小説掲示板ちっちゃな黒猫の話。のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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ちっちゃな黒猫の話。

スレッド内検索:
  • 1:

    せぇ

    なぁなんで?
    どこに行ったン?
    いつも一緒だったじゃん
    嬉しい時も悲しい時も
    あんたゎ何にも言わずに
    側にいてくれたよな。
    あたしゎあんたの顔を見ただけで
    あんたのふわふわの毛をなでるだけで
    心が温かくなるのを感じてん。
    なぁチビクロ
    なんであんたが先に死ぬん?
    人を幸せにするあんたが。

    2005-11-17 17:26:00
  • 100:

    るる

    お暇できたら続き書いて下さい?待ってます?

    2005-12-15 02:35:00
  • 101:

    名無しさん

    わたしも黒ネコ飼ってるから、すごい気になる? 最後まで見るから頑張って?

    2005-12-15 07:59:00
  • 102:

    名無しさん

    書かんの?やったら最初から書くな

    2005-12-16 22:29:00
  • 103:

    せぇ

    携帯ぶっこわれて書けれんくなってました。更新遅れてしまい、本当に申し訳ないです。必ず完結させるので、よかったら、見捨てず最後まで読んでいってくださいm(__)m

    2005-12-20 01:02:00
  • 104:

    せぇ

    『何ですか?…やあらへん。先生にあいさつくらいしていったらどうや。』相変わらず、この世で一番自分がえらいと思っているかのような言い方。どうやったらこんな奴が先生になれるんか聞きたいわ。なんし、今日はあかん。『…おはようございます。』あたしは素直にあいさつをして、また校舎に向かおうと、方向を変えて振り返った。その瞬間、水野はチビクロが入ったカゴをもっている右手をつかんだ。突然の衝撃で、カゴが地面に勢い良く落ちた。『何すんねんハゲ!』

    2005-12-20 01:10:00
  • 105:

    せぇ

    急いでカゴを拾って、胸に抱き抱えた。−ごめん、本間にごめん。
    『お前先生に向かってそんな言葉使いしていいと思うてんのか!』ハゲという図星をつかれて、タコみたいに顔を真っ赤にした水野が近づいてくる。やってしまった感はあったけど、あたしも頭に血が上ってたせいで、冷静な態度がとれんかった。『いきなりつかんでくるあんたが悪いねん!』あたしは胸に抱えたカゴにギュッと力を込めて言った。『…お前、そのカゴん中に何が入ってるんや?大事そうに抱えて?』

    2005-12-20 01:20:00
  • 106:

    せぇ

    勝ち誇った顔で聞いてきた水野に、あたしはすかさず答えた。『生理用品です。』カゴの中でもぞもぞ動くチビクロの気配がした。怪我とかしてない?大丈夫?

    2005-12-20 01:24:00
  • 107:

    せぇ

    『本間あせったわぁ。どうしようかと思った。』あたしは朝の出来事を、トイレの個室でチビクロにミルクをあげながら、きょんに愚痴っていた。『それでどうなったん?あいつのことやから、中身見せろとか言うてきたんちゃうのん?』相変わらずケラケラ笑いながらキョンは話を聞いていた。ミルクをあげ終え、キョンが持ってきてくれた大きいカゴバックにタオルとチビクロを移動させながらあたしは答えた。『それやねん!"ほな見せてみぃ"って平気な顔で言うてきてん!』キョン『…それ本間?最悪やな。で?どうやって乗りきってん?』手ではチビクロを撫でながら、顔はあたしに向けて、キョンはどっちにも興味しんしんやった。

    2005-12-20 01:41:00
  • 108:

    せぇ

    『…そのカゴの内ポケット見てみや。』あたしは顎で、チビクロをいれて持ってきたバックを差して言った。『え?これ?』不思議そうにキョンがバックの中を探る。数秒後、朝の静まり返ったトイレの中で、ありえへんくらいバリでかい、キョンの笑い声が響き渡った。キョンは内ポケットから取り出した、ナプキンを片手に、腹をかかえて、とぎれとぎれに言った。『あんた、準備し、しすぎやろ…どんだけ、念、押してんねん…笑』

    2005-12-20 01:49:00
  • 109:

    せぇ

    キョンの発作みたいな笑いがおさまった後、うちらはあゆちゃんのトコロに行った。あゆちゃんっていうのは、去年までいた厳しいおばさんに変わって来た、新任の保健室の先生だ。ぅちら二人は、昔よく保健室にさぼりに行ってて、あゆちゃんもまた無理に授業に行かせようとせぇへんでくれた。他の先生達はそんな『ゆるい』あゆちゃんをよく思ってなかったけど、恋や愚痴など、笑いながら真剣に聞いてくれるあゆちゃんは、生徒に大人気やった。一時期そのせいで、みんなが保健室に殺到して、問題になったことがあって、ここぞとばかりに他の先生があゆちゃんを辞めさせようとした。そん時にうちら生徒は、一致団結してそれに反対して、それから頻繁に保健室に行くのはやめようっていう暗黙のルールが出来てた。

    2005-12-20 09:59:00
  • 110:

    せぇ

    なぁチビクロ
    あれからあんたが学校のアイドルになった時
    あたしは正直嫌やってん。
    みんなに撫でられるあんたは、相変わらず可愛くて
    あたしの猫やのに
    みんなの猫みたいで

    猫にまでヤキモチやくなんて
    あたしはやっぱりどこかおかしいんかもしれへん。

    でもな、あんたの言葉がわかるのは、やっぱりぅちだけやった。

    『せぇちゃん』

    あんたがあたしを呼ぶ声は
    今でも耳から離れへん。

    もう一回呼んでよ。

    どこで何をしてても
    すぐにかけつけるから。

    2005-12-20 23:30:00
  • 111:

    せぇ

    噂はどこからともなくながれ、次の日には『保健室に黒猫がいてる』って、有名になってた。昨日と同じようにミルクをあげようと、休み時間に保健室をのぞくと、チビクロを見に来る同級生や先輩でいっぱいになっていた。もちろん、そうなれば他の先生の耳にも入る。『やばいよなぁ…。』あたしはキョンと二人、必死に解決策を相談した。

    2005-12-20 23:38:00
  • 112:

    せぇ

    チビクロを初めて学校につれてきた日から4日目の昼休み。今日無事すめば、明日から週末で休みやから、解決策を考えれる。とりあえず、チビクロを見にくるやじうまの目を盗んで、チビクロをカゴごと連れて屋上に向かった。途中で担任に『おい渡辺、そのカゴ何や?』って不思議そうに言われて、あたしは思わず『今日はサンドイッチやねん!』…って答えた。担任は怪しそうにあたしを見た後、『えらいでかいサンドイッチやな!』って笑って言った。

    2005-12-20 23:48:00
  • 113:

    せぇ

    無事屋上に着くと、あたしは誰もいないのを確認してから、カゴのフタを開けた。もうすぐ12月も終わる。この寒い中、屋上でご飯を食べる子は予想どおり一人もいなくて、あたしはチビクロを膝のうえに乗せた。初めての場所と風と空に、チビクロは驚きふるえて、あたしの膝に座り込んだまま辺りをキョロキョロ見回してた。

    2005-12-20 23:55:00
  • 114:

    せぇ

    ミルクを飲めるだけ飲んで、お腹が一杯になったチビクロゎ、初めて来た屋上に興味深々で、探険しだした。少し離れては振り向いてあたしの姿を確認する。そのしぐさがすごく可愛かった。チビクロといるだけで、この屋上も、寒いけど、すごく落ち着ける空間になる。


    バタン!

    2005-12-25 21:42:00
  • 115:

    名無しさん

    むっちゃきになる!

    2005-12-25 22:17:00
  • 116:

    せぇ

    名無しさんありがとう?けれから更新します?

