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正しいコトをしようか

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  • 1:

    口◆e5fjrax.NA

    例えば、このチョコの中にさ、1個だけ変なモンが混ざってたとするじゃん。

    そしたら、他のヤツは大丈夫かな?って

    誰だって不安になるよね。

    2008-01-20 02:39:00
  • 2:

    口◆e5fjrax.NA


    第一話 大の告白

    2008-01-20 02:42:00
  • 3:

    口◆e5fjrax.NA

    「いつから?…」
    それ以上、円(マドカ)は言葉が浮かばなかった。鼓動が速くなることもなく、妙に心はシーンとしている。
    ただ、耳が尋常じゃなく熱かった。静かに興奮している。
    「いつからだろ。わかんないけど…別にいつからでもいいじゃん。今、こうして女になりたいのは事実なんだから。」
    「…よくないだろー…」
    唇が、脳からの思考停止の信号を受け、古いKトラみたいにプルプル震えた。

    2008-01-20 02:43:00
  • 4:

    口◆e5fjrax.NA

    大(マサル)のまっすぐな瞳が(俺は悪くない。円ならわかるでしょ?)と、自分に訴えてるみたいで、円はそれに気付かないフリをした。
    それでも、双子のせいなのだろうか、空気から大の気持ちが自分の中に入ってくる。
    耐え切れなくなって下を向いていても、大がこっちを見つめているのは気配でわかった。

    2008-01-20 02:44:00
  • 5:

    口◆e5fjrax.NA

    一卵性双子の二人は、小室哲Yが歌謡会に旋風を巻き起こした年に姓を受ける。
    幼い頃は取っ組み合いのケンカもしたものの、年頃になってからは、二人で買い物に行ったり、お互いの彼女、彼氏を連れてダブルデートをしたり、両親が温和な性格の事もあって、結構仲良しな姉弟として生きてきた。

    2008-01-20 02:45:00
  • 6:

    口◆e5fjrax.NA

    円も大には、恋愛相談をしたり、クラブを辞める時の口実を、口ベタな自分の変わりに、徹夜で考えてもらったりと、色々助けてもらっているもんだから、
    「いつか、大が困った時は言ってね」
    なんて…その度に言ってきたけれど…まさかこんなヘビーな内容とは…

    2008-01-20 02:45:00
  • 7:

    口◆e5fjrax.NA

    円は、まだ下を向いている。

    そんな円を見てやれやれと苦笑いした大は、円から目を逸らし、分かり易く外を見ながら話し始めた。

    2008-01-20 02:46:00
  • 8:

    口◆e5fjrax.NA

    「正直、円は気付いてるかなぁとか思ってたけどね。服とか、色使い結構女趣味じゃん俺」
    「…そんなことないよ。…ただオシャレなだけだと思ってた」
    「まぁ…別に今すぐどうこうする気ないけどね。ただ父さん達に言う前に円には言いたかった。色々…これから相談にも乗ってもらいたいじゃん。」

    2008-01-20 02:46:00
  • 9:

    口◆e5fjrax.NA

    「父さん達に言うの!?」
    団地の角部屋は音の響きがいい。換気パイプに響く程の円の大きな声を、大がシーと口の前に一本指を立てて制止した。
    「だって、まだ調べてないから分かんないけど、ホルモンとかも打っていきたいし、最終的には完璧な女になりたいし」

    2008-01-20 02:47:00
  • 10:

    口◆e5fjrax.NA

    「???」
    目を白黒させる円に、大は顔をクシャっとさせて笑った。大は大抵何かを諦めてしまう時、いつもこんな顔をする。自分勝手な平和主義の所がある大は、
    (はいはい、もーいーよ。これで終ろう。)と表情だけで円に伝えてしまうのだ。

    2008-01-20 02:47:00
  • 11:

    口◆e5fjrax.NA

    「まぁまた今度話すよ。父さん達も帰ってくるし、俺、ダマシ達いるからコンビニ行ってくる。」
    「澤田君達は知ってるの?」
    聞いた瞬間に、バカな質問だと口をつぐんだが、
    「知ってる訳ねーじゃん。バーカ。カムったの円が第一号だよ。」
    という大の言葉が、ビックリする位早く戻ってきた。

    2008-01-20 02:48:00
  • 12:

    口◆e5fjrax.NA

    ケロっとしている様に見えても、やはりこれは大にとって、思いつきの告白ではなく、人生を変える第一歩だったようだ。
    動揺している自分を悟られたくないのか、まるでコマ送りの様に、玄関の壁で体を支え自分の靴に足を突っ込むと、靴箱の上の原チャの鍵を手探りで探して、大はさっさとノブに手をかけた。

    2008-01-20 02:49:00
  • 13:

    口◆e5fjrax.NA

    「…あ、ごめん」
    円はこの後に帰ってくる言葉が予想出来た。
    「何が?(笑)」
    それが的中したと同時に、自分は味方だからと伝えたかったものの、瀬戸家のマグネットだらけのドアの間に、大は消えていった。

    2008-01-20 02:50:00
  • 14:

    口◆e5fjrax.NA

    立て付けの悪い玄関のドアがゆっくり閉まり、つーんと鼻の奥で血の味がした。
    いつもの様にベットの中で少し泣いたが、まだ15の円には、それが何の涙か分からなかったが、泣かずにはいられなかった。

    2008-01-20 02:51:00
  • 15:

    口◆e5fjrax.NA

    自分の双子の姉弟が男だけど女になりたくて…それはまだ私しか知らない事で…状況を整理しようとすればする程、円の頭の中はこんがらがっていく。
    特に、今まで見たり聞いたりしてきた大のマセた恋愛遍歴が、女になりたいという事実を、真っ向から否定する。遊んでいただけならまだしも、一年以上続いた子もいたのに…
    さっきは思考停止状態で言葉が続かなかったけど、二時を過ぎる頃には、大に聞きたい事、言いたい事で、私の心は爆発しそうになった。

    2008-01-20 02:54:00
  • 16:

    口◆e5fjrax.NA

    メールをしようか迷ったけれど、そう思うと気持ちが溢れ過ぎて、今度は言葉が選べない。
    色々考えている間にスズメが鳴き始め、ようやく眠りについた。

    大は、今何を考えているのだろう。
    初めてそんなコトを思いながら・・・・

    2008-01-20 02:55:00
  • 17:

    口◆e5fjrax.NA


    第二話 円の苦悩

    2008-01-20 03:53:00
  • 18:

    口◆e5fjrax.NA

    「瀬戸―!瀬戸円ぁ―」
    廊下の向こうから、生活指導の樽谷(たるたに)が歩いて来るのを見つけるやいなや、スカーフのリボン結びを、スカーフリングに押し込む。
    一体、なんの様だろう・・・クラブを引退してからは、まったく無関係なはずなのに・・・

    2008-01-20 03:54:00
  • 19:

    口◆e5fjrax.NA

    「ごめん円、私下駄箱で待ってるね!」
    「・・・裏切り者め」
    お姉ちゃんにしてもらったスカルプの爪を見せて、ゴメン!と口だけ動かすと、亜衣理は韋駄天に階段を駆け下りた。

    2008-01-20 03:54:00
  • 20:

    口◆e5fjrax.NA

    「勉強頑張ってるか?」
    ニキビッ面に、洋ナシの様な体。冬なのに、鼻には汗が溜まっている。
    このツーンとする油っぽい体臭と、コーヒーの混ざった様な臭いには慣れないものの、大してグレてもいない円は、みんな程は樽谷を害虫だとは思わなかった。
    むしろ、他の先生よりも自分達に興味があるのが分かって、卒業して学校に遊びに来るなら、この先生に会いに来ようと思ってさへいた。

    2008-01-20 03:55:00
  • 21:

    口◆e5fjrax.NA

    「まぁまぁ・・・です。」
    「そうか。公立試験終ったら、またクラブに顔出してやってくれ。2年は3人だろ?まとめるのは、まだまだ大変みたいでな。」
    「はい」
    「あーあのなぁ。。。それでその・・・言いにくいんだが・・・昨日、瀬戸大は家にいたか?」
    「!!・・・・・」

    2008-01-20 03:55:00
  • 22:

    口◆e5fjrax.NA

    予想外の質問に、一瞬体が硬直した。
    しかもよりによって大・・・
    なんて答えればいいんだろうか・・・昨日は確かに夕方までは家にいた。
    しかし、カミングアウトをして出て行ったきり、帰ってきていない。
    実際、今日学校に来ているのかさへ分からない。
    そんなおどおどする円を、この道32年の樽谷が見逃すはずもない。

    2008-01-20 03:55:00
  • 23:

    口◆e5fjrax.NA

    「はい」
    自分で言えばいいのにと思いながら、樽谷の大きくて丸い背中を見送ると、円は亜衣理の元に向った。

    2008-01-20 03:57:00
  • 24:

    口◆e5fjrax.NA

    「なんて?樽谷」
    さっきより化粧が濃くなっている。待っている間に塗り足したらしい。
    「別に、大のこと。亜衣理、化粧濃いよ。受験日までに眉毛生やすんじゃなかったの?試験はスッピンじゃなきゃダメでしょ?」
    「なんだぁ大か!最近目立ってるもんね」
    「目立ってるって?」
    靴を取る円の手が止まった。

    2008-01-20 03:57:00
  • 25:

    口◆e5fjrax.NA

    大の交友関係を、こうして周りに教えられるのはよくあることで、彼女が出来ても、本人に聞くより早く、噂で流れてきたりした。
    まじめではないが口数が少なく目立つのが嫌いな円と、要領よくこなし大人しいのに居るだけで目立つ大。

    2008-01-20 03:58:00
  • 26:

    口◆e5fjrax.NA

    一卵性なのに顔もたいして似ていないし、好きな音楽や趣味志向、すべてにおいて共通点などなかった。
    「双子の同一性を調べる番組に出たら、あんた達って大ひんしゅく買うわね、きっと!笑」
    なんて母はよく言っていた。

    2008-01-20 03:58:00
  • 27:

    口◆e5fjrax.NA


    そうよ。だって私は私、大は大。ほかの姉弟と一緒よ。

    2008-01-20 03:58:00
  • 28:

    口◆e5fjrax.NA


    私は私。

    大は大。

    2008-01-20 03:59:00
  • 29:

    口◆e5fjrax.NA

    自分の言葉に、円はハッとする。
    昨日のあの涙は、あの気持ちは、もしかしたら大が他の誰かになっちゃう気がしたから・・・なのかな・・・大は大・・・そんな大が大じゃなくなっちゃうなんて、絶対ヤダよ・・・

    2008-01-20 03:59:00
  • 30:

    口◆e5fjrax.NA

    でも大は大なんだ・・・きっと女になっても大なんだ・・・
    よく分かんないけど・・・多分そうだ・・・

    2008-01-20 04:00:00
  • 31:

    口◆e5fjrax.NA


    とりあえず、大にもう一度ちゃんと謝ろう。
    それで応援するよって伝えよう。


    2008-01-20 04:00:00
  • 32:

    口◆e5fjrax.NA

    塾に向う自転車で、ほっぺたに突き刺さる冷たい風に耐えながら、円は大と一緒に、これから色々なモノと戦う決意をした。

    2008-01-20 04:00:00
  • 33:

    名無しさん

    フィクションですか?

