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絆-Kizuna-
-
1:
◎
頑張って書くので宜しくお願いしますm(__)m
2005-06-26 01:28:00 -
491:
◎
「知らないよそんなの。売り上げが下がったのがゆかりのせいなわけ?他にも女何人もいるじゃん。今日だってレイと同伴で来たけど何あれ?待機席だけズラッと並んで座って。文句ゆうならあっちに言ってよ」
私は晃太のことでむしゃくしゃしてたせいか普段はお店で怒ることなんてなかったのに珍しく怒ってしまった。
「ご、ごめん。ただな、ゆかりとレイは今うちの二枚看板なんだよ。月に150本以上指名取れる女が他にいないんだ。だから育つように俺らも頑張るから。ごめんな怒らせて」2005-08-07 02:02:00 -
492:
◎
「あ、うん。ごめんね。ちょっと色々あって八つ当たりしちゃった。とりあえず山田さんのとこ着いてくるよ。後で永井さんと広瀬さんも来るって。予定は二組ね」
事務所を出てフロアに出るといい加減仕事してくれって言いたくなるような女の子達が待機席でガヤガヤうるさく喋っていた。マネージャーが頭悩ませるのもよく分かる。
今は遊び感覚でやってる子が多いのかな?上目指す向上心のある子ってほとんどいない。時代がそうさせるのだろうか。ヘルプさえまともに出来ない、席に着くと即タバコ、お酒に飲まれて酔っ払い、足組みあくびは当たり前で。2005-08-07 02:11:00 -
493:
◎
それじゃあお客さんが付くわけない。駆け引きの世界でそれさえもできない、それ以前に基本もままならないホステスでは腐ったミカンと同じなのに。
席に戻った私はそんなことも忘れたかった。
「久々にピンク飲もうよー」
「いいねー♪レイも飲みたぁい。いいでしょ?」
私達にせかされた二人は顔を見合わせると笑いながら指でオッケーサインをしてくれた。2005-08-07 02:17:00 -
494:
◎
「ありがとー♪お願いしまーす。クリュグ下さーい」
レイと私の声がお店に響いた。昔はお客さん同士の張り合いでシャンパン合戦なんてこともあったなぁ。今は景気のせいもあるのか誕生日以外は見ることもなくなったけど。
クリュグが来て乾杯をしているとお客さんが来たからテーブルボーイにすぐに呼ばれた。こういうのも最近はぁ?って思うんだよね。シャンパン抜いて即効ホステス抜くとかさ。空気読めって突っ込みたくなる。
出来の悪いボーイも考えものなのだ。2005-08-07 02:22:00 -
495:
◎
私は一気にテンションが落ちた。でも次の瞬間またビックリさせられた。入ってきたのは晃太だったからだ。
「ゆかりさんお願いします」
ボーイに呼ばれ呆然とした。何でこんな時間に晃太が一人で来るの?そう思いながら晃太の席にゆっくり腰かけお客さんが引いた静かになった店内の中、シーンとした空気が流れた。
「あ、のさ、まだ怒ってる?」
「怒ってないよ全然」2005-08-07 02:41:00 -
496:
◎
「うそ、顔が怒ってるもん」
「何それ。怒ってないって言ったら嘘になるけど。由里が怒った理由何か分かってんの?女の子と連絡取ってるとかあやしいとかで怒ってるんじゃないよ?」
「えっ?じゃあ何で怒ってるんだよ」
「何でって・・・晃太全然分かってないじゃん。嘘ついたからだよ。つまんない嘘を」
「あ・・・ごめん。ホントにごめん」2005-08-07 02:46:00 -
497:
◎
「っていうかさ、千恵だっけ?その人のことまだ何か思ってるんじゃないの?大学時代だか何だか知らないけどさ。だから由里に隠したんでしょ?」
私はお酒の力もあるせいか次から次へと言葉が出てくる。
「つまんねーことゆうなよ。だったら由里をわざわざ実家連れてって親に紹介なんてしねーだろ?確かに千恵には振られた過去があるけど過去は過去なんだし。もう終わった話なんだから。日曜に同窓会あるけど俺もう行かないから。それでいいだろ?」2005-08-07 02:54:00 -
498:
◎
「それでいいって何なの?行きたいなら行けばいいじゃん。振られたって過去引きずってんじゃないの?行ってくればいいじゃん勝手に。お願いしまーすチェックして」
私は来て10分もたたないうちにチェックしてもらった。伝票がテーブルに来たけど私がサインしてボーイに返した。
「何だよあのサイン」
「いいから。お金由里付けにしてるしもう帰って」
「何なんだよマジで。由里とちゃんと話したくて来たのに。由里は俺の彼女だろ?聞いてんの?・・・もう勝手にするよ!」2005-08-07 03:05:00 -
499:
◎
晃太は怒った声でそう言うとテーブルに十万も置いて帰って行った。私は何故かしばらく動けなかった。
お客さんが全部引いた後、レイが私のところに小走りできて横に座ると何も言わずに隣にいてくれた。悲しいのか悔しいのか分からないけど私は少しだけ涙が出た。
「お疲れ様でしたー」女の子達の声が次々にお店に響く。お店の照明も上がり、店長達が売り上げの精算をしている。私とレイはそのまま珍しく最後まで残っていた。2005-08-07 03:15:00 -
500:
◎
「ゆかりが同伴で本指名が12本、レイが同伴で本指名が8本と場内が2本だな。売り上げはすごいぞー二人合わせたらえーっと今日の三分の二はお前達の売り上げだ・・・ってすげーなお前らは。久しぶりに飯でも行くか焼肉でも何でもいいよ」
「いい」「行かない」
私達の答えはすぐだった。どれだけうまく誉められても今日はそんな気分にはならなかった。帰る用意をしてお店を出るとレイとすぐにタクシーに乗ろうとした。
その時妙な視線を感じ、周りに目をやると昨日のあのダークブルーのアリストらしき車が近くに止まっていた。2005-08-07 03:22:00 -
501:
◎
えっ?あの車?じゃないよね?そう思いながらタクシーに乗り込むと後ろばかり気になって何度も振り返った。
でもタクシーが走り出すとあのアリストも動き出してしまった。気のせいじゃない、でも何で私についてくるわけ?怖いよ
「どーしたの?」
「レイー、今日うち泊まってかない?」
「えっ♪いいの?行く行く♪」2005-08-07 03:29:00 -
502:
??
