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1:
美桜
初めて書く小説なので、下手ですが読んでもらえれば嬉しいです。更新も少しずつになりますが、気長におつきあい下さいm(__)m
2006-05-07 02:28:00 -
600:
美桜 ◆kJmhGaf60.
渡された携帯を眺めながら美桜は考えた。連絡を取りたい人。そんな人はもちろん一人だけ。皓輝だ。
2006-06-17 00:49:00 -
601:
美桜 ◆kJmhGaf60.
でも、何と言って今の状況を説明すればいいのだろう。下手に皓輝を巻き込みたくない。
2006-06-17 00:50:00 -
602:
美桜 ◆kJmhGaf60.
結局考えたあげくにどう取り繕っても仕方がないと思い詳しい事情は説明できないが、
2006-06-17 00:51:00 -
603:
美桜 ◆kJmhGaf60.
『ごめんなさい。実家に引き戻されてしまって暫く皓輝とも連絡が取れそうにありません。もうすぐこの携帯も取り上げられてしまいそう。でも、きっと必ず皓輝の傍へ帰るから待っていて』
2006-06-17 00:52:00 -
604:
美桜 ◆kJmhGaf60.
とメールをした。本当は電話にしたかった。でも皓輝の声を聞いてしまえば今すぐにでも飛び出して皓輝の元へ行きたくなるのはわかっていた。
2006-06-17 00:53:00 -
605:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だがそれをしてしまうと、ここまで強硬な手段に父が出た以上最初の家出のときのようにすんなりはいかないだろう。
2006-06-17 00:54:00 -
606:
美桜 ◆kJmhGaf60.
きっと父は皓輝の元へ行き、美桜を関わるなと言うだろう。それだけは絶対に避けたい。しばらく我慢していればまた逃げ出せる機会はあるだろうから…
2006-06-17 00:55:00 -
607:
美桜 ◆kJmhGaf60.
1週間ほど経って退院が許された。退院の日美桜は母に連れられて何年かぶりに実家へ足を踏み入れた。21年間過ごしてきた実家。
2006-06-17 00:56:00 -
608:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だが久しぶりに戻っても懐かしいとは思わない。むしろ嫌な記憶が呼び覚まされて叫び出したい思いに駆られる。
2006-06-17 00:57:00 -
609:
美桜 ◆kJmhGaf60.
母と言葉を交わすこともなく美桜は自分の部屋へ急いだ。ドアを開ける。飛び出した頃となにひとつ変わらない光景がそこにあった。
2006-06-17 00:58:00 -
610:
美桜 ◆kJmhGaf60.
きっと母は美桜がいつ戻ってきてもいいように毎日掃除をしていてくれたのだろう。倒れこむようにベッドに横になる。
2006-06-17 00:59:00 -
611:
美桜 ◆kJmhGaf60.
首につけたままにしているネックレスに手をやる。誕生日に貰って以来一度も外したことのない皓輝からのプレゼント。
2006-06-17 01:00:00 -
612:
美桜 ◆kJmhGaf60.
(皓輝…会いたいよ…)皓輝はどうしているだろうか。突然連絡の取れなくなった美桜を心配してくれているだろうか。
2006-06-17 01:01:00 -
613:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ずっと続くと思っていた幸せな日々は呆気ないほど簡単に壊れてしまった。
2006-06-17 01:02:00 -
614:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝の傍にいたい。そんなささやかな願いさえ抱いてはいけないのだろうか。
2006-06-17 01:04:00 -
615:
美桜 ◆kJmhGaf60.
(もう何も考えたくない……)そう思いながら美桜は目を閉じた。このまま眠ってしまっていっそ明日なんかこなければいいのに。
2006-06-17 01:05:00 -
616:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そうすれば幸せな記憶も鮮やかなまま死ぬことができるのに。
2006-06-17 01:05:00 -
617:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だがきっとこの家にいては死ぬことすら許されないのだろう。この家で美桜に許されることはただ息をすることだけ。
2006-06-17 01:06:00 -
618:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そんな地獄の日々を我慢すればまた皓輝に逢えるのだろうか。それまで皓輝は待っていてくれるのだろうか。
2006-06-17 01:07:00 -
619:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜はこれから始まろうとしている地獄を想像し絶望しながら眠りについた……
2006-06-17 01:09:00 -
620:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今日の更新はここまでになります。お付き合いいただきましてありがとうございました。
2006-06-17 01:09:00 -
621:
名無しさん
お疲れ様です?楽しみに待ってます?
2006-06-17 01:11:00 -
622:
名無しさん
?
2006-06-17 09:51:00 -
624:
ひろりん
今日、一気に読みました?更新楽しみにしています?
2006-06-17 13:32:00 -
625:
コアラ
しおリ?
2006-06-17 14:35:00 -
626:
美桜
629さん、ひろりんさん、コアラさん、レスありがとうございますm(__)mまた夜にでも更新させていただきます!
