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  • 1:

    ◆5EJ71eKlNQ

    許せない人がいる。
    幼かった私の平穏な日々な日々を壊したあいつが…
    15年経った今でも憎い。

    2006-06-10 13:45:00
  • 206:

    ◆5EJ71eKlNQ

    静かに振り返ると昔のままの優しい笑顔の彼がいた。

    『キムタク風』とおどけて言っていた茶髪のロン毛が、さわやかに切られていて…『空白の3年間』をまのあたりにした。

    2006-06-20 14:55:00
  • 207:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「優菜。逢いたかった」

    溢れ出る涙を止めることが出来なかった。

    ふたりに言葉などいらなかった。彼の車まで歩いた。

    2006-06-20 14:58:00
  • 208:

    ◆5EJ71eKlNQ

    助手席に座った瞬間、私の腕は彼の首に巻き付いた。
    甘いキスをした。

    「…いい?」彼の不安気な質問に、私はニコッと笑ってまたキスをした。

    2006-06-20 15:00:00
  • 209:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ホテルの部屋につくと、ふたりとも仕事帰りにも関わらずシャワーも浴びずに抱き合った。

    空白の3年間を埋めるように何度も何度も抱き合った。

    2006-06-20 15:02:00
  • 210:

    ◆5EJ71eKlNQ

    目覚めるとまだ朝にもなっていなかった。

    隣で寝ている彼を見つめ、色々と過去を思い返していた。

    2006-06-20 15:03:00
  • 211:

    ◆5EJ71eKlNQ

    幸せなはずなのに胸が痛く苦しかった…。

    ―――『もう戻れない』。

    彼は…世界中の誰よりも憎い永井春美の息子。

    2006-06-20 15:06:00
  • 212:

    ◆5EJ71eKlNQ



    そして彼は…世界中の誰よりも愛しい永井泰輝。

    2006-06-20 15:07:00
  • 213:

    コアラ

    しおリ?

    2006-06-20 18:05:00
  • 214:

    名無しさん

    主さんせつなすぎですね(;_;)これからも頑張って下さい!!

    2006-06-20 20:42:00
  • 215:

    ◆5EJ71eKlNQ

    コアラさん、>>254さん
    ありがとうございます。

    >>252〜。

    2006-06-21 14:56:00
  • 216:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は寝ている彼を見ずにホテルを後にした。



    決心が揺るいでしまうから。

    2006-06-21 14:57:00
  • 217:

    ◆5EJ71eKlNQ



    はぁ。

    2006-06-21 15:04:00
  • 218:

    ◆5EJ71eKlNQ



    でもそんな事いまの私にはどうでも良かった。

    それよりも…

    2006-06-21 15:05:00
  • 219:

    名無しさん

    doragon.ballz4

    2006-06-21 17:27:00
  • 220:

    名無しさん

    hokuto.shinken2

    2006-06-21 17:27:00
  • 221:

    名無しさん

    上の奴は何が言いたいんだ?

    2006-06-22 00:00:00
  • 222:

    ◆5EJ71eKlNQ





    2006-06-22 04:58:00
  • 223:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は愛菜(めぐな)
    今年18歳になったばかりの至って普通の女の子…

    のはずだった。

    2006-06-22 05:00:00
  • 224:

    ◆5EJ71eKlNQ

    日岡家の長女として、物心ついた頃から育ってきた。
    両親は私を可愛がってくれた…中学生までは。

    何故か私は道を間違えてしまった。

    2006-06-22 05:03:00
  • 225:

    ◆5EJ71eKlNQ

    この頃から少しずつ私と私の周りは変わった。

    良くない先輩と仲良くなり、良くない事を平気でしてきた。

    2006-06-22 05:05:00
  • 226:

    ◆5EJ71eKlNQ

    深夜2時――――。
    駅前とはほど遠い田舎の空き地、『いつもの場所』。
    数人のグループで煙草の自販機を荒らした。

    意味なんてない。

    2006-06-22 05:08:00
  • 227:

    ◆5EJ71eKlNQ

    通報により駆け付けた警察に捕まった。

    夜中にも関わらず両親は飛んできてくれた。

    2006-06-22 05:10:00
  • 228:

    ◆5EJ71eKlNQ

    そんな両親に対し、これっぽっちも悪いと思わなかった。

    しばらくして原付窃盗、無免許運転で捕まった。

    両親は迎えに来てくれた。

    2006-06-22 05:12:00
  • 229:

    ◆5EJ71eKlNQ

    そしてその後は傷害事件で捕まった。

    家庭裁判所に行った。

    運よく何もならなかった。

    2006-06-22 05:14:00
  • 230:

    ◆5EJ71eKlNQ

    学校は行かなかった。行ったとしても説教されて帰された。

    金髪、化粧、規定外の制服…全てが反抗のかたまりだった。

    2006-06-22 05:16:00
  • 231:

    ◆5EJ71eKlNQ

    見かねた両親は私を鑑別所に入れた。

    あっとゆう間に出てこれた。

    2006-06-22 05:18:00
  • 232:

    ◆5EJ71eKlNQ

    しかし以前の明るい家庭では無くなった。

    私に無関心の両親。平気な顔して私のご飯なんてなかった。おこずかいも…。

    「おかん〜?」

    2006-06-22 05:20:00
  • 233:

    ◆5EJ71eKlNQ

    母を呼んでも無視された。
    「…おとん〜」

    父さえも私を無視した。

    2006-06-22 05:21:00
  • 234:

    ◆5EJ71eKlNQ

    毎日コンビニで食べものを万引きした。

    欲しかったら服や物も万引きした。

    …しまいには、知らない人とsexをしてお金をもらってた。

    2006-06-22 05:22:00
  • 235:

    ◆5EJ71eKlNQ



    感情なんて何ひとつ無かった。

    2006-06-22 05:23:00
  • 236:

    ◆5EJ71eKlNQ

    読者の皆様へ!
    突然話が変わって意味がわからないと思いますが、全てつながるので。読みにくいとは思いますが、どうかご了承ください。また明日更新いたします。

    2006-06-22 05:25:00
  • 237:

    名無しさん

    2006-06-22 06:26:00
  • 238:

    名無しさん

    2006-06-22 13:23:00
  • 239:

    ◆5EJ71eKlNQ

    >>277〜。

    中学を卒業すると、突然両親に言われた。

    「出ていけ」

    2006-06-22 15:05:00
  • 240:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は出ていかなかった。

    すると言われた。

    「お前なんかもらうんじゃなかったわ」

    2006-06-22 15:06:00
  • 241:

    ◆5EJ71eKlNQ



    私は日岡の養女だった。

    2006-06-22 15:06:00
  • 242:

    ◆5EJ71eKlNQ

    小さい時に日岡家にひきとられた事、本当の両親は自殺した事、『浅岡優菜』という姉がいる事…

    全て聞き終えた私は家を出た。

    2006-06-22 15:10:00
  • 243:

    ◆5EJ71eKlNQ



    行くあてのない私は、友達の紹介でキャバクラで働く事になった。

    2006-06-22 15:13:00
  • 244:

    ◆5EJ71eKlNQ

    お客さんの涼と付き合って、涼の家に住みついた。

    愛情は無かった。ただ寝る場所を提供してもらい、お礼にsexをしていた。

    2006-06-22 15:16:00
  • 245:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は彼の子供を身籠った。「涼…めぐ子供できた」
    彼は意外と喜んでくれた。
    「めぐな!産んでくれ」

    初めて彼を愛しく思った。

    2006-06-22 15:18:00
  • 246:

    ◆5EJ71eKlNQ

    日曜の度にふたりで出掛けてベビー用品を買った。

    彼はやさしかった。私の過去を聞いても笑ってくれた。

    「りょう名前なにがいい?」

    2006-06-22 15:20:00
  • 247:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「めぐなと姉ちゃんの名前とって…優愛チャンで!!」

