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50:
私は唖然としていた。『咲緒梨―!!!咲緒梨!!!!』慶太が呼んでいる。私は我にかえり慶太を見ると、慶太が満面の笑みで手招きをしている。私は立ち上がり、慶太と蒼がいるとこへ行く。
『なぁ、蒼、空が好きになったみたいやな☆俺達がゆうてた事が現実になったな☆』と慶太が言う。そう。私達は蒼が産まれる前、蒼の名前を考えている時『この子にも、空が好きな子に育ってほしい』『空が好きな、優しい心をもつような子に育ってほしい』そうゆう意味を込めて、蒼と名付けた。本当に蒼が空を好きになってくれるとは思わなかった。しかも、こんな小さい時に――・・・
蒼は、キャッキャ言いながらひたすら空を追い掛けまわしていた。私と慶太は、蒼の近くで見守っていた。すると、蒼はコケ、泣きだした。私は、笑いながら『蒼〜!!ワラ もう、はしゃぎすぎるからやで〜☆ワラ』と言い、蒼のもとへと近寄る。蒼はワンワン泣き叫び、私に抱きついた。私は蒼を抱き上げ、蒼をあやしながらシートの方へと戻る。2006-04-17 16:41:00 -
51:
私達はシートに座り、私と慶太で泣いている蒼の機嫌をとる。私が『蒼が悪いんやで☆ワラ あんなに走り回るから――・・・☆ワラ』とゆうと『蒼は悪くないよな〜☆パパんとこおいで☆』と、慶太が言う。だけど『ゔあ゙〜ん!!!パパや゙〜!!!あ゙ぁ゙〜ん゙!!!』と、泣きながら拒む蒼。それでも、慶太は蒼の機嫌をとる。すると、蒼が泣き止んだ。慶太のおかげだと思った。――が『―――マンマ―――』と蒼が言った。蒼の視線の先にはお弁当。よくわかったなと思い、私と慶太は意外な蒼の機嫌のなおりかたに大笑いし、お弁当を食べる事にした。
お腹がすいていたのか、蒼は次から次へとおかずやらご飯をほしがる。『蒼、ゆっくり食べなさい☆ほら、お口にいっぱい入ってるやろ??☆』と私が言ってもキャッキャはしゃぎ、全くゆう事を聞かない。私は『ゆう事聞かない子は、お菓子あ〜げない!!!』と私がゆうと、蒼は急に動きがとまりゆっくり食べだした。『蒼はいい子だね〜☆』と慶太がほめると、蒼はおもいっきり笑いおとなしく食べだした。2006-04-18 00:04:00 -
52:
お弁当を食べおわり、私達3人は家族団欒していた。座っている時も蒼は、空を見上げながらキャッキャ言い、今度は雲をつかまえる様な素振りをしだした。やっぱり、蒼は空を好きになっていてくれているんだ。
『蒼〜☆今蒼が見てるのは、空ってゆうんだよ☆そ・ら☆ゆってみ??☆』と私がゆうと『おーあ??』と蒼が言い『違うよ☆そ・ら、だよ☆』と再度私が言い『しょら☆』と蒼が言った。ちゃんとは言えてないけど私は『そうやで〜☆蒼、その調子☆』とほめると、『しょ・ら☆しょ・ら☆』と、蒼は何回も繰り返し言っていた。
私と慶太はそんな蒼を見ながら、目に涙をためていた。はたからみたら《別に感動するもんちゃうやん》とか思われるかもしれないけど、私と慶太には感動すぎるものだった。愛しい我が子が、私達夫婦が望んでいた事をこんな小さい時に叶えてくれ、言葉を一生懸命覚えようとしている。小さな事やちょっとした事かもしれない。でも、その“小さな事”や“ちょっとした”した事が、私達夫婦には大きな感動だったのだ。2006-04-18 00:56:00 -
54:
それから私達3人は、蒼をアンパンマンのブーブーカーに乗せ、少し歩く事にした。
