小説掲示板ちっちゃな黒猫の話。のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

ちっちゃな黒猫の話。

スレッド内検索:
  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 326:

    せぇ

    やっとあたしの笑いが収まった時には、チビクロは仁の膝の上でまるくなっていた。あたしはヤキモチを焼いて、−どちらにかはわからないけど−仁の膝からチビクロを取り上げた。『何すんねん!』って仁は怒る。あたしは笑う。チビクロはまた遊びだす。

    2006-04-20 23:35:00
  • 327:

    せぇ

    それからは三人で遊んだ。猫じゃらしで前と後ろ、二人でチビクロを誘惑した。はじめてマタタビをあげてみた。ミルクのあげ方を教えてあげた。チビクロの肉球を二人で取り合いした。

    2006-04-20 23:42:00
  • 328:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    あの頃
    あんたは
    幸せやった?

    なぁチビクロ

    あたしは

    人生で一番
    幸せな時やったよ。

    ねぇチビクロ

    チビクロ、チビクロ−…?

    一体何回名前を呼んだら
    あたしはあんたにまた会えるの?

    2006-04-20 23:47:00
  • 329:

    せぇ

    遊び疲れたチビクロは、ウロウロ寝床を探した。そして結局、あたしの膝の上に落ち着いた。『ヒヒ、いいやろ!』視線を下から上に。チビクロから仁に移した。得意げに自慢する。−その瞬間。

    2006-04-20 23:51:00
  • 330:

    せぇ

    仁は、あたしに、
    キスをした。

    瞬きする時間もないくらいの短いキスは
    セッターの匂いがした。

    2006-04-20 23:54:00
  • 331:

    せぇ

    『俺はこっちのがええわ。』ほら、またあの笑顔。口の右端だけを上げて笑う。
    あぁ、仁は知ってるのかな。あたしが仁のその笑顔にどれだけ惹かれるのか。

    2006-04-20 23:58:00
  • 332:

    せぇ


    『好きやねんけど。』

    2006-04-20 23:59:00
  • 333:

    せぇ

    そぅ、口にしたのはあたし。
    告ろうとしたわけじゃない。素直に口から出てきた言葉やった。だけど、言ってから後悔、生まれて初めて自分から気持ちを伝えた。告白って、こんなにドキドキするもんなんや−…。
    緊張しながらあたしは仁に目を向けた。彼は黙り込んで下を向いている。
    鼓動が早い。心臓が動く音が直接、頭に響く。

    2006-04-21 00:05:00
  • 334:

    せぇ

    『…仁?』思わず彼の名前を呼んだ。自分でも驚くほどの、震えた声で。

    仁はゆっくりと顔を上げて、真っすぐあたしを見つめる。仁の瞳は、深い黒色で、チビクロと同じ色だった。だからこんなにも、吸い込まれそうになるのかな。

    2006-04-21 00:11:00
  • 335:

    せぇ

    彼はなかなか口を開かなかった。右を見たり左を見たり、頭をかいたり、またあたしを見つめたり。
    何となく目が熱い。今度はあたしが下を向いた。自分でも、どうして涙が出るのかわからないのに、泣いてるところなんて見せたくなかったから。

    2006-04-21 00:16:00
  • 336:

    せぇ

    『せぇ?』
    どれくらい時間がたっただろうか。今度は彼があたしの名前を呼んだ。

    好きな人が自分を呼ぶ声が好き。あたしの、一番好きな言葉。

    2006-04-21 00:18:00
  • 337:

    せぇ

    あたしはゆっくり、本間にゆっくり顔をあげた。きっと、ひどい顔やと思う。
    顔を上げたところで、沈黙は続いた。

    『あ〜もう!!』

    2006-04-21 00:21:00
  • 338:

    せぇ

    彼は乱暴にあたしを腕の中に抱いた。体のバランスが崩れて、チビクロが膝から落ちる。(また起こしてもーたな…。)驚きとは別に、冷静にそんなことを考えていた。

    2006-04-21 00:24:00
  • 339:

    せぇ

    『何で先に言うかな〜。』ボソッと彼がつぶやく。その言葉の意味を意識してみる。あたしと同じくらい、早く鳴る彼の鼓動が、その答えやった。
    仁が、あたしを腕に抱く力が強くなる。
    『俺も。せぇが好きやで。』

    2006-04-21 00:27:00
  • 340:

    せぇ

    『なんで泣くねん、反則やわ〜!!』彼はあたしを離すと、あの笑顔でそう言った。『だいたいあのタイミングは俺から告るやろ!なんで先に言うねん』照れ隠しか、彼はすごい勢いでしゃべりだした。あたしはそんな仁がかわいくて、笑いながら『ごめんなさい』って一言だけ返した。男の子って以外とロマンチックやねんなって、思いながら。

    2006-04-21 00:32:00
  • 341:

    せぇ

    ふと会話が途切れる。
    顔が近づく。
    目をつむる。
    二回目のキス。

    2006-04-21 00:34:00
  • 342:

    せぇ





    2006-04-21 00:36:00
  • 343:

    せぇ

    『ナー!』
    思わずのタイミングでチビクロが鳴いた。キスの途中やのに、思わず目を開ける。仁も同じで、思わず目が合う。
    『ナー!』
    ぃやぃやありえへん…。なぁチビクロ、あんたそんな大きい声出せれたん?
    ぃやぃや、本間にありえへん。いい雰囲気が台無しやんけ。いくらなんでも、あたしだって怒んで、なぁ?チビクロ?笑
    近づいていた顔が離れた瞬間、仁と二人で大爆笑になった。うちらの始まりは、こんな感じ。どこまでさかのぼったって、そこには必ず、大好きなチビクロがいるの。

    2006-04-21 00:45:00
  • 344:

    せぇ

    チビクロ、チビクロ!
    何度だって呼ぶよ
    何十年だって待つ
    あんたにまた会えるまで。

    2006-04-21 01:01:00
  • 345:

    名無しさん

    >>1-100
    >>101-200
    >>201-300
    >>301-400
    今日はここまでです?↑よかったら使ってください??アリガトウございました??

    2006-04-21 01:07:00
  • 346:

    みみ

    面白すぎる!

