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俺ら、いくらで買ってくれますか?

スレッド内検索:
  • 1:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ようやく夢に見たNO.1にのしあがった。今、あいつらは二人は今何やってるんだろう?
    紫苑、ヒカリ。
    たまには俺だって感慨深くなるさ。
    会いてぇな、お前らに。

    2005-11-09 22:42:00
  • 2:

    ?

    ファイト?

    2005-11-09 22:56:00
  • 3:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    強烈な個性でなく、身近に感じられる、お茶の間アイドルに近いのだろう。
    とっつきやすさと、人見知りしない性格も助けゆっくりではあったが、確実にお客とホスト仲間の人気を集めていった。
    ナンバーがあがるごとに風格も備わりだす。

    2005-11-09 23:06:00
  • 4:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ホストを始め2年半、長かった下積みを乗り越えようやく称号を手にした。
    この店ではなく、この街の『NO.1』。

    2005-11-09 23:30:00
  • 5:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    人があふれる歓楽街の一等地。地下に導く階段を下りれば細かな細工の施されたシャンデリア、アンティークものだろうか重厚なグランドピアノ。そして50人を越える男たちが出迎える。『CLUB E'S』

    2005-11-09 23:38:00
  • 6:

    ?リんカ|?

    楽しみにしてます?頑張って?

    2005-11-10 01:36:00
  • 7:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ?さん、?りんか?さんありがとうございます?
    また今から少し書き進めていきます?

    2005-11-10 03:10:00
  • 8:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    自分の私物をしまい込み、適当なテーブルに腰を下ろすとポケットの中からセブンスターを取り出し、火を点ける。
    重くてクセと甘味を感じながら灰の奥まで煙を吸い込んだ。
    「おはよう、トウヤ。今日は一人淋しく出勤か?」

    2005-11-10 03:22:00
  • 9:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    NO.2にして店長のカイだ。「俺はいつでもロンリーボーイさ、お兄さん」
    濃い煙を吐き出し、おどけながら言った。
    トウヤとカイは入店時期こそトウヤの方が早かったが、店で一番仲が良い。
    あえていうなら好敵手。ジャニーズのような美少年顔のカイは強敵だった。

    2005-11-10 03:32:00
  • 10:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「まぁ今日も頑張ろうぜ?ロンリーボーイ」
    拳をぶつけ合い、カイはバックに戻って行った。
    タバコを灰皿に押しつけ、本日のメールチェック。
    …《今日、行ってもいい?会いたいょぅ…美沙子》
    美沙子はソープ嬢。

    2005-11-10 03:40:00
  • 11:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    カチカチ。
    …《だるいから店休んだ。でもトウヤには会いに行くねぇ?セリナ》
    セリナは銀座のホステス。早い時間に来そうなのはとりあえずこの二人…。すぐさまメールを打ち返す。
    その間にも数件の新規メールがトウヤの携帯に飛び込んでくる。
    マメにマメに。女を落とすためにはひたすらマメに。

    2005-11-10 03:46:00
  • 12:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    女はメールが好きだ。文字で愛を語り、絵文字で可愛くしめる。女たちはトウヤの愛とハートのつまったメールを保護し、まるで、その愛を確認するかのように何度も読み返す。
    だからこそ一通一通気が抜けない。
    返しても返しても、すぐさま降ってくるメールの嵐に追われていると、あっという間に開店時間だ。

    2005-11-10 03:52:00
  • 13:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    予想どおり、指名客一番乗りは美沙子だった。
    最近指名で通うようになった美沙子はこの辺りではそこそこ有名な子だ。雑誌も頻繁に登場してる。それにもう一つ、『初回荒らし』としても有名だった。
    初回でその店のナンバーワンを呼び付け品定め。気に入らなければ罵詈雑言を浴びせ、初回料金だけでホストに一気を強要する。

    2005-11-10 03:59:00
  • 14:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    厄介な女ということでも有名だった。
    美沙子が現われたのはほんの2ヵ月前のこと。噂どおりナンバーワン指名だ。
    しかし美沙子は現われたナンバーワンに拍子抜けした。

    2005-11-10 04:03:00
  • 15:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    たいがいの店では初回でナンバーワンを呼び付けたりすると、ダルそうにやってきた。お前、初回料金だけで俺を呼んでいいと思ってんの?せめてシャンパン一本俺に空けてから呼べよ。
    笑顔の裏からそんな声が聞こえてきそうだった。
    自信と金に溢れた彼らが嫌いだった。

    2005-11-10 04:08:00
  • 16:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ここはこの街で100はあるだろうホストクラブの中で一番大きくて有名だ。そこのNO.1なんてどんな偉そうな奴かと思っていたら、かなり普通の男だった。
    クラスで一人はいるであろうお調子者、トウヤはそんな感じ。
    こちらのペースも関係なしにどんどんと話を振り、一人で盛り上がる。

    2005-11-10 04:14:00
  • 17:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    こっちのことなんかお構いなしだ。最初は警戒していた美沙子も、なんだか警戒している自分が馬鹿らしくなり思わず笑ってしまっていた。
    「美沙子ちゃん、笑うほうがかわいいじゃん!笑わないと福もやってこないよ〜」

    2005-11-10 04:17:00
  • 18:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    気付いたらトウヤのペースにすっかりはまってしまっていた。何を強要するわけでも、欲求するわけでもない彼をいつのまにか指名して、E'Sに通うようになった。仕事柄ストレスは計り知れない。いつ来ても底抜けに明るいトウヤに慰められている。

    2005-11-10 04:23:00
  • 19:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-10 05:59:00
  • 20:

    名無しさん

    見てます?早く続きみたい

    2005-11-10 19:12:00
  • 21:

    らむ

    らむの∪おリ+ニ゙ッちゃ?

    2005-11-10 20:31:00
  • 22:

    名無しさん

    なんかdeeploveホストのぱくりみたいな小説やな

    2005-11-10 22:41:00
  • 23:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんありがとうございます。         今から書いていきます。 >24さん        ディープラブとはまったく違った構成になってますので、よかったら見ていってください。

    2005-11-11 00:38:00
  • 24:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「美沙子おはよ!今日は何のみたい気分?」
    美沙子の頭にポンッと手を乗せて顔を覗き込み、無邪気な笑顔でトウヤが尋ねた。
    「トウヤは美沙子に何飲ませたい??」
    毎回変わらない同じ質問。もちろん同じ返答はしない。

    2005-11-11 00:46:00
  • 25:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    少し考えた末、今日のドリンクをボーイに耳打ちする。ボーイが頷き、バックへ戻って行った。
    「何頼んだの??」
    「カムカム」
    「カムカム?何それ?新しいカクテルかなんか?」
    スッとボーイがやってきて透き通った赤いような黄色いような液体の入ったグラスを美沙子の前に置いた。

    2005-11-11 00:59:00
  • 26:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    美沙子が添えられたストローで一口飲んでみる。ほのかに甘く、酸味がありスッキリしていた。アセロラジュースに近いか。
    「カムカムってブラジルかどっかの果物らしいよ。アセロラジュースよりもビタミンが豊富なんだって。ちょっとお肌荒れ気味」
    そう言って美沙子の頬を軽くつねった。

    2005-11-11 01:06:00
  • 27:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    はっとして、思わず顔を手で覆い隠す。
    「トウヤ変なとこ細かく見すぎだよ!」
    最近確かに忙しくローションで肌が荒れがちだった。「疲れてんの?お姫さまは無理したらダメでしょ〜?疲れたときは俺の胸にカムカム」

    2005-11-11 01:33:00
  • 28:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    プッ…
    「トウヤ本当はそれが言いたかっただけじゃないの!?ほんとくだらない事ばっかり言うんだから…もうちょっと貫禄ある言葉をいいなさいよ」
    「永遠の少年には貫禄必要ないからね〜はぁーい、お疲れカンパイ!」

    2005-11-11 01:49:00
  • 29:

    とうや#

    ほんとに良く細かいところまで気がつく。
    新しいスカルプ、新色のグロス。
    お客より、店の女の子より、ちゃんと変化に気づいてくれる。

    2005-11-11 02:00:00
  • 30:

    トウヤ

    今からPCで書き込みさせてもらいます。
    ややこしくなってすいません。

    2005-11-11 02:04:00
  • 31:

    トウヤ#

    そんなトウヤに美沙子はどんどん引かれていった。
    しかし、そんな美沙子に気づいているのかいないのか、色めいたことを一切言ってこない。
    物足りなくはあったが、軽い口調とノリとは裏腹なそれが逆に安心だった。

    2005-11-11 02:10:00
  • 32:

    トウヤ

    「トウヤさん、失礼します…」
    ボーイがトウヤの横に来て耳打ちする。
    どうやらセリナが予定よりも早く到着したらしい。
    「美沙子ちょっといい子しといてな??」

    2005-11-11 02:13:00
  • 33:

    トウヤ

    「わかった。早く戻ってきてね」
    にっこりと笑顔を残し、トウヤはセリナが通されたテーブルへと足を速める。
    セリナは銀座で半年、というまだホステスとしては長くないが、財政界にも通じている大物のパトロンがいるらしく、かなりの太客だ。


    2005-11-11 02:18:00
  • 34:

    名無しさん

    おもろいからアゲ??

