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☆スタービーチ☆

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  • 1:

    きらきらアフロ

    「ねぇ知ってる?星の降る夜は1つだけ願い事が叶うんだよ?」
    「誰も信じてないと思うけどさ。私は信じてるんだよね☆」

    2005-07-20 01:28:00
  • 2:

    きらきらアフロ

    そう言いながら彼女はそっと微笑んだ。
    静かな波音をBGMにした満点の星空はホントにキレイだった。

    2005-07-20 01:30:00
  • 3:

    きらきらアフロ

    目を覚ますと涙が少しこぼれた。隣では小さな時計が時間を進めていた。
    もう5時だ。顔も洗わずにYシャツを羽織り部屋を飛び出した。

    2005-07-20 01:33:00
  • 4:

    きらきらアフロ

    夕焼けは少し眩しくて、車までのいつもの道がやけに遠く感じた。
    白く輝いたシーマに乗り込むとすかさずキーを差し込んだ。
    いつも通り。何も変わらない毎日はとてもタイクツだ。

    2005-07-20 01:36:00
  • 5:

    きらきらアフロ

    梅雨が明けて夏らしくなってきたからだろうか。大通りは大きなワゴン車で
    あふれ返っていた。海に向かうんだろうか?そんな事を考えながら車を走ら
    せた。
    今日は気分がいい。昨日見た夢のせいだろう。

    2005-07-20 01:41:00
  • 6:

    きらきらアフロ

    薄汚れたヴィトンのカバンの中から一枚の写真を取り出した。
    少しニヤけたボクと苦笑いの彼女。
    こんなキレイな夕焼けの日だった。「彼女」・・・リナに出会ったのは。

    2005-07-20 01:48:00
  • 7:

    きらきらアフロ

    「ツカサ!」「ねぇ起きてっ!」
    小さな声で目が覚めた。目の前はまだ少しぼやけていた。
    小さな顔に吸い込まれるような大きな瞳。目の前に居るのはリナだった。

    2005-07-20 01:57:00
  • 8:

    きらきらアフロ

    「学校終わったよっ」リナはそういって微笑んだ。
    昼過ぎからの授業は保健室のベットの上。ボクの日課だった。
    窓の外を見ると桜の木には若葉が生い茂っていた。

    2005-07-20 02:00:00
  • 9:

    きらきらアフロ

    「早く帰ろっ」リナはボクの手を引きながら言った。
    保健室からロッカーまでは約20mぐらい。リナは今日あった出来事をボクに
    話続けた。まるでせき止められた水が一気に流れ出したかのような勢いで。

    2005-07-20 02:05:00
  • 10:

    きらきらアフロ

    校門までは桜の木が並木道のように並んでいて、春にはキレイなサクラの花を
    咲かす。ボクはそれをいつものベットの上から眺めるのが好きだった。
    ボーっとそんな事を考えていると、リナが突然声を荒げた。

    2005-07-20 02:13:00
  • 11:

    きらきらアフロ

    「ねぇ聞いてる?」「いつも話し聞いてくれないね。」「もういい!」
    リナは一人で校門まで歩いて行ってしまった。またやってしまった。
    ボクはいつも人の話を聞かない。
    リナが怒るのも無理はないがもう慣れっこだった。

    2005-07-20 02:17:00
  • 12:

    きらきらアフロ

    「ごめんな」リナの機嫌を伺うようにボクは謝った。
    リナはボクのほうを振り返り、大きな声で「いいよっ」
    とても無邪気な笑顔だった。やられた!
    ボクはいつもリナの笑顔に救われていたんだ。

    2005-07-20 02:23:00
  • 13:

    きらきらアフロ

    あの頃のボクらは若かった
    あの頃のボクらはずっと二人でいれると思ってた
    あの頃のボクは君がすべてだった
    あの頃のボクは・・・・

    2005-07-20 02:30:00
  • 14:

    きらきらアフロ

    リナとの帰り道はいつも同じ道だった。
    海沿いの堤防をただひたすら灯台に向かって歩くだけだった。
    時には浜辺も歩いたっけ。
    ふとボクは思った。ボクらはどこで出会ったんだろう?
    なぜか思い出せなかった。

    2005-07-20 04:03:00
  • 15:

    きらきらアフロ

    「ねぇリナ?」「ボクらはどこで出会ったんだっけ?」
    リナは少しムッとした表情で答えた。
    「覚えてないの?」
    ボクは少し考えるフリをしたあと首を横に振った。

    2005-07-21 00:30:00
  • 16:

    きらきらアフロ

    「教えてあげない。」
    苦笑いを浮かべるリナは少し寂しげだった。
    ボクには女心がわからなかった。若かったから仕方ないのだけれど。
    空は澄み切った青で静かな波音だけが僕らを包んでいた。
    うだるような暑い夏は瞬く間に過ぎていった。

    2005-07-21 00:35:00
  • 17:

    きらきらアフロ

    「ピリリッ・ピリリリッ」
    けたたましい携帯の着信音で目が覚めた。
    画面には「☆リナ☆」と表示されていた。
    「もしもし?」ボクはまだ意識もはっきりしていなかった。

    2005-07-21 00:38:00
  • 18:

    きらきらアフロ

    「ツカサ君?」「ツカサ君よね?」
    返事をする間もなくそこで電話はとぎれた。
    切羽詰まった女の人の声だった。
    ボクが家を飛び出したと同時だった。

    2005-07-21 00:43:00
  • 19:

    きらきらアフロ

    「ピリリッ・ピリリリッ」
    ボクは考えるよりも先に通話ボタンを押していた。
    「ツカサ君?」「ツカサくん落ち着いて聞いてね?」
    「リナが病院に運ばれたの。」
    聞き覚えのあるその声はリナのお母さんだった。

    2005-07-21 00:46:00
  • 20:

    きらきらアフロ

    「エッ?」「リナが・・・・?」
    ボクはその場に立ち尽くしてしまった。
    「とにかく病院まできてくれる?」
    そう早口に言い残すと電話はきれてしまった。
    「リナが病院?うそだろ?」

    2005-07-21 00:51:00
  • 21:

    きらきらアフロ

    「リナ・リナ・リナ・リナ−ーッ」
    ボクは走った。声にならない声をあげながら灯台までの
    いつもの帰り道を。
    心臓ははちきれそうなぐらいドクドクと音をたてていたけれど。

    2005-07-21 00:54:00
  • 22:

    名無しさん

    2005-07-21 01:05:00
  • 23:

    きらきらアフロ

    まさかリナが・・・。
    頭の中はリナでいっぱいになっていた。
    「イタッ!」
    いつの間にか左足のサンダルがなくなっていた。
    小指の先から血がトクトクと流れている。
    心臓が叩くリズムより少し遅れて。

    2005-07-21 01:47:00
  • 24:

    きらきらアフロ

    病院はリナの家まで向かう坂の途中にあった。
    少しさびれたレンガ作りの大きな建物だった。
    「リナは?」「川崎リナの病室はどこですか?」
    ボクは受付に駆け込むと同時に声をあげた。

    2005-07-21 01:57:00
  • 25:

    きらきらアフロ

    小奇麗なオバサンは少し驚いた様子だったが
    「302号室です。」
    そう言うと奥の部屋に入っていってしまった。
    「302・302」
    ボクは呪文のように繰り返し唱えながらエレベーターを待った。

    2005-07-21 02:13:00
  • 26:

    きらきらアフロ

    何十分たったんだろうか?そう思うほど僕は焦っていた。
    どうしても落ち着けずにあたりを見渡した。静かだった。
    後ろで「チン」という音と共にドアが開いた。

    2005-07-21 02:18:00
  • 27:

    きらきらアフロ

    「ブゥ−−−ン」エレベーターの音と共に3階についた。
    飛び出るように降りると目の前にリナのお母さんが立ち尽くしていた。
    「おばさん!」「リナは?」「リナはどこですか?」
    もうボクは正気ではいられなかった。
    「ツカサ君!ツカサ君ちょっと落ち着いて。」
    おばさんはボクをなだめるように言った。

    2005-07-21 03:11:00
  • 28:

    きらきらアフロ

    「リナなら大丈夫。ちょっと疲れが溜まってただけだから。」
    「こっちよ。」ボクはおばさんに手を引かれ不気味なくらい静かな
    廊下を歩いた。

    2005-07-21 03:18:00
  • 29:

    きらきらアフロ

    「302号室」
    ボクは正直ドアを開けるのが怖かった。
    もしかしたら二度と目を覚まさなかいかもしれない。
    錯乱状態だったボクにはおばさんが大丈夫だと言っていた事さえ
    耳に届いていなかった。

    2005-07-21 03:25:00
  • 30:

    きらきらアフロ

    少し。また少しドアを開けていった。
    「リナ」思わず声が出ていた。
    ベットに駆け寄ったボクの目に映ったリナは本当に
    子供のような寝顔だった。

    2005-07-21 03:45:00
  • 31:

    きらきらアフロ

    「ポタッ・ポタッ」「ホントに無事でよかった。」
    涙があふれて仕方なかった。大粒の涙が頬を伝って床の上に
    零れ落ちた。
    「ホントに泣き虫だね」「昔と同じじゃない。」
    物音で目を覚ましたリナは微笑みながらつぶやいた。

    2005-07-21 04:03:00
  • 32:

    きらきらアフロ

    その笑顔を見て僕はまた泣いた。
    もう涙でリナの顔はぼやけて見えなかった。
    空を覆っていた長い夜は明け始めていた。
    「ねぇツカサ?」「朝焼けだよ☆」
    「でも私は夕焼けのほうが好きだな。」
    そう言うとリナはまた笑った。

    2005-07-21 04:11:00
  • 33:

    きらきらアフロ

    ホッとすると今度は痛みが襲ってきた。
    左足の小指の傷はもうかさぶたになっていた。
    「少し寝るね。」
    リナはそう言うとゆっくり目を閉じた。
    ボクの右手をギュッと握り締めたままで。

    2005-07-21 04:17:00
  • 34:

    きらきらアフロ

    リナが眠りに着くとボクは病室を出た。
    ふとおばさんと目が合った。ボクは軽く会釈をした。
    「あの子ね、昔からちょっと心臓が弱かったの。」
    おばさんは突然話を切り出した。
    そうだ。リナは昔から心臓が弱かった。
    でもなぜボクはその事をしってるんだろう?

