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俺ら、いくらで買ってくれますか?
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1:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ようやく夢に見たNO.1にのしあがった。今、あいつらは二人は今何やってるんだろう?
紫苑、ヒカリ。
たまには俺だって感慨深くなるさ。
会いてぇな、お前らに。2005-11-09 22:42:00 -
450:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「ほんま…一体どうしたんやろぉ?こんなん初めてやわ。だって帰国の予定日からもう三日もたってるねんで?忙しいって言っても遅れるなら遅れるでなんかアクションあるやん…」
2006-03-21 08:39:00 -
451:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
確かにそのとおりだった。帰国予定が延滞するなら連絡の一つないはずがない。やばいな。
何を言ってやったらいいか全然分からない。
口から出そうになるのは大丈夫だって!そんな不確実で安っぽい言葉ばかりだ。2006-03-21 08:42:00 -
452:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「なぁ!行かへん??」
「え…ニースに…か!?」
「だってこんなとこで待っててもどうしようもないやん!?ホテルだって聞いてるんやし、行ってみようや…」2006-03-21 08:45:00 -
453:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「…行きたい気持ちは分かるけど、ヒカリフランス語喋れるのか?リゾート地だから英語とかも通じるかもしれないけど、向こうで捜索となったら言葉も困るんだぞ?」
2006-03-21 08:47:00 -
454:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「それはッ…そうやけど…」「冷静に考えて、入れ違いとかもあるかも知れないしここにいて連絡待ってたほうが賢いよ」
「でも…でもッ」
プルルルル…プルルルル…ヒカリの声を遮るように家の電話が鳴る。2006-03-21 08:59:00 -
455:
名無しさん
続き読みたい〜ッ(〃∇〃)
2006-03-21 09:53:00 -
456:
名無しさん
続き読みたいのでァゲます?
2006-03-22 17:03:00 -
457:
名無しさん
続きめちゃ気になリます!!!
頑張って書いてください(´∀`@)2006-03-24 11:03:00 -
459:
名無しさん
頑張って☆
2006-03-24 14:05:00 -
460:
名無しさん
楽しみにしてます???
2006-03-26 06:45:00 -
461:
名無しさん
まだかな
2006-03-26 09:23:00 -
463:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
いいところで引っ張ってしまいましてすいませんでした…。改めて続き書きます!
2006-03-28 09:29:00 -
464:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
二人の間を冷たい機械音が走る。
プルルルル…プルルルル…たまりかねてトウヤが受話器をあげた。
「はい…はい、そうです…」2006-03-28 09:31:00 -
465:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ヒカリはいてもたってもいられなかった。
どう考えても嫌な予感が胸をチリチリと焦がす。
それにこの電話。
この電話ははっきりいってパソコンを引いたのと同時に名目上付けただけでめったになることはない。2006-03-28 09:34:00 -
466:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
それなのにどうしてこんな時に限って…。
「えっ!?そうですけど…はい…それは間違いないんですか?」
神妙に喋っていたトウヤの声が一瞬大きくなり、そして少し震えている事に嫌でも気付いてしまう。2006-03-28 09:37:00 -
467:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ガチャ…。
「トウヤ…何の電話?」
聞きたくはない。でも聞かずにはいられない。
「………警察。」2006-03-28 09:39:00 -
468:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
胸を焦がすチリチリは次第に大きくなっていく。
「警察…?何の用…なん?」「………………紫苑の乗ったセスナが墜落して生死の安否が分からないらしい」
瞬間胸の焦げは爆発した。「つまり…行方不明だ」2006-03-28 09:47:00 -
469:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
警察に事情を聞きに行き、現地でガイドをしたという人の話を聞いた。
紫苑の乗ったセスナは、パリへと戻る道中で雷雨に巻き込まれ、川へと墜落した。乗っていたのは紫苑の他四名。だが濁流に流されて遺体があがったのは一名だけだった。2006-03-28 09:53:00 -
470:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
遺体がない葬式なんてのに初めて参列した。
まだ少し幼い頃の位牌の紫苑が少し生意気そうな顔でこちらをにらむ。
2006-03-28 09:54:00 -
471:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
財務省勤務というのにふさわしい貫禄のある父。
有閑マダムという言葉のぴったりハマる母。
参列者が思いの外少ないのは、事情を考えれば当然のことだ。2006-03-28 10:10:00 -
472:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
いかにも美しかったであろう母は見る影もなく、ただただ肩を落として泣いているばかりだった。
喪主の父は忙しそうに参列者に頭を下げている。2006-03-28 10:13:00 -
473:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「紫苑の荷物は結構です。そちらで処分しておいてください。……それと…この件の真相についてはどうか内密にお願いできませんか、あまり口外できることではありませんので」
