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1:
◆5EJ71eKlNQ
許せない人がいる。
幼かった私の平穏な日々な日々を壊したあいつが…
15年経った今でも憎い。2006-06-10 13:45:00 -
251:
◆5EJ71eKlNQ
なんとか優愛を育てたかった…ただそれだけだった。
頼れる人など居なかった。
お客さんに応じて本番もした。お金がたくさん貰えた。そのお金で優愛と暮らせてる事を情けなく思った。2006-06-22 15:47:00 -
252:
◆5EJ71eKlNQ
『なんで私だけ…』
わずか17歳の私はひたすら憎んだ。2006-06-22 15:48:00 -
253:
◆5EJ71eKlNQ
優愛の父親を、日岡の両親を、浅岡の両親を、姉を…
憎んだ。
憎む事でどうにかやり切れた。2006-06-22 15:49:00 -
254:
◆5EJ71eKlNQ
同じ店で働くルイと仲良くなった。ルイもまた、19歳でシングルマザーだった。
ルイは子供を実家に預けて昼はショップ店員、夜は風俗嬢をしていた。2006-06-22 15:53:00 -
255:
◆5EJ71eKlNQ
ルイはよく泣いていた。
「めめチャン。ルイはねぇ、絶対今年中にヒナ(子供)を連れて帰るの。だからそれまで何があっても絶対頑張るょ…でもねぇ、疲れちゃうよねぇ。」
こんな風に言ってまた泣いた。2006-06-22 16:21:00 -
256:
◆5EJ71eKlNQ
ルイはよく私の名前を間違えた。
「ゆっちゃん」
「めぐやけど?」2006-06-22 16:23:00 -
257:
◆5EJ71eKlNQ
「あ〜ゴメン。めめチャン!あんねぇ、めめはゆっチャンにそっくりやねん」
「ゆっちゃんって?」
「昼の仕事仲間でねぇ、ルイの大好きな子。愛想なくて笑わないとこと、たまに笑ったらめっちゃ可愛いとこが似てるねんっ」2006-06-22 16:26:00 -
258:
◆5EJ71eKlNQ
そう言うとルイはプリクラを私に見せた。
2006-06-22 16:27:00 -
259:
◆5EJ71eKlNQ
「めっちゃ可愛いやろぉ!浅岡優菜チャンってゆうの」
『浅岡優菜』
その名前を聞いた瞬間、私の心臓がひどく揺れた。2006-06-22 16:30:00 -
260:
◆5EJ71eKlNQ
プリクラの中で無愛想に立ってニコリともしない女に目をやった。
これが…私の……姉?
私を捨てた姉…。2006-06-22 16:36:00 -
261:
コアラ
しおリ?
2006-06-22 17:39:00 -
262:
名無しさん
しおり?
2006-06-22 17:46:00 -
264:
名無しさん
全然話が噛み合わないんだけどそう思ってるのは折れだけ?
2006-06-23 02:40:00 -
265:
名無しさん
俺だけと思う。最初からよんでる?
2006-06-23 03:17:00 -
267:
◆5EJ71eKlNQ
皆様書き込みありがとうございます。噛み合わないデスよね(*д*)すみません。
2006-06-23 14:59:00 -
269:
◆5EJ71eKlNQ
あまりに突然の事で私の頭は空っぽになった。
何も考える事さえ出来ず、ただただ心臓だけが強く動いていた―――。
2006-06-23 15:03:00 -
270:
◆5EJ71eKlNQ
世間の狭さに唖然としながら淡々と仕事をした。
常連客の『香山さん』が今日も私を指名してくれた。
この人は指1本私の体に触れない少し変わった人だ。2006-06-23 15:05:00 -
271:
◆5EJ71eKlNQ
「香山さんこんばんわ。いつもありがとう」
彼の隣に腰かけ、ニッコリ笑った。
「めぐなチャンおはよう。今日は話あるねん…」2006-06-23 15:06:00 -
272:
◆5EJ71eKlNQ
「何ぃ?」
語尾を伸ばすのは、普段の私ではない事を確認するため。そうしないと笑顔さえ作れないから…。
「俺…めぐチャン好きやねん」2006-06-23 15:07:00 -
273:
◆5EJ71eKlNQ
「めぐも香山さん大好きですよぉー。優しいし紳士でぇ〜」
「ありがとう。でも俺本間に好きやねん。…付き合って」2006-06-23 15:08:00 -
274:
◆5EJ71eKlNQ
「それはぁ…。めぐ赤ちゃんいてるんですょ。」
私は話した。シングルマザーになった事を。彼は黙って聞いたあと、意外にもこう言った。2006-06-23 15:09:00 -
275:
◆5EJ71eKlNQ
「俺が愛菜チャンも優愛チャンも幸せにするから」
2006-06-23 15:10:00 -
276:
◆5EJ71eKlNQ
ここで私は最低な決断をした。
香山さんと一緒になれば、優愛も幸せで私も風俗を辞めれる。ずっと優愛とおれる…。
彼を使おう。幸せになるために。2006-06-23 15:12:00 -