わぁ?ぃ?更新されてるぅ??
前ヵラ秘かに読んでましたぁ??頑張ってくださぃねぇ??2005-08-07 03:41:00 -
503:
名無しさん
2005-08-07 11:53:00 -
504:
名無しさん
2005-08-08 04:28:00 -
505:
◎
レイは何も分かっていないからかキャッキャと喜んでいた。晃太とは喧嘩したままだし家へと向かうタクシーの中で一人不安な私は晃太に電話をしようか迷っていた。
でも意地を張っているからか電話をかけることができなかった。
「ここでいいです」
私はマンションに着く手前でタクシーを止めた。
「あれ?由里ここでいいのー?」2005-08-09 03:19:00 -
506:
◎
レイが不思議そうに聞いてきた。私はタクシーをおりる前に小さな声で
「なんか後ろの車あやしいから。レイ走れる?とりあえずダッシュでマンションまで回り道するから」
と言った。レイは状況を理解したのか黙ってうなずいた。後ろを確認したらアリストは少し離れた後ろの方に停まっていた。
私達はタクシーをおりてすぐに近くにある車の入れない路地裏の抜け道を使って裏に出ると急いでマンションまで走った。
何度も振り返ったけどさすがについてきている様子はなく、すぐにマンションに入ると部屋に帰った。久しぶりに何だかドキドキした。2005-08-09 03:26:00 -
507:
◎
「由里どうゆうこと?えっ!もしかしてストーカーとか?」
レイも走ったせいか息切れして焦っていた。とりあえず水を飲んで落ち着いた私はレイにアリストの話や昨日からつけられてる感じがすることを話した。
「えー?それってマズクない?モロ矢口さんがらみじゃん!由里まで張られてるってそれしか考えられなくない?」
「うーん・・・分かんない。でも気のせいじゃないよね。気持ち悪いよホントに」
「っていうか今日矢口さんとは仲直りできなかったの?帰り怒ってたよね?」2005-08-09 03:33:00 -
508:
◎
「知らないっ勝手にキレてればいいよあんなやつ。今日はもうその話は禁止ね!」
私は何も考えたくなかった。色々思い出したら頭痛くなりそうだから。
「アタシもね、さっき健にいから着信あったからかけたんだけどさ。好きになったかもって言う前に聞いておこうと思って聞いたら健にいやっぱり女いたんだよね。だからアタシも一人で舞い上がってたなぁってバカらしくなってさ。へーそうなんだーって軽く流したんだけど。ホントは超へこんだ」
レイ・・・。彼女いたんだ。じゃあ何でレイと?私には理解できないや。男って平気なのかな?そういうの2005-08-09 03:44:00 -
509:
◎
私も少し悪い気がした。ムーンに連れて行かなければ健にいとこうなることもなかったのにって。
「あーあー。アタシ遊ばれちゃったみたい。久しぶりにときめいたりしてドキドキしたのにーハハハッ」
笑い声をあげるレイの目は今にも泣きそうになっていた。その時、レイの携帯が鳴りレイが画面をジッと見つめていた。
「メール?」
私が聞くとレイは黙ってうなずいた。そして張り詰めていた糸が切れたかのように泣きだした。私がレイの携帯を取り、画面を見てみるとそれは健にいからのメールだった。2005-08-09 03:51:00 -
510:
◎
玲ちゃんはどう思ってるか分かんないけど今のハンパな状態は嫌なんだ?一回やっただけでって思ってるかもしれないけど俺はマジだったりしたんだよね。めちゃめちゃ惹かれてた。女と別れてキッパリするからその時は俺ととりあえずデートして下さい?
