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ナンバー1
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1:
◆8x8z91r9YM
「一夜の夢見せます」
2006-01-11 00:11:00 -
101:
◆8x8z91r9YM
僕は初対面の人が苦手だ。それをすっかり忘れていた。
最初の一週間は特に話さなくても先輩達がいたから何とか乗り越えれた。僕の外見は女性受けするらしいからお客さんからも何か気に入られたりしていた。2006-01-12 08:47:00 -
102:
◆8x8z91r9YM
指名は今のとこ0。アキラは、新規二人から指名もらっていた。
僕より後に入ってきた新人はいなくて、今のとここの店で指名客がいないのは僕だけ…。よく考えてみれば僕女の人自体未確認飛行物体並みに理解できない。2006-01-12 08:51:00 -
103:
◆8x8z91r9YM
僕は何故かミツルさんの席によく付かせてもらった。ミツルさんは次から次へと話題が出てくるし、何といってもオーラがある。
どうやったらああなれんやろ…。先輩のいいとこを盗めと言われてもミツルさんと僕は真逆すぎる。
2006-01-12 08:56:00 -
104:
◆8x8z91r9YM
僕の最大の欠点が店長にばれるにはそう時間はかからなく、ついに僕が入店して三週間目にして雷を落とされた。
「お前なめとんかぁぁ?!」ガンッ!!テーブルを店長が蹴った。
店のオフィス。営業真っ最中の中僕は店長に呼ばれた。客からのクレームが立て続けに出ていたからだ。
理由は『つまらない』そんなん知らないってば…。。2006-01-12 09:01:00 -
105:
◆8x8z91r9YM
「仕事を何やと思ってんや?!入って三週間指名0おまけに酒弱くて、接客できへん?プロ意識あるんか?!お客さんの話題についてもいけず勉強しようともせんと金だけもらう気なんか?!」
「すいません」
僕がそう謝ると店長は台風が去った後のように静かになりタバコを吸いながらソファに座り髪をかきあげて僕にこう言った。
「やる気がないなら今すぐ辞めてくれ。悔しかったら数字だして売り上げあげろ…あと二週間で指名五人。無理ならくびだ」2006-01-12 09:09:00 -
106:
◆8x8z91r9YM
オフィスに店長と二人きり。
壁に貼ってある指名グラフを初めて気にした時ミツルさんの凄さがやっと分かった気がした。
少しだけ分かった気がした。2006-01-12 09:17:00 -
107:
◆8x8z91r9YM
祝い金なんて普通出ないらしいが、やっと祝い金の意味が分かった。
勉強するための金なんだ。
僕のこの店での余命二週間。逃げたくはなかった。もともとやり始めたらとことんいく性格。ぼくをやる気にさせたのは店長の「悔しかったら数字を出せ」という言葉。
やってやるよ。どうせならミツルさん抜かしてみせる。2006-01-12 09:23:00 -
108:
◆8x8z91r9YM
僕の中で火がついた。
もともとAB型特有のポーカーフェイス。やる気があっても分かってはもらえない。。影で頑張るしかないな
まずコンビニ行ってファッション雑誌を4冊買って寝る時間削り隅々まで読んだ。次はツタヤに行き流行の歌を借りまくった。心理学の本も買ったし血液型の本も買った。
店では、お客さんの付けてるアクセやブランドに注目した。2006-01-12 09:30:00 -
109:
◆8x8z91r9YM
自然とお客さんの誕生日や血液型や趣味、好きなアクセメーカー、ブランド、など細かくノートにまとめるようになった。
部屋にはってあるカレンダーに誕生日を記入するくせもついてきた。
思ったより『女』という生きものは理解しやすいなぁと思い始めた頃自分指名は五人を越えていた。2006-01-12 09:34:00 -
110:
◆8x8z91r9YM
二週間で指名20人。
これにはみんな驚いていた。そりゃ店長にもほめられたしアキラにもほめられた。
