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ピエロ

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  • 1:

    ◆NedEI85Yxg


    『ピエロみたいに笑ってたくない?ずーーっと!』


    ――――今でも、いつかのアイツの言葉を思い出す。

    2008-05-29 05:42:00
  • 2:


    楽しくなくても笑ってたい。生きてる時間、全部、全部。もう、"嘘"とか"真実"とか――
    "正しい"とか"間違ってる"とか、そんな事は関係なく、どうでも良くって―――。

    ―――アンタは今でも、そう思ってる?

    2008-05-29 05:45:00
  • 3:


    ――4月下旬。雨の匂い。蒸し暑い。
    ――ピピピピピピ………『ん……ぅ。』しょぼい音を鳴らす目覚まし時計を止めて、起き上がった。…部屋が暗い。雨は続いている。こないだわざわざ遮光カーテンを取り外したというのに。
    『〜ぁあ…!だる…。』あぐらをかいたまま煙草に火をつける。煙と同時に吐き出すため息。
    ―――また嫌な夢を見た…。

    2008-05-29 05:55:00
  • 4:

    〜♪♪♪〜
    『…もっし〜!今起きたあー。』その"夢"に浸る暇もなく電波通信。〈何で電波って大概どこでもあるんやろぉ。〉そんな事を考えながら携帯を耳に当てたまま立ち上がり伸びをした。『桜もう終わりやね〜…』今日の雨で、きっと全部散る。ベランダから眺める桜の木、ちょっとキレかってんけどな。

    2008-05-29 06:03:00
  • 5:

    『うん、うん。おっけ〜ありがと〜♪んなら9時前に店下で。じゃね♪』

    電話を切りシャワー、化粧、着替えを済ませセット屋→そして店。いつもの過程を淡々と済ませるけど、雨がちょっとだるい。店へ向かうタクシーの中、おっちゃんが言った。
    『桜もこの雨で散っちゃうやろ〜ね〜。』

    2008-05-29 06:10:00
  • 6:

    『あ〜ルイもそれ思ってた。』『ね〜寂しいね〜』おっちゃんは少し黙った後、呟く様にいう。『まあでも春は何かが終わって、また新しい何かが始まる季節やからね〜』
    ―キィーッッ―!アタシが答える前に店の前に到着し、お金を払うと、車のドアが開いた。
    『ありがとうね〜♪』あたしは少し微笑み車を降りる。

    2008-05-29 06:17:00
  • 7:

    『いらっしゃいませー!!』
    案内のボーイさんをすり抜けリストへ。『おはよ〜ルイ!てかいい加減やめて、堂々と遅刻!笑』『いい加減諦めろ♪笑』『おい!笑』小うるさい店長とのやり取り。それを済ませ更衣室へ。
    『あっ♪ルイちゃんおはよ〜ッッ♪』『おぱよん。』『今日も可愛い〜!!』『知ってますとも。笑』最近くっついてくる新人の愛理は、どこかアイツの面影があって、アタシを変な気分にさせる。

    2008-05-29 06:37:00
  • 8:

    『ルイ行けるー?』『はあいよ〜ん!』

    ボーイに呼ばれ席に着く。二時間セットはだるいなあ〜…『噂の新人さんは来てんの?来てたら後で呼んであげよっかあ?』
    『んまにい?♪シュン君優しッッ♪』テキトーに答えてテキトーに抱きつく。これがアタシの接客スタイル。色営バンザ〜イ。笑 基本指名客は店彼で、客層はアキバ系多し。萌えキャラじゃないよ〜笑 普通のお客様もいてるよ〜笑

    2008-05-29 06:52:00
  • 9:

    在籍はちょうど一年位。箱は中でレベルも中。成績は先月No2になっちゃったけど、基本3〜4をうろうろしてる感じ。至って普通。やる気があるとかないとかよりに"とりあえず仕事やし"的なね。

    『呼んでくれてありがとう〜ッッ♪』タイミングを見て常連のTHE・アキバのシュン君の席に愛理をつけて、出前平らげて違う席にちょこちょこ移動。そんなんであっとゆうまに深夜2時半。

    2008-05-29 06:59:00
  • 10:

    『ありがとうねシュン君〜ッッ♪チュッ(^з^)/チュッ♪笑』お見送りの際、投げキッスをしてあげた♪笑

    エレベーターがしまる。『…ふぅ〜!ごめんなぁ愛理ぃ、長い事ッッ!』『ううん♪楽しかったしたこやきも食べれたし♪笑 他ん席にヘルプに行くよりだいぶいーしっ♪ありがとーやわ♪笑』………あ。また。アイツを思い出させた愛理の笑顔に少し目を反らしてしまった。…………そんなハズないのになぁ〜。

    2008-05-29 07:07:00
  • 11:

    でも多分気のせい。あまり気にも止めず、ちゃっちゃと帰る用意をするアタシの服の裾を掴む愛理。
    『んう?』『なぁなぁルイちゃん、…この後暇あ?』お?初めて誘われたぞ愛理に。笑 『別に用事ないけど何で〜?』『あんなあ〜…』

    ふむ。ズバリ、"ホストについてきて欲しい"と言う事。その店に"彼氏"がいて、"店の友達でも連れておいでや♪"と言われたとの事。
    ……

    2008-05-29 07:15:00
  • 12:

    『別にいいよ〜♪』『んまにっ!?やったぁ♪ありがとー!!ルイちゃんホストとか嫌がるおもてたー!』愛理は嬉しそうに化粧直しをしていた。

    基本、そゆのに興味ないけど、何となく。まあいいやって感じで行く事になった。

    『ルイちゃんのあのお客さん熱いやんなあッッ!ルイちゃんの色にやられたんやろな〜♪笑』『ん〜、大して何もしてへんのやけど。笑』店に向かう途中、そんな会話を交わしながら歩いていた。〈雨上がっててる。〉散ったかな、桜は――。

    2008-05-29 07:23:00
  • 13:


    『いらっしゃいませー!!!』
    入った瞬間の爆音と威勢の良い声に少しむさくるしさを感じつつも…笑
    案内された席につく。『何飲まれます?』『あ、ウーロンハイでお願いしまあす♪』『はい。愛理はオレンジジュースな!』拓馬くんはポンと愛理の頭を叩いて見せる。『愛理も飲みたい〜!』『アカン!お前すぐ酔うから』『え〜…』
    ふむふむ。笑 なかなかラブラブなやり取りだ。

    2008-05-29 07:44:00
  • 14:

    『ちょっと待ってて下さいね。』席を立った拓馬くんを指差しながら愛理がニヤける。『どう?かっこ良くない?笑』『うん。いいと思う〜♪てかお似合いやあん♪』更にニヤける愛理。幸せそう。
    入ってる間に拓馬くんは一人のホストさんを連れて戻ってくる。
    『ルイちゃん、コイツ俺が一番仲良い奴やねんけど、最初つけてもいいかな?』『あ、はい、よろしくお願いしまあす♪』

    ―――顔を上げた瞬間、目が釘付けになったのを今でも覚えてる。

    2008-05-29 07:52:00
  • 15:

    『はじめまして。雪です。』



    ―――――――…………

    2008-05-29 07:54:00
  • 16:

    『ルイさん…ですよね?』
    少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
    彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。

    2008-05-29 08:01:00
  • 17:

    『ルイさん…ですよね?』
    少し微笑む彼。『失礼します。』アタシの前に腰掛け、アタシの顔を覗き込む。『どうしたんですか?』その言葉でやっと口が開く。『…ごっめ〜ん!笑 見とれてもたあ〜!笑』アタシの発言に一同笑いが漏れる。『えぇっ!ルイちゃん雪タイプー!?笑』そう言う拓馬くんの隣からは、『雪くんでも気をつけてっ!ルイちゃんの色は怖いで〜♪笑』と愛理。
    彼の、声を聞いてみたい。アタシは彼を見て待ってみる。

    2008-05-29 08:04:00
  • 18:

    『…やめて下さいよそうゆうのっ!笑』

    "雪くん"のその一言で、またドッと笑いが湧く。細い指で顔を覆い、照れている。…ドキドキする。こんなんは初めてだ。
    『雪、気をつけろよ〜!笑 ルイちゃんかなりやり手っぽいで!笑』拓馬くんはそう言うと空気を読んで愛理と二人で話し始める。『いくつですか?』『20歳です。』『マジッすか…俺の3つ下ですね。見えないっすよ。笑』――23歳なんやぁ…

    2008-05-29 08:15:00
  • 19:

    『ちょっとショック〜!笑 ルイ老けてる?笑』『いや!すっごい色気やな…と思いまして。笑』『またまた〜♪笑』すごい!すごい雰囲気だ。白い肌に少し華奢な体。綺麗な髪が少し目にかかってる。―――天使みたいや。『雪くんって本名?』……って。『あぁ!笑 ごめえん!キャバクラのお客さんみたいな事聞いちゃった!笑』『いや、全然いいですよ!本名ですよ。ルイさんは?』『本名やでえ。ユキって雪国の雪?』『はい。』『やっぱり〜!』正味の話、わからんけどそんな事はよくって、ほんまに"雪"って感じや――。

    2008-05-29 08:23:00
  • 20:

    『っぽいですか?』『っぽい〜!笑』『まじすか。笑 ルイさんはどんな字書くんですか?』『ルイはカタカナやで〜笑 なんかキショイやろ〜笑』

    そのまま少し話し、雪くんが席を立つ時間がきた。『おってや〜♪ルイ雪くんがいいっ♪』『いいんですか?ありがとう。笑』少しテレながら言う雪くんが、仕事なのはわかってるが、"綺麗"だと思った。

    2008-05-29 08:29:00
  • 21:

    愛理は拓馬くんと楽しみつつ、『ルイちゃんが雪くんで嬉しい〜!』と嬉しそうだった。

    その後雪くんはほとんどアタシの席についてくれていた。他愛のない話。なのに楽しい、何より落ち着く。時間がこんなに早く感じたのは、久しぶり――。素晴らしいホストがこんなところに…笑

    この日2時間位いて、番号交換をして、愛理と店を出て、別れて家に帰った。

    2008-05-29 08:36:00
  • 22:


    ―――まさか、今日がすべての始まりだったとは。

    2008-05-29 08:37:00
  • 23:


    ―――"運命"は、信じない。いくつかの出会いがあって、同時にその後いくつかの別れがあるのなら、きっとアタシはあれからその流れに逆らおうとしていた気がする。

    ―――"夢"は見たくない。瞳を開けてる時も、閉じてる時も。傷つくのが怖いからじゃない。"放棄している"だけ。

    2008-05-29 08:42:00
  • 24:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 25:


    ―――バサッッ…!
    『……―――ッ、また…か。』

    ――喉の乾きで目が覚めた。カーテンから日差し。雨は上がって快晴。『……はぁ…』水を手に取り頭を抱える。ひつこい夢。ため息が出るのは、それが嫌だからか、はたまた"夢"だからなのか、未だに良くワカラナイ。

    2008-05-29 08:49:00
  • 26:



    ――――アヤ。

    アンタも、アタシの夢を見る事あるかな?てゆうか…元気かな?てゆうか………生きてる?

    2008-05-29 08:52:00
  • 27:





    『ルイちゃん雪くんとメールしてるっ!?』―――――――『あ、うん、ちょこちょこね。』

    2008-05-29 08:56:00
  • 28:


    ――あれから数日経った。何の変哲もない仕事場での待機中。ベランダから見える桜の木はもう花びら一枚さえなかった。
    『そっか〜♪なんか嬉しいな♪雪くんマネージャーさんやねんでっ!』『らしいね。拓馬くんが代表なんやろ?ビックリしたし〜笑 うまい事行ってんのお?』携帯をいじりながら楽しそうな愛理の隣。『うん♪いい感じ♪』正直、拓馬くんが愛理の事本気な可能性は低いが…笑 本人が幸せならそれでいんじゃないだろか、多分。アタシはと言えば雪くんと"客"と"従業員"らしいメールを当たり障りなくこなしてる。

    2008-05-29 09:04:00
  • 29:

    『ルイちゃんは雪くんの事好きなあん?』『うん?うん♪笑』『まぢでっ!?♪笑 雪くん拓馬に"ルイちゃん彼氏いてるんかな"って聞いてたらしいでっ♪』お〜っとぉ!笑 『そういえばそゆ話してなあいなあ。笑』
    流しておこう。笑 ホストはキャバ嬢以上に怖いからね。笑 『ルイちゃんが雪くんとくっつけばダブルデート出来るな〜♪♪』本気か冗談かわからない口振りで、ゴテゴテのスカルプをいじいじする愛理がちょっと怖くなった瞬間。笑 ま…いっか。笑

    2008-05-29 09:10:00
  • 30:

    『ルイ!アキバさんきはったでっ♪笑』『まぢ〜?連絡なかったし〜!』

    ボーイに言われ客席に向かう。『シュンく〜ん♪急やからビックリした〜♪』『やろ!ビックリさせたかってん…♪』なんやそれ!笑 『この〜!ヽ(´ー`)ノ笑』…とりあえず抱きついとけ!笑 1に密着、2に密着。これで他のキャストに反感を買われた事もあるけど、もう慣れっこ。だって客層アキバやねんもんッッ!笑

    『今日も愛理ちゃんつける?』『なんなん気にいった〜ん?』ちょっとすねて言ってみると、『ルイちゃん以上はおらんって!!』と必死。『かわゆ〜い♪』ヨシヨシしてあげよう。

    2008-05-29 09:21:00
  • 31:

    一回アタシの接客方法で女の子達とモメた?時、「あんなキモイんとよく引っ付けるな」とか、「あんなベタベタしてまで必死でキモイ」とか、「話術ないからって」とか言われたけど、違うねんな。店長が言ってた。アタシはお客様に対して全く「無関心・無興味」やねんな。お金とか以前に。"その癖ニコニコ笑えるお前はまさにピエロや!"って。普通女の子は、"生理的"なモノが働くんだと。そしてそれが原因で水商売は病むのだと。"お前には天職やな"って店長は言ってたけど、それも違くて、これしか知らなくてこれが楽だから、ただそれだけ。別にキャバクラじゃなくても何でもいい。アタシには"こだわり"がない。

    2008-05-29 09:35:00
  • 32:

    こだわりも無ければプライドもないから、あまり人の事気にしないし、気にならないし。時々、"こんなにもカラッポな自分"にびっくりするけど、笑えてるから、ずっと笑っていれてるから、安心する。それが唯一の"夢"だったのカモ。

    ―――アタシらの。

    2008-05-29 09:42:00
  • 33:



    『りっくうん♪シャンパン飲みたあい♪』

    ――ある日の【PIERO】今日は忙しい。"締め日近い"と言う事で色んな卓でシャンパンをおねだりしていた時。『ん〜?何飲みたいん〜?』『わ〜い♪笑』いつも通り抱きつきまくってたら入口のドアが開く。『いらっしゃいませー!!!』そこに集中する視線。待機場で女の子がざわめき出す。

    2008-05-29 17:50:00
  • 34:

    『こちらへどうぞー!』ボーイさんがその人達を案内する時、目が合ってしまった。〈うわ〜…笑〉雪くんや。雪くんと拓馬くん。二人は仕事中だろう、スーツ姿のまま。綺麗にセットされた髪、特に雪くんにはオーラがあって2人共に目立っていた。

    『拓馬〜♪』周りなど気にも止めずイチャつく愛理が見える。〈おいお〜い、大丈夫かあい。笑〉
    ちょうどアタシのついてた席でシャンパンがおりて乾杯が終わった頃。『ルイさんお願いします。』

    2008-05-29 17:58:00
  • 35:

    名無しさん

    おもしろい
    続き待ってます

    2008-05-29 22:25:00
  • 36:

    お酒の力も働いて、少しドキドキしながら雪くんの隣に行く。『呼んでくれてありがと〜♪』あ、イイ香り。『急にごめんね。拓馬と時間空いてきちゃいました。笑』前髪を指でイジりながら少し笑う。雪くんは本当に綺麗だ。『ルイちゃん人気者やな〜やっぱり!』と拓馬くんがアタシを見た。ただ何となくなんだけど、雪くんと対照的な拓馬くんが、アタシはどうやら好かないみたいだ。

    2008-05-29 23:05:00
  • 37:

    夜独特の派手な席に、女の子はもちろんお客様の注目も集まっていた。『やっぱり目立つね。笑』アタシが言うと、『忙しい時にごめんね。ルイちゃんのお客さんもいっぱいきてはる時に。』と雪が申し訳なさそうに言った。雪くんはきっと頭が良い人だろーな。普段のメールのやり取りや、気遣い。ここに入ってきた瞬間に、店内状況は大体読み取ってるんだろうな。
    『でもちょっと見てみたくて。ルイちゃんが仕事してるとこ。』売れてるんやろうな。まさに雪くんは"ホストらしいホスト"。

    2008-05-29 23:15:00
  • 38:

    名無しさん

    前ピエロって題名でにたような小説ありましたよね??
    書き直してるんですか?
    そりともぱ…ぱくり?

    2008-05-29 23:32:00
  • 39:

    『ほんま怖いっすね。笑俺通ってまいそう…笑』少し俯き、仕草、優しそうな品の良い笑顔。そして、『ルイもやしっ♪笑 てか雪くん手冷たあい。』『あぁ、俺冷え症なんですよ。』『うん、ぽいぽいっ。』さり気なく手を触ってみる。うん、冷たくて、白い。『それ、肌の色で言ってるでしょ?笑』『当たり!笑』雪くんは女の子みたいに白い。とゆうか、"透き通る"みたいに綺麗な肌、手も。こんなに綺麗な人間がいるなんて――。
    『ルイちゃんは休みの日とか何してるんですか?』雪くんはまだ気を遣ってる様な、様子を伺う様な敬語で聞いてくる。タメ口でいーのにな。まぁどっちでもいーからいいけど。

    2008-05-29 23:44:00
  • 40:

    『休み…ですかあ〜ん〜。』『あ〜ごめんない!僕おっさんみたいっすよね、ごめん!笑』手で口元を覆って自分に突っ込むから、可愛くて笑ってしまった。『可愛い〜♪笑』『もう!おちょくらんとって下さい!笑』『ヒャはは〜!笑』なんか、新しい一面だ。
    『雪、何年下におちょくられてんねん!笑』またそこで拓馬くんが入る。だからほっといてってば!ヽ(*`Д´)ノ笑

    そうしてみんなで楽しく話してる内に、アタシは呼ばれ席を立った。
    『待っててねえ。』

    2008-05-30 00:00:00
  • 41:

    アキバ代表シュン君の席へ。最近来るペース増えてきたけど大丈夫なんかな?『今ついてたとこ…ホスト?』『うん。』『ルイちゃんもやっぱホストとか行くん?』『あ〜♪焼き餅や〜♪笑』アキバ代表、ホストはやぱ好かんみたい。笑 愛用のリュックサックを抱きしめウジウジ。
    『ルイ、そのリュックになりた〜い♪笑』言いながらシュン君の顔を見つめると、顔を赤くしてキョドっていた。

    そのやり取りを、目を光らせて見てたのは、アイツ以外にもいてたみたい――。

    2008-05-30 00:12:00
  • 42:


    『お帰り。』アタシが雪くん達の席に戻る頃には、何本かのシャンパンがおりていて、チェックの用意をしてる感じだった。『帰るのお〜?』『うん、ごめんね。ちょっと電話あって戻らないとあかんから。これ、乾杯♪』雪くんは笑ってアタシの頭をポンッと叩いてリストまで行って会計を済ませる。真っ直ぐな背筋、長い足。その後ろ姿に、アタシはグラスに口をつけたまま見とれていた。『ルイちゃん、雪と仲良うしたってな♪』どこか胡散臭い笑顔を振りまく拓馬くんを、[エセピエロ]だと、アタシは思った。

    2008-05-30 00:28:00
  • 43:

    お見送りした後、雪くんにありがとうメールを入れておいた。またお礼に店に行かないとなぁ。本来、そうゆう"義理"でお互いの店に行くとゆうのが煩わしいんだけど、雪くんにはそう思わなかった。純粋に、行かなきゃと思った。

    "好き"っちゃ好き。ドキドキもする。でもこれは"恋"ではなく、でもきっと一目見た時から、始まっていた。不思議な人。アタシに"何か"を感じさせてくれる人。

    それだけは間違いじゃなかった。

    2008-05-30 04:10:00
  • 44:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 45:




    ――光は、闇でこそ輝くコトが出来る。なら闇は、永遠に輝くコトは出来ないのだろうか――。"今更"記憶を辿っても、未来を描こうとしても、どうしようもないよ。目の前は真っ暗でもないから、"見る"コトは出来るけど、薄暗い。これがきっと闇だ――。いっその事真っ暗なら良かったのに。

    2008-05-30 04:24:00
  • 46:



    ―ピピピピピピ…………聞き慣れた目覚ましの音。どんな時でも、アタシはこのしょぼい音で目を覚ます。
    『………は…ッ。またかよぉ〜…』
    ――覚めてしまうのだ。

    2008-05-30 04:28:00
  • 47:





    _________________________________

    2008-05-30 04:32:00
  • 48:


    ―――妹川 ルイ(マイカワ)
    【―13歳の春―】

    母が再婚した。再婚相手の男には娘がいた。名前は[麗香-レイカ-]。アタシと同い年。キツそうな顔立ちでアタシとは正反対で背も小さかった。奇妙な同居生活の始まり。この日からアタシと母の名字と、"これから"が変わった――。

    2008-05-30 04:43:00
  • 49:

    麗香とは、初対面からウマが合わず、お互いがお互いを鬱陶しく感じていた――。家でも学校でも顔を合わす。それが堪らなく嫌で嫌でしょうがなく、ロクに家に帰らなくなるアタシ。それとは対照的に、ファザコンの麗香は毎日家に帰り、その父を溺愛していた母は麗香をも可愛がった。これは卑屈でも何でもないが、そこに愛なんてなかった。母はそういう人だった。
    日が経つに連れて麗香の父は本性を出す。"暴力"。と言っても、手を出されるのはアタシだけだったけど。

    2008-05-30 04:57:00
  • 50:

    もちろん母は助けてくれるハズもなく、それどころか父に加勢してくる日さえあった。麗香はと言えば、それを見て勝ち誇った様に笑っていた。
    傷だらけで学校に行く。土地柄のせいか、髪を染めてるだの、制服のスカートが短いだの、生意気だので先輩に呼び出され囲まれやりたい様にやられる。もういちいちどの傷が誰かなんてわからないし、どうでもいい。気に入らないならいっそ殺してくれたらいーのに。


    ――そんな時に出会ったのが、[アヤ]。アタシの初めてで、そして最後の"友達"――。後にも先にもこれほどの出会いはもうないと今でも思っている。

    2008-05-30 05:11:00
  • 51:

    『あんたの妹、やっちゃっていい?』
    ――アヤが初めてアタシに話しかけてきた言葉がこれ。先輩達に呼び出される時、唯一、二回以上顔を合わしてる子だったから顔は嫌でも覚えていた。大体みんな一回"アレ"をされたら懲りてたから。『別に…。名字が一緒なだけであんなん妹でも何でもないし。』『マジで!?どうりで全っ然似てへんわけや〜笑』アヤの第一印象は"馴れ馴れしい奴"。そん位。ただ、目鼻立ちがクッキリしてて綺麗な顔してるなと思った。

    2008-05-30 05:22:00
  • 52:

    その数日後、麗香が傷だらけで帰ってきて、パンパンに腫れた顔で父や母に泣きながら言ってるのを聞いた。「片瀬さんに殴られた!」……あいつ、ほんまにやってるし。麗香が言う"片瀬"はずばりアヤの事で、父と母は学校を通し、アヤとアヤの親に謝罪を求めたが、アヤも、アヤの親も家に来る事は無かった――。

    『あ!妹川姉!』
    ある日学校での事。トイレに入ると窓際で1人煙草を吸うアヤがいた。口元が切れて赤くなっていた。

    2008-05-30 05:37:00
  • 53:

    もちろん家にも煙たがられる訳だが、アヤがいる、それだけで何となく、楽になれた気がした。


    【13歳-夏-】
    生まれて初めての彼氏ができる。名前は[実好 英太-ミヨシ エイタ]名字で呼んでいた。それ位初々しい恋。隣のクラス。学校に行かず遊びぼおけてる時、アヤが連れてきて、出会った。これが"幸せ"かと、幼ながらに感じ、「卒業したら一緒に住もう」「結婚しよな!」そんな口約束も疑う事なく信じていた。何だかんだ、純粋だったのかも。

    2008-05-30 21:23:00
  • 54:

    でもその初めての"幸せ"は、簡単に崩れる。しかも原因は麗香――

    【14歳-春-】
    2年に上がると同時に、実好と別れた。いや、麗香に取られた。麗香が実好を本気で好きだったのか、アタシへの嫌がらせだったのか、そんなのはどっちでも良くて、ただ実好が麗香を選んだ事が、ショックで、恨むとか、取り返すとか、そんなんじゃなく、どこか遠くに逃げたくなった。どこか、誰も知らないところ――。

    2008-05-30 21:35:00
  • 55:


    『…なんか、どっか遠く行きたいわ。』
    『ふーん?んな行ってみる?』

    ――ほんまにノリ。この時のアヤの軽い台詞。"家出決行"。"もう二度とここには戻らんとこ!"その晩、それぞれ鞄に荷物を詰め込んで家を出た――。夜桜が綺麗だった。

    2008-05-30 21:41:00
  • 56:

    何も、考えてなかった。でも不安は無かった。"二人なら大丈夫!生きていける"何故かそう強く信じていた。アヤが一番だった。アヤの言葉だけは信じる事が出来た。

    まず、"金が必要"。そこで二人が初めてした仕事は[-セクキャバ-] 14歳の子供が服を脱ぎ、大金を稼ぐ。親父に触られるのは気持ち悪い。でも二人で生きていく為。"あそこ"におるより全然マシ。怖くなんかない。アヤといれば、本当に何も怖くなかった――。

    2008-05-30 21:51:00
  • 57:

    ある程度お金が溜まったら、家を借りた。と言っても客名義だけど―――嬉しかった。『うちら二人でもいけるやん!!』そう言って手を叩いて二人喜んだ事、アヤの笑顔。そこに偽りなどなかった事を、信じたい。

    【15歳-夏-】
    スカウトをきっかけに"キャバクラ"に移動した。楽しかった。触られずにすむ。お金もある。帰れる家がある。仕事でどんな嫌な事があっても、二人愚痴り合って笑う。"明日も頑張ろな"と。不満などなかった。寂しくもなかった。これっぽっちも。

    2008-05-30 22:01:00
  • 58:


    "幸せ"はどうして長く続かないんだろう。まるで何事もなかったかの様に、消えていく。闇に、連れ去れていく。

    【15歳-冬-】
    アヤが覚醒剤にハマった。当時付き合っていた男は、アヤを引きずり込んだ。ドラッグの世界に。始めは片腕、でも確実に吸い込まれていく、アヤを止める術が、あの頃のアタシには無かった――。

    2008-05-30 22:13:00
  • 59:

    思えばここから狂いだした。全てが。アヤが好きになった人。全身全霊で、いずれアタシを捨てて愛した人。[雄志-ユウシ-]
    "こいつさえいなければ"と、何度想っただろう―――。

    アヤの異変は一目瞭然だった。家に帰ってこなくなる。帰ってきたと思えば大声で歌い出し、踊り出し、物を投げ、11階の部屋から何度も飛ぼうとした。「アヤは飛べるねんッ!雄志んとこ行くねん!」そんな訳のわからない事を何度もアタシに言って。
    怖かったし、何よりショックだったし、寂しかった。"彼氏"が出来て、幸せになるハズのアヤ。違う。こんなん違うやろ。

    2008-05-30 22:28:00
  • 60:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 61:

    時々、帰ってはくるものの、その時は決まって酷くしんどそうで不機嫌で――。『…アヤ、ご飯食べてるん?』『うん。』『仕事こやんの?みんな心配してんで!』『うん』『…うんじゃなくて聞いてる!?』――バン!
    『うっさいねん!ほっとけや!』すぐに、物を投げた。多分切れ目で、イライラが止まらなかったのかもしれないけど、アタシはアタシらが頑張って一つ一つ揃えたこの家のものを、そうやって投げて壊すアヤが悲しかったのと同時に、怒りを覚えた。
    ――でもそれでも、アヤに元に戻って欲しいと必死だった。必死だったから。。

    2008-05-30 22:46:00
  • 62:

    アヤがわからなくなった。そんな自分も嫌だった。ある日、自分もクスリに手を出した。アヤの目の前で。アヤは驚いていた。"どんなもんやねん"って自暴自棄になってたのと、"アタシ何でもするしわかって!"って気持ち半々だった。正直、悪寒がする位気持ち良かった。アヤは嬉しそうな、でも悲しそうに言う。
    『やっぱりルイはわかってくれるやんな。』と。

    正直、どうでも良かった。"どうにでもなれ"の方が正しいが。アタシも覚醒剤をすれば、アヤはこの家に帰ってくる。アタシのそばにいる。雄志のところに行かれるよりはきっとマシだ――。

    2008-05-30 22:55:00
  • 63:

    案の定、アヤは帰ってくる様になった。でも、雄志と別れる事はなかった。
    『行ってくるわ。』アタシは毎日仕事に行き、2人分の生活費とクスリ代を稼ぐ。〈馬鹿らしい。〉全部が馬鹿らしかった。否定していた覚醒剤にまんまと手を出し、深みにハマる。きっとこんな事をしてもアヤが雄志と切る事はないのはわかってるし、でもこうするしかない。アタシはアヤが離れていくのが、失うのが何より怖かった。クスリに蝕まれる事よりも、怖かったんだろう――。

    薬漬けの毎日。アタシの場合、シラフの時の気怠さと極度の空虚感に耐えれず、常ドンギマリ。炙りから突きに変わるまでは一瞬。マニュアル通りに、ハマっていく。それがまた滑稽でどうしようもなく、虚しくて、笑える――。

    2008-05-30 23:09:00
  • 64:

    そんな状態で店に行くのだから、従業員にも客にもバレバレ。人それぞれに馬鹿にしたり蔑んだり、説得したり。"馬鹿らしい"――そうとしか思えない。ガリガリな体に、気分的にも上がり下がりが激しく、本当にハタから見れば「薬中」そのものだっだろう。

    ―――そんな悪夢の様な毎日。でも、"幸せ"だったのかもしれない。

    2008-05-30 23:23:00
  • 65:

    名無しさん

    続き読みたい

    2008-06-03 01:16:00
  • 66:

    [16歳-夏-]

    再会した。いや、してしまったのか――。クスリからアヤと共に抜け出せず、状況は変わらずいた、ある日。いつも通り仕事に行き、接客についてたアタシ。急に指名が入った。『何してんの、お前…。』『……。』

    ――――実好だった。

    2008-06-03 07:20:00
  • 67:

    『…あんたこそ何してんの。』――3年振りに見た奴は、あの頃よりもだいぶ大人っぽくなって、でも何も変わってなくて、再会した瞬間もアタシにとっては、"大好きだった人"で"大嫌いな人"だった。この時彼は仕事場の人達と飲みにきてたらしく、でもアタシを見つけて、一人残った。
    「今までどうしてた?」やら、「お母さん心配してたぞ。」とか、くだらない話ばかりしてくる、あの頃とは少し成長してる実好に腹が立ち、余計にイライラが増した。もう二度と、会いたくないと思っていたから。顔も見たくないと思って今日まで過ごしてきたのに。。

    2008-06-03 07:31:00
  • 68:

    『てか…話それだけ?あんたと喋りたくないんやけど。』きつくあたるアタシにも、実好は付き合ってた時と、3年前と変わらず優しく明るく言葉を返してきた。それがまたたまらない位アタシを嫌な気分にさせる…。
    『…てか、麗香は?あいつにアタシに会ったとか絶対ゆわんといてな。』
    『あ〜…てゆか、別れてるし。』〈―――…。〉

    ――"そんなもんか"と思った。それと同時に、アタシだけだった事に気付く。あの頃から、"止まっていた"のは――。

    2008-06-03 07:40:00
  • 69:

    名無しさん

    やっぱにてる??
    書いてる人同じなん??

    2008-06-03 10:21:00
  • 70:

    名無しさん

    おもろい????

    2008-06-03 12:44:00
  • 71:

    【休憩】

    おはよございます☆カキコしてくれてる方ありがとうございます。前書いてたのを書き直ししてます。読んでくれてる方いてたんですね(>_

    2008-06-04 05:59:00
  • 72:

    もちろん、クスリの事も指摘され、『そんなんしてもロクな事ない。やめ。見たらわかるし相当やろ?』と止められたけど、『あんたに関係ないやん。』とあしらった。実好にだけは言われたくなかった。いちいちイラつくから。

    その日、『携帯教えて』と実好はかなりひつこかったけど、教えず見送った。『俺また来るから!』最後にそう言い残した実好を、"馬鹿だな"と思った。"信用"なんて微塵もなかった。

    2008-06-04 06:11:00
  • 73:

    家に帰りアヤにその事を話すと、『そんなんゆうてどうせ戻んねやろ〜!?』と笑いながら言われた。もちろんシラフの状態じゃない。なんか悲しかったのと同時に、少し意地になって答えたの覚えてる。『絶対ないから!今更…。』
    ―――そう、本当に今更。なのに何故。自分やを他人を責めるのは簡単だ。行き先まで恨んで責めてしまったら、過去、そしてこの先の未来に、何が残ると言うのだろうか。

    2008-06-05 05:33:00
  • 74:


    実好は、本当に店に頻繁に会いにきては、無意味にお金を落として行くようになった。『…アホちゃう、あんた。暇なん?』『そうですう〜!悪い!?笑』どんなに冷たくあたっても笑って受け流す実好。何度も会いに来る実好。"アタシが好きだった彼"がそこにいたから。「時間」ってやつは本当に怖く、切なく、残酷だ。彼のせいで頑なに閉ざされた心が、時を経て、彼の手によって開かれていく。素敵な事?悲しい事?わからない――…。でも事実、アタシは救われていて、そのうち、実好が会いに来てくれる事が店に行く楽しみになって行った。

    2008-06-05 05:53:00
  • 75:

    "こんなんじゃ駄目"と頭ではわかりつつ、でも言う事をきかない心。コレを恋だというのなら、コレもドラッグに違いない。アヤはどっちにハマってるん?雄志?薬?それとも、両方?
    ――しばらくして、アヤはまた帰って来なくなった。どこで何をしてるのか…アヤの行動範囲や周りはこの時すでにわからなかったけど、"雄志といて、覚醒剤をしている"、当たり前にそれだけはわかっていた。

    墜ちていく一方。それならばいっそ…。そんな想いで過ごす毎日。アヤがいない毎日。実好。どう想う?アタシはどうしたらいい―――?

    2008-06-05 06:05:00
  • 76:

    "実好には頼りたくない"強く思えば思うほど、アタシの中での彼の存在は大きくなって。アヤがアタシから離れて行くほど、実好は近づいてきて。本当にタイミングなんて言葉で片付けたくないけど、本当に…どうしようもなかった。
    『片瀬はまだ帰ってこやんの?』『うん…。』
    実好は元はと言えばアヤの地元の友達で、アヤが帰ってこなくなるまでのいきさつを話すと、心配していた。彼は心の優しい奴だった。"優しさなど偽善の自己満"と思っていたアタシだけど、その"偽善"こそが、人間の本来持っているはずの"優しさ"なのかもと、実好を見てたら思えた。

    2008-06-06 04:39:00
  • 77:

    実好を見てると、彼と話してると、たくさん学ぶものがあって、今までにない、色々な事を感じさせられた。そうしてるうちに、アタシの中で新しい想いが、いや、希望が芽生えてきたのだ――。
    『…アタシ、クスリ辞めるわ。』『ほんまッッ?』『ん。で、アヤも…辞めさせたい。一緒なら辞めてくれるかもしらん。』
    淡い期待じゃなく、強い意志。思えばアタシは、"本気"でこの状況を抜け出そうとしたのか?……全然。してない。むしろ逆。流されるばかり。何でもかんでも一緒なら良いって訳じゃないのに。
    『ルイ、頑張れよ。』実好との再会は、アタシに希望をもたらした。でもこの後すぐに、アタシは"絶望"を知る――。

    2008-06-06 04:56:00
  • 78:

    [16歳-冬-]

    家にあるクスリ、道具をすべて捨てた。禁断症状?的なものは今のところない。アタシは約一ヶ月、クスリには手を出していなかった。何日か前に帰ってきたアヤは、酷く疲れていて、アタシが真剣に話すのを聞き終えると、『…わかったわ。アヤも頑張って辞める…』と力無い声で頷いた。嬉しかった。"頑張ろう""二人なら大丈夫"――いつもの様にそう思った。

    2008-06-06 05:08:00
  • 79:

    実好はしばらく店に来てない。おそらく、お金が尽きたんだろう。悪いなと思った。こんなアタシの為に、ない金はたいて店になんか落として。アタシは渡されていてずっと送ってなかった実好のアドレスに、メールを入れた。
    「もう店にこやんくていいよ。ごめんな。ありがとう。ルイ」最後に携帯番号を入れて。これが間違いだったかな?いや、もう今となってはわからない事。いちいち記憶を辿っては見直す意味などきっとない―――…。

    ―――そうやろ、アヤ?

    2008-06-06 05:17:00
  • 80:

    忘れもしない。あれは一月の寒い雪の日。世間は正月でほのぼのオーラが満開だった頃。あの日は、アタシがアヤと過ごした最後の日で、同時にアヤを見た最後の日――。

    二人で"クスリを辞めよう"と決めてから、僅か一週間後。事件は起こる。

    『ただいまあ。』正月など関係無しに働き通しだったアタシ。"店に戻りたいな"とぼやいてたアヤに、ちょっとしたプレゼントと、少しでも正月気分を味わいたいかなと、おせち料理もどきなのをスーパーで選び、買い物をしていつも通り家に帰った。深夜2時位だった。

    2008-06-06 05:35:00
  • 81:

    『アヤ?』灯りも消えてたから、寝てるのかと思いリビングに入って電気をつけた瞬間、唖然とした。アヤの震える背中、手には注射器とハサミ、床に散らばる白い粉とビニール。一瞬、"やばい!!"そう思いビニールごと蹴飛ばすと、白い粉が床一面に散らばった。『え…』それを見て固まってしまった。『アヤ…それ…。』寒気がした。その"白い粉"の正体は"覚醒剤"ではなく、ただの"砂糖"で、その証拠に、すぐそばのテーブルの上に砂糖入れにしてた透明の箱が横たわっていた。『…ルイ、アヤ無理やねんけど…』そう言ってこっちを向いたアヤを凝視するアタシ。
    …これは何かの間違いだ―――――――。

    2008-06-06 05:49:00
  • 82:

    アヤの顔。涙と鼻水でグッショグショの顔。その一面砂糖まみれで、腕には、注射器の跡が数十個――いや、無数にあって…ショックを隠し切れなかった。『なぁ…本物、どこに隠してるんよ?』『アヤ…ここにはないよ。辞めよゆうたやろ?』
    落ち着こうと目線を下にやると、アヤの細い足から血がダラダラと垂れていた。『…あんた!足ッッ……』駆け寄るアタシの肩を掴み、アヤは言う――。ぐちゃぐちゃの顔で。
    『…ルイがッッ!辞めよなんかゆうて隠すから…!アヤ…雄志んとこいかなおもてさ…でも…ハハッ!ルイ、アヤが雄志んとこ行ったら嫌がると…ッッ…思って。行ったらアカン思って――…ッッ!足が勝手にうごくんがうざいからさあッッ…!これ、こうしたんやけど……ぅッッ…グス―…』よく見ると、アヤの手にあるハサミに血がベットリついていた――。

    2008-06-06 06:05:00
  • 83:

    本当に何かの間違いだと思った。思いたかった。『――アヤッ、病院いこう…!』血の量で、傷が深いと思ってアヤを立たせよとする。―ドンッ―!!『――…ッ』悪い夢を見てるんだと思った――。『お願いルイ…!!アヤあれがないと無理やッ!!』一度アタシを突き飛ばし、近づいてきたと思ったらアタシの胸ぐらを掴んだ、アヤのカリカリの腕。
    『なぁ、あるんやろ!?出してやルイッ…!!捨てたなんか嘘や!!……――辞めれるはずないやんけ!』『――………ッ。』そう怒鳴ったアヤの瞳は涙を溜めながら血走っていて、真っ直ぐ見つめ返すだけで自分までおかしくなりそうだった――…。

    2008-06-07 05:45:00
  • 84:

    でも…!『…アヤ!ほんまにないし、もうしたらアカンねん!約束したやろ!?アヤだってこのままじゃアカンってわかってるからあの時"頑張る"って言ったんじゃないん!?』黙り下を向くアヤ。血で滲むカーペットに涙がポツポツと落ちる。アタシまで泣いていた。『なぁアヤ?一緒に頑張ろやあ?今までだって二人で…無謀な事やってきたやんッ!?一人やったら無理やった事…一緒なら出来たやんッ…!アタシが辞めれてるんやからアヤに出来ひんハズ――』―――ブスッ――…
    言葉が続かなかった。アヤが投げた注射器が、アタシの横を通ってすぐうしろの壁に刺さったから。。

    2008-06-07 05:57:00
  • 85:

    『お前に何がわかんねん!!…アヤとお前は違うねんッッ…!!ルイは英太がおるからやろ!?英太とまたいい感じになってるんか知らんけどッッ…!』『アヤ!それはちが―――』『何がやねん!!…辞めるなら一人で辞めろやッッ…アヤは…今更辞めれへん…!辞める気なんかないしな!アヤにはッッ……やっぱり雄志しかおらんねやわ…ッ』『―――……。』デッカイ石で胸ん中殴られた様な気分だった。逃げ出したかった過去。二人で作り上げた今。これからもそうだと信じていた"未来"。感情、快楽、忍耐、苦痛、愛情。
    すべて味わってきただろう、今。アヤが必要とし、一番だと思うモノは―――。

    2008-06-08 05:17:00
  • 86:

    つくづく、タイミングが悪かったんだと思う――。一瞬、二人の間に沈黙が流れたその時―――。
    〜♪♪♪♪〜アタシの携帯が鳴った。『…あッッ…』床の上。先にディスプレイを目にしたのはアヤで、すぐ様その携帯を掴んでアタシの方へ投げた。
    『………行ったら?英太ンとこ。』言葉の意味がよくわからなかったが、着信は実好からだった。『アヤ、アタシはな――…』『うっさいねん!!…行ったらいーやん!!』アヤの怒鳴り声に身じろぐ。『……うざいねんッッ…!!ルイも…英太も!!アヤの事なんかほっといたらいいやん!!』『……――』泣きながら怒鳴るアヤ。アタシに話す隙さえ与えずに。

    2008-06-10 05:10:00
  • 87:

    『出て行ってや…ッッ!!アヤはあれを辞めへんし…』『――待ってやアヤ!!ルイはあんたと一緒に…』アヤに気持ちを伝えようとした瞬間、『…本ッッ気でうざいのわからんのか!!!』二人共、血相が変わった。アヤの手に握ってるのは、さっき自分自身を傷つけ血のついたハサミ。『………ぇ。』壁際に立ちすくんだまま動けないアタシに近寄ってくるアヤの目は、アタシを見ながら、違う何かを見てる様に冷たく、アタシは初めてこの時アヤの事を"怖い"と思ってしまった――。

    2008-06-10 05:24:00
  • 88:

    名無しさん

    面白い☆

    頑張って下さい。
    続き待ってます。

    2008-06-12 02:34:00
  • 89:

    ☆彡

    楽しみにしてます

    2008-06-13 02:28:00
  • 90:

    名無しさん

    ペットの主さんかな?似てる気がする?

    2008-06-13 09:06:00
  • 91:

    そのまま向かってくるアヤと、刃先。先端の赤。アヤじゃない瞳。『アヤ、聞い―…』『黙れや!…何も信じひんッッ…!ルイの事なんか信じひん!!…はよ消えてアヤの前から!じゃないとッッ……まじで刺すで…。』"刺す"?アヤがアタシにそんな事するハズが出来るハズがない。『嫌や――…!!』信頼、友情。願い、期待。そして何よりも、ちっぽけなプライド――。

    ――ドンッッ!!シュッッ――…!

    ――全部が砕けて散っていった瞬間。闇。

    2008-06-16 01:22:00
  • 92:

    『――…まじ?…………アヤ…。』

    ――ゴトッ…アヤの手から垂直に落ちたハサミと、血。痛みはなかった。心臓の音と、頬に跳ねたしぶきが、ソレをすぐに理解らせた。"刺された"――。"本当に"アヤが、アタシを…。『……だから言うたやろ…!アヤとおったらこんなんなんねん!はよ出て行け!!……アヤの前から消えてや!!!早く――…!!!』―――バンッッ!投げつけられる荷物が胸元に当たる。イタイ…痛いって、アヤ――。『はよせえやあッッ…!!』壁にもたれたまま微動だにしないアタシに更に怒鳴り、裏返るアヤの声。これはもはや怒鳴り声じゃなく、奇声。

    2008-06-16 01:39:00
  • 93:

    『――…まじ?…………アヤ…。』

    ――ゴトッ…アヤの手から垂直に落ちたハサミと、血。痛みはなかった。心臓の音と、頬に跳ねたしぶきが、ソレをすぐに理解らせた。"刺された"――。"本当に"アヤが、アタシを…。『……だから言うたやろ…!アヤとおったらこんなんなんねん!はよ出て行け!!……アヤの前から消えてや!!!早く――…!!!』―――バンッッ!投げつけられる荷物が胸元に当たる。イタイ…痛いって、アヤ――。『はよせえやあッッ…!!』壁にもたれたまま微動だにしないアタシに更に怒鳴り、裏返るアヤの声。これはもはや怒鳴り声じゃなく、奇声。

    2008-06-16 01:41:00
  • 94:

    アヤはハサミを拾い、泣きながら再びアタシに向ける。『はよしろゆーてるやろ…!!!』―ガタッッ―…!腰が抜ける。"やめて、怖い―…"『わかった…!わかったから…ッ!』『う゛ッッ…!グスッ……〜ぅあぁあ〜!!!』―グスッッ!!グサッッ―!!!壁を何度も突き刺す、アヤの姿。ヤメテ。ヤメテ―…!『〜ッッ…!!!』アタシは立ち上がり玄関まで走った。イタイ、イタイ――……〈怖い!!〉――ガチャガチャッッ――…!急いで開けた玄関のドア。震える手で。震える足で、家のスリッパのまま走った。血がポトポト落ちる胸元を押さえながら、何度もコケそうになりながら、無我夢中で。

    2008-06-16 02:02:00
  • 95:

    名無しさん

    続き気になる〜☆

    2008-06-16 17:23:00
  • 96:

    名無しさん

    やっぱ同じ人なんですね?
    前のやつすきだったんで
    なんか言い方悪くてごめんなさい??
    楽しみにしてるんで頑張ってください?

    2008-06-17 12:24:00
  • 97:

    名無しさん

    ペットはもう書かんの?

    2008-06-17 19:54:00
  • 98:

    名無しさん

    ↑ペットの主と同じじゃなくて、前これを書いてた人と同じなのでは?

    2008-06-17 21:53:00
  • 99:

    近くの公園。寒さからか動揺からかガチガチに震える手で、ポケットをあさる。『…はぁっ、…んでッッ!!』…出てきたのは小銭数枚。携帯は家。財布もカバンごと置いてきてしまった。『ッッ…ど…しよ……』イタイ、イタイ――胸元が…胸らへんが痛い。今頃痛みがくる。どうしよ…どうする?どうしろってゆうん――…!?携帯もない、行く宛などない。頼る人なんていない。アタシどうしたらいいん……!?