    こんな他愛ない会話に幸せを感じていた。

    2006-06-22 15:22:00
  • 248:

    ◆5EJ71eKlNQ

    妊娠4ヶ月―――。
    深夜。彼が帰って来ない。何度も何度も携帯を鳴らす。…出ない。

    次の日になっても帰ってこなかった。

    2006-06-22 15:24:00
  • 249:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は彼の事を何も知らなかった。探す事も出来ず待ち続けた。

    幸い、援助やキャバのお金は手をつけてなくて助かった。

    父親が消えたまま私は出産した。

    2006-06-22 15:26:00
  • 250:

    ◆5EJ71eKlNQ

    女の子が産まれ、
    『優愛』と名付けた。

    ゆあが産まれて2ヶ月がたった頃、私の全財産が底をつきた。
    産まれたばかりの赤ちゃんを託児所に預け、風俗で働いた…。

    2006-06-22 15:39:00
  • 251:

    ◆5EJ71eKlNQ

    なんとか優愛を育てたかった…ただそれだけだった。
    頼れる人など居なかった。
    お客さんに応じて本番もした。お金がたくさん貰えた。そのお金で優愛と暮らせてる事を情けなく思った。

    2006-06-22 15:47:00
  • 252:

    ◆5EJ71eKlNQ



    『なんで私だけ…』

    わずか17歳の私はひたすら憎んだ。

    2006-06-22 15:48:00
  • 253:

    ◆5EJ71eKlNQ

    優愛の父親を、日岡の両親を、浅岡の両親を、姉を…

    憎んだ。

    憎む事でどうにかやり切れた。

    2006-06-22 15:49:00
  • 254:

    ◆5EJ71eKlNQ

    同じ店で働くルイと仲良くなった。ルイもまた、19歳でシングルマザーだった。

    ルイは子供を実家に預けて昼はショップ店員、夜は風俗嬢をしていた。

    2006-06-22 15:53:00
  • 255:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ルイはよく泣いていた。

    「めめチャン。ルイはねぇ、絶対今年中にヒナ(子供)を連れて帰るの。だからそれまで何があっても絶対頑張るょ…でもねぇ、疲れちゃうよねぇ。」

    こんな風に言ってまた泣いた。

    2006-06-22 16:21:00
  • 256:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ルイはよく私の名前を間違えた。

    「ゆっちゃん」

    「めぐやけど?」

    2006-06-22 16:23:00
  • 257:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「あ〜ゴメン。めめチャン!あんねぇ、めめはゆっチャンにそっくりやねん」

    「ゆっちゃんって?」

    「昼の仕事仲間でねぇ、ルイの大好きな子。愛想なくて笑わないとこと、たまに笑ったらめっちゃ可愛いとこが似てるねんっ」

    2006-06-22 16:26:00
  • 258:

    ◆5EJ71eKlNQ



    そう言うとルイはプリクラを私に見せた。

    2006-06-22 16:27:00
  • 259:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「めっちゃ可愛いやろぉ!浅岡優菜チャンってゆうの」

    『浅岡優菜』
    その名前を聞いた瞬間、私の心臓がひどく揺れた。

    2006-06-22 16:30:00
  • 260:

    ◆5EJ71eKlNQ

    プリクラの中で無愛想に立ってニコリともしない女に目をやった。

    これが…私の……姉?

    私を捨てた姉…。

    2006-06-22 16:36:00
  • 261:

    コアラ

    しおリ?

    2006-06-22 17:39:00
  • 262:

    名無しさん

    しおり?

    2006-06-22 17:46:00
  • 264:

    名無しさん

    全然話が噛み合わないんだけどそう思ってるのは折れだけ?

    2006-06-23 02:40:00
  • 265:

    名無しさん

    俺だけと思う。最初からよんでる?

    2006-06-23 03:17:00
  • 266:

    名無しさん

    >>306
    噛み合ってくるんワこれからゃん?ぁせらず行こーゼ??