2006-06-17 17:00:00 -
627:
美桜 ◆kJmhGaf60.
いつも読んで下さっている皆様本当にありがとうございますm(_ _)m今から更新させていただきます。
2006-06-17 23:18:00 -
628:
美桜 ◆kJmhGaf60.
Side B〜皓輝〜 美桜がいなくなって一ヶ月が過ぎた。美桜からメールをもらってすぐに電話をかけたのだが、留守電だった。
2006-06-17 23:19:00 -
629:
美桜 ◆kJmhGaf60.
しばらく何度かかけてみたがやはり留守電が続き次の日には携帯は解約されていた。
2006-06-17 23:20:00 -
630:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜はいまどうしているのだろうか。
2006-06-17 23:21:00 -
631:
美桜 ◆kJmhGaf60.
毎日のように来ていた美桜が突然顔を出さなくなり、悠馬たちも心配をしている。
2006-06-17 23:22:00 -
632:
美桜 ◆kJmhGaf60.
最初の何日かは『体調が悪いそうだ』と誤魔化していたのだが、さすがに一週間がすぎてしまうとその言い訳も難しくなり本当のことを言わざるを得なくなった。
2006-06-17 23:23:00 -
633:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜の家の事情はある程度悠馬たちも知っていたので理由を聞いて美桜の無事がわかり安心した反面、心配も増えたようだ。
2006-06-17 23:24:00 -
634:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜姉、元気ですかね…」ぽつりと悠馬が寂しそうに言った。「どうだろうな…」と皓輝が返す。皓輝だって心配していないわけではない。
2006-06-17 23:25:00 -
635:
美桜 ◆kJmhGaf60.
最近はなくなっていたとはいえ、美桜が何かあればすぐにリストカットをする。今していないという保証はどこにもない。
2006-06-17 23:26:00 -
636:
美桜 ◆kJmhGaf60.
もし皓輝と会わない間にリストカットをしてしまい美桜に何かあったら…
2006-06-17 23:27:00 -
637:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そう思うと居ても立ってもいられなくなるのだが、皓輝は美桜の実家を知っているわけでもなく電話さえ知らない。
2006-06-17 23:28:00 -
638:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜がいなくなってすぐ美桜が勤めている店に美桜の実家のことを聞きにも行った。
2006-06-17 23:29:00 -
639:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だが、店でも美桜の実家のことは把握していなかった。当然だろう。
2006-06-17 23:30:00 -
640:
美桜 ◆kJmhGaf60.
経歴などを言いたくない、言えない人間はこの世界にはたくさんいる。だから店側も敢えて深いところまでは追求しない。
2006-06-17 23:31:00 -
641:
美桜 ◆kJmhGaf60.
問題を起こさず、毎日店に来て仕事をしてくれていればそれだけで充分なのだ。
2006-06-17 23:32:00 -
642:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「でも、オレ、美桜姉も心配だけど、皓輝さんのことも心配っす」と悠馬が真剣な顔をして言った。
2006-06-17 23:33:00 -
643:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「皓輝さん、美桜姉がいなくなってからろくに飯食ってないじゃないですか」
2006-06-17 23:34:00 -
644:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜がいなくなってからというもの、皓輝も精神的に落ち込み、イライラし、ろくに眠れず食事もできない日々が続いていた。
2006-06-17 23:35:00 -
645:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「そんなんじゃ、美桜姉が帰ってくる前に皓輝さんが倒れちゃいますよ」と泣きそうな表情で悠馬が言う。
2006-06-17 23:36:00 -
646:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「オレ、美桜姉と皓輝さんが一緒にいるところ見るの大好きでした。2人とも凄く自然に一緒にいるのに、凄く幸せそうだったから…」と悠馬は言う。
2006-06-17 23:37:00 -
647:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「だから、美桜姉が帰ってきた時に皓輝さんは元気じゃないとダメなんです!」と最後には泣き出しながら悠馬は言った。「悠馬…」皓輝は思わず言葉に詰まった。
2006-06-17 23:38:00 -
648:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今まで皓輝は同じ店の従業員と深く関わったことがない。同じ店の従業員とはいえ、いつ客を取られるか油断はできない。
2006-06-17 23:39:00 -
649:
美桜 ◆kJmhGaf60.
水商売の世界はそんなものだ、と思いながら仕事をして来た。だから後輩ですら信用していなかった。
2006-06-17 23:40:00 -
650:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そう思っていたからこそ、悠馬がこんなに自分と美桜のことを心配して思ってくれるなんて想像もしなかった。
2006-06-17 23:40:00 -
651:
美桜 ◆kJmhGaf60.