    2006-04-21 01:22:00
  • 347:

    せぇ

    やっと自宅にパソコンがつながれたので、これからは携帯とパソコン、両方を使って更新します。IPが違うくても主なんで、引き続き気にせず呼んでください。
    少しになるかもしれませんが、呼んでください。

    2006-04-22 01:55:00
  • 348:

    せぇ







    2006-04-22 01:56:00
  • 349:

    せぇ

    二人共の笑いが収まったあと、仁はふとまじめな顔になり、口を開いた。「お前、学校休まなくていいで。」
    予想外の言葉に、思わず驚く。「なんで?」そう聞くと、仁はあの癖のある笑顔で、「まぁいいから。」と、そう言った。結局、理由は教えてもらえないまま、仁は明日も学校にチビクロを連れてくるようにだけ言って、その日は帰って行った。
    自分から言ったくせに、缶ビールには手をつけないまま。1本だけ吸った、セッターの香りを残して。

    2006-04-22 02:05:00
  • 350:

    せぇ

    その日の夜は眠れなかった。何度も眠気を覚まされていたチビクロは、よほど眠かったのか、無防備にお腹を出して、死んでるんじゃないかと思うくらい爆睡していた。何の夢を見ているのか、時折手足をパタパタと動かす。そんな姿を見るたび、あたしは思わずフッと笑う。心が温かくなって、すごく落ち着く空気を、チビクロは作る。「黒猫は不吉だ」と昔から聞く。どうしてそんなことを言われだしたのかはわからないけど、少なくともあたしは世界一幸せだと思う。チビクロがいてくれるから。

    2006-04-22 02:13:00
  • 351:

    せぇ

    「愛してるで」普段は絶対に使わない、そんな言葉を、この子に出会ってから簡単に口に出すようになった。
    自分でも、すごくやさしい顔で笑ってるんだろうなと思う時がある。
    何よりも、「ただいま」と言える相手がここにいる。

    2006-04-22 02:17:00
  • 352:

    せぇ




    2006-04-22 02:21:00
  • 353:

    せぇ

    〜♪ ―目覚まし?違う、昔流行ったJ-POPの着メロ。これは、知らない番号からかかってきた時に鳴る着信音だ。・・・何やねん。ついさっき目を閉じたばかりの気がする。開口一番、「誰?」と一言、あたしはすごく不機嫌そうに電話に出た。「誰?やないわ!俺やわ!」「・・・・・・」「・・・せぇ?笑」「・・・・!!」あっという間に眠気は吹き飛ぶ。・・・仁だ。
    「わかった?お前、寝起き悪いねんな」顔は見えない。だけどきっと、あの笑顔で言っているだろうなと思った。「そんなことないで!」全力で否定はしてみたものの、もう手遅れだとわかった。仁は笑いながら「はいはい」と言った後で、「お前、何時に学校始まるか知ってる?」と同じ口調で私に尋ねた。
    ―えっ?! もう完璧に眠気は吹き飛ぶ。時計の針は、9時を回ろうとしていた。遅刻決定。おまけに水野の遅刻指導付きだ。

    2006-04-22 02:35:00
  • 354:

    せぇ

    「・・・はぁ。」大きなため息を一つ付く。開き直って、あたしは空気を変えようと、ゆっくりと立ち上がってカーテンを開いた。
    ・・・・・・ッ!!
    彼はどこまであたしを驚かすんだろう。「お前が中々起きひんせいで、俺約一時間くらい待っててんけど。笑」電話越しに聞こえる言葉と、窓の外にいる彼の口元が一致する。驚きすぎて固まっているあたしに、仁は一言「スッピンかわいいな」と止めを刺した。

    2006-04-22 02:44:00
  • 355:

    せぇ

    気が付いたら何も言わずに電話を切っていた。鏡を覗き込んで、急いでぼさぼさの頭を手ぐしで直す。学校の体育の時間ですら、こんなに走ったことないだろう速さで階段を駆け下りて、玄関のドアを勢い良く開いた。
    「よく眠れた?」と、やっぱりあの笑顔で、彼は一言呟いた。

    2006-04-22 02:48:00
  • 356:

    せぇ

    「うん。」と頷いて、あたしも一言だけ返した。

    2006-04-22 02:49:00
  • 357:

    せぇ




    2006-04-22 02:51:00
  • 358:

    せぇ

    100均の大きな鏡越しに仁と目が合う。ニヤリと笑った彼は「あ〜寒かった!」とおどけて言って、体をさする。「・・・ごめん。」と返事をして、あたしはまた目にマスカラを塗りたくる。「まだ塗んの?」と彼はまた呟く。「やからごめんって!」とまたあたしは返事を返す。「まっ、どうせ遅刻やしな、ゆっくり特殊メイクすれば?笑」仁は笑えない冗談を吐いてから、目を覚ましたチビクロを抱き上げた。あたしは仁をにらみ付けて、今度は寝癖を直しにかかる。「にらまれた!お前の飼い主は怖いね〜。」と仁は笑いながら、それから「いじめられたら俺に言えよ!」と真剣に、今度はチビクロに話し掛けている。かれこれ1時間近く、こんな会話を続けながら、あたしは用意を済ませた。

    2006-04-22 03:03:00
  • 359:

    せぇ

    「着替えるからあっち向いてて!」そう言って、あたしはクローゼットを開いた。「はいはい。どうせそのうち裸見ることになるねんからいいやんけ!な〜、チビクロ!」そういった仁にあたしはクッションを投げつけてから、着替えを終わらせ、ベットに座った。

    2006-04-22 03:06:00
  • 360:

    せぇ

    「で?チビクロはどうすればいいの?」さっきまでの会話とは打って変わって、真剣な声で仁に話し掛けた。あたしは完璧に水野にマークされている。
    キョンにチビクロを預けた次の日、いつものように校門に立っていた水野は、あたしがまたチビクロを連れていないか、確かめるように何度もジロジロ見つめてきていた。保健室にまで足を運んで、猫がいないかどうか、あゆちゃんに何度も確かめていたらしい。

    2006-04-22 03:12:00
  • 361:

    せぇ

    不安でいっぱいのあたしに、今度は仁も、真剣な顔で、作戦を話し始めた。
    「お前は忘れてるかも知らんけど、冬休みまであと一週間もないねん。その間を乗り切ったら、冬休みの間にチビクロもミルク離れするやろうし、大きくなれば半日くらい一人でも平気なはずや。どっちにしろずっと一緒におんのは無理やねんから、そういう意味でも慣らさなあかんしな。」仁が言っていることはもっともな話で、だけどやっぱりあたしは不安だった。そんなあたしに気づいてか、仁は続けた。「いいか、せぇ。猫は基本的に良く寝るねんから、昼間はだいたい寝てんの!犬とちゃうくて猫はずっとかまっててやらなあかん動物でもないねん!お前の気持ちもわかるけど、現実的に無理なことは、妥協せなあかんねん。わかった?」あたしは仕方なく小さく頷いた。