しばらく歩いた時、蒼が急にグズりだした。ブーブーカーを止めると同時に蒼はブーブーカーから降り、自分でゆっくりとブーブーカーをおし歩きだした。さっきまでグズっていたのに、ブーブーカーを自分でおし歩きだしたら、スグにご機嫌さんになった。よっぽど自分でおしたかったのだろう。そんな可愛い蒼を見て慶太はデジカメを取り出し、蒼をいっぱい撮りだした。ブーブーカーをおしてる姿や、空を見上げてる姿や、空を追い掛けてる姿など、色んな蒼を撮っていた。私と慶太も楽しかったが、蒼はそれ以上に楽しそうだった。
段々と日も暮れてき、私達は帰る支度をして車に荷物を乗せ、家に帰った。2006-04-18 01:30:00 -
55:
家に着き、疲れたので少し休んでから後片付けをしようと思い、私達はとりあえずソファに座り込んだ。
テレビをつけ、蒼を抱っこしながらしばらくテレビを見ていた。蒼をお風呂に入れなきゃと思い、蒼を見る。すると蒼は、アンパンマンの人形を抱き締めながら寝ていたのだ。『蒼、寝ちゃったな―☆』と慶太が言ってき『うん―☆お風呂入れようと思ったんやけど、このまま寝かせてあげた方がいいな―☆』と私は返し、蒼を寝室に連れていきベビーベッドへ寝かせた。きっと、今日はしゃぎすぎたから疲れたのだろう。
私はリビングに戻り、慶太に『お風呂入りなよ☆私片付けするから☆』と言い、慶太はお風呂に入った。その間に、蒼を起こさないようあまり音をたてず、片付けをした。しばらくして、慶太がお風呂からあがってきて、珍しくビールを飲みだした。『どうしたん??ビール飲むとか珍しいやん☆』と聞くと『今日は、俺等が望んでいた事を蒼が叶えてくれたから、プチ祝い☆マヂ俺めちゃ感動やったし、嬉しかったわ☆』と言いだした。確かに、今日は本当に嬉しい1日だった。私と慶太は、今日1日の蒼の事や蒼の行動などについて、喋2006-04-18 09:03:00 -
56:
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あぼ~ん -
57:
それから、2ヵ月が過ぎて私と蒼は近くの公園に遊びにきていた。
蒼をブランコにのせたり、滑り台で滑らせてあげたりしていた。すると蒼はまた、空を見上げて追い掛けだしたのだ。私も後ろから、ちょこちょことついていく。公園には、近所の子供やお母さん達がちらほらとおり、そのうちの1人の男の子に蒼は軽くぶつかってしまった。
『あっ!!!大丈夫?!!』と言い、私は慌ててその男の子に近寄る。すると『すいませ〜ん!!!』と少し後ろから、男の子のお母さんがくる。『あ、いえ!!うちの子がぶつかってしまったもんですから―!!すいませんでした!!!』と言うと『いいえ☆――可愛いお子さんですね☆おいくつなんですか??☆』と聞かれ、蒼の歳を教えた。そしたら男の子のお母さんも、男の子の事を教えてくれた。潤くんとゆう名前で、もうすぐで2歳になるらしい。蒼の1つ上だ。お母さんの名前も教えてもらった。真樹さん。真樹さんは私と同じ歳。私と真樹さんは、この事がきっかけで仲良しさんになった。2006-04-18 09:46:00 -
58:
私達はベンチに座り、蒼を抱っこしながら喋っていた。『蒼ちゃんってゆうんだ〜☆―――可愛いね〜☆』と真樹さんは言い、蒼の手を軽く握り少しゆさぶって言う。『あっ!!!もしかして空にちなんで蒼ちゃんってゆうの?!!』と真樹さんに聞かれ、蒼の名前の由来を軽く話す。『そうなんや〜――めちゃいい名前やね☆蒼ちゃんが空を好きなんは、お母さんゆずりだ☆』と真樹さんに言われた。『そうなのかな〜―そうだといいんやけど☆』と私は言い、楽しく会話をした。
お昼頃になり、私と真樹さんはお互いの携帯番号などを交換し、それぞれ家に帰った。家に着き、お昼ご飯を作り蒼と食べた。それから、私は家の事をして蒼はおもちゃで遊びながら、アンパンマンのビデオを見ていた。蒼はアンパンマンのビデオを見ると、踊りだす。それがまた、たまらなく可愛い。そんな可愛い蒼を見ながら、私は家の事をする。しばらくすると、蒼はお昼寝をしてあっとゆう間に夕方になった。2006-04-18 09:59:00 -