    2005-11-11 02:19:00
  • 35:

    トウヤ

    「セリ〜、ちょっと早かったな。そんなフェイントで俺を揺さぶろうって作戦か!?さすがやり手だ…」
    大げさなリアクション。
    セリナが笑うのと同時に横に滑り込み座る。
    「今日仕事休んじゃったの」
    「なんで?ヤな事あった?」

    2005-11-11 02:22:00
  • 36:

    トウヤ

    少しふくよかなほっぺを膨らましながらセリナはタバコを取り出した。
    すかさずライターで火をつけ、灰皿を用意する。
    「ママと喧嘩した…。だってね、トウヤ聞いて?ママったら、池田さんばっかりに売り上げたより過ぎだって言うの。他にもちゃんと新規客を捕まえたりしないとダメ!!って。いいじゃんねぇ?池田さん今月も100万以上お店で使ってくれてるんだよ?」

    2005-11-11 02:26:00
  • 37:

    トウヤ

    池田さんはセリナのパトロン。
    まだ今月始まって数日しかたっていない。このままのペースでいったら月に500万は落としていくんだろう。
    それにプライベートのお小遣い。プレゼント。
    セリナがそれだけ魅力的かどうかはさておいて、よほど気に入られてるらしい。

    2005-11-11 02:30:00
  • 38:

    トウヤ

    商売としていうと、太い客は確かにおいしい。
    他の接客に手を抜いてしまってもそいつがかぶってくれたら済む。だがそれをやってしまうと、その客が切れた時に痛い思いをするのは自分だ。
    太い客はあくまで宝くじ。
    細くても何本も客を持っているほうが最終的には自分のためになる。

    2005-11-11 02:33:00
  • 39:

    トウヤ

    だがそんなことは絶対に口に出さない。
    セリナは…いや女の子全般そんな説教じみたことは期待していない。しっかりと、優しく自分のこぼす愚痴を「うん、そうだね」と言って聞いて欲しいのだ。
    あくまで挟むのは相槌。
    これに徹する。

    2005-11-11 02:37:00
  • 40:

    トウヤ

    今夜も俺はイエスマンだ。
    「セリナは悪くないし……そう思うでしょ?トウヤも」
    「そうだな、セリナは悪くない。でもママも心配してくれてる、そうだろ?賢いセリナはそれくらい分かってるか。でもムカつくことはムカつくもんな」

    2005-11-11 02:41:00
  • 41:

    トウヤ

    同意して、少し反対し、最後に相手の意見を通す。
    これが聞くテクニック。
    同意だけじゃ本当に聞いているのか疑う。
    でも反対されたらムカつく。だれもお金を払ってムカつきたくはないし分かってることで説教されたくない。

    2005-11-11 02:44:00
  • 42:

    トウヤ

    だから最後にこうやってきっちり相手の意見を通してやるのだ。
    「トウヤはほんと優しいよね、ちゃんと話聞いてくれるし」
    素直なところはかわいいよ。
    心の中の声。

    2005-11-11 02:48:00
  • 43:

    名無しさん

    2005-11-11 08:47:00
  • 44:

    トウヤ

    >36さん ありがとう!
    >45さん 読みやすくしてくれてありがとう!
    今からまた書いていきます。

    2005-11-12 01:21:00
  • 45:

    トウヤ

    「ほんとトウヤはくだらない話とかでも馬鹿にせずにちゃんと話し聞いてくれるもん。セリナうれしい…」
    「はぃ、自分の悩み事をくだらないとか言わないの」
    セットされてない少し痛んだ栗色の髪の毛を、手ですくいながら微笑む。いっちょ上がり。
    セリナも満面の笑みを浮かべていた。

    2005-11-12 01:34:00
  • 46:

    トウヤ

    「ねぇトウヤ、しゅわしゅわしたの飲んでいい??」
    「ほほぅ、それはどのようなものですかなぁ〜姫様。お色は何色で?お姫様にお仕えする下僕の一人といたしましては、姫様の淡いくちびるのような桃色がよろしいかと」
    「もう!そうやって言われたら断れないじゃん、もぉぉしょうがないなぁじゃあピンドンで」
    今のこの勢いを逃さないように、すぐさまボーイを呼びつけ用意させる。

    2005-11-12 01:44:00
  • 47:

    トウヤ

    「ピンドンいただきやしたぁ〜〜!!」セリナの席の周りに続々とホストが集まりだし、E'S自慢のシャンパンコールがマイクを伝い広い店内に響き渡る。火蓋が切って落とされた。今宵もお姫様たちの夢の舞台が繰り広げられる。誰がお姫様の落としたガラスの靴を拾うか、若い男たちの熾烈な争奪戦。

    2005-11-12 01:51:00
  • 48:

    トウヤ

    今夜も客が引ききることはなく、すべての業務を終えて、一息つくころはすでに昼前。
    仕事を終え続々とホストたちが引き上げる。広い店内にはカイとトウヤだけになっていた。
    「ああぁあぁ、気持ち悪い…。最後のワインで悪酔いしたかなぁ…。」
    トウヤがへばることは珍しい。

    2005-11-12 02:11:00
  • 49:

    トウヤ

    「今日お前意味分からん一気しすぎだから」
    GPSの煙を吐き出しながら、ぐったりソファにへたり込むトウヤにカイが笑いながら言った。
    「おうよぉ〜せっかく手に入れた地位を取り返されたらたまんねぇよ。カイはジャニースでも入ってMステでも出てればいいだろ〜」
    「でもほんとお前よく頑張ってるよな。実際、俺抜かれると思ってなかったもん。入った当時はあんなにやる気なさ気だったのに。何かあった?お前を突き動かすスペシャルな出来事でも」

    2005-11-12 02:17:00
  • 50:

    トウヤ

    スペシャル…。
    あれは、ある意味悪夢で、そんでクソってほど大事な。
    一枚の写真も、お前らと過ごした事実を示すものなんてなんもないけど。
    でもあれは20歳の事実。


    2005-11-12 02:21:00
  • 51:

    トウヤ

    =2年前=
    俺はトウヤ。「山崎透夜」これが本名。
    親は知らない。昔からお世話になってるのは叔父の家だ。そこでは親の話は禁句。
    叔父らは気を使って育ててくれているのは分かったが、どこか一線引かれて育てられているという事位、子供でも分かった。

    2005-11-12 02:27:00
  • 52:

    トウヤ

    先輩のススメで、金融屋をやったり、軽い運びをしたり。
    ヤクザの下っ端のような危ない橋を渡っていた。
    それでも金回りは悪くなかったので、その年にしたら金を持っていたので先輩に連れられ、あるいは連れを誘っては繁華街を飲み歩いていた。

    2005-11-12 02:33:00
  • 53:

    トウヤ

    ↑上、文章おかしいですね。
    「金回りは悪くなく、」
    で読んでやってください。

    2005-11-12 02:34:00
  • 54:

    トウヤ

    その時出来た連れのひとりがホストをやっていたので、イレギュラーで俺も週の何日か出勤していた。
    金を持ち遊び歩いていた俺にとって、ホストという仕事は暇つぶし、や小遣い稼ぎでしかない。
    ただで酒は飲める。
    言い寄ってくる客は片っ端から喰える。

    2005-11-12 02:39:00
  • 55:

    トウヤ

    それはそれは楽しい暇つぶし。
    売り上げや、順位、そんなもの眼中にない。
    そのうちサイトで嫌ってほど叩かれだし、店にも白い目で見られはじめていたが、嫌になれば辞めればいい。
    俺には本職あるし??そんな気持ちでホストをやりだし4ヶ月がたった。