    2006-04-22 03:21:00
  • 362:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 363:

    せぇ

    「んで、こっからがすごいとこやねん!その廃部になったラグビー部のキャプテン、っていっても活動なんかしてなかったから、ようはそいつ等のリーダーみたいなもんだった奴が、俺の先輩の友達やねん。んで、コレ。昨日借りてきた」そう言って仁はポケットから小さなカギを取り出した。途端にあたしの顔は笑顔になる。「やるわ。」そう言って、仁はあたしにカギをくれた。汚れたラグビーボールのキーホルダーについた、汚れたカギは、あたしにはキラキラ光って見えた。

    2006-04-22 03:52:00
  • 364:

    せぇ

    なぁチビクロ。

    あの魔法のカギは、
    今でもあたしの部屋にあるよ。
    あの頃よりもずっと
    ずっと
    輝いて見えるのは
    もう二度と
    あの部屋に行く事がないからかな。

    あんたにつながる物は全て
    あたしの宝物やねん。

    きっと、それは一生
    変わらへん未来。

    2006-04-22 03:56:00
  • 365:

    せぇ

    >>372-389
    今日はここで終わります。ありがとうございました。
    あと、みみさんへ
    いつもすごい励まされてます。思い出しながら書いて行くうちに、やっぱりちょっとつらくなるときもあって、いずれチビクロの死を書く時、完結できるか不安で・・・。やけど、いつもみみさんを始め、応援してくれるたくさんの人たちのおかげで、がんばろうって思えるんです。本間に本間に、ありがとうございます。

    2006-04-22 04:22:00
  • 366:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 367:

    せぇ

    391さん
    はい、その通りやと思います??やけどあの時は、他に方法が思い浮かばんくて…?見てて不快な思いをさせてしまったみたいで、申し訳ないです?ごめんなさい?

    2006-04-22 06:05:00
  • 368:

    みみ

    せぇさんはそこまでして動物に対する愛が深いってことやからチビクロちゃんもきっとせぇさんの事大好きやろうね★これからもずっと応援してるので自分のペースでいいんで書いていってくださいね★長々とすいません。

    2006-04-22 06:29:00
  • 369:

    みみ

    それともう一つ。せぇさんこちらこそいつもこの小説で楽しませてもらってるのでありがとうございます。

    2006-04-22 06:34:00
  • 370:

    391です。書いてる途中に文句みたぃなん書いてごめんねm(u_u)m 荒らしと違うよ!猫が大好きなんで可哀想と思ってしまったの。でもせぇチャンなりの愛情やねんね… ホントごめんね。 ちなみにうちにも黒猫います。名前はミクロです☆でわがんばって!!

    2006-04-24 09:01:00
  • 371:

    ☆杏☆

    楽しみにまってます★

    2006-04-27 14:24:00
  • 372:

    せぇ

    みなさんありがとうございます?がんばります!
    これから更新します。

    2006-04-30 20:22:00
  • 373:

    みみ

    人それぞれ愛情の表現の仕方は違うもんね☆

    2006-04-30 20:56:00
  • 374:

    せぇ

    エラーが続くのでパソコンから書きます。

    2006-04-30 21:18:00
  • 375:

    せぇ

    私たちが学校に着いたのは、ちょうど昼休みになってすぐやった。念のため裏口からチビクロを連れて入った仁と、当たり前のように屋上のあの場所で待ち合わせをした。あたしたち3人の始まりの場所―。

    2006-04-30 21:21:00
  • 376:

    せぇ

    仁より先についたあたしは、相変わらず人のいない屋上で、少し曇った空を見上げて、幸せいっぱいやった。

    2006-04-30 21:24:00
  • 377:

    せぇ

    「せ−ぇ!」チビクロを入れたカゴバックを揺らさないように胸に抱きながら、数分後に来た仁は、機嫌よさそうに「水野おらへんかったで!」と言って笑った。
    チビクロをカゴから出して、お昼ご飯を三人で食べる。チビクロはミルクを飲んだ後すぐに眠った。
    休み時間が終わる10分前にあの部室に向かう。

    2006-04-30 21:32:00
  • 378:

    せぇ

    ―カチャリ。 何ヶ月ぶりかに差し込まれた鍵は、少し大きな音を立てて開いた。
    明かりをつけたその部屋は、思っていた以上に広く、温かかった代わりに、思っていた以上にホコリっぽかった。置き去りにされていたゴザの上に、仁はあのプーさんのひざ掛けを開いて、その上に寝ているチビクロをそっと置いた。チビクロは少し目を開けたけど、眠たいのか、あたし達を見て安心したのか、またすぐに眠りに戻った。
    チビクロを間に挟んであたしたちも座る。あたしは、部屋中を見渡しながら、まるで始めて作った秘密基地にいる子供みたいに、わくわくしていた。

    2006-04-30 21:41:00
  • 379:

    せぇ

    仁が考えてくれた作戦は大成功だった。校舎から少し離れた部室には、よっぽどの用事がない限り先生たちは近づかなかったし、生徒たちですら、隣接する他の部室を使うのは、大抵あたしたちが登校する前の朝練と、あたしたちが帰った後の放課後だけで、まさか誰もいないラグビー部の部室に猫がいるなんて、誰も思ってなかったと思う。
    あの日から、一度だけ水野に「猫は連れてきてないやろうな」と釘をさされただけで、後は何事もなく、あたしたちは冬休みを迎えた。

    2006-04-30 21:52:00
  • 380:

    名無しさん

    あげ

    2006-05-05 01:16:00
  • 381:

    名無しさん

    あげ↑待ってます☆

    2006-05-05 13:50:00
  • 382:

    名無しさん

    持ちあげ↑

    2006-05-08 06:43:00
  • 383:

    名無しさん

    ぶちあげ?

    2006-05-14 08:47:00
  • 384:

    名無しさん

    あげ?

