小説掲示板ちっちゃな黒猫の話。のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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ちっちゃな黒猫の話。

スレッド内検索:
  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 400:

    せぇ

    名無しさん、本間にありがとうございます。かなり励まされました??最近忙しくてなかなか更新できないですが、出来るかぎりのことはしたいと思っていますので、よろしくおねがいします?

    2006-05-24 08:51:00
  • 401:

    せぇ





    2006-05-24 08:54:00
  • 402:

    せぇ

    16歳の冬休みは、今までの人生で一番幸せな冬休みやった。今思い出しただけでも、それはまぶしくて、涙が出てきそうになるのは、なんでやろう−。

    2006-05-24 08:57:00
  • 403:

    せぇ

    本間に毎日のように、仁とチビクロとあたし、三人で過ごした。お金もなくて、どこにもいけなかったけど、むしろそのほうが楽しめた気さえする。
    天気がいい日は、お弁当を持って、学校のあの屋上へ忍び込んだ。チビクロに初めて出会った、あの思い出の川原に遊びに行ったこともある。陽の光がいくら温かくても、冷たい風はやっぱり寒くて、そんな時は三人で、子供みたいに追い駆けっこをして遊んだ。
    雨の日は、あたしは仁の腕枕で、チビクロはあたしのお腹の上で、親子みたいにお昼寝をした。

    2006-05-24 09:16:00
  • 404:

    せぇ

    あたしの手から、チビクロが離れていくという憂欝を、仁といる時は忘れられた。本当に本当に、心が安らぐのは三人の時。どちらがかけてもダメだった。言い換えると、どちらかだけでは、満たされない−…。

    2006-05-24 09:21:00
  • 405:

    せぇ

    ねぇ、チビクロ。

    あの頃からかな
    あんたの目を、真っすぐ見れなくなったのは
    あんたの目の深い黒色は
    あたしにとっての希望から
    只の暗闇に変わった。

    きっと、恐かったんだと思う。
    あんたのその目に、
    全てを見透かされそうで。

    もしもあたしが
    思っていたこと全て
    あんたが見透かしていたとしたら
    あたしは本当に
    嫌な飼い主だったでしょ?

    それでも、あんたは側にいてくれた。

    ねぇチビクロ。
    ありがとう。

    2006-05-24 09:30:00
  • 406:

    名無しさん

    更新まってた!せぇさんも書くのつらいかもしれんけど楽しみに待ってます☆

    2006-05-24 09:48:00
  • 407:

    名無しさん

    頑張って????

    2006-05-25 08:16:00
  • 408:

    せぇ

    冬休み、バイトも補習もなかったあたしは、毎日暇だった。仁も似たようなものだったけれど、一週間に一度、金曜日だけは会ってくれなかった。どうしてなのか一度だけ聞いたけど、彼は上手くかわして、答えてはくれなかった。毎週、金曜日が来るたびに、問い詰めたい気持ちは膨らむばかりで、だけど今までの経験を思い出しては我慢した。
    『お前重たいねん』

    彼にだけは、そう思われたくなかったから。

    2006-05-25 14:56:00
  • 409:

    せぇ

    気を紛らわすために、毎週金曜日になると、あたしはチビクロをキャリーバックに入れて、キョンの家に向かった。チビクロはどんどんヤマトや、他の猫達に馴染んでいく。それだけじゃない。前にキョンママが言っていた通り、一匹の成猫が、チビクロを我が子のようにかわいがってくれていた。

    2006-05-25 15:01:00
  • 410:

    名無しさん

    ???????

    2006-05-25 18:04:00
  • 411:

    せぇ

    多分、少しずつ。本間に少しずつ、ぴったりはまっていたピースが崩れていったんだと思う。パズルは、あと一つはめたら完成だったのに。形が違う一つを、あたし達は、無理にはめようとしたから。崩れていったの、ヒビが入っていくように、少しずつ。

    2006-05-26 14:00:00
  • 412:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    あたし達には、
    つながる言葉なんてなかったね。だってあたしは猫じゃなくて、あんたは人じゃない。

    それでも、伝わっていた時は、確かにあったのに。あんたの目を見れば、わかった気がしたの。

    ねぇチビクロ
    あんたもそうやった?

    ぁたしは、誰よりもわがままで、自分勝手で。
    それでも、あたしにとっての一番はあんた以外いなかった。

    あんたの、あの日閉じた目蓋は、二度と開かないから

    あんたの気持ちも、もう二度とわからない。

    きっとね、あたしのパズルの、最後のワンピースはあんただったんだよ、チビクロ。

    2006-05-26 14:15:00
  • 413:

    名無しさん

    あげ

    2006-05-27 06:45:00
  • 414:

    せぇ

    色んな思いを抱きながら、それでもあっと言う間に冬休みは終わった。人は、大切なものが増えれば増えるだけ、身動きがとれなくなると誰かが言ってた。もしそれが本当なら、あたしはそのうち、一歩も前に進めなくなるかもしれない。そんなことをふと思った。

    2006-05-27 20:25:00
  • 415:

    せぇ





    2006-05-27 20:27:00
  • 416:

    せぇ

    『やばいやばい!』
    また遅刻しそうだ。せっかく水野のマークからはずされかけてる時期なのに、遅刻指導なんて受けることになったら、またややこしいことになる。
    適当に教科書をカバンに詰め込む。鏡をのぞきこんで、寝癖をチェックしてから、ついでにコテをカバンに入れた。

    2006-05-27 20:34:00
  • 417:

    せぇ

    『行ってきます!!』『ナッ!』『だーめだって!』
    あたしの足元に近寄り、一緒に外に出ようとするチビクロを足先で止める。
    出会った頃に比べると、すっかり大きくなったチビクロとあたしの、毎朝の光景だった。
    家を出て、自転車にまたがる。パンツが見えそうなくらいの風を受けながら、立ちコギで駅まで向かった。桜の蕾が視界の端に映る。
    『…三人でお花見したいな。』

    2006-05-27 20:42:00
  • 418:

    せぇ

    −チビクロと出会った、
    寒い季節はもう
    終わろうとしていた。

    2006-05-27 20:45:00
  • 419:

    名無しさん

    ぁげるゃん?めちゃぃぃ?

    2006-05-28 12:12:00
  • 420:

    せぇ

    多少さみしがることはあるものの、チビクロは一人で留守番出来るようになった。そしてあたしは相変わらず、そのことを素直に喜べなかった。
    だけど、人見知りに育ち、小さな頃から一緒にいたごく少数の人にしかなつかなくなったチビクロが、やっぱりあたしに一番なついてくれている。これだけ一緒にいれば、当たり前のことなんだろう。だけど、やっぱりすごくうれしかった。

    2006-05-28 14:53:00
  • 421:

    せぇ

    うぅん、うれしいなんて言葉じゃない。あれはきっと自慢で、優越感。
    『チビクロはあたしのもの』 っていう、誇り。

    2006-05-28 14:55:00
  • 422:

    せぇ

    チビクロがあたしの手から離れていくのが嫌で、だけど現実には離さなきゃダメだった。チビクロが離れていくことを見たくなくて、受けとめたくなくて、離れていくチビクロに不安になった。だから、あたし自身に言い聞かせる。『あたしも、チビクロから離れよう』って。『重い』なんてもう二度と誰にも言われないように。


    支え合って生きていくってことは、やっぱりすごく、難しいみたいだ。

    2006-05-28 15:00:00
  • 423:

    名無しさん

    2006-05-29 00:20:00
  • 424:

    名無しさん

    2006-05-29 01:55:00
  • 425:

    名無しさん

    1から読みました!   続き、楽しみにしてるんで頑張ってください!