正直に悠馬の気持ちは嬉しかった。そして自分にこんな変化をもたらしてくれた美桜に改めて感謝をした。
2006-06-17 23:41:00 -
652:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜が悠馬たちにきちんと『人』として接していてくれたからこそ、こうして悠馬も心配してくれているのだろう。
2006-06-17 23:42:00 -
653:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「ありがとう」素直にその言葉が出た。「俺は大丈夫だから。美桜が帰ってくるまで何があっても倒れたりしないから」「皓輝さん…」
2006-06-17 23:43:00 -
654:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「もうすぐオープンだからとりあえず顔洗って来い」と悠馬に言うと、悠馬は少し恥ずかしそうに「そうっすね」と言いながらトイレに向った。
2006-06-17 23:44:00 -
655:
美桜 ◆kJmhGaf60.
悠馬の後姿を見送りながらタバコに火をつける。そして美桜のことを考えた。
2006-06-17 23:45:00 -
656:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜がいなくなってから美桜のことを考えない日は一日もなかった。
2006-06-17 23:46:00 -
657:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜は今どうしているのだろうか。皓輝の元には美桜と過ごした証が何ひとつない。写真を撮るのを美桜が嫌がったから写真の一枚すらない。
2006-06-17 23:47:00 -
658:
美桜 ◆kJmhGaf60.
あるのは記憶だけ。笑う美桜。怒る美桜。泣く美桜。そして皓輝の名前を呼ぶ少し低めの柔らかい声…。
2006-06-17 23:48:00 -
659:
美桜 ◆kJmhGaf60.
初めて出逢ってから一年近く経とうとしているが、その間の美桜のことはどんな瞬間でも鮮やかに思い出すことができる。
2006-06-17 23:49:00 -
660:
美桜 ◆kJmhGaf60.
この記憶だけが皓輝が美桜と過ごした証だ。
2006-06-17 23:50:00 -
661:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今まで皓輝は思い出にすがって生きるなんて弱い人間のすることだと思っていた。だが、今ならそうしたくなる気持ちがよくわかる。
2006-06-17 23:52:00 -
662:
美桜 ◆kJmhGaf60.
この記憶が鮮やかなうちにまた美桜と過ごせる日々がくるのだろうか…どうすれば美桜を取り戻せる?
2006-06-17 23:53:00 -
663:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そう思いながら皓輝の思いはある一つの方向へと向かって行った……
2006-06-17 23:54:00 -
664:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今日の更新はここまでになります。少なくて申し訳ないですが、何分多忙のためご了承下さいm(_ _)m少しずつでも更新していきますので、気長にお付き合いいただけましたら幸いです。
2006-06-17 23:55:00 -
666:
ラビ
いっぱい進んでた↑かなり読みやすい!
2006-06-18 16:22:00 -
667:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ひろりんさん、アンカーありがとうございます。
ラビさん、いつも応援レスありがとうございます。
遅くなりましたがこれから更新させていただきます。2006-06-19 00:47:00 -
668:
美桜 ◆kJmhGaf60.
Side A〜美桜〜 皓輝と離れてから本当にどれぐらいの時間が経ったのか…美桜はもう今がいつなのか、正確な時間さえ把握できなくなっていた。
2006-06-19 00:48:00 -
669:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ずいぶんとたくさんの季節を独りで過ごしたような気もする。
2006-06-19 00:49:00 -
670:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝と離れてからの美桜の生活は『籠の中の鳥』のようだった。ロクに外出もさせてもらえず、食事だけ与えられ、たまに外出を許されても父の部下たちの監視がつけられていた。
2006-06-19 00:50:00 -
671:
美桜 ◆kJmhGaf60.
どこにいても常に誰かが美桜を見ているのに、ひどく美桜は『孤独』だった。皓輝に会いたい。
2006-06-19 00:51:00 -
672:
美桜 ◆kJmhGaf60.
生きてさえいればいつかまた会うことができるかもしれない。その思いだけを頼りに生きてきた。
2006-06-19 00:52:00 -
673:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝と離れて美桜に大きな変化が一つだけあった。美桜の背中には今、月と桜のTATTOOが刻まれてる。そして太股には比翼の鳳凰。
2006-06-19 00:53:00 -
674:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝の「皓」は白く輝く月を示す。その月の下に舞う桜。背中のTATTOは皓輝と過ごした証。
2006-06-19 00:54:00 -
675:
美桜 ◆kJmhGaf60.
このTATTOOを彫ってから少しだけ美桜は寂しくなくなった。常に皓輝が傍にいてくれるような気がしたから。
2006-06-19 00:55:00 -
676:
美桜 ◆kJmhGaf60.
太股の比翼の鳳凰はもう一度皓輝に会えるための『おまじない』だった。
2006-06-19 00:56:00 -
677:
美桜 ◆kJmhGaf60.
比翼の鳥というのは、一つの羽、一つの目しか持たない2羽の鳥が2羽揃うことによって一羽の完全な『鳥』になれる、という想像上の鳥だ。
2006-06-19 00:57:00 -
678:
美桜 ◆kJmhGaf60.
