して優斗への最後の手紙を晴斗が読むことになった。
    すすり泣く声、ハンカチで涙をぬぐう姿。私には異様な光景にうつる。
    テレビで見ていた風景そのものだったからだ。

    2005-12-11 08:10:00
  • 65:

    優花

    まるで他人事のように見える。まさか自分の子供がなんて考えもしなかった。
    でも現実が私を苦しめる。優斗の遺影を持ちながら思った。
    なんで優斗なんだって。みんなに愛されていたあの子をどうして殺す必要があったのか。憎んでも憎みきれない。いっそ犯人を殺してやろうとまで思った。

    2005-12-11 08:13:00
  • 66:

    優花

    「優斗ごめんな。一人で怖かっただろ。助けてやることができなくて・・ごめん。パパもママも優斗が大好きだよ。おじいちゃんもおばあちゃんも友達も先生もみんな優斗のこと大好きなんだ。悪い犯人は必ず捕まる。だからもう怖くないから。安心してずっと天国から見守っててく・・ずっと忘れないから。優斗はパパ達にとってたった一つの宝物だから・・・」

    2005-12-11 08:19:00
  • 67:

    優花

    晴斗のお別れの言葉が終わった。唇をかみしめる晴斗の横顔が切なかった。
    悔しい。悔しいよ・・・。優斗のことを守れなかった自分が悔しい。
    母親なのに子供を守ることができなかったなんて。母親失格だった。後悔なんてしても意味がなかった。だってもう

    【優斗は戻ってこない】

    2005-12-11 08:22:00
  • 68:

    優花

    たった一つの宝物は何ですか?恋人?友達?
    私にとっては晴斗が宝物だった。そんな晴斗との間に産まれた優斗は、それ以上にかけがえのない宝物になった。
    たった一つ、私達のもとにしか手に入れることのできない宝物。それが優斗だった。

    2005-12-11 08:27:00
  • 69:

    優花

    幸せな日々から一変して暗い闇へと突き落とされた私達は、前みたいに笑えることはなかった。
    優斗が死んでから一日一日がすごく長い。楽しみも嬉しさも一気になくなった。たくさんの幸せが奪われた。
    晴斗は仕事に行き始めたけど無気力で仕事になっていないと職場から連絡がきた。

    2005-12-11 08:30:00
  • 70:

    優花

    始めは優斗のことで同情や理解もあったけど、少しずつ周りは元に戻っていく。職場からしてみれば仕事は仕事だろってことだ。
    早く立ち直って頑張れって気安く口にする。優斗ちゃんのためにも元気でいなさいって言ってくる。
    周りには分からないんだ。私と晴斗にとって優斗がどれだけ大切だったのか。

    2005-12-11 08:34:00
  • 71:

    優花

    優斗がいなくなった私達は空っぽなもぬけの殻だった。
    何もするきが起きない。思い出すのは楽しかった日々ばかり。

    戻りたい。戻りたいよ・・

    2005-12-11 08:38:00
  • 72:

    優花

    五月五日は子供の日。優斗の日だった。去年は兜をかぶって写真を撮った。夜は三人でレストランにも行った。でも今年は?意味がない長い一日。'イラナイ'こんな日なら。

    2005-12-11 08:42:00
  • 73:

    優花

    そして一日、また一日と過ぎ母の日を迎えた。
    私は優斗からもらった絵をじっと見ていた。絶対今年も描いてくれるって言ったのに・・・。
    もう何も描いてくれないの?もう母の日に照れくさそうにしてる顔見れないの?優斗に・・会えないの?