59:
蒼が寝ている間に、私は晩ご飯の支度をする。8時ぐらいになり、慶太が帰ってきた。
『ただいま〜☆――蒼〜☆ただいま〜☆』と慶太は言い、蒼に抱きつく。蒼はもう起きていて、蒼もキャッキャ喜ぶ。晩ご飯もできてき『先お風呂入ってき〜☆』と私は言い、慶太は蒼を連れてお風呂に入った。私はその間に、片付けなどをする。
2人がお風呂からあがってきて、少しして晩ご飯を食べる。『いただきます☆』私は、公園であった事や、真樹さんや潤くんの事を慶太に話した。『ホンマか〜☆良かったやん☆咲緒梨もママ友達ができて、蒼にも友達できてええ事やん☆』と慶太も喜んでくれた。だけど、付け加えに『でも、蒼は誰にもわたせへんで』と、親バカ発言をしていた。2006-04-18 10:13:00 -
60:
晩ご飯も食べ終わり、蒼と慶太はおもちゃで遊んでいた。最近慶太は、蒼が何かするたびに写真を撮っていた。慶太いわく『思い出は大切や!!!色んな姿の蒼を撮っておきたいんや!!!』とゆう事らしい。まぁ、気持ちはわからんでもない。
2人が遊んでいる中、私はお風呂に入った。3、40分してあがってきたら、ジュウタンの上で仲良く並んで寝ている2人がいた。そんな2人を見て、凄く可愛く思わず私は写真を撮った。確認すると、デジカメにも幸せそうに寝ている親子2人がちゃんと写っていた。私はもう1枚撮りたくて、2人の少しアップの写真を撮った。私は満足して、風邪をひいてはいけないので、慶太を起こし私は蒼を抱っこして寝室に連れていき、私達も寝た。2006-04-18 10:27:00 -
61:
それからとゆうもの、私は真樹さんと頻繁に連絡をとり、公園で蒼と潤くんを遊ばせたり、一緒に買い物に行ったり、どちらかの家にいってお喋りをしたりして、私達はより一層仲良くなった。
『同じ歳なんやから、その“真樹さん”ってのやめてや〜☆ワラ』と言われ、お互い呼び捨てで呼びあうようにした。蒼と潤くんもすっかり仲良くなっており、私と真樹は『将来2人結婚させよか☆ワラ』とか、言っていたりもしていた。
幸せで、毎日が楽しい日々を過ごしていた。夫婦喧嘩も全然なく、蒼も小さい頃になる病気をするだけでそれ以外は凄く元気で、楽しく幸せに暮らしていた。2006-04-18 10:46:00 -
62:
そんなある日の事だった。蒼の2歳になる誕生日の3ヵ月前――・・・
夜中、蒼が泣いている声が聞こえて目が覚めた。『どうしたの〜、蒼。』と言って、蒼を見ると吐いていたのだ。私はビックリしたが、そんな場合ぢゃないと思い風呂場へ走った。風呂場から洗面器を持ってき、蒼の背中をさする。慶太も起きて、蒼を心配していた。
しばらくして蒼は吐かなくなり、とりあえず落ち着いた。蒼は今まででも、風邪をひいて吐いた事がある為、そこまで焦ってはいなかった。蒼のおでこを触ると、少し熱い。風邪かな〜と思い、朝一で病院に連れて行こうと思い蒼と慶太を寝かせて、私はずっと起きて蒼の看病をしていた。2006-04-18 11:58:00 -
63:
朝、『なんかあったら、スグ連絡してや!!!』と慶太に言われ『わかった』と言い、慶太を見送る。簡単に後片付けをし、行きつけの病院に蒼を連れて行った。
診察が終わり『風邪ですね』と先生に言われ、薬をもらって蒼を抱っこし、家に帰った。家に着いて、蒼にお粥を作って食べさせ、もらってきた薬を飲まし蒼を寝かせ、慶太にただの風邪だった事を連絡して、家の事をする。
【薬も、もらった事やしこれで安心やな☆早く元気になって、真樹のとこに蒼を遊びに連れていってあげな☆】そう思っていた。2006-04-18 12:04:00 -
64:
だが、安心したのも束の間だった。蒼の具合はいっこうに良くならず、1、2週間たってもおんなじ状態で、いっこうに良くならなかった。
私は凄く不安になり、病院に電話して聞くと『こちらにお子さんを連れてきて下さい』と言われたが、一回見てもらってこの状態なのだから、不安でたまらなく『違う病院を教えて下さい!!』とゆうと、子供センターみたいな子供専門の病院を紹介してもらい、私はスグに蒼を連れていった。すると先生は『ストレスからきているのかもわかりません。少し様子をみましょう。』と言い、薬をだしてくれた。その日はとりあえず家に帰った。私は不安でたまらなく、蒼が心配でたまらなかった。
慶太も早く帰ってきて、蒼の事を凄く心配していた。『おい――ホンマに大丈夫なんか、蒼は――?!!!』と慶太が聞いてき『わかれへん――先生はしばらく様子をみようって。ストレスからきてるかもしらんからって――』と私が元気なく答えると『ごめん、咲緒梨。咲緒梨も不安やんな。ごめん。俺アホやわ。ホンマごめんな、咲緒梨。』と慶太は謝ってきてくれた。とりあえず私達には何もわからないから、蒼にできる限りの事2006-04-18 12:13:00 -
65:
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あぼ~ん -
66:
こうゆう時、親は辛いものだ。愛しい我が子がこんなにも苦しがっているのに、変わってあげられない。変わってあげれるものなら、今スグに変わってあげるのに――・・・
私はこの時、自分の無力さになんだか情けなくなった。
【ごめんね、蒼。ママ、何にも蒼にしてやれなくて。一番苦しいのは蒼やのにね。ごめんね―・・・】2006-04-18 12:17:00 -
67:
それから何回かその病院に通った。ある日先生が『だいぶ痩せてきたみたいですね――・・・入院しましょう』と言ってきた。確かに蒼は、あまり食べず食べても吐いたりして痩せてきていた。私は先生に言われるがままに蒼を入院させる事にした。『入院するからには、とことん検査しましょう』と言われ、最初は問診から始まった。
蒼は、まだ言葉がはっきりわからなくそんなに喋る事もできないので、私が答えた。その間も、先生は蒼を調べていた。すると、色々調べ終わった後先生が《首をかしげた》。私はなんだか嫌な予感がしてたまらなかった。
次の日、入院の準備を全くしていなかった為、蒼の着替えと大好きなアンパンマンのおもちゃなどを持って、朝から蒼のとこへと行った。すると、先生からまた話しがあると言われ看護婦さんに蒼をまかせ聞きにいく。2006-04-18 12:30:00 -
68:
ある部屋で先生と向かい合わせに座り、話しを聞く。
すると、先生の口からとんでもない事を告げられる。私は、先生に少し待ってもらい慶太にスグ電話をした。
『慶太――蒼が・・・・蒼がぁ――・・・ウウッ』『咲緒梨!!!どないしてん?!!!落ち着け!!!』『ヒック―ヒック―グスンッ―・・・』『咲緒梨!!!蒼に何があったんかゆうてくれ!!!』『――ヒック――蒼――ヒック――風邪じゃないねん――グスンッ――・・・』『ぢゃあなんやねん?!!』2006-04-18 12:40:00 -
70:
『はっ――――嘘―やん―――――咲緒梨、今から会社出てスグそっち向かうから、待っとけ――――』慶太はそう言い電話を切った。
私は体の力が抜け、床に座りこみただひたすら泣いていた。看護婦さんに手をかしてもらい、廊下のイスに座らせてもらった。慶太がスグに来てくれ、先生の所に再び話しを聞きにいく。2006-04-18 12:47:00 -
71:
『今からゆう事は、非常にショックな事だとは思いますが、ちゃんと聞いて下さい。お子さんの頭に、腫瘍が見つかりました。それも、かなり大きいもです――・・・。』私と慶太は、頭が真っ白になった。