『夫婦』の深い結びつきを現すときに使われる表現で、美桜はその鳥に自分と皓輝を重ねたのだ。
2006-06-19 00:58:00 -
679:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜と皓輝は2人で初めて一人の『人間』になることができる…
2006-06-19 00:58:00 -
680:
美桜 ◆kJmhGaf60.
あまり多くの時間父の部下たちの監視の目から逃れて行動は出来なかったので、全て出来上がるまでに相当な時間を要した。
2006-06-19 00:59:00 -
681:
美桜 ◆kJmhGaf60.
でも、TATTOOを彫っている間の痛みは何故か美桜に安らぎをくれた。この痛みは皓輝と繋がっている証だ。そう思えたから。
2006-06-19 01:00:00 -
682:
美桜 ◆kJmhGaf60.
出逢った彫師も良かったのだろう。ネットで調べて見つけた女性の彫師。初めてスタジオを訪れた日、包み隠さずどんな事情でどんなTATTOOを彫りたいのかを話した。
2006-06-19 01:01:00 -
683:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜の話を彫師は親身に聞き、そしてこう言った。『2人で協力して素敵な証を残しましょう』と。
2006-06-19 01:02:00 -
684:
美桜 ◆kJmhGaf60.
実際に出来上がったTATTOOは今まで見たどんなTATTOOよりも美しいものだった。毎日そのTATTOOを見ることだけが孤独を癒すことができた。
2006-06-19 01:03:00 -
685:
美桜 ◆kJmhGaf60.
このまま皓輝の想い出と共に鳥籠の中で暮らすのも悪くないかもしれない。そう思い始めたころ季節は桜の季節を迎えていた。
2006-06-19 01:04:00 -
686:
美桜 ◆kJmhGaf60.
部屋の窓から舞い散る桜の花を眺めていた。皓輝と知り合ったのは夏の始め。そして離れたのは冬の半ば。
2006-06-19 01:05:00 -
687:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だから皓輝との思い出の中に桜の景色はない。こんなにも綺麗な桜の花、皓輝もどこかで同じ景色を見ているのだろうか…
2006-06-19 01:06:00 -
688:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ぼんやりと桜を見つめていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。どうせ母だろうと思い放って置いた。
2006-06-19 01:07:00 -
689:
美桜 ◆kJmhGaf60.
返事をしなくても入ってくるのだからノックなどしなければいいのに…「美桜ちゃん…」やはり母だった。美桜は母を振り返ることなく桜を見続けていた。
2006-06-19 01:08:00 -
690:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜ちゃん、あなたがこの家に帰ってきてどれくらい時間が経っているかわかっている?」「…さあ?…」そんなことどうでも良い。
2006-06-19 01:09:00 -
691:
美桜 ◆kJmhGaf60.
どうせどれだけの時間が経とうと『籠』の中から飛び立つことなどできないのだから。
2006-06-19 01:10:00 -
692:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「…2年よ。あなた2年もの間誰にも会わず過ごしてきているのよ?」「…そう…」だから何だと言うのだ。
2006-06-19 01:11:00 -
693:
美桜 ◆kJmhGaf60.
2年経とうが5年経とうが10年経とうが関係ない。一生このまま皓輝の想い出とともに生きていくのだから。
2006-06-19 01:12:00 -
694:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜ちゃん、あなたこのまま誰にも会わずに生きていくつもり?」美桜は少し苛立ってきた。そんなことを聞いてどうしようというのだ?
2006-06-19 01:13:00 -
695:
美桜 ◆kJmhGaf60.
結局母が父に逆らったのはあの病院での携帯電話の件のみだった。外出に監視がつけられることも黙認してきた母が今更なんだというのだ。
2006-06-19 01:14:00 -
696:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「…だから?」素っ気なく美桜は返した。「…美桜ちゃん、あなた、この家を出なさい」「!?」思いがけない母の言葉にさすがに驚いて振り返った。
2006-06-19 01:15:00 -
697:
美桜 ◆kJmhGaf60.