    2006-05-29 02:25:00
  • 426:

    名無しさん

    ?

    2006-05-29 16:58:00
  • 427:

    名無しさん

    書かないの??

    2006-05-29 23:19:00
  • 428:

    名無しさん

    めっちゃ気になるう?がんばって!

    2006-05-30 01:27:00
  • 429:

    名無しさん

    2006-05-30 18:15:00
  • 430:

    名無しさん

    早く書いて欲しい?

    2006-06-02 05:22:00
  • 431:

    せぇ

    お待たせして申し訳ないです??再開します。ごめんなさい?

    2006-06-04 21:52:00
  • 432:

    せぇ





    2006-06-04 21:54:00
  • 433:

    せぇ

    学校が始まっても、相変わらず仁は忙しかった。この頃になると、あたしと仁が付き合っていることは学年中に広まっていて、あることないこと噂が耐えなかった。

    2006-06-04 21:57:00
  • 434:

    名無しさん

    更新行進???

    2006-06-04 23:16:00
  • 435:

    つばさ

    リアルタイム??
    やッたァー?????

    2006-06-04 23:31:00
  • 436:

    せぇ

    『なんであんなブスと仁君が付き合ってるん?』『渡辺聖子はさせ子』『仁君の他にも男がいる』『ぶりっ子、デブ、ブス。』−…
    あたしが知らなかっただけで、仁は一部の女の子達には、かなり人気の男の子だったみたいだ。女の子の嫉妬は、女の子に向けられる。それは仕方のないことで、心配してくれるキョンとは裏腹に、あたしはこれっぽっちもへこまなかった。
    そんなことより、あたしが気になったのはたった一つ、仁の噂だった。

    2006-06-04 23:59:00
  • 437:

    せぇ

    『女好き』『ヤリチン。』
    ここぞとばかりに耳に入ってくるこれらの言葉が、<ただの噂>だということは、仁といつも一緒にいるあたしが一番よくわかっていた。
    ただ、『何かある−…。』会ってくれない金曜日。不振に思わないほうがおかしい。

    2006-06-05 00:14:00
  • 438:

    せぇ

    いつか、仁が言っていた

    『…っていうことは、あの噂も知らん?』

    。仁が何気なく言った一言は、絶対にこのことなんだとすぐにわかった。

    2006-06-05 00:37:00
  • 439:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    笑っちゃうよね。

    あの頃のあたし達は
    余りにも幼くて、純粋で、

    だけど汚くて、大人びた嘘を平気でついた。

    嘘をつかなきゃ、近付けなくて、引き止められない。
    あの頃は、
    そう思ってたから。

    ねぇチビクロ。
    みんな猫になればいいよ。
    そうしたらもう
    あたしは二度と嘘をつけないでしょ?

    そうなったらきっと、
    もっともっと

    あんたに近付けそうな気がするの。

    2006-06-05 00:46:00
  • 440:

    せぇ

    仁は、ホストをしていた。

    2006-06-05 09:12:00
  • 441:

    せぇ

    彼にだけは嫌われたくなかった。だから、しょーちゃんの時みたいに携帯を見ることもなかった。だけど、それをしなかったのは、仁を信用してたからだ。

    噂を聞いた数日後、心の準備をしてから、あたしは隣で眠る仁の携帯を手にとった。出会った頃と、同じ寝顔の仁の隣で。

    2006-06-05 09:19:00
  • 442:

    せぇ

    着信>>せぇ、代表、代表、代表、せぇ、代表…

    何これ…?『代表』っていう人ばっかりやん…。自然とボタンを押す手が早くなり、そして…『あゆみ(客)』20件目、最後の着信履歴で、手が止まった。
    やっぱり…−。日付は丁度、金曜日。

    2006-06-05 09:33:00
  • 443:

    せぇ

    ただの噂話。信じたくなんてなかった。でも、それとは逆に、絶対の確信があった。だけど、それでも−。

    ねぇ仁。
    あなたはあたしのヒーローじゃなかったの?
    あの日、あの意地悪な笑顔で、照れながら好きだって、そう言ってくれたのに。

    2006-06-05 09:40:00
  • 444:

    せぇ

    発信履歴にも、しっかりと『あゆみ(客)』の名前は入っていた。

    2006-06-05 09:42:00
  • 445:

    せぇ

    隣の仁に目をやる。相変わらず起きそうな様子もない。あたしの気持ちなんて知らないまま、子供みたいに眠る彼の顔を見て、あたしは思わずそのやわらかい髪を撫でた。

    それから、目線を携帯に戻し、もう一度深呼吸をしてから、次はメールボタンを押した。
    −<メールセキュリティ>『末端暗証番号は?』
    あぁ、やっぱり…。隠し事がある人は、必ずこれをする。メールセキュリティなんて、そのための機能だ。

    2006-06-06 14:54:00
  • 446:

    せぇ

    カチカチ...仁の寝息しか聞こえない、あたしの部屋で、携帯のボタンを押す音がやけに響く。
    誕生日?ゾロ目?電話番号?思い当たる数字は、どれもハズレで、あたしは次第にうんざりしだして、どうでもよくなっていった。

    2006-06-06 14:59:00
  • 447:

    せぇ

    ホストだから何なの?仁は仁やん。−だけど、あたし以外の女と会ってる。
    仕事やん?−お金をもらってHだってしたかもしれない。
    知らないほうがいいこともあるよ。−裏切られた。

    2006-06-06 15:01:00
  • 448:

    せぇ

    バカみたいに、色んな言葉が頭をよぎった。

    何十分も考えて考えて、それから考え疲れた時、ふと4桁の数字が頭に浮かんだ。ゆっくりと四回、ボタンを押す。

    −そして画面は、受信ボックスに切り替わった。

    2006-06-06 15:04:00
  • 449:

    せぇ


    1217。

    二人の、記念日−…。

    2006-06-06 15:05:00
  • 450:

    せぇ




    あたしは、携帯を閉じて、寝ている仁の腕の中に無理矢理入り込んだ。彼は眠そうに少しうなって、だけどあたしを強く抱き締めてくれた。見計らったように、ベットの端にいたチビクロが、あたしたちの間にもぐりこんで、また三人、仲良く眠った。

    2006-06-06 15:06:00
  • 451:

    せぇ

    あぁ、そうだ−。あたし達は、クリスマスも、年越しも、バレンタインも、何をするわけでもない。ただ三人で仲良く過ごした。それだけで、冬なのに暖かくて、幸せだった。
    きっと
    一番、幸せだった。

    2006-06-06 15:08:00
  • 452:

    せぇ





    2006-06-06 15:16:00
  • 453:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    人間は、欲張りだよね。
    きっと誰もが、幸せになりたいと願っている。
    そして、幸せになっても、
    欲望は尽きる事無く

    今度はもっと、もっと幸せになりたいと思う。


    だからだよ。
    だから、いつまでたっても
    幸せをつかめないの。


    ねぇ、チビクロ−…。

    あたしが好きになった人が、あたしを好きになってくれた。そして、一緒にいてくれる。

    それだけで充分だと思える『幸せ。』

    あんたを失った今になって
    やっとわかったの。

    2006-06-06 15:24:00
  • 454:

    名無しさん

    >>457ー479
    ここまで更新しました?感想等のお返事、お礼、言えなくて申し訳ないです?とりあえず今はなるべく早く完結させたいと思っているので、そちらを優先しています?
    だけど、感想はすごくうれしいし、話を進めることへの、すごい励ましになっています。本当に、いつもありがとうございます?。
    いつも更新遅く、お待たせしてしまって申し訳ないです。すみません?
    また時間ある時に更新します??

    2006-06-06 15:32:00
  • 455:

    せぇ

    ↑失敗しました?
    >>457-479

    2006-06-06 15:34:00
  • 456:

    名無しさん

    おもしろい

    2006-06-11 19:29:00
  • 457:

    せぇ

    あたしはそれっきり、詮索を辞めた。だけど、しょーちゃんの時のように、彼一人だけにはまり、依存してしまうことに、今までは無かった恐怖を感じた。
    あたしはいつも、『今度こそは』とか、『彼だけは』とか、毎回毎回思ってたけど、そんなのは、
    −やっぱりないんだろう。

    だからあたしは、彼とも距離を置いた。少しずつ、少しずつ。

    2006-06-12 00:14:00
  • 458:

    せぇ

    彼に好かれている、彼があたしだけを好きでいることには、不思議とそれなりの自信ががあった。言葉は不器用でも、きつくても、そこにやさしさを何度も感じた。彼のそういうところがあたしの好きなところでもあったし、あたし自身も素直になれないことはいっぱいあったから。「似たもの同士やな」って、何度も思った。そしてその度に彼を愛しく思った。

    2006-06-12 00:15:00
  • 459:

    せぇ


    だけど、やっぱりが無くならない。なんて言えばいいのかわからないけど、多分、『一生あたしの側にいてくれるかどうか』その自信が、なくなってしまった。きっと、『いついなくなるかわからない』とか、そういう。

    2006-06-12 00:15:00
  • 460:

    せぇ

    あの頃のあたしは、きっとすごく汚かった。
    愛されたくて、あたしだけを見てほしくて、あたしがそう想っている通りに、あたしのことも想ってほしかった。きっと、必要とされたくて。

    そのくせ、やっぱり素直になれなくて、強がってばかりだった。
    仁にも、チビクロにも−…。

    2006-06-12 00:20:00
  • 461:

    せぇ





    2006-06-12 00:20:00
  • 462:

    名無しさん

    更新されてるぅ?
    楽しみにしてます?

    2006-06-12 12:13:00
  • 463:

    せぇ

    何も変わらないように見えて、少しずつ何かが変わっていた。あの頃も、今でも、あたしは二人がいてくれるだけで、それだけでよかったのに。きっと永遠なんて、やっぱりどこにもなくて、だけど手に入らないものばかり欲しがるあたしは、わかってても、それが欲しくて欲しくて仕方なかった。
    紐に縛り付けてでも、三人で閉じこもっておけばよかった。誰に何て言われたって、やっぱりそれは今でも思う。
    それが、『永遠』なら…−。

    2006-06-15 13:01:00
  • 464:

    せぇ

    仁はきっと、あたしが知っていることを、わかっていると思う。金曜日に何をしているのか、どうやって知ったのか。だけど何も言わなかったし、様子も変わらなかった。
    多分、それが答え。
    彼にはどこか踏み込めないところがあって、だけどあたしは、あたしにだけはそれも教えて欲しかった。

    毎日一緒にいた所で、毎日笑いあったって。距離を置いていたのは、あたしだけじゃなかった。

    2006-06-15 13:16:00
  • 465:

    せぇ

    チビクロは日に日に大きくなっていった。
    今日は、約束していたお花見の日。大きな公園の真ん中に、一本だけある大きな桜の木の下で待ち合わせ。朝六時に起きて、お弁当を作った。仁の好きなものばかりをたくさん詰めて。
    別に特別な約束をしたわけでも何でもない。だけと何となく今日は『特別な日』だと思った。約束は一時。チビクロは丸くなって眠っている。

    2006-06-15 13:55:00
  • 466:

    せぇ

    一度だけ、ホストのキャッチに着いていったことがある。一年前、先輩とミナミに遊びに行った日。お金も電車も、行くトコもなくて、足になってくれる男もいなくて、あたし達は途方にくれていた。その時スーツを着た胡散臭い二人組に声をかけられて、仕方なく着いていくことになった。顔なんて覚えてない。だけど、お金を出してくれるって言うから着いていった。

    2006-06-21 13:05:00
  • 467:

    せぇ

    ずっと前のこと過ぎて、毎日毎日、映画みたいにあっという間に終わってしまう日常のせいで、そんなことはすぐに忘れてた。だけど、思い出してしまった。美化してるのかもしれない。たった一年前のことなのに。

    2006-06-21 13:09:00
  • 468:

    せぇ

    キラキラ、キラキラ。

    いくつも天井に吊されたシャンデリアが、やたらとまぶしくて、眠たかったあたしの目にしみた。嘘臭い笑顔で、『ホスト』っていう見えない仮面をつけて、男が話し掛ける。あたしはただ眠たくて仕方なくて、男を無視してボーッとしていた。

    2006-06-21 13:13:00
  • 469:

    せぇ

    だんだん霞んでくる視界の中で、照れたように笑う女の子、同性だからわかる、恋をしている目をいくつも見つけた。そして、幼いからこそわかる、それと反対の目を、それよりも多く見つけた。

    キラキラ光る、ガラス張りの嘘の世界。『擬似恋愛』の世界。

    仁は、その中にいる。

    2006-06-21 13:18:00
  • 470:

    せぇ





    2006-06-21 13:21:00
  • 471:

    名無しさん

    更新されてるやん(笑)

    2006-06-21 13:25:00
  • 472:

    せぇ

    『いい天気やなぁ〜』
    ポツリとつぶやき、チビクロの背中を撫でた。小さく、鈴がゆれて音がなる。
    ずっと付け忘れていた、あの赤色の首輪を、今日初めてチビクロにつけてみた。真っ黒のチビクロによく似合う、真っ赤な首輪。ネームカードには
    『CHIBIKURO』
    あたしの、猫。