    ――キキィッッ!
    『お姉ちゃんどしたんやその血!?病院か!?』『大丈夫……向かって早く――…』タクシーに乗り込んだアタシ。ろくに頭も働かずとりあえず向かった先は―――。。

    2008-06-18 05:04:00
  • 100:

    『お前ッッ…!どしてん!?大丈夫か!?』

    ――実好の家だった。。"もう二度と戻らない"とアヤと決めたハズの、あの街。
    運良く、実好は昔のままあの街に住んでいて、家も変わらず、インターホンを鳴らしてすぐに出てきた。『…み……よしッッ!アヤが――…ッッ…う゛ッッ!』実好を見た瞬間、アタシは泣き崩れた。イタイ。アタシの全部が痛い―――。。。
    『とりあえず病院行こ!』そのまま病院に連れて行かれて手術を受けた。その間、涙は止まらず、自分が何をしてるのか、わからなかった。

    2008-06-18 05:24:00
  • 101:

    あの時の思いに名前を付けるなら、まさに"絶望"だと今になって思う。

    子供だった自分。自分達を取りまく全てが大きく感じて、押しつぶされそで。目の前の事に必死で、せいいっぱいで。それを見て嘲笑う憎かった大人達も、きっとアタシ達が思うほど大人じゃなく、彼等が思うほど自分達も子供じゃなかった。

    その証拠にほら。未だに"答え"なんて見つからない――。

    2008-06-18 05:48:00
  • 102:

    左胸の上を六針、縫った。それが終わり、病院のベッドに横たわるアタシの血まみれの顔を、実好は濡れタオルで丁寧に拭いていた。
    『…泣くな、ルイ。俺がお前の事守るから。今度こそずっとお前のそばおるから。…しばらく片瀬とは距離置いて、俺んとこ来い。…それで元気なって、また迎えに行ったらいいやん?な?』

    実好のその言葉に、アタシは頭が空っぽのまま、力無く頷いた。いつかの、アヤみたいに―――…。

    2008-06-18 06:00:00
  • 103:


    本当に、本当に…あれが最後だなんて思ってもみなかった―――。

    もしも、もしも、こうなる事がわかっていたなら、あの時。迷わずアタシは――――――――――――………………。。

    2008-06-18 06:05:00
  • 104:



    とにかく、"あの日"がアヤと過ごした最後の日になった―――。

    2008-06-19 04:14:00
  • 105:




    *******

    2008-06-19 04:15:00
  • 106:

    『はあ…と。』

    立ち上がり伸びをした。あれから月日が流れ、アヤの居ない日々を過ごしてきた。そして今。少しは成長したのか、器用になったのか…一人でも、淡々と生活出来る様になってる。良く笑うし良く食べる。不安や不満もコレと言ってないが、逆にコレと言ったものが何も無い。

    でも、コレでいいのかな。

    2008-06-19 04:21:00
  • 107:

    携帯を開くと、愛理からメールが入っていた。
    「ルイちゃあん(>_

    2008-06-19 04:33:00
  • 108:

    『はよーざいまッッす。』店に着くと中はガラガラで、適当に女の子達と会話を楽しんでいた、矢先。『いらっしゃいませー!!』店の扉が開いた。

    『ルイちゃんで♪』

    〈ぅげッッ―…!〉一人堂々とボーイにそう告げたのは、愛理の"彼氏"、拓真クン。まじかよ、なんか面倒くさそやなあ…。『てかなんでアタシ?』ぶつぶつ言いながらも渋々、いつも通り笑顔で席に着いた。

    2008-06-19 04:40:00
  • 109:

    『ハニーは休みやぞぉッッ!残ね〜ん♪』無駄にハイテンション。あんまり好ましくないから、人の"客"は。『知ってるよ♪今日はルイちゃんと飲みたいなと思って。笑』…とゆうかこの人が。拓馬クン…。なんかややこしそな人やなあ。。『お〜相談なら乗るよおー♪笑 そんかしなんか頂きまーす♪笑』こうなったらノリに持ってっちゃえ!的なアタシに、彼の第一攻撃。『何飲みたい?名前にちなんでルイいっとく?笑』『いいのお〜?笑 ありやっすう♪』と笑うアタシの太ももに伸びてくる手。近づいてくる唇。そして耳元で囁く。
    『…ほんまにいいよ?雪辞めて俺にしてくれたら。』

    2008-06-19 04:52:00
  • 110:

    『……。』しばしの沈黙。『…それは…迷うなぁ〜♪笑』ニッコリ笑う。太ももにある拓馬クンの手をソッとのけながら。『…ま、今すぐにとはいわんよ♪笑 とりあえず今日はシャンパンでものもか?俺、ルイちゃん気になるから。』怖いモン無しかの様に言ってのける彼は笑顔。おいおい待て待て。営業前になに営業しに来てるカナ…はぁ。これやからホストは困る。『愛理にチクろ〜っと♪笑』言いながら席を立ち、リストに向かった。
    『なんかちょっとイラッてしたしな!笑』『え?降りたの?』そばにいたボーイさんに生ぬるいピンドンを渡し席に戻る。面倒くさい事する罰じゃヽ(*`Д´)ノ

    2008-06-19 05:05:00
  • 111:

    『頂きまあす♪笑』
    『…さすがやね。笑』

    飲む、飲む。あぁ!…厄介。店内がガラガラなせいもあって女の子達がこっちを見て何やらヒソヒソ言ってるやんか。はあーあ…『気になる?周り。笑』『別に。拓馬クンがかっこいいからみんな見るんやわ♪笑』………あほ。やたらニヤニヤしながらアタシの顔見てくる拓馬クンを見て思う。"何企んでる?"絶対わざと。昨日"愛理の男"と言わんばかりに店に来て周りに解らせておいて、昨日の今日、今。アタシを指名して。ボトルを卸し…女の子にそうゆう事で反感を買う事。わかっててやって。
    ――――アタシを客にしたいのか?自分しか居ない状況に――…アカン、ストップ。考える事は辞めよう。ただでさえない頭のに。

    2008-06-19 05:17:00
  • 112:

    『店に行く前やのに飲んでいいのお?』『大丈夫、ルイちゃんと二人で飲みたかったし♪』二人共笑ってるけど、お互いが何か別の事を考えすぎている。けどきっと"エセ"なのは拓馬クンの方だ。
    『今ここ来てる事、愛理は知ってる?』拓馬クンはグラスに口をつけたまま言う。『知ってるハズないやろ?わかってる癖に。笑』…うぁあ。苦手。ほんまに苦手かも!!『ゆっちゃおかな、ホンマに♪笑』でもアタシも負けじと笑う。なのに拓馬クンは更に笑う。『いいよ?ルイちゃんに任せる♪』
    ふと思ったから。拓馬クンとは、先に笑顔を絶やした方が"負け"だと。

    2008-06-19 05:28:00
  • 113:

    シャンパンがなくなりかけた頃、拓馬クンが言う。
    『次は何にする?』
    『暴露大会♪笑』先手必勝だ。『ははッッ、何それ?笑』『アタシより愛理のがいいと思うよ♪』攻める、アタシ。少し顔を近づけ小さな声で。『どうゆう意味で?』『色んな意味で♪笑』動じない、拓馬クンは更にアタシの目を見据えて、話す。
    『やっぱおもしろいな、ルイちゃん♪…思った通り。ただ…ハッキリゆうとくけど俺は客としてルイちゃんが欲しいんじゃないで?』…おもしろい。
    『じゃあ〜♪笑 アタシの体かあッッ??笑』

    2008-06-19 05:39:00
  • 114:

    『まあそれも含め…』言いながら近づいてくる顔、重なる手。香水の香り。…待って。背筋がゾクッとした、彼の台詞。
    『すべてやな。』その一言に、アタシは先に絶やした、笑顔を。何かがフラッシュバックした様な、そんな現象。目と鼻の先にある顔。少し…ほんの少しだけど、目を、そらしてしまったのはアタシ――。
    『すべてって…』
    『失礼します!』
    ――その時、ちょうどボーイさんがチェック前伝票を持ってやってきた。……。

    2008-06-19 05:48:00
  • 115:

    『どうしよっかな?笑』彼はアタシの顔を覗き込み、迷う素振りを見せる。『愛理怒るで♪笑』……"帰れ"。笑いながら思った、心から。『んな今日は帰るわ♪』"は"って何。『ありがとう♪仕事頑張ってやあ♪』ボーイのスーツの裾を引っ張り送り出しに連れて行き、拓馬クンを見送った。

    『どしたんルイ?なんかされたんか?』『うう〜ん♪営業されん様に♪』おさわりカモンのアタシが送り出しに連れてきた事で、ボーイさんは少し心配してたみたいだった。

    自分でもよくわからない。でもあの人は、なんか"怖い"――。いつもみたく、"アタシらしく"いれない気がする……。

    2008-06-19 05:59:00
  • 116:

    『なあルイ、あの人昨日来てた人やろ?愛理の…』さっそく待機場で女の子に聞かれたけど、『ウン、愛理の相談〜』と軽く答えておいた。

    "何もない毎日"で、"何もない1日"に過ぎない。アタシにとっては。例え新しく人と出会っても、何か感じても、何の意味もない、色もつかない日だと、思った。そう、思っていた――。

    ただ、"ちょっと面倒くさい事になるな"って、その程度の感覚。

    2008-06-19 06:06:00
  • 117:

    思えばいつでも唐突。前触れなどなく、道行きは変わり、出会い別れ、ぶっつけ本番で試行錯誤し、日々を越えた。
    忘れてたのか。そんな訳ない。でも初めて"絶望"を知ったあの日、初めてその裏に、先にあったいくつかの絶望に気づいた。
    "何故気づけなかったのか"と悔やむばかりで、"次は絶対に気づきたい"と思う事も諦めていた。

    アタシは全てが終わったと思っていたから―――。

    2008-06-19 06:16:00
  • 118:





    *****

    2008-06-19 06:23:00
  • 119:


    『ルイちゃん、ちょっといい?』

    次の日、接客が終わったアタシを待ち構えてた様に愛理に呼び出された。案の定昨日の事。『拓馬クン、愛理との事相談したかったみたい。』あぁ面倒くさ。適当に嘘をつくと、愛理は案外アッサリ信じてくれて、『ルイちゃんに限ってないよな♪』といつもの愛らしい顔で笑っていた。まぁ一つ言わせてもらうと、この場合、『拓馬に限ってないよな♪』の方が正しいと思うんですがぁ…笑 まあ、良しとしようか。

    2008-06-19 06:38:00
  • 120:

    それからも愛理は相変わらずアタシを慕ってきて、指名も徐々に増え、拓馬クンともうまい事行ってるみたいで、平和な日々が続いた。変わった事と言えば、アタシのお客様、THEアキバのシュン君が最近姿を現さない事位。どうしたかな?お金尽きた?シュン君の職業はしがないゲーム会社の社員で、アタシと出会ってからは、"もっと会いたいから"と、掛け持ちでレンタルビデオ屋さんでバイトしていた。でもおそらく、シュン君の給料と来るペースを考えると、貯金をおろしてたんだろう。そしてそれが尽きてきたと考えられる。『まあまた電話してみるか〜。』

    2008-06-19 06:52:00
  • 121:

    そう思いながらあまり気にも止めてなかったある日の事。

    『えッッ!?ルイちゃんッッ?ほんまに来てくれたんやッッ。』『ひはは〜♪久しぶり♪笑』

    約1ヶ月振りの【lush】仕事が早く終わったアタシは、雪クンに会いに彼の店に足を運んでいた。

    2008-06-19 06:58:00
  • 122:

    名無しさん

    あげ

    2008-06-26 09:22:00
  • 123:

    『えッッ、ちょっと待って!ほんまに俺嬉しいんやけど!どうしよッッ!笑』

    あたふた照れる雪クンを見て微笑んだ。"振り"だとしても、本当に可愛くて、柔らかい。
    『ちょっと!ちょっとだけ待っててねッッ!』そう言って雪クンは他の客席へと消えて行った。『ふふ。笑』いっぱいお客様きてるんかな?大変やなあ…一人ニヤつくあたしの前に、大きい影が。―――うげ。
    『いらっしゃいませ♪何飲むの?笑』

    2008-06-26 14:39:00
  • 124:

    『てゆか、失礼します♪』と、勝手に向かい側に腰掛けた無礼者。拓馬クン。。あの日以来だ。わかってたけど、出来るだけ会いたくなかったなあ…『で何飲むの?』
    『ウーロンハイくださあい。』『ちょ、お前、ゲストでウーロンハイ。』『あッッはい!』近くにいたホストを顎で使う拓馬クン。お前が動かんかいッッヽ(*`Д´)ノ!!オーナーでもアタシにとっちゃアンタはどヘルプじゃ!!と、心では叫びつつも、『あ♪拓馬クンも何かどうぞ♪』と社交辞令をかましてみせる。すると、あろう事か、『ありがとう♪じゃあピンドン♪笑』とはにかんだ笑顔で言いやがる。あの時の仕返しかあ?

    2008-06-26 14:49:00
  • 125:

    『いいよお♪笑』とこっちもニカーッと笑うと、少し笑顔を崩し、『雪の売上やから?』とアタシの目を見た。アタシはそらさずニ〜っと笑う。『…はぁ。やっぱルイちゃんは時間がかかりそやな。笑 まあそれがおもろそやねんけど。』ため息を漏らし、拓馬クンは『あと俺ビール』と立ってたホストに付け足した。彼がドリンクを作りに行ってすぐ、拓馬クンはテーブルに肘をつき、身を乗り出してくる。
    『あの後、愛理になんかゆわれた?』『わかってる癖に♪笑』背もたれにもたれたまま言うアタシ。

    雪クン、late return!!

    2008-06-26 15:00:00
  • 126:

    『もしなんか愛理にうっとしい事されたら俺にゆうてな?』ほんまにトコトン胡散臭い台詞。『他にも…何でも頼ってや?』頼るハズがない事、絶対拓馬クンならわかってるよね?ニコリ笑ってるアタシに、『絶対やで?』と肩に手を伸ばそうとした時。
    ――パンッッ!
    『ちょっとストップ!拓馬くん!笑 駄目やからルイちゃんは!』戻ってきた雪クンがその手が触れる前に振り払ってくれた。ドッキーン!!笑 あかん、雪クン、嬉しい。笑
    『へいへーい♪お邪魔しました〜笑』するとアッサリ拓馬クンはビールを飲み干し、カンッとグラスをあて席を立った。

    2008-06-27 04:24:00
  • 127:

    真っ先に雪クンは
    『大丈夫?なんもされてない?』と確認した後、隣に座った。『ごめんね…あの人気に入った女の子にはすごいから。笑』いつもこうゆう事平気でする人なんやろうな。でも何言おうとこの店では拓馬クンが天下って訳か。まあ、あたり前かあ…
    『てゆうかほんまに来てくれて嬉しい。ありがとう。』改めて言う雪クンが嬉しくて、アタシは終始笑顔。調整したんかな?雪クンはその後もずっとアタシの席に居てくれた。

    2008-06-27 04:46:00
  • 128:

    色んな話をした。と、言っても普通の会話なんだけど、この雪クンの独特の"白い"雰囲気が、アタシの心を和ませる。反面、歯がゆくなる…気もした。『…ね、初めて会った時から気になってたんやけど。』『ん?』
    指差した胸元。今日は少し開いた服を着てたから。『ごめん。笑 そんなとこ見て。』『はは♪もっと見る?笑』『こら!笑 男の子にそんなん軽々しくゆうたらアカンよ!笑』見えるもんな…。自然を落とし自分の胸元を見下ろした。
    『これねえ…切り傷!』赤青い跡。消えない傷跡。

    2008-06-27 04:56:00
  • 129:

    ふとよぎったアヤの顔に苦笑いになる。『怪我したん?』『うん。』こうやって人に触れられる度、アタシはアヤを、あの頃をいちいち、一生思い出すんだろうって。
    『これね、ハサミで出来た傷やねん。しかもキッチンバサミ。笑 だから結構深くいっちゃってさ。跡は消えへんねんてさ。』
    『…誰かにやられたん?』こんな事人に話すのは初めてカモ。でも気づいたら言っていた。『"友達"。笑』笑いながら。
    時効?いや、違う。一つの"思い出話"――。

    2008-06-27 05:08:00
  • 130:

    『あ、嘘ついた。笑 やっぱり友達いてんねやん♪笑』前に雪クンがアタシの店にきた時に、"休みは友達と遊ぶんだり?"とゆう質問に、"いてないも〜ん。"と答えたアタシの言葉を思い出したのか、指摘した雪クンの悪戯っぽい笑顔に、その先を話す事を辞め、ふと笑った。我に返る様に。

    後々になって思えば、アタシが"辞めた"んじゃなく、雪クンが"辞めさせた"んやろうけど――。

    2008-06-27 05:18:00
  • 131:

    ――♪〜♪♪
    『ちょっとごめんね。』携帯が鳴り、開くと【シュンくん】のデイスプレイ。メール派のシュン君が珍しいなと思い、トイレに行き掛け直した。
    『あ…ルイちゃん?ごめん急やねんけど…』もごもご話すシュン君の声は、爆音の有線と混ざり、聞き取りにくく、『うんうん〜』とアタシはいつも通り適当に頷いてると、『ありがとう!!んな15分後に花屋の前でね!』それだけ耳に残り電話は切れた。――ツーツー…
    『まぢッ?!』シュン君が…外系!?自分の立場をわきまえ店外など口にした事ない"良い客"のシュン君が営業後にお誘い!?ありえんッ!!

    2008-06-27 05:31:00
  • 132:

    何か"おかしい…!"その事には気づいてたのに、逆にまんまと自ら罠にハマりに行く事になるなんて。
    『ごめん雪クン、チェックしてもらっていい?』『え?うん、どっか行くの?』『うん、ちょっと呼ばれて…』言いながら鞄から財布をあさる。雪クンがその手を取り言った台詞。『お金はいいから。…大丈夫?』…――?『大丈夫よッ♪』雪クンは、お見送りするから少し待っててと言うと、手をスッと離し奥に歩いて行った。
    ―――…?この時感じた若干の冷たさに、まだ違和感など持てるハズもなく。

    2008-06-27 05:40:00
  • 133:

    アタシはいつだって浅はかで甘い。

    『あの、ピンク入れてもらえます?今お金払います。』『あ!はいッッ!』さっきドリンクを頼んだ彼にお金を払い、席を立った。『えっ…あのっ!!』入り口近くのリストで伝票をいじる雪クンを横目に、店を出てシュン君が言ってた花屋に向かった。

    "ほんま何なんやろお?"――さっきの雪クンの態度なんかより、シュン君の異変に頭がいっぱいで。

    2008-06-28 07:46:00
  • 134:

    『ルイちゃんっ!』
    シュン君は先についてて、チェックのシャツに、黒の七三分け、背にはリュックといつものスタイル。きもす。笑『どしたん〜?ビックリしたしい〜!笑』笑顔で駆け寄るアタシにシュン君は胸の内を語り出す。
    『ルイちゃんごめん。俺…もうルイちゃんには会われへんねん。だから俺の最後の我が儘聞いて欲しいねん……』
    はい?金つきた?我が儘!?黙って続きを聞いて唖然。
    『…俺とカラオケ行ってくれへん…!?』

    2008-06-28 07:55:00
  • 135:

    お気にのキャバ嬢と初店外でカラオケ…絶対チョイスミスやろ!と思いつつ、まぁ…シュン君は危険はないし、ここまで来てもうたしなあ〜。『わかったよん♪』『ホンマッッ!?ありがとう!!』行ってあげる事にしてカラオケまで二人で繁華街を歩いた。まだ夜明け前。アフター感覚。まさかだ。まさかあんな事になるとは――。。この時すでに、幕は上がっていて、役者は揃っていたなんて。そしてまず悲劇に合うのは、このアタシ――。

    2008-06-29 09:33:00
  • 136:



    キミには美味しいモノを食べて欲しいし、キレーな空を見て欲しいし、ムゴイ景色や瞬間は、キミの瞳をこの手で覆いたくなる。しょうもない事や人に、真っ向勝負しなくていーよ。キミは汚れない変わりに、たくさん傷つくでショウ?

    変わりに傷つけてみるから。"あの子"を。

    2008-06-29 09:44:00
  • 137:


    『ルイちゃん何飲むッッ?』『アイスティー♪』

    カラオケの部屋で、嬉しそうに、でも恥ずかしそうに飲み物を聞いて、ドリンクバーにくみにいくシュン君。楽しそやなあ〜笑。狭い四角い密室、薄暗い証明。『お待たせ!!』シュン君はこんなチャンスでも、横に座る勇気もない、【PIERO】で一番最初に掴んだお客様。情?違う。信用?違う。何の感情も無かった。だから何も気づく事が出来ずに。いつも以上に彼がソワソワしてても、気にも止めずに。。
    ―――カラオケの音楽と、シュン君の意外に綺麗な歌声は、だんだんと、遠のいていく。

    2008-06-30 08:16:00
  • 138:



    もうこれ以上、体に水分はないんじゃないかと思う位、泣き濡れた日々。干からびて、錆び付いて心身共に、無痛。麻痺してただけ。あんたが麻酔を打った、あの日から。アタシは間違ってた?

    まだまだ生きれる。そしてまだまだ泣ける。絶望も、限界も、まだまだ超えていく。それで強くなれるのか?諦めていくのか…その後の一瞬の幸せなんて、快楽なんて、言うならば錯覚だし、そんなものに騙される事出来ないし要らない。受容の心ではなく、妥協しざるを得ないだけ……だんだんと気づかされる。

    2008-06-30 08:36:00
  • 139:

    名無しさん

    あげ?

    2008-07-04 04:01:00
  • 140:



    『……――――っ。』
    瞼を開く。入ってくる青い光に目を細めながら。
    ――――――どこ、ここ?

    2008-07-04 09:10:00
  • 141:

    『!?』――バサッ…
    体を起こそうとした時、気だるさと、腕の拘束に気づく。う…そ……やろ。
    『ルイちゃん…起きた?』『――!』―ビクッ―!暗い部屋に、天井から差す青い光、ベッドの上…。そして今の声………まぢかよ。。意外に早くに、状況が飲み込めてしまう。…頭、クラクラする。

    ―――さぁ、どうしたらいい?アタシ――……

    2008-07-04 09:19:00
  • 142:

    『…シュン君、どゆつもり?』起き上がる事も困難な程、重い体。おそらく眠剤――…『ルイちゃん…ごめん、怒ってる?』すっと半裸姿のシュン君が視界に入る。―ギシッ―……やめて、近寄んなよ。
    『今なら許すよ?…これ、解いて?ね?』
    『………。』
    沈黙が流れる二人。…ラブホテルか。アタシの手の自由を奪ってる…ガチャッ…おそらく玩具の手錠を、シュン君は外そうとしない。

    2008-07-04 09:30:00
  • 143:

    『シュン君…。』横にあるシュン君の顔を見て、悪寒がしたのと同時に、生まれた感情は、"諦め"――――。
    『ごめん!ルイちゃん…ッ…――!』そう言って覆い被さってきたシュン君を無視するかの様に、アタシは目を閉じた――。
    『ルイちゃんッ…はぁッ!ルイちゃんっ……!』

    ――――悪い夢だ、コレは。

    2008-07-04 09:38:00
  • 144:

    『はぁッ…チュッ…あぁルイちゃんっ…!』

    痛い位にまさぐる手も、耳に当たる荒々しい吐息も、絡ませてくる粘っこい舌も―――、
    ――グッ――!
    『…ッッ。』『あぁッッ…ルイちゃん中熱いっ…気持ちいい!』

    2008-07-04 09:45:00
  • 145:

    侵入してきたこのヒト自身も、それを許すアタシの中も、全部。全部が、悪い夢に違いない―――。


    ―パシャッ、カシャッ―!
    『ハァッッ…はぁ…良かったよっ!可愛いよルイちゃんっ…』

    2008-07-04 09:49:00
  • 146:

    事が終わると、荒い吐息のまま、デジカメのシャッターを狂った様に押すシュン君。その眩しさに、目を細めるアタシ。デジカメ…手錠、眠剤。用意周到か。『………は。』笑けてくる。何枚でも撮れば?好きなようにすれば?……今更、怖いものなど、何もないアタシに―――。
    『笑って、ルイちゃん…』『…ふ。』そう言われると自然に笑みがこぼれた。

    ―――アタシはピエロだ。
    いくらでも、どんな時でも、誰にでも笑ってみせる。そうやって自分を守ってあげれる―――。

    2008-07-04 10:00:00
  • 147:




    **********

    2008-07-04 10:02:00
  • 148:


    失ったものを、"完璧"に取り戻すのは無理だ。今のこの白黒の世界に、"希望"を持つ事も無理だし、過去にすがりつき生きて行くのも、悲しくて、前にも、後ろにも、"残酷"はつきものだから、神様なんて居ないし、居たとしたら大嫌い。
    けど、ふと考えてしまう――。

    もしも今、どこかアンタにもう一度会えるなら、アタシは何もかもを信じる事が出来るかもしれない―――…

    2008-07-04 10:15:00
  • 149:





    ―――アヤに会いたい―――。

    2008-07-04 10:17:00
  • 150:

    名無しさん

    書き直し?

    2008-07-04 23:11:00
  • 151:





    ―――『ルイ、ちょっと。』

    2008-07-05 06:24:00
  • 152:

    あの"悪夢"から数日が経ち、アタシは怖い位いつも通りに仕事に来ていた。店長に手でヒラヒラされるまま、外の非常階段までついていく。
    『なにい?』
    『お前さ…アキバ枕で引っ張ってんか?』
    真面目な顔で言う店長に、心臓鷲掴みにされた気分だった。でもすぐに笑顔を作って答えてみせる。
    『何をゆ〜てんの?笑 てか誰情報よッッ!!笑』

    2008-07-05 06:31:00
  • 153:

    『いや…、愛理とナオがお前がアキバとホテルから出てくるん見たゆうててな。』
    ――…ドクン……何じゃこれは…。…ドクン…
    『店長はアタシがそんなんすると思ってんの?笑』『いや…違うと思うからこそ聞くねん。お前には枕は向いてないし。』
    笑顔。笑顔…。――ドクン…。どうなってんの?愛理は何でなんもゆわんの?
    ――――…はめられてる?

    2008-07-05 06:37:00
  • 154:

    "気づいた時には遅い"とよく言ったもんだ。

    『心配無用です〜♪てかルイ今日早上がりやし上がってもいいよな?笑』店長の肩を叩き、すり抜ける。
    ―――愛理か?誰かに…わからない。けどおかしい。大体、シュン君が自分の意志だけであんなん出来ると思われへん。
    『ルイ!上がるん待って!お客さん入ったわ。』『……ん。』

    2008-07-05 06:45:00
  • 155:

    怖がる必要ないのに、今更。写真バラまかれても、脅されても構わない。そんな気でいたのに。こんなにもビビってるのは、何か、他にもっと大きい嫌な予感が全身を支配するから。
    『ルイごめんやで、とりあえず接客いこか?』
    店長に背を叩かれ店に戻り、目にしたのは――。『……。』スーツ姿で席に座る優クンと雪クン。そしてその席でヒソヒソ話をする、愛理――…。

    "嫌だ"。つきたくない。彼らを見て、真っ先に思ってしまった。今は一人になりたい―――…

    2008-07-05 06:55:00
  • 156:

    『失礼しまっす♪』

    それでも逃げれない。仕事、現実、この空間に、笑って飛び込む。ただ"感情"って奴が邪魔だ。いらない。なくなればいい。怖くなんかない。ただ、今この瞬間を"嫌"だと思う自分が嫌だ。

    2008-07-07 04:12:00
  • 157:

    『おはよお♪』雪クンはいつも通りに微笑んだ。みんな、そうなのか?愛理に全部聞いたであろう、こんなにも綺麗に笑う雪クンも、心の中とは違った表情でいるのかな。
    『おはよ♪雪クン、拓馬クン。何の話〜?』
    ――馬鹿らしい。アタシと同じ様にそう思うのかな。
    ニコニコ笑ういつも通りのアタシに、愛理が拓馬クンの腕を組みながら、楽しそうに言った。
    『ルイちゃんの噂話♪でも内緒〜ッッ♪』

    2008-07-07 04:21:00
  • 158:

    "どうでもいい。"向かってきたい奴は向かって来たらいい。
    『何ッッ?気になんねんけどッッ♪笑』『心当たりないの?笑』胡散臭く笑う拓馬クン。笑いたきゃ笑えばいい。好きなだけ。
    『何よ〜?笑 みんなして〜?笑』雪クンを見る。穏やかに笑いながら口を開く。
    『それより、今日のドレス可愛いね。』アタシが今日着てた白地にピンクの薔薇が描かれたロングドレス。それを上からサッと見下ろし、話題を変えた雪クン。

    2008-07-07 04:33:00
  • 159:

    『ほんまッッ?やったあ♪これお気に入りやねん♪』『うん。華やかやし、女の子らしいしすごい可愛いよ。』
    その雪クンの笑顔がさっきよりも穏やかで、ギスギスしてた自分に気づかされたのと同時に、自然とその胸の淀みが流れた気がした。
    『あ!てかこないだはごめんね雪クン。急に帰っちゃって。』『ほんまそれやで!笑 てゆうか…ちゃうちゃう、こっちがごめんやで。笑 ありがとうね?うちの店にお金なんかおとさんでいいのに。笑』
    ごくごく自然に、二人で会話をしていた。おもしろくなさそうな顔でこっちを見る、愛理と拓馬クンを尻目に。

    2008-07-07 04:55:00
  • 160:

    『愛理お手洗い行ってくる〜!』しばらくして愛理が席を離れ、3人になった瞬間。
    『つまらんなあ〜!雪、お前核心に迫れよ!笑』急にアタシらの会話に割り込む拓馬クン。『だぁかぁらぁ〜!さっきから何の話してんのッッ?!笑』負けじと割り込むアタシに、悪びれた様子もなく言う。『自分が一番わかってるやろ?笑 とぼけたら雪が可哀想やん。なぁ、雪?笑』この男は、何がそんなにも可笑しいのだろう。
    『拓馬クン、今俺ら二人の世界です。笑』雪クンは呆れた様に、でも冗談ぽく足組みをして答える。
    そやそや!入ってくんな馬鹿!