えっ?ってコレって・・・泣いてるレイを見ながら私は良かったねって、そう思った。やっぱり強い想いがあればきっと相手に伝わるんだろうね。
「こらー。何泣いてんのー。嬉し泣きなんて贅沢だよ!あっ!ちょっと飲み直しに軽く乾杯しよっか♪ビールならあるし」2005-08-09 04:03:00 -
511:
◎
冷蔵庫から缶ビールを二本取り、私とレイは乾杯した。いいことがあると缶ビールでもめちゃくちゃおいしく感じる。こういうお酒なら毎日でも飲めるな。
「これで良かったのかな?アタシ、彼女から健にい取ることになるんだよね。人傷つけるのっていい気はしないね」
レイが複雑な顔をしてそう言った。
「うん・・・でも仕方ないよこればっかりは。誰も傷つかない恋愛が一番いいんだろうけどさ。幸せつかむなら何かを犠牲にしなきゃなんない時もあると思う。だから傷つけた人の分も絶対幸せになんきゃ。でも恋愛って深いよねーホント」2005-08-09 04:13:00 -
512:
◎
何かを犠牲に・・・か。私も人を傷つけた。晃太のそばにいたかったから。
私は英二を傷つけたんだよね。人を傷つけてまで手にした恋愛はこんなものだったんだろうか。そうじゃないよね・・・必死になって守らなきゃいけないはずなのに。大切にしなきゃいけない気持ちなのに。
何を見失ってしまったんだろう。つまらない嫉妬や強がりで目の前が曇って見えなくなってたのかな。2005-08-09 04:20:00 -
513:
◎
嬉しそうにメールを返すレイを見ながら恋愛の儚さを感じた。
女の子は恋愛すると分かりやすいなぁって。すぐドキドキしたりちょっとした小さい出来事でも飛び上がりたくなるくらい嬉しかったり。
たった一言で一日中幸せな気持ちでいれたり。この人とずっと一緒にいたいって何より大事に思ったり。
でも喧嘩するとムカついて大ッキライってソッポ向いたり言いたくないことまで言っちゃったり。ヤキモチ焼いて悔しくなったり。不安が募って苦しくなったり。泣いても泣いても涙が止まらなかったり。
そういうのが当たり前になるんだよね。2005-08-09 04:34:00 -
514:
◎
人は生まれてから死ぬまでの間たくさんの人に出会って色んな恋愛をするけど、最後の本当の運命の人に出会うまできっと気付かないんだろうな。
何があっても壊れない気持ちが見つかるまで。私もたくさん恋はしてきた。おままごとみたいな中学生時代の付き合いから始まったっけ。
それから何人か付き合ったりもしたけど・・・。ちゃんと本当に付き合ったなぁって思えるのは英二だけだ。三年間ずーっと思ってた。英二と結婚するんだって。
でもそうじゃなかった。今の私には晃太がいる。だから先のことなんて分からないんだよね。2005-08-09 04:43:00 -
515:
◎
一ヶ月後、一年後、三年後、五年後・・・どうなってるかなんて誰にも分からない。でも晃太を選んだのは他の誰でもなく私なんだ。今は自分の気持ち信じなきゃ。
それから私とレイはくだらない笑い話をしながら朝まで語り続けた。眠気がきたのも忘れてて二人してそのままリビングで寝てしまっていた。
(ピンポーン)
お昼過ぎにチャイムの音で目が覚め、レイを起こさないようにインターホンのカメラ画像を見ると晃太が写っていた。
「あ、ハイ・・・」2005-08-09 04:50:00 -
516:
◎
「由里?ごめん寝てたよね」
「あ、ううん大丈夫」
「昨日さ、えっと、ごめん。謝りに行ったのにあんな帰り方して」
「うん。全然大丈夫。っていうか由里もごめんね。ただのヤキモチだった。今オートロック開けるね」
「あ!いいよもう球場行かなきゃなんないから。さっき電話したんだけど出なかったからさ、気付いたらここまで来てたんだ。だからもう行ってくるよ時間ないし。あ!ベランダ出て」2005-08-09 04:56:00 -
517:
◎
ベランダ?そう思いながらインターホンの受話器をおいてベランダに出ると、下から晃太が手を振っていた。元気だなぁなんて思って手を振り返した。
「いってきまーす」
晃太は近所迷惑ってぐらい大っきな声で叫ぶと手を振りながら車に乗り走って行った。
こういうことサラっとできちゃう晃太ってやっぱりいいなぁ。ただ謝りにだけ来て帰ってくなんて・・・。かっこつけじゃないんだよね。かっこ悪いことだって気にしないでできちゃうんだもん。2005-08-09 05:05:00 -
518:
◎
「何してんのー?」
寝ぼけた声でレイが私に言った。顔にはカーペットの跡がついていた。
「ん?あ、今ねー晃太来てたの。仲直りしたよ♪やっぱり晃太超カッコイー。っていうかレイ顔ブツブツの跡ついてるよ(笑)」
「ハハハっ朝からおノロケかー♪アタシも由里も昨日の落ち具合と雲泥の差だね」
本当にそのとおりだ。2005-08-09 06:30:00 -
519:
◎
「ねー今日さぁ、お店休んで野球見にいこーよ♪それからムーンいこっ♪」
「えー?本当に?」
そんなこんなでレイの一言から今日の予定は一気に決まった。私は晃太に見に行くとメールを入れると、この前みたいにチケットを出してくれると返事がきた。それから軽くご飯を作ってレイと食べていた私は昨日マネージャーに言われたことを思い出した。
“お前とレイはうちの二枚看板なんだ”って。2005-08-09 06:37:00 -
520:
◎
私達が休めば利益が落ちる。そう言われたも同然だった。でもホステスってゆう仕事の終着点がすぐそこにきているなぁと感じていた。
