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3Ldkの城・?

スレッド内検索:
  • 1:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ?は、↓です。
    http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-5

    2005-12-19 14:05:00
  • 180:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、平然を装いながら‥ツバを飲む。
    彼女が流す沈黙に、不安が増していく。
    彼は、静かに彼女の声を待った。
    「‥陽平、何て言うてた?」

    2005-12-26 00:15:00
  • 181:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、頬をほんのり赤く染め‥問いかけてくる。
    「‥別に‥何も言うてなかったけど」
    ていうか、何があったんか聞いてないし。
    千草は、当たり障りのない答えを出す。
    ‥なんなよ?何があったんなよ?

    2005-12-26 00:19:00
  • 182:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥2人のことやから、直接聞いても‥答えるわけがない。だから、遠回しに聞き出している。
    だが、なかなか見えてこない真相に、千草は苛立ち始めていた。
    「‥そっか」
    花は、がっかりした顔をする。
    千草は、窓ガラスから雑巾を放し‥彼女を眺めた。

    2005-12-26 00:23:00
  • 183:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    1つだけ、わかることがある。
    ‥2人の反応からして、今から聞き出そうとしていることは、きっと‥俺にとって良くないことだということ。
    ‥嫌な予感がする。
    「花は、どう思ってんの?」
    千草は、意を決して‥問いかける。

    2005-12-26 00:27:00
  • 184:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    すると、彼女は‥チラリと千草を見た。そして、気まずそうに口を開いた。

    「‥キスした‥理由を知りたい」
    その言葉は、途切れ途切れにつぶやかれた。

    2005-12-26 00:33:00
  • 185:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、目を見開いた。
    目の前が暗くなり、気が遠くなっていく。
    見下ろせば、彼女は切なさに溺れた顔をしている。
    彼は、ゆっくりとまぶたを閉じた。
    震える手に力を入れて、拳を作っていく。

    2005-12-26 00:56:00
  • 186:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥俺、基盤行かな」
    千草は、平然を装い‥時計を見た。そして、彼女に背を向け‥ベンチに置いていた鞄に手を伸ばす。
    今‥口開けたら、絶対あかん。絶対、きついこと言うてしまう。
    「気ぃつけてな!」
    見送る彼女の声に、千草は振り返らなかった。無言のまま、その場から逃れていく。

    2005-12-26 01:07:00
  • 187:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【つづく】

    2005-12-26 01:08:00
  • 188:

    名無しさん

    2005-12-26 03:22:00
  • 189:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    192サン、ありがとぅですm(_ _)m

    2005-12-26 03:42:00
  • 190:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    小さくなる背中を眺め、花は振っていた手を下ろした。そして、再度仕事に取りかかろうとする。
    「‥キスってマジですか?」
    「ひっっ」
    突如、目の前に現れたリンリンの顔。花は驚いて、肩に力を入れた。
    「そんなトロピカルな気分なんですか!?」

    2005-12-26 03:50:00
  • 191:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    羨ましそうな顔を近づけて、目をウルウルとさせる彼女。花は、ハァッとため息をついた。
    「そんな‥えぇもんちゃうよ」
    なんでキスされたんか‥わからんし。
    そう呟いて、花は淡々と仕事を続行していく。
    そんな彼女を眺め、リンリンは冷静を取り戻した。

    2005-12-26 03:57:00
  • 192:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「“陽平”って、あの人でしょ?いつも常盤千草とおる‥」
    ゴミ箱の袋を交換しながら、リンリンは彼女に問いかけた。
    だが、花は何も答えず‥背を向けたまま。
    「あたし、てっきり松浦さんは‥常盤千草と出来てんやと思ってました。‥もう1人の方やったんですね」
    リンリンは、彼女の後ろ姿から視線を外し‥囁いた。

    2005-12-26 04:05:00
  • 193:

    名無しさん

    >>1-200
    リアルタイム?頑張ってね??

    2005-12-26 04:08:00
  • 194:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    彼女の言葉で、花の表情は一変する。

    “千草”

    ‥最低や、あたし。自分のことばっかで、全然‥千草のこと考えてない。

    2005-12-26 04:12:00
  • 195:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    197サン、ありがとぅです(>д

    2005-12-26 04:13:00
  • 196:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、あたしのことが好きやのに。キスのこと‥相談するとか、最低やん。
    「‥ごめん」
    ポツリとつぶやき、花は目をぎゅっと閉じた。
    ‥あたし、千草の優しさに‥甘えてる。

    2005-12-26 04:18:00
  • 197:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    優しいから、どうしても甘えてしまって。‥そして、傷つけてる。
    「返事‥せな」
    ‥このままで良いわけがない。ちゃんと、答えを出してあげないと。
    花は、窓の外を眺めた。
    ‥町はオレンジ色に染められ、華やかに飾られている。

    2005-12-26 04:44:00
  • 198:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    それは、まるで‥花の心を映しているかのようだった。
    彼女は、はっきりと‥自分の気持ちが見えていた。

    “陽平のことが‥好き”