    2008-01-20 04:07:00
  • 34:

    口◆e5fjrax.NA

    フィクションですが、モデルはいます。

    2008-01-20 04:18:00
  • 35:

    名無しさん

    個性的で面白いです?すごい楽しみにしてます?頑張って完結して下さい?

    2008-01-20 16:10:00
  • 36:

    名無しさん

    気になります。楽しみにしてます?

    2008-01-21 00:14:00
  • 37:

    名無しさん

    一卵性で性別や顔の違いってありえなくないですか?

    2008-01-21 01:53:00
  • 38:

    名無しさん

    略やめて

    2008-01-21 02:04:00
  • 39:

    名無しさん

    そもそも男と女の一卵性は有り得ないはず…

    2008-01-21 02:16:00
  • 40:

    コピペしてるだけのパクリやんけ岬二号が

    2008-01-21 02:26:00
  • 41:

    名無しさん

    一卵性双生児でも例外中の例外で男女が生まれてくることあるらしいですよ。顔や性格も違いはあるみたいですよ。この小説見て、あたしもあれ?って思ったんで調べてみました。それにフィクションやてゆうてるんやし、あんま深いことまで考えんようにうちは見るつもり☆主さん頑張ってね

    2008-01-21 02:32:00
  • 42:

    口◆e5fjrax.NA

    38さん〜44さん
    書き込みありがとうございます。
    無知ですいません。言われてホンマやん!変やん!って思いました。
    今から更新します。

    2008-01-21 03:13:00
  • 43:

    口◆e5fjrax.NA

    キー・・・
    「・・・円?大?」
    狭い玄関には家族四人の靴がびっしりで、傘立ての横の三角に開いたスペースに、円は上手に足をはめた。
    「大まだ帰ってないの?」
    「円か、おかえり。あんた直接、塾行くなら晩御飯代あげたのに」

    2008-01-21 03:15:00
  • 44:

    口◆e5fjrax.NA

    「いいよ、食べる時間ないし、夜まで我慢できる。」
    「母さん内職片付けるから、お腹すいてるでしょ?着替えて座んなさい。大もまだだから、カレーこんなに残ってるのよ。」
    「うん、あ、カレーにタマゴ落としてね」
    「タマゴあったかしら・・・」

    2008-01-21 03:16:00
  • 45:

    口◆e5fjrax.NA

    中学しか出ていない母は、
    「学歴は邪魔になんないから」
    とよく言う。水道工事会社に勤める父も、残業を増やしてまで、二人が私学に進学した時の資金繰りをしてくれていた。

    2008-01-21 03:18:00
  • 46:

    口◆e5fjrax.NA

    「大は?」
    「えー?母さんも今おなじコト聞こうと思ってたのに。笑。ちょっと円、メールしてみて?」
    「母さんが自分でしなよー」
    「したけど返ってこないもん。」
    大・・・怒ってるのかな?

    2008-01-21 03:18:00
  • 47:

    口◆e5fjrax.NA

    キーバタン
    「うわ、今日カレーだったの?まだある?」
    「あ、おかえり。大ー!メールくらい返しなさい!」
    「電池なくなったんだよ。あ!母さんタマゴ入れてね、お!円!お前今日さ、学校で樽谷になんか言われた?」

    2008-01-21 03:19:00
  • 48:

    口◆e5fjrax.NA

    台所兼食卓に置かれた、畳一畳ほどのテーブルを挟んで、大は円の前の席に三角座りになって座った。
    「・・・な、何よ?ニヤニヤして」
    「ふふふふ」

    2008-01-21 03:20:00
  • 49:

    口◆e5fjrax.NA

    円の今日は、苦悩で始まり苦悩で終わった。数学の連立方程式なんて、頭に入るはずもない。今日、授業で聞き漏らした分の自習が、これから朝まで続くというのに、当の本人は、目の前で膝にニヤリと笑う口を押し付けて、小刻みに体を震わして笑いながら、大きな黒目でこちらを見ている。

    2008-01-21 03:22:00
  • 50:

    口◆e5fjrax.NA

    「別にー・・・あ、円、後でコンビニとTSUTAYAついてきて!」
    「やだよ、いっつも友達と溜まってるくせに、一人で行け!」
    「いいから-。俺がチャリ前こぐし、LOSTの続きみたくない?」
    「あー母さん見たいー円ぁ行ってあげなさい、大ひとりじゃまたいつ帰ってくるかわかんないから。」

    2008-01-21 03:22:00
  • 51:

    口◆e5fjrax.NA

    思わぬ伏兵。
    目の前で変顔して勝利の余韻に浸る大に、円はタマゴの殻を投げつけた。

    2008-01-21 03:23:00
  • 52:

    口◆e5fjrax.NA

    本当に、どうしてこうも違うのか、血の繋がった双子の弟だとは思えないほど、大はいつもケロッと、円の不安に思うものを飛び越える。今の飄々とした大を見ていると、昨日の告白はドッキリだったんじゃないかとさへ思える。

    2008-01-21 03:24:00
  • 53:

    口◆e5fjrax.NA

    お皿の模様がはっきり分かるほどキレイにカレーを食べきると、ジャージの上にもう一枚着込んで、二人は家を出た。真冬なのに、階段の非常灯には虫がたかっている。
    団地の自転車置き場の街頭は、もう何年も手入れされていないイチョウの木に飲み込まれ、自転車の色は、白黒テレビほどしか見分けがつかなかった。

    2008-01-21 03:24:00
  • 54:

    口◆e5fjrax.NA

    「円、俺前こぐから手袋貸してよ」
    長年のカンで、もう6も愛用している自転車を見つけると、大は思いっきり引っ張り出した。詰め詰めに止められた自転車が、風に吹かれた稲穂のように一斉に右に傾く。

    2008-01-21 03:25:00
  • 55:

    口◆e5fjrax.NA

    「やだよ。自分の持ってくればいいじゃん」
    「円ポケット着いてるだろー」
    「もー。」
    冬の静かな風は、どんな隙間も見逃さない。自転車の後ろで、円はパーカーのジッパーを一番上まで閉めなおした。

    2008-01-21 03:26:00
  • 56:

    口◆e5fjrax.NA

    「痛!」
    「ん?どした?」
    「髪の毛はさんだ・・・うわー結構抜けたー」
    円の髪は、胸の膨らみにかかる程ある。別に伸ばしたい訳ではないのだが、ロングの方が手入れが意外と楽なのだ。

    2008-01-21 03:26:00
  • 57:

    口◆e5fjrax.NA

    「俺ら毛多いからだ大丈夫だろ?あーいいなぁ、俺もロングにしたいなぁー。巻いてさぁ、前髪こんな感じにして」
    右手を離したせいで、自転車が少しグラついた。

    2008-01-21 03:27:00
  • 58:

    口◆e5fjrax.NA

    「大は・・・本当に女になりたいの?」
    顔が見えなから、思ったよりも言い易かった。
    「・・・うん。本当」
    そしてそれは大も同じだ。一番言い易い円に、この気持ちを拒絶されては、女になる夢さへ諦めざるを得ない。円の反応は、これから本当の自分として生きるために、社会から受ける制裁の模範とさへ思えた。

    2008-01-21 03:28:00
  • 59:

    口◆e5fjrax.NA

    「そっか、昨日あれから考えてたんだけど。最初はびっくりしたけど、大は大だし、知らない人になる訳じゃないし、応援するよ・・・だから困ったらなんでも言ってね?」
    言葉が本音な分、思っていたよりも自然に言えた。

    2008-01-21 03:29:00
  • 60:

    口◆e5fjrax.NA


    「・・・・・」
    「・・・・・」

    2008-01-21 03:29:00
  • 61:

    口◆e5fjrax.NA

    大は、ホッとした。同時に涙が出るほど、円の言葉がありがたいことに驚いた。

    2008-01-21 03:30:00
  • 62:

    口◆e5fjrax.NA

    通行人に泣き顔を見せまいと、人気のない路地を通って遠回りする大に、
    「こーいう時に、素直に泣いてるとこ見せる女の方が、かわいいよ」
    とおどけて前を覗き込むと、
    「これは男バージョンの俺の男泣きだから、見んなよ」
    「便利ー!笑」

    2008-01-21 03:31:00
  • 63:

    口◆e5fjrax.NA

    寒空の駅前に二人の笑い声が響いた。

    2008-01-21 03:31:00
  • 64:

    >>44主やろ盗作死ね

    2008-01-21 11:53:00
  • 65:

    名無しさん

    >>69
    なんの盗作?
    すぐそおやってぱくりやら盗作やらゆうのやめたら?