277:
◆5EJ71eKlNQ
「はぃ。よろしくねぇ」
2006-06-23 15:12:00 -
278:
◆5EJ71eKlNQ
初めて彼に抱かれた。
彼の胸に顔を埋めながら、未来の幸せを思い浮かべた。
『優愛。ママがあなたを守るからね。』2006-06-23 15:14:00 -
279:
◆5EJ71eKlNQ
その日私は店を辞めた。
優愛を連れて香山さんの家へ帰った。
香山さんは会社を経営していて、とても贅沢な暮らしをしていた。2006-06-23 15:16:00 -
280:
◆5EJ71eKlNQ
ひと月も経たない内に籍を入れた。
私は、愛のない幸せを手に入れた。2006-06-23 15:17:00 -
281:
◆5EJ71eKlNQ
半年後―――。
愛菜18歳。優愛1歳。
2006-06-23 15:18:00 -
282:
◆5EJ71eKlNQ
優愛を連れて晩御飯の買い物に出かけた。
着信【ルイ】
2006-06-23 15:19:00 -
283:
◆5EJ71eKlNQ
私はルイからの着信を無視した。
しかしけたたましく鳴る携帯は一向に止む気配がなく、仕方なく出る事にした。
「はい…」2006-06-23 15:20:00 -
284:
◆5EJ71eKlNQ
「めめ〜!久しぶり。元気?今から逢お」
懐かしさもあり、私は家にルイを呼んだ。
2006-06-23 15:21:00 -
285:
◆5EJ71eKlNQ
子供のヒナを連れてやって来たルイは、いきいきしていた。
「ルイねぇ、店辞めたねん。これからは昼職だけでヒナと頑張るの。今日はその報告に来たのー。」2006-06-23 15:24:00 -
286:
◆5EJ71eKlNQ
「良かったね。ヒナチャン。ママを守ってあげてね。」
私がそう言うと、ルイは悲しそうな顔をしながら私に言った。
「前さぁ、ゆっチャンって子の話したこと覚えてる?」2006-06-23 15:40:00 -
287:
◆5EJ71eKlNQ
「あぁ、うん。覚えてるよ…なんで?」
「……わかってるやろ?ゆっちゃんは…めめのお姉ちゃんやねんょ」
「………」2006-06-23 15:41:00 -
288:
◆5EJ71eKlNQ
「ゆっチャンねぇ、本当にめめの事…愛してるねんょ。いつも言ってたょ。私には愛菜ってゆう妹がいるって…」
「………」2006-06-23 15:42:00 -
289:
◆5EJ71eKlNQ
「ルイすぐわかった。めめの事って…。愛菜って名前もやし、何よりふたりはそっくりやねん。声も顔も笑い方も…。こんなに似てる姉妹なんてそういないよ」
「……ルイは何が言いたいの。」2006-06-23 15:45:00 -
290:
◆5EJ71eKlNQ
私は姉の存在を心から消していた。
姉なんて初めから居なかった。
私には…家族なんて優愛だけだから。2006-06-23 15:46:00 -
291:
◆5EJ71eKlNQ
「ゆっちゃんね、3日前から仕事に来ないの。」
「…へぇ。私には関係ないょ。優菜って人の事なんて」
「めめ!!いい加減スナオになりぃや。…血つながった姉やろ?」2006-06-23 15:49:00 -
292:
◆5EJ71eKlNQ
ルイは泣き出した。
そして1枚のメモを私に渡した。
「これゆっチャンの住所やから!優愛チャンはルイが見てるから…行ったげて。。お願い。」2006-06-24 13:10:00 -
293:
◆5EJ71eKlNQ
私は複雑な気持ちで胸がいっぱいになった。
いまさら行って何になるの。
本当に逢ってもいいの…2006-06-24 13:11:00 -
294:
◆5EJ71eKlNQ
とりあえず家を出た。
2006-06-24 13:11:00 -
295:
◆5EJ71eKlNQ
タクシーに乗った。
「ここにお願いします」
運転手にメモを渡し、目を閉じた。2006-06-24 13:12:00 -
296:
◆5EJ71eKlNQ
優愛の顔が浮かんだ。
姉に…優菜に、娘を見せてあげたかった。
そこらじゅう歩いてる仲良さげな姉妹。2006-06-24 13:14:00 -
297:
◆5EJ71eKlNQ
いっぱい笑っていっぱい喧嘩もして…だけど『血』が解決してくれる。
私はそんな姉妹に憧れていた。
今からでもまだ間に合うなら…2006-06-24 13:15:00 -
298:
◆5EJ71eKlNQ
色んな話をしよう。自己紹介はいらない。
…姉妹だから。2006-06-24 13:17:00 -
299:
◆5EJ71eKlNQ
「つきましたよ」
運転手の声。お金を置き、開いた扉から駆け出した。
茶色いコンクリートの大きなマンションが私を緊張させた。2006-06-24 13:19:00 -
300:
◆5EJ71eKlNQ
姉の住む部屋に向かうためエレベーターにのり『7』のボタンを押す。
えらくゆっくり進むエレベーターのおかげで、いくらか動悸も落ち着いた。2006-06-24 13:20:00