    2006-05-17 14:12:00
  • 385:

    名無しさん

    打ちあげ↑

    2006-05-19 21:01:00
  • 386:

    名無しさん

    2006-05-19 23:54:00
  • 387:

    名無しさん

    2006-05-20 00:05:00
  • 388:

    名無しさん

    2006-05-20 00:17:00
  • 389:

    名無しさん

    2006-05-20 00:26:00
  • 390:

    名無しさん

    2006-05-20 00:35:00
  • 391:

    名無しさん

    2006-05-20 00:42:00
  • 392:

    名無しさん

    2006-05-20 00:50:00
  • 393:

    名無しさん

    主、どないしたぁ〜ん?

    2006-05-22 07:09:00
  • 394:

    せぇ

    全てが、仁の言うとおりだった。チビクロは冬休みの間に無事ミルク離れをしたし、トイレも自分で出来るようになった。それだけじゃなくて、トイレの場所も覚えてくれた。昼間はやっぱり寝てばかりだったし、仁と二人、練習と名付けて短いデートに出かけても、次第にさみしがらなくなった。

    2006-05-22 13:17:00
  • 395:

    せぇ

    そう、全てが仁の言うとおり。良い傾向ばかりだったのに−。

    やっぱり、あたしは憂欝だった。チビクロが、あたしの手から離れて行く気がして。チビクロは、『あたしがいなきゃだめなんだ』と、そう思うことで多少なりと安心した。何に、と言われてもわからないけど、自分を保つことが出来た。頼ってたのはあたし。チビクロがいなきゃだめなのは、あたし−。

    あの、幸せばかりだったあたしは、春を待たずに壊れた。

    2006-05-22 13:26:00
  • 396:

    せぇ

    ねぇ、チビクロ。
    ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。

    どうしてあんなことをしたのか、今ならわかるのに。

    あんたが
    あんたがいなきゃ
    生きていけないと思った

    そんな自分が
    恐くて
    そんな自分が
    嫌で嫌で仕方なかった

    あんたのせいじゃないのに
    チビクロは悪くないのに。

    ねぇ、チビクロ。
    これはきっと
    罰なのかなぁ。

    だからあたしは、
    一番大切なものを
    失ったの?

    …−あんたを、あんな、形で。

    2006-05-22 13:34:00
  • 397:

    せぇ





    2006-05-22 13:35:00
  • 398:

    せぇ

    みなさん、長い間放置してしまい、申し訳ありませんでした。ココから先は、読んでいただいている皆様に、不快な思いをさせてしまうと思います。私自身、真実をそのまま話そうか、かなり悩みました。批判もたくさん出ると思います。だけど、これがチビクロの、『ちっちゃな黒猫』の話です。よろしければ、このまま最後まで、よろしくお願い致します。

    2006-05-22 13:41:00
  • 399:

    名無しさん

    ホンマに応援してます!!!!!
    想像つかんから、どんな真実かゎ分からんケド
    とりあえず応援してるから!!!これめっちゃスキ!!!!!

    2006-05-24 01:57:00
  • 400:

    せぇ

    名無しさん、本間にありがとうございます。かなり励まされました??最近忙しくてなかなか更新できないですが、出来るかぎりのことはしたいと思っていますので、よろしくおねがいします?

    2006-05-24 08:51:00
  • 401:

    せぇ





    2006-05-24 08:54:00
  • 402:

    せぇ

    16歳の冬休みは、今までの人生で一番幸せな冬休みやった。今思い出しただけでも、それはまぶしくて、涙が出てきそうになるのは、なんでやろう−。

    2006-05-24 08:57:00
  • 403:

    せぇ

    本間に毎日のように、仁とチビクロとあたし、三人で過ごした。お金もなくて、どこにもいけなかったけど、むしろそのほうが楽しめた気さえする。
    天気がいい日は、お弁当を持って、学校のあの屋上へ忍び込んだ。チビクロに初めて出会った、あの思い出の川原に遊びに行ったこともある。陽の光がいくら温かくても、冷たい風はやっぱり寒くて、そんな時は三人で、子供みたいに追い駆けっこをして遊んだ。
    雨の日は、あたしは仁の腕枕で、チビクロはあたしのお腹の上で、親子みたいにお昼寝をした。

    2006-05-24 09:16:00
  • 404:

    せぇ

    あたしの手から、チビクロが離れていくという憂欝を、仁といる時は忘れられた。本当に本当に、心が安らぐのは三人の時。どちらがかけてもダメだった。言い換えると、どちらかだけでは、満たされない−…。

    2006-05-24 09:21:00
  • 405:

    せぇ

    ねぇ、チビクロ。

    あの頃からかな
    あんたの目を、真っすぐ見れなくなったのは
    あんたの目の深い黒色は
    あたしにとっての希望から
    只の暗闇に変わった。

    きっと、恐かったんだと思う。
    あんたのその目に、
    全てを見透かされそうで。

    もしもあたしが
    思っていたこと全て
    あんたが見透かしていたとしたら
    あたしは本当に
    嫌な飼い主だったでしょ?

    それでも、あんたは側にいてくれた。

    ねぇチビクロ。
    ありがとう。

    2006-05-24 09:30:00
  • 406:

    名無しさん

    更新まってた!せぇさんも書くのつらいかもしれんけど楽しみに待ってます☆

    2006-05-24 09:48:00
  • 407:

    名無しさん

    頑張って????

    2006-05-25 08:16:00
  • 408:

    せぇ

    冬休み、バイトも補習もなかったあたしは、毎日暇だった。仁も似たようなものだったけれど、一週間に一度、金曜日だけは会ってくれなかった。どうしてなのか一度だけ聞いたけど、彼は上手くかわして、答えてはくれなかった。毎週、金曜日が来るたびに、問い詰めたい気持ちは膨らむばかりで、だけど今までの経験を思い出しては我慢した。
    『お前重たいねん』

    彼にだけは、そう思われたくなかったから。

    2006-05-25 14:56:00
  • 409:

    せぇ

    気を紛らわすために、毎週金曜日になると、あたしはチビクロをキャリーバックに入れて、キョンの家に向かった。チビクロはどんどんヤマトや、他の猫達に馴染んでいく。それだけじゃない。前にキョンママが言っていた通り、一匹の成猫が、チビクロを我が子のようにかわいがってくれていた。

    2006-05-25 15:01:00
  • 410:

    名無しさん

    ???????