母は美桜に向って銀行の通帳とカードを差し出した。「ここに少しだけどあなたのために取っておいたお金があるの。これを持って家を出なさい」「…お母さん?どういうつもり?」美桜は母の真意がわからず尋ねる。
2006-06-19 01:16:00 -
698:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「そんなことをすればアイツに怒られるのはお母さんなんだよ?」「そうね。でもあなたがこの家に帰ってくる時にお母さん言ったわよね?お母さんだって美桜の幸せを望んでいないわけではないの」「……」
2006-06-19 01:17:00 -
699:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「最初ね、美桜ちゃんが水商売をしているってわかったときはお母さんショックだった。そんなことをして生活をしているくらいならここに戻ってくればいいとも思ったわ」
2006-06-19 01:18:00 -
700:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そういう母の顔は今まで見てきたどの表情よりも寂しそうな顔をしていた。
2006-06-19 01:19:00 -
701:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「でも帰ってきてからのあなたを見ていると、お父さんとお母さんのしたことは間違っているんじゃないかなって思ったの。あなたの幸せを願うならあなたの思い通りの人生を送らせてあげなくてはいけないのよね?」「…お母さん…」
2006-06-19 01:20:00 -
702:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜ちゃん、ごめんね。お父さんもお母さんも今まであなたに本当の意味での幸せを与えてあげることができなくて」そう言いながら母は静に涙をこぼした。
2006-06-19 01:21:00 -
703:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「これからはあなたの望む場所であなたが一緒にいたい人と幸せになりなさい」「…でも・・・もうあの人は待っていてくれていないかもしれない。私なんか必要と
していなかもしれない…」2006-06-19 01:22:00 -
704:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「それでも、ここで何もしないまま人生が終わっていくよりは幸せだとお母さんは思うわ」「…それに、きっとまたアイツが連れ戻しに来るよ」
2006-06-19 01:23:00 -
705:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「お父さんのことはお母さんに任せて。何とか説得するから」それから、と続けて母は何かを差し出した。解約されたはずの美桜の携帯だった。
2006-06-19 01:24:00 -
706:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「電話としてはもう使えないけど、この電話の中には美桜ちゃんの大切な人の連絡先が入っているでしょう?」美桜は言葉もなくその携帯を受け取る。
2006-06-19 01:25:00 -
707:
美桜 ◆kJmhGaf60.
母はずっと充電をしていてくれたらしく、今でもその携帯は電源を入れることができた。メールボックスを開くとそこには懐かしい皓輝とのメールが残っていた。
2006-06-19 01:26:00 -
708:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝とのメールを見ていくうちに涸れてしまったと思っていた涙が溢れてきた。会いたい。皓輝に会いたくて仕方がない。
2006-06-19 01:27:00 -
709:
美桜 ◆kJmhGaf60.
携帯を見つめながら静かに涙を零す美桜を母は静かに抱きしめた。
2006-06-19 01:28:00 -
710:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜ちゃん、幸せになってね。何か困ったことがあればお母さんに連絡するのよ」「…ありがとう、お母さん。ありがとう…」
2006-06-19 01:29:00 -
711:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そして美桜は家を出た。だけど、まだ皓輝には会えない。会いたいけど、会いに行かない。
2006-06-19 01:30:00 -
712:
美桜 ◆kJmhGaf60.
もう少し強くなって、守られるだけではなく皓輝を守れるようになってからでないと皓輝には会わない。
2006-06-19 01:31:00 -
713:
美桜 ◆kJmhGaf60.
それがいつのことになるかはわからない。だけど、美桜にはいくつかの《お守り》がある。
2006-06-19 01:32:00 -
714:
美桜 ◆kJmhGaf60.
皓輝からもらったネックレス。背中と太股のTATTOO。そして母にもらった携帯。それに皓輝との想い出もある。
2006-06-19 01:33:00 -
715:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だから寂しくても一人で平気だった。『籠』の中でのことを思えばこんな孤独などなんてこともない。
2006-06-19 01:34:00 -
716:
美桜 ◆kJmhGaf60.
強くなろう。いつか胸を張って皓輝に逢えるように……
2006-06-19 01:35:00 -
717:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今日の更新はここまでになります。読んで下さっている皆様お付き合いくださいまして本当にありがとうございます。
2006-06-19 01:36:00 -
718:
名無しさん
更新楽しみにしてます!
2006-06-19 04:32:00 -
720:
美桜 ◆kJmhGaf60.
726さん、ひろさんレスありがとうございます。読んで下さっている皆さん、本当にありがとうございます。
今から更新させていただきます。2006-06-19 22:29:00 -
721:
美桜 ◆kJmhGaf60.
Side B〜皓輝〜 「皓輝さん、お疲れ様でした!!」悠馬たち従業員が並んで一斉に頭を下げている。今日は皓輝の『ラスト』だった。
2006-06-19 22:30:00 -
722:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜がいなくなってから皓輝は水商売を上がる決心をした。もちろんすぐに辞めるわけにはいかなかったのであれから今まで以上に懸命に働いた。
2006-06-19 22:31:00 -
723:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そして水商売を上がる決心をしてからちょうど一年目の5月30日に『ラスト』を迎えることにした。明日5月31日が皓輝にとっては特別な日だったから。
2006-06-19 22:32:00 -
724:
美桜 ◆kJmhGaf60.
3年前の5月31日、初めて美桜に出逢ったのだ。美桜と出逢ったその日から、新しい人生を歩むことにした。
2006-06-19 22:33:00 -
725:
美桜 ◆kJmhGaf60.
水商売時代に作ったコネで皓輝は自分の店を出すことになった。店は水商売ではなくカフェだ。
2006-06-19 22:33:00 -
726:
美桜 ◆kJmhGaf60.