    2005-07-21 04:22:00
  • 35:

    きらきらアフロ

    リナの子供の頃の話を聞きながらボクはホッと一息ついた。
    「ひどい顔よ?」「顔を洗ってきなさい。」
    おばさんにゆわれるがままボクはトイレに向かった。
    鏡に映ったボクの目はパンパンに腫れていた。
    本当にヒドイ顔だった。

    2005-07-21 04:28:00
  • 36:

    きらきらアフロ

    ボサボサになった頭をかきながらボクは病室に戻った。
    「心配かけてごめんね。」
    リナはうっすら涙を浮かべていた。
    「クリスマスもお正月もどこにも行けなくなっちゃった。」
    そう言うと黙り込んでしまった。

    2005-07-21 18:47:00
  • 37:

    きらきらアフロ

    ボクにはリナの言葉が何を意味するのか分からなかった。
    「どうゆうこと?」
    少しの沈黙のあとボクは切り出した。
    「リナね、半年くらい入院るの。」
    後ろからおばさんの声がした。

    2005-07-21 18:52:00
  • 38:

    きらきらアフロ

    その声を聞くとリナは頭から布団をかぶってしまった。
    ボクはリナにかける言葉を見つけることができなかった。
    「そうなんですか・・・。」「また来ます。」
    そう言い残しボクは病室を出た。
    長く続く廊下をペタペタ音をたてながら歩いた。


    2005-07-21 19:08:00
  • 39:

    きらきらアフロ

    春が近づき暖かくなるにつれてボクらは少し大人になった。
    「ねぇツカサ?」リナはベットから体を起こした。
    「海に行きたいね。いつも帰り道に歩いた海に行きたいな。」
    少し遠慮がちな言葉だった。

    2005-07-21 19:56:00
  • 40:

    きらきらアフロ

    「春になってサクラが咲く頃になったらね。」
    ボクはなだめるように言った。リナは病院の庭までなら
    外出できたのだが、病院の外までは許されていなかった。
    「どうしても行きたいんだもん。」

    2005-07-21 20:03:00
  • 41:

    きらきらアフロ

    ボクは少し驚いた。あまりワガママをゆわないリナが・・・
    「抜け出そうか?」
    とっさに言葉が出てしまっていた。
    「うんっ!」
    リナは本当に嬉しそうだった。

    2005-07-21 20:16:00
  • 42:

    きらきらアフロ

    消灯時間が過ぎ静まり返った病院はなんだか不気味だった。
    足音を立てずに長い廊下を急ぎ足で歩いた。
    「なんだか恐いね。」リナがボソッとつぶやいた。
    ボクの心臓は今にもはちきれそうだった。
    何を隠そうボクはホラーが苦手だった。

    2005-07-21 20:26:00
  • 43:

    きらきらアフロ

    エレベーターを使わずに非常階段を転がるように駆け下りた。
    非常階段は直接外につながっていた。
    「脱出成功したね☆」
    リナは子供のようにはしゃいでいた。
    ボクはまだ心臓のドキドキがおさまらなかった。

    2005-07-21 20:41:00
  • 44:

    きらきらアフロ

    薄暗い空は雲ひとつなかった。
    堤防までの下り坂は小さな電球のついた電柱が
    20mおきにあるだけでとても心細かった。
    「なんか久しぶりだね。ツカサとこうやって手をつないで歩くのも。」
    リナは少しうつむきながら言った。

    2005-07-21 20:51:00
  • 45:

    きらきらアフロ

    確かに久しぶりだった。病院の中では恥ずかしくて
    手をつないで歩くことなんてできなかった。
    「ほら見えてきたよ。」
    坂を下り曲がり角を曲がったときだった。

    2005-07-21 20:56:00
  • 46:

    きらきらアフロ

    目の前にはかなり深い青色の海が広がっていた。
    堤防の階段を下り、サラサラした砂浜の上にボクらは座った。
    「ずっと来たかったんだ。」「病院の窓からは見えてたんだけどね。」
    リナはずっと遠くを見るような目をしていた。

    2005-07-21 21:01:00
  • 47:

    きらきらアフロ

    「まだちょっと寒いね。」
    そう言うとリナはつないだままの手をボクのコートの
    中にそっと入れた。
    「うん。寒いね。」ボクは幸せだった。
    本当にキレイな星空の下だった。

    2005-07-21 21:19:00
  • 48:

    きらきらアフロ

    「ねぇ知ってる?星の降る夜は1つだけ願い事が叶うんだよ?」
    「誰も信じてないと思うけどさ。私は信じてるんだよね☆」
    リナはふいにそうつぶやいた。
    「ねぇツカサ!一緒に願い事しよっか?」
    ボクは少し笑いながらうなずいた。

    2005-07-21 21:25:00
  • 49:

    きらきらアフロ

    「何を願おうか・・・」
    ボクの願い事はもう決まっていたけれど恥ずかしくて
    言葉に出せなかった。
    「ツカサとずっとふたりでいれますように。」
    小さな小さな声だったけれどボクにはしっかり聞こえていた。

    2005-07-21 22:42:00
  • 50:

    きらきらアフロ

    どれくらいの時間がたったのだろう?
    ボクらはずっと満点の星空を見上げていた。
    「そろそろ帰ろっか?」
    ボクはリナの手を引いて立ち上がろうとした。
    リナは首を2回横に振った。

    2005-07-21 22:50:00
  • 51:

    きらきらアフロ

    「もうちょっと。もうちょっとだけ。」
    本当に静かな夜だった。波音がとても心地よかった。

    2005-07-22 00:30:00
  • 52:

    きらきらアフロ

    リナを病院まで送り届けたあとボクは家路を急いだ。
    相変わらず海風は少し強かったけどポケットの中はとても
    暖かかった。
    18歳の冬ももうすぐ終わりを迎えていた。

    2005-07-22 00:38:00
  • 53:

    きらきらアフロ

    サクラが咲き始める頃ボクは卒業をむかえた。
    そこにリナの姿はなかった。
    卒業式が終わり校門を潜ろうとしたときだった。
    「ツカサくん?」
    後ろからボクを呼ぶ声がした。

    2005-07-22 00:58:00
  • 54:

    きらきらアフロ

    「卒業おめでとう。」
    保健室の先生だった。
    「あなたぐらいよ。あんなに授業サボって卒業できたのは。」
    ボクは苦笑いするしかなかった。

    2005-07-22 01:02:00
  • 55:

    名無しさん

    ぃつも見てますぅ(^3^)/続きがめっちゃ気になって仕方なぃ(>_

    2005-07-22 01:07:00
  • 56:

    きらきらアフロ

    ありがとうございます☆めっちゃ頑張ります。

    2005-07-22 01:12:00
  • 57:

    きらきらアフロ

    「でも・・・。リナちゃんはほんとに残念だったね。」
    先生はボクの機嫌を伺うように言った。
    「仕方ないです。どうしようもなかったですし。」
    「そっか。これからもがんばってね。」
    そう言うと先生は人ごみの中に消えていった。

    2005-07-22 01:16:00
  • 58:

    まぁこ

    今読ませてもらぃました?書き方がめちゃ好きです?これからも完結まで頑張ってくださぃ??応援してます?

    2005-07-22 01:45:00
  • 59:

    きらきらアフロ

    むっちゃ嬉しいです☆仕事の合間見てカキカキします。

    2005-07-22 02:04:00
  • 60:

    きらきらアフロ

    一人で歩く帰り道は本当に寂しかった。
    いつもは心地よく感じた海風も今日はなんだか湿っている
    ように思えた。
    ボクは堤防にゆっくりと腰掛けた。
    夕焼けがボクと海をオレンジ色に染めた。

    2005-07-22 02:51:00
  • 61:

    きらきらアフロ

    「ツカサ!」
    後ろから聞きなれた澄んだ声がした。
    「卒業おめでとう。」
    リナは苦笑いを浮かべながらボクの隣に座った。
    「ありがとう。」ボクには精一杯の言葉だった。

    2005-07-22 02:54:00
  • 62:

    きらきらアフロ

    「残念だったね。」
    ボクは声を振り絞るように言った。
    「仕方ないよ。あんなに休んでたんだもん。」
    「でもツカサと一緒に卒業したかったな。」
    オレンジ色に染まったリナはあきらめにも似た表情を浮かべていた。

    2005-07-22 02:59:00
  • 63:

    きらきらアフロ

    「そうだね。」
    何て声をかければいいかボクにはわからなかった。
    「帰ろっか?」
    リナは少し涙を溜めて小さな澄んだ声でつぶやいた。

    2005-07-22 03:03:00
  • 64:

    きらきらアフロ

    ボクは2回首を横に振った。
    「もうちょっと。もうちょっとだけ。」
    夕日はもう半分ぐらいオレンジ色の海の中に沈んでいた。
    夕焼けが眩しくてボクはうつむいて目を閉じた。
    本当は涙をリナに見られたくなかったからなのだけど。

    2005-07-22 03:10:00
  • 65:

    きらきらアフロ

    学校から二人で歩く帰り道もこれが最後だった。
    「もう1年かぁ。長いねぇ。」
    リナはボソッと本当に小さな声でつぶやいた。
    「ねぇツカサ?私が卒業したら一緒に暮らさない?」
    「うん。」そう答えたぼくの顔は真っ赤になっていた。


    2005-07-22 18:56:00
  • 66:

    きらきらアフロ

    「真っ赤になってるよ。顔が。」
    僕の顔を覗き込むようにしてリナは言った。
    「そんなことないよ。夕焼けのせいだよ。」
    まっすぐないつもの帰り道を歩いた。ボクは少し寂しかった。
    並んだ二つの影は長く長く伸びていた。

    2005-07-22 19:16:00
  • 67:

    きらきらアフロ

    ボクは町を出て都会でバーテンを続けたかった。
    始めてからもう2年経とうとしていた。
    正直迷っていた。そんなに多くの理由があったわけではなかった。
    ボクはこのキレイな海と満天の星空が大好きだった。
    何よりリナと離れ離れになってしまうことが・・・。

    2005-07-22 19:50:00
  • 68:

    きらきらアフロ

    アンティーク調の木目のドアがゆっくりと開いた。
    「いらっしゃいませ。」
    カウンターに腰掛けたリナにボクは少し頭をさげた。
    「オーナーこんばんわ。」オーナーはしわくちゃの顔を少し
    ニコッとさせた後、黙々とトールグラスを拭きつづけていた。

    2005-07-22 22:57:00
  • 69:

    きらきらアフロ

    「今日は何にしよっか?」
    ボクは機嫌を伺うように黙り込むリナに問い掛けた。
    「・・・甘くて色のキレイなカクテル。」
    そう一言だけつぶやくとまたうつむいて黙り込んだ。

    2005-07-23 00:04:00
  • 70:

    きらきらアフロ

    ボクは棚の奥にしまってあった焼酎をとりだした。
    それを見たリナは少し驚いたようだった。
    オレンジキュラソー、グレナデンシロップ、マラスキーノ、
    ライムジュース、そして焼酎をメジャーカップで量り、
    シェイカーの中に入れていった。

    2005-07-23 00:36:00
  • 71:

    きらきらアフロ

    シェイカーを振り終えたボクはカクテルグラスに少しずつ
    注いでいった。最後にオレンジスライスを添えて。
    「キレイなオレンジ色だねぇ。」
    グラスを手に取ったリナは少し気分を良くしたようだった。

    2005-07-23 00:47:00
  • 72:

    きらきらアフロ

    「なんていう名前のカクテルなの?」
    リナはボクを見上げながら聞いた。
    「それは『夕焼け』ってカクテルだよ。」
    小さなかすれた声でオーナーはつぶやくように答えた。

    2005-07-23 01:04:00
  • 73:

    きらきらアフロ

    「夕焼け・・・。」
    そうつぶやくとリナはまたうつむいた。
    「カタッ・カタッ」
    店の中はシーンと静まり返っていた。
    時計の秒針が動く音だけが店内に響いていた。