    2005-12-26 12:16:00
  • 117:

    せぇ

    突然入り口のドアを力強く開ける音がして、あたしもチビクロもその場で固まった。
    『おい渡辺〜!』ものすごい怒鳴り声と一緒に水野が屋上にやってきて、うれしそうにニヤニヤ笑って仁王立ちになった。『その猫の飼い主はお前か。よ〜やってくれたのぉ。』チビクロは大きい声にびっくりして、あたしの膝に走って飛び乗ってきた。あたしは相変わらずてんぱってて、水野を見つめたまま、ぴくりとも動けなかった。

    2005-12-26 12:21:00
  • 118:

    せぇ

    『ペットを学校に連れてくるとゎええ根性してんなぁ。学校はお前の家ちゃうんや。学校にペットを連れてきたらあかんことなんか、幼稚園児でも知ってるわ。』この間のことを根に持ってるのか、水野の舌は絶好調やった。「やばい、どうしよう…。」いつもならすぐにごまかす嘘が思いつくあたしも、今回ばかりはお手上げで、何も言うことができんかった。
    『なんらかの処分考えなあかんなぁ。お前にもその猫にも。』

    2005-12-26 12:27:00
  • 119:

    せぇ

    意味わからへん。処分が必要?あたしはともかく、『猫にも』?処分って何の処分やねん。あたしのチビクロになにするつもりやねん。

    2005-12-30 21:02:00
  • 120:

    せぇ

    今考えてみると、もちろん水野はチビクロに何かをしようとしたわけじゃなかったと思う。ただあたしをビビらせようとして、ああ言っただけで。でもあの時のあたしは、冷静な判断能力にかけてて、完全に頭に血が上ってた。

    2005-12-30 21:08:00
  • 121:

    名無しさん

    気になる?

    2005-12-31 05:45:00
  • 122:

    せぇ

    『チビクロにもってどーいうことやねん!この子は関係ないやろ!?』あたしはほぼ叫んでるくらいの声で言った。なんか言い訳…言い訳。


    『だいたいこの子は…この子は…。』あたしがいないと生きていかれへん。なぁチビクロ。そうやよな?

    2005-12-31 18:09:00
  • 123:

    せぇ

    『その子、捨て猫ですよ。飼い主、今探してるところです。飼い主見つかるまでの間だけ、仕方ないから学校につれて来てただけです。やから、渡辺さんは何も悪くないですよ。仕方ないことですやん。』
    いつのまにかあらわれた見たことない男の子が、すごく落ち着いた、きれいな声でそういった。
    『な?』あたしの目を見て、あいずちをうながす。
    …誰?

    2005-12-31 18:15:00
  • 124:

    名無しさん

    2005-12-31 23:00:00
  • 125:

    名無しさん

    かかんねやったら最初から書くな

    2006-01-07 05:00:00
  • 126:

    名無しさん

    きつい言い方やめや。何様やねん。

    2006-01-07 18:02:00
  • 127:

    名無しさん

    気になって更新まってんのにいつも中途半端で終わってたら腹立つやろ

    2006-01-07 18:26:00
  • 128:

    名無しさん

    うちだって気になってるから待ってるよ。でも、そうやってきつい言い方してたら余計かかへんくなるだけやろ。迷惑やねん。

    2006-01-07 21:13:00
  • 129:

    名無しさん

    まつだけ損やで 主はやる気ない中途半端やし

    2006-01-08 21:57:00
  • 130:

    名無しさん

    ↑ぉ前もな

    2006-01-09 06:44:00
  • 131:

    せぇ

    本当にごめんなさい。年末年始と、成人式とかで忙しくて更新出来ませんでした。こんな力不足なへたな小説やのに、見てもらって、待ってて頂いて、怒らしてるのに不謹慎ですが、本間うれしいです。時間はかかるかもしれないですが、必ず完結させますので、これからもよろしくおねがいします。

    2006-01-10 00:45:00
  • 132:

    せぇ

    見たことない顔だった。先輩かな?でもうちの名前知ってるし、同級生?てか、屋上に他に生徒いたんや…。『な?』もう一度その人はあたしにあいずちをうながした。『…あ、はい。』大分間を開けて、あたしはそう答えるだけでいっぱいいっぱいだった。

    2006-01-10 01:20:00
  • 133:

    せぇ

    あ、寝てる…。
    ふと目をやると、チビクロは、膝の上で丸くなって目を閉じていた。さっきまで震えるくらいびっくりしてたくせに。あたしはあっという間に今の状況も忘れて和んだ。チビクロの背中に手を置いて、ポン、ポンとやさしくたたいた。

    2006-01-10 01:49:00
  • 134:

    せぇ

    セッターの匂い。
    ふと、少しだけ。
    少しだけ、しょーちゃんのことを思い出した。

    タバコを吸っている間、あたしは何も言わなかったし、彼も何も話さなかった。

    2006-01-10 02:07:00
  • 135:

    せぇ





    2006-01-10 02:08:00
  • 136:

    せぇ

    仁に出会えたのは
    あんたのおかげやったね、
    チビクロ。

    人は、誰かを愛すことでしか、自分の存在を確かめられへんねんて。

    もしそうだとしたら
    なぁチビクロ。

    あたしはあんたを愛したことで、自分を見つけたよ。

    あんたが出会わしてくれた仁を愛したことで、自分を見つけたよ。

    あんたナシに
    あたしはなかった。

    あんたはあたしの全てやで。

    2006-01-10 02:21:00
  • 137:

    せぇ



    ………{てか、なんで
    名前知ってるん?!}
    見事キレイにはもりながら、ぅちらは声を揃えて言った。

    2006-01-10 02:41:00
  • 138:

    せぇ

    >>130の続きです。
    >>139-153
    まで書きました。今日はこれで一旦切りますね。続きはまた明日書きます?

    2006-01-10 02:57:00
  • 139:

    名無しさん

    待ってます

    2006-01-10 17:34:00
  • 140:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 141:

    せぇ

    『いつからここにいたん?一応あたし、屋上入る前に、誰もいないの確認してんけど、気付けへんかった。』沈黙に耐えられんくなって、あたしは口を開いた。『あぁ、あそこ。』仁は、後ろにある屋上のてっぺんを指差した。掛けハシゴ一つでつながれた、水道タンクが置いてある場所。『ちょっと狭いねんけどな、誰にも邪魔されずに昼寝するには、うってつけやねん。』『本間や、あそこって登れんねや、知らんかった。』

    2006-01-11 01:11:00
  • 142:

    せぇ

    『…登ってみる?』
    仁は、あの癖のある笑顔で、静かにそう言った。

    2006-01-11 01:13:00
  • 143:

    せぇ

    遠くでチャイムの音がする。もうすぐ午後の授業が始まる。仁は先に登って、上からあたしを見下ろした。手をさしのべて、『さぼろうや。』と、同じ笑顔でまた言った。

    2006-01-12 02:01:00
  • 144:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あんたも見てた?
    あの日の空を。
    仁のあの笑顔は、
    見る人を引き付ける。
    見るたびに、引き付ける。

    あんたと同じくらい好きや。

    あの日、
    あの手をとってよかった。

    2006-01-12 02:08:00
  • 145:

    せぇ





    2006-01-12 02:11:00
  • 146:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 147:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 148:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 149:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 150:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 151:

    名無しさん

    2006-01-17 02:13:00
  • 152:

    名無しさん

    2006-01-17 02:24:00
  • 153:

    名無しさん

    あげ

    2006-01-23 06:32:00
  • 154:

    名無しさん

    おもしろい!

