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1:
◆8x8z91r9YM
「一夜の夢見せます」
2006-01-11 00:11:00 -
101:
◆8x8z91r9YM
僕は初対面の人が苦手だ。それをすっかり忘れていた。
最初の一週間は特に話さなくても先輩達がいたから何とか乗り越えれた。僕の外見は女性受けするらしいからお客さんからも何か気に入られたりしていた。2006-01-12 08:47:00 -
102:
◆8x8z91r9YM
指名は今のとこ0。アキラは、新規二人から指名もらっていた。
僕より後に入ってきた新人はいなくて、今のとここの店で指名客がいないのは僕だけ…。よく考えてみれば僕女の人自体未確認飛行物体並みに理解できない。2006-01-12 08:51:00 -
103:
◆8x8z91r9YM
僕は何故かミツルさんの席によく付かせてもらった。ミツルさんは次から次へと話題が出てくるし、何といってもオーラがある。
どうやったらああなれんやろ…。先輩のいいとこを盗めと言われてもミツルさんと僕は真逆すぎる。
2006-01-12 08:56:00 -
104:
◆8x8z91r9YM
僕の最大の欠点が店長にばれるにはそう時間はかからなく、ついに僕が入店して三週間目にして雷を落とされた。
「お前なめとんかぁぁ?!」ガンッ!!テーブルを店長が蹴った。
店のオフィス。営業真っ最中の中僕は店長に呼ばれた。客からのクレームが立て続けに出ていたからだ。
理由は『つまらない』そんなん知らないってば…。。2006-01-12 09:01:00 -
105:
◆8x8z91r9YM
「仕事を何やと思ってんや?!入って三週間指名0おまけに酒弱くて、接客できへん?プロ意識あるんか?!お客さんの話題についてもいけず勉強しようともせんと金だけもらう気なんか?!」
「すいません」
僕がそう謝ると店長は台風が去った後のように静かになりタバコを吸いながらソファに座り髪をかきあげて僕にこう言った。
「やる気がないなら今すぐ辞めてくれ。悔しかったら数字だして売り上げあげろ…あと二週間で指名五人。無理ならくびだ」2006-01-12 09:09:00 -
106:
◆8x8z91r9YM
オフィスに店長と二人きり。
壁に貼ってある指名グラフを初めて気にした時ミツルさんの凄さがやっと分かった気がした。
少しだけ分かった気がした。2006-01-12 09:17:00 -
107:
◆8x8z91r9YM
祝い金なんて普通出ないらしいが、やっと祝い金の意味が分かった。
勉強するための金なんだ。
僕のこの店での余命二週間。逃げたくはなかった。もともとやり始めたらとことんいく性格。ぼくをやる気にさせたのは店長の「悔しかったら数字を出せ」という言葉。
やってやるよ。どうせならミツルさん抜かしてみせる。2006-01-12 09:23:00 -
108:
◆8x8z91r9YM
僕の中で火がついた。
もともとAB型特有のポーカーフェイス。やる気があっても分かってはもらえない。。影で頑張るしかないな
まずコンビニ行ってファッション雑誌を4冊買って寝る時間削り隅々まで読んだ。次はツタヤに行き流行の歌を借りまくった。心理学の本も買ったし血液型の本も買った。
店では、お客さんの付けてるアクセやブランドに注目した。2006-01-12 09:30:00 -
109:
◆8x8z91r9YM
自然とお客さんの誕生日や血液型や趣味、好きなアクセメーカー、ブランド、など細かくノートにまとめるようになった。
部屋にはってあるカレンダーに誕生日を記入するくせもついてきた。