    2006-06-21 13:26:00
  • 473:

    せぇ

    チビクロは大きくなっても、相変わらずビビリで。ひらひら舞い落ちる桜の花びらが恐いのか、あたしの側を離れようとしない。そんなチビクロを見つめながら、あたしはMDプレーヤーの電源を入れて、イヤホンを付けた。
    −『K』−
    仁が教えてくれた、黒猫の歌。

    2006-06-21 13:30:00
  • 474:

    せぇ

    嫌われもの黒猫は、いつも石を投げていじめられていた。人を信用できなくなって、いつも独りぼっち、だけど胸を張って生きていた。ある日、黒猫は一人の絵描きに拾われる。最初は嫌がっていた黒猫も、絵描きのやさしさにひかれて、二人は親友になった。絵描きは毎日黒猫の絵を書いた。だけどその絵は売れなくて、黒猫ばかり描くから、黒猫は『不吉』だから、売れなくて。とうとう絵描きは倒れた。『これを届けて、待っててくれと、残してきた恋人に。』絵描きは黒猫に最後の願いを預けた。黒猫は手紙を加えて走った。絵描きの、大好きな絵描きの、大切な人の元に。

    黒猫だからと、通りすがりの人に石を投げられても、足がちぎれるくらい痛くても、あきらめなかった。大好きだったんだろう、初めて出来た友達だったから。彼の『黒』を、はじめて誉めてくれた人やったから。

    2006-06-21 13:45:00
  • 475:

    せぇ

    ナッ…

    歌に聞き入って、目を閉じていたあたしは、一気に現実世界に引き戻された。
    チビクロの声。チビクロ?

    2006-06-21 13:51:00
  • 476:

    せぇ

    どこ?
    チビクロ?
    ねぇどこ?

    2006-06-21 13:52:00
  • 477:

    せぇ

    歌のラストは、幸せなハッピーエンドじゃない。
    だって黒猫は死んでしまうから。
    不吉だと石を投げられても、遠くても、足が千切れそうなくらい走り疲れても−…。大好きな友達の、最後の願いを叶えるために、黒猫は走り続けた。そして絵描きの恋人に手紙を預けて−…黒猫は息絶えるの。

    2006-06-21 14:34:00
  • 478:

    せぇ

    『…せぇ!せぇッ!』
    チビクロを見失って、焦りまくるあたしは、過呼吸みたいなのを起こして、約束の桜の木の下で倒れていた。そんなあたしを呼ぶ仁の声が耳に入る。涙で霞む視界に、仁と、チビクロ…。
    仁はチビクロを抱いて、心配そうにあたしの顔をのぞいて、あたしを抱き締める。少しずつ、あたしの呼吸が落ち着いていく。ふわふわのチビクロの体が、あたしの顔にあたる。
    安心する。一気に。それだけで。

    2006-06-21 14:44:00
  • 479:

    せぇ

    黒猫の、絵描きからもらった『(Night)−夜』と言う名前に、絵描きの恋人は一文字だけ付け足して、亡骸を土の中に埋めた。


    『騎士(Knight)』

    2006-06-21 14:53:00
  • 480:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    あんたは男の子じゃないけど、確かにあたしの
    [Knightー騎士]
    だったよ。


    今でもわかんないんだ。
    あの歌がハッピーエンドなのかどうか。


    ねぇチビクロ
    あんたはどう思う?

    2006-06-21 14:58:00
  • 481:

    せぇ





    2006-06-21 15:00:00
  • 482:

    せぇ

    『仁、仁?ありがとう、もう平気。』彼の背中に回した手を離して、あたしは彼の胸から離れようとした。だけど彼は、無理矢理もう一度あたしを抱き寄せて、小さな声で『ごめんな』と一言つぶやいた。
    それから、もう一度ギュッと、痛いくらいにあたしを抱き締めて、
    それから、それから−…
    もう一言だけ、決定的な言葉を残して、あたしの前から去っていった。
    あたしは、なんとなくわかっていた。だけど、やっぱりその場から動けなくて、ただチビクロを胸に抱いて、どんどん遠くなる仁を見つめていた。

    2006-06-21 15:10:00
  • 483:

    せぇ





    『別れよ』−…。

    2006-06-21 15:11:00
  • 484:

    せぇ





    2006-06-21 15:12:00
  • 485:

    せぇ

    暗闇。

    真っ暗で、目が見えない。息ができない。どうやって帰ったんだろう。

    暗やみに思い浮かぶのは、遠くなっていく仁の後ろ姿。パニックになった時に倒したお弁当箱。泥のついた卵焼き、ハンバーグ。その上に積もっていく桃色の花びら。

    2006-06-21 15:18:00
  • 486:

    せぇ

    想い合っている事くらい、わかってるよ。だけど、好きだけじゃダメなの。

    ねぇ仁、やっとわかったのに。あたしには、あなたが必要だって。だって、出会った頃は、距離なんてなかったじゃん。三人で笑い合って、それだけでよかったの。全部話すよ。君が望むなら、何だって。
    あの時ね、ついさっき。チビクロがいなくなったって、あの哀しい歌とチビクロがかぶさって、パニックになって、息が出来なくて、苦しくて、切なくて、目蓋が重たくなってきて、だけど、光−…。あなたと、チビクロを見た瞬間に、生まれ変わったみたいに、光が見えたの。
    だって仁とチビクロは、あたしの−…

    2006-06-21 15:26:00
  • 487:

    せぇ

    なんて言えば伝わるんやろう。あんな想いは初めてやった。

    ねぇ仁、大好きだよ。
    愛してる−…。

    2006-06-21 15:43:00
  • 488:

    せぇ

    出会って、たった三ヶ月、あたし達は別れた。


    だけど、この想いだけには確信がある。
    仁は、あたしの、運命の人−…。

    2006-06-21 18:25:00
  • 489:

    名無しさん

    せぇちゃんがんばれ?

    2006-06-25 00:15:00
  • 490:

    名無しさん

    あげ

    2006-07-05 17:24:00
  • 491:

    名無しさん

    書いてほしいです??

    2006-07-06 02:29:00
  • 492:

    名無しさん

    せぇちゃん頑張って?あげ?

    2006-07-06 22:00:00
  • 493:

    せぇ

    久々に来たんですが、あがっててうれしいですm(__)m更新遅れすぎで本間に申し訳ないです??また時間ある時かならず更新します?