    2006-01-30 18:45:00
  • 155:

    せぇ

    更新またおそくなってしまってごめんなさい。
    これから書きます。
    読んでくださって
    ありがとうございます。

    2006-01-31 13:28:00
  • 156:

    せぇ

    それから、屋上のてっぺんに座って、私たちはいっぱい話をした。冬の光が背中に当たって、不思議と寒いとは感じなかった。好きなもの、嫌いなもの。くそ水野のこと、それからチビクロのこと。とにかくいっぱい話をして、あたし達はずっと笑ってた。

    2006-01-31 13:39:00
  • 157:

    せぇ

    −どれくらい時間がたったのか、チビクロがお腹を空かせて泣き始めた。『あっ、ごめん。ミルクあげな』盛り上がってた話を中断して、あたしはカゴからチビクロを抱き上げて、ミルクをあげた。

    本間にかわいい。大好きや。

    2006-01-31 13:46:00
  • 158:

    せぇ

    ふと、視線を感じて、あたしは顔をあげた。仁を見ると、すごく、すごく、やさしい顔でチビクロを見ていた。心があったかくなった気がした。

    2006-01-31 13:53:00
  • 159:

    せぇ

    多分、10秒もたってない。チビクロはいつも通り、あたしと、ミルクの入っているほにゅうびんを交互に見つめてて、あたしは−。
    いとおしそうにチビクロを見つめる仁を見て、そしてきっと、恋に落ちた。

    2006-01-31 14:03:00
  • 160:

    せぇ

    なぁチビクロ
    あんたの死は
    体の一部。
    心がなくなったのと
    同じように思えた。

    あたしがもう一度
    あたしを、心を
    取り戻せたのは
    仁のおかげやった。

    あんたが出会わせてくれた
    仁のおかげやった。

    チビクロ、あんたは
    最初から最後まで
    抜け目のない、かしこい猫。
    最初で最後の、あたしの猫。
    あたしの一部。


    あたしの全てやで。

    2006-01-31 17:39:00
  • 161:

    せぇ





    2006-02-01 10:51:00
  • 162:

    せぇ

    その日はそのまま、午後の授業をまるまるさぼった。あの日から私は、仁とチビクロと。あの、秘密の屋上のてっぺんで学校生活のたくさんの時間をすごした。

    2006-02-01 11:03:00
  • 163:

    岡ちゃン

    俺の家庭に似てるなッて思ったから読んでみた(*г′∀`)г*すげーぃぃ話。・。゚(⊃д`゚)・゚・。これからも頑張って書いてなッ(ノ∀ヽ*)*〃∀)

    2006-02-02 00:31:00
  • 164:

    せぇ

    いつも、サボろうもんなら飛んで探しにくるはずの水野が、この日もう一度屋上に来ることはなかった。仁の演じた『ネジが外れた優等生』タイプは、熱すぎるうざい熱血漢にとっては、苦手なタイプだったらしい。
    そのおかげで、全ての授業が終わり、キョンがお迎えに来るまで、他のトラブルに合うこともなく、私は仁より先に屋上を出た。なんとなしに振り替えると、仁は相変わらずの笑顔で『またね。』って言ってくれた。

    2006-02-02 01:44:00
  • 165:

    せぇ

    チビクロを学校に連れていくのにはもう無理があった。だけどこの土日、遊びにもいかず、ずっとチビクロと一緒にいて、やっぱり一人にするのも無理やと思った。二日間どうするか考えた結果、辿り着いた答えは、はたから見れば簡単なものやった。
    −キョン家族に預ける。
    あそこなら、猫の扱いにはあたしより慣れてるし、仲間もいてる。なによりも、キョンママは飼い猫の出産にまで立ち合って、何匹もの子猫を育ててきたベテランやから。

    2006-02-02 13:10:00
  • 166:

    せぇ

    チビクロにとっては一番最適な選択。これからチビクロを待っているのは、小さなカゴバックでの移動も、知らない生徒に撫で回されることもない、平和な生活。まだまだ小さく、ひ弱なチビクロにとって、もっとも安全な環境。
    だけどあたしは…あたしは−

    2006-02-02 23:57:00
  • 167:

    せぇ

    片時だってチビクロを離したくない。−これが本音やった。
    毎日毎日、私の家とキョンの家とを往復させるわけには行かない。チビクロに余計なストレスを与えないためにも、預けるなら、ずっと預け続ける。ミルク離れするまでの約二週間。あたしはチビクロと離れ離れになった。

    2006-02-03 00:02:00
  • 168:

    せぇ

    日曜日の夕方。チビクロをキャリーバックに入れ、キョンの家に向かった。キョンの地元は電車二つ向こう分で、駅に着くとキョンのおばちゃんが車をつけて待っててくれてた。
    キョンの家に着いて、キャリーバックからチビクロを出した。『これがあの日のチビクロちゃん?きれいになって!キョンが言ってた通りべっぴんさんやねぇ!』キョンママはうれしそうにチビクロを抱き上げてそう言った。さすが、猫の抱き方が上手でチビクロは気持ち良さそうに、早速目をつぶってウトウトしだした。

    2006-02-03 00:10:00
  • 169:

    せぇ

    −ガチャッ−『せぇ〜!やっと来たん?』相変わらずのでかい声と、大きくドアを開ける音と一緒に、キョンが私とキョンママのいるリビングにやってきた。どこから出てきたのか、キョンの開けっ放しにしたドアから大小それぞれ、出てくる出てくる、合計11匹。
    この、軽く猫屋敷となってるキョン宅に、チビクロが仲間入りするんや…。
    初めて見る自分以外の猫達に、チビクロはキョンママの膝から飛び起きて、恐そうにあたしの側に移動してきた。他の猫達も、チビクロに興味深々みたいだった。どの猫も皆、遠巻きからじっとチビクロを見ている。

    2006-02-03 00:27:00
  • 170:

    せぇ

    改めて見るとすごい光景だ。リビングにあるソファーの真ん中に座った私たちを中心に、猫タワーのてっぺん、タンスの上、押し入れの隙間、机の下…。ありとあらゆる場所からのたくさんの視線は、チビクロが全て独占しているみたいだった。『なぁ、キョンママ…。チビクロ、いじめられたりせぇへんよな?』思わず、あたしはキョンママに聞く。『せぇへんよ。成猫が子猫をいじめるとかは、まずありえへんと思う。そのうちどの子か勘違いして、我が子みたいに可愛がるんちゃうかな。まぁ、もしいじめられてるようだったら、おばちゃんが助けるし!』軽く握った拳を胸にポンと当てて、キョンママは満面の笑みで返事をしてくれた。
    『それより問題は…』

    2006-02-03 00:39:00
  • 171:

    名無しさん

    2006-02-03 00:53:00
  • 172:

    せぇ

    キョンママがたくさんの猫達を目でおった。『あの子。』そう言って、キョンママが指差した瞬間、チビクロに一直線、唯一飛び出してきた猫がいた。チビクロは思わずあたしの膝に爪をたてる。『痛い痛い…』膝から抱き上げて胸元で抱き直してからもう一度その猫に目をやった。『ヤマト!』そう呼ばれた猫は、チビクロと同じ黒猫だった。他の猫に比べるとかなり小さい。『…子猫?』

    2006-02-03 10:58:00
  • 173:

    名無しさん

    いつも更新楽しみにしてます。
    本間おもろい!!がんばってください。

    2006-02-03 17:15:00
  • 174:

    岡ちゃン

    ィェーィ?頑張って書いてなッ?

    2006-02-03 23:08:00
  • 175:

    せぇ

    名無しさん、岡ちゃんさん、ありがとうございます?ホントうれしいです?がんばりますね??

    2006-02-03 23:56:00
  • 176:

    なゅ

    ぁたしんちも猫屋敷になりつつある(*_*)猫大好きで見てしまった☆頑張って!

    2006-02-05 19:15:00
  • 177:

    名無しさん

    小説の中で一番好きやな〜楽しみにしています

    2006-02-06 00:40:00
  • 178:

    せぇ

    なゅさん?
    猫って本間かわいいよな?いっぱい幸せにしてもらってください?
    名無しさん?
    そんなん言ってもらえて本間にめっちゃうれしいです!ありがとうございます?
    読んでくださってる人、本当にありがとうございます。がんばって書くので、見守ってて下さいm(__)m

    2006-02-06 02:55:00
  • 179:

    せぇ

    キョンがヤマトの背中を優しく撫でる。言葉なんてわからなくても、伝わる想いがそこにはあって。それをちゃんと伝え、伝わるようになった時、『飼い主とペット』は『家族』に変わる。その手に、愛情がいっぱいこめてあることはきっと、ヤマトが一番わかってるんだと思う。

    なぁチビクロ。
    あんたの想いは、ちゃんとあたしに届いてたよ。
    あたしの声は届いてた?