    2005-12-26 04:48:00
  • 199:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    キスされて‥思った。
    あたし、もう隠されへん。‥これ以上、幼なじみなんか‥続けられへん。

    陽平が結婚したとき‥悲しかった。でも、諦める‥良いチャンスやと思った。

    2005-12-26 04:53:00
  • 200:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    陽平の瞳に映るときは、いつも幼なじみを演じてた。でも、陽平の背中をみる‥あたしの瞳は、いつだって‥中学生んときと同じ色。
    結婚して‥距離が余計に広がって、内心‥ホッとしてた。
    理性を保てる自分に‥安心してた。

    でも、陽平は離婚した。

    2005-12-26 05:01:00
  • 201:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    彼の離婚で、あたしは‥醜い自分を見てしまう。
    『‥離婚してん』
    電話越しに囁かれる言葉に、あたしは喜んでいた。
    途切れながらも言葉を繋げ、理由を語る‥辛そうな声を、あたしは真剣に聞いてた。
    ‥‥真剣なフリをしてた。

    2005-12-26 05:07:00
  • 202:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    本当は、嬉しかった。‥まだ好きやったから。

    でも、また‥傷つきたくない。そう思う気持ちがあった。

    だから、演じ続けた。

    2005-12-26 05:10:00
  • 203:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    執着しないように‥心がけて。

    でも、無理やった。

    一緒に住んでから、あたしは‥演じることが出来なくなっていた。

    2005-12-26 05:13:00
  • 204:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    得意だった泣き真似さえ出来なくなり、無意識に‥本当の涙ばかり流して。
    執着しないって決めてたのに、気がつけば‥求めてる。
    彼の表情や仕草‥ひとつひとつに、ドキドキしてた。

    2005-12-26 05:21:00
  • 205:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    今までは、やばいなって思えば‥離れていた。離れることで、感情は薄らいでいくから。
    でも、同じ屋根の下に身を置いてからは‥心の調節が出来なくなっていた。

    陽平、もう‥無理やよ。
    キスなんかされたら、期待してしまう。

    2005-12-26 05:28:00
  • 206:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE


    ‥好き。
    陽平のことが、ほんまに好き。

    2005-12-26 05:30:00
  • 207:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    数年秘めていた想いは我慢を捨て、彼女の胸に広がっていく。
    花は凛とした表情で、夕暮れを吸い込む月を眺めていた。

    【つづく】

    2005-12-26 05:38:00
  • 208:

    名無しさん

    2005-12-26 07:03:00
  • 209:

    名無しさん

    2005-12-26 12:47:00
  • 210:

    名無しさん

    2005-12-26 15:42:00
  • 211:

    名無しさん

    2005-12-26 20:48:00
  • 212:

    ゅら

    しおり☆頑張ってね(>ω

    2005-12-27 00:53:00
  • 213:

    名無しさん

    2005-12-27 01:29:00
  • 214:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    シオリを付けてくれた『ゅらサン』、読んでくれてる方、ありがとうございます。
    3Ldkも、あと4分の1になりました。
    最後までお付き合いくださると嬉しいですo(_ _)o

    2005-12-27 03:35:00
  • 215:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    数時間後、残業を終えた陽平は1人で会社を出た。強い風が頬を冷やし、彼は身を潜めた。
    そして数歩‥先に目をやり、足を止める。
    「何してん?」
    「‥残業お疲れ」
    ガードレールに腰掛け‥こちらを見る彼に声をかける。‥千草は、陽平の帰りを待っていた。

    2005-12-27 03:45:00
  • 216:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「待っててくれたん?‥コーヒーでも飲んで帰るか?」
    彼の冷え切った白い顔を心配し、喫茶店へと誘う陽平。
    少し先にある喫茶店へと歩く彼を、千草は黙って眺めた。
    そして、軽く浮かせていた足を‥地につける。

    2005-12-27 03:50:00
  • 217:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「さっむいなぁ。だいぶ待っ‥」
    「ぬけがけ?」
    体を縮め、陽平の足は速くなる。千草は、喫茶店へと急ぐ彼の言葉を覆った。
    ‥ピタリと動きを止める足。
    陽平は、ゆっくりと振り返る。

    2005-12-27 03:57:00
  • 218:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    向かい風は追い風へと化し、後ろ首を冷やしていく。
    目の前に立ち尽くす彼は、殺意を込めた瞳で睨んでいた。
    陽平の背筋は凍りつく。
    同時に、彼の台詞が何をさしているのかを‥瞬時に察した。

    2005-12-27 04:06:00
  • 219:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥まばたきもしない瞳。
    千草は、完全にキレている。
    「‥寒いし、とりあえず喫茶店でも行こ」
    弱々しい言葉しか出てこない。
    陽平は、視線から逃れるかのように‥うつむいた。

    2005-12-27 04:10:00
  • 220:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥だが、彼は動かない。
    後ろめたさが、胸を締め付けていく。
    陽平は、戸惑いながら‥再度彼を見上げた。
    すると、千草はゆっくりと近づいてくる。

    2005-12-27 04:13:00
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