バリバリ働いて売り上げをあげていることに楽しみや満足感を感じていた頃とは全く変わってしまった。晃太も「やめてほしい」とはハッキリ言わないけど、そう思っているのが痛いほどよく分かる。
レイはどう思っているかは分からないけど、今の私達はお互いの存在があるから辞めずに続けてるんだろうなぁって。2005-08-09 06:44:00 -
521:
◎
お風呂に入って用意して、レイに服を貸そうと選んでいた。不思議なくらい体形が同じ。ジーンズもほとんど私のサイズとピッタリだった。
二人して似たようなTシャツとジーンズに着替えると私達は何故か笑っていた。似てるなぁって思ってたんだろうか。
用意も終わりお出かけ準備完了。私達はマンションを出てつまらないことをネタにして笑い話しながら向かっていた。
そしてこの前みたいに窓口に行きチケットをもらうと私達は中に入った。2005-08-09 06:51:00 -
522:
◎
「あいつ超変わってない?生意気だよねーカバン見た?あれ新作だよ」
「まだ金パクってたりしてハハハ。スリとか」
「ありえるーあいつならやりそうだもん」
「金ないからエンコーでもやってんじゃない?天涯孤独は大変だよねー」
レイの名前は出てこなかったけど、私はさっきの三人組だとすぐに分かった。
ガチャっとトイレを出た私に気付いた三人はすぐにシーンと黙り込んだ。他にも人は何人かいた。でも関係なかった。2005-08-09 07:17:00 -
523:
◎
「クズかお前ら。頭腐ってんのかいい年こいて」
私は静かに口を開いた。三人組は目を丸くしてこっちを見ていた。
「な、何よアンタ」
「ブサイクばっかりまぁーこんなに見事に揃ったもんだね。ハハッどんなDNAでそんなルックスが生まれんの?相当やばいよ。鏡見てみろよほら」
私は両手で近くにいた二人の頭をつかんで鏡に近付けてやった。あとの一人は引いてるのか少し後ろに下がっている。2005-08-09 07:26:00 -
524:
◎
「痛い!やめてよ」
トイレ中に声が響いた。周りの人は見て見ぬフリ。東京はいつもこうだ。見ない聞かない関わらない、三拍子揃っている。
「見てみなよ自分の顔、恥ずかしくならない?こんなんでよく外出れるよね。ブスはブスを、類は友を呼ぶってこういうこと言うんだよ。レイが可愛いから嫉んでたんでしょ?天涯孤独って?バッカじゃない?スリ?そんなのしなくても腐るほど金持ってんだよ!」
私はそう言って髪をつかんでいた両手をバンッと話した。2005-08-09 07:34:00 -
525:
◎
「家ごと消えたくなかったら黙ってさっさと帰れ!悠々と野球観戦してる暇あったら整形外科行けって、本当にやるよ?私頭おかしいからね。マジで調べて家燃やすよ」
そう言ってトイレを出た。トイレの前にはいわゆるギャラリーって奴らがわんさかいた。私は売店に行ってビールとポップコーンを買うとすぐにレイの所へ戻った。
「遅かったじゃーん」2005-08-09 07:44:00 -
526:
◎
「ごめんごめん超混んでたの」
私は普通に返した。レイにビールを渡し、席に座るとイライラもおさまってきた。ふと我に返った時、私は自分でもビックリすることしたなぁって少し感心した。
友達のためにあんなに怒ったことって今までなかった。一番の親友、あゆみでさえもなかったなぁ・・・。ただ何だか分からないけど悔しかったんだよね。
レイのこと何も知らないくせに知ったようなこと言ってて。馬鹿な腐れ女達が許せなかった。なんなら本当にどうにかして
―消してやろうか―なんて思ったり。2005-08-09 07:51:00 -
527:
◎
六年歌舞伎町や六本木で働いてきた私には色んなツテがある。人脈も強い裏が絡んでる。今まで過去、四人消してもらったこともあった。でもパンピーに刃を向けることはしない。だけど一瞬考えちゃった。ダメだダメだ。
クズと同等な目線でいるとこっちまでダメ人間になるや・・・。それからさっきまで三人組が座っていた席を何度か見てみたけどソコにはもう三人は戻ってこなかった。2005-08-09 07:58:00 -
528:
◎
練習風景を見ながらレイと楽しく談話。
「生はやっぱ迫力あるよねー♪あっ矢口さんだよーアレ」
「ホントだぁ。何かさぁーやっぱこうして見てるとめちゃくちゃ遠い人に感じない?凄いんだなぁって」
「あーそれはあるかもね。でも遠くないじゃん!っていうか“超近くにいるんだし”」
レイが小声で囁いた。2005-08-09 08:04:00 -
529:
◎
確かにそうなんだけど・・・。その時、私達に気付いた晃太がこっちを見て笑っていた。この前来た時は名前呼びながら手振ってきたせいで周りに嫌なこと言われたから、私は晃太に気付いても目立つことしないように言っておいた。
「超笑ってるじゃん嬉しそうだねー矢口さん」
「そんなことないってばー」
とは言いながらも私も笑ってる晃太を見て嬉しくなった。2005-08-11 03:01:00 -
530:
◎
―プレイボール―
試合が始まった。しっかし今日も強いなぁ。ビールがおいしいや♪晃太も大活躍。結局今日も大差で勝った。
試合が終わり、球場を出ると晃太から電話があり一緒にムーン行くから前に待ってたオープンカフェで時間つぶしててって言われたからレイと二人で待っていた。
[ププーッ]
車のクラクションが鳴り、道路側を見ると晃太のベンツが停まっていた。2005-08-11 03:06:00 -
534:
◎
「あっ晃太だ♪行こ行こっ」
私達は晃太の車に乗り、ムーンに向かった。
「お疲れさまっ今日もすごかったねー♪」
「おーあったりまえじゃん。っつーか由里ちゃんと見てたかー?」