それでも、先生は話し続ける。『大丈夫ですか??――話しを続けますね。お子さんは――・・・』先生から軽く話しを聞き、専門の病院を紹介するから、そっちへ変わった方がいいと言われ、明日蒼はその病院に転院する事になった。
『ありがとうございました。』と先生に言い、廊下へでた。私と慶太は、廊下のイスに座り、涙を流していた。涙はとまらない――・・・2006-04-18 12:52:00 -
72:
私は蒼が寂しがっているんぢゃないかと心配になり、私と慶太は涙を拭き、必死に笑顔をつくりながら蒼のもとへと戻った。
蒼はアンパンマンの人形を抱いて看護婦さんと一緒にテレビを見ていた。私は看護婦さんにお礼を言い、看護婦さんは出て行った。
私は蒼に近寄り、蒼を抱きしめた。涙は流してはいけないと思い、必死に堪え蒼の頭を撫でながら抱きしめた。蒼はテレビを見たさに嫌がったが、私は離す事なくひたすら蒼を抱きしめていた。慶太も、後ろから私と蒼を抱きしめるように、きつく抱きしめてきた。2006-04-18 12:57:00 -
73:
私は信じたくなかった。蒼が癌だなんて――嘘だと思いたかった――・・・
【お願いだから、今すぐ誰か嘘だと言って!!!蒼は癌なんかぢゃないって――・・・ただの風邪だと――誰か――言って―――・・・】
ひたすら心で叫んでいた。2006-04-18 13:02:00 -
75:
私と慶太は、面会時間がくるまで蒼と一緒にいた。晩ご飯の時間になり、蒼の体もありお粥だった。
『蒼〜☆マンマだよ〜☆アーン――・・・』私は蒼の口にお粥を運んだ。だけど、蒼はお粥を食べようとしない。蒼は、病院のご飯が嫌いみたいだ。私は少しだけお粥を食べ『わ〜、おいしい―☆』と言いながら、蒼を見る。すると、蒼はお粥をほしがってき再び蒼の口にお粥を運ぶと、食べてくれた。蒼は少しずつゆっくりと食べていた。前の蒼だったら、元気よくご飯を食べ、口いっぱいにつめこんでいたのに、今の蒼は元気は元気だが、前までの元気はない。お粥を食べている蒼を見て、改めて感じた。
私は堪えきれなくなり、スプーンを持つ手が震える。すると、慶太に見透かされ、手を握ってくれ『ママは駄目やね〜☆蒼、パパが食べさせてあげるから、パパと一緒に食べような〜☆』と言い、私に気遣ってくれ交代してくれた。私は走ってお手洗いにいき、必死に堪えていた涙が溢れ出てきた。2006-04-18 15:24:00 -
76:
前までの元気がなくなった蒼。痩せきった蒼。
そんな蒼を見て、私はたまらなかった。どうしてあんな小さい子が、こんな事にならなきゃいけないのか。どうして蒼なのか。
変わってやれない事が、悔しくて悔しくてたまらなく、涙がとまらなかった。2006-04-18 15:33:00 -
77:
こんな事をしている間に、時間は過ぎていく。涙を拭い、蒼の病室へと小走りで戻る。
蒼はすでにお粥を食べ終わっており、慶太と一緒にアンパンマンのおもちゃで遊んでいた。
『蒼〜☆ごめんね〜☆』私はそう言い、蒼に近寄る。すると蒼が『マーマ☆抱っこー!!!抱っこー!!!』と言ってきたのだ。愛しすぎる蒼。私はスグさま蒼を抱き上げ『蒼はホンマ甘えんぼさんやね〜―☆』と言い、蒼のほっぺに自分のほっぺを重ねた。蒼は喜び、私のほっぺをペンペンとたたく。『蒼〜☆もっとやったれ〜☆こんな弱虫さんなママにおしおきしてやれ☆』と慶太がゆう。すると慶太の言葉がわかったのか、蒼はひたすら私のほっぺをたたく。そうやってじゃれあっていたら、面会の終わりの時間がきた。2006-04-18 15:44:00 -
78:
私は看護婦さんに無理を言って、蒼を抱っこしながらあやし、寝かせた。そっと蒼をベッドへ寝かし、蒼に『また明日ね☆おやすみ、蒼☆』と小声で言い、看護婦さんにお礼を言って病院を後にし、私達は帰った。
明日蒼は違う病院へ転院する。転院先の病院は《脊髄》《脳》《神経》などしか扱わない専門の病院らしい。その為、支度などしなければいけない故、私達は早めに寝る事にした。やっぱり蒼のいない家は淋しすぎる。そう思いながら、眠りについた。
翌日、早めに起きて、蒼の転院の為の支度をし、少し早く家を出て病院に向かった。2006-04-18 16:01:00 -
79:
病院に着き蒼の病室へ行くと、蒼はまだ寝ていた。起こさないように、静かに蒼の荷物をまとめる。すると『ウワーーーーーーン!!!!』と蒼が泣きながら目を覚ました。
『蒼〜☆起きたん☆おはよ☆―ほら、泣かないの☆』私は蒼を抱き上げ言った。蒼はスグに泣きやんだが、少しご機嫌ななめのようだ。『蒼〜☆おはよう☆―――後は俺がやるから、咲緒梨は蒼についてやってて☆』と慶太が言ってくれ、慶太に任せた。
支度ができて、なんやかんやと済ませ先生や看護婦さんにお礼を言って、病院を後にし転院先の病院へと車で向かった。2006-04-18 16:09:00 -
80:
新しい病院に着き、受け付けで手続きを済ませ病室へ案内される。
病室へ着き、なんやかんやしていると『こんにちは☆初めまして☆蒼ちゃんの担当をさせてもらいます、松永と言います☆――こんにちは、蒼ちゃん☆これから、よろしくね☆』と、担当の先生がきた。『あ、初めまして。柳 蒼の母と父です。これから、よろしくお願いいたします。』と挨拶をすると『来て頂いてスグあれなんですが、お話しを――・・・』と言われ、看護婦さんもいたので蒼を看護婦にまかせて行こうとしたら『お母さんははずされておいた方がよろしいかと――・・・』と先生が気遣ってくれたが『いえ、私の娘ですので私も一緒にいきます。』と言い、私達は先生についていった。
ある部屋に入ると、また違う先生と看護婦さんが2人ぐらいいた。『早速ですが、お子さんの今の状況は――もうおわかりですね??腫瘍の事ですが、もし悪性なら20年以上生きた方はいません。5年以上の生存確率も低いです。』先生から、いきなりキツイ事を言われた。蒼の腫瘍は、手術で摘出し残った腫瘍は放射線治療で小さくしていくとの事。その後も色々と話しをされ、2006-04-18 16:28:00 -
81:
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あぼ~ん -
82:
色々と説明を聞き、先生が最後に『質問などありませんか??』と聞いてき『今の先生の判断では、蒼の腫瘍は良性なのか悪性なのか、どっちなんでしょうか??』親ならきかなければいけない事を聞く。先生はスグに『―まず間違いなく【悪性】でしょう――・・・』と言われ『5年の生存率もかなり低いかと――・・・』とまで言われた。
蒼の手術は『火曜日にします。』と言われた。後、5日後だ。とりあえず話しは終わり、明日また詳しい話しがあると言われ先生方におじきをして部屋を出た。
蒼は5年ももたない。悪性の腫瘍。私の頭は真っ白になった。どうしていいかわからなかった。でも、この時はなぜか涙がでなかった。あまりにも衝撃的すぎて、うけとめる事ができなかった。2006-04-18 16:39:00 -
84:
『咲緒梨、大丈夫か??』慶太が言い『―――何で??―――何で蒼なん??』気のぬけた言い方で私は言う。慶太は黙った。慶太もきっと同じ事を思っていただろう。
蒼の今おかされている病気。それは――・・・
――【小児癌】――2006-04-18 18:42:00 -
85:
それも、悪性。どうしてもっと早くに気付いてやれなかったんだろう。どうして蒼が体調くずした時に、精密検査をしなかったんだろう。