けど満足いかないんだよ。僕の目標は伝説のミツルさんを抜かす事。それだけなんだ。2006-01-12 09:38:00 -
111:
◆8x8z91r9YM
あの頃は必死だった。正直自分でもこんなにハマりこむなんて思わなかった。
寝る時間なんてほとんどなかったし給料のほとんど客への投資に使ってた。
なぁアキラ、本当の俺は誰よりも弱っちくて小さい奴なんだよ。ただポーカーフェイスなだけ。2006-01-12 09:46:00 -
112:
◆8x8z91r9YM
カチャ…カチャカチャ…
パソコン画面に7ホームページが映っていた。
2006-01-12 09:49:00 -
114:
◆8x8z91r9YM
ヒカルの何枚もの写真が画面に表れ、二枚目の写真を
カチッ
クリックした。
画面に大きくクリックされた写真が映る。。2006-01-12 10:14:00 -
115:
◆8x8z91r9YM
ピッピッピ…パシャ
「はい!OKでぇす!お疲れさまでしたぁ!」
月刊ホスト雑誌の撮影が終わった。2006-01-12 10:19:00 -
116:
◆8x8z91r9YM
入店して二ヵ月目、初めての雑誌撮影。「ありがとうございました」僕はカメラマンとアシスタントさんに頭を下げた。
「すいません。あのアンケート書いてもらってもよろしいですか?」アシスタントさんがそう言って僕に白い一枚の紙を差し出してきた。「…はい」受け取って用紙を見るとなんだか色々書き込みしなきゃだめみたいだ。
「書けるとこだけで構わないんで…」笑顔でそう言われ僕も笑顔で答えた。2006-01-12 10:24:00 -
117:
◆8x8z91r9YM
月刊ホストセブンアンケート
店名〔クラブ7〕名前〔ヒカル〕誕生日〔8月7日〕血液型〔AB〕型 出身地〔∞〕身長〔178〕?体重〔58〕? 好きな女性のタイプ〔∞〕趣味〔∞〕
僕はヒカルというもう一人の自分を不思議な人間にしたかった。まったく違う人間に。だから∞という文字を書いた。2006-01-12 10:34:00 -
118:
◆8x8z91r9YM
入店して二ヵ月。月売り上げ200万。ランキング13位。二ヵ月にしては異例の売り上げらしい。
ミツルさんの先月売り上げ2000万。全然かなわない…。ボックス数も多いから自然と売り上げは上がりやすくなるが、今の僕じゃまだまだだな…指名グラフが気になる日々。焦りすら僕からは感じれないそうだ。そんなにポーカーフェイスなのかなぁ。2006-01-12 10:42:00 -
119:
◆8x8z91r9YM
ミツルさんはほぼ毎日同伴してアフターをしていた。雑誌、テレビでひっぱりだこ。グラビアでかっこよく決めた顔が王座を物語る。
7ビルの吹き抜けになってるホールにミツルさんのポスターがでっかく貼られてあり凄さを更に物語る。2006-01-12 10:47:00 -
120:
◆8x8z91r9YM
いつか、僕もこうなるんだ!秘かに思っていた。
雑誌やポスターを見るたび仕事に熱が入る。
2006-01-12 10:54:00 -
121:
◆8x8z91r9YM
「初めまして!新人のミツルです!」
―――?!―――
オフィスで吸っていたタバコを思わず落として急いで拾った。2006-01-12 11:08:00 -
122:
◆8x8z91r9YM
俺の視界に入ってきたそこには似ても似付かない若い新人がキラキラした目をしながら真剣な顔で俺を見ていた。
憧れの眼差し…。「ヒカルさんと同じ店で働けるなんて感激です!」新人ミツルはそんな事を言った。
「ありがとう…よろしく…」2006-01-12 11:11:00 -
123:
◆8x8z91r9YM
オフィスに入ってきたアキラが俺と新人ミツルを見て笑った。
「おっ、ミツル今日から頑張れよ!チーフが呼んでたで?」アキラがそう言うとミツルは「はいっ!失礼します!」そう言ってオフィスを出ていった。2006-01-12 11:16:00 -
124:
◆8x8z91r9YM
