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店内恋愛
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1:
結愛
これは、私の現在に至るまでの実話です。
どこにでも溢れている、だけどかけがえのない、たった一つの自分だけのストーリー。2006-05-30 14:07:00 -
95:
結愛
………――何とか携帯を手に入れた私は、ミナミに向かう電車の中で早速大樹にメールを送ってみた。
するとすぐに返事が返って来て、ひっかけ橋で逢う事になった。
その頃はまだ橋は石で出来ていて、もたれかかりながらぼぉっと道頓堀川を見つめていた。2006-06-01 13:48:00 -
96:
結愛
「なーにしてんのっ?」
びっくりして振り返ると、昨日と全く同じように大樹が立っていた。
まだ一人ではセットサロンに行けないと言うと、大樹は嫌な顔一つせず付いてきてくれた。2006-06-01 13:51:00 -
97:
結愛
セットも終え、二人でご飯を食べるともう出勤の時間だ。大樹に店の前まで送ってもらうと深呼吸をして扉を開けた。
『おはようございます!』中には数人のボーイと美和さんしかおらず、開店準備を忙しそうにしている。
ちょっと早すぎたかな?と思いながらロッカールームに行くと、美和さんが声をかけてきた。2006-06-01 13:55:00 -
98:
結愛
「結愛ちゃんわざわざ外でセットしてきたん?」
『えっみんなするもんじゃないんですか?』
「ん〜好き好きやけど、店に専門の美容師さんおるから安くでやってくれるよ」『そうなんですか!?知らんかった…』2006-06-01 13:58:00 -
99:
結愛
「祐樹アホやから説明し忘れてたんちゃうかな?メイク直しもやってくれるから行っといで?美和も横でセットしてもらうし。」
『はい!!』
美和さんは、新人の私にも優しくしてくれた。後で大樹にセットの事を言うと専属の美容師さんが居た事を忘れていたそうだ。2006-06-01 14:02:00 -
100:
結愛
「結愛ちゃんなぁ美和の入ったばっかりの時とめっちゃ似てんねんかぁ。だから何か気になんねんな。」
『私なんか美和さんみたいに綺麗くないし全然似てないですよ!!』
それは本心から言った言葉だった。お客さんもいっぱいいるし、綺麗で優しい美和さんと私は似ても似つかない。2006-06-01 14:05:00 -
101:
結愛
それからも美和さんは私の事を気にかけてくれていた。顧客管理、メールの送り方、接客の仕方など、色々教えてくれたし、きつく怒られた事も何度もあった。
でも落ち込んだ時は一番に気づいてくれたり、プライベートの事もよく相談に乗ってくれていた。美和さんは22歳。私が美和さんにだけ本当は17歳だと言う事や、家庭の事情を打ち明けた時も、何も言わずに泣きながら抱き締めてくれた。
ハナや他の女の子とも上手く行き順調に見え始めた頃…事件は起きた。2006-06-01 14:14:00 -
102:
結愛
『失礼しま〜す。』
キャバ嬢もすっかり板についていた私は、いつも通り笑顔である一人のお客さんの席についた。
祐樹から予め「かなり酔ってるから気つけてな。」と言われていたけど、酔っているお客さんなんて沢山いたし、あまり気にしていなかった。2006-06-01 14:19:00 -
103:
結愛
見たところ50代の普通のおじさん。隣に座るだけでお酒の匂いがプンプンしてくる。少し間をあけ座ると、腰に手を回し自分の方へ引き寄せてきた。
これぐらいはよくある事。触られないように手を握り返し膝の上に置いた。
次の瞬間――――……2006-06-01 14:24:00 -
104:
結愛
いきなり両腕を掴まれ、押し倒された。
手は頭の上で押さえ付けられいくら暴れても身動きが出来ない。口も片方の手でふさがれている。
運悪く私の席は他の席からは死角になっていて、女の子もお客さんも誰一人として気づかない。
だが、それに気づいた祐樹が「お客さま!!おやめ下さい!!」と叫びこっちへ走って来た瞬間、客の唇が私の唇を覆い、舌が入ってきた。お酒の匂いにむせ返り、涙が溢れる。2006-06-01 14:33:00 -
105:
結愛
慌てて祐樹が客を引き離し、私を抱き起こした。
「大丈夫か!?」
騒つく店内。マネージャーに事務所に連れて行かれる客。震えと涙が止まらない私。……――蘇る過去の暗い記憶――……2006-06-01 14:38:00 -
106:
結愛
「…とりあえず外出よ。」祐樹に支えられ、フラフラと外に出た。非常階段に座ると安心してなのか、また涙が溢れてきた。
『恐い…恐……』
そう何度も呟く私を、祐樹はぎゅっと抱き締めた。
「ごめん…ごめんな…」と何度も言いながら…。2006-06-01 14:50:00 -
107:
結愛
少し落ち着いた頃、店長が来た。
「さっきの客がもう結構酔いさめててな。結愛に謝りたいゆぅてんねんけどどうする?」
恐かった。顔なんて見たくない。でも…もう二度と男に負けるなんて嫌だった。『行きます。』
涙を拭い、事務所に向かった。2006-06-01 14:55:00 -
108:
結愛
事務所のドアを開けると、さっきの男が背中を丸め座っていた。
「女の子来ましたよ。ちゃんと謝るべきちゃいますか?」
店長がそう言うと、その男は土下座をして何度も何度も謝ってきた。
結局、出入り禁止と罰金と言う事で丸くおさまった。2006-06-01 15:12:00 -
109:
結愛
店長がホールに戻り事務所には祐樹と私だけになった。「結愛…ほんまごめん。もっとよく見える席にしてちゃんと気つけて見といたら良かったな。」
『もう大丈夫ですよ。私も気ぬいてたとこあったし』「ほんまこれから気つけるわ。また思い出して恐なったりしたらいつでも電話しといでな。」2006-06-01 15:20:00 -
111:
名無しさん
すごい読みやすくておもしろいです?また更新楽しみにしてます?