    2006-05-25 18:04:00
  • 411:

    せぇ

    多分、少しずつ。本間に少しずつ、ぴったりはまっていたピースが崩れていったんだと思う。パズルは、あと一つはめたら完成だったのに。形が違う一つを、あたし達は、無理にはめようとしたから。崩れていったの、ヒビが入っていくように、少しずつ。

    2006-05-26 14:00:00
  • 412:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    あたし達には、
    つながる言葉なんてなかったね。だってあたしは猫じゃなくて、あんたは人じゃない。

    それでも、伝わっていた時は、確かにあったのに。あんたの目を見れば、わかった気がしたの。

    ねぇチビクロ
    あんたもそうやった?

    ぁたしは、誰よりもわがままで、自分勝手で。
    それでも、あたしにとっての一番はあんた以外いなかった。

    あんたの、あの日閉じた目蓋は、二度と開かないから

    あんたの気持ちも、もう二度とわからない。

    きっとね、あたしのパズルの、最後のワンピースはあんただったんだよ、チビクロ。

    2006-05-26 14:15:00
  • 413:

    名無しさん

    あげ

    2006-05-27 06:45:00
  • 414:

    せぇ

    色んな思いを抱きながら、それでもあっと言う間に冬休みは終わった。人は、大切なものが増えれば増えるだけ、身動きがとれなくなると誰かが言ってた。もしそれが本当なら、あたしはそのうち、一歩も前に進めなくなるかもしれない。そんなことをふと思った。

    2006-05-27 20:25:00
  • 415:

    せぇ





    2006-05-27 20:27:00
  • 416:

    せぇ

    『やばいやばい!』
    また遅刻しそうだ。せっかく水野のマークからはずされかけてる時期なのに、遅刻指導なんて受けることになったら、またややこしいことになる。
    適当に教科書をカバンに詰め込む。鏡をのぞきこんで、寝癖をチェックしてから、ついでにコテをカバンに入れた。

    2006-05-27 20:34:00
  • 417:

    せぇ

    『行ってきます!!』『ナッ!』『だーめだって!』
    あたしの足元に近寄り、一緒に外に出ようとするチビクロを足先で止める。
    出会った頃に比べると、すっかり大きくなったチビクロとあたしの、毎朝の光景だった。
    家を出て、自転車にまたがる。パンツが見えそうなくらいの風を受けながら、立ちコギで駅まで向かった。桜の蕾が視界の端に映る。
    『…三人でお花見したいな。』

    2006-05-27 20:42:00
  • 418:

    せぇ

    −チビクロと出会った、
    寒い季節はもう
    終わろうとしていた。

    2006-05-27 20:45:00
  • 419:

    名無しさん

    ぁげるゃん?めちゃぃぃ?

    2006-05-28 12:12:00
  • 420:

    せぇ

    多少さみしがることはあるものの、チビクロは一人で留守番出来るようになった。そしてあたしは相変わらず、そのことを素直に喜べなかった。
    だけど、人見知りに育ち、小さな頃から一緒にいたごく少数の人にしかなつかなくなったチビクロが、やっぱりあたしに一番なついてくれている。これだけ一緒にいれば、当たり前のことなんだろう。だけど、やっぱりすごくうれしかった。

    2006-05-28 14:53:00
  • 421:

    せぇ

    うぅん、うれしいなんて言葉じゃない。あれはきっと自慢で、優越感。
    『チビクロはあたしのもの』 っていう、誇り。

    2006-05-28 14:55:00
  • 422:

    せぇ

    チビクロがあたしの手から離れていくのが嫌で、だけど現実には離さなきゃダメだった。チビクロが離れていくことを見たくなくて、受けとめたくなくて、離れていくチビクロに不安になった。だから、あたし自身に言い聞かせる。『あたしも、チビクロから離れよう』って。『重い』なんてもう二度と誰にも言われないように。


    支え合って生きていくってことは、やっぱりすごく、難しいみたいだ。

    2006-05-28 15:00:00
  • 423:

    名無しさん

    2006-05-29 00:20:00
  • 424:

    名無しさん

    2006-05-29 01:55:00
  • 425:

    名無しさん

    1から読みました!   続き、楽しみにしてるんで頑張ってください!

    2006-05-29 02:25:00
  • 426:

    名無しさん

    ?

    2006-05-29 16:58:00
  • 427:

    名無しさん

    書かないの??

    2006-05-29 23:19:00
  • 428:

    名無しさん

    めっちゃ気になるう?がんばって!

    2006-05-30 01:27:00
  • 429:

    名無しさん

    2006-05-30 18:15:00
  • 430:

    名無しさん

    早く書いて欲しい?

    2006-06-02 05:22:00
  • 431:

    せぇ

    お待たせして申し訳ないです??再開します。ごめんなさい?

    2006-06-04 21:52:00
  • 432:

    せぇ





    2006-06-04 21:54:00
  • 433:

    せぇ

    学校が始まっても、相変わらず仁は忙しかった。この頃になると、あたしと仁が付き合っていることは学年中に広まっていて、あることないこと噂が耐えなかった。

    2006-06-04 21:57:00
  • 434:

    名無しさん

    更新行進???

    2006-06-04 23:16:00
  • 435:

    つばさ

    リアルタイム??
    やッたァー?????

    2006-06-04 23:31:00
  • 436:

    せぇ

    『なんであんなブスと仁君が付き合ってるん?』『渡辺聖子はさせ子』『仁君の他にも男がいる』『ぶりっ子、デブ、ブス。』−…
    あたしが知らなかっただけで、仁は一部の女の子達には、かなり人気の男の子だったみたいだ。女の子の嫉妬は、女の子に向けられる。それは仕方のないことで、心配してくれるキョンとは裏腹に、あたしはこれっぽっちもへこまなかった。
    そんなことより、あたしが気になったのはたった一つ、仁の噂だった。

    2006-06-04 23:59:00
  • 437:

    せぇ

    『女好き』『ヤリチン。』
    ここぞとばかりに耳に入ってくるこれらの言葉が、<ただの噂>だということは、仁といつも一緒にいるあたしが一番よくわかっていた。
    ただ、『何かある−…。』会ってくれない金曜日。不振に思わないほうがおかしい。

    2006-06-05 00:14:00
  • 438:

    せぇ

    いつか、仁が言っていた

    『…っていうことは、あの噂も知らん?』

    。仁が何気なく言った一言は、絶対にこのことなんだとすぐにわかった。

    2006-06-05 00:37:00
  • 439:

    せぇ

    ねぇチビクロ

    笑っちゃうよね。

    あの頃のあたし達は
    余りにも幼くて、純粋で、

    だけど汚くて、大人びた嘘を平気でついた。

    嘘をつかなきゃ、近付けなくて、引き止められない。
    あの頃は、
    そう思ってたから。

    ねぇチビクロ。
    みんな猫になればいいよ。
    そうしたらもう
    あたしは二度と嘘をつけないでしょ?