2006-03-28 10:16:00 -
474:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
申し訳なさそうに。
しかし、キッパリとした口調でトウヤにそれだけを伝えにきた。 「僕らも一切口外するつもりはありませんので」
その答えに安堵する様子が伝わってくる。
きっと財務省ではやり手なのだろう。2006-03-28 10:20:00 -
475:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「では、これを…」
茶色の、分厚く膨れ上がった封筒を外から見えないようにトウヤに握らす。
「なんのつもりですか」
怒りを押し殺すのに精一杯だった。
「なに、ほんの迷惑をおかけしたお詫びということで…」2006-03-28 10:24:00 -
476:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
言い終わるより先に、トウヤの拳が欲にまみれた顔にめり込んでいた。
封筒からいくつもの束になった札が散らばっていた。2006-03-28 10:26:00 -
477:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ガチャ…。
いつものようになれた手つきでマンションの扉を開く。いつもの玄関。いつもの観葉植物。いつものリビング。
ただ一つ違うのは、そこには二人しかいないという事実だ。2006-03-28 10:29:00 -
478:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「ヒカリ…帰ったよ」
あの日からヒカリは涙を流すわけでもなく、叫ぶわけでもなく、一人自室に閉じこもるわけでもない。
リビングの真ん中でひたすらパズルをやっていた。2006-03-28 10:32:00 -
479:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
どこからか買ってきたパズルはトウヤが今まで見た中で一大きく、そして難しそうだった。
ゆうに一万ピースはあるだろうか、リビングのカーペットの半分を占めている。2006-03-28 10:35:00 -
480:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
そしてそれは――――──────真っ白だった。
柄も文字もないパズル、それを無表情にパチ、パチとはめていくヒカリ。2006-03-28 10:37:00 -
481:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
その音がなんとも言えず、トウヤの胸に響く。
泣き叫んでくれたらどれだけ楽だっただろう。
毎晩枕を濡らしてくれるならどれだけ救われただろう。2006-03-28 10:40:00 -
482:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ご飯も食べず、睡眠も取らずただひたすらパズルに向き合い、穴を埋める。
やはり難しいらしく、なかなか空白は埋まっていかない。2006-03-28 10:42:00 -
483:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
白い小さなピースしか写さないヒカリの瞳。
なんていう言葉を掛けたらいいのか、なんて慰めたらいいのか分からない。
ヒカリにも、そして自分自身にも。2006-03-28 10:44:00 -
484:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
出来ることは、ただ黙って一段と小さくなったように感じるヒカリの背中を椅子に座って見つめることだけだった。
2006-03-28 10:45:00 -
485:
初カキコ
リアルタイムぢゃーん?おもれいっ
2006-03-28 11:25:00 -
486:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「あっ……」
声なのか吐息なのか区別がつかないくらいの小さな声が、ヒカリの乾いた唇から漏れる。
ふと、視線を落とすと、トウヤの足元に病的なほど白いピースが転がってきていた。2006-03-28 22:41:00 -
487:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
黙ってそれを拾い、ヒカリに手渡す。
カタッ。
小さな塊は、手と手の間を擦り抜け床に落ちた。
ヒカリの手は震えていた。2006-03-28 22:44:00 -
488:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「ねぇ、信じられるん?」
拳をぎゅっとにぎる。
「紫苑が死んだなんて、トウヤは信じてるん?!あたしは信じられへん。遺体も上がってないんやで!!」2006-03-28 22:59:00 -
489:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
「約束したやん…お土産買ってきてくれるって言ってた。あの子は約束やぶるような子じゃない。紫苑は…絶対に生きてる…」
2006-03-28 23:05:00 -
490:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
いつもより一段と低いその声は、我が子イエスのこの先の困難を宣告する聖母マリアを彷彿させる。
…またか。
自分でも嫌になる。どうしてもっと普通にヒカリが好きだと男として思えないんだろう?
これじゃ紫苑と一緒じゃないか。2006-03-28 23:19:00 -
491:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
…紫苑。
そこまで考えて、ハッと気付く。
ここにはいない。
なんでだ?2006-03-28 23:35:00 -
492:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
通夜、葬式。
そんなものは何も意味をもたない。
だって目の前に紫苑の「死」なんてどこにもない。
2006-03-28 23:40:00 -
493:
トウヤ ◆fnkquv7jY2
ここしばらく調査隊だとか、紫苑の両親だとか、警察だとか、まわりに振り回されて何も見えてなかった。「そうだよ、誰が死んだって決めたんだ?」
2006-03-28 23:42:00 -
494:
名無しさん
あげます?
2006-03-28 23:45:00 -
495:
サィナ
本間おもろ!!かれ感動しますな!!
2006-03-29 08:39:00