小説掲示板3Ldkの城・?のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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3Ldkの城・?

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  • 1:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ?は、↓です。
    http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-5

    2005-12-19 14:05:00
  • 2:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「俺、寄るとこあるから‥先帰っといて」
    2人の握手を穏やかに眺め、陽平は笑顔で手を振った。
    「え、夕飯食べるやろ?」
    花は、彼にあわてて声をかける。

    2005-12-19 14:12:00
  • 3:

    名無しさん

    は?なんでなん

    2005-12-19 14:15:00
  • 4:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「おう!豪勢に作っといてや。すぐ帰るから!」
    陽平は2人に明るく答え、駅の方向へと走っていった。
    残された花と千草は、たわいない会話を繰り返しながら‥帰宅する。
    陽平が帰ってきたのは、夕飯を作り終えた頃。

    2005-12-19 14:15:00
  • 5:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    2005-12-19 14:16:00
  • 6:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    テーブルに並べた料理を前に、陽平は千草に小さな紙袋を手渡した。
    千草は、頭にはてなを浮かべ‥中を確かめる。
    そして、中を出さずに彼を見上げた。
    陽平は、ニコリとほほえむ。

    2005-12-19 14:19:00
  • 7:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    袋から出てきたのは、水色のリボンを通した‥家の鍵。
    花は、それを見て‥笑みをこぼした。自分のことのように喜ぶ彼女に、千草は熱い視線を送る。
    そのときの陽平は、彼の花に対する気持ちを薄々‥感じていた。
    だが、2人を心から受け入れることで‥不安をもみ消していた。

    2005-12-19 14:24:00
  • 8:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【つづく】

    2005-12-19 14:26:00
  • 9:

    名無しさん

    >>3さん、1000いってないのになんで?なん?て疑問やったら、なんか1000いったら倉庫行きって事を教えてくれた人がおって主さんはそれを心配して1000いく前に新たに?を出したと思われます。>>3さん勘違いやったらごめんなさい。 m(__)m

    2005-12-19 16:13:00
  • 10:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    >>9さん説明ありがとうo(_ _*)o

    2005-12-20 00:11:00
  • 11:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    狭い玄関の靴箱の上に飾られた‥鍵かけの板。
    そこには、黄色と赤色と‥水色のリボンが信号のように並べられている。
    同じ鍵が‥3つ。
    3LDKの部屋、ここは‥たった1つの居場所。

    2005-12-20 00:18:00
  • 12:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「おい!何してんなよ?主役が来な、始まらんやんか」
    リビングから、呼びかけてくる陽平。
    「電気消す方がいい?」
    ジュースのペットボトルをリビングに運びながら、陽平に問いかけている千草。

    2005-12-20 00:25:00
  • 13:

    杏子

    これからどうなってくんかめちゃ楽しみ??主さん頑張ってねっ?

    2005-12-20 00:29:00
  • 14:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ジャージ姿にお団子頭の花は、鍵かけから彼らに視線を移し‥微笑んだ。
    そして、リビングの電気がパッと消される。同時に、テーブル上でローソクの火が灯り出す。

    ‥そう、今日は花の誕生日。

    2005-12-20 00:33:00
  • 15:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    杏子さんありがとう。頑張りますo(_ _*)o

    2005-12-20 00:34:00
  • 16:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「誕生日おめでとう!!」
    暗い部屋に‥ほのかな灯り。テーブルいっぱいに飾った料理を前に、2人は花を祝う。
    花は、照れくさそうに口元を緩ませ‥ローソクに向けて息を吹く。
    真っ暗になった部屋を確認し、拍手と共に‥電気がつけられる。花は、2人の笑顔の中で‥22歳を迎えた。

    2005-12-20 00:43:00
  • 17:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「やっと、花も22かぁ。俺は夏生まれやからなぁ」
    ケーキに刺さったままのローソクを抜き取り、千草は花に微笑んだ。
    「もう、段々‥歳とってくわぁ」
    彼女は、不満げな言葉を並べながら‥情けなく笑った。

    2005-12-20 00:49:00
  • 18:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「陽平はいつ?もう終わったん?」
    「‥俺は、来月。3月31日」
    「うっわ、めっちゃキワやん!」
    料理を食しながら‥流れていく2人の会話に、花は嬉しそうにケーキを切っていた。