「見てたよー、ねっ?レイ。超応援してたんだからー。のど痛くなっちゃった」2005-08-11 03:15:00 -
535:
◎
「ハハッうそつけ」
「ほんとだよー」
そんな会話をしながら車はムーンの前へついた。三人で車を降りると、お店に入りいつものカウンターへ座った。
ちなみにこの時は健にいとレイのことを晃太はまだ知らずにいた。健にいはいつもと少し様子が違っていてレイと話しながら照れ笑いしたり落ち着きがなく見えた。2005-08-11 03:19:00 -
536:
◎
「っていうか健いつの間に仲良くなってんだよー俺よりお前の方が由里と玲子ちゃんと仲良くないか?」
「何言ってんだよでもまぁ晃太より最近は二人の方がよく顔見てるからなぁ」
「あーそっか。俺が地方行ってた時も来てたもんね。由里が健にはまってたらどーしようと思ってたよ」
はっ!?何で私が?馬鹿だなぁ晃太は・・・
「ないってそれは。まぁあえて言うなら玲ちゃんに俺がハマっちゃったぐらいかな」2005-08-11 03:28:00 -
537:
◎
「はぁ!?マジかよ」
晃太は状況を読めていなかった。レイと会ったのは初めて?(お店では顔を見た程度)みたいなもんだし、紹介したのもさっきの車の中だった。
「俺さ、昨日女ともちゃんと別れたんだ。身辺整理はついたしさ。晃太の彼女の友達だし何か強い縁みたいなもん感じたんだよね。真面目にって言い方は変だけど、真剣に考えてる今」
「そっかそっか。ならいいけどさ。由里の友達なんだし泣かせるようなことすんなよ!玲子ちゃんも嫌だったら早いとこ逃げた方がいいよ」2005-08-11 03:41:00 -
538:
◎
「あっいえ・・・全然そんなことないです」
レイが少し焦り気味で答えた。
「え?マジで!?こいつでいいの!?」
「ほら晃太そんなこと言わないの!色々あるんだからさっ」
「由里何か知ってんの?えっ?っていうか俺だけはぶれてるみたいじゃん。話乗り遅れてるよマジで」2005-08-11 03:47:00 -
539:
◎
少しすねた顔で晃太がふくれた。私達三人はそんな晃太を見て笑った。いい感じな雰囲気でマッタリとした時間が流れていた。健にいとレイが話しこんでいたから私は晃太にあの話をした。
「晃太ぁ、あのさ、同窓会・・行ってきていいよ」
「えっ?何だよ急にー気にすんなってホントに。由里に心配させたくないしさ」
「大丈夫だって!行ってきてよ。そういうのって大事じゃん。しょっちゅうあるわけじゃないんだしさ」2005-08-11 03:56:00 -
540:
◎
《千恵》という人の存在は今も私の心のどこかに引っ掛かっていたけど、私は晃太を信じてるから。大丈夫だってそう思えた。
「うーん分かった。じゃあ日曜なんだけど試合終わってそのまま行ってすぐ帰ってくるよ。ごめんな気使わせて」
「いーよ!でも可愛い子いても浮気しないでね!」
「するわけないだろ由里がいるのに」
そう言うと晃太は私の頭をゆっくりトントンっとなでてきた。2005-08-11 04:02:00 -
541:
まぁ
読んでます?
2005-08-11 04:10:00 -
542:
◎
大丈夫。私が晃太の彼女なんだから。自信持ってどんとかまえてればいい。信じてればいいんだ。私はそう自分に言い聞かせた。
「由里!そろそろ行こっか。俺らそろそろ先帰るわ。玲ちゃんどうする?送ってこうか?」
「あっいいです。もう少しいますんで」
「あー今日俺早めに店閉めるから俺が送るよ。由里ちゃんまた遊ぼうね!」
健にいがそう言ってくれたから私と晃太は先にムーンを出た。2005-08-11 04:10:00 -
543:
◎
由里今日はありがと?楽しかった?矢口さんにもお礼言っててね?
車に乗ってすぐにレイからメールが届いた。良かったなぁホントに。私も何だか嬉しかった。
そのまま晃太のマンションに一緒に帰ると久しぶりにゆっくり二人でテレビを見ながらごろごろしていた。ピコピコとチャンネルを回しているとちょうどその時スポーツニュースが放映していて晃太が写っていた。
私はテレビの晃太と横にいる晃太を見ていると不思議になる。晃太は自分の写っている映像を見たがらないけど、恥ずかしいからなのかなーなんて一人でもくもくと考えてしまう。2005-08-11 04:21:00 -
544:
◎
かっこよく映るブラウン管の向こうの晃太。でも今私の隣にいる晃太はヒゲも少し生えかけでTシャツにパンツ姿、口は半開きでぼーっとしている普通の晃太。
私はどっちも好きだけど今は隣にいる晃太の方が好きだなぁ。マヌケな顔しててもあぐらかいてても可愛いと思える。
好きだと思うだけで何でもよく感じるんだよね。いいとこも悪いとこも全部含めて。2005-08-11 04:30:00 -
545:
◎
と、その時昨日のアリストのことを思い出して晃太に話した。
「うーん。間違いなく張られてるっつーかもう撮られてるよな。だって浦安ん時からずっとだしさ。でもまさか由里にまでとは・・・ごめんな俺が昨日店行ったからだよな」
「晃太のせいじゃないって!でも大丈夫かな?撮られたってやばくない?」2005-08-11 04:36:00 -
546:
◎
「まぁそうだけどな。仕方ないよ。もし撮られてて出されても悪い虫が寄ってこなくてちょうどいいじゃん」
晃太はのんきにそんなことを言ってるけどもしそんなことになったら大変どころの話じゃないよ・・・。
「由里ー、一緒にお風呂入ろっか」
晃太が寝転びながら一言。お風呂かぁ・・・って!?私は一瞬戸惑ったけど結局晃太に押し切られ一緒に入ることになった。初めての二人でのお風呂だ。