    2006-07-06 22:49:00
  • 494:

    せぇ

    あの時の気持ちを、言葉にすることは絶対に出来ない。だけど、こういうことを本当の『失恋』って呼ぶんだと、あの日初めて知った気がした。

    2006-07-07 01:25:00
  • 495:

    せぇ

    だけどやっぱり、どんなことがあっても、どんなに悲しくても、人っていうのは、日常生活に戻る。
    そしてあたしも、仁のいない元の毎日に、少しずつ、少しずつ慣れていった。

    2006-07-07 01:26:00
  • 496:

    せぇ

    仁がいたあたしの日常。毎日毎日一緒にいたのに、今ではもういないことが当たり前で。
    だけど、それを受けとめることは、出来たんだろうけど、したくなかった。頭が、気持ちが、体が。『あたし』っていう存在全てにかけて、それを否定していた。

    2006-07-07 01:27:00
  • 497:

    せぇ

    隣にいなくてもいてる気がして、あの癖のある笑顔をもう一度見たくて、『せぇ』ってあたしの名前を呼ぶ声を、セッターの香りを、オレンジ色に染まったやわらかい髪を、どんなに小さくてもいい、彼の一部に、人目でいいから会いたくて。一つ一つ全てが、彼の全てが、あたしの全部になった。

    2006-07-07 01:29:00
  • 498:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    あんたは今、幸せ?

    それだけでいいから、
    教えてほしい。

    2006-07-07 01:30:00
  • 499:

    せぇ





    2006-07-07 01:31:00
  • 500:

    せぇ

    あの日から後のことは、正直あんまり言いたくない。


    だけど、逃げないって決めたから。

    2006-07-07 01:31:00
  • 501:

    せぇ

    −残りの春休みを、あたしは毎日毎日、どこにも行かず、一人、部屋に閉じこもって過ごしていた。
    心配するママはおろか、チビクロですら、あたしは部屋に入れなかった。
    今までなら、あたしの部屋にはチビクロのベットやトイレがあって、言ってみればチビクロの部屋はあたしの部屋だった。だけど、ベットもトイレもリビングに移動させた。

    2006-07-07 01:32:00
  • 502:

    せぇ


    …−1人になりたかった。

    チビクロの、あの、何でも見透かす大きな瞳が、
    正直いうと、少し恐かったんだと思う。

    2006-07-07 01:35:00
  • 503:

    せぇ

    −やっぱり、あたしは『重たい』んだ。



    『スキ』っていう、ただそれだけの純粋だったはずの気持ちは、

    2006-07-07 01:38:00
  • 504:

    せぇ

    −仁だけは違うと思ってたのに。



    電気も点けず一人で引きこもっていた『仁のいない』『当たり前』の日常のせいで

    2006-07-07 01:39:00
  • 505:

    せぇ

    −裏切られた



    日が経つに連れ

    2006-07-07 01:40:00
  • 506:

    せぇ

    −もう誰も信用なんてするもんか



    汚くなっていった。

    2006-07-07 01:41:00
  • 507:

    せぇ





    2006-07-07 01:44:00
  • 508:

    せぇ

    毎日頭と体が重かった。だけど、眠れないわけじゃない。
    ただ、夢を見た覚えもないのに−…
    朝目覚めると、泣いた跡が必ずあった。

    2006-07-07 01:50:00
  • 509:

    名無しさん

    あげ?

    2006-07-07 10:24:00
  • 510:

    名無しさん

    書いてほしいですこの小説大好き?まだ幼稚園に行ってないころに黒猫の女の子拾って飼いましたけど小学校四年か三年の頃しらん間に頭から血流して亡くなってた?初めての死は悲しかったです?主さん頑張って??

    2006-07-08 14:53:00
  • 511:

    せぇ

    名無しさん、ありがとうございます。本間に励まされました。更新します??

    2006-07-09 04:36:00
  • 512:

    せぇ

    いつもみたいに一緒に寝ない、部屋にも入れない。いつもと違うことくらい、猫にもわかるんだろう。
    チビクロは、カリカリカリカリ、あたしの部屋の壁をしつこくひっかいては、『ニャア』と大きく切羽詰まったような、変な声で鳴いた。
    その不快にしか聞こえないはずの音は、やけに切なく聞こえたし、あたしにはチビクロが、『入れて、入れて』って、いってるようにしか聞こえなかった。

    2006-07-09 04:37:00
  • 513:

    せぇ

    大好きやったはずのチビクロが泣いてる。わかっていても、ドアを開ける気にはなれなかった。
    というか、正直、しんどかった。

    ひねくれた考えや、無理に正当化した言葉。自分を守る理由ばかりを頭に並べて、一人ひきこもる。この時あたしは、これ以外の方法を知らなかった。本当の失恋から、逃げる方法を。

    2006-07-09 04:38:00
  • 514:

    せぇ

    どうせアンタも、餌をくれる、世話をしてくれるからあたしになついていただけで…。他にそういう人が出来たら、そっちに行くんやろ?あたしじゃなくてもいいねやんな−…?

    2006-07-09 04:39:00
  • 515:

    せぇ



    しんどかった。きつかった。毎日泣いてた。彼を思うと胸がしめつけられた。なんであたしがこんなに目に合うのか、その理由は彼でしかなくて、あたしはやっぱり彼を恨んだ。
    それでもやっぱり、最終的に辿り着くのは…−。

    2006-07-09 04:42:00
  • 516:

    せぇ

    彼が好きやってこと。大好きやったってこと。
    ずっと…ずっと一緒にいたかったこと。

    これだけやった。

    2006-07-09 04:47:00
  • 517:

    せぇ

    こんな気持ちなんて知らない。どうすればいいのかわかんない。あたしは何がしたいんやろう。だけど、彼と元に戻れるなら、あたしはなんだってするし、なんだって出来ると思う。だけどその『何か』はこれっぽっちもわからなかったし、誰にも聞けなかった。好きで、好きで、好きで、それだけ。あたしの中にあるのは、それだけやった。

    2006-07-09 04:48:00
  • 518:

    せぇ

    いろんな考えが浮かんでは消えて、消えても考えて。あたしは何もしたくなかった。本当の失恋をした時くらいは、悲劇のヒロインでいたかった。
    それでもやっぱり、現実は、お腹も空けば、トイレにも行きたくなる。そんな自分に毎回うんざりしながら、ベットから重たい体を起こす。

    そっとゆっくりドアを開けると案の定、必ずチビクロはすごい勢いで部屋に飛び込んでくる。

    2006-07-09 04:49:00
  • 519:

    せぇ

    そしてあたしは逃げるチビクロを無理に抱き上げて、するとチビクロはあたしにしがみつく。そしてあたしはまた、爪をたててしがみつくチビクロを無理に服から、自分自身から引き剥がして、部屋の外へ放り投げる。あたしがどれだけそっとドアを開けたって、どれだけ急いで開けたって、チビクロは見計らったように突進してくる。
    その小さな格闘は、何度も何度も何度も続いた。

    2006-07-09 04:50:00
  • 520:

    せぇ



    −…チビクロの、ひたすら純粋にあたしを想ってくれる気持ちは、あたしのそれと一緒に見えた。
    そしてそれは、余計にあたしをうんざりさせた。

    2006-07-09 04:50:00
  • 521:

    せぇ

       〜♪〜♪
    急いで携帯を取る。相変わらずの爆音トランスが流れる携帯の待ち受け画面に、映った名前は…仁じゃない。それだけで、あたしの携帯に対する興味は一気に一切なくなって、あたしは携帯をそこら辺に投げつけた。待っても待っても、彼からは着信どころか、たった一通のメールもなかった。

    2006-07-09 04:58:00
  • 522:

    せぇ

    自分から連絡する勇気もないくせに、あたしは日が経つに連れ、頭がおかしくなるくらい、彼だけのことを考えていた。

    声が聞きたい。顔が見たい。彼に触れたい。

    2006-07-09 04:58:00
  • 523:

    せぇ

    −はぁ。

    ため息を一つついて、あたしはトイレに行くために部屋のドアに手をかけた。その瞬間、チビクロが身構える気配がする。−もう本当にうんざりだ。そのまま少しだけドアを開く。小さな隙間に体をひねらせて、部屋に入って来たチビクロは、いつも通り、あたしの足に体をからませ、甘えてくる。あたしはドアに手をかけたままつっ立ったまま、ボーッとそれを見下ろしていた。それに気付いてか、チビクロは真っすぐにあたしを見上げた。

    2006-07-09 04:59:00
  • 524:

    せぇ

    目が合う。

    漆黒の大きな瞳は、今のあたしには不釣り合いだ。

    2006-07-09 05:01:00
  • 525:

    せぇ



    −ガッ

    2006-07-09 05:01:00
  • 526:

    せぇ




    鈍い音をたてて、小さな体は数メートル先の地面まで転がった。

    2006-07-09 05:02:00
  • 527:

    せぇ

    あたしは、思いっきり。
    あたしを必要としている瞳を持った、あたしの宝物を、−…力強く、蹴り飛ばした。そしてそれと同時に、泣き崩れた。


    別れてから一週間、初めて声を出して大泣きした。

    2006-07-09 05:04:00
  • 528:

    せぇ





    2006-07-09 05:06:00
  • 529:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    最近よく考えるの。

    あたしはあんたに何度
    助けられたんだろって
    そのくせあたしは
    何もしてあげれなかったね。
    むしろ傷つけてばかりだった。

    ねぇチビクロ

    何度問い掛けたって
    もうあんたの声は聞こえないけど

    あんたの姿を
    頭に何度も思い浮べて

    今でも、あんたがいない今でも
    あたしは頑張れるんだよ
    あんたの姿を、声を
    思い出す、それだけで。

    届かなくても、聞こえなくても、わからなくても。
    知っていてね。
    それだけは。

    2006-07-09 05:08:00
  • 530:

    みみ

    感動…。

    2006-07-09 07:18:00
  • 531:

    名無しさん

    蹴ったんや↓

    2006-07-09 10:28:00
  • 532:

    名無しさん

    動物虐待 おまえ氏ね

    2006-07-09 17:23:00
  • 533:

    名無しさん

    この小説きらい。むかっいてくる。前にあった、子猫学校連れて行くとか猫蹴るとかありえん。主自分のことばっかり。動物飼う資格なし。おつかれ。

    2006-07-09 17:28:00
  • 534:

    せぇ

    ご意見、ご感想ありがとうございます。みなさんが言うとおり、主自身も最低だったと思いますし、動物を飼う資格もないと思います。あれ以来どれだけ捨て猫を拾っても、自分自身で飼ってはいません。
    以前も書いたように、ココでこのような本当のこと全てを書けば、批判が出てくることもわかっていましたし、その通りやと思います。みなさんに、不快な思いをさせてしまって本当に申し訳ないです。ですが、今更取り繕って逃げようとも思いません。これがチビクロの話なので、よろしければ、最後までお付き合い下さいm(__)m

    2006-07-09 20:30:00
  • 535:

    せぇ





    2006-07-09 20:32:00
  • 536:

    せぇ

    涙は止まる事無く、泣き声もしだいに大きくなる。あたしはひたすら、小さな子供みたいに泣きじゃくった。きっと、今のあたしの顔なんて見れたもんじゃない。泣いたってどうにもならないことなんてわかってる。


    だけど…どうしようもないことをどうにかするには、どうすればいいの?

    2006-07-09 20:35:00
  • 537:

    名無しさん

    560です正直猫をおもっきり蹴るとか信じられへん↓もうせんといてな↓最後まで頑張って読むから☆

    2006-07-09 20:36:00
  • 538:

    せぇ

    涙で霞む視界に、怯えたような目であたしを見つめるチビクロがうつった。

    これで終わった。もう二度と、チビクロは前みたいにあたしを慕わないだろう。

    2006-07-09 20:38:00
  • 539:

    せぇ

    −…失うのが恐い。どれだけ大切に想ったって、どれだけ大切にしたって、返ってくる保証なんてないやん。
    『見返りを求めない愛』なんて、あたしには出来ない。いつかいなくなるなら、いつか裏切られるなら、最初から大切にしなければ、もう傷付かなくて済む。

    こんな思いは、もう二度としたくない。だったらこれが正解だ。

    2006-07-09 20:39:00
  • 540:

    せぇ

    なんで離れていったの?あたしの何があかんかった?
    ねぇ…仁?
    今は。あたしは。
    あんたがホストだろうが、もし浮気していたとしようが、…−側にいてくれたら。
    あたしは、もう、それだけで…ー。

    2006-07-09 20:40:00
  • 541:

    せぇ

    失恋が、こんなにつらいものだとは思ってもみなかった。

    ただずっとつらくて、しんどくて、恐くて、切なくて、だけど何よりもー…彼が恋しくて仕方なかった。

    2006-07-09 20:41:00
  • 542:

    せぇ

    涙は、いつまでたっても止まらなかった。きっと、あたしは全てを失った。これで終わった。あたしの、幸せやった、何の根拠もない、だけど確信をもって言えた。世界で1番幸せやった三ヶ月。


    あたしとチビクロと仁の、三人の時間は、きっともう、二度と帰ってこない。

    2006-07-09 20:43:00
  • 543:

    せぇ

    楽しかったね。
    あの頃を、あの時、あの時間、あの瞬間を、『幸せ』だと感じていたのは、あたしだけじゃないやんな?

    2006-07-09 20:44:00
  • 544:

    せぇ


    何でこうなったんやろう。何で…ねぇ何で?


    2006-07-09 20:46:00
  • 545:

    せぇ




    二人がいないなら、あたしは生きてる価値がない。
    だって二人があたしの幸せで、その二人がいないなら、幸せなんて二度と感じられない。そうでしょ?そうやんな?