思ったより『女』という生きものは理解しやすいなぁと思い始めた頃自分指名は五人を越えていた。2006-01-12 09:34:00 -
110:
◆8x8z91r9YM
二週間で指名20人。
これにはみんな驚いていた。そりゃ店長にもほめられたしアキラにもほめられた。
けど満足いかないんだよ。僕の目標は伝説のミツルさんを抜かす事。それだけなんだ。2006-01-12 09:38:00 -
111:
◆8x8z91r9YM
あの頃は必死だった。正直自分でもこんなにハマりこむなんて思わなかった。
寝る時間なんてほとんどなかったし給料のほとんど客への投資に使ってた。
なぁアキラ、本当の俺は誰よりも弱っちくて小さい奴なんだよ。ただポーカーフェイスなだけ。2006-01-12 09:46:00 -
112:
◆8x8z91r9YM
カチャ…カチャカチャ…
パソコン画面に7ホームページが映っていた。
2006-01-12 09:49:00 -
114:
◆8x8z91r9YM
ヒカルの何枚もの写真が画面に表れ、二枚目の写真を
カチッ
クリックした。
画面に大きくクリックされた写真が映る。。2006-01-12 10:14:00 -
115:
◆8x8z91r9YM
ピッピッピ…パシャ
「はい!OKでぇす!お疲れさまでしたぁ!」
月刊ホスト雑誌の撮影が終わった。2006-01-12 10:19:00 -
116:
◆8x8z91r9YM
入店して二ヵ月目、初めての雑誌撮影。「ありがとうございました」僕はカメラマンとアシスタントさんに頭を下げた。
「すいません。あのアンケート書いてもらってもよろしいですか?」アシスタントさんがそう言って僕に白い一枚の紙を差し出してきた。「…はい」受け取って用紙を見るとなんだか色々書き込みしなきゃだめみたいだ。
「書けるとこだけで構わないんで…」笑顔でそう言われ僕も笑顔で答えた。2006-01-12 10:24:00 -
117:
◆8x8z91r9YM
月刊ホストセブンアンケート
店名〔クラブ7〕名前〔ヒカル〕誕生日〔8月7日〕血液型〔AB〕型 出身地〔∞〕身長〔178〕?体重〔58〕? 好きな女性のタイプ〔∞〕趣味〔∞〕
僕はヒカルというもう一人の自分を不思議な人間にしたかった。まったく違う人間に。だから∞という文字を書いた。2006-01-12 10:34:00 -
118:
◆8x8z91r9YM
入店して二ヵ月。月売り上げ200万。ランキング13位。二ヵ月にしては異例の売り上げらしい。
ミツルさんの先月売り上げ2000万。全然かなわない…。ボックス数も多いから自然と売り上げは上がりやすくなるが、今の僕じゃまだまだだな…指名グラフが気になる日々。焦りすら僕からは感じれないそうだ。そんなにポーカーフェイスなのかなぁ。2006-01-12 10:42:00 -
119:
◆8x8z91r9YM
ミツルさんはほぼ毎日同伴してアフターをしていた。雑誌、テレビでひっぱりだこ。グラビアでかっこよく決めた顔が王座を物語る。
7ビルの吹き抜けになってるホールにミツルさんのポスターがでっかく貼られてあり凄さを更に物語る。2006-01-12 10:47:00 -
120:
◆8x8z91r9YM
いつか、僕もこうなるんだ!秘かに思っていた。
雑誌やポスターを見るたび仕事に熱が入る。
2006-01-12 10:54:00 -
121:
◆8x8z91r9YM
「初めまして!新人のミツルです!」
―――?!―――
オフィスで吸っていたタバコを思わず落として急いで拾った。2006-01-12 11:08:00 -
122:
◆8x8z91r9YM
俺の視界に入ってきたそこには似ても似付かない若い新人がキラキラした目をしながら真剣な顔で俺を見ていた。