「びっくりしたでぇ!名前」アキラが携帯をいじりながらそう言った。
俺はタバコを消し立ち上がってからアキラを見た。「誰が名前付けた?」そう言うと「ん?店長やろ?…期待されとんちゃうか?」そうアキラが答えた。
よりによってミツルさんの名前使うなんて…器が違いすぎるだろ…そう思いながら店内に戻った。2006-01-12 11:21:00 -
125:
◆8x8z91r9YM
俺の憧れて止まない人。
初恋に似たときめき、嫉妬。
俺がミツルさんに出会って半年で初めてミツルさんの弱い姿を見た。2006-01-12 11:38:00 -
126:
◆8x8z91r9YM
「おつかれさまでしたぁ!お先しつれいします」そう言って僕は店を出た。今日で半年がたった。一時程の勢いはないけどランキングとうとう五位になった。あともう少しだな。
そう考えながらビルを出て晴れた冬の朝の道を歩いていた。飲み屋帰りの女とホストが歩いていた。アフターかぁ…ごくろうさん…2006-01-12 11:45:00 -
127:
◆8x8z91r9YM
「あっ、7のヒカルやん!かっこいい」
通り過ぎた女二人が小さい声でそう言った。
最近になってやっと騒がれたりするようになった。気持ちがいいもんだな。…うん。雑誌のグラビアにも出るようになってちょっとはミツルさんに近づいたよなぁ。2006-01-12 11:49:00 -
129:
◆8x8z91r9YM
いつも行くコンビニにその日も行った。
何気なく飲料水売場である一人の大学生らしき女の子が
ドサドサッ…「きゃっ」僕とぶつかってカバンを落とした。女の子が落ちて床にちらばった物を急いで拾う姿に「あっ、すいません!」僕は慌てて床に転がった教科書やノートを拾って渡した。2006-01-12 13:19:00 -
130:
◆8x8z91r9YM
薄いメイクの女の子の目が合った。「すいません。ありがとうございました」控えめな笑顔で僕の手から教科書とノートを取りカバンに直して一礼してペットボトルのジュースを手に取りレジに行った。
なんかすっげぇ新鮮。。彼女から朝の匂いがした。僕は…夜の匂いがする…
これが彼女との出会いだった。2006-01-12 13:23:00 -
131:
◆8x8z91r9YM
ふと思えば恋愛…まったくしてない…。店と家の往復だなぁ。私服買ったのいつやろう…タクシーに乗りながら外を歩く人達をサングラス越しに見る。
仕事で必要な物にお金をかけてるけど、プライベートな時間にお金をかけていない。貯金をこつこつしているし実家に仕送りもしている。2006-01-12 13:28:00 -
132:
◆8x8z91r9YM
彼女…ほしいな。…ブランドとか興味ないさっきのコンビニにいた子みたいな人がいいなぁ…手料理食べたいなぁ…。
はぁ…。
ぼぉっと考えてる間僕の携帯は胸ポケットで絶えず震動しては止み、また震動の繰り返し。
ほっといてほしい時もあるのに…2006-01-12 13:35:00 -
133:
◆8x8z91r9YM
気付かないうちに、気持ちに余裕が少し出てきていて、プライベートの事まで考えれるようになった。
半年という間ひたすらに仕事の事だけ考えていた。ちょっとは成長できてんのやなぁ。
2006-01-12 13:48:00 -
134:
◆8x8z91r9YM
僕は北国で生まれた。
それを知ってるのは店長とオーナーくらいだ。
ヒカルという人間は出身はお客さんには神戸と言ってある。もちろん何を聞かれても答えれるように調べまくった。
まだ一度も足を運んだ事はないけど…そのうち行くよ…面倒だけどね。2006-01-12 14:03:00 -
135:
◆8x8z91r9YM
人から言われる
――綺麗な顔――
鏡に映る自分の顔をじぃっと見て変な顔をして自分で吹き出した。「はははっ!」こんな姿絶対見せれないよな。客は僕の便したりする姿が想像できないらしい。普通にしますよ。2006-01-12 14:06:00 -
136:
◆8x8z91r9YM
作り上げたヒカルという人間から、