    2005-12-11 08:45:00
  • 74:

    優花

    一人になると泣いていた。情けないけど立ち直れなかった。
    ずっと優斗が死んだことを信じたくなかった。たった一つの宝物を失った時、私は生きてはいけないほどの悲しみに埋もれてしまった。
    優斗のいないこの家で、町で国で世界で・・・生きていても苦しいだけだと。

    2005-12-11 08:49:00
  • 75:

    名無しさん

    2005-12-11 08:49:00
  • 76:

    優花

    剃刀を手にしてた。ざっくり切れば死ねるんだろうか。どれくらい切ったらすぐに死ねるんだろう。
    手首を真っ赤にそめる自分を頭に浮かべた。天国で優斗が待ってるんだ。
    この時の私は本当に異常だったと思う。行き場のない気持ちが辿りついた答えはそれしかなかったからだ。

    2005-12-11 08:52:00
  • 77:

    優花

    優斗・・・待っててね。そう思った時家の電話が鳴った。私は躊躇ったが出ることにした。
    「はい」「小林さんですか。優斗君の殺害容疑で先ほど犯人逮捕に至りました。」
    犯人が・・・捕まった。

    2005-12-11 08:56:00
  • 78:

    優花

    なんなんだろう。よりによって母の日の逮捕なんて。テレビでは
    「優斗ちゃんの強い思いが母の日に逮捕とゆうことになったんですかね」「プレゼントになったんじゃないんでしょうか」
    ふざけたコメンテーターが上っ面な言葉を並べていた。

    2005-12-11 08:59:00
  • 79:

    優花

    犯人はテレビでは名前も顔も伏せられていた。18歳の少年、無職と。驚いたことにその子は目と鼻の先に住んでいた顔見知りの男の子だった。
    どうして・・・?
    安野敏行、18歳。

    2005-12-11 09:18:00
  • 80:

    名無しさん

    2005-12-12 03:14:00
  • 81:

    名無しさん

     

    2005-12-12 08:01:00
  • 82:

    名無しさん

    ?

    2005-12-12 11:15:00
  • 83:

    名無しさん

    この小説みて、涙がとまりません。優花さんのやるせない気持ちも伝わってきてとても悲しいです。最近、ニュースで子供の事ばかりが報道されていますよね。子供じゃなく、大人でもその人には親がいます。思ってくれてる人がいますよね。犯人は逮捕されるだけ。見つかってない人も私たちがしらないだけで何百人だっていると思います。でもね、その人達は絶対幸せにはなれない。優花さん、私には、優花さんの辛さを全部分かってあげる事は出来ないけど、この小説を書く事で一歩前に進んでくれたらなと思います。優斗くんはママが優花さんでパパが晴斗さんで幸せだったと思います。頑張ってくださいね。長々とすいませんでした。

    2005-12-13 05:39:00
  • 84:

    優花

    法律とは意味のないものなんだと思った。
    犯罪を犯した人間が守られる。未成年だからとゆうだけで、何も公表されることはない。
    そして裁かれることも。死刑なんてなるはずもなく、せいぜい四、五年で出てくる。
    出所後の加害者の個人情報を得たいなら、裁判を起こさなければならない。
    法律って一体何なの?被害者は優斗なのに…。

    2005-12-13 05:41:00
  • 85:

    優花

    安野敏行18歳。でも写真も名前も一般公開なんてされない。
    私は顔見知り程度だった。近所に住むごく普通の男の子。ただ変わっていたのはいつも一人でいたところ。無職でニートとゆう感じだった。
    優斗との接点なんてなかった。なのに何で?

    2005-12-13 05:51:00
  • 86:

    優花

    私は殺害動機が知りたかった。だけど真実を知った時、知らないままなほうがよかったと後悔した。

    イライラしてた
    人を殺してみたかった
    誰でもよかった

    2005-12-13 05:54:00
  • 87:

    優花

    真相が明らかになるにつれ私の心はズタズタに切りつけられていく。
    最愛の子供を奪った犯人は、ただ自らのストレスを晴らすためだけに優斗を殺した。
    体の何箇所にもナイフやアイスピックで傷を作った。怖かったはずだよね…痛かったよね…。
    人の涙は枯れることがないことを初めて分かった気がした。泣いても泣いても涙は出る。ずっととめどなく。