憧れの眼差し…。「ヒカルさんと同じ店で働けるなんて感激です!」新人ミツルはそんな事を言った。
「ありがとう…よろしく…」2006-01-12 11:11:00 -
123:
◆8x8z91r9YM
オフィスに入ってきたアキラが俺と新人ミツルを見て笑った。
「おっ、ミツル今日から頑張れよ!チーフが呼んでたで?」アキラがそう言うとミツルは「はいっ!失礼します!」そう言ってオフィスを出ていった。2006-01-12 11:16:00 -
124:
◆8x8z91r9YM
「びっくりしたでぇ!名前」アキラが携帯をいじりながらそう言った。
俺はタバコを消し立ち上がってからアキラを見た。「誰が名前付けた?」そう言うと「ん?店長やろ?…期待されとんちゃうか?」そうアキラが答えた。
よりによってミツルさんの名前使うなんて…器が違いすぎるだろ…そう思いながら店内に戻った。2006-01-12 11:21:00 -
125:
◆8x8z91r9YM
俺の憧れて止まない人。
初恋に似たときめき、嫉妬。
俺がミツルさんに出会って半年で初めてミツルさんの弱い姿を見た。2006-01-12 11:38:00 -
126:
◆8x8z91r9YM
「おつかれさまでしたぁ!お先しつれいします」そう言って僕は店を出た。今日で半年がたった。一時程の勢いはないけどランキングとうとう五位になった。あともう少しだな。
そう考えながらビルを出て晴れた冬の朝の道を歩いていた。飲み屋帰りの女とホストが歩いていた。アフターかぁ…ごくろうさん…2006-01-12 11:45:00 -
127:
◆8x8z91r9YM
「あっ、7のヒカルやん!かっこいい」
通り過ぎた女二人が小さい声でそう言った。
最近になってやっと騒がれたりするようになった。気持ちがいいもんだな。…うん。雑誌のグラビアにも出るようになってちょっとはミツルさんに近づいたよなぁ。2006-01-12 11:49:00 -
129:
◆8x8z91r9YM
いつも行くコンビニにその日も行った。
何気なく飲料水売場である一人の大学生らしき女の子が
ドサドサッ…「きゃっ」僕とぶつかってカバンを落とした。女の子が落ちて床にちらばった物を急いで拾う姿に「あっ、すいません!」僕は慌てて床に転がった教科書やノートを拾って渡した。2006-01-12 13:19:00 -
130:
◆8x8z91r9YM
薄いメイクの女の子の目が合った。「すいません。ありがとうございました」控えめな笑顔で僕の手から教科書とノートを取りカバンに直して一礼してペットボトルのジュースを手に取りレジに行った。
なんかすっげぇ新鮮。。彼女から朝の匂いがした。僕は…夜の匂いがする…
これが彼女との出会いだった。2006-01-12 13:23:00 -
131:
◆8x8z91r9YM
ふと思えば恋愛…まったくしてない…。店と家の往復だなぁ。私服買ったのいつやろう…タクシーに乗りながら外を歩く人達をサングラス越しに見る。
仕事で必要な物にお金をかけてるけど、プライベートな時間にお金をかけていない。貯金をこつこつしているし実家に仕送りもしている。2006-01-12 13:28:00 -
132:
◆8x8z91r9YM
彼女…ほしいな。…ブランドとか興味ないさっきのコンビニにいた子みたいな人がいいなぁ…手料理食べたいなぁ…。
はぁ…。
ぼぉっと考えてる間僕の携帯は胸ポケットで絶えず震動しては止み、また震動の繰り返し。
ほっといてほしい時もあるのに…2006-01-12 13:35:00 -
133:
◆8x8z91r9YM
気付かないうちに、気持ちに余裕が少し出てきていて、プライベートの事まで考えれるようになった。