ドキドキしたけど洗いっこしたり結構楽しかった。2005-08-11 04:47:00 -
547:
◎
晃太の部屋のお風呂はすっごく大きくて二人で入ってもゆったりしている。恥ずかしがっていた私もそれからはよく二人でお風呂に入るようになった。
仕事にも行かない日が続き、もう夜は上がろうかなぁと考えるようになった。毎日晃太の家にいてご飯を作って帰りを待つ、そんな日々を送るようになり、住んでいた自分のマンションも引き払い完全なる同棲生活が始まった。
マネージャーからの電話は毎日のように鳴り、お店ではレイがナンバーワンになったとマネージャーから聞いた。2005-08-11 04:56:00 -
548:
◎
あんなにこだわっていた“1番”というポジションだったのに私にはもう必要ないものになっていた。ラストをするなら早いうちにしようかなぁなんてお気楽に考えてたり。
夜を上がるなら黒木さんに言わなきゃなぁ。何て言うだろ・・・。長い長いホステス人生の終着駅がすぐそこまできていた。
ある日、晃太が家を出る時についでに私もネイルサロンに行くから新宿まで送ってもらった。
食事の約束をしたままだった夏美さんと会うのも楽しみだった。サロンに着くと、いつもより空いていて久しぶりに夏美さんとゆっくり話せた。2005-08-11 05:05:00 -
549:
◎
「今日さ、由里ちゃんのケア終わったら上がりなんだけど時間ある?ご飯行かない?」
夏美さんから食事のお誘いだった。私はもちろんオッケーした。気のせいか分からないけど夏美さんは前よりすごく綺麗になっていた。恋してるのかな?そんなことを考えてしまった。
夏美さんの帰る用意も済み、サロンを出た私と夏美さんはそのまま新宿をブラブラしながら韓国料理のお店に入った。2005-08-11 05:16:00 -
550:
◎
軽くお酒で乾杯してスンドゥブという豆腐チゲ鍋を食べながらしばし談話。元気そうで良かったなぁと私も安心した。
「夏美さん何かいいことあったでしょ?超キレーになってるし肌とかツルツルだよ」
私がそう言うと夏美さんはフフッと笑った。
「うーん。あれから色々あってね。何ていうか・・・プロポーズされちゃったんだ私」
ん?プロポーズ?って誰に!?2005-08-11 05:22:00 -
551:
◎
「私もビックリしたんだけどね。もう30歳手前であんなことあったからどん底までへこんでたし」
夏美さんは八年付き合っていた彼氏と秋に結婚が決まっていた。でもその彼氏が私ぐらいの年齢の女に乗り換えてしまったのだ。別れた直後は本当に信じられなかった。
「えっ?っていうか誰にプロポーズされたの?」
「うん。それがね・・・あいつ。八年野郎」
八年野郎???って、ってことはモトサヤー!?私は一瞬事態がのみこめずに頭がごちゃごちゃになってしまった。2005-08-11 05:29:00 -
552:
◎
「ってことは復活?っていうかプロポーズって結婚することになったんですか?」
「分かんない。でもね、戻ってきた時やっぱり嬉しかったんだよね。あんなことされたのに馬鹿みたいでしょ」
話を聞いていると一週間前、突然夏美さんのお店に来たみたいだ。「魔がさした」って。「やっぱりお前じゃなきゃダメだった」って。「結婚してくれ」って。八年の長い長い時間は二人にしか分からない何かを残していたんだろう。
分からないと言っている夏美さんだけど、こんな幸せそうなキレーな顔してる。きっと答えは一つ。2005-08-11 05:41:00 -
560:
◎
「っていうか由里ちゃんは?最近どうなの?うまくいってる」
夏美さんは私にとってお姉さんみたい。だから何でも話せるし相談に乗ってもらったり。
「ハイ、なんとか頑張ってます。いっぱいいろんなことありすぎて大変だったんだけど・・・」
それから英二のことやモデルの元カノのこと、仕事のことや千恵という人のこと、この一ヶ月たくさんあった出来事を一気に話した。最近のアリスト事件の話も。2005-08-11 06:21:00 -
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あぼ~ん -
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568:
◎
「スキャンダル度MAXだねホントに。色々あったんだ由里ちゃんも。でも何か強くなった感じがする」
「そうですかー?」
私はそう言ったけど自分でも少しそう思っていた。強くなったとゆうより多少のことでは動じなくなった、みたいな。
数々の出来事のおかげ?なんだろうか。それにしても夏美さんと話してるとすっきりするなぁ。多分何でも受け止めてくれるからなんだろうな。2005-08-11 06:31:00 -
569:
名無しさん
このスレにくんなや!荒らすな!糞野郎
2005-08-11 06:32:00 -
570:
◎
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「またゆっくりご飯でも行こうよ。由里ちゃんって不思議なんだよね。年離れてるけど気使わないし」
私も同じ感覚だった。夏美さんは対等な目線で見てくれるから。年上だからって威張ったりしないし変にお姉さんぶったりもしないし。
「うん♪またゆっくり遊びましょーね」
敬語混じりのタメ語?でそう答えた。夏美さんとはそのまま新宿で別れ、私は帰りに六本木に寄り黒木さんに電話をかけると喫茶店で話をすることになった。2005-08-11 06:40:00 -
571:
?
頑張って???