    2008-07-07 05:08:00
  • 161:

    『そやもん!邪魔しんといてッッ!笑』便乗して、雪クンに抱きついてみたりする。『…ルイちゃん、色接客はやめて下さい。笑 照れるから!笑』頭をポンッッと叩かれながらにっこり笑う。あぁ、これがアタシだ。惑わされてどうする…しょーもない奴らに。。

    『ふーん…。怖いね、雪も。笑』ボソッと言った拓馬クンが口をつけたグラスもふいてにっこり笑った。

    誰も信用しちゃいないけど、どっちかと聞かれたら即答でアタシは雪クンじゃ!!(´_ゝ`)

    2008-07-07 05:16:00
  • 162:

    名無しさん

    きになる

    2008-07-07 10:48:00
  • 163:

    名無しさん

    質問は無視かい

    2008-07-07 12:13:00
  • 164:

    名無しさん

    コピペって書いてあったで?

    2008-07-07 17:56:00
  • 165:

    名無しさん

    やばい?続き読みたい?

    2008-07-07 18:50:00
  • 166:

    『ただいまあ〜♪拓馬、このまま行けるって♪着替えるからちょっと待っててえ〜♪』
    愛理は戻ってくるなり、猫なで声で拓馬クンにそう告げると再び席を立った。どうやら、このまま上がって拓馬クンと一緒にlashに行くみたいだ。
    『俺もそろそろ行きます。』『おう。客きたんか?』そうこうしてる内に、雪クンも立ち上がり、チェックしだし、アタシも慌ただしく送り出しをする。

    2008-07-08 07:55:00
  • 167:

    『ありがとう雪クンッッ!仕事、頑張ってねっ。』
    エレベーターに乗った雪クンは、開いたまま、少し戸惑った仕草を見せた後、アタシに言う。
    『ルイちゃん。仕事で、てか…それ以外でもなんかあったら俺にゆってきて?俺助けれるし。』『――…ありがとう♪』
    アタシは少し間を置いてお礼を言い微笑んだ。エレベーターが閉まる。
    "助けれるし。"何気ない、その雪クンの言葉の語尾の力強さが何だか印象的で、頭の中で復唱される――。

    2008-07-12 09:33:00
  • 168:

    "アタシにとって"だけかもしれないけど、真っ直ぐに響かす事の出来る雪クンの音色に、うっとりして、どれ位か、エレベーターの方を向いたまま、立ち尽くしていた。その時―――。
    ――グイッ!『―わッッ!!』――ガチャッ!カツッ…バンッ―!『〜ったい…!』

    凄い力に腕を引かれ、非常階段への扉を開け、その扉ごと背を押し付けられた。ジンとした痛みに強張る肩に、細める目。そのまま視線を上げ、無意識に、その前を見上げる様、睨みつける――。

    2008-07-12 09:46:00
  • 169:

    『――…何?拓真クン…びっくりするやん。』

    一気にさっきまでの暖かい雰囲気は消え、何か、"ドス黒い"ものに覆われる様な感覚。真正面に立つ、拓真クンの威圧感は、長身のせいだけじゃない。
    『あ♪今の顔初見やわ♪イラッとした?笑』相変わらずの胡散臭い笑顔に、心を見透かされ、更にイラッとしてしまうのを、理性と意地で抑える。
    『してないよッッ。てか、ほんまびっくりしたあ!何よお〜?』

    2008-07-12 09:56:00
  • 170:

    言った瞬間、目の前で見せつけられた携帯の画面に背筋が凍りついた。
    『―――…何で…?』
    『びっくりしてる?笑 その顔も初めてやな♪どん位びっくりした?』

    ――――……初めて、ピエロの仮面を外された瞬間だった。しかも、これは ほんの始まりにしか過ぎない。……一人目がこの人。生理的に、受け付けないこの人。

    2008-07-12 10:05:00
  • 171:

    黙ったままのアタシの目の前で、画面を次々にスクロールさせる。その度に直にエグられる様に晒される羞態。一枚、一枚。めくられる秘密と、残ってた自尊心に、唾を飲んだ。
    『……拓真クンが仕組んだん?』『まさか?』憎い位の微笑みに、更に冷たくなる背中。
    『…愛理?』『違う。』

    ――何されても"平気"だと思った。でも、それは間違い。

    2008-07-12 10:16:00
  • 172:

    『じゃあシュン君の…』『へぇ。シュン君ってゆうんや?このアキバ。笑 お前笑ってるけど、"コレ"同意の上?』

    ――……。差し出されつきつけられる画像は、シュン君のデジカメの中にあるはずの裸体の自分。縛られ、精液をかけられても笑ってる自分。それを真っ直ぐに見て、拓真クンに初めて"お前"って呼び方をされて、羞恥心も弾け飛んだ。

    ――もう、いい。どうでもいい。

    2008-07-12 10:24:00
  • 173:

    『――…ハァ。何が目的?』
    アタシは腕を組み、扉に自ら体重をかけ、もたれかかりそんな言葉を吐いていた。『やっぱルイちゃんは賢いな?話早いわ♪』
    アタシは相当の面倒臭がりで、自分が思ってる以上に、拓真クンが嫌いだったんだろうな。髪を撫でてくる拓真クンの手を掴み、自分の胸に押し当てる。

    『とりあえずセックス?後は何?お金?いくら渡せば満足?』

    2008-07-12 10:35:00
  • 174:

    『ははっ!んまルイちゃんおもしろいわ♪』
    拓馬クンの大きい手は胸から首もとに伸び、顎の下辺りで、ピタリと止まる。『俺さ、知っての通り女にも金にも困ってないよ?笑』その手にぐっと力が入る。苦しい――。
    そしてゾッとする程、キチガイな台詞。
    『俺はな、傷えぐりたいねん。それがセックスより気持ちいいの。わかる?笑 ルイちゃんは楽しめそやねん、俺。』その手の力が緩み、アタシは息を吸う。――傷をえぐる?馬鹿か。ならいっそ、本気でやってみろよ。

    2008-07-12 10:46:00
  • 175:

    ――お前なんかに傷つけられるハズがない。
    『…好きにすればあ?』『これ、バラまいてもいいって事?』視線は反らさず、答える。
    『…任せる。』そう言ってすり抜け様とかがんだ時、――ぐっ、ドサッ。『…んッ。』唇を押し付けられ、その場にお尻をついた。唇がそっと離れる。

    『…ますます気に入ったし。好きにさせてもらうわ♪』

    2008-07-12 10:57:00
  • 176:

    ………―。『拓馬〜?どこお〜?』ちょうど聞こえてきた扉越しの愛理の声に、拓馬クンは立ち上がり座ったままのアタシの横をすり抜けた。

    『明日、仕事終わったらここにきて。すぐな。』

    そう小声で囁き、名刺をヒラリと、アタシの膝に落として――。

    2008-07-12 11:05:00
  • 177:

    名無しさん

    めぇーッちャ
    おもろい?

    頑張って???

    2008-07-13 14:37:00
  • 178:

    名無しさん

    楽しみにしてます?
    頑張って下さい?

    2008-07-13 17:32:00
  • 179:

    ペット書いてる人ですか?

    2008-07-13 23:45:00
  • 180:




    『お疲れ様でーす』
    『お疲れ様あー』

    2008-07-22 17:18:00
  • 181:

    次の日の営業終了の瞬間、アタシは店を飛び出した。愛理の視線には気付いていたけど。迷ってた。――アタシは何がしたいんだ?考えながらタクシー乗り場まで歩く。―カツカツカツ―答えが出るのはあまりにも早く、やってきたタクシーに躊躇なく乗り込んだ。
    『この住所までお願い。』アタシは別に何もしたくない。ただ、周りがしがらみがしがらみを生み、騒ぎ立てるから、自然にその流れに身を任せる。それだけ。それでいい。

    2008-07-22 17:25:00
  • 182:

    『はーい、ついたよ。多分このビルの事やよ。』タクシーを降りた瞬間、携帯が鳴る。……シュン君。無視して階段を登る。やたら足音が響く綺麗な外装。

    『いらっしゃい〜♪逃げずにきたな。笑』

    インターホンを鳴らす前に出てきた拓馬クンは、『ま・逃がさんけど。どうぞ?』と付け足し扉を大きく開け、中に入る様促した。

    2008-07-22 17:35:00
  • 183:

    ―バタンッ、ガチャ…―
    扉が閉まると同時に鍵が閉まる。ここまできて、逃げも隠れもしないのに。
    『ここ事務所?』
    見渡せる位の広さの綺麗な黒を基調とした部屋。ガラステーブルにソファ、パソコンデスクに、冷蔵庫、一応シャワーやトイレはついてるみたいだけど、なんてゆうか、無機質に並べられてて、生活感がまるでない。
    『てか俺の隠れ家?ま、適当座って。コーヒーでいい?』

    2008-07-22 17:47:00
  • 184:

    ガラステーブルに並んだコーヒーカップ。それに手をつけずに、来ていたシャツのボタンに自ら手をかけた。
    ―プツ―…『待てよ。そんな急がんでも。笑』その手を阻止する拓馬クンのいつもの白々しい笑顔。
    『無駄話はいらんやろ?』逆に拓馬クンのシャツに手を伸ばすと、『何も聞きたい事ないの?』とその手を捕まえられる。
    『別に、ない。』こんなエセピエロに何を聞いても、真実を語る訳がない。

    2008-07-23 05:10:00
  • 185:

    『可愛くないなあ。笑 まあいっか。とりあえずずじゃあ遠慮なく。』
    ―ドサッ―…ソファーに押し倒された瞬間、また携帯が鳴る。『出たい?』『…いいよ、ほっといて。』そう言いながら自分から拓馬クンの首に手を回した。『…んッ。』
    これは中途半端なアタシのささやかな抵抗だ。おそらく、今の電話はシュン君からで、出たら脅迫。でも無意味だ。拓馬クンが"あの"画像を持ってこうなってる今、シュン君に楯突く事も、請う事も無駄で。とにかくアタシは今、"この男に抱かれる"それだけが事実で自分の選択肢。

    2008-07-23 05:29:00
  • 186:

    『…ん。…アッ…』無遠慮に侵入してくるこの大きな手に、体は奪われようと、心の中まで奪われる事はない。"どうでもいい"なんて虚勢を張ってみても、それだけは、アタシの本能が、全部が嫌がるのだ。
    でも…"傷をえぐる。"その言葉は、本気で。
    『な、ルイちゃん?演技すんなよ?そんなんじゃ萌えへんし。笑』
    アタシを半裸の状態にした時の拓馬クンの笑みにゾクっとしたのも束の間、彼が本性を見せ出す。
    人は、セックスの時にこそ、本来の姿を表すと、この時身に染みて感じた。

    2008-07-23 05:41:00
  • 187:

    『あの写メと同じ様にやろっか?笑』

    そう笑って立ち上がった拓馬クンを見て、ただ一度だけ会った事がある、[雄志]の姿が頭に蘇った。
    『……ッ。』『ほらほら。痛い?苦しい?むかつく?笑 なんか喋りいや?なぁ?』
    何と呼べばいいだろう。この感情は。雄志を思い出した事で、また頭に浮かぶのはアヤの顔――。―――呪縛…。もうそれが正しいのかもしれない。

    2008-07-23 05:50:00
  • 188:



    ――――――――――――『なあ、これもう痛くないん?』

    事が終わり、拓馬クンは煙草を吹かしながら、ソファーに寝そべったままのアタシの胸の上の傷を指した。『…別に。てゆうか、これほどいてよ。』『ふてこいし無理♪笑』手荒に手首を拘束したネクタイを掴み上げ、アタシの体を無理矢理起き上がらせる拓馬クン。

    2008-07-23 05:58:00
  • 189:

    『てか!ふってこいんやな!笑 ほんまのルイちゃんは。笑』『……。』そう笑われしまったと思った。バレてる。拓馬クンには。
    『その姿、雪にも見せたいな。笑』拓馬クンは言う。
    『一回したら一個、秘密教えてあげよっか?』
    『教えていらんし。』
    『ふうん?笑 まあいいやん。一個教えたるわ。そうやな…この件、仕組まれてるで♪お前の事知ってる奴に。』

    2008-07-23 06:06:00
  • 190:

    …そんな事はわかってる。『愛理やろ?』『違う。』カマをかけたつもりだったが、その返事の仕方に何となく本当に違う気がした。
    『…誰か言ってくれな意味ない。』睨むアタシに、『な?知りたくなるやろ?笑 もっかいする?』また、エセピエロが笑う。

    ――翻弄される。しょうもない奴らに。巧みな人間が世の中には沢山いる。でも、守ってくれる人はいない。いつだって。

    2008-07-23 06:16:00
  • 191:

    『なあルイちゃん。"助けて"ってこの口で言えば、いつだって俺は助けたるで?笑』
    『………するんやろ、もう一回。』
    ――身を乗り出して唇を重ねる。こんな事が"愛"の行為だなんて思わない。もしそこに愛を込めたとしても、本当の意味で人を救う事なんて出来ない。人は所詮孤独だから。

    すべてを諦め、そこが真っ暗な闇だったとしても、まだそこに"意味"や"真実"を見いだそうとしてしまう。人はとても弱いから。微かな光を。

    2008-07-23 06:25:00
  • 192:





    ************

    2008-07-23 06:29:00
  • 193:

    『…どうゆう意味?』
    『言ったままの意味〜。教えて?お願い。』

    翌日、店が終わった後。愛理を近くのバーに誘い出した。飲み物を適当に頼んだあと、すぐ様本題に入る。
    一口も口をつけてないカシスウーロンの水滴を指でなぞる愛理はふいに落ちない顔でアタシの顔を見ようとしない。決定だ。

    2008-07-23 06:50:00
  • 194:

    昨夜の拓馬クンとの"二回分"の秘密、わかった事は、[シュン君にああする様仕向けたのは、愛理ではなく、愛理の良く知る女性]という事。そしてその女から愛理に、次に拓馬クンに画像が回ったという事。
    『誰なん?その女の子って。店の子?』『……。』もちろん、愛理に問い詰めるなと拓馬クンから釘を刺されたけど、無視。二人がどうなろうと元から知ったこっちゃない。

    2008-07-23 06:59:00
  • 195:

    今はこの"嫌な予感"の、正体がただ知りたいだけ。
    『…拓馬に聞いたんや?』『ん。』やっと口を開いた愛理を横目に、アタシはグラスの中身を一気に飲み干す。早く言え。面倒臭いなあ。
    『拓馬とヤったん?』
    『愛理が答えてくれたら答えるよ。』
    そして少しの沈黙の後。――バシャンッ――!!

    2008-07-23 07:06:00
  • 196:

    『――――。』アタシはカバンからハンカチを取り出し顔に当てた。みっともない。他の客の視線が集まる。ぶっかけられたカシスウーロンが床にも零れるから、立ち上がり『すいません、おしぼり…』と店員に告げると愛理は顔を真っ赤にして怒鳴る。店では見せた事のない、すごい形相。"女"が全面に出る瞬間。
    『…人の男取るんが趣味なん!?どうせ客も全部枕やろが!!……いい気味じゃお前なんかッ……!!拓馬が本気で相手する訳ないやろが!!』

    2008-07-23 07:31:00
  • 197:

    シーンとなる店内でアタシは少し黙ったあと愛理の方を見、口を開く。あまりしたくないが、やってみる価値はある…か。
    『大体わかるよ、誰か。てかしたよ?拓馬クンと昨日、二回だけね。』みるみるうちに変わる愛理の顔色。人の事どうこう前に…アタシも大概性格悪いな。今、少しだけ楽しい――。
    『てゆか、取ろうと思えばいつでも取れるし、愛理よりは、好かれてる自信あるよお?笑』
    "傷をえぐる"――拓馬クンの言葉が頭をぐるぐる巡る。

    2008-07-23 08:07:00
  • 198:



    アタシも相当
    おかしくなってる?
    いや、おかしい――?

    2008-07-23 08:12:00
  • 199:

    そしてそのままトドメを刺す。ごめんね愛理。仲良しごっこはもうおしまい。
    『"あの子"も"あの時"の事がまだムカツクんかもしらんけど…男がルイを選ぶねんもん。笑 ルイは悪くなくない?』
    …さあ、言うか――?

    『…最ッッ低やな!!!…そりゃ友達ひとりもおらん訳やわ…!』興奮がピークの愛理はそうしてまんまとピエロの餌食。確信の名を出す――。

    2008-07-23 08:21:00
  • 200:

    『麗香の言ってた事は正解やったわ…!!!…この事忘れんなよ!!!絶対後悔さしたるわ!』

    ………――やっぱり。。

    【麗香】――愛理が口にしたその名と、さっき一気に飲んだ焼酎のせいか頭がグラグラする…。麗香…まだアタシを貶める気?―――バン!!愛理は千円札をびしょびしょのテーブルに叩きつけ店から出て行った。

    2008-07-23 08:29:00
  • 201:

    『あの…大丈夫ですか?』店員サンの気遣いに、『ホントにすいません…』と謝り店を出ようとした、その時。――バサッ――…

    『…えッ。何で……雪く――…』
    『出よう。…風邪引く。』
    "何で?"……グラグラする頭のまま、目の前の雪クンにスーツをかけられ、腕を引かれるままに外へ出た。何でいてるの?何でよりよってこんなところ――…。

    2008-07-23 08:37:00
  • 202:

    『…ごめん。』
    外に出て、アタシの腕を掴んだままの雪クンの後ろ姿に、"悪いな"と感じた。きっと仕事の合間で、連れもいてたろうに。。
    『謝らんといてよッ!笑…なんか、嫌なとこ見られたね。笑』全部、聞いてたよね?あそこに居たって事は。

    この人にだけは、汚いアタシを、知られたくない。そんな考えが、雪クンの手を退けてスルリと離れる。

    2008-07-24 03:05:00
  • 203:

    『風邪ひくよ?』『…馬鹿やから大丈夫♪笑』『…ばか。笑』自然と笑みがこぼれる、二人。雪クンが肩にかけてくれたスーツがやけにあったかい。
    『俺ンちくる?』『えっ?』『近いし、シャワー貸すよ。』ポタポタと髪や服から垂れる滴、道行く人達。一瞬戸惑ったアタシの腕を再び掴み、雪クンは道路に出てタクシーを拾った。
    時間にしたら一瞬の出来事。アタシの中で少し驚いた雪クンの有無を言わさない言動に、また戸惑った。意外な一面だった。

    2008-07-24 03:15:00
  • 204:

    ―バン!『どうぞ。』ワンメーターの距離でタクシーは止まる。ほんまに近いんや。『…ありがとう。』差し出された雪クンの手を取り車を降りる。
    『ちょっと散らかってるけど、ごめんね。笑』
    11階立てのマンションの最上階の雪クンの部屋は、綺麗に整理されていて、"散らかってる"というものの、何枚かの服と、テーブルに飲みさしのカップや缶が少し散らばってる程度。

    2008-07-24 03:24:00
  • 205:

    『こっちお風呂やから、行っておいで。こんなんしかないけど…はい。』部屋に上がるなり、綺麗にたたまれたバスタオルとジャージとTシャツを渡され、風呂場に案内された。その雪クンのペースにまたびっくりしながらも言われるままにシャワーを借りた。男と女だ。今から何があるかはわかってるけど…―シャアー…―『麗香…』今はその名前を、忘れたいのかもしれない。その名前から連想する過去が蘇えるのが、今は嫌。絶対に嫌。。そしてまた始まる…未来。嫌。考えたくない…………流れて消えろ。さっきのお酒も、悪夢の予感も。

    2008-07-24 03:37:00
  • 206:


    ―――自分が嫌い。周りも嫌い。この世界が嫌い。ただ嫌がって嘆いた。でも、わかった事がある。
    必死で取り繕ってもNOな人間がいれば、ありのままの剥き出しでYESだと言ってくれる人もいる。また、YESだと言える自分もいた。そうゆう自分になれたのに。

    2008-07-24 03:48:00
  • 207:

    実好を麗香に奪われた瞬間が、いつまでも忘れられなくて。アヤが雄志を選んだ瞬間が、いまだに忘れられなくて。

    アヤとの家を出て実好とやり直したあの時も。実好の携帯が鳴る度、麗香の顔が頭にチラついた。

    頭の隅の方、ぐるぐる…ぐるぐる。

    2008-07-24 04:04:00
  • 208:

    『…っつ…!ヤバ…』
    ―キッ―
    お酒のせいかのぼせそうになり、シャワーを止め風呂場を出た。くらくらする頭で何とか雪クンの服を着て、歩く。雪クンの匂い…『ちょ。顔赤いよっ?大丈夫?』『…ん、ごめ。』『シャワー熱かった?』
    ソファに腰掛け携帯を見ていた雪クンはすぐに立ち上がり台所から冷たい水を注いで持ってきてくれた。『…ありがと…』
    この優しさが例え作られたものでも、いい。今は何でもいいよ、雪クン。

    2008-07-24 04:14:00
  • 209:

    『こっち、ちょっと寝転び?』寝室に連れられ、濡れた髪のままベッドに転がる。熱い…『…ごめ。ルイ酔ってる…頭、ぐるぐるする。』『…楽にして。あ、冷えピタ貼る?今持って…』
    ―ギュッ―…雪クンのシャツの裾を掴む。いいよね?家に呼んだって事はそうゆう事やろ?って、アタシ男かよ…。笑 でも無理。『ん?どしたん?』『雪クン…助けて?』…お酒、まわる。どうにかして。

    2008-07-24 04:27:00
  • 210:

    『…苦しい?』―ギシッ―わかってるのかいないのか、雪クンはベッドに腰掛けアタシのそばにきて、髪を撫でる。優しい手つき。『……ん。』…あぁもう限界!ってのはこの事かな。―ギシッ―…
    雪クンの体重がアタシの上に軽く、かかる。…早く。"はやくきて――。"思うよりも先に雪クンの首に伸びた手を、逆に取られ、気が焦る。『…雪クン。』はやく、焦らさず、忘れさせてよ――…。
    一秒でも、はやく。。

    2008-07-24 04:40:00
  • 211:

    『…ルイちゃん。そうゆうのズルいよ。』
    確かに酔いが回ってたけど、アタシの手を握ったままそう小さく言った雪クンに、少しだけ酔いが覚める感覚。でも完全には覚めてくれず――。
    もう片方の手を雪クンのズボンに伸ばす。エスカレート。男になった様な気分で、指を動かす。このまま一緒に楽しもう?一緒に忘れられたらいい――。
    セックスが好きな訳じゃない。でもアタシ、雪クンとなら――。

    2008-07-24 04:55:00
  • 212:

    理性の切れかけたアタシを止めさせた雪クンの一言。
    『何で拓馬とヤったん?』
    ――『…。』アタシの手が止まる。萎える…止めてよ。雪クンはもう片方の手も取り、両手を少し、強く握る。……
    『あれホンマなんや…?』『……』黙るしかない。『さっき愛理ちゃんと言い合ってた原因はそれ?』『…』『何で何もゆわんの?俺にはどう思われてもいいって事?』
    思わず目を伏せたくなる様な雪クンの言葉、少し強い口調にただ黙る。

    2008-07-24 05:14:00
  • 213:

    『……ごめん。』
    少し長めの沈黙の後、雪クンはアタシの上から体を降ろし、背を向けてベッドに座り直した。完全に熱が冷めたアタシは、まだ残る酔いと、また別に生まれた感情を抱いて動けずに。
    『…でも、何も聞かずに抱いてあげれるほど俺優しくない。』『…ルイじゃ無理かあ〜笑』
    『違う。…ホンマはすっごいしたいし俺もうやばい。でもやめとく。俺は拓馬とは違うよ。』
    気まずさにおどけて言ったアタシに返ってきたその言葉は、雪クンがアタシが思ってる以上に綺麗な人なんじゃないかという期待になる。

    2008-07-24 05:39:00
  • 214:

    『…雪クン、ごめんね。』正直、本音なんて、人の奥の方なんてわからない。アルコールが回る体の中で、頭ではなく、心で感じれた自分に少し嬉しくもあった――。
    『…ちょっとおいで。』
    起き上がり、連れて行かれた先はベランダの前。
    『ほんまに体熱いからね。ちょっと涼んどき。』網戸を開け、座らされる。ポツンと。風が気持ちいい――…

    2008-07-26 11:21:00
  • 215:

    そこから見渡す景色は、殺風景で、でも静かで。何か懐かしいこの風の感触も。
    『……死ぬよね。』
    『えッ?』いつのまにかグラスを片手に隣にいる雪クン。『飲める?紅茶。』『あ、ありがとう♪』
    受け取り口をつける。ああ…落ち着くかも、ココ。『で、死ぬって何が?』少し距離を置いて座る雪クンが、さっきとは違ったいつもの柔らかい表情でアタシに問いかける。
    ――もしも、その笑顔が。雪クン自身ピエロだとしても、アタシは、尊敬するよ。きっと。

    2008-07-26 11:34:00
  • 216:

    『いや、あのね。昔ルイも11階に住んでた事があってね。全然…こんな広い部屋じゃないんやけどね。笑』
    雪クンは相槌を打つ代わりに、優しい瞳でアタシを見る。こんな、アタシを。
    ――もう…いいよね。
    『…"友達"と住んでて。2人で。すごいニコイチ〜!みたいな感じの娘でぇ。笑 二人共ずっと一軒家やったから、マンションに住むのってすごい憧れてたから嬉しくてさ。笑』
    ――少しのアルコールと風の心地良さの魔法。そうゆう事にしておこう。

    2008-07-26 11:47:00
  • 217:

    "ウンウン"と言ってる様な、優しい顔。やっぱり…雪クンの魔法にかかってるのかも。なんて思って笑ってしまう。『何で笑うの!笑 続きは!?笑』
    『ごめんごめん♪笑 雪クン可愛くて♪笑』

    愛しかったり。同時に軽々しいさっきまでの自分を恥ずかしく思ったり。そして、どうしようもなく哀しくも なる。
    ――でも惹かれていく。"雪クン"って一人の人に。"アタシの世界"を変えられる。

    2008-07-26 12:24:00
  • 218:

    ――普段は誰にも踏み込まれたくない自分だけの領域を、君にだけは招待したくなる。土足で来て。どんなんでもいーから。ありのままで。

    憧れの君に、追いつける事なんか一生ないと言い切れるのは君が光の様な人だから。せめて。近くに居て、色んな方から君を見続けたかった。

    どうしようもなく傷つけたくなる時もあって。強い君を傷つける事の出来る人間…"君"を作り上げたすべての人やものに興味が湧いたよ。

    2008-07-26 12:44:00
  • 219:

    『でね。その友達がベランダに出てよく言ってたんやんかあ。"うちは飛べるねんッ!"みたいな事を。笑』キョトンとした雪クンの顔。びっくりしてる?
    『あ、もちろんシラフじゃないねんでえ?笑 若かりし頃やったから、まあ…あれやけど。笑』『あぁ…笑』本当…若かった頃。『でもルイ思うねんなあ、今になって。"アヤはホンマに飛びたかってんやろなあ"って。』『アヤちゃんってゆうんや。笑』『…うん♪笑』
    雪クンが、アヤを知らん雪クンが、アヤの名前を口にする。

    2008-07-26 12:57:00
  • 220:

    …不思議――。
    『その頃は…薬してるから、そんなんゆうんや、こんな事するんやって。ずっとそう思っててんけど――…。』『うん?』――…多分、あの時アヤはほんまにすべてから逃げたくて、すべて、捨てたくて――。雄志以外の、すべての人やしがらみ、過去。つまり――…
    『ルイが――『そのアヤちゃんが、その傷をつけた子?』

    ――――――――…。

    2008-07-26 13:05:00
  • 221:

    胸元を指す雪クンの白い華奢な手にハッとした。『あ…うん。』『そっかあ。今は会ってへんの?』
    『…うん。どこ居てるカモわかられへんしね。』『会いたくないの?』紅茶をゴクリと飲み込む。
    『……わからへん。かな。笑』『そっか…。』

    ――風が気持ちが良い。…このまま、もう少しだけ、このままでいさせて。

    2008-07-26 13:14:00
  • 222:


    どうせ瞬く間に星は消え、荒波に呑まれ、逃げれない記憶と現実と、過ごす日々に戻るのだから―――――。


    ――――。

    2008-07-26 14:49:00
  • 223:





    **********

    2008-07-27 03:12:00
  • 224:

    『ただいまあ♪ルイー♪』
    『…ん。おかえり。ご飯は?』

    [16歳-冬-]
    "あの"事件が起こって一週間。実好は持ち前の要領の良さと行動力で、二人で住む為の部屋を借りた。アタシと実好が、もう一度やり直す為の部屋。1DKの必要最低限のもの以外何もないまっさらな空間。―――実好が、アタシの為に…。

    2008-07-27 03:23:00
  • 225:

    『今日はどっか一緒に食い行こや♪』『ん。用意するからちょっとだけ待って。』
    だが、アタシはまっさらな気持ちになんてなれるハズもなく、引きこもり状態。こうして実好が連れ出してくれる以外、部屋にいた。
    『…片瀬と連絡取れた?』『…ううん。』
    あれから何度電話しても繋がらない。…アヤ、雄志といてるん?

    2008-07-27 11:01:00
  • 226:

    アヤに会いたい。仲直りしたい。そしてもう一度――…。そう想ってるのに。『お前、傷大丈夫か?』『……うん。』
    何故か、心から100%思えない自分。それがモヤモヤして苦しかった。アヤがつけた消えない傷。この胸の傷が、"全部終わり"と告げてる様で…怖かった。かと言って最後見たアヤの気が狂った様な泣き顔が、頭から離れなくて。距離を置いて、果たして意味はあるのか?日が経つほど、その距離が広がっていきそうな気がして…。

    2008-07-27 11:09:00
  • 227:

    そんなアタシを見かねてか、ある日実好が言った。『行ってみるか?片瀬んとこ。』ドキドキした。たった数週間離れてただけなのに、こんなにも怯えてる自分。アヤは…どんな顔するかな?仲直り…出来るやんな?

    期待と不安、極度の緊張感を押し殺して、実好が下で待つ中、一緒に住んでたマンションに向かった。
    ――ガチャ…… 『…ッ…。』

    2008-07-27 11:18:00
  • 228:

    『どやった!?』
    『……おらんかった。』部屋は"あの日"の状態のまま…血が乾き、壁紙にも切り刻まれた跡が無数にあった。嫌な予感は、あの日アタシがあの部屋から出た瞬間から、きっとあった。
    『多分、雄志んちにおると思う…。』『場所わかんの?』『…大体。』
    その足で、そのまま雄志の家へと向かった。実好は、嫌な顔ひとつせず、何回断っても"心配だから"とついてきてくれた。

    2008-07-27 11:27:00
  • 229:

    幼いアタシが、実好とアヤを比べた事も、天秤にかけた事も一度だってない。アタシは……自分の人生で、二人が居てくれたら、二人共居てくれたら…"シアワセ"だと。これ以上の喜びはないと無意識に思って、唯一、"願った事"なんだろう。



    ――アタシは欲張ったのかな?

    2008-07-28 21:48:00
  • 230:

    結局、雄志の家には誰も居なくて、出直す事になった。でも、何度出向いても、誰も居る気配はなく、そうこうしてるうちに……『あ。アヤちゃんの友達。』雄志と一度だけ対面した際に、一緒にいた奴の連れに出くわし、真実を知らされた。
    『雄志もアヤちゃん逃避行しちゃったよ。もう帰ってこやんのちゃう?』―――…。
    自らが薬を流していた雄志は、警察が家宅捜査に入る段階まできて、アヤと二人で、飛んでしまったらしい――。仲間も、仕事も"すべて"を捨てて…。

    2008-07-28 22:02:00
  • 231:

    しばらくして、アヤとアタシが二人で住んでいたマンションと携帯電話の名義人になってくれてた客から連絡があった。二人共住んでいない事がわかり、鍵を開けた大家から部屋の状態を聞かされたらしく、マンションも携帯も解約するとの事だった。携帯だけはと頼んだけど、当たり前に断られた。

    2008-07-28 22:15:00
  • 232:

    ――失くなった。全部。アタシとアヤの軌跡が。連絡も…取れない。せめて荷物だけでも取りに行かせてもらえば良かったのかもしれないけど、そんな気力も無くて。それにあの時は、二人の想い出を目にするのも、苦しかった…。
    ―――アヤは居ない。

    『…ルイ。』
    『……実好。アヤに会いたい……。』

    2008-07-28 22:19:00
  • 233:

    『…ルイ、泣かんといて。』『……ッ…。』
    ――そこからアタシの抜け殻生活が始まる。どれだけアヤと一緒にいて、自分の中で大きい存在だったかわかる。痛い位に。それと同時に、日に日に大きくなる【後悔】
    "あの時、実好のところへ行かなければ…。""もっともっと話を聞いてあげてれば…。"そもそも、"実好と再会しなければ…。""いや、キャバクラに移らなければ…。"

    膨らんでは、しぼんで、繰り返し、泣く。キリがないと、理解っていても。

    2008-07-28 22:34:00
  • 234:

    毎日、泣き続け引きこもるアタシに、実好が言ってくれた言葉。
    『泣くな。…絶対また会えるから。俺とお前がまた会えたみたいに。大事な縁はそんな簡単に切れるもんちゃうから。』


    ――嬉しかった。実好の言葉を、自分に言い聞かせる様に毎日…唱えた。

    2008-07-28 22:42:00
  • 235:

    でも、それも結局、痛みを抑える為の自己防衛だと、悟る。

    ――実好も居なくなった。あの日、あの瞬間に。

    二人暮らし始めて約一年経った頃。実好はまた、麗香の元へと戻った。でも、今回は前とは違って…アタシが実好を苦しませて、傷つけてしまったんだと思ったから。前みたく、嫌いにはならなかったし、嫌おうとも思わなかった。

    2008-07-28 22:52:00
  • 236:

    そのかわりに、アタシは変わっていった。アヤの事、実好の事、麗香の事…"どうせ苦しむのなら"

    いつかアヤが言ってたみたいに、"ピエロ"になりたいと思った。アヤと…実好と、笑ってた時が一番幸せだったから。

    例え問題を抱えても、笑って過ごして行くうちに、忘れられるんじゃないかって思ったから。

    2008-07-28 22:59:00
  • 237:

    アヤを失って、実好を突き放して、"ヒトリ"になったその時から、"求める"事を辞めた。物も人も、安らぎも。傷つくのが怖い。そんな単純な理由もある。けど、一番は。
    "シアワセ"になんてなれないと悟ったから。皮肉じゃない。アタシにもあったシアワセな一時は、もう取り戻せないから。何故なら、アタシがそれを誰よりも怖がり、拒んでいるからで――…。"変わり"なんていないのも、わかっていたから。だからと言ってアタシに、"もう一度"なんて言う権利、ない。

    2008-07-28 23:07:00
  • 238:

    言う前に、どこにいるかもわからないしね――。
    実好は、麗香と…。
    幸せになればいいと思う。強がりかもしれない。でもそれで実好が笑っていられるなら。

    アヤ。アヤは――――……。

    2008-07-28 23:23:00
  • 239:


    もう、二度と
    会われへんの―――…?

    2008-07-29 16:57:00
  • 240:

    あかね

    めっちゃ楽しみにしてます?頑張ってね?

    2008-07-30 00:16:00
  • 241:


    『…イちゃん、ルイちゃんッ!』『……ぇ。』
    『大丈夫?めっちゃうなされてた。』
    目を開けると、見慣れない天井と雪クンの綺麗な顔。雪クンちか…。昨日あのまま泊めてもらったんやった。
    『…ごめん〜。起こしちゃった?てかプッ!!笑 雪クン寝ぐせ…笑』『…もう(T_T)笑』寝起きに天使のまさかの寝ぐせを見れて、さっきまでの嫌な夢も吹き飛んで笑った。

    2008-07-30 07:14:00
  • 242:

    『店間に合う?』
    『…多分間に合わん…笑』
    "起こすのが遅くてごめんね。"と謝る雪クン。ほんまなんて可愛いんやろぉ…。『よし、俺が同伴してあげよ♪さ、シャワーしておいで。』『え!!!い〜よお!』断っても断っても折れない雪クンの強引さに負け、シャワーを浴び用意を始めると、雪クンも着替えていて、その華奢な体に見とれてしまう。

    …男の人を綺麗だと思うのは、生まれて初めてだ――。

    2008-07-30 07:27:00
  • 243:

    『雪クン。』『うん?』
    『…昨日は色々、ごめんね。』『あぁ。いいよ。それより用意できた?行くで!』
    手を引かれ家を出た――。
    入って来て欲しくないところには、絶対に入ってこようとせず、でも、大事な所は自己主張はしてくれる。受け身に見えて、実はそうじゃなくて。
    この人は、きっとフェミニストだ。そしてきっと、根っからのピエロだ。

    2008-07-30 07:43:00
  • 244:

    名無しさん

    めさオモロイ

    2008-07-30 10:56:00
  • 245:

    ペット

    2008-07-30 12:51:00
  • 246:

    軽くご飯を食べて店に入る。昨日と同じ服、髪はストレート、とどめに同伴相手はホスト。…我ながらあから様やなあ。笑 『…ルイ〜!』"頼むでえ"と言わんばかりの店長の苦笑いと、蔑むような女の子の視線。
    無視――。
    『…騒がれた?笑』
    『雪クンがあまりにも素敵やから、目立つンやわ♪笑』
    ――やっぱり雪クンもホストやな。急激に距離を、縮めてくる。

    2008-07-31 06:18:00
  • 247:

    その後、アタシの客が何組がきた際に、愛理が雪クンのヘルプについた。
    "どうせ全部バラすんやろうな。"そうは思っていたものの、雪クンはチェックの時も、いつもの笑顔で帰って行った。
    『また、連絡してね。』

    ――魔法は溶けた。さあ。たった今から。ハジマル、"現実"が。

    2008-07-31 06:25:00
  • 248:

    『ルイ。この画像見覚えある?』
    自分の客が全部帰ってすぐ、店長に非常階段に呼び出された。早速か。
    『ありませ〜ん。』
    『ルイ!真剣に答えろよ!こんなんでお前の全部狂わされんねんぞ!』
    ……人生なら、とっくに狂ってるよ、店長。

    2008-07-31 06:33:00
  • 249:

    『…その画像、誰からまわってきたん?』『それは…』『愛理やろ?なら愛理から聞いた方が詳しい事知れるよ。』
    最も…黒幕はその愛理の裏に隠れてるけど。
    『…ルイ。このアキバ出禁にするか?』『何でえ?ま、来る事ないと思うけどぉ。』『……いや。』

    ――?『ちょっときて。』と店長に店に戻され、唖然とした。

    2008-07-31 06:41:00
  • 250:

    『シュン君ありえへん〜!!ほんッま可愛い♪』
    ――――…マジ?

    接客席を見て寒気がした。シュン君…。。そしてシュン君の体にまとわりつく、愛理――。『嘘…』思わず、声が出た位。
    『実はアキバから店に連絡があってな。"指名変えしたい"って。』『……そう。』指名変え?あんな事、しといて?

    2008-07-31 06:49:00
  • 251:

    『ほんまの事言えよ、ルイ。…俺はお前が枕なんかすると思えへん。あのアキバ出禁にも出来るし、出るとこ出てもいいつもりや。』『……その画像さ…』『店の従業員全員にまわってる。…客にまわんのも、時間の問題や。』

    ――――麗香……。何がしたい?

    『迷惑かけてごめん。』ここから逃げても、どこまででも追いかけてくる。アイツは…。

    2008-07-31 06:57:00
  • 252:

    第一、あの画像をバラまかれてもいいと思ったのは、このアタシだ。
    『切れかけてたから…繋ごうと思ってさ、しちゃった♪…でも、失敗やったみたいやなッ。笑』
    笑え、笑え、アタシ――。『…ルイ。』『店長はあ、ルイの事買いかぶりすぎ!笑』

    ――アタシ、こうして笑ってるしか脳がない人間やのに。でも。

    2008-07-31 07:03:00
  • 253:

    湧き上がる、この怒りにも似た感情に、思い知らされる。

    "感情"を捨てるなんて、不可能だ。ここまで過去を引っ張って生きてきたアタシが…

    麗香に対して、無感情に、ピエロになるのなんて、無理なんだという事。

    2008-07-31 07:08:00
  • 254:


    人間の持つ、生理的感情や本能ってヤツは厄介だ。

    ――アヤ?
    アタシに、ピエロは降参やわ。だって、胸の奥が引っかかれて、苛立ってしょーがない。。

    2008-07-31 07:12:00
  • 255:




    『何?どしたん?ルイちゃんからまた呼ばれるとは思わんかったわ〜♪笑』

    2008-07-31 07:14:00
  • 256:

    『知りたい事、ある。』『わッ!ちょっと待てって!』―ドサッ―…

    苛々する。こんな感情はいつ振りだろうか。
    『拓馬クン、ちょっと黙って――。』こんな奴ばっかりだ。世の中、腐ってる。アタシを含めて、ミンナ――。汚い欲の塊。今まで、他人事の様に見てきたケド。
    『待てって。お前、雪とヤったやろ?』『…それが何?』

    2008-07-31 07:23:00
  • 257:

    仮面を張り、せいいっぱい笑っても、この汚い闇から、自分だけ逃げようなんて、無理なんだ。

    『…よくすぐに俺と出来るなあ?笑 ルイちゃん怖いわ。笑』―チュッ―…『…ンッ。』

    ――だってミンナ放っておいてくれない。人を傷つけ、巻き添えにする事で、自分の穴を埋めようとする。無償の優しさほど、怖いモノも、無い。

    2008-07-31 07:36:00
  • 258:

    そんな世の中、真っ直ぐに生きようとするなんて…馬鹿げてる。類は共を呼ぶから、きっとアタシもいつまでもこんな世界から抜け出せない。なら…

    『…麗香なぁ〜。うん、会った事あるで。キッツイ顔のベッピンやろ?』

    事を終え、即座に服を着て煙草を吹かす。余韻に浸りベッドに寝転んだままの拓馬クンには目を合わせずに。

    2008-07-31 07:44:00
  • 259:

    『てか、そんなスグに服着やんでも。笑 寂しなるやん?俺。笑』…いちいちうるさいな。早く質問に答えろよ。
    『無視かよ。笑 …ん〜と、確か一回連れてきた事あるわ。愛理が俺の店に。』起き上がり、後ろから抱き締めてくる拓馬クン。暑苦しい…。
    『連絡先教えて?』
    『無理。てか俺知らんもん。』『ハァ…』スルリとその手から抜け、立ち上がる。時間の無駄やったか…。

    2008-07-31 07:51:00
  • 260:

    『なぁ待てって。』手首を掴まれ、振り向く。
    『…何?』『その娘とどゆ関係なん?』『…。』『何の用で探してんの?…俺、すごい興味あるわ♪』そのまま引っ張られ、再度抱き締められる。『別に…。』『ふうん?てかさ、お前愛理にゆうなゆうたのに普通にゆうたよな?』耳元で話す拓馬クンの声に身震いした。
    『だって別に愛理と拓馬クンがどうなろおと、ルイ関係ないもん。』

    2008-07-31 11:34:00
  • 261:

    『やっと本性が出てきたな。笑』『ちょっと…やめて。』首もとを這う舌をのけようと動く。
    『もう聞きたい事ないよ。』―グッ―!力任せに頬を掴まれて、目の前に拓馬クンの顔。人を捕らえ離さない切れ長の目。

    『俺はお前の聞きたい事言うだけの道具じゃないで?』『…自分から言い出した事やろ?』
    どうも苦手。睨み返しても無意味に思える、その目が。

    2008-07-31 11:41:00
  • 262:

    『まあな。でも…。』
    ―ドサッ…そのままベッドに押し倒される。
    『約束破りは嫌いやねん、俺。』『…は。』――約束?こんな人間相手に、マトモにしてたら、こっちが疲れる――…。
    『雪ともうすんなよ。』『何で『いいから。"約束"破ったら、もっと酷い事すんで?』
    『ッ―…ッ!』首を絞めながら今さっき着た服を、凄い力で剥ぎ取って行く。本当にねじ曲がった人。

    2008-07-31 11:52:00
  • 263:


    この世の中に、この空の下で、何処かで、もしもアヤが生きて、元気に暮らしてるなら。
    どうか、こんな人間と関わらず、同じピエロでも、雪クンの様な人と出会って生きて欲しい。
    アヤは、ひとつ見つけると、突っ走る癖があるからね…。
    いつも現実と言う壁が目の前に立ちふさがるケド、アヤには。アヤにだけは夢を見せてあげたい。醒めない、夢を――。

    2008-07-31 12:06:00
  • 264:





    *********

    2008-07-31 12:07:00
  • 265:

    ――6月の始め。だんだんと蒸し暑くなり、雨の日が多い、今日この頃。たった数ヶ月で、店でのアタシの状況は変わり果てる。

    『あ。きたきた〜♪枕嬢〜♪笑』『今日もラブホ同伴ですかあ〜?笑』

    ――…ため息が出そうになる。出勤する度に吐かれる、毎度ひやかしの言葉と向けられる冷たい視線。本当に、暇人ばっかりだ。

    2008-07-31 12:20:00
  • 266:

    『ルイさん、4番テーブルの新規サン、ご指名です…』『はいはい。』もちろん女の子達だけではなく、あの"一件"以来、噂は広まり客からのひやかしも、多数。
    『こんばんはあ♪指名ありがとうございます〜♪』『自分が画像の子!?うっわ可愛い〜♪なんぼ積んだらヤラしてくれんのっ!?笑』
    ――どいつもこいつも、馬鹿ばっかり――。

    2008-07-31 12:26:00
  • 267:

    でも笑える。アタシはここではピエロを演じ切る。
    『え〜♪お客様みたいな方なら、ルイ逆に積んじゃうカモ〜♪笑』『は!?まじ!?自分ほんまうまいな!笑』金と欲の世界だ。弱みは逆手に取るし、マイナスだって、プラスに変える。得意分野だ。

    『一時はどおなる事かおもたけど…お前はほんまに凄いわ。プロやな。』
    すぐに出回った"あの"画像は、悪戯で店のホームページにも張られ、それを見た男の興味と欲を煽り、新規客となって返ってくる。店長いわく。ね。

    2008-07-31 12:37:00
  • 268:

    事実、新規は増えて、リピートだって絶やさない。色客やから、何とでも言えば、信じてくれる。
    『…よく平気な顔してられるなあ。』そんな皮肉は聞き飽きた。負け犬の遠吠え。シュン君を自分の客にして勝った気でいてた?愛理。……いや、麗香。
    どうやって探し出そう?毎日考えていたけど、わざわざ出向かずとも、奴と対面する機会はすぐに、きた――。

    2008-07-31 12:46:00
  • 269:

    『ルイさん、愛理サンの席。指名です…。』

    ある日の待機中の事。一人暇してたアタシに、まさかの魔の手が忍び寄る。シュン君の席…唾を飲み席についた。
    『失礼しま〜す♪久しぶり、シュン君♪』
    『あ……うん。久しぶりやな。』極上の笑顔のアタシと、モジモジ自分の指を触るシュン君。そしてその彼の腕を組む愛理。
    超気まずい3人。な、ハズ。でも気まずい顔をしてるのは、シュン君だけ。

    2008-07-31 12:53:00
  • 270:

    『ルイちゃんにも飲ませてあげてえ?シュン君♪』『あ…うん。』
    『ありがとうございまあす♪』聞いた事のある台詞。違うのは、アタシと愛理の座り位置。
    ――楽しいか?アタシは笑顔を絶やさずグラスに口をつける。『シュン君、ルイちゃんの事、励ましたってえ?最近あの画像の件で…ミンナに冷やかされてて可哀想やから。』
    『……。』気まずそうなシュン君。これはアタシとシュン君両方に対する、圧力?可哀想…か。確かに、可哀想だな、アタシ。

    2008-07-31 13:05:00
  • 271:

    名無しさん

    おもろい
    すきやわ

    2008-08-02 04:24:00
  • 272:

    名無しさん

    おもろすぎる!