    そうなったらきっと、
    もっともっと

    あんたに近付けそうな気がするの。

    2006-06-05 00:46:00
  • 440:

    せぇ

    仁は、ホストをしていた。

    2006-06-05 09:12:00
  • 441:

    せぇ

    彼にだけは嫌われたくなかった。だから、しょーちゃんの時みたいに携帯を見ることもなかった。だけど、それをしなかったのは、仁を信用してたからだ。

    噂を聞いた数日後、心の準備をしてから、あたしは隣で眠る仁の携帯を手にとった。出会った頃と、同じ寝顔の仁の隣で。

    2006-06-05 09:19:00
  • 442:

    せぇ

    着信>>せぇ、代表、代表、代表、せぇ、代表…

    何これ…?『代表』っていう人ばっかりやん…。自然とボタンを押す手が早くなり、そして…『あゆみ(客)』20件目、最後の着信履歴で、手が止まった。
    やっぱり…−。日付は丁度、金曜日。

    2006-06-05 09:33:00
  • 443:

    せぇ

    ただの噂話。信じたくなんてなかった。でも、それとは逆に、絶対の確信があった。だけど、それでも−。

    ねぇ仁。
    あなたはあたしのヒーローじゃなかったの?
    あの日、あの意地悪な笑顔で、照れながら好きだって、そう言ってくれたのに。

    2006-06-05 09:40:00
  • 444:

    せぇ

    発信履歴にも、しっかりと『あゆみ(客)』の名前は入っていた。

    2006-06-05 09:42:00
  • 445:

    せぇ

    隣の仁に目をやる。相変わらず起きそうな様子もない。あたしの気持ちなんて知らないまま、子供みたいに眠る彼の顔を見て、あたしは思わずそのやわらかい髪を撫でた。

    それから、目線を携帯に戻し、もう一度深呼吸をしてから、次はメールボタンを押した。
    −<メールセキュリティ>『末端暗証番号は?』
    あぁ、やっぱり…。隠し事がある人は、必ずこれをする。メールセキュリティなんて、そのための機能だ。

    2006-06-06 14:54:00
  • 446:

    せぇ

    カチカチ...仁の寝息しか聞こえない、あたしの部屋で、携帯のボタンを押す音がやけに響く。
    誕生日?ゾロ目?電話番号?思い当たる数字は、どれもハズレで、あたしは次第にうんざりしだして、どうでもよくなっていった。

    2006-06-06 14:59:00
  • 447:

    せぇ

    ホストだから何なの?仁は仁やん。−だけど、あたし以外の女と会ってる。
    仕事やん?−お金をもらってHだってしたかもしれない。
    知らないほうがいいこともあるよ。−裏切られた。

    2006-06-06 15:01:00
  • 448:

    せぇ

    バカみたいに、色んな言葉が頭をよぎった。

    何十分も考えて考えて、それから考え疲れた時、ふと4桁の数字が頭に浮かんだ。ゆっくりと四回、ボタンを押す。

    −そして画面は、受信ボックスに切り替わった。

    2006-06-06 15:04:00
  • 449:

    せぇ


    1217。

    二人の、記念日−…。

    2006-06-06 15:05:00
  • 450:

    せぇ




    あたしは、携帯を閉じて、寝ている仁の腕の中に無理矢理入り込んだ。彼は眠そうに少しうなって、だけどあたしを強く抱き締めてくれた。見計らったように、ベットの端にいたチビクロが、あたしたちの間にもぐりこんで、また三人、仲良く眠った。

    2006-06-06 15:06:00
  • 451:

    せぇ

    あぁ、そうだ−。あたし達は、クリスマスも、年越しも、バレンタインも、何をするわけでもない。ただ三人で仲良く過ごした。それだけで、冬なのに暖かくて、幸せだった。
    きっと
    一番、幸せだった。

    2006-06-06 15:08:00
  • 452:

    せぇ





    2006-06-06 15:16:00
  • 453:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    人間は、欲張りだよね。
    きっと誰もが、幸せになりたいと願っている。
    そして、幸せになっても、
    欲望は尽きる事無く

    今度はもっと、もっと幸せになりたいと思う。


    だからだよ。
    だから、いつまでたっても
    幸せをつかめないの。


    ねぇ、チビクロ−…。

    あたしが好きになった人が、あたしを好きになってくれた。そして、一緒にいてくれる。

    それだけで充分だと思える『幸せ。』

    あんたを失った今になって
    やっとわかったの。

    2006-06-06 15:24:00
  • 454:

    名無しさん

    >>457ー479
    ここまで更新しました?感想等のお返事、お礼、言えなくて申し訳ないです?とりあえず今はなるべく早く完結させたいと思っているので、そちらを優先しています?
    だけど、感想はすごくうれしいし、話を進めることへの、すごい励ましになっています。本当に、いつもありがとうございます?。
    いつも更新遅く、お待たせしてしまって申し訳ないです。すみません?
    また時間ある時に更新します??

    2006-06-06 15:32:00
  • 455:

    せぇ

    ↑失敗しました?
    >>457-479

    2006-06-06 15:34:00
  • 456:

    名無しさん

    おもしろい

    2006-06-11 19:29:00
  • 457:

    せぇ

    あたしはそれっきり、詮索を辞めた。だけど、しょーちゃんの時のように、彼一人だけにはまり、依存してしまうことに、今までは無かった恐怖を感じた。
    あたしはいつも、『今度こそは』とか、『彼だけは』とか、毎回毎回思ってたけど、そんなのは、
    −やっぱりないんだろう。

    だからあたしは、彼とも距離を置いた。少しずつ、少しずつ。

    2006-06-12 00:14:00
  • 458:

    せぇ

    彼に好かれている、彼があたしだけを好きでいることには、不思議とそれなりの自信ががあった。言葉は不器用でも、きつくても、そこにやさしさを何度も感じた。彼のそういうところがあたしの好きなところでもあったし、あたし自身も素直になれないことはいっぱいあったから。「似たもの同士やな」って、何度も思った。そしてその度に彼を愛しく思った。

    2006-06-12 00:15:00
  • 459:

    せぇ


    だけど、やっぱりが無くならない。なんて言えばいいのかわからないけど、多分、『一生あたしの側にいてくれるかどうか』その自信が、なくなってしまった。きっと、『いついなくなるかわからない』とか、そういう。

    2006-06-12 00:15:00
  • 460:

    せぇ

    あの頃のあたしは、きっとすごく汚かった。
    愛されたくて、あたしだけを見てほしくて、あたしがそう想っている通りに、あたしのことも想ってほしかった。きっと、必要とされたくて。

    そのくせ、やっぱり素直になれなくて、強がってばかりだった。
    仁にも、チビクロにも−…。

    2006-06-12 00:20:00
  • 461:

    せぇ





    2006-06-12 00:20:00
  • 462:

    名無しさん

    更新されてるぅ?
    楽しみにしてます?