    2006-02-06 03:04:00
  • 180:

    せぇ

    やけどやっぱり『猫』っていう生き物は気分屋だ。もう気が済んだのか、キョンの『痛いっ』って言う言葉と共に、爪をたてて腕から降りると、また一直線にチビクロ目がけて突進してきた。
    チビクロは警戒しているのか、短い毛を逆立てて、フーッとうなった。ヤマトはチビクロのすぐ側、10センチくらい前で止まり、じっとチビクロを見つめる。チビクロも見つめ返す。あたしやキョン、他の猫達は、これから何が起きるか、ドキドキしながら二匹をじっと見つめてた。

    2006-02-06 03:14:00
  • 181:

    せぇ

    みんなが注目する中、ヤマトが先に動いた。もし、あたしのチビクロを殴ろうもんなら、あたしはヤマトに、10倍返しくらいしてやろうと思ってた。だけど…
    ヤマトは、チビクロのおしりの匂いをかいだ。これは猫同士の『仲良くしよう』の挨拶。『やった!よかった、気に入られたみたいやん、チビクロ…』そう思ったのも束の間、チビクロは見事、その挨拶に猫パンチで答えた(笑)

    2006-02-06 03:19:00
  • 182:

    せぇ

    なぁチビクロ

    あんたの、お腹の中にいた子のお父さんが、
    ヤマトだったらいいな。

    あんた達はいいケンカ仲間で
    あんたはいつもヤマトを追い掛けて、いつもヤマトから逃げて。ひたすら追い掛けっこの繰り返し。
    だけどすごくすごく
    楽しそうやったよね。

    ヤマトは今でも元気やで。
    だけど、あたしの姿を見る度
    あんたのことを探してる。

    ヤマトの声も聞こえるよ。
    『チビクロは、どこにいったん?』

    2006-02-06 11:09:00
  • 183:

    せぇ





    2006-02-06 11:12:00
  • 184:

    岡ちゃン

    黒猫カヮィィ(??∀?)ニタニタ?岡ちゃンも買ってんねん???ゃから頑張って?・?・?)??

    2006-02-07 22:27:00
  • 185:

    せぇ

    遅くなってごめんなさい?これから更新します?
    岡チャンさん、いつもありがとう??

    2006-02-09 01:05:00
  • 186:

    せぇ

    それから、もぅ帰ろう、もう帰ろうと思うたび、あと少し、あと少しだけと、時間を延ばした。ヤマトとのおい駆けっこに夢中になって、目を真ん丸に見開いてキラキラ輝かせるチビクロは今までにないくらいかわいかったから。結局終電まで逃してしまったあたしは、迷惑にも、キョンママに家まで車で送ってもらうことになった。
    荷物をもって玄関先に向かう。『チビクロー?』最後に名前を呼んだけど、チビクロはあたしをちらっと少しだけ見ただけで、すぐにヤマトとの鬼ごっこを再開した。
    悲しいような、腹が立つような、居心地の悪い気分が、ドアを勢い良く開けるきっかけになってくれた。そのままあたしは、振り返りもせずに、チビクロを置いてキョン家を出た。

    2006-02-09 01:19:00
  • 187:

    名無しさん

    せぇ?初めましてぇ?
    ぁたしゎ猫じゃなぃけどぅ犬ぉ飼ってたの?でも…この前亡くなってしまってぇ??ぁたしが小学生の時からずっと一緒だったからすごく辛いですぅ?今でもまだぃるょうな気がします?長々とすみません?
    猫の話なのに犬の話しちゃってぇ????

    2006-02-13 19:33:00
  • 188:

    七海

    メッチャ続き気になる??がんばって下サィ??
    ??しぉり??

    2006-02-14 23:07:00
  • 189:

    名無しさん

    2006-02-15 00:03:00
  • 190:

    あ〜

    俺も猫飼ってるよ!ってか猫好きなら負ける気しないです(;^_^Aまあ話変わるけどチビクロちゃんはせぇちゃんにたくさんの幸せをあげたから次の人生かならず人で生まれてくると思うよ!しかも超幸せな人生でとりびきり美人でもしかしたらせぇちゃんの娘になって生まれてくるかもね笑

    2006-02-15 00:40:00
  • 191:

    せぇ

    ー嫌やった。
    チビクロはあたしのことを忘れるかもしれへん。あたし以外誰もいないあの淋しい家より、仲間がいっぱいいる、楽しいこの家のほうが好きになるんじゃないか。
    何かある度あたしのトコロへ 来てたチビクロは、もういなくなるんじゃないか。

    2006-02-15 13:45:00
  • 192:

    せぇ

    送ってもらっている間中、あたしはずっとそんな不安を感じながら、窓の外を見ていた。流れる景色のところどころに、チビクロを探しながら。

    2006-02-15 13:48:00
  • 193:

    せぇ

    窓から見える風景が、見覚えのある風景に変わった時、ずっと黙っていたあたしは、やっと口を開いた。『もうすぐ…』 『えっ?』とキョンママはあたしの視線の先を見た。『あそこ!あの川原でチビクロ拾ってん!』12時はとっくに回った、深い暗闇の中で、あたしはその場所を見つめた。運転中のキョンママは、ちらっとそっちを見たけど、結局見つけられへんかったみたいやった。『そっか…。』キョンママはなんとなく淋しそうな、うれしそうな声で話しだした。

    2006-02-15 13:55:00
  • 194:

    せぇ

    『あのな、せぇちゃん。』車は家の前に着いた。かけていた音楽を小さくしてから、キョンママは続けた。『地震があった時、一番最初に何をもって逃げる?』唐突な質問に、あたしはびっくりして、しばらくしゃべれなかった。やけど、それは迷ってたんじゃない。『絶対チビクロやな。』あたしははっきりそう言った。ふふっとキョンママは笑う。『絶対そう言うと思った。』キョンママが笑った顔は、本間にやさしそうだ。『やけど、その必要はないねん。』『なんで?』『動物のカンで、地震は来る前にわかるから』『そうなん?!』会話が弾む。『うん。やから、チビクロ以外で、なんかある?』
    あたしは考えこんだ。『…ないなぁ。』
    今のあたしにとって、大切なものはチビクロ以外になかった。

    2006-02-15 14:11:00
  • 195:

    せぇ

    『…それも、言うと思った。』そう言って、またふふっと笑う。笑った顔がキョンに似てるなぁ…って、あたしは、なんとなしに、だまってそれを見てた。
    『せぇちゃんは、愛情深いなぁ。』ポツリと言ったその言葉に思わず(重い)と言う言葉が浮かぶ。
    あたしの返事を待っているのか、そこで話を止めたキョンママに、あたしは言った。『重いだけやねん…。』ハンドルに肘をついて、聞く態勢に入ったキョンママに、あたしは話した。しょーちゃんのこと、今までの彼氏のこと。

    2006-02-15 14:21:00
  • 196:

    せぇ

    『重いって何なん?』最後にあたしは、ずっと思ってたことを初めて人に、キョンママに聞いた。『好きとどう違うねん…。』
    −別れた男達を、しょーちゃんを。まだ好きだとは思わない。なのに、涙がでてくるのはなんでだろう。今まで失恋で泣いたことなんてなかった。やけど、涙はポロポロ落ちて止まらなかった−今までの分が、全て溢れ出たみたいに−涙が止まらなくて、あたしはバカみたいに泣いた。

    2006-02-15 14:28:00
  • 197:

    せぇ

    『重い』。
    その言葉は
    言われる度に
    毎回毎回
    心に突き刺さった。

    2006-02-15 14:30:00
  • 198:

    せぇ

    愛し方がわからへんかった。愛されたことがないわけじゃない。何よりも、大好きなママには、たくさん愛されてたと思う。ただ、側にいないだけで。
    あたしは、見返りを求めてる。あたしは、貴方だけだよ。こんなに好きだよ。だから側にいて。あたしだけを見ていて。
    強がって、泣いたりなんかしなかった。だけどあたしも、ホントは、人一倍、一人になるのが嫌やった。

    2006-02-15 14:38:00
  • 199:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あんたに出会ってから
    あたしは泣いてばかりやった。
    今まで、泣いたことなんて、
    滅多になかったのに。

    やけど本間は、
    いつもギリギリのトコロで我慢してただけで。

    ずっと泣きたかったんやと
    あの夜思った。


    大声で笑ったり
    声を出して泣いたり

    それがこんなにスッキリすることやなんて。

    あんたは知ってたん?