    2005-12-20 00:52:00
  • 19:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    なぜなら、今日は‥母親の命日やから。
    病気持ちの母親は、あたしを産むと同時に‥命を落とした。
    そんな日を、父親は祝ってくれるはずがない。
    毎年‥誕生日には、たくさんの親戚が家に訪れ、仏壇に手を合わす。

    2005-12-20 01:00:00
  • 20:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥誰も祝ってくれない。
    誰も、あたしを見ない。
    みんな‥真剣な顔で、用を済ませば帰っていく。
    だから、あたしには“誕生日”なんて‥なかった。

    2005-12-20 01:03:00
  • 21:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「はい、主役っ」
    皿に移したケーキの上に、板チョコを乗せる陽平の手。
    “はなちゃん お誕生日おめでとう”
    花は、陽平に満面の笑みを見せた。

    2005-12-20 01:06:00
  • 22:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    板チョコに書かれたメッセージが、自分の存在を認めてくれている。
    この暖かい空気が、生まれてきたことを‥受け入れてくれている。
    花は、嬉しかった。
    初めて、自分の出生を喜ぶことが出来た。

    2005-12-20 01:10:00
  • 23:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    微笑み合う2人を静かに見上げる千草は、気をそらすかのように‥夢中で料理を頬張っていく。
    ‥イライラする光景。
    「板チョコ食べるん‥勿体無いなぁ」
    「いらんやったら、食ったろか?」

    2005-12-20 01:16:00
  • 24:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「あかん!最後にゆっくり食べるんやから!」
    気まずさも無くなり、2人は再びジャレ合うようになった。
    千草は、黙々と口に料理を放り込んでいく。
    2人は、そんな彼の空気さえも気づかない。

    2005-12-20 01:22:00
  • 25:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    すると、千草の側にある包み紙に‥陽平の手が伸びてくる。
    「これ、俺と千草から」
    陽平は、2人で選んだプレゼントを花に手渡した。
    千草の表情が、次第に曇り出す。

    2005-12-20 01:24:00
  • 26:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「わぁ!ネックレス!?」
    花は、これ以上ないというかのような笑顔で‥チェーンを手に取った。
    「俺ら2人共、一応トップを争う営業マンやしな」
    得意げな口調で囁く陽平。

    2005-12-20 01:29:00
  • 27:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「ありがとうな!2人共っ」
    花は、ネックレスを首に飾りながら‥笑いかけてくる。
    千草は、イライラした顔を瞬時に消し‥彼女に合わせる。
    しかし、不満は募るばかり‥。

    2005-12-20 01:33:00
  • 28:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「はぁー!食った食った!」
    あんなにも沢山あった料理は、すべて綺麗に無くなった。
    花は、空いた皿を集め‥その場を立ち上がろうとする。
    千草は、彼女の代わりを勤めようと思い‥口を開きかける。

    2005-12-20 01:36:00
  • 29:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「あ、俺洗うで」
    その言葉は、先に陽平が声に出す。
    千草は、開きかけた唇をキュッと閉じた。
    「あ、洗うよ」

    2005-12-20 01:39:00
  • 30:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「えぇって!お前は主役なんやから」
    遠慮する彼女の手から、皿を奪い‥立ち上がる彼。
    千草の眉は、みるみると歪んでいく。

    2005-12-20 01:42:00
  • 31:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    シンクの前に立ち‥蛇口をひねる彼を、そわそわしながら‥眺める彼女。
    千草は、そんな2人の姿に耐えられず‥口を開いた。

    ‥誕生日やから、困らせたくなかったけど。

    2005-12-20 01:45:00
  • 32:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「俺、花のこと‥冗談抜きで好きになった」
    ‥それは、最近‥気づいた気持ち。
    千草は、2人の背中に向けて‥声を張り上げる。

    2005-12-20 01:48:00
  • 33:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    汚いことばかりしてきた俺を、花は‥受け入れてくれた。
    こんな俺と、ちゃんと向き合ってくれる女。
    最初は、どうでも良かった。
    どっちかって言うたら、うざい存在。