半年という間ひたすらに仕事の事だけ考えていた。ちょっとは成長できてんのやなぁ。
2006-01-12 13:48:00 -
134:
◆8x8z91r9YM
僕は北国で生まれた。
それを知ってるのは店長とオーナーくらいだ。
ヒカルという人間は出身はお客さんには神戸と言ってある。もちろん何を聞かれても答えれるように調べまくった。
まだ一度も足を運んだ事はないけど…そのうち行くよ…面倒だけどね。2006-01-12 14:03:00 -
135:
◆8x8z91r9YM
人から言われる
――綺麗な顔――
鏡に映る自分の顔をじぃっと見て変な顔をして自分で吹き出した。「はははっ!」こんな姿絶対見せれないよな。客は僕の便したりする姿が想像できないらしい。普通にしますよ。2006-01-12 14:06:00 -
136:
◆8x8z91r9YM
作り上げたヒカルという人間から、
芹沢 海―せりざわ うみ―という人間に変わる。芹沢海は、面倒くさがりで人に興味があまりない。寝るのが大好き。2006-01-12 14:10:00 -
137:
名無しさん
ヒカルという人間は
妖艶に微笑み目を見つめるのが得意。
女心をよくわかっていて、物知りだけど嫌味がない。オーダーした香水はヒカルに変身するための道具。
芹沢海は、面倒臭がり。その一言でまとめれる。2006-01-12 14:17:00 -
138:
◆8x8z91r9YM
分かってる、一息つく時間作るべきだって。
本当の僕を見てくれる誰かがいなくて気貼りっぱなしじゃいつかヒカルに居場所とられて、芹沢海がいなくなってしまうって。
そうはなりたくないんだ。2006-01-12 14:27:00 -
139:
◆8x8z91r9YM
「ヒカル?どないしたん?」寿司屋のカウンター。客と食事中僕はついぼぉっとしてしまった…いかんいかん!ヒカルヒカルヒカルヒカル!!気持ちを切り替えてお客の顔を見て「うまいなぁ」そう言うと客は微笑んだ。2006-01-12 14:34:00 -
140:
◆8x8z91r9YM
この客明美はもともとはミツルさん口座。僕口座になってから一ヵ月が経った。チーフいわくホスト狂いらしい。ソープで働きホストに貢のが好きらしい。
「そうや!ヒカルに教えたるわ!ミツルの事」耳元で明美は得意気にそう言った。「いいよ…そういうのは人に言っちゃだめやで?」僕からの制止を聞こうとせず明美は
「ミツルなぁ春菜って彼女おんねん」そう言って酒を飲んだ。僕は驚いて明美の顔を見た。2006-01-12 14:41:00 -
141:
◆8x8z91r9YM
「え?春菜?」僕はつい聞き返してしまった。
「そやで、大学生のお嬢さん☆調べて分かったんやけどな、ヒカル知らんかったん…って店則で決まってるしミツル自分の事隠すタイプやもんな、分かるわけないか」2006-01-12 14:45:00 -
142:
名無しさん
「夜遊びで今春菜が話題やで笑!まぁヒカルにだけ教えるけどうちが書き込みして写メのせてん!うちがヒカルを一番にしたるからな」
「調べたって…どうやって?」「は?そんなん探偵使ったに決まってんやん笑。常識常識♪」
こいつ…頭おかしい…寒気がした。本気で恐くなった。2006-01-12 14:50:00 -
143:
◆8x8z91r9YM
ダメだ…平常心平常心!
話題を変えなきゃ。
「そろそろ出よっか…」そう言うと明美は時計を見て「本間やぁ!もうこんな時間…いこっか」そう言って会計した。2006-01-12 14:54:00 -
144:
◆8x8z91r9YM
休憩します。
書き込みよろしくっす2006-01-12 15:02:00 -
146:
名無しさん
ぉもしろぃ?