    嬉しい時に
    いっぱい涙が出ることも。

    2006-02-15 14:47:00
  • 200:

    せぇ





    2006-02-15 14:48:00
  • 201:

    せぇ

    仕事にいかなきゃいけないので、一旦ここで切ります。また休憩の時にでも書けたら書きます。
    みなさん、読んでくださってありがとうございます。これからもあたしと、チビクロの成長を見守ってて下さい?

    2006-02-15 14:51:00
  • 202:

    せぇ

    あたしが泣きやむのまっている間、キョンママは赤ちゃんをなだめるみたいに、あたしの背中を撫でてくれていた。すごく心地よくて、あたたかかった。
    あたしが落ち着いてから、キョンママが話しだした。『重いんじゃないよ。せぇちゃんはやっぱり、愛情が深いだけや。やけど、やり方間違えたらあかんで。見返りを求めへんのが、本間の愛やねんから。』

    2006-02-15 17:27:00
  • 203:

    せぇ

    見返リヲ求メナイノガ
    本間ノ愛−…。

    2006-02-15 21:23:00
  • 204:

    せぇ

    キョンママと別れてから、あたしはすぐにベットに寝転んで、ひたすらこの言葉を繰り返した。思い返すとあたしは−。
    何の見返りもなく、人を愛したことがなかった。

    2006-02-16 01:24:00
  • 205:

    せぇ

    かすかに聞こえる、一階の大時計の鐘が二時を告げた。もう寝な、明日も学校や。
    『おやすみ、チビク…』
    静かな部屋に、あたしの声だけが淋しく浮かんだ。あぁ、チビクロはいないんやったっけ…。そう思うと、あたしはなぜかまた泣けた。零れ出る涙を拭うことも、瞬きすらもせず、ただ茫然としながら、チビクロがいないことを静かに受け入れようとした。

    2006-02-16 01:35:00
  • 206:

    名無しさん

    2006-02-16 03:13:00
  • 207:

    せぇ

    結局その日は眠れなかった。チビクロがいないこの部屋は、ひどく冷たい気がした。考えないように意識すると、今度はしょーちゃん達との思い出と、『重い』って言葉ばかりが浮かぶ。
    チビクロと出会う前は、どうやって眠ってたんだろう。もう、思い出せなかった。

    2006-02-16 03:34:00
  • 208:

    せぇ

    いつもと同じ支度をして、いつもと同じ時間に家を出た。眠たいわけじゃない。だけど胃がキリキリ痛くて仕方なかった。だけど不思議なもんで、朝になると気分が変わって、あれだけ考え込んだ色んな問題は、答えもでないまま、頭からなくなっていた。

    2006-02-16 03:43:00
  • 209:

    せぇ

    だけどやっぱり、頭はうまく働かなかったみたいで、あたしは、お昼休みになってから、キョンが学校に来ていないことに気付いた。チビクロのこと、色々聞きたかったのにな…。
    あたしは大抵毎日、キョンとお昼を食べる。だけど今日はキョンが学校にいない。普段ならクラスの子達のグループに入れてもらうけど、この日はなんとなし誰とも話す気になれなくて、あたしは一人になれる場所を探した。

    2006-02-16 03:50:00
  • 210:

    せぇ

    …すぐ、屋上のてっぺん。あの場所を思い浮かべる。今日もいるかな。

    2006-02-16 21:58:00
  • 211:

    名無しさん

    あげ

    2006-02-17 22:45:00
  • 212:

    せぇ

    思わず駆け足に階段を上る。短いスカートがひらひらめくれて膝にあたるのがわかった。
    今日も、昨日と変わらずいい天気。彼を、あの独特でやさしい笑顔を、思い出したとたん、心も晴れた気がした。

    2006-02-18 00:31:00
  • 213:

    せぇ

    屋上にあるベンチに、彼の姿はなかった。ドキドキしながらかけばしごを登る。『なんて声かければいいんやろ…。普通におはよう?でももう昼やしな…。』色んなシュミレーションが、頭に浮かぶ。てっぺんへ、顔がでるか出ないかくらいのところで、あたしは一旦足を止めて、少し考えこんだ。

    2006-02-18 00:41:00
  • 214:

    名無しさん

    かかないんですか?

    2006-02-19 19:50:00
  • 215:

    名無しさん

    はじめまして?前から読ませてもらってますが今日初めてカキコします?
    あたしゎ猫ァレルギーでぁんまり猫が得意じゃないんですが、この話を読む度に猫飼ってみたい気分になります??
    楽しみにしてるんで、完結まで頑張ってください??

    2006-02-23 03:36:00
  • 216:

    せぇ

    更新おくれてしまい、またまた申し訳ないです。言い訳させてもらうと、虐待された犬を拾い、保護し、飼い主を探しまわっていて、なんとなく気分的にチビクロのことをかけませんでした。
    当たり前のことですが、動物は生きもので、喜んだり悲しんだり、もちろん声にだせないだけで、痛いことは痛いのに。その犬は片目が潰れ、なくなっていました。もう一方の目は白内障で、もう何も見えなくなってました。なでてやろうと手を延ばすと怯え、体を震わします。
    なんで?と、不思議で仕方ないです。こんなにかわいいのに。
    この子だけじゃない、本当は全国至る所に同じように苦しんでいる子、もしくは殺されてしまった子がいるんですよね。
    どうかみなさん、もしもその子達を見つけたら助けてあげてください。各県に『動物保護センター』等と呼ばれる施設があります。104ですぐに教えてもらえます。電話するだけでもその子達の未来は変わります。そして何より、動物虐待は犯罪です。
    『アイちゃん』そう名付けられたこの子は、仕事先の常連さんと、新しい幸せな時間を過ごすことになりました。引き取られるとき、震えることしかしなかった

    2006-02-23 11:04:00
  • 217:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 218:

    せぇ

    続き書きます。見て頂き、応援して頂き、すごくうれしいです。ありがとうございます。

    2006-02-23 11:13:00
  • 219:

    せぇ

    そっと背伸びして、顔の半分だけ覗かせて、彼の姿を探す。
    −いた!
    どこから持ってきたのか、かわいいプーさんの膝掛を足元にかけて、昼寝をしていた。起こさないように、音を立てずに上にあがる。赤ちゃんみたいな寝顔やった。

    2006-02-23 11:20:00
  • 220:

    せぇ

    『もてるんやろな…』そうつぶやいた瞬間、仁があの独特な笑顔を見せた。それからパッチリ目を開けて『まぁな』って言った。
    『あっ!ばかばか!起きてたん?!』あたしは恥ずかしくなって仁の肩を軽く殴る。『痛いやん、ひがむなひがむな!』『うぬぼれんとって!』
    二人で爆笑する。

    2006-02-23 12:42:00
  • 221:

    せぇ

    『てかなぁー、仁って何年何組?』あたしはずっと思っていたことをやっと聞けた。『なんで今さら?めっちゃショックやねんけど。もう二学期も終わるで?』口をとがらして仁が答える。『…えっ?ってことは一年なん?!』でも、本間に見たことないんやけど。『ぃや、二年やな。本間なら。』…ん?
    仁のはっきりしない答えに、あたしはチンプンカンプンになった。

    2006-02-23 12:47:00
  • 222:

    あ〜

    動物虐待するやつホンマゆんされへん?いっぺん虐待される側になったらいいのにと本気で思う…

    2006-02-23 23:59:00
  • 223:

    せぇ

    頭に『?ハテナマーク』が浮かんだあたしに、仁は笑いながら言った。『ってか普通わかるやろ!笑 まぁ簡単に言うと留年やな!』…なるほど。『なんだ!ってか最初からそう言えよ!笑』『お前がアホなだけじゃ!』
    きつい言葉とは裏腹に、仁はあたしの頭をポンポンとやさしく撫でた。胸がキュンとする。
    『ってか本間に俺のこと知らん?ってことはあの噂も知らん?』
    …噂?