2005-08-11 06:43:00 -
572:
◎
今日言おう。水商売を上がるつもりだって。私は黒木さんを待っている間、一人でそう考えていた。
しばらく待っていると相変わらずイカツイ黒木さんが現れ私の前にドカッと座った。
「由里久しぶりだなぁ。元気してたか?最近出てきてなかったろ?」
「うん最近休んでたけど、このとーりめちゃくちゃ元気だよ!」
そんな会話から始まった。2005-08-11 06:45:00 -
573:
◎
「で?どうした?何かあったんだろ?」
「あ、うん・・・」
私は何故か言葉が見つからなかった。
「上がるのか?」
黒木さんの口からそう言われ、私は静かにうなずいた。いつもこうだった。黒木さんには私が何を考えているか見透かされてる。2005-08-11 06:49:00 -
574:
◎
「そうか・・・分かった。でも寂しい気になるなぁ。もう六年か、あれから」
黒木さんは少し声が小さくなった気がした。私を六年前のあの時から夜の世界で育ててくれた人、何があっても守ってくれた人、支えてきてくれた人。
私のホステス時代の全てを築いてくれた。“夜のドン”黒木さんが味方でいてくれたから頑張ってこれた。お父さんのように優しかった。叱られたこともあった。たくさんのことがあったけど黒木さんには『感謝』という言葉だけでは表せないくらいの恩がある。2005-08-11 06:58:00 -
575:
◎
「ごめんね・・・」
「何で由里が謝るんだよ、馬鹿か」
辞めると言ったからなのか私の頭の中には走馬灯のように今までの六本木での出来事が駆け巡った。何も分からない新人ホステスから始まり、いっぱしのホステスになり、ナンバーワンを掴むとキープすることに必死だった。
ただ負けたくないプライドだけで走り続けてきたんだなぁ。
「まぁいつでも戻りたくなかったら戻ってこい。お前の場所はいつでも作ってやれるから。お前みたいに可愛がれるやつは今までもこれから先も現れないだろうしな。俺も20年この東京の夜を見てきたんだけどな」2005-08-11 07:09:00 -
576:
◎
「由里にはな、何かを感じたんだよ。その“何か”は今だに分からないんだけどな。まぁお前は娘みたいなもんだ。ラストはいつやるんだ?」
ラスト・・・かぁ。いつって全然そんなこと考えてなかった。夏真っ盛りの八月。やるなら早い方がいいだろう。
「ら、来週の金曜日にしようかな?」
「そうか、じゃあ花出しておくか。まぁ顔出すし頑張って花道飾れよ!何年も六本木でナンバーワンやってきたんだから」2005-08-11 07:15:00 -
577:
名無しさん
まぢ感動する
2005-08-11 07:24:00 -
578:
◎
「うん、頑張る」
土壇場でラストの日を決めた私は黒木さんと別れるとそのままお店に向かった。事務所でマネージャーに辞める話をすると店長、代表まで集まりややこしくなってしまった。
「引き抜きだろ?支度金いくらだ?時給いくらって提示されたんだ?」
ずっと質問攻めだった。
「引き抜きじゃないよ。ただ、もう水商売を上がりたいの。めちゃくちゃいっぱい考えたよ。でももうやるべきことは、やりつくした気がして。だから来週の金曜日にラストイベントするから」2005-08-11 07:24:00 -
579:
◎
「らっ来週!?」
代表達は声を揃えて驚いた。来週の金曜日まであと10日。カウントダウンは始まった。
「ラストの案内状とポスターは?っていうか間に合うか?」
「急ぐしかないです」
店長は慌ただしく動きだし、その日はラストのイベント内容や来客予定客数、同業店への案内状送付、最後のポスター撮影、夜中とにかくひたすら動き回った。2005-08-11 07:30:00 -
580:
◎
(♪〜♪〜♪)
晃太から電話が鳴り、慌てて出た。
(由里どこいんの?)
「あっごめん。六本木なんだ。ちょっと色々あったんだけどもうすぐ帰るから。話したいこともあるし」
(えっ?なにそれ、嫌な話じゃないよな?)
「うん。多分いい話だと思うよ」2005-08-11 07:35:00 -
581:
◎
(だったらいいけど。じゃあ用事済んだら早く帰っておいでね)
「うん分かったぁ」
電話を切り、最後に代表に話をした。今までありがとうございましたって。ここ《クラブJ》は私の六年間のホステス歴のうち、約三年間を過ごしたお店だった。
入店してからずっと、ナンバーワンを取ってきた。頑張って頑張って、自分の居場所を作り上げていた。
代表は最後までずっと止めてきたけど、折れない私にしびれを切らし最後は納得してくれ、何故か代表と私は握手をした。「今までありがとう」そう言われた気がした最初で最後の握手だった。2005-08-11 07:54:00 -
582:
◎
もうそろそろ帰ろうと事務所を出ると、そこにはレイが立っていた。
「辞めちゃうの?」
店長から聞いたのだろうかレイは少し寂しそうな顔をしてそう聞いてきた。私は黙ってウンウンとうなづいた。
「ホントのホントに?絶対辞めちゃうの?寂しいじゃん由里いなくなったら」
「ありがと。でももう中途半端なままでダラダラしたくなかったんだ。これからはレイが引っ張ってJ盛り上げてってね」2005-08-11 08:00:00 -
583:
◎
レイは泣きそうな顔をした。それを見て私も泣きそうになった。
「もう!そんな顔しないでよー。会えなくなるわけじゃないんだしさ。レイとは友達なんだしいつでも会えるじゃん」
「うんそーだね。由里は友達だもんね!ラストいつなの?」
それから来週の話や、内容を軽く話して私はお店をあとにした。
マンションに着く頃にはもう夜中の3時を過ぎていた。そーっとドアを開けて部屋に入ると晃太が起きて座ってた。2005-08-11 08:07:00 -