    2005-07-23 01:31:00
  • 74:

    きらきらアフロ

    「ポタッ・ポタッ」
    「もう気持ちは変わらないの?」
    リナは涙を流しながら口を開いた。
    「うん・・・。もう決めたんだ。」

    2005-07-23 01:54:00
  • 75:

    きらきらアフロ

    ボクは言葉に詰まった。ほかに伝えたいことはたくさん
    あったのだけれど。
    「何で全部一人で決めちゃうの?」「私は。私は・・・。」
    リナは泣き崩れてしまった。
    オーナーは何事もなかったようにグラスを拭き続けていた。

    2005-07-23 02:00:00
  • 76:

    きらきらアフロ

    ボクだって辛かった。
    思い出の詰まったこの町を離れることが。
    何よりもリナと離れてしまうことが・・・。

    2005-07-23 02:09:00
  • 77:

    きらきらアフロ

    リナが店を出たあと、独り言のようにオーナーはつぶやいた。
    「本当にいいんだな。後悔するかもしれないよ?」
    わかってる。ボクにだってわかってた。
    「もう決めたことですから。」精一杯の強がりだった。
    春が過ぎ夏の匂いが辺りを覆い始めた頃だった。

    2005-07-23 18:57:00
  • 78:

    きらきらアフロ

    荷造りは着々と進んでいった。
    ボクの心のモヤモヤは晴れないままだったけど。
    「ピリリッ・ピリリリッ」リナからだった。
    ボクは電話に出るのを少しためらった。
    そういえばリナと話すのもあの日以来だった。

    2005-07-23 19:31:00
  • 79:

    きらきらアフロ

    「もしもし・・・。」
    「ツカサ?今からちょっと話せないかな?」
    いつもと変わらない澄んだ声だった。
    「大丈夫だよ。今から迎えに行くから。」ボクはそう答えた。
    「いいよ。もうツカサの家の前だから。」

    2005-07-23 19:41:00
  • 80:

    きらきらアフロ

    ボクは大急ぎで階段を駆け下りた。
    ドアを開けると目の前にリナが立っていた。
    「ちょっと歩こっか?」
    リナは振り返りそういった。
    「うん・・・。」ボクはサンダルをはきながら答えた。

    2005-07-23 19:47:00
  • 81:

    名無しさん

    しぉりぃ♪

    2005-07-25 02:58:00
  • 82:

    きらきらアフロ

    生温い海風が夏の匂いを運んできていた。
    ボクはサンダルのかかとを擦るようにして歩いた。
    「本当に・・・本当に行っちゃうの?」
    リナはボクにすがるような目をして言った。
    「ごめんね・・・。」

    2005-07-25 03:24:00
  • 83:

    きらきらアフロ

    「私は・・・私を置いて行っちゃうの?」
    立ち止まりリナはその場にしゃがみこんでしまった。
    どんな言葉をかければいい?どうして欲しい?
    ボクは・・・ボクは。
    ボクにはどうしようも・・・なかった。

    2005-07-25 03:47:00
  • 84:

    きらきらアフロ

    「連れてって。私を連れ出して。」
    覚悟を決めたような真っ直ぐな目だった。
    「一緒にいたい。ツカサと離れたくない・・・。」
    言葉が出てこなかった。ボクは天を仰いだ。

    2005-07-25 03:56:00
  • 85:

    きらきらアフロ

    「ごめん。必ず迎えに帰ってくるから。」
    ボクはリナをなだめるように言った。
    「イヤっ!一緒に連れてって。」
    「ツカサがいなくなって私はどうすればいいの?」

    2005-07-25 04:06:00
  • 86:

    きらきらアフロ

    ボクだって昔見たドラマのようにリナを連れ出したかった。
    ただボク達は若かった。ただ若すぎたんだ。
    目の前にある現実はいつも思い通りに進むはずがなかった。
    なぜか今日の夕焼けは悲しい色をしているように思えた。

    2005-07-25 04:16:00
  • 87:

    名無しさん

    ぁげです。

    2005-07-25 19:09:00
  • 88:

    きらきらアフロ

    「決めた。私もツカサに付いていく。」「もう決めたんだから。」
    凛とした表情でリナはそう言った。
    「無理だよ。学校はどうする気なの?」
    「辞める。辞めて一緒に行く。」
    その真っ直ぐな目からボクは目をそらしてしまった。

    2005-07-25 23:59:00
  • 89:

    きらきらアフロ

    「すぐには無理だけど・・・。」「待っててくれる?」
    ボクは小さくうなずいた。
    ここまでボクの事を想ってくれてるなんて・・・。
    さっきまでの悲しい色をした夕焼けは、遠く海に沈んでいた。
    入れ替わるように真っ暗な空には星がまたたいていた。


    2005-07-26 00:22:00
  • 90:

    名無しさん

    しおり

    2005-07-26 00:53:00
  • 91:

    きらきらアフロ

    いつもいつもありがとうございます。

    2005-07-26 01:27:00
  • 92:

    きらきらアフロ

    「オーナー今までお世話になりました。」
    ボクはグラスを磨くオーナーに頭を下げた。
    「ツカサか・・・。ちょっと座りな。」
    少しくすんだカウンターにボクは腰掛けた。
    いつもと変わらないゆっくりした時が流れていた。

    2005-07-26 01:33:00
  • 93:

    きらきらアフロ

    「なぁツカサ?」「バーテンダーはどうあるべきだと思う?」
    ボクは少し黙り込んだあと答えた。
    「お客様にお酒を楽しんでもらうように努力するべきだと思います。
    「そうか・・・」
    オーナーは黙り込むとカクテルを作る準備をした。

    2005-07-26 01:41:00
  • 94:

    きらきらアフロ

    シェイカーを振る音がとても心地よかった。
    「これが答えだとワシは思っている。」
    そう言うとボクの前に夕焼け色のカクテルを差し出した。
    「『夕焼け』ですか?」
    ボクはオーナーの顔を見上げた。

    2005-07-26 01:47:00
  • 95:

    きらきらアフロ

    オーナーは首を2回横に振ったあと答えた。
    「これは『夢一夜(ゆめひとよ)』だよ。」
    ボクは透き通ったオレンジ色を眺めていた。
    「夢一夜・・・。」

    2005-07-26 01:54:00
  • 96:

    きらきらアフロ

    「なぁツカサ。お客様に楽しんでもらうのはもちろんだ。」
    「でもな、それで満足しちゃいけないんだよ。」
    「夢のような一夜を過ごしてもらえたら・・・。ワシはそう思ってる」
    思わず胸がカッと熱くなった。
    小さく震える手でカクテルを口に運んだ。

    2005-07-26 02:05:00
  • 97:

    きらきらアフロ

    「ありがとうございます・・・。」
    涙が頬を伝った。それ以外の言葉がなかった。
    オーナーは何も言わずに外の看板をしまった。
    「ツカサ・・・。」「今日は貸切りだ。」
    そう言ってしわくちゃの顔をニコッとさせた。

    2005-07-26 02:14:00
  • 98:

    きらきらアフロ

    どれくらい時間がたったのだろう・・・。
    ボクは今までに経験した事がないくらい話をした。
    オーナーはそれを黙って聞いていてくれた。
    とても居心地がよかった。
    ボクにとって本当に夢のような一夜だった。

    2005-07-26 02:32:00
  • 99:

    きらきらアフロ

    「じゃあそろそろ行きます。」
    ふらつく足でボクはカウンターを離れた。
    「今までお世話になりました。」
    そして深々と頭をさげた。
    するとオーナーは小さな箱を取り出した。

    2005-07-26 02:45:00
  • 100:

    きらきらアフロ

    箱を開けると年季の入ったシェイカーをその中に詰めた。
    「持ってきな。旅立ちのお祝いだ。」
    それを受け取るとまた涙が溢れてきた。
    「ありがとうございます。ありがと・・・・。」
    もう言葉にならなかった。

    2005-07-26 02:50:00
  • 101:

    名無しさん

    あんた出会い系なん?てか名前ちもちわるい

    2005-07-26 02:51:00
  • 102:

    きらきらアフロ

    「疲れたらいつでも帰ってくればいい。」
    「ワシはいつでもここにいるから・・・。」
    オーナーの目から一滴の涙がこぼれた。
    ボクに初めて見せた涙だった。
    「行って来ます。」

    2005-07-26 02:54:00
  • 103:

    きらきらアフロ

    ドアを開けるともう夜は明けきっていた。
    朝日が水平線から半分顔を出していた。
    爽やかな風がボクを吹きぬけた。
    町を出る前日のことだったっけ。

    2005-07-28 03:51:00
  • 104:

    きらきらアフロ

    酒でふらつく足でまとめた荷物を持って家を出た。
    家族には気づかれないようにそっと。
    永遠の別れではなかったけど何か照れくさかったし、寂しかったから。
    ボクは別れというものが苦手だった。

    2005-07-28 04:17:00
  • 105:

    きらきらアフロ

    結局リナとはあれから話す機会がなかった。
    機会がなかったというより作らなかったのだけど。
    一度話してしまうとボクはまた泣いてしまうから。
    泣き虫なボクをリナには見せたくなかったから。

    2005-07-28 04:21:00
  • 106:

    きらきらアフロ

    「プルルルルルッ・・・。」
    ホームに少しくすんだブルーの電車が滑り込んできた。
    朝早くだったせいか、乗客は数えるしかいなかった。
    ボクは窓側の席に座りそっと目を閉じた。
    ドアが大きな音を立てて閉まった。

    2005-07-28 04:29:00
  • 107:

    きらきらアフロ

    「ガタン」という音と共に電車は動き出した。
    窓から見える海は朝日が水面を照らしキラキラ光っていた。
    本当は「帰ってくるな」って言って欲しかった。
    ボクは本当はすごく弱い人間だったから・・・。
    むせ返るような夏の匂いがぼくを包んでいた。

    2005-07-28 21:47:00
  • 108:

    きらきらアフロ

    ボクは泣いた。声を押し殺して泣いた。
    町を離れるのがこんなにも辛かったなんて思わなかった。
    電車はトンネルをくぐり抜けスピードを上げていった。
    せみの声が遠くに聞こえた。19歳の夏のことだった。

    2005-07-28 22:06:00
  • 109:

    きらきらアフロ

    町を出て一ヶ月が過ぎた。
    見るものすべてが新鮮だったけど寂しさは増すばかりだった。
    「そろそろ慣れてきた?」
    店を閉め終わったあと店長のトオルさんが声をかけてきた。

    2005-07-28 23:41:00
  • 110:

    名無しさん

    2005-07-28 23:46:00
  • 111:

    きらきらアフロ

    「ボチボチ慣れてきましたけど・・・。」
    ボクはグラスを磨きながら言った。
    「けど・・・?」「こっちはすべてが早いからね。」
    トオルさんはバーボンを口に少し含むと語り始めた。

    2005-07-28 23:56:00
  • 112:

    きらきらアフロ

    113さんありがとうございます。読んでもらえてる方に感謝感謝です。

    2005-07-28 23:58:00
  • 113:

    113

    頑張って下さいね☆

    2005-07-29 00:04:00
  • 114:

    きらきらアフロ

    「オレも昔はツカサみたいに町を出てきたんだ。」
    「出てきたってようよりも逃げてきたってゆう言葉のほうが正しいけどね。」
    BOX席のソファーに腰掛け少し微笑みながら話を続けた。
    「出てくる前は夢をいっぱい持ってたよ。それこそ抱えきれないくらい。」
    「でも現実はそんなにうまくいくわけなかった・・・。」

    2005-07-29 00:07:00
  • 115:

    きらきらアフロ

    トオルさんの顔が少し曇った。バーボンを注ぎ足すと口を開いた。
    「こっちの時の流れの早さについていけなかったんだよ。」
    「思ってたよりもこの町はオレに冷たかったしね。頼る人もいなかったし。」
    「毎日が不安で孤独で・・・。」
    話がとぎれるとボクの顔をフッと見上げた。

    2005-07-29 00:18:00
  • 116:

    きらきらアフロ

    「ツカサは昔のオレにそっくりなんだよ。」
    「この町の流れに取り残されないように精一杯背伸びして。」
    「人に合わせる為につきたくないウソまで覚えた。」
    「一人になりたくなかったから・・・。ツカサだってそうだろ?」
    ボクは目をそらしてしまった。ボクの気持ちを見透かされているようだった。

    2005-07-29 00:36:00
  • 117:

    きらきらアフロ

    「オレはこの町に色んなものをもらった。」
    「けど・・・。無くしたもののほうが多かったのも事実なんだよ。」
    「とにかく今はがむしゃらにやればいい。悩みがあったら聞くからさ。」
    少し寂しげにそう言うとグラスに残ったバーボンを飲み干した。

    2005-07-29 01:02:00
  • 118:

    きらきらアフロ

    「ごめんな。おもしろくない話に付き合わせて。」
    トオルさんは頭をかきながら立ち上がった。
    「今日はもう帰りな。オレはまだちょっと飲んでるから。」
    少し赤い顔をニコッとさせるとカウンターに入っていった。

    2005-07-29 02:58:00
  • 119:

    ぁみ

    ぁみも大阪出てきたときこんなきもちやったょ?がんばってぇ?

    2005-07-29 04:19:00
  • 120:

    きらきらアフロ

    ぁみさんありがとうございます。今からカキカキします☆

    2005-07-29 22:54:00
  • 121:

    きらきらアフロ

    ドアを開けると光の柱が差し込んできた。外はもうだいぶ明るくなっていた。
    ボクは大きく伸びをして空を見上げた。
    大きなビルに囲まれた四角い空はキレイに晴れ渡っていた。
    潮の香りのする海風が恋しかった。ここにはまだボクの居場所がなかった。

    2005-07-29 23:27:00
  • 122:

    きらきらアフロ

    まだ早朝だったせいかガランとした商店街を一人でトボトボ歩いた。
    たまにすれ違う人たちは足早に先を急いでいた。
    ボクはこの町の流れに取り残されていた。
    ボクは一人だった。こんなにたくさんの人が行き交う大きな町で・・・。

    2005-07-29 23:41:00
  • 123:

    きらきらアフロ

    「なぁツカサ。ツカサの夢ってなんだ?」
    ボクはグラスを磨く手を止めた。隣ではトオルさんがタバコに火をつけていた。
    「とくに・・・ないです。」
    ボソッと答えたあとボクはまたグラスを磨いた。

    2005-07-30 00:01:00
  • 124:

    きらきらアフロ

    「ツカサは彼女いるのか?」
    少しニヤけながらトオルさんはまた話始めた。
    「いますよ。今は田舎にいます。」
    ボクはそっけなく答えた。そのあともトオルさんは話しつづけた。

    2005-07-30 01:13:00
  • 125:

    きらきらアフロ

    ボクはイライラしていた。あまり自分のことを話すのは好きじゃなかったから。
    「何でボクのことばっかり聞くんですか?」
    トオルさんはボクの目を真っ直ぐ見て答えた。
    「この前も言っただろ?ツカサはオレにそっくりなんだよ。」

    2005-07-30 02:17:00
  • 126:

    きらきらアフロ

    「まぁいいや。店終わった後空いてるか?」
    ニコッと笑いながらトオルさんは聞いてきた。
    「ヒマですけど。何かあるんですか?」
    不機嫌そうな顔でボクは答えた。
    「ちょっと飲まないか?ツカサと話がしたいんだよ。」

    2005-07-31 23:07:00
  • 127:

    きらきらアフロ

    そういうとトオルさんは黙々とシェイカーを磨き始めた。
    ボクには答えるヒマがなかった。憂鬱な時間ゆっくりと過ぎていった。
    でもなぜか店が終わるのが待ちどおしかった。

    2005-07-31 23:17:00
  • 128:

    きらきらアフロ

    「でもな、やっぱりふられちゃったわけよ。それから・・・。」
    酒が進むにつれてトオルさんは段々ご機嫌になっていった。
    「なぁツカサ聞いてんのかよ?」
    真っ赤になった顔でボクの顔を覗き込んだ。
    「何かあったんですか?」

    2005-07-31 23:22:00
  • 129:

    きらきらアフロ

    あまりの機嫌のよさをボクは不思議に思った。
    すると本当に一瞬だったけれどトオルさんの顔が曇った。
    「まぁいろいろな・・・。」
    初めてトオルさんがボクに見せた寂しそうな顔だった。
    少しの沈黙のあとトオルさんが口を開いた。

    2005-07-31 23:29:00
  • 130:

    きらきらアフロ

    「なぁツカサ。本当に大切なものってあるか?」
    さっきまでの陽気なトオルさんはもうそこにはいなかった。
    「大切なものですか・・・?たくさんありすぎてわからないです。」
    ロックグラスに氷を足しながら答えた。

    2005-07-31 23:42:00
  • 131:

    きらきらアフロ

    「そうか。たくさん・・・か。」
    トオルさんはバーボンを注ぎ足すとまた口を開いた。
    「でもな。本当に大切なものはひとつしか持てないんだよ。」
    「自分の中で大切であればあるほどな。」

    2005-08-01 00:00:00
  • 132:

    きらきらアフロ

    そういうとバーボンを流し込むように口に含んだ。
    「本当に大切なもの・・・。」
    ボクにとって本当に大切なものって・・・。
    「ちょっと風にあたってくるわ。」
    トオルさんはふらついた足でドアを開けた。

    2005-08-01 00:12:00
  • 133:

    すいか

    いつも見てます?まぢおもろい?続き気になるー?

    2005-08-01 00:19:00
  • 134:

    きらきらアフロ

    すいかさんありがとです☆

    2005-08-01 00:46:00
  • 135:

    きらきらアフロ

    ボクはロックグラスを回しながら考え込んだ。
    「カラン・カラン。」氷が音を立てながらゆっくり溶けていった。
    「トオルさんの本当に大切なものってなんですか?」
    タバコをくわえたまま戻ってきたトオルさんにボクは聞いた。

    2005-08-01 00:57:00
  • 136:

    きらきらアフロ

    「突然だな。何でそんなこと聞きたいんだ?」
    トオルさんはボクの顔を覗き込みながら言った。
    「ちょっと気になっただけなんですけど。」
    ボクは少しうつむきながら答えた。

    2005-08-01 01:05:00
  • 137:

    きらきらアフロ

    タバコの煙をフーッと吐き出しトオルさんは口を開いた。
    「お前たちだよ。」
    ボクは唖然としてしまった。予想してなかった言葉だった。
    「何でボク達なんですか?」

    2005-08-01 01:10:00
  • 138:

    きらきらアフロ

    ボクはいつのまにかトオルさんの世界に引き込まれていた。
    「オレはずっと一人だったから・・・。」
    「物心ついたときには両親は居なくて、オレは施設で育ったんだよ。」
    「一番辛かったのが参観日だったね。周りの子がうらやましかったっけ。」
    氷で薄まったバーボンを飲みながら話は続いた。

    2005-08-01 01:18:00
  • 139:

    きらきらアフロ

    「オレにはずっとどこにも居場所がなかったんだよ。」
    「でもこの店を開いたときに思ったんだ。ここがオレのホーム(家)だって。」
    「だからここにいる奴はみんなオレの家族なんだよ。」
    「オレはやっと自分の居場所が見つかった。」
    「だから・・・。オレの本当に大切なものはお前たちなんだよ。」

    2005-08-01 01:30:00
  • 140:

    きらきらアフロ

    トオルさんは話を終えるといつものようにニコッと笑った。
    「ここをボクの居場所にしてもいいんですか?」
    体の奥のほうからこみ上げるように出た言葉だった。
    「あぁ。ここがツカサの居場所だよ。」

    2005-08-01 01:48:00
  • 141:

    きらきらアフロ

    トオルさんはボクの髪をクシャッと撫でながらいった。
    ボクは泣いた。声を上げて泣いた。
    それからボクはトオルさんにすべてを話した。
    居場所がなかったこと。不安だったこと。孤独だったこと。
    そして・・・リナのことを。

    2005-08-01 01:56:00
  • 142:

    きらきらアフロ

    「そっか。遠距離恋愛か。」
    トオルさんは考え込むように黙った。ボクは胸に詰まっていた思いをすべて話した。
    「なぁツカサ?どうして本当に大切なものはひとつしか持てないかわかるか?」
    やっと落ち着き始めたボクに問い掛けた。
    「わからないです。ボクにはたくさんありすぎてひとつに絞れないから。」

    2005-08-02 01:07:00
  • 143:

    きらきらアフロ

    そう言うとトオルさんはニコッと笑った。
    「大切なものがたくさんありすぎるとな、持ちきれずに掌の上から零れ落ちていくんだよ。」
    「それが大切であればあるほど掌の上で大きくなっていくんだ。」
    「だから本当に大切なものだけを両手でそっと包んであげるんだよ。」

    2005-08-02 02:04:00
  • 144:

    きらきらアフロ

    「今はまだわからなくてもいいんだよ。」
    「いつかツカサにも本当に大切なものが見つかる日が来るさ。」
    そう言うとまたバーボンを注ぎ足した。
    静まり返った店内に差し込む光の柱がとてもキレイだった。

    2005-08-02 02:26:00
  • 145:

    きらきらアフロ

    ボクにやっと居場所ができた。町を出たボクが一番欲しかったものだった。
    ビルに囲まれた小さな四角い空を見上げながら帰り道を歩いた。
    真夏にしては乾いた爽やかな風がボクを吹きぬけた。
    ボクはリナに会いたくて仕方がなかった。

    2005-08-02 02:37:00
  • 146:

    名無しさん

    ☆しぉり☆

    2005-08-08 01:52:00
  • 147:

    きらきらアフロ

    部屋に戻るといつものようにポストを開けた。
    チラシにまぎれた一通のピンク色の手紙をボクは手にとった。
    差出人は・・・リナだった。
    ガランとした部屋の中でボクは手紙を開いた。海の匂いが部屋に広がった。

    2005-08-09 01:03:00
  • 148:

    きらきらアフロ

    懐かしい匂いだった。
    リナとは町を出て以来連絡を取ってなかった。
    一回連絡を取ってしまうと帰りたくなってしまうのは分かりきっていたから。
    でも今のボクなら。居場所のできた今ならガマンできると思っていた。
    でも・・・。

    2005-08-09 01:09:00
  • 149:

    きらきらアフロ

    ツカサへ。
    ツカサが町を出ていってもう二ヶ月もたつんだね。ツカサのいなくなったこの二ヶ月は本当に長く感じたんだ。
    たった二ヶ月が永遠にも思えたんだよ?でも私のツカサへの気持ちがどれだけ大きかったか分かったの。

    2005-08-09 01:32:00
  • 150:

    きらきらアフロ

    ツカサへの気持ちが大きくなれば大きくなるほど私は辛くなった。
    どうしてあの日ツカサに付いていかなかったんだろうって思ってた。
    無理なのはわかってたんだけどね。私には勇気がなかった。

    2005-08-09 02:25:00
  • 151:

    きらきらアフロ

    電車に乗り込むツカサを改札の陰から見てることしか私にはできなかった。
    すごく後悔したしたくさん泣いた。
    でもね、この二ヶ月の間に私は自分の気持ちを整理することができたんだ。
    整理して出た答えはツカサと別れるってこと。

    2005-08-09 02:36:00
  • 152:

    きらきらアフロ

    自分の中で大きくなっていくツカサへの気持ちに私は耐え切れなくなったの。
    私は本当に弱い女だった。本当にごめんなさい。
    ツカサは私に言葉では表せないほどたくさんの思い出をくれたね。
    今まで本当にありがとう。

    2005-08-09 02:43:00
  • 153:

    きらきらアフロ

    ボクはただ呆然と天井を見上げていた。
    体を動かすことすら出来なかった。
    どれだけの時間が過ぎていったのだろう?
    部屋に広がっていた懐かしい海の匂いもいつのまにか消えていた。

    2005-08-09 02:52:00
  • 154:

    名無しさん

    あげ?

    2005-08-11 03:58:00
  • 155:

    きらきらアフロ

    頬から涙が零れ落ちた。天井がうっすら涙でぼやけて見えた。
    やっと気づいた。今までずっと気づいてないふりをしてたんだ。
    失ってからやっと。
    ボクの本当に大切なものって・・・。リナだったんだ。

    2005-08-14 04:04:00
  • 156:

    きらきらアフロ

    ボクは部屋を飛び出した。エレベーターを待たずに階段を駆け下りた。
    外はうだるような暑さだったけど気にならなかった。
    サンダルのまま駅までの長い道のりをボクは走った。
    クーラーを消し忘れた。カギだって掛けてなかった。そんなことわかってた。
    ボクはただ・・・リナに会いたかった。

    2005-08-14 04:24:00
  • 157:

    名無しさん

    しおり?

    2005-08-14 15:17:00
  • 158:

    きらきらアフロ

    160さんありがとです☆

    2005-08-15 03:10:00
  • 159:

    きらきらアフロ

    改札を通り抜け、人であふれ返っている階段を駆け上がった。
    朝のラッシュの時間は過ぎていたのに電車の中はやけに込んでいた。
    電車の窓からは灰色の大きなビルしか見えなかった。
    窓から見えるこの景色がボクの憧れていた町だったんだ。

    2005-08-15 03:15:00
  • 160:

    きらきらアフロ

    トンネルを抜けると青い海が窓いっぱいに広がった。
    何も変わっていなかった。うっすら香る海の匂いも。キラキラ光る青い海も。
    本当に何ひとつ。変わったのはボクだけだった。

    2005-08-15 03:41:00
  • 161:

    きらきらアフロ

    ドアが開くと胸いっぱいに海の匂いが広がった。
    電車を降りるとボクはリナの家まで走った。
    早く顔が見たかった。早く声が聞きたかった。早く会いたかった。
    何よりもこの両手でリナを抱きしめたかった。

    2005-08-15 04:04:00
  • 162:

    ???

    すごぃおもしろかったです??続けが気になるし完結まで頑張って下さい???

    2005-08-15 22:06:00
  • 163:

    きらきらアフロ

    165番さんありがとです☆ほんまにうれしいです。

    2005-08-16 03:31:00
  • 164:

    きらきらアフロ

    リナの家の前に着いたボクの心臓はドキドキ音を立てていた。
    家の門を開けようとしたとき玄関に人影が見えた。
    「ツカサくん?」「久しぶりじゃない。」
    玄関から出てきたのはリナのおばさんだった。

    2005-08-16 03:37:00
  • 165:

    きらきらアフロ

    「おばさんっ!」「リナは、リナは今居ますか?」
    ボクにはおばさんの声さえ届いていなかった。
    「ちょっと落ち着いて。」「リナは家にはいないわよ。」
    おばさんは取り乱してるボクをなだめるように答えた。

    2005-08-16 03:46:00
  • 166:

    きらきらアフロ

    「そうですか・・・。」「ボク探してきます。」
    そう言い残してボクはまた走り出した。向かう先はもう決まっていた。
    サンダルはすごく走りにくかった。そんなことどうでもよかった。
    ボクは思った。もしやり直せるなら二度とリナを離さないって。

    2005-08-16 03:56:00
  • 167:

    きらきらアフロ

    坂を下りきるとキラキラ光る海が目の前に広がった。
    ボクは堤防から砂浜へと続く階段を駆け下りた。
    砂浜を歩く見慣れた後ろ姿が目に入った。

    2005-08-16 04:17:00
  • 168:

    きらきらアフロ

    「リナ!」
    たった二人しかいない砂浜にボクの声が響いた。
    振り返ったリナはボクを見つけるとその場に立ち尽くしていた。
    ボクは一歩。また一歩足を踏み出した。
    今にも泣き崩れそうなリナのほうに。

    2005-08-16 04:29:00
  • 169:

    名無しさん

    しおり?

    2005-08-21 03:19:00
  • 170:

    きらきらアフロ

    「ツカサ・・・?」
    リナは零れ落ちそうなほどの涙を目に溜めていた。
    ボクは何も言わずにその華奢な体をギュッと抱きしめた。
    真っ青な空の暖かな日差しが僕らをそっと包んだ。

    2005-08-21 04:11:00
  • 171:

    きらきらアフロ

    「ただいま。」
    ボクの腕の中で涙を流すリナの耳元で一言だけつぶやいた。
    「おかえり・・・。」
    ボクはその言葉が聞きたかった。ボクにはそれだけで十分だった。

    2005-08-21 04:18:00
  • 172:

    きらきらアフロ

    今になってトオルさんの言ったことがやっと分かった。
    手をつないでいても何気ないことでその手は離れてしまうんだ。
    だからボクはこの両手でリナを抱きしめた。
    もう二度と離さないように・・・。

    2005-08-21 04:24:00
  • 173:

    きらきらアフロ

    いつの間にか空が赤く染まり始めていた。
    「遅くなってごめんね?迎えに来たよ。」
    ボクは子供のように泣きじゃくるリナの涙をぬぐった。
    ボクはもう一度ギュッと抱きしめた。
    オレンジ色の入道雲が沈んでいく太陽を追いかけていった。

    2005-08-21 04:35:00
  • 174:

    きらきらアフロ

    ボクらは白い砂浜に座り、空に浮かぶ月が白く輝きだすまで話をした。
    ボクはこのまま時が止まって欲しかった。
    「帰ろっか?」
    リナがつないでいた手を離してとつぶやいた。

    2005-08-23 21:26:00
  • 175:

    きらきらアフロ

    ボクは離したくなかった。
    今離してしまえばもう二度と手をつなげないような気がしたから。
    「おばさんに話をしに行くよ。」
    ボクの腹はもう決まっていた。リナを連れて行くんだって。

    2005-08-23 21:30:00
  • 176:

    きらきらアフロ

    「エッ?本気なの・・・?」
    リナは驚いたような顔でボクの目を見つめた。
    「うん・・・。もう決めたんだ。」
    そう言うとリナの頬を涙が伝った。涙の跡がまた増えていった。

    2005-08-23 21:40:00
  • 177:

    きらきらアフロ

    堤防の上につながる階段を二人で上った。もちろん手はつないだままで。
    久しぶりのいつもの帰り道は、なんだか照れてうまく話が出来なかった。
    でもボクは決めたんだ。
    もう後悔だけはしたくないから。
    ボクらは夏の匂いが残る満天の星空の下を歩いた。

    2005-08-24 01:22:00
  • 178:

    ???

    久しぶりに見ました、頑張って?

    2005-09-04 02:56:00
  • 179:

    ぁゆ

    やばぃっ?むっちゃ切なぃわぁ?頑張ってくらさぃ?

    2005-09-10 09:49:00
  • 180:

    きらきらアフロ

    パソコンが潰れてサボってました?これからはケイタイからカキカキします☆ ???さん、ぁみさんありがとです?

    2005-09-10 11:37:00
  • 181:

    きらきらアフロ

    「リナを連れていかせてもらえませんか?」    ボクはそう話を切り出した。キレイな木目のテーブルの向こうに座るリナの両親は突然の話におどろきを隠せないようだった。   「ちょっと考えさせてくれないか?」       少しの沈黙のあとおじさんは答えた。

    2005-09-10 11:39:00
  • 182:

    きらきらアフロ

    正直ボクはびっくりした。当然反対されるものだと思っていたから…。    「答えるのは明日でいいかな?」         おじさんはボクの目を真っすぐ見つめて言った。  ボクは一回小さく頷いた。「今から少し二人で飲まないか?」

    2005-09-10 11:41:00
  • 183:

    きらきらアフロ

    それからボクらは懐かしい昔話をした。時折見せるおじさんの苦笑いがボクの胸を痛いぐらい締め付けた。「そろそろ帰ります。」 ボクはグラスの中のビールを飲み干すと席を立った。「また明日来ますんで」 真っ赤な顔をしたおじさんは小さく頷いた。

    2005-09-10 11:44:00
  • 184:

    きらきらアフロ

    玄関からボクを見送るおじさんの姿はとても寂しげだった。         ボクは小さくおじさんに頭を下げ歩き始めた。   久しぶりに歩く帰り道はなんだか切ない気持ちでいっぱいだった。      静まりかえった海は星空を映して輝いていた。

    2005-09-10 11:44:00
  • 185:

    きらきらアフロ

    ボクは立ち止まり夜空を見上げた。ほんの少し手を伸ばせばキラめくその星空に届きそうな気がした。  堤防の階段を下り砂浜にボクは寝転んだ。なぜかここにいたかった。夜が明けるまでボクは目を閉じて波の音を聞いていた。

    2005-09-10 11:45:00
  • 186:

    10号

    すげーいぃ?
    目の前に景色や風の匂いを感じれる? 頑張って??

    2005-09-10 11:46:00
  • 187:

    きらきらアフロ

    10号さんありがとです?