    2006-02-27 01:03:00
  • 224:

    せぇ

    またもや頭に『?』が浮かんだあたしを見て、仁は慌てて『わからんならいい』とだけ言った。『噂ってな…』思わず口からでた言葉を遮るように、仁が口を挟む。『そういえば今日猫は?チビクロ!』

    2006-02-27 01:06:00
  • 225:

    せぇ

    名前覚えててくれたんや…。あたしは仁の質問に答えず、漠然とそんなことを考えてた。返事をしないあたしに『聞いてる?チビクロは?』と、もう一度仁が聞く。
    …『捨てた。』
    一言、ぽつりとつぶやく。思わず口から出た言葉やった。

    2006-02-27 01:10:00
  • 226:

    せぇ

    『はっ?何言うてるん?嘘つくなや!』少し口調を荒げて、仁があたしを真っすぐ見て言った。『本間やもん。』親にしかられた子供みたいに、あたしはまたポツリとつぶやく。
    だってそうだ。チビクロは、あたしの猫やのに。あたしが世話するって決めたのに。結局面倒見切れんくなって手放した。そんなの、捨てたも同然だ。

    2006-02-27 01:15:00
  • 227:

    せぇ

    あたしの目から、ポロポロ涙が落ちるのがわかった。『本間最近よう泣くなぁ…』って他人事みたいに、スカートについた涙の跡を数た。
    『んで何で泣いてるねん?!聞いたるから、詳しく話して?』下を向いたあたしの顔を覗きこんで、仁がそっと話す。心が暖かくなった気がした。

    2006-02-27 01:21:00
  • 228:

    せぇ

    仁に、ゆっくり、全部を話した。チビクロを拾ったあの夜から、いっぱい泣いた昨日の夜のことまで。チャイムは何度も、相変わらず遠くで鳴ってたし、あたしは何度も、同じ話をしたと思う。なのに仁は、何の文句も言わずに『うん、そうやな』って、そればかり繰り返し相づちを打って、聞いててくれた。

    2006-02-27 01:28:00
  • 229:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    好きだとか、大切だとか。
    言葉にするとなんとなく、
    薄っぺらく感じることがあって。

    やけど思わず出てしまう。
    そう言う感情って
    きっと心の中だけには
    収まらへんねん。

    あんたと仁は
    そんな存在。

    今でもずっと
    大好きで。大切や。

    何回言っても
    言い切れへん。

    2006-02-27 01:35:00
  • 230:

    せぇ

    一通り話終わった時、仁は何を言うわけでもなく、ただまたポンポンとあたしの頭を撫でた。言葉にせんくても、伝わる感情って、きっとこういうの。『がんばれ』って、言ってもらってる気がした。

    2006-02-27 01:38:00
  • 231:

    せぇ

    ガヤガヤと、急に下が騒がしくなった。ピーっと笛が鳴る音、運動部のマラソンの掛け声。吹奏楽のときどき外れる音楽。授業は終わり、部活の時間。そんなに長い間話してたんやと、少しびっくりした。

    −『…ごめんな?』仁の顔を見上げて言った。『全然ええよ。』運動場に小さく見える人影を見下ろして、仁が短く返事をする。
    眩しいオレンジ色の夕日に、仁の明るい髪はきれいに染まって、そして仁はやさしそうに笑ってて。なんとなし、見ていられなくなって、あたしは仁から目をそらした。

    2006-02-27 01:51:00
  • 232:

    せぇ





    2006-03-05 01:19:00
  • 233:

    せぇ

    なんとなく間が持たなくて、あたしはふとカバンに入れていた携帯を開いた。『えっ…。』着信12件、メール1件。着信は、そのうち11件がキョンだった。急いでメールも開く。『せぇ!今すぐ来て!大変やねん!見てられへんねん!とにかく来て!』

    2006-03-05 01:27:00
  • 234:

    名無しさん

    ワクワク

    2006-03-05 01:29:00
  • 235:

    せぇ

    仁に、ろくな挨拶もせずに、一目散に屋上から飛び出した。階段を一段降りたところで振り返ったけど、仁の姿はそこからは見えなかった。財布の中身を確認してから、駅まで走る。『多分足りる、ぃやギリ足りひん?でも、キョンに借りればいい。』
    多分、タクシーが一番早い。学校近くの駅に止まっていたタクシーに飛び乗り、行き先を告げる。
    気が気じゃなかった。何があってん?聞きたい、でも恐い…。他の猫にいじめられたとか?慣れへん場所ではしゃいで怪我したとか?迷子になったとか?
    なぁチビクロ、お願いやから無事でいて。いなくならんとって。

    2006-03-05 01:39:00
  • 236:

    せぇ

    名無しさん、見てくれてありがとうございます。うれしいです?更新遅れてしまい本間に申し訳ないです。今日こそがんばってなるべくたくさん更新しますね??

    2006-03-05 01:42:00
  • 237:

    せぇ

    そこから後はよく覚えていない。気が付いたらキョンの家の近くに着いて、タクシーの代金をたいして見もせず、財布の中にあったお札を全て投げるように渡した。多分足りたんだろう、無愛想で態度の悪い客に腹を立てたのか、おつりも渡さず、タクシーは走りさっていった。

    2006-03-05 01:46:00
  • 238:

    せぇ

    いざ家の前に着くと、やっぱり恐くて、足がすくんだ。深呼吸して、インターホンを鳴らす。
    −ピンポーン

    日はすっかり落ちて、すごく寒かった。飲み込まれそうな暗闇に、キョンの家のやさしい明かりが漏れる。

    2006-03-05 01:50:00
  • 239:

    せぇ

    ガチャガチャ
    鍵を開ける音と共に、キョンがちょこんとドアから顔を覗かせた。『おそいねん!はよあがって!』深刻そうなキョンの声に、ますます不安になる。あたしは急いで、だけど音をたてないようにそっと、玄関に足を踏み入れた。

    2006-03-05 01:56:00
  • 240:

    せぇ

    『おじゃましまーす…。なぁキョン、チビクロは?』
    あたしがしゃべった瞬間、ダダダダダッと音がした。
    それは、本間に一瞬の出来事。

    2006-03-05 01:59:00
  • 241:

    みみ

    この小説が一番好きやな〜

    2006-03-05 02:33:00
  • 242:

    せぇ

    そんなこといってもらえて、ホントに光栄です。ありがとうございます。がんばります!

    2006-03-05 12:01:00
  • 243:

    せぇ

    『痛い、痛い痛い、痛いって!』紺のハイソをはいた足を踏み台にして、制服のスカートに飛び掛かる。ブレザーに爪を立ててあっという間に肩にあがった。思わずそのまま尻餅を着く。それにも動じず、『な、ナ』と鳴きながら鼻をあたしの頬に、痛いほどにこすりつける。
    『チビクロ−…。』

    2006-03-05 12:08:00
  • 244:

    せぇ

    ほら、またあたしは泣きそうになる。
    うれしくて−

    なぁチビクロ、
    やっぱり、
    あんたはあたしの、

    衝動−。

    あんたがいれば、
    なんだって出来る。

    きっと空だって飛べて
    あんたに、
    会いにいけそうな気さえするよ…。

    2006-03-05 12:14:00
  • 245:

    せぇ

    キョンは壁にもたれ掛かって腕を組み、あたし達をやさしく見下ろしながら口を開いた。『何やねん、あんたら…笑』キョンの説明はこうだった。昨日、あたしが帰って少したった頃、チビクロは多分、あたしがいないことに気付いた。追いかけっこを辞めて、あたしを探して、家中をうろうろしだした。その間、ヤマトに何度ちょっかいを出されても完璧無視だったらしい。どの部屋にもあたしがいないことがわかると『なー、ナー』と、今度は子猫とは思えない大きな声で鳴き始めたらしい。

    2006-03-07 14:16:00
  • 246:

    せぇ

    いつか鳴き止むだろうと思って初めは無視してたけど、いつまでたっても鳴き止まない。それどころか、他の猫もチビクロの声に反応してか、朝になるころには大騒ぎだったらしい。『だんだん「ナー」って声が「せぇちゃん」って呼んでるみたいに聞こえてきた…笑』笑いながらそう言うキョンの目の下には、しっかりとクマが出来ていた。それで今日キョン学校来てなかってんや…。

    2006-03-07 14:22:00
  • 247:

    名無しさん

    2006-03-08 00:21:00
  • 248:

    せぇ

    『そうやってんや…。迷惑かけてごめんな。本間にありがとう。あっ、キョンママとキョンパパにもあやまってくる!』キョンが寝れへんかった、ってことは、きっとみんな寝れなかったはずだ。あたしは申し訳ない気持ちでいっぱいになって、思わずチビクロを足元に下ろして立ち上がった。『キョンママら、リビングにおるん?』キョンの返事を待たず、あたしはリビングに続くドアに歩いて近寄ろうとした。
    …またその瞬間、あたしは足がもつれて転びそうになる。