    2005-11-12 02:45:00
  • 56:

    トウヤ

    急に俺の身辺が慌しくなる。
    周りが次々パクられだしていく。
    昨日一緒に飲んでたやつがパクられた、と聞いた時は本当に血の気が引いた。
    さすがの俺もヤバイと思い出し、その街から離れたのだった。

    2005-11-12 02:49:00
  • 57:

    トウヤ

    流れ流れて、大きな大きな街にたどり着く。
    こんなに人が多ければ隠れる事も容易に出来るのではないかと思い、その街で暮らし始める。
    だが手元にはあまり金がない。
    こんな事なら飲みに行くんじゃなかったと後悔してもすでに遅い。

    2005-11-12 02:52:00
  • 58:

    トウヤ

    住み込みで働けて、金になる仕事。でも指名手配されているかもしれないから、堂々と働きにくい。
    悩みに悩んで考えついたのが、またホストという道。
    今から考えてみると、指名手配はされていなかたんだろう。
    でもそのときの俺は必死だった。

    2005-11-12 02:55:00
  • 59:

    トウヤ

    求人誌を隅々まで覗き込み、「ホスト募集」という欄を食い入るように見つめる。この街のことはまったく知らないからどこがいいのかさっぱりわからない。ぱらぱらページをめくっていくと、目が留まった。「CLUB E'S」

    2005-11-12 02:57:00
  • 60:

    トウヤ

    この街のことは知らなくても、名前を知っているほどの有名店。
    よくTVのドキュメンタリーでやっていた。
    その時は気にも留めてなかったが、自分の勘と、その知名度を信じ電話をして面接の約束を取り付けた。

    2005-11-12 03:00:00
  • 61:

    名無しさん

    ゃばぃ?はまた??がんばってね??

    2005-11-12 05:00:00
  • 62:

    名無しさん

    2005-11-12 11:10:00
  • 63:

    トウヤ

    65さん ハマっていただいてありがとう(笑)
    66さん 続き書いていくので、また読んでやってください!

    2005-11-13 01:03:00
  • 64:

    トウヤ

    電話をした次の日、着古したスーツを着込み俺は店に足を踏み入れる。広くて豪華な店内。さまざまな、でも男前のホストたち。
    空気に圧倒される。
    だが、ぶっちゃけ自信はあった。なんだかんだ言われてたが前の店でもTOP10には入っていたし、多少大きな店であっても基本事項は変わらない。

    2005-11-13 01:10:00
  • 65:

    2児のママ

    ゥチの次男トゥヤ(冬哉)ってゅぅ名前?応援してるから頑張って(^O^)v

    2005-11-13 01:17:00
  • 66:

    トウヤ

    俺を面接してくれたのは当時店長をしていたシンゴさん。
    簡単な経歴や目標を聞かれ、寮に入ることもすぐ許可された。なんだ大きい店だから面接ももっと厳しいかと思ってたけどめちゃくちゃ楽勝。
    こんな店だったらちょっとまじめにやればすぐある程度金も入ってくる。

    2005-11-13 01:24:00
  • 67:

    トウヤ

    そんな俺の考えが読めているかのようにシンゴさんが口を開く。
    「うちは来るもの拒まず、去るもの追わずだから。まぁ頑張ってみたら?ただうちの名前を落とすようなことがあればすぐ切るから。まぁ頑張って?」
    そう言って席を立たれた。
    そんな言葉俺には届かない。その日のうちに寮に荷物を運び、次の日から仕事に入った。

    2005-11-13 01:29:00
  • 68:

    トウヤ

    予想していたキャッチもない。
    週末のためか店は忙しく、ヘルプにつきっぱなし。
    バタバタしてすぐに過ぎていく。

    2005-11-13 01:31:00
  • 69:

    トウヤ

    >2児のママさん
    応援ありがとうございます!
    でもトウヤに下手なことさせられないですね(笑)

    2005-11-13 01:33:00
  • 70:

    トウヤ

    E'Sに入って1週間。何かが違う。全然指名されない。それどころかヘルプについても鼻で笑われることが多い。下手すりゃ口すら利いてもらえない。なんでだ??

    2005-11-13 01:35:00
  • 71:

    トウヤ

    先輩のホストたちは何も言わない。
    こっちに危害を加えることもなければ、こっちに興味を持って世話を焼くわけでもない。
    トウヤから話しかけなければ、話も振られない。

    2005-11-13 01:37:00
  • 72:

    トウヤ

    自力で指名を取れるようになるまではE'Sの一員とは認められない、そんな空気が漂っていた。意味が分からない。普通新人が入ったら世話とか焼くもんだろ!?なんだこの店は…。まるで俺はいないものかのように扱いやがって。

    2005-11-13 01:40:00
  • 73:

    はまりました??楽しい??頑張って下さい??

    2005-11-13 05:23:00
  • 74:

    憂奈

    頑張れ???゛

    2005-11-13 06:13:00
  • 75:

    みお

    おもしろいですよ〜!!

    2005-11-13 16:03:00
  • 76:

    ????????????????????????

    2005-11-14 11:59:00
  • 77:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-14 13:36:00
  • 78:

    名無しさん

    2005-11-14 14:45:00
  • 79:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんアゲてくれてありがとうございます!
    いま少しバタバタしてるので落ち着いたら書かせてもらいます。
    待っていてくれた人本当にすいません。
    完結させますので、少しの間待っていてください。

    2005-11-14 21:57:00
  • 80:

    憂奈

    待ってまぁす?

    2005-11-15 17:04:00
  • 81:

    トウヤ

    時間出来たので、少しだけ書いていきます。しかし言ってもまだ一週間。焦ってもしょうがない、一ヶ月もするころには仕事も覚えなんとかE'Sにもなじめてくるだろう。そう思っていた。

    2005-11-15 19:32:00
  • 82:

    トウヤ

    だが一ヶ月後も自体は変わらない。指名もない。さすがに焦りが生じてくる。
    トウヤの少し後の入ったカイは、今までにどこかでホストをしていたらしく、もうすでに何人かの指名客を持っていた。
    …このままじゃカッコもつかねぇ…。
    何か自分で行動を起こさないと、まずいよなぁ。

    2005-11-15 19:35:00
  • 83:

    トウヤ

    そう思いみんなより早起きし、街頭キャッチを始める事にした。
    「すいませ〜ん、今時間あります??」
    「・・・」
    「仕事から帰るの?どっか遊びに行くの?
    「・・・」

    2005-11-15 19:37:00
  • 84:

    トウヤ

    ナンパには自信があったトウヤだがことごとく素無視される。
    この街では、返事を返すなり笑って断るなり、そんな愛想もクソもないのか!?
    毎日毎日路上に立つが、成果は一向に上がらない、よくて電話番号を聞き出せるだけだ。

    2005-11-15 19:39:00
  • 85:

    トウヤ

    俺、ホスト無理なのかもな…。
    来る日も来る日も失敗の連続。今日も休みの日を割いてキャッチをしている。さすがに落ち込んで、街の片隅でしゃがみ込んでいた。
    季節はもうすぐ冬だ。
    深夜になると少し息が白くなる。

    2005-11-15 19:42:00
  • 86:

    トウヤ

    タバコをあまり星の見えない空に向かって吐き出す。
    東京は甘くねぇ…かぁ。
    吐き出し、正面を向くと女が一人しゃがみ込んでこちらを向いている。
    「うわぁって、びっくりした〜!!どしたの!?」

    2005-11-15 19:51:00
  • 87:

    トウヤ

    不意のことで驚き、思わず意味の分からない声を出してしまった。
    「・・・タバコ、セッタ??一本くれへん?」
    「関西弁…はじめて聞いた!!すげぇなぁ!儲かりまっかぁとかいうんだろ!?」
    タバコを差し出し、初めて関西弁に少し興奮しながら答えた。

    2005-11-15 19:55:00
  • 88:

    トウヤ

    「ありがと、ってかそんなん言わへんしな。日曜やのにキャッチ?仕事めっちゃ頑張ってんなぁ」
    そういうと、黙って火をつけ、重いタバコを灰に入れていく。
    暗めの茶髪。お姉系の服。落ち着いた声と喋り口。
    「そうだよ。東京は厳しいからなぁ、全然指名とか取れないしさ。カッコつかないだろ??ちょっとは頑張らないとさ」

    2005-11-15 20:00:00
  • 89:

    トウヤ

    わざわざこんな事言うこともなかったが、その落ち着いた口調に思わず本音が口をついた。プライベートで誰も喋る相手もいなかったし、ストレスもたまっていたのだろう。
    「大変やでぇ、こんな混沌とした街で生き延びるのは。誰を信じたらいいのか、何を生きる糧にしたらいいのか、それを見つけることもしんどいしな」
    細く長い指で、汚い地面に灰を落としながら女は言った。

    2005-11-15 20:12:00
  • 90:

    トウヤ

    「女の子一人でこんな場所いたら危ないよ??待ち合わせでもしてるの?こんな時間から。」
    すでに時刻は深夜二時を過ぎている。日曜のため人影もまばらだ。
    「せやで〜。友達が一人仕事終わってもうすぐ来るねん。あんたも暇やったら一緒に飯でも食いにいくかぁ?金とかは心配せんでもええしさ」

    2005-11-15 20:21:00
  • 91:

    トウヤ

    タイミングを見計らったかのように、彼女の携帯から着メロが鳴り響いた。
    「もしもし??あんた遅いわ!なんかなぁ、一人オス犬拾ってんかぁ!飯連れてって言いやろ〜?うん、わかった。待ってるなぁ」
    「いやいや、オス犬って、お姉さんそりゃあんまりだよ」
    電話を切ると同時に爆笑してしまった。

    2005-11-15 20:27:00
  • 92:

    トウヤ

    「あんた犬っぽいやんか、普通に。拾われて感謝せなあかんで!」
    彼女も笑い返す。微笑んだ顔は少しタレ目でふっくらした厚い唇がかわいかった。
    「あっ、紫苑!ここやで!」
    彼女が勢いよく立ち上がり、手を振った。

    2005-11-15 20:30:00
  • 93:

    トウヤ

    紫苑かぁ…綺麗な名前だなぁ、なんて思いながらトウヤも立ち上がり、彼女が手を振った先に視線を向ける。
    視線の先には思わず息を呑んでしまいたくなるほど、華奢で、綺麗で、一目見ただけで人を釘付けにいてしまいそうな、男がいた。
    「それが噂の子犬ちゃん〜?男前じゃん。いい拾い物したねぇヒカリ」
    男がすたすたこちらに近づいて、よぉ、と手を上げ笑いかけてきた。

    2005-11-15 20:37:00
  • 94:

    トウヤ

    絶世の美男、紫苑。
    関西弁の女、ヒカリ。
    この二人が俺の人生をああも引っ掻き回すなんて、このときの俺は全然思いもしなかった。

    2005-11-15 20:39:00
  • 95:

    名無しさん

    ????????????

    2005-11-15 23:10:00
  • 96:

    名無しさん

    ?00(*´・д)(д・`*)ネー

    2005-11-16 00:54:00
  • 97:

    ????????????????????????

    2005-11-16 01:44:00
  • 98:

    名無しさん

    ?????

    2005-11-16 16:08:00
  • 99:

    名無しさん

    2005-11-16 16:40:00
  • 100:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    みなさんあげてくれてありがとうございます★
    少しですが更新していきます!

    2005-11-18 03:06:00
  • 101:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    どこにいくかと着いて行ってみると、有名ななクラブだった。SPに目配せし、紫苑がずんずん奥に進んでいく。
    ヒカリも物怖じしていない様子から何度も足を運んでいることがうかがえた。

    2005-11-18 03:09:00
  • 102:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    フロアをあがり、一番奥に進んでいくと防音ガラスで仕切られたVIPルームになっていた。
    大きくやわらかそうな白いソファに紫苑とヒカリがどかっと座る。
    「何つっ立ってるの?早く座りなよ」

    2005-11-18 03:13:00
  • 103:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    紫苑にうながされて、あわてて席についた。
    「これはこれは、いつもありがとうございます」
    黒服の男が頭を深々と下げにくる。ネームプレートにば支配人"の文字。
    「お腹すいてるし、なんか適当に持ってきてよ」

    2005-11-18 07:59:00
  • 104:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    ガラスが防音になっているので、外の喧騒はあまり伝わってこない。
    日曜なのにかかわらずフロアのなかは人で溢れかえっている。
    トウヤはガラス越しに人々の熱気をぼーっとみていた。

    2005-11-18 08:06:00
  • 105:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「お待たせいたしました」次々とテーブルに料理が運ばれてくる。
    シャンパンが抜かれ、各々の前にグラスが並べられた。
    「んぢやぁ、よい拾い物をした記念に乾杯でもしようか」

    2005-11-18 08:25:00
  • 106:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    乾杯を交わし、出された料理に箸を付ける。キャッチをずっとしていて何も食べていなかったのに今気付いた。
    うまいなぁ〜コレ…。二人に目をやるとなごやかに会話している。ふと疑問がよぎった。

    2005-11-18 14:44:00
  • 107:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    こいつらはいったい何者なんだろう?若いのにこの待遇、この羽振り。
    同じ業界か?それとも…?「子犬たんどぉしたぁん、うちらの顔じっと見て。言いたい事あったらはっきりいいやぁ!」
    視線に気付き、ヒカリが言葉を投げ掛けてくる。

    2005-11-18 14:48:00
  • 108:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「じゃぁ聞くけどお前ら一体…」「何者なんだ?って聞きたかったんでしょ」
    トウヤから言いおわる前に紫苑が言葉を遮った。
    心を読み透かされた気分になり少し恥ずかしくてうつむいてしまう。

    2005-11-18 14:53:00
  • 109:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「そうだね、自己紹介もまだだった。子犬君からまずしてよ、いいだろ?」二人の視線に見つめられ、気まずいながらも口を開く。「…俺はトウヤ。山崎透夜。いろいろあって今E'Sっていうとこでホストをしている…」簡単に今までの経緯を話す。

    2005-11-18 14:58:00
  • 110:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-18 15:56:00
  • 111:

    ぉまめ ◆X/l2UzVPhE

    感想ありがとうございました☆しおり☆

    2005-11-18 16:44:00
  • 112:

    名無しさん

    2005-11-18 17:51:00
  • 113:

    あぃか ◆IzbMcnjBBo

    今日初めて見て一気に読んだょ??
    すごぃおもしろぃっ??時間ぁる時ゅっくりでぃーから、頑張って完結させてなぁ??

    2005-11-18 20:36:00
  • 114:

    トウヤ

    皆さん上げてくれて感謝します!
    本当にマイペースになりますが、頑張ります。

    2005-11-19 13:43:00
  • 115:

    トウヤ

    「…っていう感じかな。二人はどうなんだ?俺いきなりだし、名前も聞いてないしさ。いきなりこんなVIP待遇で正直驚いてるっつーか」
    「そら〜そうだよね〜んじゃヒカリ次してよ」
    常に微笑を絶やさぬ紫苑がシャンパングラスを回しながら言った。

    2005-11-19 13:54:00
  • 116:

    トウヤ

    食べていたパンを飲み込み、ペリエで流し込むと立ち上がる。
    「あたしはヒカリ。分かると思うけど、大阪生まれやねん。まぁなんでこっち来たかはさておき。ん〜仕事?なんて言うたらええかあんま分からんけど、さくっと言うと個人SMやってるねん。店舗ととかには属してなくて…村上隆のトパーズって本読んだことない?まぁ簡単に言うと個人契約のSM嬢ってやつやな。あっ、引いた?普通の人やから大丈夫やで」
    と一気に言い切った。

    2005-11-19 14:05:00
  • 117:

    トウヤ

    「S…M…」
    突然のことに言葉がすぐに紡げず、一瞬沈黙。
    「…あはははは!!ほら、ビックリしてるよ!ヒカリ。あんま普通の人を驚かせたらダメだろ〜??」
    「だってさぁ、それ以外説明できんくなぁい??」

    2005-11-19 14:13:00
  • 118:

    トウヤ

    「もっとオブラートに包んでやさし〜くまろやかに説明しなよ」
    「もぉイイって!はい次紫苑!」
    「ただいま紹介に預かりました、僕が紫苑。もう名前は分かるよね。僕の仕事は愛人さ。男でも女でも飼ってくれる人なら誰でも飼われる。言うなればペット業だね」

    2005-11-19 14:17:00
  • 119:

    トウヤ

    頭がくらくらしてきた。
    俺もたいがいまともじゃない生活をしてきたつもりだが、この二人は何でこんな爽やかに、こんな激しい職業を暴露してるんだ。
    「みてみて、ヒカリ。トウヤ君本気で困ってるじゃん」