    2008-08-03 02:18:00
  • 273:

    【休憩】
    感想ありがとうございます☆(^∀^)進めていきます☆

    2008-08-03 20:47:00
  • 274:

    …ン、ウウン。ちょっと悲しそうな顔を作ってみる。『うん…ルイもぶっちゃけその事でヘコんでるけど…ルイの事助けてくれる人もいてるから♪』
    ニコーリ。これでOK?
    『…ルイちゃん、あの…』
    シュン君が何か言いかけた時、ちょうどボーイさんに呼ばれ席を抜けた。
    ナイスタイミング。自分の客じゃなくなった変態アキバにもう用はない。それにシュン君はヘマをしすぎた。あの写メがこんなにも広まらなければ、アタシは君を切れない状況になってたかもしれんのに。

    2008-08-03 20:55:00
  • 275:

    爪が甘いのは、馬鹿な証拠。写メが出回った今、更に怖いモノはなくなってしまった。そのかわり――…
    〜♪♪♪〜雪クンからメール。
    「今行っても大丈夫?」暇なんかな?すぐに返信する。
    「今日はルイが行きたい(^-^)♪」雪クンにこないだのお礼、しないと。
    すぐにメール受信画面になり、「了解(>_

    2008-08-03 21:06:00
  • 276:

    すぐに上がって行くつもりだったのに、自分の客が来てしまい遅くなってしまう。
    あ〜゛今日は早く飲みたい気分やのに!!ダッシュで携帯片手に【lush】に向かう。
    『あ、も〜し♪雪クン?ごめん遅くなってえ〜』
    「お疲れ様。愛理チャンが来てるケド…大丈夫?」『ノープログレムだよう(・∀・)笑』
    言ってる間に、店に到着。

    2008-08-03 21:17:00
  • 277:

    『お疲れ様。会いたかったよ♪』サラッと言ってのける雪クンのふわふわした笑顔に、何となくホッとした様な気がした。
    『一応、愛理チャンと席離すね?』初めて着てるのを見た黒いシャツ、そのせいで引き立つシルバーのアクセサリーを身に纏った雪クンは、何となく、いつもより少しだけ、冷たい雰囲気も感じたケド。
    きっと気のせい。
    雪クンと、このアタシの"世界"を、一緒のものにしたくない。

    2008-08-03 21:42:00
  • 278:

    『いらっしゃいませー!!』

    何回来ても慣れないこの爆音に、苦笑いしながら案内された席へと歩く。何気なく視界を見渡すと、愛理と拓馬クンの背中が目に入る。向こうは多分気づいてない様子。まあアタシは今日は楽しませてもらうぞ。と。

    『失礼します♪』『失礼されます♪笑』隣に雪クンが座った、その時。

    2008-08-03 21:50:00
  • 279:

    名無しさん

    その時?

    2008-08-06 02:05:00
  • 280:

    名無しさん

    闇で見てます。
    続き楽しみです。
    頑張って下さい。

    2008-08-06 05:49:00
  • 281:

    名無しさん

    この小説好きです?頑張って下さい?

    2008-08-06 07:39:00
  • 282:

    『姫から拓馬クンに〜!!シンデレラ全色のプレゼントー♪か〜わいいッ♪』
    ――!少し離れた席から聞こえたそのマイク音に、愛理、派手にやってるなと反射的に目をやった。お〜お〜、愛理、超得意気な顔。笑 ん?でもアレ?今、マイクを向けられてるのは愛理じゃない…。

    ―――――…!!!!!

    2008-08-06 09:02:00
  • 283:

    『派手にコールしてよお〜?今日は愛理と拓馬クンにお祝いなんやから!金はなんぼでもあるぞー!!』『ヒュ〜〜!!♪』

    一瞬、目を疑った。でも、遠くから見てもわかるその姿と、独特の低音の声で、間違いじゃないとすぐに理解できる。

    ―――[麗香]だ。。あの女が、アタシが世界一憎いあの女が、同じ店の中に、居る――…。

    2008-08-06 09:09:00
  • 284:

    『愛理チャンの席、派手にやってるねえ。笑』『……うん。』
    ―ドクン、ドクン―…やばい。何だこれ?鼓動が、苦しい位に速い。どうする?どうしよう?マジで、麗香が――…
    『ルイちゃん?』顔を覗き込んでくる雪クンに、正直愛想笑いを見せる余裕もなかった位。……テンパってて。
    『雪クン、お手洗い行くね?』とりあえず落ち着こうと、トイレに向かう。
    そそくさと通路を歩いた、その時だった。

    2008-08-06 09:17:00
  • 285:

    20mは距離があいてただろう、そのテーブルにいた麗香と、目が合ったのがわかる。
    ―――……!咄嗟に反らしてしまったアタシ。その直後だ――。

    『ルイ!!ルイやろ?
    久しぶりやん!』――――――………どくん……ッ!

    2008-08-06 09:23:00
  • 286:

    店内の爆音に負けない位の、負け怖じしない大きな太い"あの"声に、他の客席からの視線が集まり、アタシもゆっくりと、麗香の方を向く――。
    『…麗香。』
    『会うかもとは思ってたけど、まさか今日会うとはな!笑 作戦失ぱーい♪笑』
    麗香はケラケラ手を叩きながら笑っている。遠くからでもわかる、この雰囲気、笑い方、アタシの嫌いな――…。

    2008-08-06 09:30:00
  • 287:

    雪クンも気づいたのか、こちらまで歩いて来た。
    『あの子知り合い?』『…あ、うん。』なんてタイミングが悪い。でも麗香はおかまいなしに声のトーンも抑えず、我が物顔で話し続ける。
    『アンタ雪クン口座?てかぁ!立ち話も何やし?笑 隣おいでえや!な!』

    『…ルイちゃん、戻ろ?』アタシの顔色で、何かを察する様に、雪クンが肩を組んでアタシの体を反転させた。だけど。

    2008-08-06 09:42:00
  • 288:

    『あんた私に何か話あるんちゃんー?』

    ―――…。その台詞に、ピタリと足が止まる。
    『バレてんねやろ?笑 私の計画。…それか。逃げんのお?笑 あんた"お得意"やもんなあ?笑』
    ――――………。アタシは馬鹿なんだろうか?見え見えの"挑発"だとわかってる。わかってるのに。

    2008-08-06 09:54:00
  • 289:

    『雪クン。ちょっとだけあっち座ろ?』


    "受けて立ってやろうじゃないか。"そんな気さえ起こる。――ソッと受け流す事さえ出来ないアタシは、もはやピエロでも何でもない。福笑いの仮面でも被っただけの、ただのガキ。麗香とさほど変わらない。でも構わない――。
    ――アヤ。無くなったと思ってたのに。まだ、残ってたみたい。アタシのショボい"プライド"って奴が。

    2008-08-06 10:07:00
  • 290:

    名無しさん

    気になりすぎてたまらん!!!

    2008-08-06 10:51:00
  • 291:

    名無しさん

    おもしろいです?

    2008-08-06 13:29:00
  • 292:

    名無しさん

    やばすやばすオモロスギやから???

    2008-08-07 22:22:00
  • 293:

    名無しさん

    がんばれ

    2008-08-11 02:05:00
  • 294:

    名無しさん

    久々におもしろい小説見た!!

    早く続き読みたい☆主さん頑張ってください(>_

    2008-08-11 08:54:00
  • 295:

    名無しさん

    オモロ?

    2008-08-11 13:23:00
  • 296:

    名無しさん

    主さん頑張って下さい?

    2008-08-11 16:28:00
  • 297:


    『英太とはどうなってんの?』

    ――拓馬クンと愛理、その向かいに麗香と、その隣には知らないホスト。その真横にアタシと雪クンってゆう、超おかしな席で、何年か振りのアタシに、麗香が口を開いた第一声は"それ"。
    麗香もまた、過去を、いや…実好を引きずる一人なのカモしれない。

    2008-08-12 02:33:00
  • 298:

    『しらへん。』
    『ふーん…ま、何でもいーけど。とりあえず飲んだら?』…気まずさ全開、って感じのみんなをよそに、麗香一人がみんなのお酒を注ぐ。
    愛理に負けない位のグリグリの巻き髪に、相変わらずキツそうな顔は、最後顔を合わした頃より少しケバくなった位で、あの頃とそう変わっていない。
    『なんか雰囲気変わったなあ?』……アタシだけが変わったのだろうか?

    2008-08-12 02:40:00
  • 299:

    『…そう?』――でも、すぐに気づく。雰囲気が変わらずとも麗香の変化は一目瞭然。…昔の自分を見てる様だ。
    ――覚醒剤だ。
    その開いた瞳孔も、痩せ細った体も、腕の跡も。…全部、見覚えがあるのも、何故か笑える。
    アタシ達は犬猿の仲。そして、同じ穴のムジナなんだろう。…いつまで経っても。。
    『麗香。』でも同情なんてしない。何年も経った今、こうして再会するのも、何か切っても切れない縁があるからだろう。大袈裟カモしれないけど。

    2008-08-12 02:53:00
  • 300:

    でも、それは因縁みたいなモノ。…もう、アタシには必要のないモノ。
    『アンタはどうしたら満足なん?』『…はあ?』
    デカイ態度で足組する麗香の目の色が変わる。
    『だから、愛理にルイの潰しさしたり…結局…『理由もないし〜目的もない!』アタシが喋り終えるまでに麗香が言った。
    『た〜だの暇つぶし。それだけ。』悪びれもせず。誰かさんみたく。その言葉で席の空気が一気に悪くなる。

    2008-08-12 03:06:00
  • 301:

    すいません。ペットの主さんかどうかだけ教えてください。
    ペットの主は2作品放置してる状態やし、もしこれ書いてる作者さんも同じなら完結してくれそうにないしまた中途半端で終わられたら読むの無駄やから…。

    2008-08-12 14:58:00
  • 302:

    名無しさん

    嫌やったら読むなよ

    2008-08-12 20:01:00
  • 303:

    名無しさん

    書〜いてッ

    2008-08-15 09:45:00
  • 304:

    名無しさん

    あげ?

    2008-08-16 23:32:00
  • 305:

    名無しさん

    待ってる〜

    2008-08-22 18:39:00
  • 306:

    名無しさん

    忙しいっすかあ〜?
    まってまあ〜?

    2008-08-23 03:25:00
  • 307:

    名無しさん

    叩かれ出したから中断なんか?

    2008-08-23 22:01:00
  • 308:

    ↑誰も叩いてねぇー

    2008-08-23 22:06:00
  • 309:

    名無しさん

    どの作品も中途半端に終わらすなら書くなよ

    2008-08-27 16:21:00
  • 310:

    名無しさん

    終わってないやろ
    そんな暇ちゃうやろ

    2008-08-27 19:15:00
  • 311:

    名無しさん

    あげ?

    2008-09-11 15:19:00
  • 312:

    ペットの人やないよ
    これずっと前にあったやつやから

    2008-09-11 19:54:00
  • 313:

    名無しさん

    続き読みたいなぁ?

    2008-09-13 02:52:00
  • 314:

    『てかてか!二人でなんの話よッ?俺らも混ぜてや。笑』空気を読んだのか、本当におもしろがってるのか、割って入る拓馬クンの声に、一気に"今"に引き戻された。
    ――忘れるな。いくら過去にとらわれていようと、今は"あの頃"じゃない。"あの頃のアタシじゃない"――。
    『麗香、何しようとアンタの勝手やけど…ルイはもうアンタに興味ないから。』『…へえ。』『だから何しても無駄やで?だって何とも思わんねんもん。』

    2008-09-25 05:15:00
  • 315:

    名無しさん

    書いてほしいです

    2008-10-04 16:35:00
  • 316:

    名無しさん

    気になる

    2008-10-18 02:31:00
  • 317:

    名無しさん

    あたしも続きが気になるので書いてほしいです。
    最近いろんな事があって大変で悩んでばっかりやったけどこの小説版にきて読んでると元気がでます(*^-^*)
    楽しみにしてます?

    2008-10-18 06:29:00
  • 318:

    『へえ〜!さっすが!客にヤラれても平気な顔してるだけあるなあ?笑 私、今でもアンタを選ぶ男の気が知れんわ。』
    『ちょっと!麗香ちゃん!飲みすぎ!』空気読める男No1の雪クンが、麗香の頭をポンッと叩くと、『そうっすよ!可愛い顔が台無しッすよ!笑』と。他のホスト達も慌てて麗香と、席の雰囲気を和ませる様に話し始めた。
    黙り込む愛理は少し、気まずそうで、拓馬クンはそんな愛理の隣で、薄ら笑い。……ああ、胸くそ悪い。飲みに来てんのにさ。

    2008-10-22 03:23:00
  • 319:

    『雪クンさあ?色でもルイだけはやめときやあ?笑 この子、周りを不幸にする才能あるからッ!笑』『ちょッ…麗香ちゃん!』―バタンッ!言った後トイレに向かおうと立ち上がろとした麗香がよろけて、膝をついた。『だいぶ酔ってるな…、ルイちゃん気にしやんとき?戻ろうや。』『ん。』

    戻ろう。気にしてない。酔っぱらい相手に、気にしてなんかない。

    2008-10-22 03:29:00
  • 320:




    ………"人を不幸に"………………
    誰の事ゆってんの?実好?アヤ?家族?

    2008-10-22 03:31:00
  • 321:

    ―――"今更"……。
    ――カランッ…

    『ルイちゃん?そんな一気に飲んだらアカンよ。大丈夫?』『あ〜…ごめえん♪』雪クンと二人の席に戻った時、トイレの前で倒れ込む麗香が見えた。昔からだ。あんなのはわざと。"構って"の合図だ。しょうもない女特有の…―――………
    『ごめん…今日は帰ろうかなッッ。』

    2008-10-22 03:42:00
  • 322:

    『え?…麗香ちゃんが気悪くした?』『ん〜…なあんかシラけちゃった。笑 また来るよ♪』テーブルにお金を出し、席を立つ。『待って。』雪クンに掴まれた手をふりほどくほど、『待たへん♪笑』
    ――本当は気にしてる。気になる。思い出したい、思い出したくない。思い出させる。アイツのたった一言が、一番濃い、アタシの記憶を。いつも思う。そうさせる誰かが嫌いなんじゃない。それに振り回される自分が嫌だ。そんな自分見られたくない。
    そう、だから、逃げる。…"また逃げんの?"

    『そおやってまた逃げる気?!』

    2008-10-22 03:58:00
  • 323:

    ―ドクンッッ…―!
    『……。』エレベーターの前まで追いかけてきた雪クンに振り向く。
    『…逃げてないよ?』
    『逃げてるよ。』
    『何…』『…いつまでも俺から逃げてる。俺はルイちゃんに近づきたいのに、近づけたと思ったらまた離れて逃げてく。』……――そうやで。だっていらんもん。もう誰も。一人でイイなんて陳腐な事ゆわんけど、一人じゃダメな訳じゃないしソレに――…。

    2008-10-22 04:12:00
  • 324:

    『それか、誰かと一緒にいるんが怖いの?』……エレベーターが開く。黙ったまま入るアタシ。それをただ見つめる雪クン。あと数センチでエレベーターが閉まる――。『……そうかもね。』

    下を向きその一言を呟いた瞬間、『!』閉まったハズのエレベーターが開いて、それと同時に革靴が飛び込んできた。

    2008-10-24 06:21:00
  • 325:

    『…や…っ』―トンッ―
    『…怖がらんといて。俺の事は。』
    ――……『―……ッッ…』

    ――一階につくまでが、すごく長い時間に感じた。アタシと雪クンの初めてのキス。…雪クン以外なら絶対に不快感を感じる位の長ったるくて甘ったるいキス。

    2008-10-24 06:32:00
  • 326:

    『…ごめん。』
    腰に回されてた手と、髪に触れていた手がユックリと離され、妙な開放感。一階で開くエレベーターの扉。―ガタンッ―『…。』ところが、退こうとはしない雪クンのせいで、また扉がユックリと閉まっていく。
    階数ボタンも押さないから止まったまま――。
    『…雪クン。』『…。』
    『誰か乗ってきはるよ…?』『うん。』

    2008-10-24 06:48:00
  • 327:

    『…降りる。見られたらヤバイよ。』『…うん。』雪クンは頷くと、一度軽く頬ずりする様にアタシに触れた後、すっと離れた。
    『また連絡するネ。』
    『うん。ごめん…俺』『ううん♪』

    ――ごめんね、アタシこんなんで。"素直に"――その意味さえ、よくわからないアタシで。ごめんね。

    2008-10-26 05:54:00
  • 328:


    フラッシュバック。過去と現在の間は、空白。でもその空白の中、確かに刻まれて行った時間と、微かに変化したそれぞれが、皮肉にも"今"になって蘇える。そう、"時効"なんてない。ただ遠くに、置き去りにしてたモノだから。。もしもアタシ達の出会いが糸の様なものならば、それはそう簡単には、千切れはしないのかもしれない。

    2008-10-26 06:07:00
  • 329:





    *******

    2008-10-26 06:08:00
  • 330:


    『実好、別れて?』

    ――あの日、彼は何度もアタシを引き止めてくれた。それだけで十分だった。『ルイ、幸せになれよ?お前がもお無理ってなったらいつでも戻って来い。』アタシはあの日あの別れの瞬間も、実好の事が好きだった。でも、"出会えて良かった。"喉まで出かかったその台詞を、どうしても吐き出す事が出来なかった。そして幕を閉じた。アタシの初恋。

    2008-10-26 06:25:00
  • 331:

    何故わざわざ好きな男の側を自分から離れたのか。理由は細々とたくさんあったが、噛み砕けば、「このまま幸せにはなれない。」いや、「なっちゃいけない」気が堪らなくしていたから。それが一番。
    そして"それ"を実際に別れという方法で実行させる引き金となったのが、麗香から実好への異常な程の着信。それを無視できるほど彼は冷たい人じゃなく、その事を誰よりも知っていたアタシ。
    ためらっていた"別れ"の二文字は、思っていたよりも簡単にこの口から出て行った。

    2008-10-26 06:45:00
  • 332:


    アタシが実好との家を出た後、実際のところ実好と麗香が何かあったのかは知らないが、きっと戻っただろう。"幸せになれよ。"実好がくれた最後の言葉を、逆にアタシからあげたかった。
    アタシはあれから、"もお無理"とはならずに、淡々と暮らしてたよ。"幸せ"とは言えないけど。

    でもまさか、また麗香に会うとは思わんかったな。

    2008-10-26 20:41:00
  • 333:

    ――実好、知ってる?
    今麗香、昔のアタシみたいなってるで?痩せこけて、異常な目してて、ホストで大金落としてるで?

    なあ実好。アンタが見たらなんて思うやろなあ。"アタシと一緒や"って思うんかなあ――。

    2008-10-26 20:49:00
  • 334:





    ******

    2008-10-26 20:50:00
  • 335:


    『やっほー。きてあげたで?笑』

    ――数日後、あろうことか麗香とたくまクンが二人でPIEROに来店した。もちろんたくまクンは愛理指名で、麗香はアタシを指名――。
    『まあ嫌がらんと話ききや?笑 私客やし。』―――言われなくとも。

    2008-10-26 20:56:00
  • 336:

    面白そうな顔をしたたくまクンと愛理をよそに、麗香は淡々と一人話し始める。『シュン君とはもう切れたあん?笑』『変態アキバに用はないからね。』『はっは!笑 確かにあいつの変態度はMAXやな。見た目と間逆で異常な位のドエスやしい。笑』―――…?
    『麗香、あんた…』
    『あいつ私の客やねんで?SMクラブじゃ有名なキチガイ客。ビックリしたあ?笑』

    ――……実好、知ってる?

    2008-10-27 03:45:00
  • 337:

    『まああんなトコに来る奴なんかキチガイだけやけどな。笑』『あ〜…なるほど。そんなキチガイ相手してたら自分もキチガイになっていきそやなあ♪笑』アタシの台詞にニヤニヤ笑う麗香。狂ってる。これはだいぶきてるな…。
    何しか、そうゆうからくりがあった訳か。シュン君の件は全部コイツの差し金…。頭を整理してたアタシは、次の麗香の言葉に耳を疑った――。

    2008-10-27 03:55:00
  • 338:

    『キチガイと言えばあんたの相棒やろ?笑 あれには負けるわ!正直勝てる気もしやんもんなあ。笑』
    『……は?』――"相棒"――………


    ………アヤ…?

    2008-10-27 04:00:00
  • 339:

    『どうゆう……アヤが…ッッ…』心臓がバクバクする。ヤメテ、嫌な予感が―――……

    『体中傷だらけのボッコボコ!笑 客の要望オールオッケイやしあれじゃ金で買われるんじゃなくて別の意味での飼われてるやからな。笑』

    ――――――――………何、これは。

    2008-10-27 04:07:00
  • 340:

    ――ドクン、ドクンッッ――…でも…ッッ、てゆう事はアヤは――…!

    『今…ッッもそこで『もう私んとこの店は辞めたけど死んだんちゃあう?笑』
    聞く前にサラッと笑いながらに言う麗香に鳥肌が立つ…――。
    『睨まんといてよ?マジやで?笑 マジで死んだって噂やしな。あの子の一番の鬼畜客に金で買われたんはホンマやからなあ。そいつわ女一人二人殺してるゆわれてる奴やし今頃マジで死んでんちゃう?』

    2008-10-27 04:17:00
  • 341:

    ――――………。
    『あんたそれ嘘やったら……』『こんな嘘ついてどーすんの?なあたくま君も知ってるやんなあ?私の店の看板嬢やった"アヤ"。』『あぁ〜…聞いた事あるわ。』
    『な?笑 結構業界人には有名やで?てかあんたが知らんかった事に私はビックリやわ。笑』

    笑いながら酒を自分で費やす麗香。ちょっと待てよ。そんな近くにアヤが――――………

    2008-10-27 04:24:00
  • 342:


    何で―――――…

    "ピエロみたいに笑ってたくない?"――"妹川姉!笑"―――"…ルイは英太がおるからッッ……!"何―――――。………"やっぱりアヤには雄志しか…"――"刺すでッッ………!""やっぱりルイはわかってくれるよな、"―――"……アヤも頑張ってみるわ。"―――――――――――――――――――――……何、これは。
    何よ?実好、アヤ―――――――………

    2008-10-27 04:33:00
  • 343:

    『ルイさん!お願いします。』

    ………―――。。『ちょっと……。』『行ってらあ〜♪てか別にもう戻ってこんでいいで?笑 暇潰しにきただけやけどアンタ別におもろないし。笑』

    麗香の挑発も遠くに聞こえ、ボーイの呼ぶままに席を立ち歩いた。

    2008-10-27 04:38:00
  • 344:

    ――……アヤが…。
    『ルイさん、4番に指名のお客様きてはるんで』――死…………ない。ないよ。アヤが死ぬハズない。でもたくま君も頷いてたし………てゆうか、そもそも全部が嘘………
    『ルイさん?行けますか?』 『…ん。』―――アヤ、何でそんな店で……何があったん?そんな金がいったん?何でアタシ――………アヤ……アヤ……………アヤッ…!

    『ルイさん!大丈夫ですか!?』

    2008-10-27 04:45:00
  • 345:

    『…ごめ…』『めっちゃ顔色悪いですよ!大丈夫ですか!?』……気持ち悪い――…。
    『おい!どおしてんいけるか!?』奥から飛び出してきた店長に背をさすられ更に嘔吐感が増した。
    『…ごめん店長、ちょっとだけ…トイレ行っていい?』『気持ち悪いか?いけるか?おい!つめしぼ持ってきて!』『…ごめん。』店長に引かれるままトイレに入り鍵を閉める。

    2008-10-27 04:52:00
  • 346:

    『……―ぅ゛ッッ………』うずくまり下を向く。気持ちが悪い―…。『――ゴホッッ…!!…ハァッ…ハァ…』――ジャーッッ……何度も水を流し出てくる唾を全部吐き出す。寒気がする。キメすぎた時の様な。強烈な胸悪さは、ショットを何十杯も一気に飲んだ時の様な。心臓の音が早すぎて息がうまく出来ない。

    ――タスケテ。誰か助けてよ……………本気で……――。

    2008-10-27 05:00:00
  • 347:

    "助けれるし"―――……雪クン………。"助けてって言えば…"―――たくまクン。。"もお無理ってなったら"―――…………………実好。。。



    もおマジで―――、誰でもいいからアタシを助けて……………――――。

    2008-10-27 05:05:00
  • 348:





    …―――――――――。。。。。

    2008-10-27 05:06:00
  • 349:


    『ルイッッ!大丈夫か!?』
    『…ん、ごめん。ちょっと酔ったみたい。』『酔ったってお前…今日まだそんなに…』トイレを出て、前に立っていた店長にオシボリをもらい、客席に歩こうと顔を上げた、その時―――。

    ――――バシャンッッ――……………!!!『………。』

    2008-10-27 05:10:00
  • 350:

    冷たい、濡れた感触。目の前にはグラスを片手に、仁王立ちの女――。
    『どんな私情があるか知らんけど、客にもらった酒は飲み干してから席立てよ。』『…………。』
    『愛理!』怒鳴る店長の横をさっとすり抜け、振り返り女は言う。
    『ルイちゃんが教えてくれた事やろ?笑』
    『―――……。』―――一瞬、アヤに見えた……………。

    2008-10-27 05:21:00
  • 351:

    『愛理!待て!』
    『…店長、着替えてくるから、ヘルプつけとって欲しい。』『…えッ、おう!了解。ごめんやでルイ。』

    ―――愛理の言うとおりだ。今は"仕事"。"ピエロみたいに――"出会った頃から何故かどこかアヤの面影があった愛理にぶっかけられた2回目の酒は、少しだけ、アタシの心に冷静さを取り戻させた。サンキューや……愛理。。

    2008-10-27 05:30:00
  • 352:

    その後客席につくと、麗香達の姿はすでになく、無事に仕事をこなし営業を終えた。前から険悪だったアタシと愛理に話し合いをと店長に呼ばれたけど、拒否した。今は、それどころじゃない……。

    さっきは少しだけ冷静さを取り戻したものの、仕事が終われば、やっぱりアタシの頭はアヤの事でいっぱいだった。麗香の話が、全部本当だとは限らないし…。とゆうか、そう思いたくないだけなのかもしれないけど

    ―――「真実」が知りたい――。

    2008-10-27 05:40:00
  • 353:

    名無しさん

    かいて〜?

    2008-11-13 13:35:00
  • 354:

    名無しさん

    この話めっちゃ好き
    どんだけ遅くてもいいからいつか完結してほしいです

    2008-11-13 18:38:00
  • 355:

    この更新の遅さ。
    ペットの主やろ?なんでスルーするんですか?

    2008-11-14 00:35:00
  • 356:

    名無しさん

    あげ?