    2005-12-20 01:52:00
  • 34:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    “挫折も知らんくせに、へらへらと笑いやがって”って。
    陽平と“幼なじみごっこ”を楽しんでる‥バカな女。
    そう思っていた。
    でも、実際は‥孤独を知ってて。俺よりも、つらい経験してて。

    2005-12-20 01:56:00
  • 35:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    強い女だった。
    守りたいと思った。

    いつの間にか‥愛してほしいと思ってた。

    2005-12-20 01:58:00
  • 36:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    突然の告白に、2人は体を凍らせた。
    時間が止まったかのように、2人共‥振り返らない。
    千草は、真っ直ぐ彼女の背中を見つめる。
    ‥耳にはいるのは、蛇口から流れていく水の音だけ。

    2005-12-20 02:02:00
  • 37:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【つづく】

    2005-12-20 02:03:00
  • 38:

    名無しさん

    2005-12-20 02:51:00
  • 39:

    名無しさん

    >12-40

    2005-12-20 02:52:00
  • 40:

    名無しさん

    2005-12-20 02:53:00
  • 41:
    2005-12-20 03:46:00
  • 42:

    名無しさん

    頑張ってください。

    2005-12-20 20:14:00
  • 43:

    名無しさん

    2005-12-21 00:51:00
  • 44:

    名無しさん

    2005-12-21 03:46:00
  • 45:

    名無しさん

    長い 完結まだ ?

    2005-12-21 05:07:00
  • 46:

    >>46
    そんな事言いなや!!ウチらが読むために書いてくれてはるんやから!!

    芽衣さんへ
    初めて書き込みします。?突入ですね(^o^)
    書き込み控えた方が良いのは、私も小説書いてたんでわかりますが、応援したくてつい書いちゃいました(笑)
    完結目指して頑張って下さい☆★

    2005-12-21 07:27:00
  • 47:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    読んでくださったり、応援の言葉ありがとうございます。
    ほんま励まされますo(_ _*)o

    2005-12-21 12:00:00
  • 48:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE


    “花のこと‥冗談抜きで好きになった”

    それは、勢いよく流れる水の音に絡まった台詞‥。

    2005-12-21 12:03:00
  • 49:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    突然の告白に、花と陽平は黙ったまま‥動けない。
    花は、頭が真っ白になっていた。
    ‥これって、あたし‥告られてる?
    脳内は混乱し‥開いた口が塞がらない。

    2005-12-21 12:05:00
  • 50:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草があたしを‥?
    水を流しっぱなしにした陽平の背中を眺めながら、ツバをゴクリと飲み込む。
    「陽平、俺‥本気や。お前は、どうなんよ?」
    後ろにいる千草が、前に立つ彼に問いただす。

    2005-12-21 12:10:00
  • 51:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    その言葉で、陽平の体はやっと動き出す。
    「‥どうなんよって、」

    2005-12-21 12:11:00
  • 52:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    その言葉で、陽平の体はやっと動き出す。
    「‥どうなんよって、何が?」
    スポンジで皿を洗いながら、平然と答える彼。
    千草はまっすぐ彼を見つめ、もう一度声を出す。

    2005-12-21 12:13:00
  • 53:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ※52は間違えて打ちました。

    2005-12-21 12:13:00
  • 54:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「花のこと‥好きなんやろ?でも、俺‥引く気ないから」
    やっと見つけた‥女を、簡単にあきらめたくない。例え、2人が両思いやったとしても‥。
    千草は、強い思いを堂々と口にする。
    陽平は、まだ背中を向けたまま。

    2005-12-21 12:17:00
  • 55:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    何も答えない彼に、千草はしつこく聞き続けようとした。
    すると、その時‥陽平は振り返る。
    2人の目に映る‥陽平は、毅然とした態度で微笑んでいた。
    「好きやよ」

    2005-12-21 12:20:00
  • 56:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ニッコリと笑いながら囁く。
    その4文字の台詞に、花の胸は大きく波を打つ。
    千草は、険しい表情で彼を眺めた。
    だが、陽平は続けて言った。

    2005-12-21 12:23:00
  • 57:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「幼なじみとして」
    平然と言いきる彼に、花は静かに視線をおとしていく。
    「‥じゃあ、俺は好きにさしてもらうで」
    彼の姿から目を放さず、千草は強い口調で言葉を吐いた。