    2006-07-09 20:48:00
  • 546:

    せぇ

    泣いて泣いて、どれくらい泣いたか、枯れないはずの涙が、枯れはてた頃に。あたしの頭にあったのは、たった一つだけ。



    『死ンダホウガマシ−…』

    2006-07-09 20:50:00
  • 547:

    せぇ





    2006-07-09 20:51:00
  • 548:

    せぇ

    机の引き出しから、新品の剃刀と、あと少しになった精神安定剤、そして大量の睡眠薬を取り出した。


    −…結構前の話。ママの店の子に、少し事情があったことがあった。その女の子は、これを一気に飲もうとして、そしてそれをママが見つけてとりあげた。

    2006-07-09 20:52:00
  • 549:

    せぇ

    あたしは数日前に、それをこっそりくすねて、何を思ったか自分の机の引き出しに隠していた。
    多分、考えてもみなかったことだけど、やっぱり今思えば、数日前からこの考えはどこかにあったのかもしれない。

    2006-07-09 20:53:00
  • 550:

    せぇ





    2006-07-09 20:56:00
  • 551:

    せぇ

    プチ、プチ…

    錠剤を全て包装から取り出す。全部で30粒強くらい。これだけで、死ねるのだろうか…。

    2006-07-09 21:05:00
  • 552:

    せぇ

    『あっ…』



    水…。

    2006-07-09 21:06:00
  • 553:

    せぇ

    重たい体を無理に起こして、のそのそとあたしは立ち上がった。その瞬間、ビクッと怯えるチビクロの姿が目に入った。

    また涙がこぼれる。
    ごめん。
    本当にごめんなさい。

    2006-07-09 21:10:00
  • 554:

    せぇ

    あたしは、壁に手をついて、フラフラする体を支えながら一階へ降りる階段へと向かうために、扉に手をかけた。



    その瞬間。

    2006-07-09 21:13:00
  • 555:

    せぇ



    『ナァ!』       

    2006-07-09 21:32:00
  • 556:

    せぇ

    大きな声で、一声鳴いた。

    振り替えると、背筋をピンと延ばして、真っすぐにあたしを見つめるチビクロが、そこにいた。

    2006-07-09 21:35:00
  • 557:

    せぇ

    その瞳は、いつも通りの、あの瞳やった。

    ただひたすら純粋に。
    あたしを必要とする瞳。
    何よりも深くきれいな、漆黒の瞳。

    2006-07-09 21:38:00
  • 558:

    せぇ

    思わずあたしはそこへ座り込んだ。止まっていたはずの涙も、またとめどなく溢れだす。


    ねぇチビクロ
    あんたは−…。

    2006-07-09 21:41:00
  • 559:

    名無しさん

    頑張れ?せぇちゃん?

    2006-07-09 21:43:00
  • 560:

    せぇ

    『チビクロ、ごめんなさい。本間にごめんなさい…』あたしはただひたすら泣いた。一気に込み上げてくる罪悪感。
    あたしは何てことをしたんだろう。チビクロは、何にも悪くないのに。何してるんだろう。
    ますます、自分はいなくなるべきやと確信した。

    2006-07-09 21:47:00
  • 561:

    せぇ

    またあたしは静かに立ち上がると、拭っても拭っても止まらない涙をまた拭って、もう一度下へ降りようと部屋を出た。
    階段を降りて、キッチンへ向かう。マグカップに水をいれようとしたけど、量が足りそうになかったから、冷蔵庫からペットボトルごと持ち出して、もう一度部屋に戻ろうと体の向きを変えた。

    2006-07-09 21:55:00
  • 562:

    せぇ

    ボトッ−
    2リットルのペットボトルは、軽く床を振動させるくらい重かった。衝撃でグシャリとつぶれた横の部分から、水がこぼれる音がする。


    そこには、あたしの後ろを追ってきた、チビクロの姿があった。

    2006-07-09 22:02:00
  • 563:

    せぇ

    ここ一週間、あたしは見えない何かに、ずっと問い掛けてばかりだった。

    何であたしが?
    何でこうなったん?
    何があかんかった?

    2006-07-10 01:35:00
  • 564:

    せぇ

    誰に聞いてるのかなんて、あたし自身でもわからない。だから、誰も答えてなんてくれなかった。



    だけど、今この瞬間は−…

    2006-07-10 01:38:00
  • 565:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    なんで?
    なんであんたは、
    そんなにも−…

    2006-07-10 01:40:00
  • 566:

    せぇ

    毎日泣いていたせいで、まぶたは常に腫れていた。そして涙で滲んでいる今、視界は極端に狭く暗かった。
    だけど不思議とはっきり解る。
    茫然と立ち尽くすあたしに、ゆっくりと、真っすぐに、あたしに近づいてくるチビクロの姿。

    2006-07-10 01:47:00
  • 567:

    せぇ

    あたしの足元まできた彼女は、いつもと変わらず、甘えてくる。あたしの右足と左足の間に体を突っ込んで、頭をあたしの足首に擦り付ける。そして、ゴロゴロとノドを鳴らす。


    そう、いつも通りなのだ。あたしは、あんなことをしたのに。彼女を傷つけた、張本人なのに。

    2006-07-10 01:54:00
  • 568:

    せぇ

    あたしは思わずチビクロを抱き上げた。チビクロは何の抵抗もしないばかりか、あたしの頬に自分の鼻を擦り付けて、相変わらずのどを鳴らす。
    ふあふあの毛は、何よりも心地よかった。
    そして改めて、あたしが何日も彼女に触れてなかったことを思い出した。

    2006-07-10 02:01:00
  • 569:

    せぇ

    涙がこぼれて、チビクロの顔に落ちた。あたしはあわててそれを拭ってから、自分の顔も手のひらで拭いた。

    だけどその行為は、チビクロのせいでまたすぐ意味がないものになってしまった。

    2006-07-10 02:04:00
  • 570:

    せぇ

    ねぇチビクロ。
    励ましてくれてるの?


    チビクロは、涙を拭ったあたしの指先をペロペロと舐め始めた。あたしの手を両手で掴んで−…丁度ミルクをあげてたあの頃みたいに。何度か、あたしの顔に視線を変えながら−…。

    2006-07-10 02:10:00
  • 571:

    名無しさん

    せえちゃん書いてくれてありがとう読んでるからね?頑張って??

    2006-07-10 02:12:00
  • 572:

    せぇ





    2006-07-10 02:52:00
  • 573:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    くさいかもしれないけど
    あたしはあの時

    あんたが天使にしか見えなかった。

    あんたに出会えた
    それだけであたしの人生は幸せやったと
    心から思うよ。

    2006-07-10 02:53:00
  • 574:

    せぇ





    2006-07-10 02:54:00
  • 575:

    名無しさん

    せえちゃんまた書いてなぁ?もぅすぐ完結かな??楽しみに待ってます?おやすみなさい?

    2006-07-10 03:29:00
  • 576:

    名無しさん

    最初から読ませていただきました。
    私も同じよぅな経験あるから、読んでて本当に涙か出てきます。
    私の場合ゎ猫でゎなく、自分の子供ゃケド…
    最低な事をした自分を思ぃ出し後悔。。。
    主さん頑張って?さぃ。
    最後まで必ず見届けます。

    2006-07-10 06:39:00
  • 577:

    名無しさん

    あげ

    2006-07-10 09:36:00
  • 578:

    名無しさん

    みんな反省してもうしやんと大事にしてこ??