    2008-11-18 23:39:00
  • 357:

    名無しさん

    忘れかけた頃に書いていつの間にか更新なくなるんかなぁー

    2008-11-19 04:36:00
  • 358:

    名無しさん

    続き待ってます☆
    頑張って下さい^^

    2008-11-19 07:51:00
  • 359:

    sage

    2008-12-10 06:30:00
  • 360:

    sage

    2008-12-10 06:34:00
  • 361:

    名無しさん

    この小説なんか好きで、何回も読んでます。
    いつか更新してくれるの待ってます(>_

    2008-12-25 17:22:00
  • 362:

    名無しさん

    2008-12-27 18:00:00
  • 363:

    名無しさん

    まだかぬぁ

    2009-03-02 15:11:00
  • 364:

    ◆CxH08QB2Cg

    2011-07-06 01:10:00
  • 365:

    ◆CxH08QB2Cg



    『さっき会ったばっかりやんか。笑 どんなけ俺の事好きやねーん?笑』

    ───向かった先は奴の事務所。もう手段なんて選んでられない。一度汚れたら何回汚れたって同じこと。失う怖さなんてないアタシ。でも、それは、彼女が、"アヤ"がいなかったらの話。アタシが何より大切で、守りたくて、守れなかった存在。──今の"ピエロのアタシ"を作り上げた、もう、なんてゆうか、アタシという存在の「全て」だから。

    2011-07-06 01:23:00
  • 366:


    今さっき、麗香の口から名前を聞いた時、ハッキリとわかった。

    ───アタシ、実好の時と同じ。アヤがいなくなったあの時から、止まってる。
    どれだけ悔やんでも時間は戻らないけれど、こんな自分に自信のカケラもないけど、生きてさえいれば嫌でも続く道の先、捨てきれない希望がある。だから多分、こんなでも生きてる、死んだようにでも、生きてる。。

    2011-07-06 01:35:00
  • 367:



    アタシの全ては、アヤ。あんたで始まったんやで。

    あれから長い年月が経って、嫌気さえ刺すほど色んな事を思い出したり、考えたりしたけど。依存でも、執着でも、いいや。───…もともとアホやし、難しく考えるの、辞めてみるな?

    2011-07-06 01:40:00
  • 368:


    『たくまクン、ルイ、アヤに会いたいねん。』

    ───迷いもなく出た言葉に、何か溜め込んでたモノが解放されていく感じがした。不思議。『…なんか、本気やな?ルイちゃんらしくないな?笑』──少し驚いたようなたくまクンの表情。でも、一番驚いてるのは誰でもないアタシ。
    『いいから、会わせてよ?なんでもするから。』 ──嫌な思いしかしてないこの無機質な空間。目の前の"エセピエロ"。でも何だろう。この清々しい…感覚。そして興奮、恐怖。すごく怖いよ、でも、ドキドキしてる…

    2011-07-06 01:50:00
  • 369:

    これおもろいけど主ほんまの人?

    2011-07-06 16:57:00
  • 370:

    『残念やけど、さっき麗香ちゃんが言ってた通りやで。俺もその娘が今どうしてるんかはわからんわ。』ソファに腰を落とし、ネクタイをほどく。『なんとかして調べれるやろ?たくまクンパワーで。』『むちゃくちゃゆうなあ。笑 てか座ったら?』デスクの前に突っ立ったままのアタシを、可笑しそうに笑う。『なんとかしてくれる?』『うーん…出来るよう頑張るかな。』──…胡散臭いなあ。
    『出来るよう、じゃなくて、して。』──ガタッ。
    『あーむっちゃ生意気。笑 首締めて犯しまくっていい?笑』デスクの前の椅子に押され、伸びてくる、汚いその手が首にあたる。
    ──ああ、アカン。
    ゾクゾクする。

    2011-07-07 02:42:00
  • 371:

    ──それ位、今のアタシ、何だって出来る。

    ──グッ…『ルイの願いを叶えてくれたらね?』その手の上から覆う、アタシの手の平。力がこもる。両方の、力。
    『だから、お前が俺を利用していいと思ってるんかって。』──ギシッ…背もたれに押し付ける自分の背。大丈夫。たくまクン。
    『なんで怒るの?楽しいやろ?ルイがこんなに必死でお願いしてるんやで?ゾクゾクするやろ?笑』──アタシ、こんな生き方やけど、常に代償は払ってきたつもり。どんなに痛く、苦しい事でも。どんなに腐った、アンタみたいな人にも。

    2011-07-07 02:55:00
  • 372:

    リスクを負う痛さは、誰よりも知ってるつもり。その代わりに、"ピエロ"みたく、いつでも笑えてきたのだから。

    『俺もおかしいけど…お前もやっぱどっかおかしいな?笑 わかった、調べたる。そんかし全部俺に話せよ、その娘はお前にとってどんな存在か、麗香とお前に何があんのか、とか、細々、全部な。』
    『…知る意味あんの?』──グィッ…首元にあった大きな手が次は髪を引っ張った。
    『知ってる方が色々ともえるやろ?笑』───…。

    2011-07-07 03:04:00
  • 373:

    ──やっぱり君のがおかしいよ、たくまクン。
    『いーよ、別に。隠すほど値打ちある話ちゃうし。』


    ──たくまクンの手が、アタシから離れた瞬間、今までの経緯を、アタシの"人生"を、経歴書みたく、淡々と話した。アヤ、実好、麗香、雄志。話しながら、自分でも整理してた。哀れで笑えた。家出、セクキャバ、キャバクラ、覚醒剤。知られたくなくて、今まで人に言わなかった訳じゃない。──口に出す事で、自分が痛みを伴うのが嫌だっただけ。いちいち痛いのが嫌だっただけだ。でも、なんかもう、そんな事はどうだっていい。

    2011-07-07 03:19:00
  • 374:

    ──何故ならば、もし、アヤが生きていて、その姿を見ることが出来て、もし、また会話を交わすことが出来たなら、

    それも、"チッポケな痛み"だと思うことができるからだ。ううん、今までのすべてだって、報われる。そう思える。

    ──実好との別れ、シュンくんとのこと、愛理や麗香とのこと、目の前のコイツとの歪んだ、まるで意味のないSEXも。空っぽで闇の中だった毎日も、この胸の傷跡でさえも──…。

    2011-07-07 03:31:00
  • 375:

    それ位、昔も、今も、出会ったあの瞬間から、このたった今まで、いや、まだ見ぬ未来でさえもきっと、アタシの[人生]は、[アヤ]、彼女が全てだ───…。

    ──アタシの初めて出来た、最後の[友達]。

    いや、きっと[家族]よりも、[家族]だったんだろうな、アタシにとっては…───。

    2011-07-07 03:45:00
  • 376:



    『とことん可哀想な子やな、お前も、その「アヤ」って奴も。笑』

    ───話し終えた後、たくまクンは最後にそう一言言った。…そうやな。心の中で相槌だけ打って、アタシはその日事務所を出た。

    2011-07-07 03:51:00
  • 377:



    ───その言葉の、本当の意味さえ知らないままに。

    とにかくアタシは、興奮してた。"絶対にアヤは生きてる。"近くにいた。根拠のない、でもみなぎるような自信と、恐怖。その衝動は今まで感じたコトがない、"初めて"の感覚で、押さえようとしても、押さえる事が出来ず、"生きてる実感"さえ、感じた。そして蘇る、いつかの、実好の言葉。───"絶対また会えるから"。

    2011-07-07 10:37:00
  • 378:


    *********


    ───ピピピピピッ──…『ん…。』

    2011-07-07 10:42:00
  • 379:


    聞き慣れたショボイ目覚まし音。昔、アヤと暮らしていた頃は、目覚ましなんかかけたコトはなく、「起きるでえ!」低血圧のアタシは、いつもアヤのその声で目を覚ましていた。
    『…今日は夢、みやんかったな。』

    ──アヤが覚醒剤にハマるまでは。

    2011-07-07 10:49:00
  • 380:

    「アヤの前から消えてや!早く!」
    ───最後のあの日、投げつけられた荷物。赤い紙袋。あの日アタシはアヤにプレゼントを買って帰った。それも、赤い紙袋。実好と共に、あの部屋に戻った時、生々しい、あの状態のままだった部屋に、ひとつだけあった変化。
    アタシの赤い紙袋は確かになくなっていて、アヤが投げつけた方だけが無造作に転がっていた。
    『プレゼント、これて…。笑』
    ───その中身が、この目覚まし時計。センスのカケラも何もない、ショボイ音しか鳴らない普通の小さい目覚まし時計。

    2011-07-07 11:07:00
  • 381:

    それを手に取り。『…何回見てもセンスない。笑』そっと撫でる。次に煙草を。この動作、何回繰り返した?こんな小さな音で起きれるハズのないアタシが、起きれる様になったのは、あれから夢ばかり見る様になり眠りが浅くなったから。皮肉。今じゃ必需品。

    ───ザァーッ…窓から外を見る。あいにくの大雨。でも、この雨が上がると、きっと梅雨明け。『…夏がくるなあ。』そう、また季節が巡る───。

    2011-07-07 11:16:00
  • 382:

    名無しさん

    みてます?

    2011-07-07 19:53:00
  • 383:

    ──カチカチカチッ…
    さすがにまだやんなあ。携帯のメールをチェックしてすぐに閉じる。気が焦り過ぎだ。シャワー浴びよう、今日も仕事だ。たくまクンからの連絡を待てばいい。必ずくる。あそこまでアタシに執着するなら、他人事なら尚更、こんなに楽しい話はない。
    「人の不幸は蜜の味」よく言ったもんだ。

    『おはようございまーす』──さあ、今日も"現実"がハジマル。

    2011-07-08 04:03:00
  • 384:

    『ルイ、おはよ!』『ん〜』アタシを見てはホッとした様な表情を見せる店長を横切ろうとした時、そばで携帯を触る愛理の視線を感じた。大丈夫、ヤってないよ。まだ、ね──。
    あんな奴の愛理はどこがいいんやろう?『…やめよ。』…そうだ。アヤだってそうだった。きっと、人を好きになるのに理由はないよね。本能やんね。何がどうだから「好き」な訳じゃない。アヤは間違ってた訳じゃない。だから、愛理、君が間違ってる訳でもないんやね。もったいないとは、思うけどさ。

    2011-07-08 04:11:00
  • 385:

    ───『…電話でもしよっかな。』待機中も、なんだかソワソワしてしまうもんだから、久々に真面目に客電でもしようかと携帯を開いたその時。───♪♪♪
    ちょうどメールを受信した。「from 雪クン こないだのお詫びに今から行くね。」───…カチカチカチ…
    「そんなんいいのに(@_@)ひとり?」──♪♪♪──「うん、俺だけ」「了解☆」
    ──忘れてた…雪クンのこと。てゆうかお詫びって…詫びなきゃいけないのはアタシの方やのに。携帯を閉じ、唇に指をあて、思い返す、こないだの雪クンとの別れ際。キス、したな──…

    2011-07-08 04:27:00
  • 386:

    名無しさん

    しおり

    2011-07-09 11:26:00
  • 387:

    『いらっしゃいませ-!』

    白いシャツにスラッと伸びた手足。透明感のある肌。雪クンやあ…『おはよう』『おはよッ♪』たった何日か振りのはず。でもなんやろ、この毎回、感じる新鮮なオーラ。『好きなの飲んでね?』こないだの事なんてなかったみたいな柔らかい笑顔。眩しい位。笑 接客中の女の子さえこっちを、いや、雪クンを見ていた。
    ───アタシ、この人とキスしたんやあ…。綺麗すぎて、柔らかすぎて、罪悪感さえ感じるくらいだ。

    2011-07-10 02:04:00
  • 388:

    『今日ひまそうやね。』『んー、暇めッ。笑 雪クンとこは?』『んー、俺んとこも暇め。笑』乾杯の後、当たり障りのない会話を交わしながら、思う。アタシの中で、ピエロを装うと決めたあの日から今日までで、唯一の良い出会いはこの人だな、と。この感情の名前もわからないけど、なんやろ、すごく、癒される。
    ──カランッ…グラスにお酒をつぎたそうとマドラーを持った手に、雪クンが触れる。
    『こないだはごめんね?』──…。『ううん♪』それだけ言って作業を再開。
    いやいや、逆にごめんやしッ。そうも言えず、ひたすら笑顔。…なんか、イマイチ受け答えの仕方がわからないゾ。。どうした、アタシ?

    2011-07-10 02:14:00
  • 389:

    名無しさん

    しおり

    2011-07-11 16:16:00
  • 390:

    むっちゃおもろいです。完結まで応援してます。

    2011-07-14 08:17:00
  • 391:

    『キスしたこと怒ってない?』──…『まさか。逆になんか、申し訳ないような…笑』『何それ?どうゆう事?』『ううん♪笑 ハイッ!』─カランッ─グラスを渡して乾杯した。どうゆう事?うーん…アタシにもわからない。『雪クンこそ怒ってない?』だから、カウンターしてみる。笑 『俺?なんで?』『こんなにめんどくさいのを相手してくれてるから、イライラするかな、と。笑』
    ──我ながら、イライラする位やし、さ。

    2011-07-18 23:56:00
  • 392:

    『怒ってるし、めんどくさいよ?』『…おぉ〜ッ!笑』やっぱり?笑 ──…でも正直ビックリ。雪クン、そんなん言う…
    『でも、それでも気になるから、こうやって会いにきてるよ。すごい気になる。』
    ─────……。一瞬止まるアタシの手と、時間。いや、止まったように感じるだけ。数コンマの世界。
    時の流れって不思議。誰といるかで、速さが変わる。これもまた、気がするだけだけど。

    2011-07-19 00:02:00
  • 393:

    『…ルイの何が気になる?笑』『うーん…すごい不器用やから、かな?』──不器用?『助けてあげたくなる?♪笑』こうしてチャラけて笑うしか出来ないから?マトモな話も出来ないから?『笑。…俺ね、実はすっごいめんどくさがりやの。』──?『そうなの?意外、すごいマメやと思うけどッ。』『ううん、全然。』──グラスに口をつけ下を向く。その時に一緒に下を向く睫毛、唇、すごく綺麗。
    何を話すの?想ってるの?

    あぁ、アタシもすごく、"気になる"んやと、思う──…。

    2011-07-19 00:12:00
  • 394:

    『俺ね、見た目ですごい勘違いされるけど、実は全然優しくないし、とにかくめんどくさがりやねん。笑』

    ──1mm単位で、開いていくココロ。少しずつ、意識せず、どんなに汚くて歪んでても別に構わないのに。肝心なところはは開くコトが出来ない、ココロ。そんなものだ。でも隠されると余計に気になる。人間って面倒くさい。ココロの底から、面倒くさい。

    ──そう、思う。

    2011-07-19 00:21:00
  • 395:

    『そんなに白くて綺麗やのに?笑』笑うアタシを見て、もっと可笑しそうに笑う。『見た目だけやで?笑 俺、他人に基本興味ないもん。ないってゆうか…めんどくさいんよ、とにかく。笑』『意外だなあ〜…笑』

    ──嘘。意外でもないよ。雪クンもピエロなのは、薄々、わかってたコト。でもアタシ、ありのままを、見てみたいって、初めて今、思ってる。アタシもすごく、めんどくさがりやけどね。

    2011-07-19 00:29:00
  • 396:

    『昔、ちょっと悪さして、捕まってた時期あってん。1年半くらいかな?』『へー…何したの?』『若気の至り。ルイちゃんと似た様な感じかな?笑』2人、目を合わせてニコーッて笑う。
    『あ、飲みながら聞いてね?そんなに面白い話じゃないから。笑』首を横に振りながら、グラスに口をつける。話して、はやく。すごく気になるから。こんな気持ち、初めてやから。
    ──スッ…『なぁに?♪笑』伸びてきた白くて大きな手が、アタシの手に覆い被さる。『こうしてていい?たまには、いいでしょ?笑』握るとも言わない強さで…。アタシのドレスの下だから、きっと誰にも見えないし…。『あったかいから、いいよ♪笑』何よりすごく、心地いいから。全然、いいよ。

    2011-07-19 00:44:00
  • 397:

    『俺、出てきてすぐに今の店入ってん。たくまクンが、先輩の友達で。何でも良かってん。生活できるお金さえ稼げれば。俺には何もなかったから、何でも良かってん。』──…アタシと同じや。『そしたら意外に稼げるもんやから、笑』『雪クンのその笑顔に女子はみんな騙されて?笑』『うん。笑こら、違うよ!笑 俺は誰も騙さへんよ。そうゆうのが面倒やから。嘘もなるべくならつかんし、色恋もしやん。思ったこと言うしね。でも、言わん方がいいことは、ゆわん。面倒やから。笑』『そんなに〜?笑』『うん、そんなに。笑 多分ルイちゃんの10倍くらい、俺のが面倒くさがりよ。笑』

    2011-07-19 00:56:00
  • 398:

    何が雪クンをそうさせたの?

    人のココロは、そう簡単には開けない。例えその人自身が開きたくても、その闇が深ければ深いほど。上手に、綺麗に笑える人ほど。

    『俺、あんまり欲がないの。自分で言うけど、欲しいものは大体何でも手に入れてきたし、年の割には金もあるし、これからも手に入れれる自信もある。地位はないけど、築いてきたものがそれなりにはあるし、安定もしてる。もちろん先の不安がない訳じゃないけどね。今が楽しいと言えば楽しい。でも満足はしてない。てゆうより、満たされへんのやろね。』

    2011-07-19 01:10:00
  • 399:

    落ち着いたトーンで淡々と。でも所々、"力強さ"を感じさせる雪クンの話し方。アタシと決定的に違うのは"ココ"だ。───「助けれるし。」いつか感じた違和感は、"コレ"だ。アタシになくてこの人にあるもの。"自信"。
    同じように笑って、同じような生き方してるのに。アタシには"ソレ"がない。

    『雪クンは…彼女では満たされへん人?笑』──きっとだから、こんなフザけた話し方しか出来ない。から、いつまでも半人前ピエロ。
    ──どうやって"ソレ"手に入れるの?"本物"に近づくの?

    2011-07-19 02:12:00
  • 400:

    『ん?そうなんかな?』『好きな子できひんとか?』『そんな事ないよ。人並みに恋愛してるよ、俺も男やし。笑 また自分でいうけど、こんな顔してるから女の子も寄ってきてくれるし、好きになってくれる娘もいてる。俺もそういう娘を好きになることもあるし、そしたら一緒におるよ。楽しいし、癒される。可愛いなとか、守ってあげたいと思う。誤解されたら嫌やから言うけど、普通にエッチもするし健全やで。笑 こないだは状況が状況やったからしやんかったけどね。笑 でもなくても平気かな。ずっと一人な時もあったし。』───。。"ずっと一人"…。。
    『ん?』ジーッと雪クンを見る。『…今日、おしゃべり。笑』いつもと違う、雪クン。

    2011-07-19 02:24:00
  • 401:

    『こんな俺は嫌?笑』ウウン。『良い♪笑 続けて?』『…ルイちゃんに、今心を開いてみてるの、わかる?先に俺がこうしないと、ルイちゃん開いてくれへんやろ?笑』…クスッ。『リードしてくれてる訳やッ?笑』
    『男の子やからね。笑』
    ──程よい感じにまわるお酒。アカン、雰囲気にのまれそう、酔いそう…。。
    『それに、これ位、噛み砕いていかないと、きっと踏み出されへん娘やから、ルイちゃんは♪笑』重ねた手に力がこもる。今…、初めて"握った"ね。。
    『ヒドイね、ルイすんごいビビリみたいな言い方やんか?笑』

    2011-07-19 02:35:00
  • 402:

    『違うの?笑』微笑む雪クンがホントーに大人で、思わず目を反らしてしまう。──違くないよ…。お見通しやった?ズット。なら、だいぶアタシ、恥ずかしいし、雪クンから見たら、ちっちゃい子供やったね。
    『大丈夫、俺も怖いよ?』恥ずかしくてグラスに口をつけたままだったアタシの手を掴み、グラスごとテーブルに置く。
    『でもね、俺、自分から興味を持てたものには一生懸命になれる。だから今、結構頑張ってるよ?』

    ──ア。今…両手とも、触れてる。

    2011-07-19 02:46:00
  • 403:

    『…そんなん言って、ルイが雪クンに本気になったらどうしてくれんの〜?笑』あ〜…笑わないと話せない。何だ、コレは。胸の奥の方。『どうして欲しい?俺は、そうやなあ…ルイちゃんほったらかすと危なっかしいし、他とヤるし、もう面倒やから、どっか俺だけ見えるとこ閉じ込めとくかな。笑』──…くすぐったいやんかあ!(TT)
    『軟禁?笑』『されたい?笑』『バカー!笑』

    ──これが色恋でも、ハマッてしまいそう。。

    2011-07-19 02:57:00
  • 404:

    『雪クンて、ズルイ人やね。』『ルイちゃんに言われたくない。笑』──そう言ってグッと両手を繋ぐ雪クン。みんな、見てるのに。店やのに。君、ホストやのに。

    ──ホントにズルイ人。こんなに真っ直ぐに、強く、優しく、何度も歩み寄られたら、こんなにもあったかいモンなんやね。例えこれが嘘でもね。そうしないとアタシが雪クンに、人に、近づけないことを知ってる。アタシを、理解ってくれてたんやね…。理解った上で、SEX拒否ってみたり、キスしてみたり。そんな駆け引き、マジでズルすぎる。そして大人すぎる…。

    『ルイ、雪クン好きやけど嫌い。笑』

    2011-07-19 03:12:00
  • 405:

    『ルイちゃん、教えてあげる。それってね、「すっごい好き」って事やと思うよ。笑』『もうー!笑 ホンマに嫌いー!笑』
    ──人と近づく事が、こんなにも嬉しくてあったかい事だなんて。きっとアタシは知ってたハズ。知ってて拒んできたのにな。

    『俺に見透かされるのが嫌?笑』『んー…嫌。恥ずかしいから。笑』必死にピエロをやってきて、成りきれないのに、必死だったから。

    2011-07-19 03:20:00
  • 406:

    『雪クン、大人すぎて嫌。笑』片方の手が離れたから、すぐ様グラスを持つ。危ない、仮面がヨユーで外される。笑
    『可愛いね、子供みたいで。笑 でも知ってた?子供の方が強いんやで。俺はルイちゃんのその強さが好き。憧れるよ。』『…嘘ばっかり。笑』
    ──グィッ
    『俺、ズルイかもしらんけど嘘はつかへんよ。』『…ンッ』───2回目のキス。アタシを壁に寄せて"一応"見えない様に。でもきっと視線感じてたし、誰か見てる。怪しさ満開。バレバレ。

    2011-07-19 03:34:00
  • 407:

    グラスを持ったままのアタシの左手。─グッ─…それを雪クンの胸に押し付ける。『…わざと?また店で噂されるやんかー笑』『それでまたいじめられる?笑』…──ぜーんぶ、お見通しやった訳やね。。
    『ハハッ♪わかってるのにする?笑』もう、笑えるよ。『今度は俺が守るから大丈夫。次、何飲むの?』───……。グラスを取り上げ終始笑顔。それはもう反則…。

    『はい、乾杯。』──カランッ──アタシ、こんなんしてる場合じゃないのにさ。酒と雰囲気と雪クンに、完全に酔ってしまってる。雪クン、君にならいつか、アヤのこと、話せるかなあ?

    2011-07-19 03:49:00
  • 408:

    いつか、会わせてあげる事できるかな…。アヤ、生きてるよな?元気やんな?

    『…なあにッ?』
    『ん?ルイちゃんが今何考えてるんかなーって考えてる。』
    ───…雪クンはなんで、アタシに興味を持ったのかな。この人は、こんなアタシのことを知りたいと思うんかな?