2006-01-12 17:45:00 -
147:
◆8x8z91r9YM
この事は黙っておくべきか…店長に相談すべきか…
この世界には、〔つきもの〕だよな…そんな事でミツルさんが潰されるわけない。これでつぶされたら例え本当の事だとしても所詮その程度。
うん。そうだ。そうだよな2006-01-12 17:45:00 -
148:
名無しさん
書いて((+_+))気になる(。・_・。)ノ
2006-01-12 17:52:00 -
149:
◆8x8z91r9YM
明美は三階フロアで飲む。一度一緒に席まで行くとヘルプが来て、二階のオフィスに行く。
オフィスにはNO2のリュウジさんが居て僕は挨拶した。
「おはようございます」「おぅ。おはよう…同伴か?」りゅうじさんは携帯をいじりながらそう言った。
「はい。明美さんです」「そうか…今月同伴頑張ってんな☆」2006-01-12 18:31:00 -
150:
◆8x8z91r9YM
「明美には気つけろよ」ぽんっ
ソファから立ち上がりそう言って僕の肩に手を置いてからリュウジさんがドアを開けてオフィスを出ようとした時「おぅっ!りゅうじぃ☆おっはぁ」ミツルさんが入ってきた。
「はよぉございまぁす」リュウジさんはそう言って店内に戻りオフィスに僕とミツルさんだけになった。2006-01-12 18:35:00 -
151:
◆8x8z91r9YM
「おはようございます」ミツルさんに挨拶するとミツルさんは笑顔で「おぅっ!おはよう☆久々やなぁ話すんの」そう言いながらロッカーにミツルさんはコートとサングラス、エルメスのカバンを入れてから香水をふった。
やっぱかっこいいなぁ。華があるよな。
「はい。あの…ミツルさん…」僕がそう言うと鍵をかけた後ソファに座ったミツルさんが「ん?…何?」そう言った。2006-01-12 18:40:00 -
152:
◆8x8z91r9YM
「明美さん…の事で」「ん?明美の事?あぁ口座変えしてはったなぁ☆何?お前気にしてたんか?」
タバコを吸いながらそう言って笑った。
「そんな事いちいち気にしてたらなぁ仕事やってられへんぞぉ笑!気にすんな気にすんな笑☆」カチャ
チーフが入ってきた「ヒカル!早く三階に行け」そう言ってドアをしめた。2006-01-12 19:08:00 -
153:
◆8x8z91r9YM
そう言われ僕がオフィスを出ようとした時。
「お前はいずれ俺より遥かにすごくなる…客が口座お前にするのなら俺は本望や」ミツルさんがそう言った。
「えっ?」振り返った時ミツルさんの横顔が淋しそうに見えた。2006-01-12 20:16:00 -
154:
◆8x8z91r9YM
王座を譲る時期はそう遠くない。
ミツルさんはあの時確信したんやと思う。
夜遊びの一件でつぶされたんじゃなく、俺に注目しはじめた雑誌やテレビ。そう…いつまでも華麗に咲き続けてはいけない。2006-01-12 20:22:00 -
155:
◆8x8z91r9YM
ホスト雑誌だけじゃなく、ファッション雑誌にまで出ていたりもした。
僕が入店したのはその後。だから直接ものすごさを知らないけど、店のオフィスにある雑誌や、入店三ヶ月までレンタルされるスーツを見れば何となくは分かる。2006-01-12 20:32:00 -
157:
◆8x8z91r9YM
あの日は三月月末なのに雪が降った。さらさらの粉雪。
入店して7ヵ月。とうとう俺はトップになった。2006-01-12 20:40:00 -
158:
◆8x8z91r9YM
売り上げ俺2500万 ミツルさん2000万。
俺はうれしかった。店長からほめられた。ミツルさんからもほめてもらえた。
けど、別れもおとずれた。2006-01-12 20:44:00 -
159:
◆8x8z91r9YM
オーナーが花束を持って二階店内に入ってきた。店内にいたホストも役職もボーイも総立ち。オーナーを見たのは二度目だった。
店内に緊張がはしる。
一体何が始まるんだ?2006-01-12 20:47:00 -
160:
◆8x8z91r9YM
「みんな今月もよう働いてくれたなぁ!ごくろうさん。おっ、ヒカル一位おめでとさん!ははっ」周りから拍手され俺はオーナーに一礼した。
「ミツルもおつかれさんやったな…ほれ、受け取れ」オーナーからミツルさんにでっかい花束が渡された。何で花束なんやろ?2006-01-12 20:52:00 -