    2005-12-13 06:00:00
  • 88:

    名無しさん

    2005-12-13 06:01:00
  • 89:

    優花

    晴斗はおかしくなってしまった。そりゃそうだ。めちゃくちゃな法律に守られる犯人、そして何もできない私達。
    優斗がいなくなった事実だけは変わらない。戻らないと分かっていても現実を受け入れられなかった。

    2005-12-13 06:03:00
  • 90:

    優花

    家族のために頑張って出世までしてうまくいっていた仕事。晴斗にとって、もうそんなことは無意味なものだった。
    「俺もう明日から仕事行かないから。今日連絡いれたからさ」
    晴斗の言葉を私は黙って聞いていた。何も言えるはずがなかった。私だって同じ。気持ちは分かり過ぎるほどだったから。

    2005-12-13 06:07:00
  • 91:

    優花

    「いいよ」
    それだけ答えてもう何も言わなかった。気力も体力も日に日に落ちていく。
    優斗がいない現実が苦しかった。食べ物は口にいれることすら辛い。横になっても眠れない。
    私は優斗のおもちゃ箱を開けて部屋中いっぱいに散らかした。

    2005-12-13 06:19:00
  • 92:

    優花

    いつも優斗はおもちゃで遊びながら部屋を散らかしてた。
    「優斗ぉー片付けないと捨てちゃうよ」
    「やだ!だめ!」
    私が怒ったフリしたら泣きそうな顔で一生懸命急いで片付けてた。
    優斗…散らかしてもいい。めちゃくちゃにしていいから。お願いだから生き返ってよ…

    2005-12-13 06:23:00
  • 93:

    優花

    「なぁ優花…この剣みたいなのって優斗がいつも遊んでたやつだよな」
    晴斗が急に口を開いた。晴斗から話してきたのは久しぶりな気がした。
    「そうだよ。あとこれもいつも持ってたよね」
    私達二人は優斗の話をしてると不思議とおだやかな顔になっていた。

    2005-12-13 06:29:00
  • 94:

    優花

    「俺達さ。優斗に何してやれたんだろうな…何にもできなかったよな…優斗を幸せにしてやれなかったよな…」
    「ほんと…何にもしてあげれなかったね…」

    これから夏を迎えるとゆうのに何も…できないんだ。海やプールもお祭りも花火も…何もできないんだね。

    2005-12-13 06:34:00
  • 95:

    優花

    優斗の好きなアニメももう一緒に見ることができない。大好きだったシュークリームを一緒に食べることもない。
    毎日の平凡で幸せだった日々をおくることもない。

    残された私達にとって、生きがいなど何もなかった。毎日明らかになっていく殺害方法や殺害場所。
    どうやって連れ去ったのか、どうして何箇所も刺す必要があったのか。

    2005-12-13 06:40:00
  • 96:

    優花

    4月24日。優斗が連れ去られたのは午後1時35分頃だと知った。
    つまり家を出た直後。ほんの数分の出来事だったのだ。優斗に声をかけた安野は「公園に行く」と言った優斗に、「ママのお友達だから公園まで送ってあげる」と言って車に乗せた。
    そしてそのまま車で山梨に向かい山林の中で夜を過ごしたらしい。

    2005-12-13 06:46:00
  • 97:

    名無しさん

    2005-12-13 06:46:00
  • 98:

    優花

    食事はコンビニのサンドイッチを与えたけど食べずに泣き止まない優斗を見ていてまた腹が立ったんだと聞いた。
    初めから“殺す気”はなかったと。ちょっと待って?殺す気がないやつがナイフやアイスピックを所持してる?子供を連れ去る?

    2005-12-13 06:50:00
  • 99:

    名無しさん

    ???

    2005-12-14 06:17:00
  • 100:

    名無しさん

    2005-12-17 00:46:00
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