    2006-03-08 01:01:00
  • 249:

    せぇ

    前にのめり掛かった体を、壁に手をついてなんとか立て直した。足元にはチビクロの姿。どうやら、抱っこを辞めたのが不服だった様子。あたしの両足の間を八の字にすりぬけて、甘えてくる。元々淋しがりなのは知っていたけど、ここまで甘えられたことは今までなかった。そんなにさみしかったんやと、今度は切なくなってくる。
    あたしの一喜一憂全てが、チビクロにつながってる。

    2006-03-08 01:07:00
  • 250:

    せぇ

    もう一度、玄関に座り込んだまま、お腹から胸元にかけてチビクロを抱き抱える。かわいいとか、そんなんじゃない。『愛しい』この言葉がぴったりやった。思わずギュッと抱き締める。知らないうちに力を入れすぎてたみたいで、チビクロの苦しそうな声がして、あわてて離した。チビクロは真っすぐあたしを見上げる。

    2006-03-08 01:12:00
  • 251:

    せぇ

    暗闇に溶けるような、混じり毛のない、黒猫。その体よりももっと深く、濃い黒色の目は、真ん丸で、大きくて、そしてじっとあたしの目を見つめる。
    吸い込まれそうだと、思った。

    2006-03-08 01:16:00
  • 252:

    名無しさん

    ここの小説、おもしろいけどホストとか、色恋ばっかやから、こういう話新鮮で好きやぁ−。がんばって完結させてね!

    2006-03-08 14:05:00
  • 253:

    せぇ

    名無しさんありがとうございます。少しですがこれから更新します?

    2006-03-08 15:06:00
  • 254:

    名無しさん

    めちァ大好き?(?皿★o))がんばれ(・?-。?    応援∪てるカラ(?・艸-)?

    2006-03-08 17:08:00
  • 255:

    さくら

    猫好きにはたまりませんね?最後は悲しいと思うけど頑張って書いてくださぃ?もぅ何回も涙が流れました?

    2006-03-08 19:35:00
  • 256:

    ぁぃり

    私も猫飼ってます!せぃちゃんと一緒でまだ目もあいてなぃ時から育ててたんで今でもとても愛しぃし大切な家族です。ちなみにぅちの子の子猫の時の鳴き声は、チィーでした☆最後まで頑張って書いてくださいね!楽しみにしてます☆

    2006-03-09 03:28:00
  • 257:

    せぇ

    更新するとか言っておいて出来ずじまいで申し訳ないです??また時間があるとき一気に更新するんで、よかったらもう少し待っといて下さい??
    たくさんの応援、感想すごくうれしいです。本当にありがとうございます。

    2006-03-09 10:57:00
  • 258:

    コアラ

    めちゃこの小説好き?? 頑張ってくだサィ???

    2006-03-09 17:09:00
  • 259:

    せぇ

    キョンとキョン家族、それから猫達に何度もお礼を言ってから、あたし達は家に帰った。部屋に戻ると、いつもの匂いと風景に安心したのか、チビクロはやっと昨日の分と今日の分、大量のミルクを飲んだ。それから、お腹が膨らみ過ぎて思うように動けないのか、あたしの膝にのることを諦め、ベットのすぐ下で丸くなって眠った。

    2006-03-09 21:10:00
  • 260:

    せぇ

    ベットに座り込んで、足元で眠るチビクロを眺めながら、あたしは、明日からのことを考えていた。だけど、何度も考えてきたからわかる。解決策は−…。もう何もない。

    2006-03-10 11:31:00
  • 261:

    せぇ

    なぁチビクロ、
    あたしな。
    自分のこと以外で
    こんなに悩んだこと
    今までなかったよ。

    だけど、全然嫌なことじゃないねんな。
    自分より大切なものが出来ることって
    すごい、こんなにも
    心地いい気分なんや。

    ねぇチビクロ…−

    色んなこと教えてもらった
    あんたを失った季節が
    もうすぐまた来るよ。

    2006-03-10 11:43:00
  • 262:

    せぇ

    前にも言ったように、あたしにとって『家族』だと呼べる人は、ずっとママだけだった。小学校入学くらい、物心がついた時には、レトルト食品や店屋物、それと一枚のメモ用紙だけが、あたしを待っていた。基本的にママは料理ってものをしない。多分、時間がないからか、下手だからか。
    だからあたしはあまり『おふくろの味』ってやつを知らない。だけど『チンして食べてな』そう書かれたメモ用紙の隅には、必ず、『今日は何があった?』と一言添えられてた。時間帯が合わなくて、幼かったあたしはいつもママの帰りを待てず、気付くと眠ってしまってた。(てかほとんど毎日)だけどどこで寝ても、必ず朝起きるとあたしの上には毛布がかかってる。そして、それは今でも変わってない。毎日、仕事から帰ると、あたしの寝顔を見てるんやと、幼心にうれしく思ったのは、今でも覚えてる。

    2006-03-14 02:11:00
  • 263:

    せぇ

    愛情の与え方なんて人それぞれやと思う。今になってやっとわかる。あたしが、ママに、どれだけ愛されてきたか−…。

    だけどやっぱり、それに気付けれへんかった時もあって。あたしはそれなりに、『不良』だと呼ばれることをしてた。

    2006-03-14 02:16:00
  • 264:

    みき

    せぇちゃんこの話はホンマに泣けるわぁ?うちの家にも猫が六匹いててそのうち一匹が黒猫やねん?うちのとこは全員元気やけど?思い出したらつらいと思うけど最後まで読むんで頑張って完結さしてね?

    2006-03-17 05:46:00
  • 265:

    せぇ

    みきさん
    うれしいです。ありがとうございます?

    この間から更新しようとするとNGワードがあるみたいで、なかなか更新出来ずにいます。詳しく書きたかったんやけど無理みたいなんで、一部省略します?

    2006-03-18 01:02:00
  • 266:

    名無しさん

    2006-03-18 01:04:00
  • 267:

    せぇ

    中学に入り、化粧をし始めた頃。夜、家に一人でいるのがどうしても嫌で、あたしは地元の先輩達と毎日のように出歩いていた。そして、流されるまま、人に軽々しく言えないような、色んなことをした。毎日街に出ていると、自然と友達も増える。番号を交換しても、一度も連絡をとらないような、そんな友達ばかりやったけど。

    2006-03-18 01:11:00
  • 268:

    せぇ

    ある日とうとう先輩達を始めとする私たちグループは警察に捕まった。窃盗罪、恐喝罪、違法薬物取り扱いなど、いくつもあった気がするけど、詳しくは知らない、覚えていない。だって『反省』なんて言葉を考えてもいなかったから。『なんでよりにもよってぅちらが捕まらなあかんの?みんなやってるわ…。』あの時、頭の中はそんなことばっかりやった。

    2006-03-18 01:18:00
  • 269:

    せぇ

    あたしは一番年が幼かったこともあり、めちゃめちゃ長い話しを延々と聞かされただけで、その日は家に帰れることになった。
    そして、やっと小さな牢屋みたいな部屋を出て、階段を上がった瞬間…
    そこには、目に涙をいっぱいためたママがいてた。

    2006-03-18 01:24:00
  • 270:

    せぇ

    あたしは何故か、自分一人だけ帰れることに恥ずかしさを感じてた。なんだか、あたしだけ仲間外れされて、みんなに友達だと認めてもらえなくなるんじゃないかとか、そういう不安にかられた。だから、ママが迎えにきてくれても、うれしくなんかなかったし、むしろ、『なんで来るの?』そう思った。

    2006-03-18 10:09:00
  • 271:

    名無しさん

    アゲ?

    2006-03-20 00:08:00
  • 272:

    みみ

    あげ

    2006-03-20 01:39:00
  • 273:

    名無しさん

    更新待ってます。あげ

    2006-03-20 12:23:00
  • 274:

    名無しさん

    なくなったと思ってバリ探したし?

    2006-04-02 05:47:00
  • 275:

    せぇ

    ↑笑、ありがとう?是非ともブックマークしといて下さい??