161:
◆8x8z91r9YM
「みんなミツルは今日で7を辞める」
―――?!―――
オーナーの言葉に動揺する従業員。役職の人達はうなずいていた。2006-01-12 20:55:00 -
162:
◆8x8z91r9YM
「ミツル…今まで本間によう頑張ってくれたな…お前は俺の自慢やし誇れる人間や…」オーナーが優しく微笑みミツルさんの肩に手を置くと、あのミツルさんが涙を流し「5年間本当にお世話になりました!」深く頭を下げた。それにつられ涙を流す従業員がつぎつぎに拍手しだした。
2006-01-12 21:00:00 -
164:
◆8x8z91r9YM
俺は…俺には…やっと掴めたと思った地位がこの指からするりと涙も誘わず擦り抜けていく…そんな気がした。
ミツルさんから握手され「今日からお前がうちの看板だ」そう言われた。たかが半年たらずの俺が「看板」?3年間ずっと2位だったリュウジさんはどうなるんだよ? ふと視線を感じて見てみるとリュウジさんと目が合った
恨みのこもった目。2006-01-12 22:58:00 -
165:
◆8x8z91r9YM
そう
本当の王座に座る大変さはあの瞬間から始まった。
全てが始まった。2006-01-12 23:01:00 -
166:
◆8x8z91r9YM
その日の夜、夜遊びサイトがパンクしたらしい。
告知もせず、辞めたミツルさんの話題。
それは俺も正直不思議だった。普通前もって告知して最後はぱぁっとパーティするもんだとばかり思っていた。
ミツルさんは嵐のように突然現われ伝説をつくり、幻のようにキラキラしたまま7から姿を消した。2006-01-12 23:06:00 -
167:
◆8x8z91r9YM
明美さんは自分がミツルさんを潰したと自慢気に話していたが、そんなわけはあるわけがない。
ばかばかしすぎて真剣に聞いてられへん。
ミツルさんの大量の口座客は見事に散らばった。俺口座になった客もいればリュウジさんやふみやさん口座にした客もいるし、他の店に流れた客もいた。2006-01-12 23:10:00 -
168:
◆8x8z91r9YM
俺は、いきなり消えた目標。
正直腑抜けした。入り口に貼られるランキングの一位の所に妖艶に微笑む自分を見てもしっくりこない。
ビルの中の吹き抜けにかけられた巨大ポスターはすぐに撤去されたみたいで何だか心に穴があいたみたいだった。2006-01-12 23:15:00 -
169:
◆8x8z91r9YM
オフィスのロッカーも指名グラフからも『ミツル』という名前がなくなり、ミツルさんがよく座っていたオフィスのソファは冷たくただそこにあった。
俺…何やってんやろ。2006-01-12 23:20:00 -
170:
◆8x8z91r9YM
なぁ、ヒカル?
お前本間に俺をぬいたな!2006-01-12 23:23:00 -
171:
◆8x8z91r9YM
昼間のホスト街。7ビルの前で立ち止まるスーツ姿の男がいた。
「裕二?どうしたの?」女が振り返り男の元へ駆け寄ると男は微笑み「ほら、ここが7ビル!春菜初めて見るやろ?」指差した。
目の前にどかんと立ち構える7ビルを見上げ春菜は
「うん!初めて!へぇすごいやん!ここで裕二一番やったんやなぁ」そう言うと裕二が笑った。
「そう!伝説のホスト、ミツル!ははっ」2006-01-12 23:30:00 -
172:
◆8x8z91r9YM
【MITSURU STORY】ENTER?
YES2006-01-12 23:33:00 -
173:
名無しさん
「はぁ?日本初?俺そ〜いうの興味ないんで」土曜の夜の三の宮のショットバーでいきなり黒スーツ二人に声かけられた。
「興味なくていいから一度見て決めてくれ!ビルは大阪にあるから迎えに来させるし」名刺を渡された。
桜井若。わか?変な名前やな笑!
これがオーナーとの出会いやった。2006-01-13 00:09:00 -
174:
◆8x8z91r9YM
黒服二人去った後、連れが俺のもとに来た。
「何あいつら?これもんか?」「いや…何か来月からオープンするクラブの従業員をスカウトしにわざわざ大阪から神戸にきたらしい」名刺を破ろうとしたけど、何かジーパンの後ろポケットに入れた。2006-01-13 00:13:00 -
175:
◆8x8z91r9YM
ホストなんて俺には向いてない。第一ばばぁとやらなあかんのやろ?