    2011-07-19 03:56:00
  • 409:

    『それと…』『ん?』
    考えを遮断して雪クンの方を見ると、腕組みしながらアタシの顔をジーッと見てる。
    『ウーロンハイ2杯でちょっと顔赤くなってるルイちゃん、可愛いなーと思って観察してる♪笑』………。
    『…雪クン、実はドSやろォ?笑』『人聞き悪いよ。笑 気になるといじめたくなるだけ。気にしたら持たへんよ。笑』
    ──ポンッと頭を撫でられる。雪クン、ありがとう。まだ、アタシを理解ってくれる人がいてた。嘘でもいい。それだけでアタシまだピエロ出来る。まだアタシ、やらなアカンことがある。

    2011-07-19 04:05:00
  • 410:

    ──目的は、遂行させる。アタシ、馬鹿やから、手段を選ばへんし、選んでられへんねん。それ位、大切な事やから。…それでもし、傷つけたらゴメンね。「不器用」──確かにそうかも。
    アタシ、二つ同時にってすごく苦手。一つしか守れない。それで実際、失敗してるし。2人を求めて、結果、両方、失ってる。
    何か得るには何か失う。痛い位知ってる、当たり前のサイクル。世間の皆、いや、大半が出来てることも、出来なかったりする。それがアタシ。だから周りを傷つけてきた。数少ない大切なもの守れなかった。

    2011-07-19 04:18:00
  • 411:

    守る勇気、いや、"自信"がアタシにはない。実好や雪クンにある"ソレ"がアタシにはない。だから怖い。誰かと一緒にいることが。陳腐で自分勝手な弱音をひとつだけ吐くとしたら、「もうあんな想い、二度としたくない」──…。

    何かを守る為に犠牲になる何か。自分ならまだマシな方だと思う。人は人を傷つける時、自分も傷つく。痛みを伴う。そしてその方が痛いのがずっと残ったりする。

    ───雪クン。アタシ、先に言っておいた方がいい?さっき、「俺が守る」と言ってくれたけど、きっとアタシは守れない。せっかく、やっと出会えた、色んなことを感じさせてくれる人やのに、きっとアタシは守れない。そう思ってしまう。

    2011-07-19 04:29:00
  • 412:

    ──アタシ、求める事を辞めた時、決めた事がもうひとつ、ある。絶対に「欲張らないこと」。仕事、生活、人以外の色んなすべての面で。人間は欲深い生き物。でもこの世界でこの国で、それは仕方ない事だとも思う。でもアタシは流されない。大切なものたくさん抱えて、守り切れる力と自信。それがない人間に、多くを求める資格はないし、そもそも、守れなかった時、痛みは倍増。自分以外の大切なものも、傷つく。大切にしてればしてるほど。アタシは多分異常なくらいマイルールに縛られてるけど、犠牲が自分だけなら、マシかなって思うし、今更生き方変えれない。でも。

    2011-07-19 04:40:00
  • 413:

    『雪クン、ちょっと携帯みてもいい?』『全然、気にせんとどうぞ。』

    ──着信ナシ、メールナシ…

    『大丈夫?』『うん、大丈夫♪』───アヤともう一度会えたら、話せたら、何か…変わるかもしれない。いや、絶対に変われるんよ、アタシ。変わりたいねん…そろそろ。。

    2011-07-19 04:44:00
  • 414:

    やのに、また、欲張ってるのか…──
    『雪クン、お店戻らんくていいの?』『いいよ、気にせんくて。今日オフみたいなもんやから。最後までいてていい?』『お金、もったいない。笑』
    ───もう少しだけ。。。『俺、必要ないものには一切金使わんけど、必要なものには惜しみないよ。笑
    今日、連れて帰ってもいい?』───…もう、少し。一緒にいたい。
    『てゆうか、連れて帰る、逃げられる前に。決定。笑』『…ずるーい。笑』

    2011-07-19 04:52:00
  • 415:

    ──一番ズルイのは、アタシだ。この人はきっと、アタシが一番楽なように、自分に言い訳できるように、仕向けて、言葉を選んでくれてる。フェミニストもいいとこだな…

    あぁでも…──────。『一緒におりたい。』

    アタシの方が多分、おりたいよ───…。

    2011-07-19 04:56:00
  • 416:




    ───

    『すっごい注目浴びてたね、ルイちゃん♪笑』

    2011-07-19 05:10:00
  • 417:

    『あたり前ー!ホストとそのまま帰るんやから!笑 あ〜ルイも愛理と変わらんねやろなあ…笑』─ポスッ…

    ──2回目に来た雪クンのマンション。相変わらず、少しだけ散らかったカップを片しながら、雪クンがアタシをソファーに座らせた。来てしまった…。『人の目なんか気にせえへん娘やろ?笑』『…ホンマに雪クン性格わるーい!笑』

    明らかに前と違うのは、雪クンのキャラぐらい。笑 こんな人なんやな…。店にいてる時からいじっていじっていじり倒されてる。

    2011-07-19 05:19:00
  • 418:

    アタシのキャラも崩壊するやんか。。
    『もうガヤはいいから、これ飲み。笑ちょっと酔ってるやろ?』差し出された水を一気のみ。『…ありがとー』でも相変わらず、優しい。きっと根が優しい…優しくしてくれるかなー…?……あ〜アカン。
    『ルイ酔ってるわぁ〜ッ』『知ってるよ。笑 今日、酔うの早かったもんね。ちゃんとご飯食べてきたの?』───…子供か、アタシ。笑

    2011-07-19 05:25:00
  • 419:

    『子供扱いすんなあ〜!笑』『笑 じゃあ大人なとこ見せてくれる?』
    ──ギシッ…隣に座る雪クン。薄暗い照明に、ベランダから覗く夜景。こないだあそこで話したね…。──…こないだよりずっとドキドキしてる。
    『…前みたいのがいい?』雪クンのズボンに伸ばそうとした手を掴まれ、ソファーに押し付けられる。──グイッ──
    『あんなんは全然あかん。』『勃ってた癖に〜?笑』『うるさい娘やな。笑 はい。』──チュッ…──あ、三回目。。雪クン、雪クン。雪クーン。アタシ、もうあかん。

    2011-07-19 05:38:00
  • 420:

    ──チュッ、チュパッ『…ン。んッ…』──グッ…『ほら、舌出して?』『…ン。』『もっと。』『…ん〜!笑』『もう。笑 大人なんじゃないの?』──…
    唇が少しだけ、離れる。チュウってこんな気持ち良かったっけ──?
    ──ギュッ…『─ん…ッ!』左胸に伸びる大きな手。力が少しこもってて、ちょっとだけ、痛い。
    『ほら、早く。舌出してちゃんとキスして?』『…ン、待っ、ちょっと痛…』『痛いの?じゃあもっと痛くするよ、だから早く。』──ギュウッ…『ん…ッァ!や…ッ。わかっ…たから…。』
    ───チュッ…レロ…ッ。舌を精一杯出してキスをせがむ。"アタシから"。

    2011-07-19 05:57:00
  • 421:

    頭、ぐるぐる。熱いし、息も荒いし。お酒の匂いもする。あと、雪クンの香水の匂いも、少し。『─ッハァ…ん、ん。雪クン…ッ?』『ん?』『ベッド、…いかんの?』『いきたいの?』──トサッ…──言いながらアタシの体をゆっくりソファに押し倒す雪クン。聞いてる癖に、アタシの話、聞いてない。
    『…聞いてんのぉッ?』
    『俺が聞いてる。行きたいの?』───プチッ…言いながら外されるシャツのボタン。まさぐる手。『アッ…ぅッ…ぁ…ッ!』アタシの話は無視?

    2011-07-19 06:12:00
  • 422:

    『…こら、聞いてる?』
    『んんッ…!』言いながら口に入れてくる長い指。結構奥まで。苦しい位。そっちが聞いてる?…聞く気あるッ?『…ちゃんと反応して、俺の聞いたことには答えて。自分のこの口で伝えるんやで?わかる?』
    雪クンの指でかき回される口の中。苦しいのに…!
    『──んッ…ふ…ッ、んぅッ!…く…るし─…ッア!』更に耳の中をくすぐる反対の指。
    『苦しくっても答えて。出来るやろ?これからは言わないと俺にはわからんからね?わかった?』

    2011-07-19 06:26:00
  • 423:

    「助けれるし」───いつかの雪クンの言葉が浮かぶ。もしかして待ってたの?アタシが雪クンに頼るの。すべて話して頼ることを。
    『…ほら、わかったら答えて。ベッドいきたいの?それとも我慢できひんからこのままここでしたいの?どっち?』自分の上に馬乗りになる雪クンの顔を思いきってみてみる。あぁ笑ってないね…真剣に言ってるん?ホンマに優しいんやな…。
    『…ここでしたいッ…』
    『我慢できひんから?』『…んッ…。。』
    抜かれる指。アタシの唾液がついたままのその指が、今度はシャツの中に移動する。

    2011-07-19 06:39:00
  • 424:

    ブラジャーの上からその指を押し付ける。──クニッ…
    『ンンッ…』『よく言えたね。次、これ、とる?下着。…このままいぢる?どっちがいい?』薄目をあけて雪クンを見る。あ…今度は笑ってる。暗いけどわかる。酔いでまわる頭の中で、必死に雪クンの表情を見つける。『…そんなんわざわざ聞かんといて…ッ!』『…怒ってるの?可愛いね。笑 でもあかんよ、今日は全部答えてもらう。』──グニッ!『ぅッ…アッ!…ぁッんン…』『このままでも充分気持ち良さそうな顔してる。』
    『…も──ッ…変態ッ!』
    『どっちが?笑…こっちなんか触ってもないのに起ってるやんか。そんなに興奮してるの?』
    ──反対の胸に直に触れる雪クンの指。ひとつ言えば3つ位返ってくる雪クンの口。どっちも、すごい厄介…。

    2011-07-19 06:55:00
  • 425:

    いつ離れるか、傷つけるかもワカラナイ、だから、今──…
    『…後ろ、向いて。』アタシが動く前に、体を反転させる、雪クンの腕。細い、白い、なのに力強い。
    ─プチッ…『…ぁッ。』ブラジャー、はずされた。──チュッ…『ん…ゃ。』ソファに頬をつけ、目を瞑り、雪クンを感じる。首筋、肩、背中、腰、一体どこまで丁寧に、全部にキスすんの──…
    『…嫌ッ…。』『なにが?』『…雪クンの顔、みえへん。』『…見えるよ。』
    そう言ってアタシの顎を持ち顔を近づける。あぁ…これもこれで、恥ずかしいけど…。

    2011-07-20 02:51:00
  • 426:

    『雪クンッ…』『ん?』
    『チュウ…したい。』
    ──ドサッ…また仰向けにされる体。『言えるようになってきたね。良いよ。』
    ──チュッ…チュパ…レロレロッ──『…ん、ンッ…!ゅ…ん、雪クン…ッ、雪クン…』雪クン、アタシ、今まで自分なりになんとか生きてきたよ──…。。『…ァ、雪クン…。』彼の手を取り、自分の胸に、素肌に押し当てる。『…「触って」は?』──人にすがる事なく、生きてきた。たまに、逃げる事は、しょっちゅうやったけどね?
    『…雪クン…触って、もっと…ッ、ルイのこと見て、触れて欲しい…』──…今は、今だけは、求めてるよ。逃げてないよ、アタシ──…

    2011-07-20 03:07:00
  • 427:

    『…いいよ、そうゆうルイちゃんずっと見たかった。今まで誰にも見せんかったんやろ?…やとしたら、よけい、壊してみたい位可愛い。』──…雪クンはなんで、そんなにもアタシの事わかるの?それかこれ、「ホストの当てずっぽ」?
    ─クチュッ─…『ン…ァッ!雪く─ッ…』『ルイちゃん、SEXは頭使ってしたらアカンよ。…ルイちゃんの苦手分野やろうけど、無になって。今だけはすべて忘れて。』下着越しから往復する指から立つ自身の音に、言われずとも、何も考えれなくなりそうだけど…。
    『…むずかしいな…ッ、ん、ン─…ッ。』言われた通り、昔から、頭の中をカラッポにするのは、超、苦手──。

    2011-07-22 11:18:00
  • 428:

    『…じゃあとにかく、今は俺の事だけ考えて。』
    ──クチュ、グチュッ─…
    『…ァッ…!』薄暗い部屋にただただ響く、生々しく大きくなる愛液の音と、自分の吐息。『克服していくよ、ね?』『…出来るかなッ…。』『出来る、じゃなくてするの。…俺がさせてあげるよ。』細めた目に映る雪クンの頬は、少し、赤く、少し、瞳は潤んでるようで、初めて見る表情。あぁ、ヤバイ。
    "雪クンの事だけ──"。
    『…ッじゃあ雪クン、ルイにも触らせて…。』触れて、触れられて、たかだかSEXで、「無」になれるなら──…。

    2011-07-22 11:34:00
  • 429:

    ───教えて欲しい。

    『いいよ、ほら。』組敷かれたまま、誘導されて、大きくなったそこに、触れる。『…ぁ…熱い。』『…そりゃね。笑 …ンッ。』強弱を入れて掴んだり、擦ったりするアタシの指に、雪クンの吐息が漏れる。──カリッ…『…──ッッ…!』軽く、爪で引っ掻くと、少し、苦しそうに眉を動かす。……綺麗。あまりにその表情が綺麗で、ゾクゾクする──。
    『…可愛い、雪クン。笑 すごいおっきいね。』『…そう?』──グチュッ…!『アァッ!…ァッ、アッ──や…ッ!いッ…』『ルイちゃんのが可愛いよ。…俺にこうやって、無茶されて、やっと素直になるとことか。笑』笑いながら、下着の上から、これでもかという位、無理矢理、差し込む長い指。濡れすぎてるせいか、本来痛くて、突き進めないとこまで、布ごと巻き込んで、入っていく。

    2011-07-22 12:00:00
  • 430:

    『あッ…!ンァッ…やッ!無理──ッ…雪く、それ以上…ッんぅ…ッ!』少しだけ痛くて、…もどかしくて、雪クンのを掴む手の力も、強くなる。『ッ…つづき、しようか。さぁどうする?…このまま、もっといけるとこまで突っ込んでみようか?』──グッ──!『…んんッ!ン…ふ…ッア!アァッ…ゃ!い、や──…!も、無…』
    『言ってよ。して欲しいこと。…何でもしてあげるよ。』──嘘つき。"面倒くさがり"なんていっときながら、こんな回りくどくい方法で何度もアタシに"求めさせる"なんて──。
    すごくズルイけど、本当に優しい人。

    2011-07-23 02:57:00
  • 431:

    ──「克服」。「無になる」。か──。じゃあアタシも本当に、「没頭」しちゃっていいかな?初体験やな──…

    『…じゃあ、雪クンの、ルイの口にちょうだい…ッ?』『どっちの?』もう…。笑『…こっち。』自分の唇を人差し指で差してみせる。『…欲しい?』『ウン、…欲しい。』
    ──ギッ…ソファの軋む音と同時に、雪クンが上に移動した。アタシの肩を跨いで、ベルトを外し、ズボンを少し、下ろす。少しだけ圧迫感があるけど、全体重がかかってはないから、苦ではない…けど。。

    2011-07-23 03:10:00
  • 432:

    『…ちょ。雪クン!』
    『ん?なに?』『…何じゃないよ、嫌!雪クンが下!』『…なんで嫌?』…恥ずかしすぎるに決まってる!
    真上から舐めてるとこ見下ろされるなんて。
    『…逆になんでよッ!笑』『よく見たいから。…と、ルイちゃんの頭ん中がまだゴチャゴチャしてそうやから、もうちょっと無にしてあげようかな、って。』──…『…恥ずかしさで?』
    『恥ずかしいの?笑』──…もう!『あーもう…笑。面倒くさくなってきたから、はい。』言いながら自分のモノを取り出す雪クン。アタシの頬にそれがあたる──…あぁ、羞恥で死んでまいそ。

    2011-07-23 03:27:00
  • 433:

    『欲しいんでしょー。笑』『…んぅ゛ッ─…!』
    半ば無理矢理、口の中に押し込まれ、両膝に顔をはさまれ、固定され、手も動かせず、しっかりと見下ろされる。…何よ、これ。
    ─ピチャッ、ビチャ…グチュ…─否応なしに、されるがままだけど、こうなれば、もう抵抗はやめ、行為を始めるしかない。精一杯に、舌を動かし、喉を絞めて、唾液を集めて、吸い上げて。
    『…あぁ。いいよ、上手…気持ちいい。』…掠れた声を出し、アタシの頬を撫でる雪クンが、今どんな表情をしてるのか。見たい…でも、見れない。。目が合ったら、恥ずかしさできっと死ぬ。でも気になる。だから目は閉じず、伏し目がちに。

    2011-07-23 03:42:00
  • 434:

    『目あけて、ほら。俺の方見てよ。』…きた。絶対に言うと思った。──ピチャ…『…ンッ…』絶対見れない。だから舌をいっぱい動かす。雪クンが余計なこと喋れないように。めいっぱい。
    あ-、すごい大きくなってくる………これ、「集中」できてんじゃないかな?
    アタシ。

    2011-07-27 02:17:00
  • 435:

    『…いい感じ。可愛いね、ほんまに。』

    ──ギシッ…。一言言ったと同時に、ソファから降り、目を伏せてるアタシのおでこに軽くキスする。『恥ずかしい?』『ん〜…。』まだ目は伏せたまんま。アタシ、結構乙女やなー…。
    『ルイちゃん、恥ずかしさを越えたら、もっと気持ちよくなれるよ。精神的にもね。それに…』
    立ち上がり、服を整え、差し出さす、白くて細い大きな手──。

    2011-07-27 02:25:00
  • 436:

    『今以上に、たぶん俺の近くにきてくれるから。』───?そこへ委ねる、少し小さいアタシの手。

    『おいで。…ほんまに気持ち良いSEX、教えてあげる。』──……黙ったまま、連れられるがまま、寝室に入り、誘導されるがまま、ベッドに横たわった。窓から漏れる、明かりだけの部屋。お互いの顔も、ぼんやりとしか見えない位の。

    『…ねえねえ、ルイは、ちゃんとしたSEXをしらんてこと?笑』首筋にキスされながら、聞いてみる。

    2011-07-27 02:34:00
  • 437:

    ─チュッ、ピチャ─…『ん…ッ。』『…多分ね。』ギュッと握る雪クンの手と、降りてくる舌。体温が伝わる。あたたかい。
    『…何でッ?』なんでそう、思うの?──『だって。』──スル──…ぁ。
    『俺はその方が嬉しいし、』──ピチャピチャ──『…ぁッ…。』くる──?
    『…聞きたくない事、俺はわざわざきかんけど、そうじゃなかったら、訳のわからん奴とヤったりしやんハズやからね。』
    ──…あぁ。

    2011-07-27 02:46:00
  • 438:

    …たくまクン…&シュン君…ね。2人の顔が頭に浮かぶ。
    『…思い出すなよ。』
    アタシのパンツを足首までおろして、蜜が溢れ出すそこに、指を入れながら。少し強めの口調で雪クンが言う。
    『──…んッ!』アタシ、このたまに見せる雪クンのこの力強い感じ、すごい好きカモ。『…すっごいね。笑』『ぅ…ンアッ、アッ…!』少しずつ侵入させながら、すぐにまた戻る。いつもの優しい口調に、表情に──。
    "ピエロ…。"やっと訪れた圧迫感。それに思考回路をやられながらも、ふと、その言葉が頭に浮かんだ。

    2011-07-27 02:57:00
  • 439:

    なんでなんやろうね。
    『ん、ンッ…!ぁ、アッ…。』『…2本目。グチュグチュやな。笑』奥まで入った指が角度を変えクイクイと、曲がる。『まあとにかく…、覚えておき。ルイちゃんの事やから、何かの為にする、したくないSEXでも、減るもんじゃないし、アタシは平気(-_-)!、とか思ってるんやろうけど…。笑』……クチュ!『アッ、ゃ!…ゆ…ッ!』──雪クン、当り。そう言いたかったけど、中でうごめく指が言わせてくれず。
    『減るよ。大事なもの欠けていくよ。』
    ──"大事なもの"?
    『…ルイちゃんはもっと自分を大切にした方がいい。』──"自分"を"大切"に?よく聞くけど、それは何故?

    2011-07-27 03:13:00
  • 440:

    『…"自己犠牲"なんて所詮は綺麗事でしかないよ。自分を大事にできん人間が、他人を大切になんかできるはずがない。』

    ──押し寄せる波みたいな快感が、スッポリと抜けるのと同時に、アタシの深いとこに、ピンポイントで突き刺さった、雪クンの言葉。

    ──ギシィッ…『…さ、もうお喋りは終わりね。…"復習"。ちゃんと俺に言ってくれる?』

    2011-07-27 03:23:00
  • 441:

    アタシに覆い被さる雪クンが、再度、ズボンをおろし、アタシの耳横に、アタシの指を絡ませながらついた手で、体重がかかり、ベットが鈍い音をたてる。……くる。
    『ん…次は下に、ちょうだい?』『やり直し、俺の目見て!』『…ん〜…!笑 雪クンの、ルイん中に…ンッ!ん〜ッ!』2人笑いながら、何度もキス。あぁ…なんか、忘れそうになるね、「すべて」。これはいつも逃げるアタシの、「忘れたい」とは、別物やね──。

    2011-07-27 22:17:00
  • 442:

    ──グッ…!『ァアッ…!…ん。』『…あぁー、もっと恥ずかしい事言わせたかったのに、入れちゃった。笑』耳にかかる雪クンの吐息、雪クンの香り。感触。
    『…ン、…もう、充分。笑』色んな意味で。『ルイちゃん、限界は越えていかないと。笑 てか…気持ちいいね?』顔をあげ、アタシを見て、ちょっと困った様に、はにかむ。可愛い。
    『…ん、気持ちいいね。』アタシも釣られて、笑う。
    ──グチュッ、ズボッ──…
    ゆっくりと、何か確かめる様に、腰を合わせて。

    2011-07-27 22:27:00
  • 443:

    ──離れたくない。これ以上近くにいける方法は、多分ない。
    ……とまで思ってしまう。SEXしないと本性がワカラナイ。そうは思ってた。けど、けどね。
    ──グッ、ズポ、グチャッ─!『…んン!ッあ、アッ、"─…ッッ!』『…こっち見てよ、顔見たい。』はやくなる動き。支えられる腰、顎。

    ───こーんなに、フワフワとした、全て委ねれるような、ずっとこうしていたくなるような、身も体も浮けるようなSEXがあるなんて。知らなかった。

    2011-07-27 23:02:00
  • 444:

    『…んぁッ、ん!…雪クン…ッ!』『ん?』『…ン、ンッ…ありがとうねッ…?』『…何それ。笑』
    ──こんな事思えた事だけで、アタシ多分、「幸せ」。アタシ思うよ、幸せって刹那の夢。儚くて切ない。それくらいに、「一瞬」。すぐ形をかえ、ボヤける。そうなると解ってるからこそ、「今」この瞬間を、存分に味わわなければ──…。

    ──そうする事で、この先の悪夢にさえも絶える事が出来る──?…悲観的かな。ワカラナイ。でもそれが、本当の、「恋」とか、「愛」とかなのかも。

    2011-07-29 08:23:00
  • 445:

    アタシはアヤと過ごした数年間、無意識に、「永遠」を信じていた。実好といた時も、同じ。でもそうじゃなかった。「死にたい」なんて甘えた事言えなかったケド、もう別にいつ消えてもいいやって毎日思った。思いながら過ごしてた。そんな自分がまた悲しかった。──でも今ハッキリと思う。

    ──「好き」なモノに、「大事」なモノには、人はきっと「永遠」なんて馬鹿げた幻想を、信じたくなる──。未知の力。馬鹿げすぎ。だけどきっとソレが、「ホンモノ」なのかも。

    ──だから雪クン、そう思わせてくれて、ありがとう。今のアタシには、充分すぎる位の一夜を、ありがとう。

    2011-07-29 08:31:00
  • 446:

    ──グチュッ!グチュグチュ!──『ぅッ…ひゃッ、ん!ん〜ッ…!』重なる体に、手に、唇に、…心。雪クン、こうして君に染まれば染まるほど。気持ちくなるほど、激しさが増すほど。…アタシはやっぱり、弱い。だから怖いよ。半端なくね。
    『…ルイちゃんッ…ほら、舌、出して、さっきみたいに…』『ぅ…ンッ……!』
    ──レロッ…チュ、チュパッ…─!
    ───今一緒になってるあたたかさ、幸せ以上に、"失う恐怖"のが、勝ってしまう。それが"アタシ"──。自分でも、どうしようもない。

    2011-07-29 08:41:00
  • 447:

    これ書いてはる人むっちゃ上手ですね。話に引き込まれます。是非続き書いて頂きたいです。

    2011-08-06 08:27:00
  • 448:

    ◆CxH08QB2Cg



    ──────
    『…ん…』『大丈夫?ちょっと苛めすぎたかな?』

    2011-11-05 01:40:00
  • 449:

    『はい。』笑顔で差し出された水を手に取る。…終わったのか。すごく長く感じてたのに───。『…ありがと。』目をユックリとしっかり開くと、雪クンはちゃっかり服をきていて、髪が濡れてる。きっとアタシがうたた寝してる間にシャワー浴びてたんだろう。
    『…今何時?』『5時過ぎ。もう朝やね。笑 ルイちゃんもシャワーする?起きてなからでもどっちでも…』───…!!
    『なに?どしたの?』

    2011-11-05 01:46:00
  • 450:

    ─バサッ…!ベッドの下に落ちていたシャツを見に纏い、リビングに向かう。5時…。もしかしたらこうしてる間に──…。
    ──パカッ、カチカチカチ…
    『…はぁ。』【不在着信、新着メールなし】…きてない、か。安諸なのか、残念なのか自分でもワカラナイため息が漏れた。
    ──…たくまクン、ほんまにちゃんと探してくれてんのかな。。…いや、きっとアタシが焦りす『こらこら!』

    2011-11-05 01:55:00
  • 451:

    『…あッ、』『終わった直後にはもう現実に戻るの?笑 ルイちゃんは。』
    さっきのペットボドルをアタシのほっぺにくっつける雪クン。『その辺の男子中学生よりデリカシーないよ。笑』『…ふはッ。笑』……いうとおり。笑

    ──ギュウッ…─…『あ…』『普通、終わったあとはこんな感じでしばらく離れたくないんやけどなー。』──ドキ…ッ。後ろから抱き締める雪クンの腕は、力強くて、心地よくて、さっきまでの情事が甦る。そうすると、『…ん、そうだねー…』『嘘ばっかり。笑』『ウウン…。』その言葉の意味を、理解せざるを得なくなる。。

    2011-11-05 02:09:00
  • 452:


    "あったかい"。"心地いい"。"安心する"。"このままでいたい"…。ズット。「ズット」さ。こうしてられたら、どんだけ幸せなんやろうね───?

    でもさ、雪クン。アタシ、こう思い出した時が、一番「危険」なんよな。────…今までの経験上。。。

    2011-11-05 02:15:00
  • 453:



    ────だから完全には、この仮面は外せない。

    …せめて、せめてさ。自分の事は自分で守らせて。

    2011-11-05 02:20:00
  • 454:

    名無しさん

    楽しみにしてるんでかいて下さい?

    2012-01-09 09:30:00
  • 455:

    名無しさん

    もうかかないんですか?

    2012-02-21 01:35:00
  • 456:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 457:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 458:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
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