芹沢 海―せりざわ うみ―という人間に変わる。芹沢海は、面倒くさがりで人に興味があまりない。寝るのが大好き。2006-01-12 14:10:00 -
137:
名無しさん
ヒカルという人間は
妖艶に微笑み目を見つめるのが得意。
女心をよくわかっていて、物知りだけど嫌味がない。オーダーした香水はヒカルに変身するための道具。
芹沢海は、面倒臭がり。その一言でまとめれる。2006-01-12 14:17:00 -
138:
◆8x8z91r9YM
分かってる、一息つく時間作るべきだって。
本当の僕を見てくれる誰かがいなくて気貼りっぱなしじゃいつかヒカルに居場所とられて、芹沢海がいなくなってしまうって。
そうはなりたくないんだ。2006-01-12 14:27:00 -
139:
◆8x8z91r9YM
「ヒカル?どないしたん?」寿司屋のカウンター。客と食事中僕はついぼぉっとしてしまった…いかんいかん!ヒカルヒカルヒカルヒカル!!気持ちを切り替えてお客の顔を見て「うまいなぁ」そう言うと客は微笑んだ。2006-01-12 14:34:00 -
140:
◆8x8z91r9YM
この客明美はもともとはミツルさん口座。僕口座になってから一ヵ月が経った。チーフいわくホスト狂いらしい。ソープで働きホストに貢のが好きらしい。
「そうや!ヒカルに教えたるわ!ミツルの事」耳元で明美は得意気にそう言った。「いいよ…そういうのは人に言っちゃだめやで?」僕からの制止を聞こうとせず明美は
「ミツルなぁ春菜って彼女おんねん」そう言って酒を飲んだ。僕は驚いて明美の顔を見た。2006-01-12 14:41:00 -
141:
◆8x8z91r9YM
「え?春菜?」僕はつい聞き返してしまった。
「そやで、大学生のお嬢さん☆調べて分かったんやけどな、ヒカル知らんかったん…って店則で決まってるしミツル自分の事隠すタイプやもんな、分かるわけないか」2006-01-12 14:45:00 -
142:
名無しさん
「夜遊びで今春菜が話題やで笑!まぁヒカルにだけ教えるけどうちが書き込みして写メのせてん!うちがヒカルを一番にしたるからな」
「調べたって…どうやって?」「は?そんなん探偵使ったに決まってんやん笑。常識常識♪」
こいつ…頭おかしい…寒気がした。本気で恐くなった。2006-01-12 14:50:00 -
143:
◆8x8z91r9YM
ダメだ…平常心平常心!
話題を変えなきゃ。
「そろそろ出よっか…」そう言うと明美は時計を見て「本間やぁ!もうこんな時間…いこっか」そう言って会計した。2006-01-12 14:54:00 -
144:
◆8x8z91r9YM
休憩します。
書き込みよろしくっす2006-01-12 15:02:00 -
146:
名無しさん
ぉもしろぃ?
2006-01-12 17:45:00 -
147:
◆8x8z91r9YM
この事は黙っておくべきか…店長に相談すべきか…
この世界には、〔つきもの〕だよな…そんな事でミツルさんが潰されるわけない。これでつぶされたら例え本当の事だとしても所詮その程度。
うん。そうだ。そうだよな2006-01-12 17:45:00 -
148:
名無しさん
書いて((+_+))気になる(。・_・。)ノ
2006-01-12 17:52:00 -
149:
◆8x8z91r9YM
明美は三階フロアで飲む。一度一緒に席まで行くとヘルプが来て、二階のオフィスに行く。
オフィスにはNO2のリュウジさんが居て僕は挨拶した。
「おはようございます」「おぅ。おはよう…同伴か?」りゅうじさんは携帯をいじりながらそう言った。
「はい。明美さんです」「そうか…今月同伴頑張ってんな☆」2006-01-12 18:31:00 -
150:
◆8x8z91r9YM
「明美には気つけろよ」ぽんっ
ソファから立ち上がりそう言って僕の肩に手を置いてからリュウジさんがドアを開けてオフィスを出ようとした時「おぅっ!りゅうじぃ☆おっはぁ」ミツルさんが入ってきた。
「はよぉございまぁす」リュウジさんはそう言って店内に戻りオフィスに僕とミツルさんだけになった。2006-01-12 18:35:00