    2005-09-10 18:15:00
  • 188:

    きらきらアフロ

    その頃リナの家では…。 「お父さん。リナのことどう考えてるの?」    おばさんはおじさんに問い掛けた。        「そうだな…。」    おじさんはずっと黙り込んでいたけれど、ふと笑みをこぼした。       「行かせてやったらいいんじゃないか?」

    2005-09-10 18:19:00
  • 189:

    きらきらアフロ

    「でも誰かが『そんなことないよ』って、二人の背中をそっと押してあげないと二人は前に進めないんじゃないか?」       「それがオレであっても、反対すべき立場の父親であったとしても…。それはそんなに悪いことじゃないと思うんだ。」

    2005-09-10 18:21:00
  • 190:

    きらきらアフロ

    おじさんは話を終えると窓を明け夜空を見上げた。 「なぁ母さん。きっと大丈夫だよ。離れても同じ空の下にいるんだから。」  おばさんは一回小さく頷いたあと話始めた。    「そういえば、私たちもこの星空の下で恋をしたんだったね。」

    2005-09-10 18:22:00
  • 191:

    きらきらアフロ

    ふたりは寄り添いながら窓から見える星空を見上げていた。         この町で生まれ育ったボクらはみんなこの零れ落ちそうな満天の星空の下で恋をしたんだ。       この夜空に星が流れるたび恋人たちは永遠を願ったんだろう。

    2005-09-10 18:27:00
  • 192:

    名無しさん

    しおり?

    2005-09-11 02:59:00
  • 193:

    名無しさん

    今全部読みました?胸が締め付けられそうなぐらい切ないです?っづきが気になります?

    2005-09-11 04:35:00
  • 194:

    名無しさん

    2005-09-11 20:57:00
  • 195:

    ???

    ???

    2005-09-11 20:57:00
  • 196:

    名無しさん

    ぁげ?

    2005-09-12 08:31:00
  • 197:

    名無しさん

    もっかいァゲ?

    2005-09-13 00:56:00
  • 198:

    名無しさん

    書いてやぁ?

    2005-09-14 15:04:00
  • 199:

    きらきらアフロ

    真っ暗な浜辺を白く輝く月が照らしていた。波音は相変わらず静かだった。たった二ヵ月離れていただけなのに、なぜかとても懐かしく感じた。       町を出てボクは少し大人になった。というよりも大人になったフリをしてるだけかもしれないのだけど…。

    2005-09-15 02:18:00
  • 200:

    きらきらアフロ

    無茶苦茶だってゆうことくらいボクにもわかってた。でも…。それでもボクはリナと一緒にいたいと思ったんだ。         ボクはこの星空に願った。ずっとリナがボクの隣で笑っていてくれますようにって。それだけでボクは幸せだから。

    2005-09-15 02:21:00
  • 201:

    きらきらアフロ

    満天の星空に星は降っていなかったけどそんなことどうだってよかった。ただ願えば叶うような気がしたから…。         ボクはキラキラ光る星空と白く輝く月の下でリナに恋をした。この町で育った誰もがそうであったように。静かな波音がボクをそっと包んでくれた。

    2005-09-15 02:22:00
  • 202:

    きらきらアフロ

    水平線と真っ暗な夜空の間から太陽がゆっくり昇り始めていた。耳を澄ませば微かに海鳥の声がボクの耳に届いた。ボクは立ち上がり両手を広げ伸びをした。 オレンジ色の光が真っ白な砂浜をを照らし始めた。ボクを吹き抜ける海風は、もうすぐそこまで切ない秋を連れてきていた。

    2005-09-16 07:37:00
  • 203:

    きらきらアフロ

    くすんだ青色の列車がホームに滑り込んできた。  ボクは前と同じ窓側の席に腰掛けた。       「ガタン」という音と共に列車は走り始めた。   窓から見える景色も薄れゆく海の匂いも何一つ変わらなかった。ただ一つ変わったのは…

    2005-09-16 07:38:00
  • 204:

    きらきらアフロ

    「やっと二人で一緒に暮らせるね。」       隣に笑顔のリナがいることだった。ボクは隣に座るリナの手をつないだ。   今度はひとりじゃない。 ボクはリナの肩にもたれかけ静かに目を閉じた。  走りゆく列車はふたりを新しい世界に連れて行ってくれるように思えた。

    2005-09-16 07:40:00
  • 205:

    名無しさん

    今初めて読みましたぁー!!感動しましたぁ〜頑張って下さい★

    2005-09-17 07:10:00
  • 206:

    きらきらアフロ

    210さんありがとです☆

    2005-09-19 13:56:00
  • 207:

    きらきらアフロ

    トンネルを抜けるとそこにはもう透き通るような青い空や白く輝く砂浜はなかった。列車の窓から見えるのは狭い灰色の空とそびえ立つ大きなビルだけだった。もう外はだいぶん暗くなり始めていた。列車に乗り込んでくる人々はなぜか寂しげだった。

    2005-09-19 14:08:00
  • 208:

    きらきらアフロ

    町を出てきた頃のボクもきっと同じような顔をしてたんだろう。この灰色に囲まれた大きな町はひとりで生きるにはあまりにも広すぎるから。        寂しそうにたたずむ人々は優しさや誰かのぬくもりを求めているように思えた。居場所がなかったあの頃のボクと同じように…。

    2005-09-19 14:10:00
  • 209:

    きらきらアフロ

    月に照らされてできた影を踏みながらボクたちは帰り道をあるいた。     人込みではぐれないようにつないだ手はギュッとついだままで。       「こうやって手をつないで歩くのも久しぶりだね?」笑顔で話し掛けるリナにボクは顔を真っ赤にしながら一回うなずいた。

    2005-09-19 14:12:00
  • 210:

    きらきらアフロ

    「ここがツカサの部屋なんだ。開けてもいい?」  部屋の前でカギを探すボクにリナは問い掛けた。そのときボクはカギをかけずに出てきた事を思い出した。「うん。入ろっか。」  ボクの胸のドキドキはそのペースをあげていった。 なんだかすごく恥ずかしいよな嬉しいような気持ちになっていた。

    2005-09-21 10:38:00
  • 211:

    きらきらアフロ

    部屋はクーラーがついたままだったからとてもひんやりしていた。      「これを見て迎えに来てくれたの?」       リナは机の上に置いていた手紙を拾い上げ、意地悪そうな顔をして笑った。  「あっ、うん。そうだよ…。」          ボクは恥ずかしくて言葉がなかなか出てこなかった。

    2005-09-21 10:40:00
  • 212:

    きらきらアフロ

    「そうなんだ…。」   リナはその手紙を読み返しながら黙り込んだ。   「でも…。本気だった。」外の雑音に消え入りそうなホントに小さな声だった。ボクはリナにかける言葉が出てこなかった。だからボクはギュッとリナを後ろから抱き締めた。     言葉だけでは伝わらない事もたくさんあるから。

    2005-09-21 10:42:00
  • 213:

    きらきらアフロ

    「暖かい…。ツカサの腕の中にいるとなんだかすごく落ち着くね。」     ボクはこの腕で一番大切なものを抱き締めた。   それだけでボクの心も暖かくなった。       今のボクらに言葉はいらなかった。ただ時間だけがゆっくりとゆっくりと過ぎていった。

    2005-09-21 11:18:00
  • 214:

    きらきらアフロ

    ボクらは窓から見えるこの町の空を見上げた。   「この街の空には星が少ないね。」        リナが少し淋しそうにつぶやいた。        「そうだね…。この街は夜でも明かりが消えることがないから。」      ボクだって淋しかった。 暗い夜がなければ星はキラリと輝けないから。

    2005-09-21 11:20:00
  • 215:

    名無しさん

    2005-09-21 13:37:00
  • 216:

    きらきらアフロ

    221さんありがとです☆

    2005-09-24 11:39:00
  • 217:

    きらきらアフロ

    目が覚めるともう太陽は沈み始めていた。窓からはオレンジ色の光の柱が差し込んてきていた。となりではリナがまだ眠たそうに目をこすっていた。
    「おはよう。」
    リナのその言葉を聞いただけでボクは嬉しかった。
    やっとボクらの新しい生活が始まった。なんだか照れ臭かった。

    2005-09-24 11:41:00
  • 218:

    きらきらアフロ

    その言葉を聞いてボクは布団を頭からかぶった。
    窓から入ってくる風が少し肌寒かった。秋がもうすぐそこまでやってきているようだった。
    「行ってくるね。」
    ボクは玄関からリナに手を振りながら言った。
    「行ってらっしゃい。」
    リナは少し微笑んでそう言った。

    2005-09-24 11:43:00
  • 219:

    きらきらアフロ

    部屋を出てエレベーターを待っている間ボクは、少しニヤけてしまった。
    こんなにも胸が暖かくなるなんて思ってもいなかったから。
    外に出るともう夕日は沈む寸前で、入れ替わるように夜空がこの灰色の街に広がり始めていた。

    2005-09-24 11:45:00
  • 220:

    きらきらアフロ

    「一緒に暮すのもそろそろ慣れてきたか?」
    トオルさんがボクの顔を覗き込んできた。お決まりの緩んだニヤけた顔で。
    「まぁボチボチですよ。」なぜか答えるボクの顔も緩んでしまっていた。もう働きだして半年になるからかボクも大分打ち解けてきていた。

    2005-09-24 11:46:00
  • 221:

    きらきらアフロ

    「久しぶりに今日は付き合えよ。いいだろ?」
    いつものように強引な誘いだった。でもボクはそんなトオルさんに憧れていた。「リナちゃんに連絡しとけよ。女はいちいちうるさいからな。」
    振り返ってボクを見ると、ニヤけた顔でそう言った。

    2005-09-24 11:48:00
  • 222:

    きらきらアフロ

    「もう冬だな。寒いときには酒でも飲まないと体が暖まらないんだよ。」
    トオルさんはもう顔を真っ赤にしていた。いつものバーボンを片手にご機嫌だった。店の中の照明を落としていたからか、手に持ったグラスがやけに鈍く輝いていた。

    2005-09-24 11:49:00
  • 223:

    きらきらアフロ

    「リナちゃんとうまくやってるみたいだな。」
    グラスを少し傾けたトオルさんはなんだか嬉しそうだった。
    「まぁボチボチです。」
    お決まりの言葉をトオルさんに返した。くだらない話の繰り返しだったけどボクはこの時間が好きだった。

    2005-09-24 11:50:00
  • 224:

    きらきらアフロ

    氷がなくなったことに気付いたボクは、ソファーから立ち上がった。カウンターを通り過ぎようとしたときだった。ちょうどカウンターの真ん中にカクテルグラスが置かれていた。
    透き通るような、銀色に光るカクテルだった。

    2005-09-24 11:51:00
  • 225:

    きらきらアフロ

    そのスノースタイルの銀色のカクテルはスポットライトの光を浴びて本当にきれいだった。
    「マルガリータですか?」ボクは振り返りトオルさんに問い掛けた。
    「あぁそうだよ。そのままにしといてくれ。」
    いつのまにか顔から笑みが消えていた。

    2005-09-24 19:45:00
  • 226:

    きらきらアフロ

    「何かあったんですか?」BOX席のソファーに戻ったボクは顔色をうかがうように聞いた。
    「ツカサもバーテンやってるならわかるだろ?」
    トオルさんはため息を一つついてグラスに氷とバーボンを継ぎ足した。
    マルガリータ…。マルガリータって…。

    2005-09-24 19:47:00
  • 227:

    きらきらアフロ

    「えっ?もしかして?」
    思わずボクは言葉を失ってしたった。
    「今日が命日なんだよ。」トオルさんはうつむいて答えた。
    マルガリータはあるバーテンが、若い頃亡くなった恋人を想って作ったカクテルだった。

    2005-09-24 19:52:00
  • 228:

    名無しさん

    頑張ってね?