正直自分でも似合わないとは思うのだが、美桜を思ってのことだった。
2006-06-19 22:34:00 -
727:
美桜 ◆kJmhGaf60.
いつか再び美桜と巡り逢えたとして今までと変わらず水商売のままではまた前と同じ状況になってしまうだけだ。
2006-06-19 22:36:00 -
728:
美桜 ◆kJmhGaf60.
胸を張って美桜の両親に会えるように。そのことを考え昼の仕事をすることにした。
2006-06-19 22:37:00 -
729:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「皓輝さん、オレ店に遊びに行きますよ!!」と悠馬が言う。「大丈夫かよ。酔っ払ってくるんじゃないぞ?」とからかいながら皓輝は言う。
2006-06-19 22:38:00 -
730:
美桜 ◆kJmhGaf60.
悠馬の存在はずいぶん皓輝を助けてくれた。もう美桜は戻ってこないのではないか、そう弱音を吐く皓輝を悠馬はいつも励ましてくれていた。
2006-06-19 22:39:00 -
731:
美桜 ◆kJmhGaf60.
『大丈夫ですよ!絶対美桜姉は帰ってきますって!!』その言葉は何度皓輝を助けてくれたかわからない。
2006-06-19 22:40:00 -
732:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「悠馬、本当にありがとうな」心から感謝の気持ちを込めて悠馬に礼を言った。
2006-06-19 22:41:00 -
733:
美桜 ◆kJmhGaf60.
その言葉を受け悠馬は照れくさそうにしながら、「何言ってんすか!オレの方こそ皓輝さんには本当にお世話になりました」そう言い悠馬は深々と頭を下げた。
2006-06-19 22:42:00 -
734:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そして顔を上げ「皓輝さん、一つだけ約束してください」と真剣な表情で言った。
「ん?」2006-06-19 22:44:00 -
735:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「オレ、歳取ってホストとして働けなくなるまでこの店で頑張ります。だから、いつか必ず美桜姉と遊びに来てください!」
2006-06-19 22:45:00 -
736:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「悠馬…」皓輝はとっさに返す言葉に詰まった。そんなにも自分と美桜の再会を信じてくれているのか…
2006-06-19 22:46:00 -
737:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「ああ、約束する。必ず2人で遊びに来るよ」「…待ってます」…そして長いようで短かった皓輝の水商売時代が終わった。
2006-06-19 22:47:00 -
738:
美桜 ◆kJmhGaf60.
翌日。5月31日a.m.11:00。店の前には水商売時代の知人たちからのたくさんの花が贈られていた。
2006-06-19 22:48:00 -
739:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そしてオープンと同時に元同業者や、皓輝の客たちがたくさん店に訪れてくれていた。
2006-06-19 22:49:00 -
740:
美桜 ◆kJmhGaf60.
何人かスタッフは雇っていたが、ここまでたくさんの客が来てくれるとは思っていなかっただけに皓輝も慣れない接客に追われていた。
2006-06-19 22:50:00 -
741:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そこへ「いらっしゃいませ!」振り向くとそこに居たのはヒロだった。手には小さな花束を抱えている。
2006-06-19 22:51:00 -
742:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「よ!」花束を持っていないほうの手を軽く上げ皓輝に挨拶をする。「ヒロくん、お久しぶりです」「おめでとうさん。しっかしカフェとはまた似合ってないな〜」
2006-06-19 22:52:00 -
743:
美桜 ◆kJmhGaf60.
笑いながらカウンター席へヒロは座る。「これ、お祝い。どうせ花はたくさんあるだろうと思って小さいのにした」
2006-06-19 22:53:00 -
744:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「ありがとうございます」丁寧に頭を下げ花束を受け取る。「何にしますか?」「アイスティーで」「かしこまりました」オーダーを通し、カウンターを挟んでヒロの前に立つ。
2006-06-19 22:54:00 -
745:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ヒロは店の中を見渡し、「恐ろしくお前に似合っていない店だな」と言った。
2006-06-19 22:55:00 -
746:
美桜 ◆kJmhGaf60.
店の雰囲気はアジアンテイストで、扱っているドリンクも少し変わっている。
2006-06-19 22:56:00 -
747:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜の趣味だな…」ぽつりとヒロは言った。「お前、まだ美桜のこと待っているのか?」
2006-06-19 22:58:00 -
748:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「…はい」この店の雰囲気は美桜が好きだったもので統一している。
2006-06-19 22:59:00 -
749:
美桜 ◆kJmhGaf60.
たった一度だけだが美桜が好きだといっていたカフェに一緒に行ったことがあった。いつ美桜が帰ってきてもいいようにその店を基本にしてデザインをした。
2006-06-19 23:00:00 -
750:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「…そうか。ま、お前がそれでいいって言うなら俺は何も言わないよ」「ヒロくんも美桜とは全然連絡取れていないんですよね?」「ああ」
2006-06-19 23:01:00 -
751:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜を紹介してくれたのがヒロだったので、美桜が居なくなってから真っ先にヒロに連絡を取った。
2006-06-19 23:02:00 -
752:
美桜 ◆kJmhGaf60.