    2005-12-21 12:30:00
  • 58:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「好きにしたら」
    再度‥シンクに向かい、陽平は皿を洗い出す。
    花の眉間は、深く歪みを見せていく。
    数秒間の‥沈黙。
    千草は、視界を彼から花へ移した。

    2005-12-21 12:35:00
  • 59:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥花っ」
    真剣な声で、彼女の名を呼ぶ。
    花は、肩に力を入れて‥ゆっくりと振り返った。
    陽平は、黙々と皿を洗い流している。

    2005-12-21 12:38:00
  • 60:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「誕生日やのに、困らせて‥ごめんな。でも、軽い気持ちじゃなく‥マジで好きやから」
    瞳を逸らすことなく、千草は彼女を熱く見つめる。
    花は、緩んだ唇をきつく噛んだ。
    「返事はまだいらん。これからの俺みて‥考えて」

    2005-12-21 12:44:00
  • 61:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    そう言って、千草は自分の部屋へと入っていった。

    残された花は、陽平を横目にその場を離れようとした。
    「花、何かあったら‥言えよ」

    2005-12-21 12:46:00
  • 62:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    陽平は、ドアノブに手を伸ばす彼女に声をかける。
    花は、何も答えず‥部屋へと入った。
    蛇口をキュッと閉め、陽平はため息をついた。
    こらえる思いを表すかのように、濡れた手は強くシンクを掴んでいた。

    2005-12-21 12:51:00
  • 63:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、部屋の電気もつけずに‥布団に寝転がった。
    そして、目元に置いた腕を‥ゆっくりと剥がしていく。
    暗い視界に、ぼんやりと広がる天井。
    千草は、まぶたを閉じた。

    2005-12-21 12:55:00
  • 64:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥陽平は、気持ちを誤魔化してる。でも、俺はわざと‥それを鵜呑みにした。
    ‥遠慮なんか、絶対したくない。素直に引き下がるほど、適当な気持ちじゃないし。
    やっと見つけた女や。遠慮なんかして、手放したくない。
    絶対、花がほしい。

    2005-12-21 13:00:00
  • 65:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、どうしても花を手に入れたかった。
    陽平が本音を言っていないことも、花が困っていることも、全て気づいている。
    でも、遠慮なんかしたくない。
    枕元に置いていた煙草に手を伸ばし、千草は気持ちを落ち着つかせようとしていた。

    2005-12-21 13:05:00
  • 66:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    一方、花は部屋のテーブルに頬をつけ‥瞳を閉じていた。
    冷たい感覚が、混乱を溶かしていく。
    深いため息が漏れていく。
    花は、捨てきれない思いに胸を苦しめていた。

    2005-12-21 13:09:00
  • 67:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    “幼なじみとして”
    陽平の言葉が‥つらかった。
    やっぱり、あたしたちは‥それ以上へは進めない。
    期待なんか‥してなかった。

    2005-12-21 13:12:00
  • 68:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥解ってた。
    でも、なんでやろ。
    「なんで‥泣いてんやろ」
    テーブルへと流れていく‥一筋の涙が、本音を知らせていた。

    2005-12-21 13:15:00
  • 69:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥消したつもりやった。陽平への想いは、捨てたつもりやった。
    でも、消えてない。‥捨ててなかった。
    あたしは、陽平の優しさや笑顔に期待をしてた。
    こんな気持ちに気づいても、何か変わるわけでもない。

    2005-12-21 13:20:00
  • 70:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、首にかけたネックレスを手のひらで包み‥息を漏らした。
    こらえても‥こらえても、溢れ出す気持ちは粒へと化して‥頬に水たまりを作る。
    花は、声を小さく震わせながら‥泣いた。
    【つづく】

    2005-12-21 13:25:00
  • 71:
    2005-12-21 14:16:00
  • 72:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    10代の時は、22歳って‥もっと大人やと思ってた。

    2005-12-21 17:44:00
  • 73:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「あああーっ!めっちゃ可愛いっ!」
    翌朝‥ロッカーの前でネックレスを外していると、リンリンがパタパタと駆け寄ってくる。
    「誰かにもらったんですかぁ?」
    チェーンに飾られた“ダイヤの花”を手に取り‥うらやましそうに問いかけてくる。