    2006-07-10 15:21:00
  • 579:

    名無しさん

    ずっと読んでます。なんか切なくなる(ノ_・、)頑張ってね!

    2006-07-10 17:59:00
  • 580:

    ???

    昨日カラ
    全部読ませて
    もらいました?
    泣いてしまいましたあ?
    あたしも家で
    動物かってるので
    よくわかります?
    せぃちゃん
    これからも更新
    頑張ってください??

    2006-07-10 21:26:00
  • 581:

    ??

    続き気になる(>_

    2006-07-15 14:31:00
  • 582:

    はる

    昨日から読ませて頂きました!!
    ウチは動物大好きなので題名に興味があって
    読み始めました♪

    更新がんばってください!!!!

    2006-07-16 23:27:00
  • 583:

    名無しさん

    あげ?

    2006-07-18 00:23:00
  • 584:

    せぇ

    チビクロを抱いたまま、あたしは部屋に戻った。
    ふと視界に映った、机の上に散らばった薬を横目に見ながら、あたしはそのままベットに寝転んだ。
    それからチビクロを腕の中に抱き直す。

    2006-07-23 01:25:00
  • 585:

    せぇ

    『あたしには、この子がいる』そう思うと、やけに心が落ち着いた。

    飽きもせず彼女のやわらかい毛を撫でる。チビクロの体温はすごく暖かくて、そして優しかった。あの気持ちを、どんな綺麗な言葉で飾ればいいんだろう。

    無理に表現しようとすると、やけに胡散臭くなりそうで、あたしには上手く話せない。

    2006-07-23 01:26:00
  • 586:

    せぇ





    2006-07-23 01:27:00
  • 587:

    せぇ

    寝転んだまま、思わずギュッと抱き締めると、チビクロの瞳に、あたしが映った。
    あたしは、久々に見た自分の姿に少し驚いて、それから呆れた。
    ボサボサの髪、ひどいクマ。鮮明に映ってるわけじゃない、ましてやチビクロの瞳の中なのに。現実はきっと、とても見れる顔じゃないだろう。

    だけどなんだかんだ、今映る自分の表情は、−…幸せそうだ。

    2006-07-23 01:29:00
  • 588:

    せぇ

    『見返りを求めない愛』は、ここにあった。
    チビクロの、純粋な気持ち。出会った頃と、何一つ変わらない。
    ただひたすら純粋で、単純で、何よりも綺麗だ。

    本物の愛情を、あたしはあの日、チビクロに教えてもらった。

    2006-07-23 01:31:00
  • 589:

    せぇ

    チビクロは、不思議な猫だった。
    文字通り、彼女の『黒』は何色にも染まらない。
    それは何よりもかけがえのない真実で、憧れさえ憶える。
    この子のようになりたいと、強く願った。

    2006-07-23 01:32:00
  • 590:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    この気持ちを、あんたにどうやって伝えればいい?

    あんたに出会ってから
    あたしはどれだけ大人になれたやろう。

    真っ白より
    純粋な漆黒。
    あたしはあんたに教えてもらった。

    ねぇチビクロ

    恩返しさせてよ
    何よりも愛しいあんたに

    ありったけの感謝を−…。

    2006-07-23 01:33:00
  • 591:

    せぇ





    2006-07-23 01:34:00
  • 592:

    せぇ

    始業式の日の朝、キョンはわざわざあたしの家まで、迎えに来てくれていた。
    春休みの間にも、キョンはずっと連絡がとれないあたしを心配して、何度か家に来てくれていた。だけど、あたしは『誰にも会いたくない』の一点張りで、あたしの性格を誰よりもわかっているキョンは、仕方なくそっとして置いてくれたみたいだった。
    そんなキョンに、あたしはあの日、落ち着いてから連絡を入れ、もう大丈夫だと言うことと、『心配かけてごめん』と、謝りのメールを入れた。彼女からの返信は一言。『そっか?ならよし!』の一通だけで、だけどやっぱり、彼女らしかった。
    あたしは一人じゃないんだと、改めて感じた。

    2006-07-23 01:48:00
  • 593:

    せぇ

    いつものように、鏡を覗き込み、最後のチェックをする。
    今朝はいつもより少し早く起きて、念入りに化粧をした。仁と最後に会った、あのお花見以来の久しぶりの化粧は新鮮で、気持ちも垢抜けた気がする。めずらしく髪も巻いてみた。
    『仁と会うかもしれない』
    色々なことがあった春休み。彼を疑って、信じて、裏切られて−…。それでも、やっぱり一番に、大好きだった。
    彼に会いたくないと言えば嘘になる。

    2006-07-23 02:01:00
  • 594:

    せぇ

    『行ってくるな、チビクロッ!』あたしはチビクロの頬っぺたにチュウをして立ち上がった。『ナ…』眠っていたチビクロは、だるそうに少し目を開けて、一声鳴いたあと、また体を丸くして眠り直した。その可愛い仕草に元気をもらって、あたしは勢い良くドアを開いた。
    今日から、あたしの新しい毎日が始まる−。

    2006-07-23 02:07:00
  • 595:

    せぇ

    『おはよ!』久々に顔を合わせたキョンは、いつもと変わらず、その態度は何故かあたしを安心させた。彼女は何も聞かない。普段ならあたしも話さない。


    だけど、今日は違った。

    2006-07-23 02:10:00
  • 596:

    名無しさん

    今初めて一気に読んで何度も泣きました??せぇちゃん頑張って下さぃ?

    2006-07-23 10:38:00
  • 597:

    ゆみか

    今初めて一気に読みました?私も猫を飼っているので、最初から泣きまくりでした?続き待ってます

    2006-07-31 02:18:00
  • 598:

    せぇ

    お待たせしました。再開します。更新遅れてしまい、大変申し訳ないです。

    2006-08-06 19:54:00
  • 599:

    せぇ

    学校に着くまでの約1時間、全てを一から話すには、少し時間が足りないように思えた。だけどいざ話始めると、上手く表現できなかったり、感情的になって早口になったりで、学校に着くころには、逆にあたしが聞く立場に変わっていた。
    といってもキョンは『あんたなら大丈夫』と言ったきりで、その後はずっと猫の話。変に励まされるより元気になれたのは、きっと彼女が、誰よりもあたしを理解してくれているからだ。

    2006-08-06 19:54:00
  • 600:

    せぇ

    『なんしまたチビクロ連れておいでや!ヤマトがさみしがってんねん。』
    校門を少し通り過ぎた頃、キョンはそう言って話を終わらせた。


    『…ってかクラス発表!見るの忘れてたやん!笑』あわてて、くるっと回れ右をしたキョンは、少し照れくさそうにそう言った。『本間それな〜』と、あたしも回れ右をして、そう返事をしながらも、「キョンもそれなりに気を遣っていっぱいいっぱいになっててんやろな〜」と少し解って、やっぱり素直にうれしかった。

    2006-08-06 19:57:00
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