    2006-06-12 12:13:00
  • 463:

    せぇ

    何も変わらないように見えて、少しずつ何かが変わっていた。あの頃も、今でも、あたしは二人がいてくれるだけで、それだけでよかったのに。きっと永遠なんて、やっぱりどこにもなくて、だけど手に入らないものばかり欲しがるあたしは、わかってても、それが欲しくて欲しくて仕方なかった。
    紐に縛り付けてでも、三人で閉じこもっておけばよかった。誰に何て言われたって、やっぱりそれは今でも思う。
    それが、『永遠』なら…−。

    2006-06-15 13:01:00
  • 464:

    せぇ

    仁はきっと、あたしが知っていることを、わかっていると思う。金曜日に何をしているのか、どうやって知ったのか。だけど何も言わなかったし、様子も変わらなかった。
    多分、それが答え。
    彼にはどこか踏み込めないところがあって、だけどあたしは、あたしにだけはそれも教えて欲しかった。

    毎日一緒にいた所で、毎日笑いあったって。距離を置いていたのは、あたしだけじゃなかった。

    2006-06-15 13:16:00
  • 465:

    せぇ

    チビクロは日に日に大きくなっていった。
    今日は、約束していたお花見の日。大きな公園の真ん中に、一本だけある大きな桜の木の下で待ち合わせ。朝六時に起きて、お弁当を作った。仁の好きなものばかりをたくさん詰めて。
    別に特別な約束をしたわけでも何でもない。だけと何となく今日は『特別な日』だと思った。約束は一時。チビクロは丸くなって眠っている。

    2006-06-15 13:55:00
  • 466:

    せぇ

    一度だけ、ホストのキャッチに着いていったことがある。一年前、先輩とミナミに遊びに行った日。お金も電車も、行くトコもなくて、足になってくれる男もいなくて、あたし達は途方にくれていた。その時スーツを着た胡散臭い二人組に声をかけられて、仕方なく着いていくことになった。顔なんて覚えてない。だけど、お金を出してくれるって言うから着いていった。

    2006-06-21 13:05:00
  • 467:

    せぇ

    ずっと前のこと過ぎて、毎日毎日、映画みたいにあっという間に終わってしまう日常のせいで、そんなことはすぐに忘れてた。だけど、思い出してしまった。美化してるのかもしれない。たった一年前のことなのに。

    2006-06-21 13:09:00
  • 468:

    せぇ

    キラキラ、キラキラ。

    いくつも天井に吊されたシャンデリアが、やたらとまぶしくて、眠たかったあたしの目にしみた。嘘臭い笑顔で、『ホスト』っていう見えない仮面をつけて、男が話し掛ける。あたしはただ眠たくて仕方なくて、男を無視してボーッとしていた。

    2006-06-21 13:13:00
  • 469:

    せぇ

    だんだん霞んでくる視界の中で、照れたように笑う女の子、同性だからわかる、恋をしている目をいくつも見つけた。そして、幼いからこそわかる、それと反対の目を、それよりも多く見つけた。

    キラキラ光る、ガラス張りの嘘の世界。『擬似恋愛』の世界。

    仁は、その中にいる。

    2006-06-21 13:18:00
  • 470:

    せぇ





    2006-06-21 13:21:00
  • 471:

    名無しさん

    更新されてるやん(笑)

    2006-06-21 13:25:00
  • 472:

    せぇ

    『いい天気やなぁ〜』
    ポツリとつぶやき、チビクロの背中を撫でた。小さく、鈴がゆれて音がなる。
    ずっと付け忘れていた、あの赤色の首輪を、今日初めてチビクロにつけてみた。真っ黒のチビクロによく似合う、真っ赤な首輪。ネームカードには
    『CHIBIKURO』
    あたしの、猫。

    2006-06-21 13:26:00
  • 473:

    せぇ

    チビクロは大きくなっても、相変わらずビビリで。ひらひら舞い落ちる桜の花びらが恐いのか、あたしの側を離れようとしない。そんなチビクロを見つめながら、あたしはMDプレーヤーの電源を入れて、イヤホンを付けた。
    −『K』−
    仁が教えてくれた、黒猫の歌。

    2006-06-21 13:30:00
  • 474:

    せぇ

    嫌われもの黒猫は、いつも石を投げていじめられていた。人を信用できなくなって、いつも独りぼっち、だけど胸を張って生きていた。ある日、黒猫は一人の絵描きに拾われる。最初は嫌がっていた黒猫も、絵描きのやさしさにひかれて、二人は親友になった。絵描きは毎日黒猫の絵を書いた。だけどその絵は売れなくて、黒猫ばかり描くから、黒猫は『不吉』だから、売れなくて。とうとう絵描きは倒れた。『これを届けて、待っててくれと、残してきた恋人に。』絵描きは黒猫に最後の願いを預けた。黒猫は手紙を加えて走った。絵描きの、大好きな絵描きの、大切な人の元に。

    黒猫だからと、通りすがりの人に石を投げられても、足がちぎれるくらい痛くても、あきらめなかった。大好きだったんだろう、初めて出来た友達だったから。彼の『黒』を、はじめて誉めてくれた人やったから。

    2006-06-21 13:45:00
  • 475:

    せぇ

    ナッ…

    歌に聞き入って、目を閉じていたあたしは、一気に現実世界に引き戻された。
    チビクロの声。チビクロ?

    2006-06-21 13:51:00
  • 476:

    せぇ

    どこ?
    チビクロ?
    ねぇどこ?

