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3Ldkの城・?
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1:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
?は、↓です。
http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-52005-12-19 14:05:00 -
370:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「子供に選ばす?」
その夜、風呂から上がると‥千草の声が聞こえてきた。
花は、バスタオルで髪を拭きながら‥リビングを覗きこむ。
「あぁ。向こうの旦那が‥そう言うてきた。これで完全に引き取れるわ」
陽平は、スッキリとした表情で笑っていた。2006-01-12 05:10:00 -
371:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花の視線は足元へと落ちていく。
‥陽平は、子供と生きていく。そうなれば、未だ残っている‥この気持ちも‥捨てらなあかん。
確実なものへと近づいていく‥失恋という結果。
花は、胸が苦しかった。2006-01-12 05:13:00 -
372:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「嫁はんは納得してんけ?」
千草は、テーブルにひじをついた。
「納得?‥まぁ、してんちゃう?何も言うてなかったし」
陽平は、知恵の輪を解いたかのように‥軽快な笑みで答える。
そして、ドア際に潜む人影に目を向けた。2006-01-12 05:20:00 -
373:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥花」
微かに見えた彼女の体。陽平は、立ち尽くす花に呼びかけた。
彼につられて、千草も目を向ける。
花は、ひょこっと顔を出した。2006-01-12 05:25:00 -
374:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
弱々しく姿を見せる彼女を、陽平は数秒‥見つめる。
そして、柔らかな表情で口を開いた。
「‥ここに来てから、気ぃ使ってばっかやったやろ。ごめんな」
その言葉に、花は顔を上げる。2006-01-12 05:38:00 -
375:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥お前らしさ‥出されへんようにしてたかもな。でも‥楽しかった。ありがとうな」
子供を引き取れば、この共同生活も終わりを告げる。
陽平は、心に余裕を取り戻し‥彼女に謝罪する。
花の唇は、言葉を塞いでいく。2006-01-12 05:41:00 -
376:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、顔をしかめたまま‥その光景から目を逸らす。
彼女の寂しさが、痛いほど‥胸にしみていたから。
見上げてくる‥優しい眼差しに、花は喉を詰まらせる。
まるで“永遠の別れ”を告げられているかのような感覚が、彼女の体を震わせていた。2006-01-12 05:47:00 -
377:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
‥2日後。
「じゃあ、行ってくるわ」
朝早くから支度を済ませていた陽平は、時計を眺め‥立ち上がる。
緊張を抱えた顔つきで、玄関へと向かう彼。
花と千草は、静かに彼を見送った。2006-01-12 05:54:00 -
378:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ガタンと閉じられたドア。
暗くなった玄関で、2人は呆然とたっていた。
花は、苦しくなる胸をなだめるかのように‥深く息を吐く。
そんな彼女を、千草は哀れんだ瞳で見つめていた。2006-01-12 05:57:00 -
379:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「早く支度しろよ」
一向に玄関から動かない彼女。
千草はため息まじりに囁いた。
花はきょとんとした顔になる。2006-01-12 05:59:00 -
380:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「気になるんやろ?見に行こや」
千草は、眉を下げて笑いかけた。
彼の誘いに、花は開いていた口を閉じて‥コクリと頷く。
‥別に見に行きたかった訳じゃない。でも、見ておきたい。
花は、陽平への想いを消化する為に‥出かける用意をした。2006-01-12 06:03:00 -
381:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
子供を引き取ったときの‥幸せそうな顔を見れば、きっと諦めがつく。
少しはまともな表情で‥祝福できるかもしれない。
花は、凛とした顔で家を出た。2006-01-12 06:07:00 -
382:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あちゃぁ‥。ガッチガチやなぁ」
公園の向かいにある喫茶店の窓際で、彼を眺める千草。
花は、アイスティーを飲みながら‥ストローを噛んだ。
‥よっぽど嬉しいのだろう。
緊張をしている彼は、どこか期待に溢れた‥少年のような顔をしている。2006-01-12 06:31:00 -
383:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
花は、まだ心の準備が‥完全に出来ていなかった。
本当に‥諦められるのだろうか?と、傷つくことから恐れている。
「千草って‥もう部屋きめたん?」
気持ちを落ち着かせるかのように‥、花は別の話題を千草に振った。2006-01-12 06:36:00 -
384:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ん?あぁ、部屋?まだやけど。そういや‥そろそろ探さなあかんなぁ」
思い出したかのように‥視線をあげて、ホットコーヒーを飲み干す彼。
部屋を探すことを簡単に話す千草が、花は羨ましかった。
“保証人”
責任感を被せるかのような‥その重い響きに合う人間が周囲にはなく、刻々と迫ってくる期限に怯える毎日。2006-01-12 06:42:00 -
385:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
アイスティーさえ、ストローを通らなくなっていく。
千草は、窓の外を眺める瞳を‥花へと移した。
何か‥悩んでいる姿。
その理由が何なのかは‥なんとなく気づいている。
だが、深く関わることの出来ない‥関係。千草は、あえて‥その話題にはふれなかった。2006-01-12 06:46:00 -
386:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あ、あれちゃん?」
ふと視界に映る光景に、指を差す千草。
花は、我に返り‥外を見た。
そこには、以前‥何度か見たことのある女性がいた。
花は、千草に頷いて‥再度眺める。2006-01-12 06:49:00 -
387:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥千紗っ」
近づいてくる3つの姿に、陽平は振り返る。そして娘の名を‥呟いた。
新しい父親と元嫁の手を握りしめた‥小さな体。
それは、写真に写るものから‥数倍に成長しているものだった。2006-01-12 06:54:00 -
388:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
自分を不思議そうに見上げ‥2人に視線を送る娘。
陽平は、元嫁に目を向けた。
すると、2人は彼女の手を離す。
‥決断のとき。2006-01-12 06:56:00 -
389:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「あれが‥本当のパパ。ママらとおりたいか、パパのとこ‥行きたいかは、千紗が‥決めていいんよ」
元嫁は娘と同じ背丈になり、彼女に囁いた。
娘は、首を傾げながら‥陽平を眺める。
陽平は、低くしゃがみ込み‥両手を広げた。2006-01-12 07:00:00 -
390:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
その光景を喫茶店から眺める花と千草は、ゴクリとつばを飲む。
「‥千紗っ」
陽平は、声を張り上げ‥呼びかけた。2006-01-12 07:02:00 -
391:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
娘は、そんな彼を黙って見つめている。
そして、怖がった表情で新しい父親へとしがみついた。
陽平の目は‥点になる。2006-01-12 07:05:00 -
392:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
怯えた顔で、新しい父親のズボンを強く握りしめる娘。
「千紗っ、パパんところ‥‥おいで!」
陽平は、眉間にしわを寄せて‥強く呼びかける。
だが、彼女は逃げるように背を向けた。2006-01-12 07:07:00 -
393:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
予想もつかなかった事態に、陽平は彼女へと身を乗り出していく。
だが、娘との間を塞ぐかのように‥元嫁は立ちはだかった。
「怖がってるんやから、やめて」
冷たく言い放たれる言葉。2006-01-12 07:11:00 -
394:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、目の前が真っ暗になった。
「あたし、ずっと‥出来ちゃった結婚やったこと‥悔やんできた。あんたは仕事ばっかで、あたしらのこと‥中途にしてたやろ。そんな奴を、千紗が選ぶわけないやん」
元嫁は、歪んだ表情で陽平を見下ろした。
そして、目を逸らし‥離れていく。2006-01-12 07:15:00 -
395:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
陽平は、一点を見つめたまま‥唖然となる。
視界をあげれば、そこには‥円を描いたかのような1つの家族。
下まぶたを縁取る‥淡い涙。
信じられない結果に、陽平はひざを地につけた。2006-01-12 07:19:00 -
396:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
ポタリポタリとこぼれる粒が、土の色を変えていく。
‥偽物に奪われた‥大切な娘。
陽平は、その場から動けなかった。2006-01-12 07:22:00 -
397:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「マジで‥?」
コーヒーカップを皿の上に置き、千草は困り果てた様子で前髪をかきあげた。
‥予想外の展開。
喫茶店から観察していた2人は、沈黙になる。2006-01-12 07:35:00 -
398:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
どんな言葉が交わされたのかは‥わからない。
でも、窓の向こうで流れた光景は‥陽平の期待をはるかに裏切ったもの。
2人は目を合わせ、何も言わず‥そこを後にした。2006-01-12 07:38:00 -
399:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「ただいま‥」
“陽平になんて声をかけるべきか”と話し合った結果、答えは見つからなかった。
2人は重い足取りで帰宅する。
予想通り‥リビングには彼の姿はなく、返事も帰ってこない。2006-01-12 07:41:00 -
400:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
2人は、そろそろとリビングへと向かった。
隣にある彼の部屋は、電気がついている。
花は、その扉を開けようとした。
だが、千草がその手を止める。2006-01-12 07:43:00 -
401:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
振り返ると、千草は首を横に振っている。
“そっとしとこう”というかのように、真顔を見せる彼。
花は、扉から手を放し‥うつむいた。2006-01-12 07:45:00 -
402:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
だが、居ても立ってもいられず‥花は勢いよく扉を開く。
彼女の突発的な行動に、千草は驚いた顔で目を向けた。
2人の目に入ってきたのは、肩を落として座る‥後ろ姿。
花は、唇をかみしめた。2006-01-12 07:48:00 -
403:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
自然と動く体。
花は、彼を後ろから抱きしめた。
顔の下に巻き付けた手の甲が‥次第に濡れていく。
花は、陽平の涙を感じ‥瞳を潤ませた。2006-01-12 07:52:00 -
404:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
彼を支えようとする花を見て、千草は震える手で拳を作る。
「‥陽平っ」
花は、必死に彼の名を囁いた。
あんなにも‥楽しみにしていたのに。
娘を引き取ることを夢に‥頑張ってきた姿が頭に焼き付いている。2006-01-12 07:56:00 -
405:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥‥離れて」
陽平は、花にポツリと囁く。
慰められている‥この状態に、彼はすべてを察していた。
コイツらは、どこかで‥あの光景を見ていた。
そう思うと、浮かれていた自分が恥ずかしくなる。2006-01-12 08:00:00 -
406:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「出ていけやっ!」
離れない彼女に、八つ当たりする彼。
陽平は、花の腕を振りほどき‥怒鳴り散らした。
跳ね飛ばされた彼女は、その場から動けずに彼を見つめる。2006-01-12 08:03:00 -
407:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、そっと彼女に手を伸ばし‥彼から遠ざけた。
そして、大粒の涙を流す彼女を‥部屋へとつれていく。
「もう‥今日は寝いや」
沈んだ表情で呟く千草は、少し間を置いて‥彼女の部屋から出ていこうとした。2006-01-12 08:07:00 -
408:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
だが、背後から鼻水をすする音が聞こえてくる。
千草は、ドアの前で彼女へと振り返った。
肩を震わせ‥泣き崩れる背中。
彼の決心は、もろく消えていく。2006-01-12 08:11:00 -
409:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
「‥俺が‥おるよ」
プライドも何もかも捨てた‥情けない表情で囁いていく。
その言葉で、彼女の肩はピタリと震えを止めた。
だが数秒して、再び崩れていく。2006-01-12 08:16:00 -
410:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
千草は、彼女を背後から抱きしめた。‥そう、彼女が彼を抱きしめたように。
彼女の震える肩が、千草の体を揺らし‥胸を締め付けていく。
「‥頼むから。もう‥アイツのことで泣くなや」
千草は、今でも減ることのない想いを一気に吐き出していく。2006-01-12 08:22:00 -
412:
名無しさん
ぱぱらっち
2006-01-12 18:29:00 -
413:
きさ
しぉり?主さん頑張ってね(^-^?)
2006-01-12 19:54:00 -
416:
名無しさん
あげ?
2006-01-13 19:52:00 -
417:
名無しさん
あげ!!!
2006-01-14 17:35:00 -
418:
名無しさん
書いて?
2006-01-15 16:32:00 -
419:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
皆さん、いつもありがとうございますo(_ _*)o今から書きますφ(._.)
2006-01-15 19:15:00 -
420:
芽衣 ◆rd1jJ3btsE
あ、すみません。用事が(>д
2006-01-15 19:22:00