584:
◎
「えっ?何で起きてるの?もうこんな時間なのに」
眠そうな顔をした晃太に私は聞いた。
「何でじゃねーよ、遅いから心配するだろ携帯もつながんねーしさ。話も気になってたし。すげー眠かったけど寝れなかったんだからな」
晃太は少しふくれていた。眠いの我慢して待っててくれたんだ。私はちょっと嬉しかった。2005-08-11 08:11:00 -
585:
◎
「ごめんね。あのね、ネイルサロンの担当の夏美さんって人とご飯食べて、六本木行って黒木さんって人に上がる話しててさ、そのまま辞める話しにお店行ってたの。そしたらラストの打ち合わせになっちゃって。ごめんね遅くなって」
「えっ?何て?どういうこと?」
一気に話し過ぎたみたいで晃太はわけが分からなかったみたいだからゆっくり最初から説明した。
「マジで?」
「うんホントだよ」2005-08-11 08:16:00 -
586:
◎
「マジで?そっかぁ」
晃太は嬉しそうに笑った。さっきまでの眠そうなすねた顔とは全然違う。それもそのはずだろう。ずっと嫌がってたからなぁ。
やめてくれとは決して言ってこなかったけど、明らかによく思っていなかったし。私も晃太が嫌がったり心配する仕事をしていていいのかってずっと引っ掛かってたから・・・。
自問自答するたびにどうすればいいのか分からなくなってた。でもこんなに嬉しそうな晃太を見てると、これで良かったんだってそう思えた。2005-08-11 08:21:00 -
587:
◎
「その夏美さんって人も良かったなぁ。やっぱり繋がってる運命の糸があるんだよ。切っても切れない糸が」
運命の糸・・・かぁ。私と晃太の間にそれはあるのかな?あるよね?きっと。あればいいのになぁ。
「俺も結婚したくなってきたよ。由里結婚しよっか」
「はいはい。しよーしよー」
「なんだよー超テキトーだなぁ。でも一年後、じゃ早いか?んーそうだなぁ二年後ぐらいにできるといいよな。っていうかしような」2005-08-11 08:29:00 -
588:
◎
「そうだねー」
私はそう答えながら色々考えていた。“これから先”の自分を。晃太が寝てしまった後も一人でぼんやり考えていた。
昔から今、現在までのこと、そしてこれからのことを。レイの着信音に指定してる大黒摩季の『あぁ』。酔うとレイがいつも歌っていた。
レイの口癖は、この歌聞いたり歌うと由里を思い出すんだーだった。私はこの歌を知らなかったけどレイがきっかけで好きになった。2005-08-11 08:37:00 -
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あぼ~ん -
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◎
その大黒摩季の『あぁ』はこんな歌だった。
やっぱり夢を叶えたいこのまま終わりたくない 目の前の現実は厳しすぎるけどもう一度だけ賭けてみよう やらなきゃいけないことだらけやりたいこと募るだけ
“このままでいいのかな”何もかもが不安に変わるよ
あぁ君のように輝いてみたい冷たい風に吹かれても負けない君のように
あぁ諦めないで前だけ向いて歩いてみよう寂しくてもたとええつらくても何かが見えるまで2005-08-11 08:44:00 -
595:
◎
きっかけがないと自分では越えられないことがある 誰かに背中をぐっと押されなきゃ勇気が出ない時もある
人はどちらにつくかで味方が変わってしまう あれは身を引いたのかそれとも逃げ出したのか
あぁ君のように貫いてみたいどんなに遠回りしても迷わない君のように
あぁ前だけ向いてこの今を乗り越えてみよう 正しくても間違いだったとしても何かが見えるまで2005-08-11 08:50:00 -
596:
◎
始めはピンとこなかった歌詞も、今は覚えてしまってるぐらい好きになった。
寝る前にそんなことをぼーっと思い出しながら私は眠りについた。
そして目が覚めると妙な音で目が覚めた。隣を見ると晃太がいない。
えっ?何かしてるのかな?2005-08-11 08:53:00 -
597:
◎
寝室を出てリビングに行くとキッチンに立つ晃太がいた。
「おはよ、何してるの?」
「あっ来ちゃダメ!ちょっと座ってて」
慌てる晃太。少し寝ぼけていた私はアクビをしながらソファーに座った。あれ?何やらコゲ臭いにおいが・・・。
「晃太!めちゃくちゃ焦げてるにおいがするんだけど大丈夫?」2005-08-11 08:57:00 -
598:
◎
「大丈夫大丈夫!あ、あーっもう!」
一人でブツブツ言いながら晃太は必死で何かを作っていた。でもあまりにも悪戦苦闘してるから見兼ねて私はキッチンに入った。
そこには丸焦げの鮭らしき魚と、焦げた目玉焼き。目玉焼きなんて焦がす方が難しいよね。
あれまーよくこんなに焦がしちゃって・・・
「朝ご飯作ってあげようと思って、さ」2005-08-11 09:05:00 -
599:
◎
ボソッと小さな声で晃太が言った。何だかそれがめちゃくちゃ可愛くて私は晃太にギュッと抱き着いた。
「ありがと」
私がそう言うと晃太はかがんでオデコにキスしてきた。
「あ、やばい。っていうか無理」
急にそう言うと私をさっとお姫様だっこして寝室まで持ってかれた。そのまま・・・。2005-08-11 09:11:00 -
600:
◎
晃太の全部が好きだなぁ。最近はホントにそれを実感させられることが多くなった。
毎日ちゃんと寄り道しないでまっすぐ帰ってくるし、今日みたいに私を驚かせようと何かしてくれたり最近は幸せ過ぎて怖いぐらい。
そんなある日、新たな事件が起きてしまった。2005-08-11 09:20:00