    2005-12-21 17:48:00
  • 74:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥あぁ。同居人の2人から」
    花は、ネックレスを眺め‥ポツリと呟いた。
    ダイヤで作られた花ビラは、きっと‥あたしの名を意識して買ってくれたもの。
    でも、今のあたしが‥これをつけても、きっと綺麗な花ビラには見えない。

    2005-12-21 17:53:00
  • 75:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「なぁんや、彼氏からかと思いましたよぉ!あたしも、彼氏から‥なんか欲しいなぁ」
    リンリンは、ネックレスから手を放し‥ブツブツと独り言を言っている。
    花は、ロッカーの中にネックレスを直しながら‥ため息をついた。
    ‥誕生日が来ても、まったく成長しない自分。いつまで経っても、あたしは陽平に期待を持ち続けている。
    そして、現実を見て‥勝手に傷ついてるアホな女。‥陽平は、昔からずっと‥あたしを女として見てないのに。

    2005-12-21 17:59:00
  • 76:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、ロッカーを閉めて‥駅へと向かった。
    「あ、同居人の人ら来ましたよ!」
    トイレでバケツに水を入れていると、リンリンが声をかけてくる。
    花は、バケツを手にトイレを出た。

    2005-12-21 18:03:00
  • 77:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    眠たそうな顔をして歩いてくる2人。
    花は、深呼吸をして‥彼らに挨拶をした。
    「おはよ」
    いつも通りに挨拶を返す陽平。

    2005-12-21 18:05:00
  • 78:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、苦しくなる胸を抑え‥笑顔で見送る。
    「花、今日‥デートしよう」
    明るく振る舞う彼女に、千草は誘いを持ちかけた。
    その言葉に、陽平は振り返る。花は、驚き‥ポカンと口を開いた。

    2005-12-21 18:11:00
  • 79:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥いいやろ?」
    千草は、立ち止まる彼に問いかけた。花も、彼の反応を伺う。
    2人の視線に、陽平は目を背けた。
    「勝手にしたら?」

    2005-12-21 18:13:00
  • 80:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    そう言って、彼はトントンと階段を降りりていく。
    去っていく陽平の背中を眺め、花は唇を噛んだ。
    「いや?」
    うつむく彼女の顔をのぞき込み、問いかける千草。

    2005-12-21 18:16:00
  • 81:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    恐る恐る返事を待つ‥千草の顔。
    花は、彼を見て‥小さく微笑んだ。
    「‥うん。しよっか」
    いい加減、陽平のことを想うのは‥やめにしよう。
    花は、前に進みたい一心で‥彼を受け入れた。

    2005-12-21 18:20:00
  • 82:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    みるみると嬉しさを顔に表し、「やった!」と言って‥拳を作る彼。
    花は、喜ぶ彼を眺め‥小さく笑った。

    ‥陽平、あたし‥ちゃんと諦めるから。

    2005-12-21 18:23:00
  • 83:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    約束を交わし、花は彼を見送った。
    「常盤千草と松浦さんって、付き合ってるんですかぁ?」
    千草に手を振る彼女の隣に並び、リンリンがひそひそと問いかけてくる。
    花は、彼女に優しく微笑んだ。

    2005-12-21 18:27:00
  • 84:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥どうやろな」
    曖昧に答える彼女。
    リンリンは、その返事に興奮し‥冷やかしてくる。
    バケツの中にモップを入れて、花は彼女の言葉にケラケラと笑っていた。

    2005-12-21 18:31:00
  • 85:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    あたし、いつから‥嘘の笑顔を覚えたんやろ。
    嬉しくないのに、笑顔が作れる。
    本音を隠した顔。

    花は、頭の中にいる陽平の顔をもみ消すかのように‥笑みを振りまいていた。

    2005-12-21 18:35:00
  • 86:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【つづく】

    2005-12-21 18:36:00
  • 87:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「飯食う前に、行きたいとこあるねん」
    夕方‥駅で待っていると、千草は嬉しいそうに片手を上げて現れた。隣にいる陽平と離れて、花の元へ駆けつける。
    花は後ろめたさを感じ、陽平の目を見ることが出来なかった。
    2人で街に繰り出すと、千草は照れた様子で声をかけてくる。