私は、蒼に申し訳なさすぎて自分を憎んだ。親として情けない。
そんな気持ちでいっぱいだった。2006-04-18 18:49:00 -
86:
『咲緒梨――・・・蒼のとこに戻ろう。寂しがってる。』慶太にそう言われ、急いで蒼の病室へ戻った。
病室に戻ると、蒼はお昼寝をしていた。看護婦さんも、ついていてくれた。
『すいません――・・・ついていてくださって、どうもありがとうございました。』とゆうと『いいえ☆蒼ちゃんは本当に元気で可愛いお子さんですね☆』と看護婦さんは言ってくれ『ありがとうございます。』とゆうと、看護婦さんは仕事に戻っていった。2006-04-18 18:55:00 -
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蒼は、いつも持ち歩いている大好きなアンパンマンのお人形を持って寝ていた。
そんな蒼を見ながら、私はマイナスな事ばかり考えていた。
【蒼がこのまま起きなかったらどうしよう。蒼が死んぢゃったらどうしよう。蒼がいないと、生きていけない。】2006-04-18 18:59:00 -
88:
『咲緒梨、いらん事は一切考えるな。現に蒼は元気やん。だから、アホな事は考えるな。』慶太にそう言われた。でも、私は不安で不安でたまらなく、マイナスな方ばかりへと考えていた。
蒼は、夕方ぐらいまで寝ていた。蒼の前だけでは、元気をださなくちゃと思い、必死に笑顔をつくる。
『蒼、いっぱい寝たな〜☆夜寝られへんのちゃうか〜??☆』と私がゆうと『抱っこ抱っこー!!』と、蒼がグズりだした。『しゃあないな〜☆たまにはパパが抱っこしたろ☆』と慶太は言い蒼を抱き上げようとした。だが蒼は『やぁーーーー!!!パパやぁーーー!!マーマ、抱っこぉ〜!!!――フェーン』と泣きだしはじめたのだ。『はいはい☆泣かないの☆』と私は言いながら、蒼を抱き上げた。2006-04-18 19:09:00 -
89:
蒼はしばらくして、泣きやんだ。『パパがそんなに嫌なんかよ〜、蒼〜――・・・』慶太は少し悲しそうな顔をしながら、笑って言った。蒼は、あまりわかっていなかった。
しばらくし、看護婦さんがご飯を運んできてくれた。今日も一緒に食べた。だが、蒼は少し吐いた。小さな蒼の背中をさすってあげる。吐き終わると、蒼は元気がなくなり横になった。しんどいのだろうと思い、トントンしてあげ寝かせてあげようと思った。
中々寝なかったが、蒼の頭を撫でたりしながらトントンし続けていたら、蒼は寝たのだ。私達は、明日もある為この日は少し早く帰った。2006-04-18 19:20:00 -
90:
翌日。私達は蒼の為にお菓子を買って、朝から病院へ行き蒼の病室に行った。蒼は起きていて、お母さんと一緒を見ていた。
『蒼〜☆おはよう☆』と私は声をかけた。だが蒼はテレビに夢中で、私達の方には見向きもしない。『蒼の大好きなアンパンマンのお菓子かってきてるんやけどな〜――☆』とゆうと『アンパンマン☆アンパンマン☆』と言って、いきなりこっちに夢中になりだした。2006-04-18 19:49:00 -
91:
『あ〜、やっとこっち向いてくれた〜☆』と私がゆうと『アンパンマン☆アンパンマン〜!!☆』と、蒼はお菓子ばかりに夢中になっていた。『もぅ〜☆ママ達も相手しろ〜☆』『キャハハハハハハ☆』私はそう言って、蒼をこちょばした。慶太も混じり朝からジャレていた。
しばらくして『おはようございます☆――蒼ちゃん、おはよう☆元気そうだね〜☆』担当の先生がきた。『おはようございます。』私と慶太も挨拶する。『昨日の話しの続きがあるので、少しよろしいでしょうか??』と先生に言われ『すいません。蒼お願いします。』と看護婦さんにお願いし、私達は先生についていく。2006-04-18 21:00:00 -