    2005-11-19 14:27:00
  • 120:

    トウヤ

    「ヒカリより、あんたのほうが困らしてるんちゃうん?あ、ちなみにトウヤはいくつなん?」
    「あっ、俺は今年20歳だけど」
    「ほんと〜??僕ら三人とも同い年じゃん。奇遇だね〜せっかくだし、トウヤ君家おいでよ。僕ら一緒に住んでるんだ。ルームメイトってやつ」

    2005-11-19 14:32:00
  • 121:

    トウヤ

    「どうせ今ホストの狭い寮にでも住んでるんだろ?部屋余ってるし。トウヤ君悪いやつじゃなさそうだしね。こういうのも何かの運命だと思わない?」
    「ほんまやなぁ!みんなで住もうや。みんなですんだら楽しいで?いいやろトウヤ」
    いったい何がどうなってこういう展開になってしまったんだ?まだ会って2時間ほどしか立ってないのに。
    「いや、いいやろっていうか…。なんで俺にそんなこというの?ってよりなんで俺にそんな気を掛けてくれるんだ?」

    2005-11-19 14:37:00
  • 122:

    名無しさん

    2005-11-20 01:07:00
  • 123:

    名無しさん

    おもろい??頑張って下さい〜??

    2005-11-20 12:09:00
  • 124:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-20 13:19:00
  • 125:

    名無しさん

    ????????

    2005-11-20 15:30:00
  • 126:

    トウヤ

    見てくれている人ありがとうです★
    エラーなるかもしれませんが書けるだけ書いていきます!

    2005-11-21 02:52:00
  • 127:

    トウヤ

    紫苑とヒカリがビックリしたような顔こちらを見る。
    そしてふいにヒカリが言う。
    「んじゃあ、トウヤはなんで得体の知れないあたしらに着いて来たん??」
    「それは…」

    2005-11-21 14:34:00
  • 128:

    トウヤ

    思わず言葉に詰まる。
    「なんて言うか。なんとなく着いて行きたくなったっつーか…?難しいことはよくわかんないんだけど。直感みたいな感じかな」
    「やろ?あたしもそうやもん。物事に理由とかいらんくない?なんも感じやんやつをご飯に誘ったり、ましてや紫苑が一緒に住もうとかいわへんやん。なんか感じるものがあって、お互い何か感じて、引き寄せられてるからここにこうやっておるんちゃうんかな」

    2005-11-21 14:48:00
  • 129:

    名無しさん

    2005-11-21 14:52:00
  • 130:

    トウヤ

    紫苑が付け合せのチェリーを口に頬張りながら頷いた。
    「そういうことだよ、トウヤ君。まぁ家の件はどちらでもいいよ、強制できることではないし、いきなりの話だしね…」
    「いや、俺一緒に住むよ!!」
    自分でもビックリするほど大きな声。俺はとっさに言ってしまった。

    2005-11-21 14:58:00
  • 131:

    トウヤ

    何も考えず、それこそ直感で。
    こいつらに何を感じたのか自分でもよく分からなかったが、なんとなくこいつらと一緒にいたい気がした。打算も何もなく。
    「ほんじゃあ、決まり!!荷物とかほとんどないんでしょ!?今から引越ししようよ」
    「まぁじで!?今から!?しゃーないなぁ…よっしゃ、ほなやろかぁ〜」

    2005-11-21 15:03:00
  • 132:

    トウヤ

    俺に発言権はないらしい、どんどん話が進み、その日の2時間後のは俺は紫苑とヒカリが暮らすマンションに座っていた。
    彼らが住むマンションは都心のど真ん中。
    広さは半端ない。
    最近テレビで見た、「社長のゴージャスマンションライフ特集」にでていた家のようだ。

    2005-11-21 15:11:00
  • 133:

    トウヤ

    大きくとられた窓からは眠らぬ街の光が輝いている。
    もう少ししたら、ビルの間から朝日が昇って綺麗なのだろう。
    「トウヤ君、ドンキでいろいろ買ってきたから、あとは自分でコーディネートしなね〜、なんかあったら部屋きて」
    そういい残し部屋の扉が閉められた。

    2005-11-21 15:14:00
  • 134:

    トウヤ

    もともとゲストルームであっただろう部屋のベッドに突っ伏してみる。
    かなりフカフカだ。寮の薄っぺらな布団とは全然寝心地が違うな…それにしても今日はなんだかいつにもまして濃い一日だった…。
    そんなことを考えているうちにいつの間にかトウヤは眠りに着いた。

    2005-11-21 15:17:00
  • 135:

    トウヤ

    次の日、いつものように出勤し、仕事にかかる。でも今日はいつもとは違っていた。
    「トウヤさんVIPルームにお客さんがいらしてます」
    VIP??お客もいない俺が何でVIP?
    不思議に思いながらVIPに向かうとその光景に唖然とする。

    2005-11-21 15:21:00
  • 136:

    トウヤ

    見た顔が一人、といかにもお金持ちそうなマダムが2人。
    紫苑が微笑みながら手を振っていた。
    「来ちゃったよ〜あはは、ビックリしすぎだから」
    「ああっと、いらっしゃいませ、トウヤです!お席失礼します」

    2005-11-21 15:23:00
  • 137:

    トウヤ

    あっけにとられつつ、席に座る。
    「お前…なんで??」
    「仕事中のトウヤ君を見とこうと思ってね〜。ちなみにこの彼女は僕のご主人様の京子さん。そちらにいらっしゃる美人さんは麻美さん。貿易会社の代表をされてるんだ。」
    「はじめまして、トウヤ君。うちの紫苑と仲良くしてくれてるんだって?紫苑に一度会わせたいって言われてね、お邪魔しに来ちゃったわ」

    2005-11-21 16:02:00
  • 138:

    名無しさん

    リアルタイム更新中やん?今日一気に読みましたぁ?おもしろぃ?頑張れぇ?

    2005-11-21 16:05:00
  • 139:

    トウヤ

    余裕のある緩やかな喋り口。
    年は両方とも40を過ぎたくらいだろうか、上質な仕立ての服。金のかかった肌、指には大きな宝石が輝く。
    「いえ、紫苑君には僕のほうこそお世話になってます。こんな美しい女性にお会いできて光栄ですよ」
    作り笑顔でにっこり微笑んだ。

    2005-11-21 16:08:00
  • 140:

    トウヤ

    >>142さん
    ありがとうございます★
    リアルタイムは緊張しますね〜笑

    2005-11-21 16:09:00
  • 141:

    トウヤ

    「ふふ、若い子は元気があってかわいいわね。京子が紫苑君にハマってる理由が分かるわ。こちらまで元気になりそうだもの。みんなで乾杯しましょうか。トウヤ君このお店のお勧めのシャンパンかワインあるかしら?」
    「今すぐリストを持ってこさせますね!麻美さんはワインがお好きなんですか?」
    ボーイにリストを持ってこさせると京子と麻美に良く見えるようにおく。リストを見ながら麻美と京子はどれにするか話し合ってるようだ。
    「ここの席の売り上げはトウヤ君のお給料になるのよね?それならちょっといい物を頼んであげるわね」

    2005-11-21 16:15:00
  • 142:

    トウヤ

    そういうと麻美はこちらにチラッと視線を送った。
    「あら、麻美トウヤ君のこと気に入っちゃったんじゃないの。トウヤ君、しっかり麻美にかわいがってもらいなさいな」
    「やだ京子ったら、こんなおばさん相手にするわけないじゃないの」
    「なんでそんな事言うんですか、麻美さんお綺麗なのに…」
    「そうそう、っていうか麻美さんと同い年の京子さんとラブラブの僕に失礼じゃないですか〜!!」

    2005-11-21 16:20:00
  • 143:

    トウヤ

    アハハ…とVIPルームに笑いが巻き起こる。
    「それじゃこのシャンパンと、ワインを。それとチーズと生ハムの盛り合わせもいただけるかしら」
    「よろこんで!」

    2005-11-21 16:22:00
  • 144:

    トウヤ

    その日京子と麻美は結局100万近くを使って帰って行った。営業終了後店長のシンゴが声をかけてきた。初めての事だ。「トウヤやるなぁ!この調子で頑張れよ。お前もこれでE'Sの一員だな。よろしく頼むよ」ぶっちゃけちょっとうれしかった。自力ではないものの、こうやってお客さんが来てくれて、自分がホストとして認められたんだ。

    2005-11-21 16:28:00
  • 145:

    トウヤ

    来る日も来る日もキャッチに明け暮れ、まともに相手をされない日々が報われた気がした。
    適当にやってたときとはまったく違う。ほんとに叫びだしたいくらいうれしかった。

    2005-11-21 16:30:00
  • 146:

    名無しさん

    2005-11-21 17:34:00
  • 147:

    ??