2006-06-01 19:24:00 -
112:
名無しさん
見てるょ?ぁたしも店内恋愛ゃから期待してます?
2006-06-01 20:28:00 -
113:
名無しさん
?
2006-06-02 09:55:00 -
114:
結愛
思えば、この頃から祐樹とは仲良くなり始めたのかな?それまではただの担当とキャバ嬢だったけれども。
その日は仕事をする気になれず、早めに送りを出してもらった。
本指名で返ってくるお客さんも増えてきて少し調子にのっていた私には、今回の事件がかなりこたえていたんだろう。2006-06-02 11:49:00 -
115:
結愛
家につき烏龍茶を一気飲みし、電気もつけずに窓から外を眺めていた。
“キャバ嬢結愛”になってから三ヶ月目の出来事だった。
ふと横に視線をやると携帯が光っているのが見えた。着信……――……副店長。2006-06-02 11:55:00 -
116:
結愛
『…もしもし。』
「あっ結愛?ちゃんと家ついたか!?」
『着きましたよ。どしたんですか?』
「いや…大丈夫かなと思って気になって…。」
どうやら、暗い表情で店を後にした私を心配して電話をくれたらしい。2006-06-02 11:59:00 -
117:
結愛
時刻は二時をまわった頃だったと思う。店はかなり忙しい時間帯だ。それなのにわざわざ電話をしてきてくれた事がすごく嬉しかった。
『ほんまに大丈夫ですよ。ありがとうございます。』「そっか…良かった…。」『店忙しいでしょ?ホールに戻らなくて大丈夫ですか?』
「うん…あのさ、明日…飯でも行かん?」2006-06-02 12:04:00 -
118:
結愛
なぁ祐樹?この時ご飯に誘ってくれたんは罪悪感からやったん?それとも………
でも、私にとっては忘れられへん日になってんで?
うちの店はもちろん店内恋愛禁止。女の子とボーイがプライベートで逢うなんて許されなかった。相談がある時は店の中で。連絡をとりあうのは出勤確認だけ。そんな厳しい決まりもあった。2006-06-02 12:09:00 -
119:
結愛
『行きたいですけど…副店長大丈夫なんですか?もし誰かに見つかったら…』
「うん、そやからさ明日店休みやし車でドライブがてら遠出しやん?」
『いいんですか?』
「いいも何も、俺が行きたいねん!笑。また仕事終わったら電話するな。」2006-06-02 12:13:00 -
120:
名無しさん
裕樹じゃなくて大樹やんな??
2006-06-02 12:20:00 -
121:
結愛
そう言うと電話は切れた。“副店長とご飯かぁ…何着て行こぉ”
ごそごそとクローゼットをあさる。
“……男の人とご飯なんか初めてでもないのに何でこんな服選んでんねやろ…”一時間ぐらい経った頃にふと気がついた。2006-06-02 12:23:00 -
122:
結愛
136さん、大樹はスカウトの子で祐樹は副店長ですよ☆
名前を考えるの苦手で似た名前になってしまいました( ´・・`)まぎらわしくてすみませんm(__)m2006-06-02 12:26:00 -
123:
結愛
未来が見える人生なんておもしろくない。
誰もがそう言うけど、もし私に先をみる力があったのなら…あんなに傷つく事はなかったんかな?
でも…それでも私は祐樹と出逢う事を選んだと思うんだ。2006-06-02 12:29:00 -
124:
名無しさん
・゚・(>_
2006-06-02 12:30:00