    2006-06-21 13:52:00
  • 477:

    せぇ

    歌のラストは、幸せなハッピーエンドじゃない。
    だって黒猫は死んでしまうから。
    不吉だと石を投げられても、遠くても、足が千切れそうなくらい走り疲れても−…。大好きな友達の、最後の願いを叶えるために、黒猫は走り続けた。そして絵描きの恋人に手紙を預けて−…黒猫は息絶えるの。

    2006-06-21 14:34:00
  • 478:

    せぇ

    『…せぇ!せぇッ!』
    チビクロを見失って、焦りまくるあたしは、過呼吸みたいなのを起こして、約束の桜の木の下で倒れていた。そんなあたしを呼ぶ仁の声が耳に入る。涙で霞む視界に、仁と、チビクロ…。
    仁はチビクロを抱いて、心配そうにあたしの顔をのぞいて、あたしを抱き締める。少しずつ、あたしの呼吸が落ち着いていく。ふわふわのチビクロの体が、あたしの顔にあたる。
    安心する。一気に。それだけで。

    2006-06-21 14:44:00
  • 479:

    せぇ

    黒猫の、絵描きからもらった『(Night)−夜』と言う名前に、絵描きの恋人は一文字だけ付け足して、亡骸を土の中に埋めた。


    『騎士(Knight)』

    2006-06-21 14:53:00
  • 480:

    せぇ

    ねぇチビクロ。

    あんたは男の子じゃないけど、確かにあたしの
    [Knightー騎士]
    だったよ。


    今でもわかんないんだ。
    あの歌がハッピーエンドなのかどうか。


    ねぇチビクロ
    あんたはどう思う?

    2006-06-21 14:58:00
  • 481:

    せぇ





    2006-06-21 15:00:00
  • 482:

    せぇ

    『仁、仁?ありがとう、もう平気。』彼の背中に回した手を離して、あたしは彼の胸から離れようとした。だけど彼は、無理矢理もう一度あたしを抱き寄せて、小さな声で『ごめんな』と一言つぶやいた。
    それから、もう一度ギュッと、痛いくらいにあたしを抱き締めて、
    それから、それから−…
    もう一言だけ、決定的な言葉を残して、あたしの前から去っていった。
    あたしは、なんとなくわかっていた。だけど、やっぱりその場から動けなくて、ただチビクロを胸に抱いて、どんどん遠くなる仁を見つめていた。

    2006-06-21 15:10:00
  • 483:

    せぇ





    『別れよ』−…。

    2006-06-21 15:11:00
  • 484:

    せぇ





    2006-06-21 15:12:00
  • 485:

    せぇ

    暗闇。

    真っ暗で、目が見えない。息ができない。どうやって帰ったんだろう。

    暗やみに思い浮かぶのは、遠くなっていく仁の後ろ姿。パニックになった時に倒したお弁当箱。泥のついた卵焼き、ハンバーグ。その上に積もっていく桃色の花びら。

    2006-06-21 15:18:00
  • 486:

    せぇ

    想い合っている事くらい、わかってるよ。だけど、好きだけじゃダメなの。

    ねぇ仁、やっとわかったのに。あたしには、あなたが必要だって。だって、出会った頃は、距離なんてなかったじゃん。三人で笑い合って、それだけでよかったの。全部話すよ。君が望むなら、何だって。
    あの時ね、ついさっき。チビクロがいなくなったって、あの哀しい歌とチビクロがかぶさって、パニックになって、息が出来なくて、苦しくて、切なくて、目蓋が重たくなってきて、だけど、光−…。あなたと、チビクロを見た瞬間に、生まれ変わったみたいに、光が見えたの。
    だって仁とチビクロは、あたしの−…

    2006-06-21 15:26:00
  • 487:

    せぇ

    なんて言えば伝わるんやろう。あんな想いは初めてやった。

    ねぇ仁、大好きだよ。
    愛してる−…。

    2006-06-21 15:43:00
  • 488:

    せぇ

    出会って、たった三ヶ月、あたし達は別れた。


    だけど、この想いだけには確信がある。
    仁は、あたしの、運命の人−…。

    2006-06-21 18:25:00
  • 489:

    名無しさん

    せぇちゃんがんばれ?

    2006-06-25 00:15:00
  • 490:

    名無しさん

    あげ

    2006-07-05 17:24:00
  • 491:

    名無しさん

    書いてほしいです??

    2006-07-06 02:29:00
  • 492:

    名無しさん

    せぇちゃん頑張って?あげ?

    2006-07-06 22:00:00
  • 493:

    せぇ

    久々に来たんですが、あがっててうれしいですm(__)m更新遅れすぎで本間に申し訳ないです??また時間ある時かならず更新します?

    2006-07-06 22:49:00
  • 494:

    せぇ

    あの時の気持ちを、言葉にすることは絶対に出来ない。だけど、こういうことを本当の『失恋』って呼ぶんだと、あの日初めて知った気がした。

    2006-07-07 01:25:00
  • 495:

    せぇ

    だけどやっぱり、どんなことがあっても、どんなに悲しくても、人っていうのは、日常生活に戻る。
    そしてあたしも、仁のいない元の毎日に、少しずつ、少しずつ慣れていった。

    2006-07-07 01:26:00
  • 496:

    せぇ

    仁がいたあたしの日常。毎日毎日一緒にいたのに、今ではもういないことが当たり前で。
    だけど、それを受けとめることは、出来たんだろうけど、したくなかった。頭が、気持ちが、体が。『あたし』っていう存在全てにかけて、それを否定していた。

    2006-07-07 01:27:00
  • 497:

    せぇ

    隣にいなくてもいてる気がして、あの癖のある笑顔をもう一度見たくて、『せぇ』ってあたしの名前を呼ぶ声を、セッターの香りを、オレンジ色に染まったやわらかい髪を、どんなに小さくてもいい、彼の一部に、人目でいいから会いたくて。一つ一つ全てが、彼の全てが、あたしの全部になった。

    2006-07-07 01:29:00
  • 498:

    せぇ

    ねぇチビクロ
    あんたは今、幸せ?

    それだけでいいから、
    教えてほしい。

    2006-07-07 01:30:00
  • 499:

    せぇ





    2006-07-07 01:31:00
  • 500:

    せぇ

    あの日から後のことは、正直あんまり言いたくない。


    だけど、逃げないって決めたから。

    2006-07-07 01:31:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
ちっちゃな黒猫の話。を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。