    2005-09-26 10:02:00
  • 229:

    きらきらアフロ

    234さんありがとです☆

    2005-09-26 11:35:00
  • 230:

    きらきらアフロ

    「もう昔の話だけどな。」ボクが今まで見たことのない表情でトオルさんは話を始めた。
    「長くなるけどいいか?」ボクは一回だけうなずいてグラスに氷を足した。
    訪れた冬の凛とした静けさが店の中を包んだ。時計の針の動く音だけが耳に入ってきた。

    2005-09-26 11:36:00
  • 231:

    きらきらアフロ

    「もう2年も前の話なんだけどな。」
    タバコに火をつけるその横顔はとても穏やかだった。窓の外は初雪がふわりふわりと舞始めていた。
    「雪か…。」
    「ちょうどこんな粉雪が降る夜だった。あいつが逝ったのは。」

    2005-09-26 11:37:00
  • 232:

    名無しさん

    っづき書ぃてぇ?めたこの話スチです?

    2005-09-29 02:18:00
  • 233:

    名無しさん

    まぢ上げとくわ?

    2005-09-29 13:48:00
  • 234:

    きらきらアフロ

    238さん。239さんありがとです。

    2005-09-29 23:00:00
  • 235:

    きらきらアフロ

    「あいつに出会ったのは…3年前だったっけ。あんまりよく覚えてないんだけどな。ただ…冷たい目をしていた。誰も寄せ付けないような目だった。」
    「あいつは昔オレが働いていたバーに一人で来てたんだ。目が合った瞬間にオレは恋に落ちた。」

    2005-09-29 23:01:00
  • 236:

    きらきらアフロ

    「その冷めた目になぜか自分を重ねてたんだ。たぶんオレと同じ匂いがしたんだろうな。その凛とした雰囲気が逆に痛々しくもあったけれど。」
    「オレたちは特別な会話をするわけでもなかった。ただの客とバーテン。それ以上でもなければそれ以下でもなかった。」

    2005-09-29 23:02:00
  • 237:

    きらきらアフロ

    「だけどいつのまにか互いに惹かれっていた。たぶんあいつもオレと同じように自分と重なるところがあったんだろうな。」
    そう言うとトオルさんは小さな、ほんとうに小さなため息を一つついた。   窓の外を粉雪が音を立てずに舞落ちていった。

    2005-09-29 23:17:00
  • 238:

    きらきらアフロ

    「それから一緒に暮らし始めるまで時間はそうかからなかった。今思えばお互い自分の傷を癒してくれる人を探してたんだろうな。」「ただ誰かに傍にいて欲しかった。ただ誰かの傍にいたかった。ただ…。誰かのぬくもりが欲しかったんだ。」

    2005-09-29 23:58:00
  • 239:

    きらきらアフロ

    「それから毎晩オレたちは将来の夢の話しばかりしてたっけ。いつか二人でバーを開こうってな。そのために必死で働いたんだ。」
    「そしてあいつは夜の世界に踏み込んだ。後になって後悔した。あのときオレが止めてればって。辛い思いなんかさせずに済んだのにって。」

    2005-09-30 01:57:00
  • 240:

    きらきらアフロ

    そう言うとトオルさんは黙り込んでしまった。グラスの中のバーボンは氷が溶けて薄まりキレイな琥珀色をしていた。
    グラスに残ったバーボンを一口で開けるとトオルさんはまた口を開いた。

    2005-09-30 01:57:00
  • 241:

    きらきらアフロ

    「あいつのおかげで金は貯まっていった。でもそれと引き替えに…。もともと体が弱かったあいつに無理ばっかりさせてたんだな。」「でもオレがもっと気にかけていたら…。あいつは今もオレの傍で笑っていてくれたはずなのに。」

    2005-10-02 00:09:00
  • 242:

    きらきらアフロ

    「こんな粉雪が舞う夜はいつもあいつの事を思いだしてしまうんだ。後悔だけが今もオレを…。」
    「あいつは最期に言ったんだ。『ねぇトオル?あなたに出会い同じ時を過ごせた事が私にとって何よりも大切な宝物だった。』って目に涙をいっぱい溜めて。」

    2005-10-02 00:10:00
  • 243:

    きらきらアフロ

    「そしてあいつは…。小雪はゆっくりと目を閉じたんだ。ほほ笑みを浮かべながらゆっくりと。」
    「そしてその後オレはこのバーを開いたんだ。このバーは…『Littel Snow』は オレと小雪が同じ時を生きた証なんだよ。」

    2005-10-02 00:11:00
  • 244:

    ひろしです

    めちゃ面白いです。頑張ってくださいね!

    2005-10-02 00:57:00
  • 245:

    名無しさん

    続き書ぃてぇ(^ε^)-☆Chu!!

    2005-10-05 21:56:00
  • 246:

    名無しさん

    ぁげぇ(*^。^*)

    2005-10-20 14:36:00
  • 247:

    名無しさん

    2005-10-21 00:52:00
  • 248:

    名無しさん

    ふむ

    2005-10-23 03:59:00
  • 249:

    名無しさん

    おもろい

    2005-10-23 16:31:00
  • 250:

    名無しさん

    まぢぁげ?

    2005-10-24 00:43:00
  • 251:

    きらきらアフロ

    みなさんありがとです☆久しぶりに更新します♪

    2005-10-27 00:54:00
  • 252:

    きらきらアフロ

    「だから…オレは小雪を守れなかった分、小雪の想いがたくさん詰まったこの店を守っていかなきゃいけないんだよ。」
    「今のオレが小雪の為にしてあげれる事があるとすれば…。もうそれくらいしかないだろうから。」

    2005-10-27 00:55:00
  • 253:

    きらきらアフロ

    話を終えるとトオルさんはカウンターの奥へと入っていった。たぶんボクに涙を見られたくなかったんだろう。人は自分が思っているほど強くはないから…。
    窓から差し入る月明かりが静まり返った店内を少し暖めた。街に舞い降りる粉雪はゆっくりと街を真っ白に染めていった。

    2005-10-27 01:13:00
  • 254:

    きらきらアフロ

    「くだらない話して悪かったな…。なんだか酔いが覚めちまったよ。でも誰にだって忘れられない過去があるんだよな。オレにあるようにきっとツカサにも。」うつむくトオルさんの肩は小さく震えていた。ボクはトオルさんにかける言葉をグルグル回る頭の中で探し続けていた。

    2005-10-27 01:17:00
  • 255:

    名無しさん

    嘘つきわ泥棒の終わり

    2005-10-27 01:19:00
  • 256:

    きらきらアフロ

    「今日はもうお開きにしないか?今日は…ひとりになりたいんだ…。」    体の底から振り絞ったような悲しげな声だった。
    ボクは黙って席を立った。そして振り返らずに店の扉を開けた。何もいわずに店を出たのは、トオルさんの弱いところをみたくなかったから…。

    2005-10-27 01:19:00
  • 257:

    名無しさん

    また時間できたら更新してくれぇ?

    2005-11-05 15:03:00
  • 258:

    ミックス

    きらきらアフロさんもう書かないんですか???楽しみに待ってます???

    2005-11-15 15:55:00
  • 259:

    名無しさん

    2005-11-15 16:00:00
  • 260:

    きらきらアフロ

    読んでくれてた方サボっててすいません?レスしてくれた方、アンカーつけてくるた方ありがとです?

    2005-11-19 13:23:00
  • 261:

    きらきらアフロ

    扉を開けると真っ白な粉雪がふわりふわりと舞い降りていた。初雪の中、ボクはひとりで帰り道を歩いた。胸が苦しかった。切なかった。虚しかった。人は大切な物を失って、初めてその大切さに気付くんだ。失って初めて見えてくるものもたくさんあるはずだから。

    2005-11-19 13:24:00
  • 262:

    きらきらアフロ

    街はまだ薄暗くて朝を迎えるまでもう少しかかるみたいだった。ボクは無性にリナに会いたくなった。こんな寒い冬は誰かのぬくもりがやけに恋しくなるから。トオルさんはいつもこんな切ない冬をひとりで過ごしていたんだ。やりきれない想いをひとり抱え込んで。

    2005-11-19 13:25:00
  • 263:

    きらきらアフロ

    ‐Littel Snowでは…。 暗い店内でマルガリータが月明かりを浴びて銀色に輝いていた。たばこの煙がゆらりゆらり店内を包み込んだ。
    「なんでオレを残して逝っちゃったんだよ…。」  涙まじりの声にならない声が静かな店内にかすかに響いた。

    2005-11-19 13:26:00
  • 264:

    きらきらアフロ

    そこには小さく肩を震わせたトオルさんがいた。
    「まだ…。まだいっぱいやり残したことがあったじゃねぇか…。」
    トオルさんの目から涙がとめどなく流れた。カウンターの上に小さな涙がポツリ、ポツリと落ちていった。スポットライトに照らされた涙がキラリと光った。

    2005-11-19 13:27:00
  • 265:

    きらきらアフロ

    「でも…。オレは幸せだったよ。たくさん泣かせたし、たくさん困らせたけど。どうしようもないオレを小雪が救ってくれたんだ。」
    「なぁ小雪?オレたちが出会ったのもこんな粉雪が降る夜だったよな?もう一度あの夜に戻れるなら二度とおまえを放したりしないよ…。」

    2005-11-19 13:29:00
  • 266:

    きらきらアフロ

    トオルさんは銀色に輝くマルガリータを飲み干した。そして、カウンターの中に入るとシェイカーを振り始めた。
    そのスノースタイルのカクテルグラスに注がれたのは透き通った真っ白なカクテルだった。まるで舞い降りる粉雪のような色をしていた。

    2005-11-19 13:31:00
  • 267:

    きらきらアフロ

    「もうオレなら大丈夫だよ。心配しなくても大丈夫だから…。もし出来ることなら夢の中でもいいから…。小雪に会いたいな…。」
    静かな店内にトオルさんの独り言が響いていた。舞い降りる粉雪は振り止む気配もなくこの街を白く染めていった。

    2005-11-19 13:31:00
  • 268:

    ミックス

    更新まってます?

    2005-12-16 00:22:00
  • 269:

    名無しさん

    2006-01-04 12:39:00
  • 270:

    ミックス

    きらきらアフロさん?
    もう書くの辞めたんですかぁ?

