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3Ldkの城・?

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  • 1:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ?は、↓です。
    http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1132987687/-5

    2005-12-19 14:05:00
  • 251:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    黙ったままの千草に、花は背を向けて‥キッチンへと歩いていく。
    千草は、コンロに火をつける彼女をジッと眺めていた。
    「先、ご飯食べいよ。温めるだけやから」
    いつも通りに振る舞う姿。
    千草の顔は険しく化していく。

    2006-01-06 12:34:00
  • 252:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    なんで‥そんなにスッキリした顔なん?
    “‥陽平は残業?”とか、アイツの帰りを待ってたかのような言葉。
    俺のこと、全然見てくれてない。
    いつも‥陽平ばっか。

    2006-01-06 12:39:00
  • 253:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、落としていた視点をゆっくりと上げていく。
    そして靴を脱ぎ、キッチンへと向かう。
    淡いピンク色のジャージに、長い髪をまとめ上げた‥お団子頭。
    淡々と夕食を作る後ろ姿を、静かに眺めた。

    2006-01-06 12:44:00
  • 254:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「‥キスしよ」
    千草は、背後から静かに囁いた。
    ‥カタン。
    動揺を表すかのように、物音をたてる彼女。
    彼は、振り返らない背中へと近づいていく。

    2006-01-06 12:47:00
  • 255:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「花‥」
    彼女の体を、後ろから抱きしめる。優しく‥そして強く。
    静まり返った空間には、コンロと換気扇の音だけが響いている。
    花は、肩を震わせて‥うつむいた。
    「‥ごめん」

    2006-01-06 12:52:00
  • 256:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    苦しげにつぶやく言葉が、胸に突き刺さる。
    千草は、彼女の髪の毛に顔を埋めた。そして、彼女を抱く腕に力を込める。
    「俺のこと‥見てや」
    風呂上がりの彼女から薫る‥清楚な匂いが、悲しさを増していく。
    「‥ごめ‥」

    2006-01-06 12:59:00
  • 257:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    唇を噛みしめるかのように、息と共に流れていく‥答え。
    千草は、瞳をまぶたで隠し‥眉間を寄せた。
    「‥そんなに陽平がいい?」
    小さな声で問いかける。

    2006-01-06 13:03:00
  • 258:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    こうやって‥彼女の体を抱きしめることが出来ても、心までは手が届かない。
    千草は、行き止まる自分を悔やんだ。
    花は、少し間を置いて‥口を開けた。
    「‥うん」
    ハッキリと告げられた気持ち。

    2006-01-06 13:07:00
  • 259:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    千草は、そっと目を開ける。
    茶碗を持つ手は‥震えていた。
    彼は、腕の力を緩めていく。
    そして、何も言わず‥彼女から離れた。

    2006-01-06 13:10:00
  • 260:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    素早く洗面所へと向かい、勢いよく水で顔を洗う彼。瞳からこぼれる想いを‥洗い流すかのように。
    そして、タオルで水滴を取り‥鏡を見つめる。
    ‥赤く染まった瞳や鼻は、彼女への気持ちが本気だったことを表していた。
    千草は、深く呼吸を整える。
    そして、再度キッチンへと向かった。

    2006-01-06 13:18:00
  • 261:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    彼はガタンと椅子に腰掛け、彼女を見上げた。
    背を向けたままの彼女を眺めると、顔を見なくても‥表情が目に浮かんでくる。
    「飯、まだぁ?」
    何もなかったかのように、千草は平然と声をかけた。
    花は、黙ったまま‥動かない。

    2006-01-06 13:22:00
  • 262:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    小刻みに震える彼女に、喉は苦しくなる。
    千草は、彼女から目を逸らし‥唇を噛んだ。
    「腹‥減ったし」
    ひじをつき、頬に手を当てる。
    「ごめんっ」

    2006-01-06 13:27:00
  • 263:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    目を手の甲で擦り、彼女は急いで用意をした。
    恐る恐る‥前に出された手料理を、千草は黙々と口に含んでいく。
    「‥うまい」
    千草は、彼女に微笑んだ。
    彼女の出した答えを、飲み込むかのように。

    2006-01-06 13:35:00
  • 264:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    その優しい笑顔を前に、凍っていた彼女の表情は‥柔らかく解れていく。
    花は、最後まで甘えさせてくれる彼に‥胸を痛めていた。
    届かぬ想いは、無理やり作る表情と共に溶かしていく。
    千草は、彼女から身を引くことを決意した。

    2006-01-06 13:41:00
  • 265:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【つづく】

    2006-01-06 13:42:00
  • 266:

    名無しさん

    2006-01-06 13:46:00
  • 267:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    270サン、ありがとう。今日は、出来る限り更新しますね。ミナサンが優しく待っててくれたので、感謝の気持ちを込めてφ(..)