    2006-06-23 04:26:00
  • 267:

    ◆5EJ71eKlNQ

    皆様書き込みありがとうございます。噛み合わないデスよね(*д*)すみません。

    2006-06-23 14:59:00
  • 268:

    ◆5EJ71eKlNQ

    >>302〜。

    私は初めて見る実の姉を長い時間見つめていた。

    「めめどしたん?ルイ指名やから行ってくるねぇ」

    2006-06-23 15:01:00
  • 269:

    ◆5EJ71eKlNQ

    あまりに突然の事で私の頭は空っぽになった。

    何も考える事さえ出来ず、ただただ心臓だけが強く動いていた―――。

    2006-06-23 15:03:00
  • 270:

    ◆5EJ71eKlNQ

    世間の狭さに唖然としながら淡々と仕事をした。

    常連客の『香山さん』が今日も私を指名してくれた。

    この人は指1本私の体に触れない少し変わった人だ。

    2006-06-23 15:05:00
  • 271:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「香山さんこんばんわ。いつもありがとう」

    彼の隣に腰かけ、ニッコリ笑った。

    「めぐなチャンおはよう。今日は話あるねん…」

    2006-06-23 15:06:00
  • 272:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「何ぃ?」

    語尾を伸ばすのは、普段の私ではない事を確認するため。そうしないと笑顔さえ作れないから…。

    「俺…めぐチャン好きやねん」

    2006-06-23 15:07:00
  • 273:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「めぐも香山さん大好きですよぉー。優しいし紳士でぇ〜」

    「ありがとう。でも俺本間に好きやねん。…付き合って」

    2006-06-23 15:08:00
  • 274:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「それはぁ…。めぐ赤ちゃんいてるんですょ。」

    私は話した。シングルマザーになった事を。彼は黙って聞いたあと、意外にもこう言った。

    2006-06-23 15:09:00
  • 275:

    ◆5EJ71eKlNQ



    「俺が愛菜チャンも優愛チャンも幸せにするから」

    2006-06-23 15:10:00
  • 276:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ここで私は最低な決断をした。

    香山さんと一緒になれば、優愛も幸せで私も風俗を辞めれる。ずっと優愛とおれる…。

    彼を使おう。幸せになるために。

    2006-06-23 15:12:00
  • 277:

    ◆5EJ71eKlNQ



    「はぃ。よろしくねぇ」

    2006-06-23 15:12:00
  • 278:

    ◆5EJ71eKlNQ

    初めて彼に抱かれた。
    彼の胸に顔を埋めながら、未来の幸せを思い浮かべた。

    『優愛。ママがあなたを守るからね。』

    2006-06-23 15:14:00
  • 279:

    ◆5EJ71eKlNQ

    その日私は店を辞めた。

    優愛を連れて香山さんの家へ帰った。

    香山さんは会社を経営していて、とても贅沢な暮らしをしていた。

    2006-06-23 15:16:00
  • 280:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ひと月も経たない内に籍を入れた。

    私は、愛のない幸せを手に入れた。

    2006-06-23 15:17:00
  • 281:

    ◆5EJ71eKlNQ

    半年後―――。

    愛菜18歳。優愛1歳。

    2006-06-23 15:18:00
  • 282:

    ◆5EJ71eKlNQ

    優愛を連れて晩御飯の買い物に出かけた。

    着信【ルイ】

    2006-06-23 15:19:00
  • 283:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私はルイからの着信を無視した。

    しかしけたたましく鳴る携帯は一向に止む気配がなく、仕方なく出る事にした。

    「はい…」

    2006-06-23 15:20:00
  • 284:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「めめ〜!久しぶり。元気?今から逢お」

    懐かしさもあり、私は家にルイを呼んだ。

    2006-06-23 15:21:00
  • 285:

    ◆5EJ71eKlNQ

    子供のヒナを連れてやって来たルイは、いきいきしていた。

    「ルイねぇ、店辞めたねん。これからは昼職だけでヒナと頑張るの。今日はその報告に来たのー。」

    2006-06-23 15:24:00
  • 286:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「良かったね。ヒナチャン。ママを守ってあげてね。」
    私がそう言うと、ルイは悲しそうな顔をしながら私に言った。