    主さん☆
    あたし読んでるんで頑張ってください♪^^

    2008-01-21 13:27:00
  • 66:

    口◆e5fjrax.NA

    70さん
    ありがとうございます。頑張ります。

    2008-01-21 23:21:00
  • 67:

    口◆e5fjrax.NA


    第三話 大のキス

    2008-01-21 23:22:00
  • 68:

    口◆e5fjrax.NA

    「コンポタにじゃがりこ浸したらうまいよね」
    「そうか?なんか女ってそーいう食べ方好きよな」
    「じゃぁ大も食べた方がいいんじゃない?笑」
    「ホントだ。・・・コンポタあるかな?」

    2008-01-21 23:31:00
  • 69:

    口◆e5fjrax.NA

    「コンポタにじゃがりこ浸したらうまいよね」
    「そうか?なんか女ってそーいう食べ方好きよな」
    「じゃぁ大も食べた方がいいんじゃない?笑」
    「ホントだ。・・・コンポタあるかな?」

    2008-01-21 23:32:00
  • 70:

    口◆e5fjrax.NA

    LOSTのDVDは全部借りられていたため、円と大はハリーポッターの最新作を借りることにした。母は仕事の疲れからか、帰ってきた時には床に就いていた。
    「円さぁ、樽谷に結局何言われたの?」
    ポットのお湯を入れながら、大が弾む声で言った。

    2008-01-21 23:34:00
  • 71:

    口◆e5fjrax.NA

    「なんでそんなウキウキしてるの?だいたい昨日どこ行ってたの?帰ってくると思ってた。真冬に外でよくオールなんか出来るね。」
    呆れ顔の円に、湯気の立つマグカップを二つ持ち、よくぞ聞いてくれましたとばかりに大が小走りで駆け寄ってきた。

    2008-01-21 23:45:00
  • 72:

    口◆e5fjrax.NA

    「あー!もう!こぼれたじゃん」
    6畳の子供部屋に敷かれたじゅうたんに、点々とコーンポタージュの汁が飛んだ。
    あわててティッシュを探す円を無視して、後ろ手に襖(ふすま)を閉め、大はなぜか円の顔面すれすれまで顔を近づけてきた。

    2008-01-21 23:48:00
  • 73:

    口◆e5fjrax.NA

    「何よ!?近いって」
    「円さぁ、誰にも言わない?」
    「言えるわけないでしょぉ?」
    呆れる円。言ったところで誰が得するというんだ。

    2008-01-22 00:14:00
  • 74:

    口◆e5fjrax.NA

    「キス・・・した。」
    「キス?誰と?」
    別にそんなことじゃ驚かない。円も一度だがキスをした事があったし、来るもの拒まずの大のキスプリをもう何枚も見てきた。中には今同じクラスの女子もいた。

    2008-01-22 00:18:00
  • 75:

    44

    >>69さんへ。
    主さんとは違いますよ(^_^;)IP見てもらったらわかると思いますけど…。何のパクリとかは分からんけど、設定がおかしいなって思ったんで検索してみて書いてたことを書きました。
    主さん、迷惑かけてすみません

    2008-01-22 02:02:00
  • 76:

    口◆e5fjrax.NA

    44さん
    こちらこそ、わざわざすいません。
    今から更新します。

    2008-01-22 08:16:00
  • 77:

    口◆e5fjrax.NA

    「絶対言わない?」
    「言わないじゃなくて言えない。」
    「・・・・」
    もじもじする大に、前まではケロっとしてたくせに、カミングアウトしたもんだから、やけにしぐさが女っぽいなぁと思う円。

    2008-01-22 08:16:00
  • 78:

    口◆e5fjrax.NA

    なぜか正座をになって、コーンポタージュをゆっくりと飲む大。その大を眺めながら、円はカップで両手を温めた。
    しばらくの沈黙のあと、今まで見たことのない様な優しくて、そして頼りない笑顔で大はぽつぽつと話し始めた。

    2008-01-22 08:17:00
  • 79:

    口◆e5fjrax.NA

    「・・・キスしたんだ。ケイ君と・・・」
    円は真ん丸い目を更に丸くした。目だけが見開いて声が出ない。今度は昨日の様に冷静には入られず、心臓はドキドキとスピードをあげた。
    「ケイ君にね、夏から片思いしてたんだけど、どーみてもノーマルだし、あ、女が好きってことな、普通ってこと。一緒にたまったりしてるだけで楽しかったんだけど、昨日みんなで朝方ケイ君家で寝てたんだ。んで俺とケイ君だけがコタツで寝てて・・・」

    2008-01-22 08:17:00
  • 80:

    口◆e5fjrax.NA

    ケイ君って、石川圭だよね・・・円は体育祭や文化祭なんかで見かけたケイの顔を必死に思い出そうとした。卒業式にボタンのない制服で、デジカメを撮ってくれと頼まれたことがあったけ。
    確か、すっきりした細身の人で、一重の丁度いい大きさの目をしていた・・・デジカメを渡された時の指が、すごく綺麗だったのを覚えている。

    2008-01-22 08:18:00
  • 81:

    口◆e5fjrax.NA

    「それで?」
    円は声を絞り出した。それに応えて、またもじもじしながら大も声を絞り出す。
    「すっげー綺麗な寝顔で、やばかった。可愛すぎた。・・・んで思わず、ほんとなんも考えずにキスした。」

    2008-01-22 08:19:00
  • 82:

    口◆e5fjrax.NA

    「無理矢理したの!?」
    「無理矢理じゃないよ!勝手にしただけ」
    どう違うんだ・・・。
    「怒られなかった?」

    2008-01-22 08:19:00
  • 83:

    口◆e5fjrax.NA

    「・・・それがさぁ、唇、くっつけた瞬間に、ケイ君の目が開いて・・・『気持ちいいか?』って頭押さえられて・・・コタツん中で、ディープキスされた。」
    円の許容範囲を超えたその過激な内容を、大はもじもじしながら続けた。
    「別に下とかは触ってないし、触られてないんだけどね。みんなが帰った後は、ずっと抱きしめたまま寝てくれたんだ。俺もそんなのした事あったけど、抱きしめられながら寝るだけで、あんな嬉しいと思わなかったよ。やっぱ女がいいなぁって思った。」

    2008-01-22 08:20:00
  • 84:

    口◆e5fjrax.NA

    「へ、へぇ・・・」
    もうハリーポッターどころではない。円の目の前には、すでに別世界が広がっている。
    「帰りにさ、『今度は一人で来てもいいから』って言われた。」
    「ほう・・・んで一人で行くの?」
    「まぁ、でもここですぐ行って、軽い奴だって思われてもやじゃん?だからちょっと時間おくけど」

    2008-01-22 08:20:00
  • 85:

    口◆e5fjrax.NA

    勝手に寝込み襲っといて軽いも何もないだろうと思ったものの、円の思考はそれどころではなかった。
    「あのさ、よくまだわかんなくて。・・・大って彼女いたじゃん。なのに男が好きだったの?」
    「いやぁその変が自分でもまだよくわかんないとこでさ。彼女は彼女で好きだし、ケイ君みたいな男の子見てもカッコイイって思えるんだよね」

    2008-01-22 08:20:00
  • 86:

    口◆e5fjrax.NA

    「あんたすごいね」
    「うん♪まぁ俺もそう思う。笑」
    男と女、両方好きってどんな気持ちなんだろう。
    同じ時期に同じお腹の中で、同じ時を過ごしたはずなのに、円にはまったく理解できなかった。

    2008-01-22 08:21:00
  • 87:

    口◆e5fjrax.NA

    「でも良かったじゃん。好きな人が男を好きで」
    「うん♪でもケイ君彼女いるし、まだわかんないよ。キスだけじゃ男が好きって確定ではないもん」
    「もうなんか私は全部がわかんないけど」
    「円はこうして話聞いてくれるだけでいいよ」

    2008-01-22 08:21:00
  • 88:

    口◆e5fjrax.NA

    「あー分かった。・・・よし!DVDでも見る?」
    「そだね。・・・あー!!!」
    「今度は何?笑」
    「私、明日までに復習と塾の宿題しなきゃ」
    「おつかれー。俺イヤホンで見てるから円勉強しなよ、二人ともバカじゃ、母さん達に悪いだろ?」

    2008-01-22 08:22:00
  • 89:

    口◆e5fjrax.NA

    結局、大は朝方まで付き合ってくれた。数学だけは得意なので、代わりに宿題をしてくれたりなんかして。ただ、張本人の円の頭の中はキスの話でいっぱいで、単語なんて頭に入らなかった。
    これからこんな話をずっと聞いていくんだ。
    円には、また一つ違う覚悟が必要なようだった。

    2008-01-22 08:23:00
  • 90:

    口◆e5fjrax.NA


    第四話 円の恋

    2008-01-22 10:34:00
  • 91:

    口◆e5fjrax.NA

    それからしばらく、大はコンビニにもあまり溜まりに行かなくなった。妙なかけひきをする所が、本当に女みたいだと円は思った。受験勉強をする円の横で、大はずっと雑誌をペラペラとめくっている。
    「このコさぁ、ボブ似合わないよね?前のが絶対よかったなぁ。エラはってるし。」
    「大・・・男はそんなのわかんないとこがいいんだよ。」
    「わかってるよ。俺だって彼女がたとえ毛の処理はしときながらベティキュアはげてても、見てみぬフリしてきたもん」

    2008-01-22 10:34:00
  • 92:

    口◆e5fjrax.NA

    うつ伏せで足をフラフラと揺らしながら雑誌を見る大に、円は応援するとは言ったものの違和感を感じずにはいれなかった。
    「あーもーなんか大が気になって集中出来ないからさ!どっか行ってよ!」
    「えー・・・外寒いしー。だいたい朝からずっと勉強してるじゃん?しかもあんま進んでないし。笑」

    2008-01-22 10:35:00
  • 93:

    口◆e5fjrax.NA

    「!進んでるし!あんたの分も頑張ろうとしてんでしょ!」
    「別に無理して公立行かなくてもいいと思うよ。父さん達だっていいって言ってんだから。金が気になるなら働いてから返せばいいじゃん」
    「私立だと遠いから嫌なだけだよ」
    「ふーん・・・まぁじゃ・・・邪魔しちゃ悪いし、コンビニ行ってくるわ」
    のっそりと立ち上がると、なぜか香水をふり大は鼻歌を歌いながら出て行った。やっとケイ君に会う気になったのだろうか?円は大が置きっぱなしにして行った雑誌を片付けて、また机にむかった。

    2008-01-22 10:36:00
  • 94:

    口◆e5fjrax.NA

    和田は、スラリとした長身で、薄い唇に釣り目がかった奥二重をしていた。
    寝癖のまま学校にくる所や、授業中だけかけるメガネ姿が、なぜか円の視線を釘付けにした。姉弟そろって嗜好が変わっているようだ。
    別に和田と話した事はない。プリントを回す時に、二言三言言葉を交わした事がある位だ。もしかしたら和田は、円の下の名前すら知らないかもしれない。

    2008-01-22 10:37:00
  • 95:

    口◆e5fjrax.NA

    たっだいまー。あれ大は?最近大人しくしてるからたこ焼き買ってきてあげたのに」
    「ちょっとコンビニ行って来るって」
    「またコンビニ?いかんなー。」
    最近、母は父同様、学費稼ぎに日曜の昼もパートに出始めた。あかぎれの目立つ手に、円は胸がいっぱいになる。

    2008-01-22 10:38:00
  • 96:

    口◆e5fjrax.NA

    「あたし夕方から塾だし、分かんないとこ質問したいから、もう行ってくる」
    「えらーい!よし!たこ焼きは円にあげよう。お茶入れるから座んなさい。」
    もう一つ、円の通う進学塾の理数選抜クラスに和田も通っていた。これはまったくの偶然で、円が自習室に通う理由になった。
    分からない問題も黙々と勉強する和田を見れば、なんだか解ける気がした。

    2008-01-22 10:38:00
  • 97:

    口◆e5fjrax.NA

    塾の駐輪場は、まだお昼過ぎだというのに自転車だらけだ。みんな受験へのラストスパートらしい。日曜は授業はなく、クラス替えの進級テストが行われる、希望者だけ受験出来るのだが、ほとんどの生徒が月に1、2回は受けていた。円も、国語の普通クラスから、選抜クラスへの進級テストをもう5回も受けていた。半ばイベント事である。階段を駆け上がると踊り場に和田の姿があった。

    2008-01-22 10:38:00
  • 98:

    口◆e5fjrax.NA

    「自習室、2階も3階もいっぱいなんだって。俺と一緒に来た奴で最後の一席争ったんだけど、ジャンケンで負けた」
    「えー全部?せっかく自習しに来たのに・・・あーわかんないとこどうしよう」
    今はこの状況の方が円にとってはどうしようである。

    2008-01-22 10:39:00
  • 99:

    口◆e5fjrax.NA

    こんな夢のような時間のあとに、進級テストが上手くいくはずもない。円は開始15分で、明日またいつもの教室で授業を受けるだろうと予測した。
    塾を出たのは、11時頃、色々と質問をしていて随分遅くなってしまった。
    自転車置き場も閑散とし、何台か自転車倒れている。自転車を押し出口に向うと、和田が立っていた。円の心臓はまたドキドキと音をたてる。

    2008-01-22 10:42:00
  • 100:

    口◆e5fjrax.NA

    「出来た?」
    「全然、教えてもらったのにごめんね。和田君大丈夫だった?」
    「あー俺は大丈夫、ごめんな、ほとんど喋ってたもんな」
    「いいよいいよ、喋ってなくても落ちてただろうし。瀬戸ん家7号棟だろ?俺1号棟だから一緒に帰ろうよ」
    「うん」

    2008-01-22 10:44:00
  • 101:

    口◆e5fjrax.NA

    本日二回目のお年玉に円は明日死ぬんじゃないかとさへ思った。卒業式に聞こうと思っていた携帯番号も、帰り道にあっさり和田の方から教えてくれた。
    「わかんないとこあったらメールして。なくても暇だったしてよ。俺あんまり携帯触らないけど」
    「あたしも、暇だったらメールしてね」
    家に帰っても円の頭は和田でいっぱいで、マフラーもはずさずに、子供部屋に寝転んだ。

    2008-01-22 10:45:00
  • 102:

    口◆e5fjrax.NA

    「大ー。あんた和田君と仲良かったんだね。」
    「え?むちゃいいよ。なんで?」
    「今日、塾で話したから」
    「あいつ面白いよ、F1好きだし、宿題写さしてくれるし」
    「・・・私・・・和田君のこと好きっぽい」
    「ま、まじで!!」

    2008-01-22 10:49:00
  • 103:

    口◆e5fjrax.NA

    なぜか大喜びの大は、ドライヤーもせずに今日の出来事を根掘り葉掘り聞いてきた。
    ひとしきり聞き終わると、
    「和田はむーっちゃいい奴だし、絶対応援するから頑張れ!」
    やけに気合いの入った大に、円は勢い負けし
    「ありがとう」
    となぜかお礼を言ってしまい、大が今日、結局ケイ君とどうなったのか聞きそびれてしまった。

    2008-01-22 10:49:00
  • 104:

    口◆e5fjrax.NA

    114 訂正
    「出来た?」
    「全然、教えてもらったのにごめんね。和田君大丈夫だった?」
    「あー俺は大丈夫、ごめんな、ほとんど喋ってたもんな」
    「いいよいいよ、喋ってなくても落ちてただろうし。」
    「瀬戸ん家7号棟だろ?俺1号棟だから一緒に帰ろうよ」

    2008-01-22 10:53:00
  • 105:

    口◆e5fjrax.NA


    第五話 大の壁

    2008-01-22 15:37:00
  • 106:

    口◆e5fjrax.NA

    円に家を追い出されたのが丁度いいタイミングになった。そろそろケイ君に会いに行ってもいい時期である。あれから二週間、まったく会っていないし、連絡もしていない。残念ながら向こうから連絡もこなかったけれど、別に今まで連絡をもらっていた訳でもないので考えないようにした。

    2008-01-22 15:38:00
  • 107:

    口◆e5fjrax.NA

    一応、いつも溜まっているコンビニの前を原付で通り過ぎる、日曜の昼間だ、誰も溜まっているはずはない。信号待ちでケイ君に電話してみた。メールの方がよかったのかもしれないが、原付に乗っているため、通話ボタンを押して携帯をメットにねじ込んだ。

    2008-01-22 15:38:00
  • 108:

    口◆e5fjrax.NA

    騒がしいメロディーコールのあと、ずっと二週間頭の中で流れていたのと同じ声が聞こえた。
    『もしもし?』
    「あ、もしもし大だけど。ケイ君今何してんの?」

    2008-01-22 15:38:00
  • 109:

    口◆e5fjrax.NA

    『おー久しぶり。何?』
    「今から遊びに行っていい?」
    『いいけど、正志も一緒か?』
    「いや、俺だけ・・・ダメ?」

    2008-01-22 15:39:00
  • 110:

    口◆e5fjrax.NA

    『なんで?笑。ピザ頼むから。じゃぁ一枚で十分だな』
    「うん。もう着くから」
    「はいよー」
    プチ。

    2008-01-22 15:39:00
  • 111:

    口◆e5fjrax.NA

    自然に顔がにやける。赤信号が随分長く感じた。
    ケイの家は、大達の家とは学区の端と端で、原付で5分程のところにある。3階建てのタイル張りで、結構デカイ家だった。ケイの原付の横に原付を止めて、いつもみたいにインターフォンを押さずに直接3階へ駆け上がった。ケイの母親とケイはもう2年もまともに口を聞いていないらしい、父親も出来のいい兄貴に会社をまかせると決めているらしく、ケイとは母親以上に関わりがなかった。

    2008-01-22 15:39:00
  • 112:

    口◆e5fjrax.NA

    「アロー♪」
    「アロー。原付無理。むちゃ寒いし、やばい」
    「やっぱ車欲しくなるよな冬は」
    「うん、ピザどれにしたの?」
    「これとこれのハーフ」
    「照り焼きチキンじゃん♪やった♪」

    2008-01-22 15:40:00
  • 113:

    口◆e5fjrax.NA

    大はいつもと変わらない自分でいなければと、精一杯可愛い後輩を演じてみせた。もしこの前のキスがケイの出来心だったら、きっとケイは後悔している事だろう。それなら彼を苦しめたくない。その時のための言い訳は、この二週間で何パターンも用意してきた。

    2008-01-22 15:40:00
  • 114:

    口◆e5fjrax.NA

    「俺も好き。・・・てかさ大わかり易いよな。笑」
    「え?何が?」
    おっとこのパターンは予想外。
    「別に。笑。多分二週間位、時間おくんだろうなぁって思ったら本当にきっかり二週間だったから。だいぶウケた。笑」

    2008-01-22 15:41:00
  • 115:

    口◆e5fjrax.NA

    大は耳まで真っ赤になった。この二週間、ニヤニヤと家で過ごしていた自分を、すべて見られていたような気分になる。
    「へへ。笑」
    急にケイ君の横が恐くなり、コタツに寝転んだ体を起こした。

    2008-01-22 15:41:00
  • 116:

    口◆e5fjrax.NA

    「大は、男が好きなの?」
    これもまた予想外のストレートの質問を、そんななんの躊躇もなく・・・・
    大はもう駆け引きなんてしても無駄だと思った。
    「うん。でも女も好き」

    2008-01-22 15:41:00
  • 117:

    口◆e5fjrax.NA

    「いいなぁ・・・出会いだらけじゃん」
    嫌味も偏見も感じられないケイの声のトーンに、大はホッとした。
    「ケイ君は?」
    「俺?笑。まぁ彼女いるし、普通に乳のデカイのが好きだね。笑」
    タバコをくわえながら笑うしぐさに、大はまたキュンとなる。

    2008-01-22 15:42:00
  • 118:

    口◆e5fjrax.NA

    「ごめんね。キス」
    「別にいいよ。大だし。正直、男とディープした事ないし、どんなんだろうって思ってしてみたら、意外とチンコたってビックリしたよ。笑。大すげーやべーって思って抱きしめたし。笑。俺も変態?あははは。笑」
    「あははは。笑」
    これがケイの本音なんだから、大は全部受け止めないければと思った。

    2008-01-22 15:42:00
  • 119:

    口◆e5fjrax.NA

    「まぁ、俺彼女いるけど、お前可愛いし、駆け引きとかだるいからいつでも遊びに来いよ」
    「うん♪」
    ピザと一緒にケイはサイドメニューまで頼んでくれた。

    2008-01-22 15:43:00
  • 120:

    口◆e5fjrax.NA

    「二人でこれはおおくない??」
    という大に
    「え?まじで?俺頑張れば一人でもこれ位いけるけどね」
    ばくばくと食べるケイの口元がソースだらけになり、付属のナプキンを大が差し出す。

    2008-01-22 15:43:00
  • 121:

    口◆e5fjrax.NA

    「舐めてよ。笑」
    「えーやだよー。笑」
    大はここで舐めてしまえば、ケイの恋愛対象になれるという一縷の望みを完璧に絶ってしまう様な気がした。夜テレビを見ている時に、
    「こっち来いよ」
    と、体をひっぱられても本音とは逆に拒んだ。

    2008-01-22 15:43:00
  • 122:

    口◆e5fjrax.NA

    「だから駆け引きすんなって」
    「かけひきじゃないもん。そっち行ったら俺テレビ見えないじゃん」
    身長165センチもない大が、ケイの力に勝てる訳がない。無理矢理ひっぱられて結局前みたいに腕枕を体に絡められながらテレビを見た。この前はあんなにドキドキしたのに、今日はなんだか悲しかった。ケイにも自分みたいにドキドキして欲しかった。自分に試行錯誤して欲しかった。自分の思い通りに行く相手だとは思われたくない。そうなれば、きっと関係を持った所で長続きはしない事を、大は容易に予想できた。

    2008-01-22 15:44:00
  • 123:

    口◆e5fjrax.NA

    「あ、俺そろそろ帰る」
    なんだか今日はもう帰ったほうがいい。大の中の女の勘である。
    「なんで?もうちょっと居ろよ。どうせ愛美(まなみ)バイト終るの夜中だし」
    ほら、結局彼女が来るまでの暇つぶしだったんだ。男の俺じゃ、ヤキモチ焼かれることもないもんね。

    2008-01-22 15:44:00
  • 124:

    口◆e5fjrax.NA

    「円とLOST見る約束してるから」
    目を合わさずに、マフラーを巻いて携帯をポケットに突っ込んだ。
    「じゃな」
    「うんバイバイ」
    来た時と同じように、勢いよく階段を駆け下りた。

    2008-01-22 15:44:00
  • 125:

    口◆e5fjrax.NA

    今日という一日をすごく楽しみにしてきた。本当に夢のような1日だった。ケイに嫌われていなければ、それだけで十分だと思っていたはずなのに、ケイの放った言葉が隣でニコニコしていながらも、ずっと頭から離れなかった。
    原付を運転しながら、ぽろぽろ流れた涙が、風圧でこめかみに流れる。

    2008-01-22 15:45:00
  • 126:

    口◆e5fjrax.NA


    チガウチガウチガウチガウ

    2008-01-22 15:45:00
  • 127:

    口◆e5fjrax.NA

    きっと本当の自分で生きていくってこういう事なんだ。わかってる。それを覚悟のうえで円にも打ち明けたし、先輩の言葉も受け止めたつもりだった。
    でもチガウチガウチガウチガウ
    俺は、男で、女になりたいし、俺は男なのに、男が好きだけど・・・違う。この気持ちは。この本当の気持ちは・・・違う!!!

    2008-01-22 15:45:00
  • 128:

    口◆e5fjrax.NA


    俺は変態なんかじゃない。

    2008-01-22 15:46:00
  • 129:

    口◆e5fjrax.NA

    自分に正直に生きることの難しさを、こんなに早く知ってしまった事に大は絶望した。こういう壁を、きっとこれからいくつも越えていかなければならない。もしかしたら、いやきっと、それは死ぬまで続くだろう。
    正しい事をしているはずだ。嘘をついて生きてなんの意味になる。大の心のカップは、許容量をはるかに越えて、家に帰っても涙は止まらなかった。

    2008-01-22 15:46:00
  • 130:

    口◆e5fjrax.NA

    しばらく泣きはらした後、父と母が帰って来たので大は寝たふりをした。
    母が勢いよく襖をあける。
    「あー大、今日お鍋だよー♪まったくあんたは、円はまだ塾で頑張ってるのにー」

    2008-01-22 15:47:00
  • 131:

    口◆e5fjrax.NA

    円・・・・。
    円の言葉、『困ったら言ってね』が頭をよぎる。たしかに一人じゃかかえきれない。でも、この話をしたら、きっと円も傷つく。もしかしたら自分以上に。
    自分の姉弟が、他人から見たら変態で、本人はそれを正しい事をしたまでだと悪びれてもいない。自分が本当の自分で生きていくと決めたんだ。自分を自分で守るだけじゃなく、家族や親戚、友達、これから自分と関わってくれる人たちみんなを守らなければ・・・。決して変態の仲間だなんて言わせない。

    2008-01-22 15:47:00
  • 132:

    口◆e5fjrax.NA

    大はのっそりと起き上がり、ゆっくりお風呂に入った。タバコ臭くなった髪を洗い、風呂上りにはパックもしようと決めた。
    これ位でメソメソ言ってはいられない。大丈夫、俺は悪い事をしてる訳じゃない。
    自分は正しい事をしてるんだ。もう一度そう思い返し、火照った顔に冷たいパックをした。

    2008-01-22 15:48:00
  • 133:

    口◆e5fjrax.NA

    キーバタン・・・
    円が帰ってきたようだ。
    「あ、おかえり。風呂つけっぱなしだから入れよ、今お湯熱々だぜ」
    今日の事は、円には言わない。自分と同じように傷つけたくない、大はそう決めた。

    2008-01-22 15:48:00
  • 134:

    口◆e5fjrax.NA

    なんだか様子が変だと思い話をしてみると、好きな人が和田だと告白してきた円に、大はいつもよりオーバーリアクションで応えた。頭の中から今日のケイ君の言葉をかき消しながら。
    円に、今日の事を尋ねる隙を与えないように・・・・

    2008-01-22 15:48:00
  • 135:

    応援してます。

    2008-01-22 21:49:00
  • 136:

    口◆e5fjrax.NA

    150さん
    ありがとうございます。
    頑張ります。

    2008-01-23 14:31:00
  • 137:

    名無しさん

    続きがすごい気になります?早く見たいです?頑張って下さい?

    2008-01-24 16:49:00
  • 138:

    名無しさん

    パクリ止めて下さい最低です

    2008-01-24 17:00:00
  • 139:

    名無しさん





    2008-01-25 04:02:00
  • 140:

    名無しさん

    他人の作品をパクって、自分の作品みたいにふるまうのはやめて下さい 最低です

    2008-01-25 04:15:00
  • 141:

    口◆e5fjrax.NA


    第六話 円の受験(大もね)

    2008-01-26 00:55:00
  • 142:

    口◆e5fjrax.NA

    円が和田と初めて二人で話した日、大がケイの家に初めて一人で行った日・・・その日から1ヶ月がたった。

    2008-01-26 01:01:00
  • 143:

    口◆e5fjrax.NA

    受験生にとってのこの一ヶ月は、嵐の様に過ぎていく。

    2008-01-26 01:02:00
  • 144:

    口◆e5fjrax.NA

    時間は欲しい時程、速く過ぎていくものである。

    2008-01-26 01:04:00
  • 145:

    口◆e5fjrax.NA

    しかし、あの日以来、塾でも頻繁に話しかけてくる様になった和田は、円のそんなハードルの低い将来像に、一刀を投じた。
    「ここのお守りさ、効くんだって。まぁ大学落ちた兄貴が言ってたから微妙だけど。笑」
    そう言って和田がくれた小さな巾着型の合格祈願のお守りに、円は『どうか和田君と上手くいきます様に』と、お門違いな願い事を込めて、携帯に紐を通した。

    2008-01-26 01:05:00
  • 146:

    口◆e5fjrax.NA

    一体、どういう気持ちでこんな事を言ってくるのか・・・。円は
    「へぇ」
    「うそー」
    「ホントにー」
    なんて言いながら、和田の一言一言にすっかり翻弄されていた。

    2008-01-26 01:06:00
  • 147:

    口◆e5fjrax.NA

    「やっぱり!?学校では全然話してくれないのにね。塾とかメールはすごいの。絶対に和田君から話しかけてくるし・・・昨日も頼んでないのに休み時間に、私にだけパン買ってきてくれたんだ」
    公立の受験日は明日・・・本当なら塾に残るつもりだったのだが、またしても自習室がいっぱいなため、授業だけ受けて今日は早めに帰宅した。帰り道で亜衣理に会い、こうして家までお持ち帰りしてきたのである。

    2008-01-26 01:08:00
  • 148:

    口◆e5fjrax.NA

    「円だって話しかけないじゃん。笑。確かに、和田ってよく見たら普通にカッコイイよね。でも髪とか寝癖ついてる。笑」
    そこがいいのに・・・唇をとんがらせ単語帳をペラペラめくりながら、その後の亜衣理の話に、円は適当に相槌を打った。大はまだ帰って来ない。どうせいつものコンビニだろう・・・もしかしたらケイの所かもしれない。でもそれなら、そっちの方がいいじゃないと円は思った。

    2008-01-26 01:09:00
  • 149:

    口◆e5fjrax.NA

    「ケイ君さぁ・・・嫌われてはないけど無理っぽいわ。ケイ君がっていうより、俺がケイ君を無理っぽい。彼女いるし・・・でもまぁ好きはまだ好きだし、頑張るし・・・応援してよ」
    なんだか中途半端な大の報告に、違和感を感じたのは一ヶ月程前。受験と和田で手一杯な円は、それから大とゆっくり話していない。
    でもまぁ、なんにも言ってこないし、いっか・・・。いつでも聞けるし・・・。

    2008-01-26 01:09:00
  • 150:

    口◆e5fjrax.NA

    「あ、そっか。声かけてって言っといて。おばちゃんお邪魔しましたー」
    「はーい。亜衣理も明日頑張っておいでね」
    「ありがとう。おやすみー」
    亜衣理が帰って、数学の公式を見直していても、色々と頭に邪念が入ってなかなか集中出来なかった。

    2008-01-26 01:10:00
  • 151:

    口◆e5fjrax.NA

    こういう日は勝手に目が覚めてしまうもので、円はきっかり6時に目が覚めた。下のベットで眠る大を無理矢理起こす。
    「まーさーるーーー。何時に帰ってきたの?」
    「うーん・・さっき。髪の毛さ、今日受験だから先輩に黒くしてもらいに行ってた。あー寒ッ。ふとん返せよー・・・」

    2008-01-26 01:12:00
  • 152:

    口◆e5fjrax.NA

    「先輩?先輩ってケイ君?」
    「・・・うん。でも最悪な事に、黒染めしたのは、ケイ君の彼女だけどね」
    「あ・・・まじで・・・」
    「今日試験終ったら、速攻染めてやる・・・」
    「笑」

    2008-01-26 01:12:00
  • 153:

    口◆e5fjrax.NA

    襖が少しだけ開く。顔を出した母は、もうエプロン姿である。
    「あらー。もう起きたの?お父さんが昨日仕事のあとに神社によってくれてね。お札買ってきてくれてるから、二人とも持ってきなさい」

    2008-01-26 01:16:00
  • 154:

    口◆e5fjrax.NA

    水道工事の会社に勤める父は、今日は現場が遠方らしく、もう家を出ていた。
    ベタにカツやらキットカットやらが詰められたお弁当を見て、大と円は目を合わせて笑った。そして、この二人の子供として生まれて、本当に良かったと感謝した。

    2008-01-26 01:17:00
  • 155:

    口◆e5fjrax.NA

    つづいて30分後。
    「落ち着いてね」
    「母さんがね。笑。お弁当ありがとー」
    キーバタン

    2008-01-26 01:18:00
  • 156:

    口◆e5fjrax.NA

    二人と同じく、初受験の母は、その後しばらく家の中をうろうろし、仏壇にキットカットをお供えすると、パートに出た。
    パート中も気が気ではなく、暇さへあれば神頼みを繰り返した。父も、工事先の一番近い神社をナビで探し、昼休みに弁当も食べずにお参りに向った。言うまでもなく、この二人の3時のおやつはキットカットであった。

    2008-01-26 01:21:00
  • 157:

    口◆e5fjrax.NA


    さて、円の受験の結果やいかに???(大もね)

    2008-01-26 01:23:00
  • 158:

    口◆e5fjrax.NA


    第七話 円のサクラ咲ク

    2008-01-27 01:17:00
  • 159:

    口◆e5fjrax.NA

    「ブレザーよりセーラー服の方が母さん好きだけどなぁ・・・」
    「そう?私ブレザーの方が似合うって言われたもん」
    「誰に?」
    「だ、誰でもいいじゃん」

    2008-01-27 01:17:00
  • 160:

    口◆e5fjrax.NA

    「瀬戸、番号あった?俺みんなとはぐれた」
    中学生とは思えない長身の和田は、頭一つ大きいため、小柄な円もすぐ見つけられた。
    「あ、あった!!門の前で待ってよっか?私、マキちゃんしか番号知らないんだ」

    2008-01-27 01:18:00
  • 161:

    口◆e5fjrax.NA

    「おめでとう!俺もあったよ。国語やばかったからドキドキした笑。俺、梨田と、椚座なら知ってるからメールするわ。先に合格書類取りに行こうか?」
    「うん」
    わざわざ普通クラスの掲示見に来てくれたのかな?いや・・・それはないか・・・。
    受験が終わり、少しのびた和田の髪の毛は、いつも通りハネていた。

    2008-01-27 01:19:00
  • 162:

    口◆e5fjrax.NA

    「すげー人だね」
    「だねー」
    喜ぶ人、悲しむ人、正反対の感情がごった返す不思議な空間である。

    2008-01-27 01:19:00
  • 163:

    口◆e5fjrax.NA

    「あ・・・いや・・・あはは。苦笑」
    今なら言い易い・・・私も好きだったと・・・便乗してしまおうか・・・
    「あのね、でも私もわ「和田ー!瀬戸ー!」
    円の声を掻き消したのは、書類配布の列に並ぶ椚座だった。円と同じく、先生に記念受験と銘打たれていた椚座だったが、予想をくつがえしたらしい。

    2008-01-27 01:20:00
  • 164:

    口◆e5fjrax.NA

    「あ!椚座もう並んでるじゃん。ってことは受かったのか。き、奇跡だな・・・梨田は・・・いないね」
    「う、うん・・・マキちゃんもまだメール返ってこないや」
    もし自分が落ちていたら、みんなに笑顔でおめでとうを言うには、もう少し時間が必要だ。

    2008-01-27 01:20:00
  • 165:

    口◆e5fjrax.NA

    「痛いなぁ・・・・何よ!?」
    「俺の髪を黒染めした奴だよ」
    ???
    「!!あ!!ケイ君の彼女!?」

    2008-01-27 01:22:00
  • 166:

    口◆e5fjrax.NA

    「それがさぁ、やたら絡んでくるんだよね。俺がケイ君家に居るって分かったら夜中でも邪魔しに来るし、やたらとボディータッチ多いし」
    「可愛いの?」
    まぁケイ君の彼女なら、それなりのルックスだろう・・・。

    2008-01-27 01:23:00
  • 167:

    口◆e5fjrax.NA

    「化粧濃いだけだよ!ケバイね!なんか雑誌とか載ってるらしいけど」
    「雑誌!?すごいじゃん!なんて言うやつ?」
    「ランズキとか」
    「うわぁ♪亜衣理と見てみよ♪苗字なんて言うの?」

    2008-01-27 01:23:00
  • 168:

    口◆e5fjrax.NA

    「見なくていいよ!ブスだよブス!化粧濃いだけだって!黒コンと化粧だよ!」
    「・・・大さぁ、女にヤキモチ妬く時と、男にヤキモチ妬く時は、反応が微妙に違うんだねぁ。笑」
    「・・・和田に円がBカップだって言ってやる」
    「・・・大・・・傷つけ合うのは辞めよう」

    2008-01-27 01:23:00
  • 169:

    口◆e5fjrax.NA

    「だな。笑。まぁ今度、愛美と写ったプリクラ貰ってきてやるよ。まぁどうせサギだけどね」
    「やったー♪じゃぁ私も和田君と撮ったらあげるね」
    「え、いらない」
    「・・・あっそ」

    2008-01-27 01:24:00
  • 170:

    口◆e5fjrax.NA

    卒業式が終れば、短い春休みの後、二人には別々の新生活が待っていた。
    期待と不安と波乱に溢れた毎日が・・・。

    2008-01-27 01:24:00
  • 171:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 172:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 173:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 174:

    口◆e5fjrax.NA

    >>2-17 第一話 大の告白
    >>18-71 第二話 円の苦悩
    >>72-96 第三話 大のキス 
    >>97-119 第四話 円の恋
    >>120-158 第五話 大の壁
    >>159-182 第六話 円の受験(大もね)
    >>183-201 第七話 円のサクラ咲く

    2008-01-27 01:44:00
  • 175:

    口◆e5fjrax.NA

    ↑これまでの目次を作りました。>>206

    2008-01-27 01:48:00
  • 176:

    口◆e5fjrax.NA


    第八話 大のライバル

    2008-01-27 04:36:00
  • 177:

    口◆e5fjrax.NA

    しかし、この企画書がなかなか進まない・・・というのを口実に、ケイ君の家に遊びに来た処、またしても愛美が遊びに来た。ケイ君も、わざわざ電話で俺がいるって伝えなくてもいいのに・・・。
    「マナの時はねー、『あなたの一番可愛いと思うキャラクター』だったかな?リラックマもどきみたいなの書いたらAついたし・・・大これまじめにやらなくても大丈夫だよ」

    2008-01-27 04:37:00
  • 178:

    口◆e5fjrax.NA

    愛美が少しでも動くたびに、きつい香水の匂いがする。こんな女のどこがいいのか・・・ケイに目をやると、愛美の強引さにイライラする大を、ニヤニヤしながら見ていた。
    きっと、自分と愛美を見てヤキモチ妬いてるのを、必死で隠そうとする俺を見るのが楽しいんだろう・・・悪趣味。怒

    2008-01-27 04:37:00
  • 179:

    口◆e5fjrax.NA

    黙っていれば・・・まぁ見れない顔でもないのに・・・そのしゃべりと香水の匂いが、見事に女っぷりを下げていると、大はため息を着いた。
    ケイ君はこんな女のどこがいいのか・・・俺が女だったら絶対に友達にならない。ケイ君だって、きっと奪い取ってみせるのに・・・。

    2008-01-27 04:38:00
  • 180:

    口◆e5fjrax.NA

    「こういうの好きだから、まじめにやりたいんだよ。ってか愛美さぁそのブラジャー趣味悪いよ?ヒョウ柄に紫のレースって。」
    「ちょっとーエッチー!可愛いじゃん!これもう売ってないんだよ?」
    隠す所か、胸元を開いてブラの柄を見せる愛美に、大は目を覆った。

    2008-01-27 04:39:00
  • 181:

    口◆e5fjrax.NA

    「売ってないって、売れないからじゃねーの?男は白が好きなんだよ白!あとレース物のの単色。そういうドクドクしい柄は下半身に響いても、心に響かないんだよ」
    「あー言えてるな」
    賛同したケイを睨みつける大に、ケイは首をかしげてまたニヤニヤと笑った。その憎めない仕草に、大の心はまた締め付けられる。

    2008-01-27 04:39:00
  • 182:

    口◆e5fjrax.NA

    「心に響かないって何よー。笑」
    愛美の細くて華奢な手がバシバシと大を殴る。無駄に多いボディータッチに、大はまたイライラした。
    「痛いって・・・キュンとこないってことだよ。ヤリたいって思っても、抱きたいとは思わないってこと」
    「へー??意味わかんねー」

    2008-01-27 04:40:00
  • 183:

    口◆e5fjrax.NA

    「あー俺はなんかわかるわ。大はどんな下着は好きなわけ?」
    それは男でですか・・・女でですか・・・
    「別に・・・中身重視だから!好きならなんでもいいけど」

    2008-01-27 04:40:00
  • 184:

    口◆e5fjrax.NA

    「えー大、矛盾してるじゃーん」
    「いや・・・俺はなんかわかるわ」
    「ケイタンそればっかじゃーん」
    その後も、愛美は早く帰れと促す大の言うことなんか聞かず、2時頃までケイの家に居座った。そしてケイがコタツで寝てしまうと、やっと帰り支度を始めた。

    2008-01-27 04:41:00
  • 185:

    口◆e5fjrax.NA

    「愛美、原チャ?」
    「ううん。チャリ。うち原付だめなんだ。」
    「まぁ腐ってても女だもんね。俺送るわ。チャリだけど」
    愛美は隣の中学出身だ。ということは、近くても、自転車だと20分はかかるだろう。

    2008-01-27 04:41:00
  • 186:

    口◆e5fjrax.NA

    「いいよ。笑。いっつも一人で帰ってるし。笑。あんたまだそれ書き終わってないんでしょ?結構遠いし」
    こんな夜中に制服でチャリって・・・

    2008-01-27 04:41:00
  • 187:

    口◆e5fjrax.NA

    「愛美さー・・・いっつもって・・・それダメだよ。ケイ君に送ってって言いな。それが言えないなら夜中まで居ちゃダメだよ」
    「・・・うーん」
    愛美の気持ちはすごく分かる。自分が無理しないと、ケイ君とは付き合っていけないって、愛美も分かってるんだ。俺と同じくらい・・・もしかしたら俺以上に、愛美はケイ君に惚れているのかもしれない。

    2008-01-27 04:42:00
  • 188:

    口◆e5fjrax.NA

    「二世帯住宅だからだよ。本当にごめんね大。帰り道わかる?」
    こんなこと位で眉毛をハの字に申し訳なさそうにするしぐさと、思っていたよりもずっと遠かったこの道を、夜中に一人で帰っていた事を思うと、大は不覚にも胸がキュンとした。
    「大丈夫だって。俺、道覚えるの得意だし」

    2008-01-27 04:43:00
  • 189:

    口◆e5fjrax.NA

    「そう?一応わかんなかったら電話して?」
    まさかライバルとアドレスを交換する事になるとは・・・。愛美の家の前でコソコソと二人は赤外線通信をした。

    2008-01-27 04:44:00
  • 190:

    口◆e5fjrax.NA

    ケイ君的には・・・愛美と俺の番号交換はアリなんだろうか?・・・

    2008-01-27 04:45:00
  • 191:

    口◆e5fjrax.NA

    ・・・なんか俺が男な分、話が複雑だなぁ・・・そんな事を考えていると、なんだかすごい悪い事をした様な気分になった。

    2008-01-27 04:47:00
  • 192:

    口◆e5fjrax.NA

    そのままなんだかケイの家に行く気にもならず、自分の家に帰ると、ベットに雪崩れこんだ。二段ベットの上からは、円のカチカチとメールを打つ音が聞こえる。もう3時半だぜ?和田も眠いだろうに大変だねー・・・。

    2008-01-27 04:48:00
  • 193:

    口◆e5fjrax.NA

    『自分?着いた(`ФΔΦ)サミー』
    送信。
    ブーブー。。。愛美からの返信はすぐにきた。

    2008-01-27 04:52:00
  • 194:

    口◆e5fjrax.NA

    『オカエリナサイマセ?ゴ主人様ぁぁぁ(`σωσ)?ごめんにょ???唐揚げ?おぃすぃから楽しみにしとけ???学校?でわかんナイ事あったらなんでも聞いて来い??』
    。。。なんかコイツのメール。。。目がチカチカする(笑)

    2008-01-27 04:56:00
  • 195:

    口◆e5fjrax.NA

    『唐揚げ?の前にとりあえず可愛い先輩紹介しろ?(笑)』
    ブーブー。。。またすぐに返信がくる。
    『えッ?マナがいるじゃん???マナは大好きだょ?これからも仲良しこよしになっていこぉねぇ??^ー^)人(^ー^』

    2008-01-27 04:59:00
  • 196:

    口◆e5fjrax.NA

    うっ・・・なんだかこれ以上のメールは、なんだかケイに悪い気がして、大は返信しなかった。

    2008-01-27 05:09:00
  • 197:

    口◆e5fjrax.NA

    ただ、数ある女の中からケイが愛美を彼女に選んだのは、見た目のせいだけではないと気付いてしまった事が、少し悔しかった。。

    2008-01-27 05:10:00
  • 198:

    口◆e5fjrax.NA

    これまでのもくじです。
    >>237

    2008-01-27 05:24:00
  • 199:

    名無しさん

    楽しい

    2008-01-27 23:33:00
  • 200:

    名無しさん

    楽しみにしてます?

    2008-01-30 01:54:00
  • 201:

    口◆e5fjrax.NA

    239さん240さん
    ありがとうございます。
    今晩、更新するのでよかったらまた覗いて下さい。

    2008-01-30 23:44:00
  • 202:

    口◆e5fjrax.NA


    第九話 円の新生活

    2008-01-31 03:04:00
  • 203:

    口◆e5fjrax.NA

    『花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに。』

    2008-01-31 03:09:00
  • 204:

    口◆e5fjrax.NA

    隣のクラスの和田は、理数クラスの特別講座も受ける事になり、授業が金曜以外は7時間目までで、学校が始まってからもう半月ほどたつが、未だに二人で下校中にプリクラを撮ることさへ出来ないでいた。

    2008-01-31 03:10:00
  • 205:

    口◆e5fjrax.NA

    三発目がバニーちゃんに突き刺さると同時に携帯が鳴る。
    ♪♪和田 真一♪♪
    携帯に表示されたその名前を見て、この人が居なかったら、何も迷わず中退するのにと円は思った。

    2008-01-31 03:13:00
  • 206:

    口◆e5fjrax.NA

    「もしもし?」
    『もしもし円?さっき一人で帰ってなかった?』
    「うん。なんか奈々子に一緒に帰ろうって言われたんだけど、先生と話してて長くなりそうだから、置いて帰ってきちゃった。」

    2008-01-31 03:13:00
  • 207:

    口◆e5fjrax.NA

    『あははは。笑。円ドSだなぁー・・・まぁでもあのコあんまり円と気合いそうにないよね、食堂で見たけど・・・声でかくね?おかげで円すぐ見つけられるけど。笑』
    「うん。しかもなんかタイミング逃がして他の子にも声かけずらくてさ、結局ずっと一緒にいるハメになるし・・・授業はわかんないし・・死にそう」

    2008-01-31 03:13:00
  • 208:

    口◆e5fjrax.NA

    『授業わかんないのは俺も同じだって。笑。今日さ、先生達会議あるから、特講はプリント配るだけで終ったんだ。円ヒマ?』
    「!・・ヒマ!ヒマ!ヒマヒマヒマ!!」
    『わかった。笑。じゃーサイゼ行く?着替えて7号棟の下に着いたらまた電話するわ』
    「わ、わかった!」

    2008-01-31 03:14:00
  • 209:

    口◆e5fjrax.NA

    『愚痴あんま聞けなくてごめんな。今日はゆっくり話そうな』
    「うん・・・」
    ピッ
    「キャーーーー!!!」

    2008-01-31 03:14:00
  • 210:

    口◆e5fjrax.NA

    さっきまで足蹴りしていたバニーちゃんを抱きしめると、円はこうしちゃいられないと、タンスを引っ掻き回した。何を着ていこう・・・私服姿は塾で何回か見られているが、付き合ってからは私服で会うのは初めてである。確か、大がケイ君の彼女から大量に貰ってきたオサガリがあったはず・・・。

    2008-01-31 03:15:00
  • 211:

    口◆e5fjrax.NA

    PS2の箱の横に並んだMossyと書かれた黒い大きな袋を円は探り当てた。中にはデニムが数本と、シンプルなTシャツや、ロンTが数枚入っていた。どれも新品に近いし、雑誌でよく見る名前のタグが付いている。・・・今度お礼を言わなければ・・・だいぶ細めのデニムに悪戦苦闘しながら、円は上に自分のロングカーデを羽織り、中には白地のロンTを着て、大に合格祝いに貰った黒のネックレスを付けた。

    2008-01-31 03:15:00
  • 212:

    口◆e5fjrax.NA

    それから15分程し、和田が7号棟の下に到着したので、二人はサイゼリアに向かった。大が円の自転車を乗って行ってしまったため、円は和田の背中にしがみ付く権利を得る・・・大様様である。

    2008-01-31 03:16:00
  • 213:

    口◆e5fjrax.NA

    4月の夕方の風は、青葉の匂いを含んで、冷たいのに気持ちよかった。賑わう商店街を抜ける時、何人か地元の友達に会い、円と和田は顔を赤らめた。

    2008-01-31 03:17:00
  • 214:

    口◆e5fjrax.NA

    「みんな私達が付き合ってるの知ってるのかな?」
    「ん?んーー・・・知ってるんじゃねーの?嫌なら内緒にしとくけど」
    「ううん。なんか変に思うだろうなぁと思って。和田君と私、学校であんまり話してなかったし」

    2008-01-31 03:17:00
  • 215:

    口◆e5fjrax.NA

    「そうか?俺、けっこう周りの奴らに2年の時から瀬戸可愛い可愛いって言って牽制してたけどね。笑」
    「本当に?」
    「本当に!」

    2008-01-31 03:17:00
  • 216:

    口◆e5fjrax.NA

    なぜか大笑いする和田に、円はなんでもっと早く言ってくれなかったの?と聞こうと思ったが、和田の耳が後ろまで真っ赤だったので、むしろ言ってくれてありがとうだと思い直した。

    2008-01-31 03:18:00
  • 217:

    口◆e5fjrax.NA

    「毎日はさ、朝学校行く時しか、当分二人じゃ会えないけど・・・休みの日とかは、こうやって二人でどっか行こうぜ。愚痴も聞くし・・・俺金ないけど・・・」
    「うん。大丈夫・・・私も金ないから。笑」

    2008-01-31 03:18:00
  • 218:

    口◆e5fjrax.NA

    今までのもくじです>>265

    2008-01-31 03:36:00
  • 219:

    名無しさん

    主すごく気が利くね
    ありがとう

    2008-01-31 04:13:00
  • 220:

    口◆e5fjrax.NA

    267さん
    ありがとうございます。照。
    今晩また更新するのでよかったら覗いて下さい。

    2008-02-01 00:34:00
  • 221:

    口◆e5fjrax.NA

    「まぁしゃー!!友達できたかー???」
    混みあう食堂の中で、スリッパをパタパタさせながら、一直線に愛美が駆け寄ってきた。
    もう入学して一ヵ月になるのに・・・毎日コイツに会っている気がする・・・
    大はしかめっ面をして、椅子の上で三角座りした体を回転させ、愛美に背を向けた。

    2008-02-01 03:50:00
  • 222:

    口◆e5fjrax.NA

    「あっち行け」
    うどんをすすりながら箸で愛美を追っ払う。
    「あんた食堂で一人で飯食うって相当代わりもんだね」
    「あ、俺いまーす・・」

    2008-02-01 03:50:00
  • 223:

    口◆e5fjrax.NA

    愛美の迫力に圧倒され、澤田はなぜか申し訳なさそうに手を挙げた。
    「あ!ごめん!マナ、大しか見てなかった!澤田ぁーあんた私の友達が可愛いって言ってたよ」
    「まじっすかー!!」

    2008-02-01 03:50:00
  • 224:

    口◆e5fjrax.NA

    「お前他にも席空いてんだしあっち行けよ。香水臭い、食欲なくなる」
    「はぁ?マナ香水付けてないしぃ、これボディークリームだもん。」
    頼んでもないのに袖を巻くりあげ、匂いを嗅がそうとする愛美を、大は肘で押し返した。
    「なんか外国のお菓子みたいな臭いだな・・・」

    2008-02-01 03:51:00
  • 225:

    口◆e5fjrax.NA

    「ラブリーでしょ?」
    ツケマツゲと、濃いめのチークが、今日のメイクのポイントらしい。まばたきをする度、風が吹いてきそうだ。
    電車にちょっと乗って学校に来るだけなのに・・・暇な奴

    2008-02-01 03:51:00
  • 226:

    口◆e5fjrax.NA

    「マナー!!教室戻ろー!」
    「うぃー!大、今日ヒマ?ヒマなら一緒にケイタン家行こう♪」
    「一人で行けば?俺こいつらとどっか行くし」
    「えー!もぉ・・・あとでメールするからね!!」

    2008-02-01 03:52:00
  • 227:

    口◆e5fjrax.NA

    愛美は友達に駆け寄ると、ゴニョゴニョと何か話し、澤田を指差した。
    こちらに手を振っている。
    「ダマシー残念だなぁ・・・あんまどころか、まったく可愛くないなぁ・・・顔がなんか岩っぽくね?」

    2008-02-01 03:52:00
  • 228:

    口◆e5fjrax.NA

    大の言葉に噴出しそうになりながらも、にっこり笑って手を振る澤田。
    「大、女には愛想振りまいとけ、でもあれは可愛くないな。俺が女だったら絶対愛美と一緒にいないけどなぁ」
    確かに・・・モロひきたて役だもんなぁ・・・まぁ愛美のアホは、そんなことまったく考えてないんだろうけど・・・

    2008-02-01 03:52:00
  • 229:

    口◆e5fjrax.NA

    「円ー。俺の分までガンバレー」
    「もう頑張れないよ・・・いくら予習していって、授業必死に聞いても、わかんないとこだらけ・・・はぁ・・・今日の宿題なんてこれ8ペーシも全訳だよ???日本語でも8ペーシも、地球環境の論文なんて読みたくないのに・・・」
    円の手にした教科書には、困った顔の地球のイラストがほどこされていた。

    2008-02-01 03:54:00
  • 230:

    口◆e5fjrax.NA

    「円、同じ顔してる。笑」
    「うるさい!はぁー」
    落ち込んだ円に何を言っても無駄だと、大は経験で知っていた。
    「和田に教えてもらえば?」

    2008-02-01 03:55:00
  • 231:

    口◆e5fjrax.NA

    「真一も必死なの!邪魔できない・・・」
    「真一って呼んでたっけ。笑」
    「!!も、もう!あっち行ってよ!!」

    2008-02-01 03:55:00
  • 232:

    口◆e5fjrax.NA

    こんな狭い団地住まいの瀬戸家で、あっちに行けと言われても・・・仕方なしに、大は仏壇のある父と母の寝室に移動し、2011年からは使えなくなるレトロなテレビで、料理番組を見て晩御飯までの時間を潰した。

    2008-02-01 03:56:00
  • 233:

    口◆e5fjrax.NA

    パートから帰ってきた母も、コロッケを揚げながら円を心配そうに見つめ、父も食事時の会話はハレモノに触るかのようであった。
    大が一番風呂から上がると、円はまた机にかじりついている。
    「お前、机かじり虫だな。笑。円ー・・・塾行かせてもらえよ。どうせ二人とも公立行ったんだし・・・」

    2008-02-01 03:56:00
  • 234:

    口◆e5fjrax.NA

    円は意外と泣き虫である。
    「いいよ。笑。お前すごいよ!泣くほど勉強頑張ってんだもんな」
    「泣・・・うぅ・・んぐ・・ごめんね、最近、大の話も・・・協力するとか言って・・・ぜ・・全然聞いてないし・・・」

    2008-02-01 04:01:00
  • 235:

    口◆e5fjrax.NA

    「あーいいよ別に。ケイ君ともあれからなーーーんもないし・・・円は和田となんかあったの?」
    メソメソ顔がパッと赤くなる。
    「な・・・なんか聞いたの!?真一から!」

    2008-02-01 04:02:00
  • 236:

    口◆e5fjrax.NA

    「聞いてないよ。笑。会ってないもん」
    「・・・大が先に話してよ・・・」
    「また俺からかよー」
    気分転換が大事だ!という大に手をひっぱられ、二人は自転車でコンビニに向かった。大はなけなしの小遣いで、円にたらふくお菓子を買ってくれた。

    2008-02-01 04:02:00
  • 237:

    口◆e5fjrax.NA

    「大ってやっぱ女心わかってるよねー。笑」
    前カゴのビニール袋から、スナック菓子が落ちそうになり、大はそれを抑えながら、なぜか自慢げに答える。
    「だろー?俺、なんで女じゃないんだろーなぁー。」

    2008-02-01 04:02:00
  • 238:

    口◆e5fjrax.NA

    「あーでも大が女だったら嫌だなぁ・・・オシャレな妹とか・・・なんかむかつく」
    「えーでも服貸しあいっこ出来るよ?」
    「あ!!そうだ、ケイ君の彼女にさ、マドレーヌ焼くから持って行ってよ!服いっぱいもらったお礼に」
    「いいよ!あいつん家すっげー金持ちだから、ばあちゃんに服とかやたら買ってもらえるんだって」

    2008-02-01 04:03:00
  • 239:

    口◆e5fjrax.NA

    「だーめ!明日の朝早起きして頑張るから持って行ってよ!」
    「えーーー」
    家に着くと、二人はお菓子をバクバク食べながら、最近の近況報告をしあった。

    2008-02-01 04:03:00
  • 240:

    口◆e5fjrax.NA

    「愛美さんっていい先輩じゃーん。」
    「どこが・・・円ぁ・・・その奈々子って友達、早く切った方がいいよ。絶対なんかしでかすって」
    「でしょー?なんか幼馴染がジャニーズに入ったとか言うんだけど、オナチューの子達はみんな飽きれてた。また始まったよーみたいな」

    2008-02-01 04:04:00
  • 241:

    口◆e5fjrax.NA

    「そーいう奴いるよなぁ・・・んで・・・和田となんかあったの?セックスでもした?」
    「・・・・してないよ・・・キスした・・だけ」
    お菓子と口を往復していた円の手がピタリと止まる。
    「キスー??キスだけで終ったの?」

    2008-02-01 04:04:00
  • 242:

    口◆e5fjrax.NA

    ストレート過ぎる大の問いかけに、円は固まってしまう。
    「・・・終んなかった・・・から、嫌って言ったら・・・ケンカになって・・・一昨日から一緒に学校行ってない。」
    あらま・・・

    2008-02-01 04:04:00
  • 243:

    口◆e5fjrax.NA

    「ふーん・・・」
    そのまま二人は無言でお菓子を爆つき、袋がからっぽになったので寝ることにした。
    「絶対、明日胃もたれるね」
    「お前、俺の小遣いなんだからって胃に言え」

    2008-02-01 04:05:00
  • 244:

    口◆e5fjrax.NA

    「・・・もっともたれるかも・・・」
    「塾のコトは母さんに言うけどさ・・・多分母さんも塾とかわかんねーし、円自分でどっか探して来いよ?」

    2008-02-01 04:05:00
  • 245:

    口◆e5fjrax.NA

    「うん。ごめんね・・・ありがとう大。大が困った時は言ってね?お返しするから」
    「男とエッチする時は、どうすればいいのか教えてね。」
    「ばか」
    翌朝、大が起きた時には円はもう家を出ており、まだ温かいマドレーヌが机の上にラッピングされていた。

    2008-02-01 04:06:00
  • 246:

    口◆e5fjrax.NA

    今までのもくじです>>301

    2008-02-01 04:08:00
  • 247:

    応援してます!!早く続き読みたいです☆

    2008-02-20 05:53:00
  • 248:

    名無しさん

    気になる?

    2008-03-20 03:12:00
  • 249:

    名無しさん

    読みたいです!

    2008-06-01 22:43:00
  • 250:

    名無しさん

    読みたいです!

    2008-06-01 22:44:00
  • 251:

    名無しさん

    今までの中で一番おもしろい?
    かいてぇ?

    2008-10-13 02:05:00
  • 252:

    名無しさん

    あげ

    2008-11-01 19:57:00
  • 253:

    名無しさん

    ?

    2009-03-12 00:10:00
  • 254:

    名無しさん

    うわ〜むちゃ続き読みたいっー!!主さーん、続き書いて下さい?

    2009-05-05 23:44:00
  • 255:

    名無しさん

    途中からおもんなくなって読むのやめた

    2009-05-06 20:29:00
  • 256:

    名無しさん

    続き

    2009-05-17 17:46:00
  • 257:

    名無しさん

    2011-09-12 23:44:00
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