    2006-04-02 08:52:00
  • 276:

    せぇ

    あたしが何の前科もつけず、罰も受けずに、あの日帰れた理由は、先輩が言った言葉にあった。『あんな子、仲間やない、勝手に着いてきたパシリやで』
    本当だったのかもしれない。だけど、あたしを帰すための嘘かも知れない。だけど、恐かったあの人が、『昔のあたしに似てる』そういってあたしにだけ見せる笑顔を思い出すたび、後者やったらいいなと思う。

    2006-04-02 09:03:00
  • 277:

    せぇ

    だけど、あの頃は、案の定の『仲間外れ』宣言に、くやしさから爆発した怒りはママに向かった。泣き喚いて家をめちゃくちゃにした。ママの大事にしていた手鏡も割った。やけどママは、迎えに来てくれたときの涙以外には泣かなかったし、一言も怒らなかったし、顔色すら変えなかった。

    2006-04-02 09:12:00
  • 278:

    名無しさん

    おもしろい?

    2006-04-03 04:42:00
  • 279:

    せぇ

    あの手鏡は、ママのお母さん、つまりおばあちゃんの形見やった。


    チビクロのことを考えながら、あのママの涙を思い出した。『見返りを求めない愛』ってやつが、ほんの少しだけわかった気がした。

    2006-04-03 16:31:00
  • 280:

    せぇ

    なぁチビクロ。
    あの年、あたしに春は来なかった。
    あんたが、いーひんから。
    ねぇチビクロ…
    何度季節がめぐっても
    あたしはここにいるから
    ずっと待ってるから

    2006-04-03 16:34:00
  • 281:

    せぇ

    PPP…
    いつも通り、携帯に仕掛けたアラームが鳴る。結局答えはでないまま、あたしは朝を向かえた。
    ほとんど癖みたいなもんで、あたしは部屋を出て顔を洗う。ぱっと顔を上げて、鏡にうつった自分の顔をじっと見つめる。『…とりあえず。』−口に出すとなんとなく決心が付くのはなんでだろう。『…チビクロの側におろう。』

    2006-04-03 16:44:00
  • 282:

    せぇ

    キョンとは、小学校の時からの親友やった。ママが家に居てない時、よくキョンはあたしの家に来てくれてた。中学にあがり、無茶ばかりやってたあたしを、キョンはずっと普通にさせようとしてくれてた。警察に捕まったあの日も、家に帰って、暴れてたあたしを落ち着かせてくれたのはキョンやった。『何してんのッ!?』相変わらずのでかい声で、家に飛び込んできたキョンは、暴れてるあたしの頬を叩いた。−痛かった。

    2006-04-04 12:06:00
  • 283:

    みか

    主さん前にサルビアって小説も書いてませんでしたか? 違ってたらゴメンなさい? 文章上手いし書き方が似てたので。

    2006-04-06 03:14:00
  • 284:

    みみ

    頑張って書いてくださいね!!

    2006-04-06 03:23:00
  • 285:

    せぇ

    サルビアですか?書いてないですよー!あんな感動する小説書いてる作者さんと間違われるのは光栄です?みなさん、読んでくださってありがとうございます。なかなか更新できませんがかならず完結するつもりなので長い目で見守ってて下さい?

    2006-04-06 11:25:00
  • 286:

    名無しさん

    2006-04-06 11:28:00
  • 287:

    みか

    違うんや〜 猫好きなんでこの小説メッチャ面白いです? 頑張って下さいね?

    2006-04-07 03:12:00
  • 288:

    クレハ

    ぁげ?っ??リァルタィムで一気に読みましたぁ??めちゃめちゃィィ小説ですねっ??次の更新を楽しみにしてぃますっ?完結まで大変ですが頑張って?さぃ?????

    2006-04-07 06:01:00
  • 289:

    名無しさん

    めっちゃ泣けてくる…

    2006-04-07 06:44:00
  • 290:

    せぇ

    みなさんありがとうございます。本当にうれしいです。これから少しだけですが更新します。

    2006-04-07 10:11:00
  • 291:

    せぇ

    黙りこんだあたしに、キョンは続けた。『ビンゴやろ。でもあんた単位やばいんちゃうん?』確かに単位はやばかった気がする。相変わらず何も言わないあたしに、キョンは相変わらず続ける。『またビンゴやろ。どうするかなー。…ぅちはあんたと一緒に卒業したいからな。』

    2006-04-07 10:18:00
  • 292:

    せぇ

    (あたしもやで。)
    思わず口からでそうになる言葉をあたしは思わず飲み込んだ。何となく、キョンには素直になれへん自分がいる。何でも知られてる分、照れ臭くて。あたしはきっと、自分が思っている以上に、キョンが大切なんやと思う。
    いつも、暗闇の中からあたしを助けてくれてたのは、キョンやったから。キョンにたたかれた、あの日も。

    2006-04-07 10:25:00
  • 293:

    せぇ

    その時、気配や物音に完璧に目が覚めたのか、チビクロがあたしの足元に擦り寄ってきた。『まぁ、なんし今日は休むわ!先生にうまいこと言っといてや!』キョンの返事を待たずに、じゃぁねと言って電話を切った。
    あたしの姿を確かめるように、じっとあたしを見上げるチビクロを抱き上げる。昨日あれだけ膨らんでいたお腹も、今では普通になっていて、あたしはとりあえずトイレをさせてからミルクの用意をした。

    2006-04-07 10:39:00
  • 294:

    せぇ

    ミルクをあげながら、『今日はずっと一緒やで』とつぶやく。チビクロは、何の反応も示さなかったけど、なんとなくあたしには、笑ったように見えた。

    2006-04-07 10:42:00
  • 295:

    せぇ

    その日は一日、特に何もなく、部屋からすらもほとんど出ずに二人きりで過ごした。
    先端に偽物のねずみを付けた釣り竿みたいなおもちゃで、チビクロは簡単に吊れる。指で机をコンコンとたたけば机めがけて突進してくる。中でも、一番かわいい遊びがあった。それはチビクロに気付かない振りして『チビクロー?どこー?』と名前を呼び続けること。はじめは無視してるチビクロも不安になったのか、だんだんあたしに近づいてくる。それでもうまく気付かない振りして名前を呼び続ける。どうやっても気付いてくれないとわかると、チビクロは必ず『ナ、ナ』って鳴いた。心細そうなその声が、『ここにおるよ?』って言ってるみたいで、すごく愛しかった。

    2006-04-07 10:58:00
  • 296:

    せぇ

    遊び疲れてウトウトするチビクロの隣で、あたしも座り込んで雑誌を読む。子猫っていうのは本間によく眠る。スヤスヤ眠るチビクロ寝顔を見るのは、あたしの幸せやった。

    2006-04-07 11:09:00
  • 297:

    せぇ

    なぁチビクロ
    出会わなかったらよかった。

    もう二度と目覚めることのない
    あんたの寝顔を見ながら
    これがあの時のあたしの本音やった。

    だって
    一度手に入れた幸せを
    手放すのは辛すぎる。
    もう二度と手に入らない
    夢を見るのは切なすぎる。

    なぁチビクロ
    それでもやっぱり
    あんたに出会えてよかった

    本間に本間に
    すごくすごく幸せな
    あたしの日常やったよ。

    2006-04-07 11:27:00
  • 298:

    せぇ





    2006-04-07 15:34:00
  • 299:

    せぇ

    雑誌を読むのをやめて、あたしはチビクロを膝に抱いた。ふわふわのやわらかい毛をやさしく撫でる。チビクロは手足を伸ばして、背伸びとあくびをしながらまた丸くなって眠った。チビクロといると、時間がゆっくり流れるのは、きっと気のせいじゃない。キョンよりチビクロをとるわけじゃないけど、この子のためなら留年くらいどうってことないな、と思った。

    2006-04-07 15:40:00
  • 300:

    せぇ

    少し開いた窓から冷たい風が入ってくる。同時に小さくブルッとふるえたチビクロを見て、あたしは窓を閉めるために立ち上がった。
    冬の匂い、ひらひらゆれるカーテン。風は冷たかったけど、陽はあたたかかった。

    2006-04-09 00:04:00
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