92:
昨日と同じ部屋に通された。先生から蒼の脳のレントゲンなどを見せられ、病気のことを昨日より詳しく説明された。
蒼の今の状況はかなりよくない。蒼の小さな脳には、考えられないぐらいの大きい腫瘍があった。それを見て、私達はあまりの衝撃的な現実に信じられなかった。先生からの話しは終わり、部屋を後にする。
私達は、ショックすぎて放心状態のまま蒼の病室へ戻る。蒼はキャッキャ言いながら、看護婦さんとテレビを見ていた。看護婦さんにお礼を言い、病室を出ていった。蒼の前では絶対に泣かない。絶対泣かないときめたのに、そんな蒼を見ていたら涙が勝手に溢れでてきてとまらなかった。2006-04-18 21:26:00 -
93:
何で蒼なのか。考えれば考える程涙は止まらない。
蒼の為だったら私の命なんかいらないのに。ひたすらそう思っていた。
私達がそう落ち込んでいると、同じ病室の子の親から言われた。2006-04-18 21:32:00 -
94:
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あぼ~ん -
95:
その同じ病室の子の親から、渇をいれられた。その言葉が凄く心にきた。
【そうや。私や慶太が信じてあげな誰が信じてあげるんや!!!蒼は絶対に助かる!!!】必死にそう思い信じた。
私と慶太は、親などに連絡をし、蒼の病気の事を告げた。2006-04-18 21:42:00 -
96:
私と慶太は、蒼の手術は必ず成功すると、ひたすら信じていた。みかけや上辺じゃなく、本当に心の底から信じていた。蒼は絶対に助かる。
それから、私の親や慶太の親がお見舞いに来てくれた。蒼は喜び、遊んでもらったりしていた。
蒼は点滴などをうたれたりして、痛いはずなのにご機嫌さんだった。点滴の針なども痛いだろうけど、きっとそれよりも体の方がしんどいのであろう。そんな事を思うと、凄く胸が痛かった。2006-04-18 21:49:00 -
97:
蒼は、手術をする為に髪を切られてしまった。あんなに可愛らしかった蒼の髪の毛は、なくなりクリクリの坊主頭になってしまった。
【でも、大丈夫だよ蒼。どんな姿の蒼でも、世界一蒼が可愛いよ。】
手術をしたら、しばらく蒼を抱っこできないから、私と慶太はいっぱい蒼を抱っこしたり、膝に蒼をのせて一緒にテレビをみたりしてすごした。2006-04-18 21:53:00 -
98:
日々が過ぎるのは早く、とうとう明日、蒼の手術の日がきた。
私と慶太は明日蒼の手術とゆう事で、いっぱい蒼と遊び、蒼と一時も離れず過ごした。
【そのおかげで、蒼はお昼寝ができひんかったね。ごめんね、蒼。今日だけでいいから、ママとパパの我儘を許してね――・・・】2006-04-18 22:00:00 -
99:
蒼といっぱい過ごし、寂しいし離れたくなかったけど、面会の時間が終わってしまい『蒼、明日も朝一で来るからね☆それまで、良い子にしててね☆』と私がゆうと『そんな事言われなくても、蒼は良い子だよな☆ママはおバカさんやね、蒼☆』慶太がそう言った。なぜか涙がでそうになり、必死に堪えた。
『じゃあ蒼、また明日来るからゆっくり寝るねんで☆』と私は言い、看護婦さんと蒼に手をふられながら私達は家に帰った。2006-04-18 22:03:00 -
100:
私達は、《千羽鶴》を織る事にし帰り道に折り紙を大量購入して、家に帰った。
【蒼は必ず助かる。絶対に助かる。】そう祈りを込めて一生懸命織っていた。
するとインターホンがなった。誰だと思いでると『こんばんは――・・・』そこには、真樹の姿があった。私は真樹にも蒼の事を言っていたのだ。2006-04-18 22:08:00