    2005-12-22 11:22:00
  • 88:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    何かを秘めているかのような彼の言葉に、花は頭の上にハテナを浮かべる。
    そして、彼に連れて行かれたのは‥華やかな光を放つ宝石店。
    千草は、マフラーをまき直し‥店内へと入っていく。
    「2人で買ったネックな‥陽平が渡したから、俺の手で何か渡したいねん」

    2005-12-22 11:27:00
  • 89:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ケースの中を覗きながら、千草は口を尖らせて‥呟いた。
    花は、慌てて遠慮をする。だが、彼は口を“への字”に曲げて‥身を引かない。
    周りを見渡せば、白い店内には‥肩を並べて寄り添うカップルがチラホラといる。
    そして、ケースの中を見る。そこには、“0”が沢山書かれた数字ばかり。

    2005-12-22 11:31:00
  • 90:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「ちょっ‥、ちゃんと貰ったから‥もういいって!」
    花は、困った顔で彼の腕を引く。
    すると、千草の目は一点に集中した。
    「これ、いいやん」

    2005-12-22 11:34:00
  • 91:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    そう言って、彼はケースに人差し指を当てた。
    花は、冷や汗をかいたまま‥指が差す先に目を向ける。
    目に映ったのは、ネックレスと同じ“ダイヤの花”の指輪とピアス。
    その隣には、今‥首にかけているものがあったかのように、スペースが空いていた。

    2005-12-22 11:38:00
  • 92:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「金なら、気にせんでいいから。‥俺、自分の手でプレゼント渡したいねん」
    彼女の頭に軽く手を置いて、彼は満面の笑顔を見せてくる。
    店員がケースから出したのは、指輪とピアス。
    千草は、そこから指輪を手に取り‥花の右手に手を伸ばす。

    2005-12-22 11:48:00
  • 93:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「左手は嫌やろ?だから、右手」
    そう言いながら、千草は指輪を指に通していく。
    ‥ひんやりと冷たい感覚が、指先から伝わってくる。
    「マ‥マジでいいから!指輪とかっ」
    唇をきつく噛み、花は声を張り上げた。

    2005-12-22 11:53:00
  • 94:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    静かな店内に、彼女の声が響きわたる。
    同時に、指輪を持つ‥千草の手がピタリと動きを止めた。
    花は、困った表情でうつむいている。

    2005-12-22 11:56:00
  • 95:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥きつく言い過ぎた?
    花は、すまなさそうな顔で彼を見上げた。
    「じゃあ‥ピアス」
    千草は、苦笑いで指輪を元の場所へ戻した。

    2005-12-22 11:58:00
  • 96:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「ピアスやったら安いし、いいやろ?」
    耳に飾るピアスを眺め、千草は口元をクイッと動かした。
    鏡に映る‥小さな耳。耳たぶには、ネックレスと同じ‥ダイヤの花ビラ。
    チラッと隣を見れば、千草は寂しそうな笑顔で見つめてくる。
    花は、コクリと頷き‥礼を言った。

    2005-12-22 12:06:00
  • 97:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    きっと‥さっきの言葉に傷ついてる。
    宝石店を出て‥街を歩く彼を横目に、花はため息をついた。
    ‥気持ちは嬉しいけど、指輪って‥なんか特別な気がするから。
    だから、指の根元まで‥通されたくはなかった。

    2005-12-22 12:11:00
  • 98:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「何食いたい?」
    “何も気にしていない”と言うかのように、彼は明るく笑いかけてくる。
    我に返り、花は慌てて考える。
    千草は、そんな彼女を見下ろし‥クスクスと笑った。

    2005-12-22 12:14:00
  • 99:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「えっ、なんで笑っ‥」
    自分を見て笑い出す彼に、花はポカンとした顔で問いかけようとした。
    すると、目の前に黒い色が広がる。
    彼は、ふわりと首にマフラーを巻きつけた。

    2005-12-22 12:19:00
  • 100:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「強引なことして‥ごめんな。俺、なんか‥張り切りすぎたっ」
    自分のマフラーを彼女の首に通して、彼は恥ずかしそうに目を伏せた。
    毛糸に残っている‥わずかな体温。
    花は、髪の毛をかきあげ‥彼にピアスを見せた。

    2005-12-22 12:28:00
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