    みてまぁす??

    2005-11-21 19:04:00
  • 148:

    名無しさん

    あげ?

    2005-11-21 22:48:00
  • 149:

    ?

    書いて???

    2005-11-23 16:59:00
  • 150:

    名無しさん

    おもろい??はまった?頑張ってください?

    2005-11-23 17:41:00
  • 151:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    遅くなってすいませんでした!
    今からまた書いていきます。

    2005-11-24 01:38:00
  • 152:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    仕事が片付くとすぐさま、新しい我が家に足を進める。
    とにかく今は紫苑に礼が言いたくてしかたない。
    あいつ腹減ってるかな…。なんか買っていってやろうか…。

    2005-11-24 01:41:00
  • 153:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    舌の肥えている紫苑が、安物の牛丼で満足するかはさておき、何かせずにはいられない。
    290の牛丼を二つ買い、急いで家路についた。

    2005-11-24 01:43:00
  • 154:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    手渡された合鍵をかざし、オートロックの扉を開ける。
    「紫苑?いるかぁ?牛丼買ってきたけど食う…?」
    返事が帰ってこない。

    2005-11-24 01:46:00
  • 155:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    まだ帰ってきてないのか?紫苑の部屋をノックしても、広い部屋に音が響くだけだった。
    「あ〜誰かと思ったらトウヤやん。おかえり。あんたただいまくらい言うて入りぃやぁ」

    2005-11-24 01:49:00
  • 156:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    パジャマにすっぴんのヒカリが横の部屋から顔を出す。
    「まだ紫苑帰ってきてない?今日店来てくれたから、牛丼買ってきたんだけど」

    2005-11-24 02:04:00
  • 157:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「紫苑ならあのおばはんとこやろ。トウヤんとこでなんぼつこうたんか知らんけど。ちゃんと礼言うときな」
    ふぅ、と息を吐きしらけたようにヒカリが言う。

    2005-11-24 02:08:00
  • 158:

    名無しさん

    2005-11-24 03:02:00
  • 159:

    さく

    続き楽しみにしてます

    2005-11-24 05:31:00
  • 160:

    名無しさん

    ぁげ

    2005-11-25 02:12:00
  • 161:

    名無しさん

    2005-11-25 06:34:00
  • 162:

    名無しさん

    アゲ

    2005-11-25 11:43:00
  • 163:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    また書けるだけかいていきますね!
    待ってくれていた方、ありがとうございます。

    2005-11-26 00:23:00
  • 164:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    「そんなん、紫苑の顔みたらわかるやろ?あの顔やで。紫苑っていくらか知ってる?」
    いくら?というヒカリの言葉に考え込んでしまう。

    2005-11-26 00:27:00
  • 165:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    E'Sは一番安い席の一時間セット料金が8000円。指名料は2000円。TAXを置いておくと、トウヤ一人を呼ぶのに一万円、という料金になる。

    2005-11-26 00:35:00
  • 166:

    さく

    ちょこっと更新?また続き頑張って下さい?

    2005-11-26 04:41:00
  • 167:

    名無しさん

    むっさおもろい頑張って???作り話ですか??

    2005-11-26 07:43:00
  • 168:

    さく

    あげときます

    2005-11-26 16:33:00
  • 169:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-26 18:06:00
  • 170:

    名無しさん

    楽しみにしてます

    2005-11-27 15:07:00
  • 171:

    さく

    あげときます

    2005-11-28 02:39:00
  • 172:

    トウヤ

    みなさん遅くなって申し訳ありませんでした。
    ちなみにこれは作り話ですよ〜。
    すべてフィクションになります★

    2005-11-29 06:21:00
  • 173:

    トウヤ

    「いや全然想像がつかないな…」
    どういう仕組みで金銭のやり取りがあるのか。半分興味もあった。
    「紫苑はな、値段がないねん」
    「値段がない?どういういみか分かんないんだけど」

    2005-11-29 06:24:00
  • 174:

    トウヤ

    「トウヤ愛人クラブとかって分かる?月契約とか、時間契約でいくらって決めて契約するねん。紫苑のところはたしか1時間3万くらい。でも、あの子は人気がありすぎてそういう価値がつけられへんねんて」
    たしかにあの容貌だ。
    「だとしたらどうやって…」
    「金額は時価。つまり、オーナーと紫苑が向こうの提示額に応じれば成立。その7割が紫苑の給料ってわけ」

    2005-11-29 06:32:00
  • 175:

    トウヤ

    自分の部屋に戻り、タバコをふかしながら紫苑のことを考えていた。
    愛人だ。ホストではない。そりゃホストだって自分の力量がなければ、嫌なお客とベッドを共にしなければならないときもあるだろう。
    だかそれは自分の腕次第だし、この世界やらずぼったくりだと最近悟ったところだ。
    なぜどんないやな客でも肌を触れ合わす仕事を紫苑が選んでいるのか、トウヤには分からなかった。

    2005-11-29 06:40:00
  • 176:

    トウヤ

    同居生活も2ヶ月近くになり、だんだんあの馬鹿でかいマンションにも慣れてきた。
    紫苑はあいかわらずいるのかいないのか生活のリズムが合わなかったし、女だから…と最初心配していたヒカリに関しても、向こうが普通に接していてくれているおかげでこちらも気を使わずにすむ。
    そんなある日、疲れた身体を引きずりながら朝方家に帰ると、いつも閉まっているはずのドアが開いていた。

    2005-11-29 06:56:00
  • 177:

    トウヤ

    不思議に思いながらドアを開く。
    玄関には女物の靴。
    ヒカリが帰って来て閉め忘れたのだろうか??
    「ヒカリ〜??帰ってるのか?」

    2005-11-29 06:58:00
  • 178:

    トウヤ

    返事がない。
    まぁ部屋で寝てるのかも知れない。さすがに部屋まで入っていくわけにもいかない。
    とりあえずシャワーでも浴びようと風呂場に入った。

    2005-11-29 07:03:00
  • 179:

    トウヤ

    ドアを勢いよく開けると、大きな全身鏡の前に裸体の女。
    伸びやかな四肢。長く伸びた艶やかな髪。
    と見とれている場合じゃない。
    「ヒカリっ!!!鍵くらい閉めとけよ!!…って…え…?」

    2005-11-29 07:10:00
  • 180:

    トウヤ

    視線を床に落とすと、足元にも流れてくる赤い液体。
    「血…?…ヒカリ…?」
    急いでヒカリにもう一度視線を戻す。
    よく見ると体中に無数の傷跡。みみずばれになっているものも多く、最近のものだと分かる。

    2005-11-29 07:15:00
  • 181:

    トウヤ

    トウヤに気づいたのか、ヒカリが振り返った。
    「トウヤ…お帰り?どうしたん?」
    「いやどうしたってお前…血が…」
    振り返ったヒカリの手には血のついた剃刀。胸部の切り傷からは赤い生生しい血が流れ出している。

    2005-11-29 07:25:00
  • 182:

    トウヤ

    生々しい血と裏腹にヒカリの目はうつろだった。
    どこを見ているのか、視点があっていない。
    言葉もどこか間延びして、ろれつが回っている感じではなかった。

    2005-11-29 07:30:00
  • 183:

    トウヤ

    喧嘩で血は見慣れていたが、こんな正気の状態で見るのは初めてだ。
    気が動転する。
    とりあえず、止血しないと…!!
    と、思った矢先にヒカリの体が崩れ落ちた。

    2005-11-29 07:32:00
  • 184:

    トウヤ

    「ヒカリッ!!!!」
    急いで抱きかかえる。
    ぐったりと力なく寄りかかるヒカリをソファまで運び、急いでジーンズの後ろポケットから携帯を取り出し、紫苑の欄を探す。
    プルルルル…プルルル…。

    2005-11-29 07:35:00
  • 185:

    トウヤ

    コール音がやけに長く感じる。
    「もしもし〜??」
    30秒ほどならすと紫苑がいつもの声で電話に出た。

    2005-11-29 07:36:00
  • 186:

    トウヤ

    「紫苑!!ヒカリが…ヒカリが…」
    何から説明していいのか分からない、頭がショートしてしまったみたいだ。
    「何かあったの?今家に帰ってる途中だよ。後10分かからないくらいじゃないかな」
    深呼吸を何度かし、息を整えてから説明する。

    2005-11-29 07:39:00
  • 187:

    トウヤ

    「分かった。急いで帰るから。とにかく止血しといてね!」
    電話を切るなり、タオルを取りに行き患部に当てる。
    そうこうしているうちに紫苑が家に帰ってきた。
    「ヒカリは?血は止まった?」

    2005-11-29 07:41:00
  • 188:

    トウヤ

    紫苑がトウヤの代わりにヒカリの身体に触れる。
    「こりゃ大量だな。トウヤ、救急車!」
    救急車なんて呼ぶのは初めてだ。
    もうわけがわからない。

    2005-11-29 07:42:00
  • 189:

    トウヤ

    トウヤが少し落ち着いたのは緊急外来の待合室だった。
    ヒカリは今処置を受けている。
    医者の話によると、傷口は深いものの命自体には別状はない、とのこと。
    それを聞いて一気に力が抜けた。

    2005-11-29 07:44:00
  • 190:

    トウヤ

    かれこれ2時間になるだろうか。
    トウヤも紫苑も口を開かない。
    重苦しい空気が流れるだけだった。

    2005-11-29 07:49:00
  • 191:

    トウヤ

    その空気を破るかのように紫苑が口を開く。
    「なんか喉渇いたね〜病院って乾燥してるのかな、なんか飲む?」
    「ああ、なんか買いに行こうか」
    二人で自販機のあるロビーまで移動し、トウヤはコーヒーを、紫苑はオレンジジュースを飲んだ。

    2005-11-29 07:51:00
  • 192:

    トウヤ

    ロビーには老人や、幼い子を連れた母親で溢れかえっている。
    「なぁ。なんでヒカリの身体はあんなに傷だらけなんだ?今までにもこういうことがあったのか?」
    聞きにくい質問を潤した喉を振るわせ聞いてみた。
    紫苑はいつもとはまったく違うさめたような、諦めたような顔をする。

    2005-11-29 07:54:00
  • 193:

    あげときます♪はやく続きかいてっ!

    2005-11-29 15:18:00
  • 194:

    名無しさん

    しおり?

    2005-11-29 22:04:00
  • 195:

    トウヤ

    あげてもらってありがとうございます♪

    2005-11-30 05:31:00
  • 196:

    トウヤ

    「…自傷癖って分かるよね、リストカットしたりする人。なんでひかりがSMやってるか分かる?ヒカリはね、そんなレベルじゃないんだよ。人が感じる痛みが快感なんだ。痛くないと感じないんだ」
    痛み…。
    「俺らが普通に痛いって感じることが、ヒカリにとって気持ちいいっていうことか?」

    2005-11-30 05:34:00
  • 197:

    トウヤ

    もしそうならヒカリの身体は何だというのだ。
    自分の体が傷ついているのに、それが気持ちいいなんて。
    狂ってる。
    「そういうことだよ。」

    2005-11-30 05:35:00
  • 198:

    トウヤ

    紫苑は声のトーンを変えることなく、少し困った顔をしてこちらを見た。
    「なんで…そうなったんだ?先天的なものか?生まれつき体の痛みを感じない人間がいるってきたことはあるけど」
    「…いや。ヒカリは後天的なものだと思うよ…」
    言葉をにごす。

    2005-11-30 05:37:00
  • 199:

    トウヤ

    その先を言っていいのか迷っているようだ。
    「ヒカリがさ、そのうちトウヤにも話さなきゃいけないって言ってたから話すけど…」
    「けど…?」
    「それを聞いたからって、ヒカリを見る目を変えることだけは辞めて欲しい。トウヤなら大丈夫だと思うけど。さんざんもう傷ついてきたからさ」

    2005-11-30 05:41:00
  • 200:

    トウヤ

    思わずつばを飲み込み喉を鳴らす。
    それに気づいたのか気づいてないのか、紫苑が言葉を慎重に選ぶように話し出した。

    2005-11-30 05:42:00
  • 201:

    トウヤ

    ・・・昔々、ヒカリという小さな女の子がいました。ヒカリという名をつけたのは彼女の母親。ヒカリの家庭は裕福で、幸せそのもの。どんな境遇になっても、ヒカリの射す子でありますように。そう願ってつけられた名前でした。
    ある年のこと、会社を経営していた父親が不渡りを出し一人首をつっていました。
    それを見つけたのは3歳になったばかりのヒカリ。ヒカリは何がおこったかよく分かりません。
    母親にそれを報告すると、母親が肉の塊となった父のものに駆けつけていきました。

    2005-11-30 05:48:00
  • 202:

    トウヤ

    父親の不渡りの原因。それは母親の弟が勝手に父の名義で借金をつくり、飛んだこと。
    母は父親の親族、そして会社の社員たちの非難をいっせいに浴びました。
    母親の両親はとっくの昔に他界しており、味方についてくれる人など一人もいません。

    2005-11-30 05:51:00
  • 203:

    トウヤ

    生命保険も借金の返済や、社員たちへの分配に使われ母親とヒカリに残ったお金はまったくと言っていいほどありません。
    6畳一間の古いアパート。
    そこで暮らしていくのがやっとです。生活がついに追い詰められ、母親は夜働きに出ることにしました。

    2005-11-30 05:53:00
  • 204:

    トウヤ

    慣れない夜の仕事。手のかかる小さな子供。借金の返済。親戚からの冷たい仕打ち。
    残った母に頼るものなどありません。母親が精神的に苦しくなるのは時間の問題でした。
    最初は軽く叩かれる程度です。ご飯が抜かれる程度です。

    2005-11-30 05:56:00
  • 205:

    トウヤ

    ヒカリは母親のことが大好きだったので、なんとも思いませんでした。
    叩かれても、蹴られてもへっちゃらです。
    何をされてもニコニコ笑っています。だって泣いたら母親が悲しむと思ったから。

    2005-11-30 05:57:00
  • 206:

    トウヤ

    でもそれが母親には気に食わなかったようです。何をされても笑っているヒカリにどんどん虐待をひどくしていきます。
    でもヒカリはお風呂に顔を突っ込まれても、タバコの火を押し付けられても、大丈夫です。
    だって大好きな母親がソレをするときだけは自分の方を向いてくれるから。

    2005-11-30 06:00:00
  • 207:

    トウヤ

    そんな生活が何年も続きました。
    ヒカリは6歳になりました。
    ある日ヒカリが小学校から帰ると家に見知らぬ男と母親。
    今までも何人もの男がやってきてはいつの間にかいなくなるのでヒカリは気にもとめていませんでした。

    2005-11-30 06:03:00
  • 208:

    トウヤ

    しかし今日はなんだか様子が違います。
    母親が出て行ってしまいました。
    ヒカリは見知らぬ男と部屋に二人。

    2005-11-30 06:04:00
  • 209:

    トウヤ

    居心地が悪い気もしましたが、母親の連れてくる人に粗相は出来ません。
    早く母親が帰ってくることを祈っていました。
    「ヒカリちゃん…やんね?」
    男が話しかけてきたのでとりあえず小さな首を、コクンと振りました。

    2005-11-30 06:06:00
  • 210:

    トウヤ

    「おじさんと、少し遊ぼうか。お母さんはいいって言ってたよ?ヒカリちゃんはいい子だから、お母さんが悲しむようなことはせえへんよな?おじさんのいうこと聞けるな?」
    なんだか怖い気もしましたが母親が許可を出しているのだから、ニコニコしないといけません。
    するといきなり男がヒカリの小さな身体にのしかかってきました。

    2005-11-30 06:08:00
  • 211:

    トウヤ

    体重がヒカリの身体にかかり、息が出来ません。
    男の手がヒカリの体中に伸びていきます。
    気持ち悪くて叫びだしたくなりましたが、母親の怒った顔は見たくありません。
    だから…ずっと笑っていました。

    2005-11-30 06:10:00
  • 212:

    トウヤ

    男が白いものをヒカリの身体に出し、一息つくころに母親が帰宅しました。
    「どうやった?10万くらい出す価値あるやろ?こんな小さい体なかなかヤれへんで」
    「ほんまやなぁ。小さい子はいいわ!また金払うからよろしく頼むな」
    そんなやり取りをボーっと眺めていました。痛さに悲鳴を上げる身体を抱きながら。