無理!どついてまいそうやわ。しかもただでさえチャラチャラしとんのにや、仕事までチャラチャラ…って俺今何もしとらんやんけ仕事。2006-01-13 00:15:00 -
176:
◆8x8z91r9YM
何しても長く続かない。気付けば中卒。職歴パチンコ。って職歴ちゃうやんけ!女は好きやけどデブとぶっ細工は嫌い。ふらふらしながら、もう二十歳になってもた。お先真っ暗。今日が大事。ははっ、俺ってきもっ
2006-01-13 00:23:00 -
177:
◆8x8z91r9YM
朝方家に帰る。俺ん家団地。
オカンは、朝っぱらからガミガミ俺にどなってきたから壁パンチ!あ〜あ。また壁に穴あいてもた。きったねぇ。鏡に映る自分の顔。自分で脱色した髪に、あごにはひげ生やして、黒い肌。う〜んサーファー!2006-01-13 00:28:00 -
178:
名無しさん
ジーパンのポケットから名刺を出して布団に寝転がりながら名刺を眺める。
…ホストねぇ…日本初ねぇ…ビル全部が店で…来月オープン…大阪の寮…う〜ん
寝よっ!2006-01-13 00:33:00 -
179:
名無しさん
「でっかぁぁ!!」お迎えのベンツにもびびったが、ビルの外観にもびびった。「白いし!」俺がビルの外で叫んでると迎えに来てくれた、セバスチャン←俺が今つけた名前。がくすくす笑いながら「さぁ、中入りましょう」そう行って俺をビルの中に入れた。2006-01-13 00:46:00 -
180:
◆8x8z91r9YM
そう。結局来てしまった。電話先でオーナーはなんだか喜んでいた。俺ごときに喜ぶ意味が全く分からない。
ビルは新しい匂いがした。何かわくわくする。このビルの中で働きたくなってきたぜ!2006-01-13 00:49:00 -
181:
◆8x8z91r9YM
チ〜ン。
二階に付いた。うおっ!何かテレビで見たことあるようなでっかい扉やんけ!エレベーターを降りて扉の前まで行くとセバスチャンがばかデカイ扉を開けた。俺、シンデレ〜ラ?!2006-01-13 00:55:00 -
182:
◆8x8z91r9YM
真っ白なばかデカイ部屋の真ん中にオーナーと男前が二人いた。
「どうぞ」セバスチャンがそう言う。俺は真っ白な中に入っていく。そしてそこにいる男前二人と目が合う。2006-01-13 00:58:00 -
183:
名無しさん
なぁ、ヒカル
お前の名前決めたのには理由があったんやぞ。
ヒカルって名前の理由。
2006-01-13 01:06:00 -
185:
名無しさん
ぉもしろぃですね♪これからもどん?書いちゃってくださぃ☆続きが早く読みたいでぇす〇(*≧∀*)ο
2006-01-13 02:02:00 -
186:
名無しさん
ミツルがL|なくなった時こっちまで寂∪くなリまし+ニ(;_;)読んでるので頑張って下さL|☆★
2006-01-13 02:28:00 -
187:
???
読んでます??
あんまり書き込みすると読む時邪魔になるかなって思って…?完結までぜーったい読むんで頑張って下さいね?楽しみにしてます? 今一番はまってます???2006-01-13 03:30:00 -
188:
あや
カナリ好きです???
2006-01-13 03:33:00 -
189:
名無しさん
へたやなー…
2006-01-13 03:41:00 -
190:
名無しさん
続き楽しみ?
頑張って最後まで書いてね(p′V`★)2006-01-13 03:45:00 -
191:
?紫乃?
毎日読ませてもらってます??完全にハマってます??場面背景が浮かんで来るのがよく分かります?頑張って下さいッッ??