    2006-01-06 14:57:00
  • 268:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥あの夜、千草は優柔不断なあたしに笑いかけてくれた。
    ミモザの花のような‥優しい表情をくれた彼。
    彼をふったことを後悔しない為にも、あたしは素直にならなあかん。
    あたしは、千草の優しさに誓った。
    自分の本音と向き合うことを。

    2006-01-06 15:08:00
  • 269:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「俺、ツレと遊んでくるわ」
    休日の午後、千草はリビングから離れていく。
    コタツに身を暖める2人は、彼を黙って見送った。
    あの日以来、3人でいると‥千草は絶対離れていく。
    きっと、気を遣ってくれている。

    2006-01-06 15:13:00
  • 270:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、千草の行動を切ない瞳で眺めていた。
    「俺、掃除しよ」
    スクッと立ち上がる陽平。
    花は、自分の部屋へと向かう彼をみた。

    2006-01-06 15:16:00
  • 271:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    あのキス以来、陽平は2人になることを避けている。
    千草の気遣いで2人になる度、彼は何かと離れていこうとする。
    1人になり、花はため息をついた。

    2006-01-06 15:19:00
  • 272:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ‥何を考えてるんか解らへん。
    彼女は、意を決し‥彼の部屋へと足を運ぶ。
    そして、ゴクリとツバを飲み‥ドアに手を伸ばした。

    2006-01-06 15:27:00
  • 273:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ドアを開けると、目に映ったのは‥腰を下ろした彼の横顔。
    「‥何?」
    彼は、こちらを見ずに‥問いかけてくる。
    本棚を整理する手が止まらないことに、花は戸惑った。
    ‥どう切り出せばいいか‥わからない。

    2006-01-06 15:31:00
  • 274:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    本を置く音だけが、2人の耳に流れていく。
    花は、開きかけた唇を閉じて‥うつむいた。
    陽平は、淡々と作業を進めている。
    彼から滲み出る‥その空気は、彼女の言葉を封じるかのように壁を作っていた。

    2006-01-06 15:38:00
  • 275:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    どう切り出せばいいのか‥わからない。
    花は、勇気を出して‥彼をみた。

    「‥き」

    2006-01-06 15:43:00
  • 276:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    掠れた言葉が、静かな部屋に落ちていく。
    本を持つ手が、ピタリと止まる。
    彼が初めて見せる自分への反応に、花は胸を熱くした。
    「‥陽平のことが‥‥好き」
    ずっと‥ずっと言えずにいた言葉。

    2006-01-06 15:49:00
  • 277:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    陽平は、ずっと言わせてくれへんかった。
    ‥ううん、違う。
    あたしが、言おうとせぇへんかったんや。
    関係が崩れることを恐れて、前に踏み込めずにいたから。

    2006-01-06 15:54:00
  • 278:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    でも、もう‥無理。
    自分を守る為の我慢も、自分を苦しめているものってことに‥気づいたから。
    ‥伝えたかった。
    ずっと‥言いたかった。

    2006-01-06 15:56:00
  • 279:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、真っ直ぐ彼を見つめた。
    すると、陽平はジュウタンの上に本を置く。
    そして、花を見上げた。

    2006-01-06 15:58:00
  • 280:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    ふたつの視線が‥ゆっくりと合わさっていく。
    張り裂けそうな胸。
    花は、彼への視線に想いを込めた。

    だが、彼の自分を見つめる瞳は‥冷たい氷のようだった。

    2006-01-06 16:03:00
  • 281:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE


    「キスされて、その気になった?」

    笑い声と共に‥言い放たれた台詞。
    陽平は、彼女を馬鹿にするかのような目で見上げた。

    2006-01-06 16:06:00
  • 282:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    黒目を浮かせた‥その白い瞳に、花の表情は曇りを見せていく。
    陽平は、再度手を動かし‥本を取った。
    「悪いけど、あれに意味はないから。‥気持ちなんかない」
    本棚に手をつき、彼女を傷つけていく。

    2006-01-06 16:17:00
  • 283:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「からかっただけ」
    立ち尽くす花を‥再度見上げて、彼は乾いた笑顔を見せた。
    彼女は、彼を見下ろし‥口を開いたまま。
    「てか、寒いから閉めてくれへん?ドア」

    2006-01-06 16:21:00
  • 284:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    冷めきった顔で、彼女を突き放す彼。
    花は、開いた口を閉じ‥部屋から出ていった。
    何も言わずドアを閉め、自分の部屋へと歩いていく。
    彼女は電気もつけずに、ドア際でしゃがみ込んだ。
    真っ暗な冷たい空間に、絶望感が広がっていく。

    2006-01-06 16:29:00
  • 285:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    花は、声を潜めて‥ヒザを濡らした。

    一方、陽平は本棚を見つめたまま‥肩を落としていた。
    そして、閉められたドアを見つめ‥表情を歪めていく。
    【つづく】

    2006-01-06 16:32:00
  • 286:

    りな

    早く,花と陽平くっついてほしいよぉ〜(>_

    2006-01-06 19:23:00
  • 287:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    リナサン(o^^o)イツモありがとう☆☆

    2006-01-07 03:55:00
  • 288:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    窓から差し込む陽射しを、カーテンで覆い被せる。
    陽平は、襟元に通したネクタイを‥慣れた手つきで結いで、鏡の前に立った。
    そして、スーツを手にしながら‥自分を見る。
    枠を通して映す幻影は、目の前にいる男が傷つけた彼女の姿。
    罪悪感が、袖を通す腕を静かに止めた。

    2006-01-07 04:15:00
  • 289:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    身勝手な自分に‥後悔の雨が降り注ぐ。
    だが、胸に秘めた決意を思い出し、鏡から目を背けた。
    今、恋愛なんかしてる暇はない。
    守らなければならない‥大切な存在が、乱れた思考を整えていく。
    陽平は、ネクタイを軽く締め直し‥部屋を出た。

    2006-01-07 04:23:00
  • 290:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    リビングへ足を踏み込むと、そこには‥いつもと同じ光景が流れていた。
    テレビを眺めながら、パンを頬張る千草。そして‥
    「おはよっ」
    せわしなく動き回る花が、明るく自分に微笑んでくる。
    陽平は、屈託のない‥その笑みに戸惑った。

    2006-01-07 04:31:00
  • 291:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 292:

    名無しさん

    長い

    2006-01-07 06:14:00
  • 293:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 294:

    名無しさん

    2006-01-07 06:51:00
  • 295:

    ハナ

    頑張ってくださぃ☆彡  1のときから密かに見てました(o^o^o)毎日更新楽しみにしてますッ♪

    2006-01-07 09:41:00
  • 296:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    名無しさん、書くのやめてください。

    2006-01-07 10:21:00
  • 297:

    名無しさん

    2006-01-07 11:01:00
  • 298:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    【読者の皆様へ】
    295と297は違う方です。申し訳ないのですが、落ち着くまでトリップを気にしながら読んで下さい。

    2006-01-07 11:11:00
  • 299:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「ちょっ、占い始まるから“目覚まし”かけてよぉ」
    懐かしのアニメ番組にかじりつく千草に、彼女は足踏みをしながら‥歯を磨く。
    昨日の出来事などなかったかのような‥変わらぬ光景を目にし、陽平は自分の記憶を疑った。
    酷な台詞を並べ、わざと‥彼女を傷つけたはずなのに。
    目の前で動く彼女は、軽快な表情で朝を過ごしている。

    2006-01-07 11:13:00
  • 300:

    芽衣 ◆rd1jJ3btsE

    「今日寝坊したから、パンで許してな」
    唖然と立ち尽くす陽平に、花はパンを入れ平らなカゴを指差した。
    「‥あ、うん」
    彼は、彼女のペースに流されるまま‥動いていく。
    そのぎこちない態度を、千草はパンをかじりながら眺めていた。

    2006-01-07 11:20:00
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