    2005-11-30 06:14:00
  • 213:

    トウヤ

    それからは何度も何度もそんな事が続きした。
    見た顔もあれば、初めて見る顔もあります。けれどすることはみな同じでした。
    いつもヒカリは泣きませんでした。

    2005-11-30 06:16:00
  • 214:

    トウヤ

    中学校に上がるころにはすっかりその行為にも慣れていました。
    自分が10万で売られていることも知っていました。
    でも母親は大好きでした。
    昔はとても優しかった母。誕生日にケーキを焼いてくれた母。いつもニコニコしているヒカリをいい子だと褒めてくれた母。

    2005-11-30 06:18:00
  • 215:

    トウヤ

    ある日やってきた男はなんだか様子が違っていました。
    いつものような行為を始めるのではなく長い縄を取り出しヒカリを縛り上げます。
    食い込む縄は骨も肉も圧迫し、身体は悲鳴を上げています。

    2005-11-30 06:20:00
  • 216:

    トウヤ

    男はヒカリの身体を傷つけるのが楽しいのか、笑っていました。
    だからそれから起こる行為がどんなに痛いものであってもヒカリは笑っていようと決心しました。
    毎日のように身体を傷つけ弄ぶ男。

    2005-11-30 06:23:00
  • 217:

    トウヤ

    いつの間にか母親は帰ってこなくなりました。
    その代わりに、6畳のアパートに住み着いたのは男でした。
    もう学校も行けません。
    ただ、男が帰ってくるのを犬のように鎖に繋がれ待ち、繰り返される仕打ちを待つだけでした。

    2005-11-30 06:25:00
  • 218:

    トウヤ

    痛みはどんどんなくなっていきます。
    痛いなんて思っていたら、心が悲しくなるだけです。
    母親に売られた、という事実を認めてしまうだけです。
    痛いんじゃなく、気持ちいいんだ。そう思うことにしました。

    2005-11-30 06:27:00
  • 219:

    トウヤ

    16歳の時に裸同然で家を抜け出しました。
    男の行為がエスカレートし、何度か死、という言葉がよぎったからです。
    16の子供が一人で生きていく術はほとんどないに等しくて。

    2005-11-30 06:28:00
  • 220:

    トウヤ

    ヒカリに残ったものは、痛みを快感に変えてしまう身体だけだったのです。
    だから、この身体で生きていこう。そうヒカリは決めました。
    痛さを忘れていたら、いつか母親が帰ってくるのを期待して・・・。

    2005-11-30 06:30:00
  • 221:

    トウヤ

    「…トウヤ。コーヒー」
    その紫苑の言葉で現実に引き戻された。
    握りつぶした紙コップからコーヒーがこぼれ、派手にトウヤのジーンズにしみを作っていた。
    「今の話…」

    2005-11-30 06:36:00
  • 222:

    トウヤ

    「ほんとだよ」
    「緊急で運ばれた女性のお連れの方ですよね?処置が終わりました。もう面会できますよ」
    白衣を着た看護士が話をさえぎり、声をかけてきた。
    「分かりました。トウヤ、行こう」

    2005-11-30 06:39:00
  • 223:

    名無しさん

    2005-11-30 11:37:00
  • 224:

    みほ

    これって実話ですか?

    2005-11-30 14:54:00
  • 225:

    さく

    更新されてる?

    2005-11-30 14:55:00
  • 226:

    名無しさん

    ????????????????????????

    2005-11-30 18:47:00
  • 227:

    名無しさん

    ?…?

    2005-12-01 01:54:00
  • 228:

    名無しさん

    あげ??

    2005-12-02 09:04:00
  • 229:

    さく

    アゲッ

    2005-12-02 12:42:00
  • 230:

    名無しさん

    2005-12-02 14:32:00
  • 231:

    名無しさん

    気になりゅ???

    2005-12-02 14:44:00
  • 232:

    さく

    待ってます

    2005-12-02 19:04:00
  • 233:

    トウヤ ◆fnkquv7jY2

    なかなか毎日更新できず申し訳ないです。
    さくさん、いつもありがとうございます。
    みほさん、コレはフィクションです。一応登場人物は実在人物を参考にはしていますが、脚色がおおいです。
    名無しの皆さん、見てくださってありがとうございます。なかなか毎日更新できず心苦しいです。気長に見てやってください。

    2005-12-03 07:18:00
  • 234:

    トウヤ

    白くて無機質な個室のドアをあけると、ベッドに横たわるヒカリがこちらを見た。
    顔は青白かったが、意識はしっかりしているようだ。右手は点滴に繋がれている。
    「ヒカリ、どう〜??またやったんだって?こんななってちゃダメじゃん」
    さっきの感じとはうって変わって、すこぶる明るく紫苑が話しかけた。

    2005-12-04 08:07:00
  • 235:

    トウヤ

    申し訳なさそうなに、ヒカリが少し笑う。
    「ごめんな。また…迷惑かけてもうたな。トウヤもごめんね??」
    そう声をかけられて、かたがビクッとなった。
    「お…おうっ!!体調はどうだ?」

    2005-12-04 08:09:00
  • 236:

    トウヤ

    しまった、声がおかしかったか…。
    個室用に設けられた椅子に座りながら、なんて声をかけていいのか必死に頭を回転させる。
    ぎこちない感じが彼女に伝わってないだろうか?
    引いた…というよりも、驚きと同様がトウヤの頭を支配している。

    2005-12-04 08:12:00
  • 237:

    トウヤ

    「僕、お医者さんに話し聞きに行って清算とかしてくるね〜」
    そういい残し、紫苑が静かに席を立った。
    沈黙。
    開けた窓から風が吹き込み、カーテンをなびかせる。

    2005-12-04 08:15:00
  • 238:

    トウヤ

    「…その様子やったら、紫苑に聞いたんかなぁ?」
    すこしうつむきながら。フフっと自嘲気味に笑った。
    「ゴメン」
    何を謝る事があるのかそれさえも分からなかったが、謝罪の言葉が口から出た。

    2005-12-04 08:17:00
  • 239:

    トウヤ

    なんだか聞いてしまったことが申し訳ないような気がした。
    「なんで謝るん?謝る必要ないやろ?」
    いつものように優しく響くヒカリの声。
    押し殺したような、優しくかぶせかけるようなヒカリの声。

    2005-12-04 08:18:00
  • 240:

    トウヤ

    不意に涙が頬を伝った。
    泣いている自分に驚く。
    「何を泣いてるんねん男の子が。ビックリさせたんやな。こっちこそゴメンな?変な身体に育ってしまってん。でも大丈夫やで?あたしは大丈夫」
    そう言いながら点滴のついていない左手で、優しくトウヤの頭を撫でた。

    2005-12-04 08:21:00
  • 241:

    トウヤ

    「トウヤは優しい子なんやね。人のことで涙を流して…。泣かんでもいいよ。もう大丈夫やからね」
    優しい羽毛のような言葉と、血の気を失い、少し冷たくなった手がなんとも言えず心地よかった。
    たったそれだけの行為が、トウヤの心に響く。

    2005-12-04 08:23:00
  • 242:

    トウヤ

    「聖母」という人がこの世の中にいたとしたら、それはこういう人のことを言うんだろう。
    どっちがお見舞いに来ているのかコレじゃ分からない。
    「…いろいろ聞いた。正直驚いた。…でもヒカリが無事でいてよかった。心配した」

    2005-12-04 08:25:00
  • 243:

    トウヤ

    嘘偽りなく。
    出会ってたった2ヶ月だ。
    でもいつの間にかすごくすごく大事だ。
    …俺は2ヶ月前、出会ったのではなく本当に拾われたんだ。…聖母に。自分の血を流す聖母に。

    2005-12-04 08:27:00
  • 244:

    さく

    更新されてたっ?気長に待ってます!!

    2005-12-04 08:50:00
  • 245:

    名無しさん

    おもしぃろい(*´ω`*)気長に更新待ってます?

    2005-12-04 12:29:00
  • 246:

    名無しさん

    2005-12-04 14:15:00
  • 247:

    名無しさん

    ???

    2005-12-05 01:00:00
  • 248:

    アゲ〜!!

    2005-12-05 23:45:00
  • 249:

    名無しさん

    2005-12-07 12:29:00
  • 250:

    名無しさん

    ?

    2005-12-09 17:56:00
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