    「前さぁ、ゆっチャンって子の話したこと覚えてる?」

    2006-06-23 15:40:00
  • 287:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「あぁ、うん。覚えてるよ…なんで?」

    「……わかってるやろ?ゆっちゃんは…めめのお姉ちゃんやねんょ」

    「………」

    2006-06-23 15:41:00
  • 288:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「ゆっチャンねぇ、本当にめめの事…愛してるねんょ。いつも言ってたょ。私には愛菜ってゆう妹がいるって…」

    「………」

    2006-06-23 15:42:00
  • 289:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「ルイすぐわかった。めめの事って…。愛菜って名前もやし、何よりふたりはそっくりやねん。声も顔も笑い方も…。こんなに似てる姉妹なんてそういないよ」

    「……ルイは何が言いたいの。」

    2006-06-23 15:45:00
  • 290:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は姉の存在を心から消していた。
    姉なんて初めから居なかった。
    私には…家族なんて優愛だけだから。

    2006-06-23 15:46:00
  • 291:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「ゆっちゃんね、3日前から仕事に来ないの。」

    「…へぇ。私には関係ないょ。優菜って人の事なんて」

    「めめ!!いい加減スナオになりぃや。…血つながった姉やろ?」

    2006-06-23 15:49:00
  • 292:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ルイは泣き出した。

    そして1枚のメモを私に渡した。

    「これゆっチャンの住所やから!優愛チャンはルイが見てるから…行ったげて。。お願い。」

    2006-06-24 13:10:00
  • 293:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は複雑な気持ちで胸がいっぱいになった。

    いまさら行って何になるの。

    本当に逢ってもいいの…

    2006-06-24 13:11:00
  • 294:

    ◆5EJ71eKlNQ



    とりあえず家を出た。

    2006-06-24 13:11:00
  • 295:

    ◆5EJ71eKlNQ

    タクシーに乗った。

    「ここにお願いします」

    運転手にメモを渡し、目を閉じた。

    2006-06-24 13:12:00
  • 296:

    ◆5EJ71eKlNQ

    優愛の顔が浮かんだ。

    姉に…優菜に、娘を見せてあげたかった。

    そこらじゅう歩いてる仲良さげな姉妹。

    2006-06-24 13:14:00
  • 297:

    ◆5EJ71eKlNQ

    いっぱい笑っていっぱい喧嘩もして…だけど『血』が解決してくれる。

    私はそんな姉妹に憧れていた。

    今からでもまだ間に合うなら…

    2006-06-24 13:15:00
  • 298:

    ◆5EJ71eKlNQ



    色んな話をしよう。自己紹介はいらない。

    …姉妹だから。

    2006-06-24 13:17:00
  • 299:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「つきましたよ」

    運転手の声。お金を置き、開いた扉から駆け出した。

    茶色いコンクリートの大きなマンションが私を緊張させた。

    2006-06-24 13:19:00
  • 300:

    ◆5EJ71eKlNQ

    姉の住む部屋に向かうためエレベーターにのり『7』のボタンを押す。

    えらくゆっくり進むエレベーターのおかげで、いくらか動悸も落ち着いた。

    2006-06-24 13:20:00
  • 301:

    ◆5EJ71eKlNQ

    『702浅岡』

    ここだ!この扉のむこうに姉がいる。深呼吸をしてベルを鳴らす。

    押す人差し指が震えていた。

    2006-06-24 13:21:00
  • 302:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ………………。

    ……………。

    ………。

    2006-06-24 13:22:00
  • 303:

    ◆5EJ71eKlNQ

    静まりかえったマンションの廊下に機械音が響く。

    【ドンドンドン!】

    必死に扉を叩く。

    2006-06-24 13:23:00
  • 304:

    ◆5EJ71eKlNQ

    すると隣の『701』の部屋から出てきた主婦が言った。

    「浅岡さんならここ何日か帰ってませんけど…」

    せっかく来たんだ。何もせず帰るわけには行かない。

    2006-06-24 13:24:00
  • 305:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は急いでさっきのエレベーターに乗りこみ、1階まで降りた。

    管理人室の窓口に設置されたカーテンのような物を勢いよく開けると、おじいさんがテレビを見ていた。

    2006-06-24 13:26:00
  • 306:

    ◆5EJ71eKlNQ

    「702の浅岡の妹です」
    と言うとすぐに鍵を開けてくれた。

    部屋に入ると、これが20歳の女の子の部屋?というぐらいシンプルだった。

    2006-06-24 13:27:00
  • 307:

    ◆5EJ71eKlNQ

    もちろん姉は居ない。

    待ってたら帰ってくるだろう。と思い、ソファに腰掛けた。

    テーブルの真ん中にきっちり置かれた白い封筒に目をやった。

    2006-06-24 13:29:00
  • 308:

    名無しさん

    2006-06-24 20:04:00
  • 309:

    名無しさん

    続きみたい?

    2006-06-25 15:02:00
  • 310:

    名無しさん

    ぁげちゃおっ???

    2006-06-27 04:33:00
  • 311:

    名無しさん

    早く書いて楽しみにしてます?

    2006-06-27 11:26:00
  • 312:

    ◆5EJ71eKlNQ

    皆様ありがとうございます。今日はゆっくりながらたくさん書くのでお付き合いお願いします。

    >>349〜。

    2006-06-27 12:17:00
  • 313:

    ◆5EJ71eKlNQ

    その封筒の中身を見て私は心底落胆した。

    『ここにいても姉は帰ってこない』という事実と
    『もしや姉は…』………。
    無気力なまま、姉の部屋を見渡した。

    2006-06-27 12:19:00
  • 314:

    ◆5EJ71eKlNQ

    ベッドの下にある引き出しを開けた。

    木の箱の中を確認して、それと封筒を持って姉の部屋を後にした。

    2006-06-27 12:21:00
  • 315:

    ◆5EJ71eKlNQ

    どうやって我が家に帰ったのかは覚えていない。

    家につくとルイが出迎えてくれた。

    「めめおかえり!」

    2006-06-27 12:24:00
  • 316:

    ◆5EJ71eKlNQ

    優愛を抱っこすると私の涙がこぼれた。

    「めめ!?」

    ルイが心配している…。

    2006-06-27 12:24:00
  • 317:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私は彼女に封筒を渡した。

    彼女は黙って読み出した。
    全部読み終えたのか、声を上げて泣いていた。

    2006-06-27 12:26:00
  • 318:

    ◆5EJ71eKlNQ

    手紙にはこう書いてあった。
    【大好きなおかんへ。

    なぁ…おかん。あれからもう15年やなぁ。。優ハタチなってんで?

    2006-06-27 14:51:00
  • 319:

    ◆5EJ71eKlNQ

    15年のけじめとして、優は貴方に手紙を書きます。

    貴方と過ごした5年はとても短かった。だけど優は覚えてるよ?忘れた事なんてないよ…?

    本間に大好きやったよ。笑顔も匂いもオムライスも。

    2006-06-27 14:55:00
  • 320:

    ◆5EJ71eKlNQ

    大人になった今、優は毎日毎日考えてます。罪について考えます。

    貴方を死に追いやったあいつを私は憎しみ続けてきました。

    一時は許そうと思いました。そのたびに私は苦しみました。

    2006-06-27 14:57:00
  • 321:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私には彼女を許す事なんて出来ませんでした。

    でも…彼女の息子を愛してしまいました…。

    彼は私の汚い心を癒してくれました。永井泰輝…彼を本当に愛しました。

    2006-06-27 15:01:00
  • 322:

    ◆5EJ71eKlNQ

    それでも私は、母である彼女を許す事は出来ませんでした。

    一層彼女が憎くなりました。憎んで憎んで…心がボロボロになるくらい憎みました。

    2006-06-27 15:03:00
  • 323:

    ◆5EJ71eKlNQ

    その時私はわかったのです。貴方の残した『遺書』の気持ちが…。

    このまま生きていても憎み続けるだけ…

    そう残した貴方の言葉は私に深く影響を与えました。

    2006-06-27 15:05:00
  • 324:

    ◆5EJ71eKlNQ

    そして…貴方を憎みました。貴方さえ生きていてくれたら…私は。

    憎しみだけが私を生かせてる。

    …もう終わらせていいかな。おかん。

    2006-06-27 15:17:00
  • 325:

    ◆5EJ71eKlNQ

    人間が生きていく上で一番の罪とは…それは………


    人を憎む事。私は最大の罪を犯してしまいました。

    2006-06-27 15:19:00
  • 326:

    ◆5EJ71eKlNQ

    疲れてしまいました。
    生きる糧である『憎む』事にすら疲れました。

    もう辛い…貴方のところへ行ってもいいですか?

    2006-06-27 15:21:00
  • 327:

    ◆5EJ71eKlNQ

    愛菜…こんな馬鹿な姉を許して。貴方は決して人を憎まないで。私と母のようにはならないで。

    浅岡優菜】

    2006-06-27 15:23:00
  • 328:

    ちぃ

    早く書いてぇ。まぢ気になる?

    2006-06-27 16:04:00
  • 329:

    コアラ

    ???

    2006-06-27 17:08:00
  • 330:

    名無しさん

    2006-06-27 18:36:00
  • 331:

    名無しさん

    あげ

    2006-06-28 08:04:00
  • 332:

    ◆5EJ71eKlNQ

    >>369〜。

    姉はどこへ行ったんだろう。もし…

    死を選んだとしたなら。

    2006-06-28 14:07:00
  • 333:

    ◆5EJ71eKlNQ



    私は。

    2006-06-28 14:07:00
  • 334:

    ◆5EJ71eKlNQ



    あなたを憎みます―――。

    2006-06-28 14:07:00
  • 335:

    ◆5EJ71eKlNQ

    貴方が私に残した最初で最後の『願い』なんて聞かない。

    『人を憎んではいけない』

    と貴方が言うのなら…

    2006-06-28 14:09:00
  • 336:

    ◆5EJ71eKlNQ



    私は貴方を憎みます。

    2006-06-28 14:09:00
  • 337:

    ◆5EJ71eKlNQ

    それが『罪』でも構わない。だって―――――

    憎んで憎んで憎んで…それでも憎み続けたら…

    2006-06-28 14:10:00
  • 338:

    ◆5EJ71eKlNQ



    貴方は私に言いに来てくれるでしょ?

    「人を憎んだらダメ」って教えてくれるでしょ?

    2006-06-28 14:11:00
  • 339:

    ◆5EJ71eKlNQ



    だって私の血の繋がった姉でしょ?もっと教えてよ、大事な事。罪について教えてよ。あんな短い文じゃ伝わらないよ…紙きれなんかじゃ。

    2006-06-28 14:12:00
  • 340:

    ◆5EJ71eKlNQ

    統一されない気持ちのまま、私は木でできた箱に目をやった。

    中を開け、1つ1つをじっくり見た。

    2006-06-28 14:26:00
  • 341:

    ◆5EJ71eKlNQ

    写真…。目が大きく色の黒い今どきの男の子。その人の隣で笑っているのは姉。
    どこか戸惑いさえ感じさせるその姉の目は、妹である私によく似ていて…改めて姉妹なんだ。と…。

    2006-06-28 14:28:00
  • 342:

    ◆5EJ71eKlNQ

    何枚か彼との写真を見るうちに、あぁ。愛し合ってるんだなぁ…なんて場違いに幸せな気持ちにさせられて。
    彼が【永井泰輝】である事を理解するのにそう時間はかからなくて…。

    2006-06-28 14:30:00
  • 343:

    ◆5EJ71eKlNQ

    何枚か見ていく内に、ルイが無理矢理撮ったであろう姉の姿が写っていて。

    驚いたその表情が可愛くて…次の写真にはルイも一緒に写っていた。

    2006-06-28 14:32:00
  • 344:

    ◆5EJ71eKlNQ

    最後の写真は…私の家族。
    すぐにわかった。

    まだ幼稚園くらいの姉がニコッと笑っていて…本当に無垢な子供の頃。

    2006-06-28 14:33:00
  • 345:

    ◆5EJ71eKlNQ

    母は私を抱いていて、姉の手をひいて…これもまた幸せそうに笑っている。

    「お母さん…?」

    記憶にない母の姿。私はこらえきれず泣き崩れた。

    2006-06-28 14:35:00
  • 346:

    ◆5EJ71eKlNQ

    箱には日記のような物が入っていた。

    姉の【想い】がたくさん綴られているそれは…『憎しみ』で一杯だった。

    2006-06-28 14:36:00
  • 347:

    ◆5EJ71eKlNQ

    その『憎しみ』は、ひしひしと私の胸に伝わって…

    私は苦しんだ。

    姉の気持ちが、痛くて。

    2006-06-28 14:38:00
  • 348:

    ◆5EJ71eKlNQ

    日記を読んで姉の全てが分かった気がした。ダレが憎いのか、ナニがあったのか…何故こんなに憎いのか。

    私は泣いた。泣いて泣いて…涙が枯れてもまだ泣いていた。

    2006-06-28 14:40:00
  • 349:

    ◆5EJ71eKlNQ





    2006-06-28 14:40:00
  • 350:

    ◆5EJ71eKlNQ




    2006-06-28 14:40:00
  • 351:

    ◆5EJ71eKlNQ



    あれからどのくらい経っただろうか――――。

    2006-06-28 14:41:00
  • 352:

    ◆5EJ71eKlNQ


    あの日から。姉が消えたあの日から―――。

    2006-06-28 14:42:00
  • 353:

    ◆5EJ71eKlNQ

    私の隣には最愛の娘がいる。

    私は今、罪を犯そうとしている。

    2006-06-28 14:43:00
  • 354:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 355:

    お疲れ様です。無理に実話と言わなくて良かったのでは?

    2006-06-28 15:15:00
  • 356:

    有難うございます。ゴメンなさぃ。実話をだいぶ大げさに書きました?私には姉の気持ちとかよく解らない事が多くて…。流れは実話やけど、台詞・情景・心境は微妙かも。終わってから言ってすみません。

    2006-06-28 15:30:00
  • 357:

    名無しさん

    結局お姉さんは死んじゃったの…?

    2006-06-28 15:36:00
  • 358:

    名無しさん

    ↑同感。最後らへんもっと詳しく書いてほしかった

    2006-06-28 17:04:00
  • 359:

    名無しさん

    そのへんの経緯や心情を詳しく書いてほしかったなぁ 完結急いだのか、はしょりすぎやわ。

    2006-06-28 17:24:00
  • 360:

    ◆5EJ71eKlNQ

    すみません?急いでしまいました?

    2006-06-28 17:50:00
  • 361:

    名無しさん

    2006-06-28 17:59:00
  • 362:

    名無しさん

    お⊃かれ様あ?

    2006-07-02 17:49:00
  • 363:

    名無しさん

    2006-07-03 00:34:00
  • 364:

    名無しさん

    あげ

    2006-10-05 23:59:00
  • 365:

    名無しさん

    よかった?

    2006-10-06 01:08:00
  • 366:

    名無しさん

    今一気に全部読んだぁ????〜?時間かかったょ?主サンお疲れ様?お姉サン見つかったぁ???これからも頑張ってね?

    2006-10-06 03:49:00
  • 367:

    名無しさん

    良かった???天才???娘さん元気???

    2007-01-06 13:49:00
  • 368:

    名無し

    あげ

    2007-03-27 21:40:00
  • 369:

    名無しさん

    2011-02-20 02:28:00
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