    2006-01-12 08:20:00
  • 271:

    名無しさん

    かいて

    2006-01-20 01:27:00
  • 272:

    きらきらアフロ

    レスしてくれた方ほんとにありがとです☆ちょびってだけ更新します♪

    2006-01-20 14:07:00
  • 273:

    きらきらアフロ

    冬らしい乾いた寒さで目が覚めた。となりではリナが静かな寝息をたてていた。ボクは暖かな布団のなかにもぐり込んだ。
    リナの温もりがボクの体を少しずつ暖めていった。誰かの温もりというのはなんて人を幸せな気分にさせてくれるのだろう。

    2006-01-20 14:08:00
  • 274:

    きらきらアフロ

    窓の外を覗くともう雪は降り止んでいた。この灰色の街は雪化粧をして真っ白に染まっていた。昇り始めた朝日に照らされていつもより輝いて見えた。
    ただ、目に映る景色や季節は変わっても毎日の代わり映えない生活に退屈していたのもウソじゃなかった。

    2006-01-20 14:09:00
  • 275:

    きらきらアフロ

    何も変わらない同じような毎日にボクは不満だらけだった。ただそう思えるということは、逆に幸せなのかも知れないのだけど。
    一緒に暮らし始めた時はすべてが輝いて見えていたはずだった。でも今のボクには何もかも。そう、すべてがマンネリに感じるようになってしまっていた。

    2006-01-20 14:10:00
  • 276:

    きらきらアフロ

    「じゃあ行ってくるね。」「うん。言ってらっしゃい!」
    ボクはいつものようにリナに手を振って家のドアを開けた。
    白く染まった街を横目に見ながらボクは『Littel Snow』までの並木道を歩いた。
    大きなビルに囲まれた小さな四角い空を見上げると、灰色の分厚い雲がどんより広がっていた。

    2006-01-20 14:11:00
  • 277:

    きらきらアフロ

    ボクはあの零れ落ちそうな満天の星空が恋しくなった。
    きっとリナも…。
    この街は窮屈すぎて息が詰まってしまうから。

    2006-01-20 14:13:00
  • 278:

    名無しさん

    2006-01-22 18:18:00
  • 279:

    ミックス

    やったぁ?更新されてる?きらきらアフロさん?頑張って下さいね?

    2006-01-23 12:11:00
  • 280:

    きらきらアフロ

    ボクはあの小さな町に帰りたくなった。本当に何もない小さな町だったけれど。胸を締め付けられるような痛みをボクは感じていた。そんな事を考えていたせいか、今日だけはいつもの『Littel Snow』までの道程が長く感じた。この街に来て初めての事だった。

    2006-03-16 12:22:00
  • 281:

    きらきらアフロ

    「とりあえず今日はジントニックにするわ。」
    ケンちゃんはカウンター席に着くなりボソッとつぶやいた。
    ケンちゃんは年も近かったせいか『Littel Snow』でボクの一番仲のいいお客さんだった。それにこの街でたった一人の友達でもあった。

    2006-03-16 12:22:00
  • 282:

    きらきらアフロ

    「もう冬も終わりやなぁ。昨日の雪が最後やろ。」
    そう言ってケンちゃんはグラスに口をつけたあと天井を見上げた。
    「そうだね…。」
    ボクはボソッと答えた。
    「なんやツカサ!元気ないみたいやな?またリナちゃんとケンカでもしたんやろ?」

    2006-03-16 12:24:00
  • 283:

    きらきらアフロ

    ケンちゃんはボクの顔を覗き込みながら笑った。ケンちゃんの笑う顔は本当に子供のようで今のボクにとって眩しすぎる笑顔だった。「そんなんじゃないよ。」ボクはグラスを磨く手を止めてうつむいてしまった。「何かあったんか?」
    ケンちゃんの顔から笑みが消えた。

    2006-03-16 12:26:00
  • 284:

    きらきらアフロ

    「ねぇケンちゃん?この街に出てきたときの事って覚えてる?」
    ボクから目線を外さないケンちゃんに問い掛けた。
    ケンちゃんは少し驚いた顔をしたあと話始めた。
    今までボクに見せたことのないバツの悪そうな表情を浮かべながら。

    2006-03-16 12:27:00
  • 285:

    きらきらアフロ

    「…。どこから話始めたらええんかわからんけど…。結論からゆったらオレはこの街に夢見てたんや…。憧れて…。」
    ボソッとつぶやくとグラスの中で弾ける泡をじっと見つめていた。まるで何かをゆっくり思い出すような…そんな雰囲気だった。

    2006-03-16 12:28:00
  • 286:

    きらきらアフロ

    「でも夢と憧れってゆうもんはほんまに怖いな。まわりが見えへんようになる。自分にとってほんまに大事なもんとそうじゃないもんの区別がつかんようになるんや。」
    「でもこの街にあったんは夢とか憧れやなくて孤独や不安だけやったんや…。」

    2006-03-16 12:29:00
  • 287:

    きらきらアフロ

    「この街で生きてる奴は何度となく大事なもんを無くしてるんちゃうか?もちろんおれやツカサもな…。」ケンちゃんはグラスに浮かんだ水滴を人差し指でサッと拭き取ると豪快に飲み干した。まるで胸の奥からこみあげてくる何かを押さえ込むように…。

    2006-03-16 12:31:00
  • 288:

    のぞみ

    今日初めて読ませてもらレIま?ナニ?
    すごぃ続きが気になります?更新待ってますね(?U?U?)-???

    2006-03-19 05:22:00
  • 289:

    きらきらアフロ

    「でもな、おれは最近思うんや。自分の夢なんか自分で叶えなアカンってな。自分の大切なもんは自分で守らなアカンってな。」
    「今までのおれはいつも他人のせいにしてたから…。この街はそんな奴ばっかりやったから…。」

    2006-03-26 23:29:00
  • 290:

    きらきらアフロ

    そう言うとケンちゃんはお気に入りのタバコに火を点けた。まだ人の少ない店の中に白い煙がゆらりゆらりと舞った。
    スピーカーから流れる切ないR&Bがボクらを優しく包み込んだ。きっと夢を叶えた誰かが歌っているんだろうな…。

    2006-03-26 23:30:00
  • 291:

    きらきらアフロ

    「ケンちゃんの夢って何だったの??」
    ボクはふいに問い掛けた。聞いていいのか悪いのかわからなかけれど…。
    『カラン』と氷の溶ける音がしたあとケンちゃんは顔をあげてニヤリと笑った。いつもの子供のような笑顔だった。

    2006-03-26 23:31:00
  • 292:

    きらきらアフロ

    「絶対笑ったらアカンで!ほんまに恥ずかしいんやからな。」
    ボクはその笑顔を見て正直ホッとした。
    「おれな、アーティストになりたかったんや。地元では有名やったんやで?」
    グラスに残った氷を頬張りながらうれしそうにケンちゃんは話しだした。

    2006-03-26 23:33:00
  • 293:

    きらきらアフロ

    「ボロいアンプ片手に地下道とか歩道橋とかどこでも歌ってたんや。ギターケースいっぱいに抱えきれんほどの夢を詰め込んでな。それから…。」
    ケンちゃんの話はグラスの氷が溶け切るまで続いた。夢の話をする時に、人はなんて輝いた目をするのだろう。いつかはボクもそんな目をするのかな?

    2006-03-26 23:38:00
  • 294:

    きらきらアフロ

    「ツカサ!ちゃんと聞いてるんか?」
    ケンちゃんの声でボクは我に返った。ケンちゃんは催促するようにグラスを回していた。
    「ごめんごめん。次は何にしようか?」
    ボクは少し悪怯れながら問い掛けた。

    2006-03-27 01:40:00
  • 295:

    きらきらアフロ

    「『フォアローゼス』をロックでな。」
    ちょっとスネた顔をしながらケンちゃんは言った。
    ケンちゃんはスネてたけれどボクは気にしなかった。『フォアローゼス』は、いつもケンちゃんが気分のいいときに飲むバーボンだったから。

    2006-03-27 01:41:00
  • 296:

    きらきらアフロ

    澄んだ琥珀色のバーボンをケンちゃんに手渡しボクは思い切って問い掛けた。
    「もう…。夢はあきらめちゃったの?」
    するとケンちゃんはバーボンに口をつけた後、ゴソゴソとポケットから二つ折りの携帯を取り出してボクの目の前で開いた。

    2006-03-27 01:42:00
  • 297:

    ミックス

    応援してます??

    2006-03-27 15:14:00
  • 298:

    きらきらアフロ

    読んでくれてる方いつもいつもありがとです?

    2006-03-28 22:03:00
  • 299:

    きらきらアフロ

    「おれの愛する息子や。」画面いっぱいに小さなケンちゃんが写っていた。
    「似てるやろ?もうかわいいて仕方ないねん。」
    「そうや!ツカサに見せるんは初めてやったなぁ。」画面を見ながらニヤつくケンちゃんはとても嬉しそうだった。

    2006-03-28 22:03:00
  • 300:

    きらきらアフロ

    「あんな、ツカサ。おれの今の夢は立派なパパになることなんや。大きくなったとき自慢されるぐらいの立派なパパにな。」
    「でも音楽をあきらめたわけやないで?おれの夢が形を変えただけや!」
    ケンちゃんはいつもの無邪気な笑顔で答えた。

    2006-03-28 22:04:00
  • 301:

    きらきらアフロ

    ボクはその言葉の意味を理解できずにケンちゃんに問い掛けた。
    「夢が形を変えたってどうゆうこと?」
    「うーん。説明するん難しいなぁ…。」
    ケンちゃんは眉間にしわを寄せて考え込みはじめた。

    2006-03-28 22:47:00
  • 302:

    きらきらアフロ

    「たぶん、それがおれにとっての『幸せ』なんやろうな。音楽よりも大切なもんができたってゆうことやと思うわ。」
    「結局夢をあきらめたわけやないねん。それよりも叶えたい夢ができただけのことや。ただそれだけの事やで?」

    2006-03-28 22:48:00
  • 303:

    名無しさん

    2006-03-28 23:31:00
  • 304:

    きらきらアフロ

    そう言うと汗をかいたグラスに残ったバーボンを飲み干した。そしていつものようにニコッと笑った。
    壁に立て掛けたアンティーク調の時計から『ボーン』という音が八回店内に響いた。するとケンちゃんはあわてて腕時計に目を落とした。

    2006-03-29 01:44:00
  • 305:

    きらきらアフロ

    「アカン!もうこんな時間や!はよ帰らなまた嫁に怒られるわ!」
    ケンちゃんはカウンターに散らばったタバコとライターをポケットに詰め込もうとしていたけれど、慌てていたせいか上手く手につかないようだった。

    2006-03-29 01:45:00
  • 306:

    きらきらアフロ

    「ほな、また来るわ!次に来るときまで元気しとかなアカンで!」
    ケンちゃんはほんのり桜色した顔で手を振った。
    「ケンちゃん!今は幸せなの?」
    ボクはレジへ向かうケンちゃんに問い掛けた。

    2006-03-29 02:00:00
  • 307:

    きらきらアフロ

    「おぉ!幸せや。この世界で一番幸せや!」
    振り向いたケンちゃんはまた大きく二回手を振った。ドアに手をかけたケンちゃんの背中が大きく見えた。守りたいものができた時、きっと人は大きく強くなれるんだろうな…。

    2006-03-29 02:12:00
  • 308:

    名無しさん

    ぁげ

    2006-04-08 20:10:00
  • 309:

    ミックス

    あげ???

    2006-04-11 01:49:00
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