2006-01-13 07:07:00 -
192:
◆8x8z91r9YM
「来月のオープンまで今日から研修するから、とにかくこのノートとこの研修本を毎日持って来てきっちり頭に叩きこむこと!」入店が決まった次の日俺は大阪にある寮に引っ越した。
寮って言ってもごっついマンション。オーナーの所有するマンションらしく地方から来た100人近い奴が住むらしい。マンションの門前に警備員二人、門をくぐるなんかごっつい庭と噴水。そして一階がごっつい広いロビーになっとって、二階にジム、三階事務所。
ってかさぁこんな男前ばっかりよう集めたなぁ…。俺いっちゃんぷ〜やんけ。2006-01-13 11:54:00 -
193:
◆8x8z91r9YM
「今ここ二階フロアにいるのは50人。地方や神戸東京からオーナーや私黒川が、スカウトした素人。三階に50人地方で売れてたホスト。四階に20人。ここ大阪で売れてたホスト。全部で120人!同じように研修するからよろしく」えぇっ?!ひゃっひゃっ120人?!おっとこまえが?!
俺絶対指名なんか無理やん。2006-01-13 12:07:00 -
194:
◆8x8z91r9YM
研修本とやらをぺらぺらめくってみてびびった。
これホストちゃうでぇ!学校?!字ばっかやん( ̄□ ̄;)!!わぁぁぁ!
めくってもめくっても字まみれ。最初にオーナーの歴史みたいなんが書いてあって芸能界やあらゆる業界と交流してるらしくなんかごっつい人やって事がわかった。
勉強嫌いやのになぁ〜今から一ヵ月近く研修かよ…はぁ。2006-01-13 12:13:00 -
195:
◆8x8z91r9YM
なんか店長さんとやらが、ひたすらべらべらしゃべっていて、おきょうに聞こえてきたぁぁ。
「はぁ…」ため息をついたのは俺じゃなく隣に座ってる奴。
そいつと目が合った。
そう、それがヒカルや。のちに俺と売り上げ競う事になる奴!ははっ☆なっつかすぃ〜2006-01-13 12:17:00 -
196:
◆8x8z91r9YM
一時間程何か店長がひたすら、話して、その後一時間研修本を読む時間と自由時間が設けられ、俺は隣にいたため息ついた奴に話し掛けた。
「どっから来たんすか?」「俺?東京だけど…そっちは?」何か俺とは雰囲気全くちがうくて、綺麗な顔してる
「神戸です☆あっ、ミツルって名前なんで!二十歳です!よろしく!」俺がそういうとそいつは微笑み
「同じ年☆俺ヒカルです!よろしく」俺とヒカルは握手した!かっかっかっけぇぇぇ!かっこよすぎぃ!2006-01-13 12:25:00 -
197:
◆8x8z91r9YM
その後いろんな奴と仲良くなり知らないうちに10人くらいでわいわい話したりしていた。みんな男前!身長だってみんなほぼ180近くある。
研修本は遊び半分で適当に目を通した程度。へへっ☆
その日はとりあえず顔合わせ程度で夕方まで店にいて寮に帰った。店から少し離れた所にあって送迎車が何台も何人かずつ積んでマンションまで送ってくれた。2006-01-13 12:34:00 -
198:
名無しさん
研修の間は朝晩食事付き。マンション八階の食堂というかレストランみたいな店で決められたメニューを食べるらしい。昼は店で出される弁当だってよ。
このマンションごっつすぎ!
あっ、九階はスーツ屋とエステがあり、エステ入店三ヶ月まで無料。脱毛とかもやってるらしい。
食事は栄養を考えたメニューが出されとにかく飲み物は水。朝はココア。甘いのが嫌いな奴は水。2006-01-13 12:43:00 -
199:
◆8x8z91r9YM
次の日から10人ずつグループを決められ研修がはじまった。
人間ドックにもいきました。
俺の自慢のヒゲは見事に剃り落とされ、髪は栗色に染められ何か雑誌に出てくる流行りの髪型にされ、眉毛も髪の色に合わせ染められた。爪はエステできれいに整えられ日が経つにつれなんだか俺は男前みたいになってきた。2006-01-13 12:48:00 -
200:
◆8x8z91r9YM
毎日二時間ジムで運動もさせられ、わっけのわからん女性雑誌や心理学の本とかも読まされた。
話し方の特訓、接客の心得、おしぼりの渡し方、あっ、歯医者にも通わされた。親不知ぬいたで!虫歯も治した!2006-01-13 12:52:00