そのとき初めて知ったことなのだが、美桜とヒロは幼馴染らしくお互いの家など行き来もあるようだった。
2006-06-19 23:04:00 -
753:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だからその時はかなり食い下がって実家を問いつめたのだが、結局ヒロは教えてはくれなかった。
2006-06-19 23:05:00 -
754:
美桜 ◆kJmhGaf60.
ただ一言『美桜を信じて待て』とだけ言った。
2006-06-19 23:06:00 -
755:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜、元気してるんですかね」と何気なく皓輝は言った。すると、「どうやら随分と前に実家を出たようだ」「!!」
2006-06-19 23:07:00 -
756:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「それも親父さんの目を盗んで失踪したようだ」(失踪!?)皓輝は愕然とした。
2006-06-19 23:08:00 -
757:
美桜 ◆kJmhGaf60.
自由になったのなら何故皓輝の所へ姿を見せにこないのだ!?もう美桜にとって自分は必要な存在ではないのか!?
2006-06-19 23:09:00 -
758:
美桜 ◆kJmhGaf60.
様々な思いが一瞬にして皓輝の頭をよぎった。その様子を見ていたヒロが一言、「それでもお前は美桜のことを待てるのか?」と尋ねた。
2006-06-19 23:10:00 -
759:
美桜 ◆kJmhGaf60.
確かに自由なのであれば皓輝に逢いに来てもいいはずだ。だが実際に美桜はこの前に現れてはいない。
2006-06-19 23:11:00 -
760:
美桜 ◆kJmhGaf60.
現在はもう皓輝のことなど忘れ、新しい土地で新しい生活を送っているのかもしれない。皓輝の知らない誰かと。だが…
2006-06-19 23:13:00 -
761:
美桜 ◆kJmhGaf60.
少し考えて皓輝はきっぱりいった。「待ちます。俺には美桜が必要です」「そうか…」
2006-06-19 23:14:00 -
762:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「正直、これだけ離れている相手をこれほどまでに思うって言うのは『恋』ではないのかも、と自分でも思うときもあります。無いものねだりで執着しているだけではないのかと」
2006-06-19 23:15:00 -
763:
美桜 ◆kJmhGaf60.
と皓輝はヒロの目を見ながら話す。「でも、恋であれ執着であれ、それ以外の理由であれ、俺にとって美桜が必要だということに変わりはありません」
2006-06-19 23:16:00 -
764:
美桜 ◆kJmhGaf60.
するとヒロは一息置いて、こう言った。「アイツも…美桜も同じようなことを言っていたよ」
2006-06-19 23:17:00 -
765:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「!?会ったんですか!?」「ああ。少し前にな」と落ち着いた様子でヒロは言う。「少し前にアイツから連絡が来て会った。元気だったよ」
2006-06-19 23:18:00 -
766:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「ヒロくん、美桜は今どこに!?」「それは今は言えない。アイツとの約束だから」「約束!?どんな!?」
2006-06-19 23:20:00 -
767:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「美桜自身がお前に会えると思うまでは会いに行かないと言っていた」「どうして!?」
2006-06-19 23:20:00 -
768:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「落ち着け皓輝。ここはお前の新しい店だろ?」そう言われて皓輝は我に返り少し冷静になる。
2006-06-19 23:21:00 -
769:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「どういうことですか?」とさっきよりは少し落ち着いて問う。「お前を守れるくらい強くなってから会いに行くといっていた」「え?…」
2006-06-19 23:23:00 -
770:
美桜 ◆kJmhGaf60.
意味がわからず皓輝は唖然とする。「美桜が言ってたよ。今まで自分は皓輝に守られてばかりいた。でも、今度は守られるばかりではなく自分も皓輝を守れるくらいの強さが欲しいと」
2006-06-19 23:24:00 -
771:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「……」「だから暫くは一人で頑張るそうだ」「そんなことを美桜が…」守られているばかりだなんて、そんなことはなかったのに。
2006-06-19 23:25:00 -
772:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜の存在がどれだけ皓輝のことを助けてくれていたか。傍にいてくれるだけで充分なのに…
2006-06-19 23:26:00 -
773:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「まあ、アイツも頑張ってるんだ。お前も色々辛いだろうが頑張れ」「…はい」それだけ言うのが精一杯だった。「いらっしゃいませ!!」「お、新しいお客さんだぞ」と言いながらヒロは立ち上がる。
2006-06-19 23:27:00 -
774:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「忙しそうだから長居しても悪いし、帰るわ」財布を取り出しカウンターに千円置いて「じゃあな」と言い、「そうだ。これ」とメモを差し出した。
2006-06-19 23:29:00 -
775:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「何ですか?」メモを開きながら皓輝は尋ねる。どこかの住所と携帯電話の番号が書かれていた。
2006-06-19 23:30:00 -
776:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「俺からのもう一つのお祝い」「?」「美桜の仕事先と今の携帯電話の番号」「!?」驚きながらヒロの顔を見ると、
2006-06-19 23:31:00 -
777:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「さすがに俺もお前に同情するわ。これをどう使うかはお前に任せるよ」と言い店を出て行った。
2006-06-19 23:32:00 -
778:
美桜 ◆kJmhGaf60.
慌てて追いかけ店先で「ありがとうございました!!」と深々と頭を下げた。店に戻りスタッフに休憩すると声をかけスタッフルームに入った。改めてメモを見る。
2006-06-19 23:33:00 -
779:
美桜 ◆kJmhGaf60.
『大阪市北区…』あれだけ遠かった美桜がこんなにすぐに近くにいる。メモを見ながら皓輝はそう思い今すぐにでも飛び出したい思いだった。
2006-06-19 23:35:00 -
780:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だが…水商売を辞め店を出したのも全て美桜のためだった。今ここで店を放り出して美桜に会いに行ってしまえば、これまでの努力が全て無駄になってしまう。
2006-06-19 23:36:00 -
781:
美桜 ◆kJmhGaf60.
それに美桜も皓輝のために頑張っているのだ。会おうと思えばいつだって会えるのだ…そう思い直し、皓輝は店へ戻った。
2006-06-19 23:38:00 -
782:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「いらっしゃいませ!!」と新しく入ってきた客に明るく挨拶をする。たった一枚のメモだがそれでも美桜と繋がる大事な証。
2006-06-19 23:39:00 -
783:
美桜 ◆kJmhGaf60.
それを手に入れ皓輝は今までの苦しみなど全てなくなったような気分だった。
2006-06-19 23:40:00 -
784:
美桜 ◆kJmhGaf60.
美桜、いつか必ず迎えに行くから。お前に胸を張って会えるように頑張るよ…そう思いながら新しい店での一日が過ぎて行った…
2006-06-19 23:41:00 -
785:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今日の更新はここまでになります。お付き合いくださいましてありがとうございました。
2006-06-19 23:42:00 -
786:
コアラ
気になる????
2006-06-20 06:37:00 -
788:
ラビ
うーん。気になる(ΦДΦ)
2006-06-20 23:03:00 -
789:
美桜 ◆kJmhGaf60.
コアラさん、ラビさん、お待たせいたしました。ひろりんさん、アンカーありがとうございます。今から更新させていただきます。
2006-06-21 01:04:00 -
790:
美桜 ◆kJmhGaf60.
Side A&B=One 実家を出てから母がくれたお金でネイルの学校に入り勉強をした。今では資格も取れキタにあるサロンで働いている。
2006-06-21 01:05:00 -
791:
美桜 ◆kJmhGaf60.
実家を出てから何度も皓輝に連絡を取ろうと思ったけれど、まだ会えないと思い我慢をし今日まで頑張ってきた。
2006-06-21 01:06:00 -
792:
美桜 ◆kJmhGaf60.
離れることを決めたのは自分なのだから。けれど、未だに皓輝からもらったネックレスは外せないでいる。
2006-06-21 01:07:00 -
793:
美桜 ◆kJmhGaf60.
この銀の鎖は美桜と皓輝を繋ぐ鎖だから外すことができなかった。
2006-06-21 01:08:00 -
794:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「お疲れさまで〜す!!」同じサロンのネイリストたちが仕事を終え帰って行く。
2006-06-21 01:09:00 -
795:
美桜 ◆kJmhGaf60.
「お疲れ様です」美桜は皆を見送り一人サロンの中にいた。何となく帰りたくない気分だった。
2006-06-21 01:10:00 -
796:
美桜 ◆kJmhGaf60.
こんなとき以前の自分なら勢いに任せてミナミの街に出て、浴びるほど酒を飲み疲れ果てて眠っていたのだろう。
2006-06-21 01:11:00 -
797:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だが、実家を出てからというものそんなことは一度もなかった。あれだけ誰かと一緒にいたくて仕方がなかったのがウソのように孤独を何とも思わなくなっていた。
2006-06-21 01:12:00 -
798:
美桜 ◆kJmhGaf60.
あれから実家には一度も帰っていない。電話すらしていない。正直母のことは気にはなる。だが、まだ父を許せないでいた。
2006-06-21 01:13:00 -
799:
美桜 ◆kJmhGaf60.
今ならあれだけ厳しかった父の気持ちも少しだけなら理解できる。父は本当に愛し方を知らなかったのだろう。
2006-06-21 01:14:00 -
800:
美桜 ◆kJmhGaf60.
だからといってすぐに許せるものでもなかった。だけど、いつか父を許せる日が来れば…最近ではそう思えるようにまでなっていた。
2006-06-21 01:15:00